夜 トリスティン魔法学院・通路
コッ、コッ、コッ…
廊下に足音を響かせて、ミス・ロングビルは自分の寝室に戻る途中だった
「まったく…あのスケベ爺の相手は疲れるもんだねぇ…」
呟きながらも彼女は足を止めず、そのまま進む
今日やった仕事の他にオスマンへの制裁が加わり、一刻も早くベッドで寝たいのである
ちなみに、オスマンは学院長室の椅子ですでに三千世界へと旅立っていいる
この爺、まったく懲りていない
呟きながらも彼女は足を止めず、そのまま進む
今日やった仕事の他にオスマンへの制裁が加わり、一刻も早くベッドで寝たいのである
ちなみに、オスマンは学院長室の椅子ですでに三千世界へと旅立っていいる
この爺、まったく懲りていない
「……ま、愚痴言ってもしょうがない。明日も早いしとっとと」
ズウン…!
「…寝よう、って時にィィィィ!!」
そう言って、ロングビルは窓の外の巨大ゴーレムに怒りの視線を向けた
ドラが使い魔 「『土くれ』のフーケ」前編
同時刻、ルイズの部屋では
「大体何よ、その貧相な体つきは?16にもなって凸凹がほとんど無いなんて笑わせるわ」
「フン、アンタがありすぎなのよ!それに、貧乳はステータスよ!希少価値よ!
アンタみたく無駄に腫れてるほうがよっぽどおかしいのよ!」
「あら、男性がもっとも好むのは ボン!キュ!ボン!のグラマーな女性なのよ?
そんなことも解らないなんて、やっぱり「ゼロ」ね」
「ムキー!なぁんですってぇーーーー!!」
ルイズとキュルケが激しく口喧嘩をしていた
何でこんな事態になったかというと
「フン、アンタがありすぎなのよ!それに、貧乳はステータスよ!希少価値よ!
アンタみたく無駄に腫れてるほうがよっぽどおかしいのよ!」
「あら、男性がもっとも好むのは ボン!キュ!ボン!のグラマーな女性なのよ?
そんなことも解らないなんて、やっぱり「ゼロ」ね」
「ムキー!なぁんですってぇーーーー!!」
ルイズとキュルケが激しく口喧嘩をしていた
何でこんな事態になったかというと
― 10分ほど前 ―
町から戻ったマタドーラとルイズは部屋で話し合っていた
「で、どうやってその剣の錆を落とす訳?」
「ああ、こいつを使うんだ」
そう言ってポケットをあさると、一本のスプレー缶を取り出した
「ああ、こいつを使うんだ」
そう言ってポケットをあさると、一本のスプレー缶を取り出した
「【瞬間錆取りスプレー】!」
あさっての方向を向いて道具の名前を告げるマタドーラ
あさっての方向を向いて道具の名前を告げるマタドーラ
「こいつを錆びてる部分にシューッ、と吹きかけると錆が泥みたく落ちてくんだ」
「へー、そいつぁ便利だな。よし、やってくれや」
マタドーラの説明を聞き、感嘆の若干混じった声で促すデルフ
その言葉を聞いてスプレーをデルフの錆びた刃に向ける
「へー、そいつぁ便利だな。よし、やってくれや」
マタドーラの説明を聞き、感嘆の若干混じった声で促すデルフ
その言葉を聞いてスプレーをデルフの錆びた刃に向ける
「…ただ、若干しみるからちょっと我慢しろよ」
「ちょっとってどんぐらいだ?」
「……俺も前に手入れを怠って角が錆びたことがあってな
そのとき使ってみたんだが…」
「…どうだったんだ?」
「……」
デルフの問いに、マタドーラは答えない
「ちょっとってどんぐらいだ?」
「……俺も前に手入れを怠って角が錆びたことがあってな
そのとき使ってみたんだが…」
「…どうだったんだ?」
「……」
デルフの問いに、マタドーラは答えない
「な、何とか言ってくれよ相棒!?」
「…許せ、デルフ……」
「ちょwwおまwwwww 待っt(ry」
「…許せ、デルフ……」
「ちょwwおまwwwww 待っt(ry」
ぷしゅー
空気の抜けるような軽い音の後
「……GNYAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」
女子寮内に、哀れなインテリジェンスソードの断末魔が響いた
女子寮内に、哀れなインテリジェンスソードの断末魔が響いた
「ちょっと!うるっさいわよルイズ!」
その数秒後、キュルケが文句を言いに部屋に入ってきて―――
その数秒後、キュルケが文句を言いに部屋に入ってきて―――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
いま
「―――現在に至る、ってわけか」
マタドーラの言葉に、その隣で彼と同じく桃毛と赤毛の口論を見ていた
蒼い髪の少女がコクン、と頷く
彼女は偶然キュルケの部屋にいて、この騒ぎに巻き込まれたらしい
ちなみにデルフは放置されている
いま
「―――現在に至る、ってわけか」
マタドーラの言葉に、その隣で彼と同じく桃毛と赤毛の口論を見ていた
蒼い髪の少女がコクン、と頷く
彼女は偶然キュルケの部屋にいて、この騒ぎに巻き込まれたらしい
ちなみにデルフは放置されている
「ところで青い髪のセニョリータ、君の名前は?」
「…タバサ」
「苗字はないのかい?」
「事情があって言えない」
「…ん、そうか。ならいいや」
「…助かる」
マタドーラの質問に無表情で答えるタバサ
ルイズとキュルケの口喧嘩大バトルとあわせて、第三者が見ればさぞかしカオスな光景だろう
「…タバサ」
「苗字はないのかい?」
「事情があって言えない」
「…ん、そうか。ならいいや」
「…助かる」
マタドーラの質問に無表情で答えるタバサ
ルイズとキュルケの口喧嘩大バトルとあわせて、第三者が見ればさぞかしカオスな光景だろう
「しっかし二人ともよく飽きずにやってられるよなぁ
タバサ、お前はキュルケの友達だろ。いつからこうなんだ?」
「1年生のころからこう」
「ふーん。ま、そんなころからこの状態ってことはあれだな。昔からよくいうやつ」
「…多分、それだと思う」
タバサ、お前はキュルケの友達だろ。いつからこうなんだ?」
「1年生のころからこう」
「ふーん。ま、そんなころからこの状態ってことはあれだな。昔からよくいうやつ」
「…多分、それだと思う」
「「喧嘩するほど…」」
「「仲良くない!!」」
マタドーラとタバサの揃った声に、同じく揃った声で答えるルイズとキュルケ
「ほら、息ぴったり」
コクン、と頷くタバサ
コクン、と頷くタバサ
「「だから違うってb…」」
ズウン…!
彼女達の否定の言葉を遮って、地響きの音が聞こえた
「な、何!?」
「私に聞かないでよ!」
パニックに陥るルイズとキュルケ(やはりと言うか似たもの同士である)に対し、
タバサとマタドーラは冷静に、しかし警戒しながらも音のした窓の外を窺う
「私に聞かないでよ!」
パニックに陥るルイズとキュルケ(やはりと言うか似たもの同士である)に対し、
タバサとマタドーラは冷静に、しかし警戒しながらも音のした窓の外を窺う
「な、何だありゃぁ!?」
マタドーラの視線の先には巨大な土の人影があった
呆然とするマタドーラとルイズ、キュルケとは別に、それの正体を見抜いたタバサが呟く
マタドーラの視線の先には巨大な土の人影があった
呆然とするマタドーラとルイズ、キュルケとは別に、それの正体を見抜いたタバサが呟く
「ゴーレム…!」
「あれが!?ギーシュの奴の倍以上はあるぜ?」
「恐らく、あれを作ったのは「トライアングル」クラス…
そしてギーシュは「ドット」クラス…」
「…比べ物になんねぇって訳か」
二人が会話している間にも、ズシン、ズシンと音を立てて校舎のある場所へ向って行く
「あれが!?ギーシュの奴の倍以上はあるぜ?」
「恐らく、あれを作ったのは「トライアングル」クラス…
そしてギーシュは「ドット」クラス…」
「…比べ物になんねぇって訳か」
二人が会話している間にも、ズシン、ズシンと音を立てて校舎のある場所へ向って行く
「宝物庫の方へ行く…」
タバサのその声に、ハッ、とするルイズ
タバサのその声に、ハッ、とするルイズ
「…泥棒か!ルイズ、急いで……」
先生に知らせに、とマタドーラが言う前に
先生に知らせに、とマタドーラが言う前に
――ザッ
窓の縁に足をかけ
「なっ…!?」
外に飛び出したのは――
外に飛び出したのは――
「…ルイズ!?」
タケコプターを頭に付けた、桃色の髪の、マタドーラの主人の姿だった
タケコプターを頭に付けた、桃色の髪の、マタドーラの主人の姿だった