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「秘密結社ゼロシャイム総統ルイズ」(2008/05/28 (水) 00:21:51) の最新版変更点
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#navi(秘密結社ゼロシャイム総統ルイズ)
今日も酷い目に遭った。
秘密結社フロシャイム川崎支部将軍ヴァンプは、夕飯である鮭のムニエルをつつきながら溜息を吐いた。
「結構いいところまで行ったと思ったんだけどねぇ、今回」
「なんで正義のヒーローってあんなに都合よく現れるんでしょうね」
話の都合だろ、とは誰もが思いつつも誰もが言わない事であったが、
ともかく毎度の事ながら呼び出した怪人がこうも簡単に屠られてしまうと
はたして本部から左遷降格を言い渡されはしないか、と一抹の不安がよぎるのだ。
「お…明日タマゴが特売か」
しかし悲しいかな、何しろ経済的にそう余裕の無い川崎支部では先ず優先すべきは支部の存在そのものの確保なのである。
どんなブラック企業でも赤字では立ち行かない。常識もいいところだ。
だからヴァンプ率いる川崎支部の戦闘員および怪人は日々の倹約の知恵を振り絞り、
それが正義のチンピr…ヒーローたるサンレッドに対する危機感を薄れさせ、
結果毎度の惨敗に繋がる所となっているのだ。
「「今度こそはすっごい奴を呼び出して…」」
それは誰の発した言葉かは分からない、が、その言葉を発した誰もが心の底からそう願っていた。
「魔界の果て、地獄の底に屯す悪魔よ!」「天と地とその狭間の何処かに居る私のしもべよ!」
誰かが魔方陣の前でその口上を結び始める。
「残忍で、凶暴で、冷血な、血を渇望する猛獣よ!」「清く、賢く、美しく、何者をも超越する私の使い魔よ!」
魔方陣は静かに、仄かに、輝き始める。
「「我は心より求める!この地へお前が降り立つ事を!!」」
魔方陣が放つ光に、それを見ていた誰もが目を眩ませ、
…やがて、光の中にその影を認めた。
「…は?」
「しょ、将軍…!?何処へ…ってあんた誰!!??」
「…え?は?…どこだここはぁぁぁ!!?!」
禁呪により神奈川県川崎市へ呼び出された東京都在住の平凡極まる高校生・平賀才人は、
戦闘員ならびに怪人たちによる深い謝罪と交通費を受け取った後、帰路に着いたのである。
「いやぁ~あの鮭のムニエル旨かったなぁ」
「……えっ?」
「…………」
「……………」
「………………誰よ、アンタ」
そして、フロシャイム川崎支部将軍ヴァンプは、
職と、
家を、
失った。
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「あ~~~あっついなぁもう。最高気温20度だなんて、
全国ネットで平然とウソこいていい度胸してるね良純も」
「たっ大変だよウサちゃん、Pちゃんがオーバーヒート起こしてるっ」
「えっどっどうしよう。そうだ多摩川に突っ込んで冷やそう!」
神奈川県川崎市の一角。町の住民には見慣れた光景である。きっと、多分。
「ふう~~~かよ子さんの頼みとは言え、
こんな暑いのによりによってサンレッドの捜索なんてやってられないね」
「でもヴァンプ将軍も居なくなるなんて、妙な偶然だよね」
ヴァンプ将軍が謎の光に包まれ失踪して二週間。
川崎支部の人員を総動員しての捜索は未だ成果は上がらず、本部への連絡も視野に入れている。もちろん県警への捜索届も提出済みだ。
更にそのさなか、折りしもサンレッドもほぼ同時期より失踪しているとの知らせも入り、
戦闘員達は複雑な心境で二人の捜索を続けていた。
「あっ、ウサコッツさん、デビルねこさん、Pちゃんさん、お久しぶりです」
「あー平賀君こんにちは…って何でここにいるの?」
「いや、この前ギョウさんの開いた合コン行った時、まだ上司の方が見つからないって聞いたんで。
なんか責任感じるっていうか…今日明日休みなんで、折角だからお手伝いしようかな、と。
で、進展とかありました?」
「わざわざ遠出してもらっちゃって悪いけどさ…」
「ぜーんぜん、なーんにも、手掛かりナシ!なんだよね」
「そっすか…」
「別に平賀君が何かしたって事は無いんだから変に負い目なんか感じなくてもいいのに…。
それにあの二人に限って何かある訳無いよ。いっつも凄い事してるしさ。
将軍なんてこの前ブロック塀に向かって背面パワーボム仕掛けられてたし」
「だよね」
「……」
とはいえ折角ここまで来たところでじゃあさよなら、という気にはならないのが平賀才人という少年である。
三人(匹?)と一緒に多摩川沿いを捜索する事になったのだが…
「うわあぁっっ」
「ねこ君っ、Pちゃんっ」
「な、何だこりゃっ」
橋の袂、道路の上から窺い知る事は適わない薄暗いその場所は一瞬だけ猛烈な光で照らされたかと思うと、
それが収まった後にはそこに四人(?)が居た形跡は欠片も残されていなかった。
……………むちゅうっ
(ん?)
「………」
「…………」
「わーっ!ティファ姉ちゃんがえっちい事してるーっ」
「っぷはっ!?えっ!?何これっ??(むにゅぅ)
えっ何今のむにゅって痛熱ちゃちt」
「きゃあああーーーーーーーっ!!!!」
三人(匹?)はテーブルに座り、その正面にはきっと世間一般の常識では美人でプリンちゃんな少女。
その脇に後ろ手を縛らればつの悪そうな顔で正座させられている少年。
扉の隙間からは彼よりもずっと幼いであろう少年少女達がそのさまを覗き見ている。
かわいー、とか。らっきーすけべだー、とか囁きながら。
「えーっとぼくたちは日本国神奈川県川崎市で世界征服をするために活動している秘密結社フロシャイムの」
「ウサちゃん、安易に個人情報を教えちゃだめって将軍が言ってたじゃないか」
「ピーピー」
「あ、あの…ちょっと…足が…げっ限界っ…なんですけど…そろそろ、勘弁、して頂くわけには…」
ティファニアがサモン・サーヴァントを実行したのにはそれは深い…多摩川よりも深い事情があるのだ。
いつもの様にごろつきを追っ払いさて昼食の支度でも、というところで目に付いたのが彼らが落としたのであろう呪文書。
子供達の暇潰しくらいには使えるかも、と持ち帰ったところ、
『姉ちゃんも使えるー?』
自分に系統魔法の才が無い事は承知してはいたが、
なればこそ真似事でも子供達に危険が及ぶ事も無いであろう、とふんだのである。
ところが適当に見繕ったページに書かれた口上を紡いでみれば…
「なんだかマンガみたいだなぁ」
「そのサーモン何とかっていうのは、手当たり次第に異世界の人を呼び出すものなの?」
「いえあの…私もこういうのは初めてなので、見も蓋も無いのですけど、何も分からなくて…
本当にごめんなさいっ」
「あ、あ、あ、ヤバイ…死ぬ…足痺れて死ぬかも俺……」
「ピーピー」
平賀才人が解放されたのは、『とりあえずお昼にしましょう』と言ってティファニアが台所に引っ込み、
その後なだれ込んで来た子供達にアニマルソルジャー共々散々おもちゃ(彼の場合主に痺れきった足を)にされた更に後の事である。
「で、ぼくらはどうすればいいんだろう?」
「ヴァンプ将軍を探すどころじゃないよねーこれじゃ」
「らっきーすけべに天誅だーっ」
「ぐわおおっまだ痺れるんだっ触るなっこらっ」
「えと、私の姉が出稼ぎに行っているので、そういうのには私よりも詳しいと思うんです。
それにその、勝手な事を言ってるとは分かるんですが、子供達もあなた方に随分懐いているようですし、
だから…」
「かわいーっ」
「ピーッピピピピッ」
かくて不幸にもハルケギニアへ誘われた、川崎支部が誇る精鋭アニマルソルジャー軍団+αは、
まだ見ぬその少女の姉が元の世界へ戻る手掛かりをもたらす日が来るまで、
保育所員の真似事を依頼されたのである。
「ねーサイト。お姉ちゃんのおっぱいどんな感じだったー?」
「おおおおおいきききき君はななななんという事をきき聞いて
だ大体僕は健全な17歳のまだ高校生でコンビニでヤングアニマル買うのにもちょっと勇気出すような」
「将軍もこの世界に来てるとか無いかなー?」
「…そうなるとサンレッドが来ててもおかしくない事になるよね」
はたして彼らの邂逅の日は近い。ハルケギニアの運命はいかに。
#navi(秘密結社ゼロシャイム総統ルイズ)
「天体戦士サンレッド」から「怪人組織フロシャイム」と「正義の味方のサンレッド」を召喚
[[秘密結社ゼロシャイム総統ルイズ-01]]
[[秘密結社ゼロシャイム総統ルイズ-02]]
[[秘密結社ゼロシャイム総統ルイズ 外伝?]]
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