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「レプリカ・ゼロ-5」(2007/10/02 (火) 07:27:52) の最新版変更点
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ルイズとルークは、爆発によりめちゃくちゃになってしまった教室の片付けを淡々と行なっていた。
まぁ、ルークは小さく何で俺がこんな事しなきゃいけねぇんだ。と、ぐちぐち言っている様だ。
黙々と淡々と教室を片付ける二人だったが、唐突にルイズは作業の手を止めルークの方を睨む。
行き成り睨んでなんだよ? と、眉を顰めるルークだったが……
「馬鹿にしてるんでしょ? 私が『ゼロ』だから」
は? 何いってんの? と、ルイズの言葉に少々呆れを含む表情を浮かべたルーク。
その表情を見てルイズは、ヒートアップしていく。
「笑いなさいよ! メイジなのに魔法が使えないって!」
そんなルイズに、ルークはズイッと近寄り怒鳴った為に顔が赤くなったルイズの額に思いっきりデコピンを喰らわせた。
鈍く大きい音が、ルイズの額から響き余りの痛さに額を押さえ涙目になるルイズ。
「俺は、この世界の人間じゃないからわからないけどさ。魔法ってのは、失敗したら爆発するもんなのか?
譜術って俺の場所じゃぁ使われてたんだけどさ。まぁ魔法と似たモンだけど……それは失敗したら何も起こらない。
ジェイドなら、色々お前に対して説明とか明確なアドバイスとかするんだろうけどさ」
腕を組み眉を顰めながらに言う。
「出来ないから諦めるのか? 出来ないから出来ないんだ! って決め付けるのか? 違うだろ?
出来ないならなんで出来ないのか? 出来ないなら何が自分で出来るのか? それを探すもんだろ?」
俺はそうだった。と、告げた後。結局は、進もうとするかしないかだ。と、締めくくりルークは再び片付けに戻る。
ルークの言葉に、ポカンッといまだ額を押さえたままのルイズを見て、さっさと手動かせよ! と、声をかけると
ルイズは、分ってるわよ! と、ハッとした様に答え同じ様に片付けに戻った。
結局、片付けが終ったのは昼前。二人は、片付けた教室を一度見回した後で食堂へと向かったのだった。
二人が食堂に入るや否や、ルークは食堂の一部分に喧騒が起こっている事に気づきその場所へと歩を進める。
それを見たルイズが、何処へ行くのよ! と、大声を張り上げて尋ねたのだが……ルークは、そのまま歩みを進めた。
喧騒の中心たる人物は、メイジを主張するローブを着た少年とその少年にペコペコと頭を下げているメイド。
そのメイドは、朝方迷惑をかけたシエスタで、どうも飛び交う話を軽く聞けば、どう考えてもメイジの少年に非がある。
気がつけばルークは、シエスタを庇う様に少年の前に出ていた。
突然の事に少年は、少々狼狽したようだったが直ぐにそれがルイズの使い魔である事に気づくと、
手にしていた造花の薔薇を差し向ける。
「なんだい? まさかそのメイドを庇うつもりかい?」
馬鹿にした笑みを浮かべながら少年は、そう告げた後「そこをどきたまえ」と、更に告げるのだが
ルークは、腕を組みタンタンタンと軽く足踏みをしながらギーシュを見下ろす様に睨む事で、答えた。
その態度に、少年は態度には出さないものの、内心ではムッと眉を顰めていた。
「おい、お前。話を聞くと、お前がどう考えても悪いだろ? え? 二股君」
「……君は、貴族に対しての口使いと礼儀がなっていないようだね? 流石、平民だ」
「はん。テメェらの言う貴族なんて貴族じゃねぇよ。権力に御座かいてるだけのクソガキだ」
まぁそれは俺も一緒だった訳なんだが。と、思いながらため息を吐くルーク。
その言葉とそのため息に、少年のこめかみに青筋が浮く。どうやら、何か勘違いをした様だが……
どちらにしろ、ルークの言葉を聞いた時点で、軽く青筋が浮いていたので何を勘違いしたのかはどうでもよさそうだ。
「随分、躾のなっていない使い魔じゃないか。ゼロの使い魔なだけある。
いや、平民だからかな? まったく、親の顔が見て聞いてみたいよ。どんな躾をしたんだい。と」
少年の言葉が、終ると同時にブチッと言う短い音がルークから発せられた。
その音にへっ? と、少年が呆けた瞬間……少年の体は、後方にぶっとんだ。
床に何度かバウンドし叩きつけられた少年は、突然の痛みと衝撃に訳が分らなく混乱していた様だった。
それは、この喧騒を見ていた生徒達も同じで、ルークの後ろに居たメイドことシエスタは、ルークの体に視界を遮られていた為
生徒達以上に何が起こったのかとパニックに陥る。
そんな周囲を気にせず、ルークは少年の方へと歩き目の前に立つと、今度は完全に見下ろしながらに言う。
「俺は、世間知らずだし物知らずだからなんと馬鹿にされてもしょうがないって思える。
だけど、お前……今、俺の父上と母上を馬鹿にしたな? レプリカでも俺を一生懸命育ててくれた両親を馬鹿にしたな?」
腕を伸ばし少年の胸倉を掴み持ち上げ殺気の篭った視線を向ける。
「親は、関係ないだろうが!!!」
胸倉を掴んだ手を離した瞬間、掌底を叩きつけ……ズドンッ! と、言う音と共に再び少年が吹き飛ぶ。
ルークが何をしたのかといわれれば、ただ裂破掌を打ち込んだだけである。
裂破掌とは、掌底を叩き込み気を爆発させ敵を吹き飛ばす特技であり、少年を吹き飛ばすには十分。
一体何をしたのかわからない周囲は、どよめきを隠せずに居た。
平民が、魔法も何も使わずに少年を吹き飛ばしたのだ。エア・ハンマーを使ったと言うのなら分るが……
どう見ても平民であるルークが、一体何をやったのかなどと分る者は、誰一人居なかった。
どうにか、床から立ち上がった少年は、憎悪と憤怒の表情を浮かべ造花の薔薇を、力強くルークに差し向ける。
「このギーシュ・ド・グラモン! 君に、決闘を申し込む! 平民の君に、貴族に対しての礼儀を叩き込んでやろうじゃないか!」
この食堂を戦いで汚す訳にはいかない。ヴェストリの広場で待っている! と、大声で告げギーシュは食堂を出てゆく。
食堂を出て行く一歩手前で、立ち止まり相変わらず憎悪と憤怒の表情を浮かべたまま、振り向き。
最後の晩餐でも食べておくんだな! と、告げ今度こそ食堂を後にした。
ソレを見送るルーク。そして、慌てた様にルークに駆け寄るルイズ。
「ルーク! アンタ何勝手な事してるのよ!」
ルイズの物言いに、あ? と、ルークは柄悪くルイズの方を見る。其処には、本当に慌てた姿のルイズ。
「何って?」
「ギーシュとの決闘よ! 平民がメイジに勝てる訳ないじゃない!」
それは、この世界での常識。しかし、ルークの世界の常識ではない。
「お前ら、本当……口を開けば平民、平民だな。なんで貴族や王族が偉いか知ってるか?」
腕を組んでルイズを見下ろしながらに言う。
そんなルークの脳裏には、自分の仲間で幼馴染であった王女ナタリアの姿。
「名前もしらねぇ。見たこともねぇ。民の為に、領土を統治し民の為を考え行動し尊敬される。それが、貴族や王族だ。
権力に御座掻いて、力を振り回すだけのヤツなんて、ただのクソヤロウだ!
それに……あのクソガキは、俺の親を馬鹿にしやがった。耐えられるか? もしお前の親が家族が馬鹿にされても!」
その言葉に、ルイズは自分の両親と二人の姉を脳裏に浮かべる。
魔法が使えない自分を見限る事なんてしなかった両親。
何時も自分を苛めるが何処か優しかったエレオノール姉さま。
何時も己以上に自分を心配してくれた優しいちい姉さま。
それが、馬鹿にされる? それは……絶対に許せない。
「許せない。絶対に」
ポツリと呟いた言葉。その言葉に、ルークはだろう? と、言葉にしないが口の端を小さく吊り上げた。
そして、食前の軽い運動だ。と、ルークは、そう言うとルイズにヴェストリの広場って何処だよ? と、尋ねる。
そんなルークを止めるつもりは、もう無いのかルイズは、こっちよ。と、ルークの道案内をする事になった。
まぁ、道案内をしている途中で、昼食食べるのを忘れた。と、肩を落としたのは、ご愛嬌である。
ヴェストリの広場。魔法学院の敷地内において『風』と『火』の塔の間に存在する中庭である。
西側に存在する為、日中でもあまり日が差さず。決闘にはうってつけの場所である。
だが、食堂に居合わせた生徒や噂を耳にした生徒で、広場は溢れかえっていた。
「諸君! 決闘だ!」
先程ルークに受けた裂破掌の怪我など一つも無いギーシュが、造花の薔薇を掲げ高らかに宣言する。
怪我一つないギーシュに、眉を顰めるルークだったが、ルイズの「誰かに治癒かけてもらったんでしょ」の言葉に、なるほどと頷いた。
「ギーシュが決闘するぞ! 相手は、ルイズの平民だ!」
平民、平民うるせぇ! と、ルークは腕を組んで苛立ちを隠さずに眉を顰めた。
ギーシュは、キザったらしい仕草で歓声に答えるかのように愛想を振りまく。
そして、やっと気づいた風にルークを見た。その瞬間、ギーシュの顔にはやはり歪んだ表情が浮かぶ。
ルークとギーシュは、広場の中央に立ちで睨み合う。
「とりあえず、逃げずに来た事を褒めようじゃないか」
造花の薔薇を弄りながら、歌う様に言うギーシュに対し「うるせぇクソガキ」と、短く答えられ少しばかり青筋を浮かべるギーシュ。
「さてと、始めるか」
ギーシュが、そう言ったと同時にルークがギーシュ目掛けて駆ける。
距離にしておよそ十歩。駆けるルークを見て余裕の笑みを浮かべるギーシュは、造花の薔薇を振る……
前に、ルークの拳が、顔面に直撃し「へなぷっ!?」と、変な声を上げて宙で一度回転して大地と口付けを交わした。
そんなギーシュを見て、汚い物に触れちまったとばかりにギーシュの顔面を殴った手をプラプラと振る。
喧騒が渦巻いていた広場が、シンと静まり返り……一瞬後に罵声が爆発する。
卑怯だ! と言う罵声ばかり。その罵声に、ケッと舌打ちするルーク。
そんな中、ギーシュが覚束無い足取りで立ち上がる。
「さ、流石、平民、だ。卑怯、じゃぁ、ないか」
顔面から広がる激痛を抑えながら、途切れ途切れにそう告げるギーシュを見て、馬鹿かお前? と、言う表情を浮かべるルーク。
そんなルークの表情を見て、ギーシュは顔面を手で押さえながら造花の薔薇を振る。
造花の薔薇から七つの花びらが宙に舞う。宙を舞ったと同時に七つの花びらは、七体の女騎士を模った人形に変化した。
「僕は、メイジ、だ。だから、魔法で、戦う。このワルキューレ、で、君を叩き潰す!!!」
途切れ途切れの声だったが、最後の力強い叫びと共に七体のワルキューレが、一斉にルークに襲い掛かった。
対するルークは、突然現れた七体のギーシュ曰くワルキューレに少々驚いたが、直ぐに身を屈め力強く大地を蹴り飛び上がる。
自分の正面から突撃してきたワルキューレを飛び越え着地間際に、後ろ回し蹴りを丁度頭の部分に撃ち放ち鈍い音を立てて倒れる
ワルキューレを尻目に着地したと同時に素早く一体のワルキューレの後ろにつき、掌底を打つと同時に体中をめぐる気を爆発させた。
そのワルキューレは、胴の部分から逆くの字に拉げる。残り五体。と、ルークは、冷静にワルキューレを見据えた。
所変わって学院の学院長室。
ミスタ・コルベールが、学院長のオールド・オスマンに、春の使い魔召喚の儀式成功の報告と
ルイズが、召喚した青年ことルークの報告をしていた。曰く、使い魔召喚で何故人間が召喚されてしまったのかと言う点である。
そして、まだ見ていないがルイズと契約したルークに刻まれた使い魔のルーンも、気になること。
そんな、報告を聞いてオールド・オスマンは、詰らなさそうに欠伸を漏らす。
それより、貴族どもからがっぽりと金を分捕る事を考えんかい。と、オスマンはむっつりとした表情を浮かべた。
オスマンとコルベールの二人だけが居る学院長室に、ドアをノックする音が響く。
「誰じゃ?」
扉の向こうから、オスマンの秘書であるミス・ロングビルの声が聞こえてきた。
「私です。オールド・オスマン」
「なんじゃ?」
「ヴェストリの広場にて決闘を行なっている生徒が居るようです。大騒ぎになってます。
止めに入った教師もいましたが……生徒達の妨害にあって、止められないそうです」
ロングビルの報告に、はぁ。と、ため息一つもらすオスマン。
「まったく、暇を持て余す貴族ほど、性質の悪い生き物はおらんわい。で、誰が暴れて居るんだね?」
「一人は、ギーシュ・ド・グラモン」
「あの、グラモンとこのバカ息子か。オヤジも色の道では剛の者じゃったが……
息子も輪にかけて女好きじゃ。おおかた女の子の取り合いじゃろう? して、相手は誰じゃ?」
「……それが、メイジではありません。ミス・ヴァリエールの使い魔の青年らしいです」
コルベールは、驚きの表情を浮かべた後で、オスマンを見る。
なんてこったい。と、ペチッと額に手を当てるオスマン。
「教師達は『眠りの鐘』の使用許可を求めております」
ロングビルのその言葉に、オスマンの目が、鷹の様な鋭い眼光に光る。
「アホか。子ども……この場合、子どもはグラモンのバカ息子じゃが……相手は、平民と聞く。
そんなケンカ止めるのに、秘宝を使ってどうするんじゃ。放っておきなさい」
わかりました。の言葉と同時に、ロングビルが去ってゆく足音が聞こえた。
「さて、コールベル君」
「コルベールです」
「……まぁいいじゃろ。それより、君の報告にあったミス・ヴァリエールの使い魔の青年の安否が気になるのぅ」
「はい。ですが……彼は、ただの青年では無いでしょう。少なくとも何かしらの訓練を受けています」
「ほう? それは、君の経験から見てかね?」
「えぇ……」
オスマンの言葉に、苦虫を潰した表情を浮かべながらに頷くコルベール。
よかろう。と、オスマンは杖を振る。壁に掛かった大きな鏡に、ヴェストリの広場の様子が映し出された。
「魔神拳!」
拳から放たれた衝撃は、地を奔りワルキューレの右足を砕く。其処へ素早く走りかけ追撃の崩襲脚を放ちワルキューレの頭を潰す。
残り四体! と、ルークは横から突き出された青銅の槍を素早いバックステップで回避し俗に言うヤクザキックで、
そのワルキューレを蹴り飛ばした。蹴り飛ばされたワルキューレは、ギーシュの真横まで吹き飛び大地に叩きつけられた。
叩きつけられたワルキューレは、錆びた機械の様に異音を発しながらも立ち上がる。
そのワルキューレを居れ、四体のワルキューレは、ギーシュを守る様な弓状の陣形を取り槍を構えていた。
「貴様は」
ワルキューレの後ろから、ギーシュの声が響く。
「貴様は、一体なんなんだ! ただの平民の癖に! 何故、僕のワルキューレが平民如きに!」
倒された三体のワルキューレの成れの果てを見て、ギーシュは叫ぶ。
「平民、平民うるせぇ!!! お前は、お前らはそれしか言えねぇのか! このクズが!!」
ギーシュの叫びに答えるかの様に、大声を張り上げルークは、再び走る。
「ワルキューレェエエエ!!!!」
走り掛けるルークを、迎え撃つ為に四体のワルキューレは、弓状の陣から素早く動き菱形の陣を作り一番前のワルキューレが
槍を、ルーク目掛けて突き出す。しかし、ルークは突き出された槍をしゃがんで潜り抜けワルキューレの懐に潜り込んだと同時に
胸部に掌底を叩き込み裂破掌を炸裂させる。それは、そのワルキューレに大きな穴を作りあげ吹き飛ばす。
もし、ワルキューレの中身ががらんどうではなく、青銅がギッシリと詰っていたならば凹むだけで済んだかもしれない。
そして、吹き飛んだワルキューレと共に前に走りかけようとして、慌ててバックステップするルーク。
何故、慌ててバックステップしたかと言うと……もし、そのまま走りかけていたならば、左右のワルキューレの槍に串刺しに
されていただろう。その証拠に、左右のワルキューレが、先程ルークが居た場所を槍で突いていた。
「ワルキューレだけが、僕の戦力だと思うなよ!」
その言葉と同時に、ルークの足元が唐突に陥没する。チッと短く舌打ちをして慌ててその場から後ろに飛ぶ。
なんなんだ?! と、唐突に陥没した場所を見れば、大きいモグラ。ジャイアントモールが、ひょこっと顔を出した。
そのジャイアントモールは、ギーシュの使い魔。名前をヴェルダンデと言う。
ヴェルダンデは、すぴすぴと鼻を鳴らした後再び地面にもぐった。
再び、陥没する足場それを完全に陥没する前に跳び回避するルークだったが、ヌォッ! と、変な声を出して空中で上半身を反らすと言う
何故そんな事をしたのかと言えば、いつの間にか傍に居たワルキューレからの槍攻撃をかわす為である。
油断したならば即串刺し。そして、足場の陥没。
優位だった状態からかなり不利な状態へと陥るルーク。
「ははは! 降参するかい!? 地べたに頭を擦り付けて許しを請うならば、降参を認めてあげようじゃないか!!」
「ふざけんな!!!」
再び走り掛けるルーク。そしてそれと同時に次々に陥没していく足場。
それに構わずルークは、ワルキューレ目掛けて走る。それを見たギーシュは、やけになったのか? と、思うが
ルークの目には、やけっぱちになった色の光は無い。寧ろ……
「下がれ!!! ワルキューレェエエ!!!」
しかし、その指示は、遅かった。大地を蹴り跳び上がったルークは、そのワルキューレを足場として更に跳び上がる。
そして、ギーシュに影が差す。ギリッを歯を噛締めながら見上げれば其処にはルーク。
丁度、拳を振りかぶる様にして落下してくるルーク。このまま行けばギーシュを捉えられたのだろうが……
ルークの行動を察していた、ギーシュはワルキューレを自分の前にすぐさま移動させる。
「るぉおおおおおおお!!」
「ワァアルキュゥウゥウウレェエエエ!!!!」
裂破掌を放つ為の気が収束するルークの右手。
それを迎え撃つのは、何時の間にか作り出された巨大な青銅の盾と槍を構えるワルキューレ。
結果としては、ワルキューレの槍は、ルークを捉えていた。しかし、それはルークの脇腹を抉るに留まる。
ルークは、それに顔を顰めるが咆哮を張り上げワルキューレの脇をくぐりぬけギーシュ目掛けて渾身の裂破掌を炸裂させた。
宙を弧を描く様に舞い大地に叩きつけられるギーシュを見てルークは、ふぅうう。と、息を吐いた後で丁度視線に入った金髪カールの女子に
懐から取り出した、赤色のぷよぷよしたモノ……アップルグミを手渡し。口に放りこんどけ。
と、ギーシュの方を顎でしゃくりあげた後で、広場から立ち去る。
この決闘の結果に、唖然としてた広場だったが、ルークが広場から立ち去った後で歓声やら罵声やらが飛ぶのだった。
「脇腹いてぇ……服が台無しだ。なんか変わりの服……その前にアップルグミ食べておこう」
食堂に続く廊下を歩きながらルークは、そう呟いた。
ちなみに、決闘を見ていたルイズは、ルークが広場から立ち去ってしばらくしてからハッとした様に、ルークの後を追いかけるのだった。
オスマンとコルベールは、『遠見の鏡』から見ていたヴェストリの広場での決闘を一部始終見て。顔を見合わせた。
コルベールは、困惑を隠せない様子でオスマンの名前を呼んだ。
「オールド・オスマン」
「うむ……」
「あの平民、勝ってしまいましたね……」
「そうじゃの」
「ギーシュは、一番レベルの低い『ドット』メイジですが、それが平民に遅れをとるだなんて」
「コルベール君。君はアレを見て彼を『ただの平民』だと思うかね?」
「……思いません。少なくとも彼には戦闘経験があり……かなりの数の戦いをこなしています」
それに、あの地を奔る衝撃波。エア・ハンマーに似て似ない。
それに、あの小さな柄も威力のある爆発。どうやって爆発を生み出したのか?
「ふぅ……コルベール君。彼のルーンも何かしらあるかもしれん。調べて報告頼むぞ?」
「はい」
ルークは『家族思い』の称号を手にいれた。
ルイズは『家族思い』の称号を手にいれた。
コルベールは『デバガメ』の称号を手にいれた。
オスマンは『デバガメ』の称号を手にいれた。
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