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  • あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ
  • もう一人の『左手』-26

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

もう一人の『左手』-26

最終更新:2008年04月30日 22:50

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「離して子爵さまぁっ!! いたのよっ!! サイトがっ、わたしの使い魔がっ」

 そう叫びながら、ルイズは甲板に飛び出そうともがく。
 だが、彼女を取り押さえるワルドの逞しい腕は、まるで微動だにせず、ルイズの抵抗を空しくさせる。
 しかし、――確かに彼女は見たのだ。『イーグル』号の艦橋舷窓から。
 地面の中から泥まみれになって、のそのそとモグラのように貴族派の陣中に這い出してきた少年を。
 たとえ双月が夜空を煌煌と照らしていたとしても、そして『マリーガラント』号の自沈攻撃によって、戦場が紅蓮の炎に包まれていたとしても、――それでも今は、夜だ。『イーグル』号の小さな舷窓から、一人の少年を視認したというには、やや無理がある。
 だが、それでも、ルイズは……才人を見たのだ。
 しかし、それを主張する少女の姿は、傍目に見て、かなり異様なものであった。


「いい加減にしたまえルイズ!! いまは戦闘中だぞ!! 殿下たちに御迷惑をかけている事に気付かないのかっ!?」


 その婚約者の一声は、少女に理性と常識を回復させてしまった。
 ウェールズや、その他の『イーグル』号のクルーが、唖然として自分を見ている。
 見られている。自分が意味不明なことを言って取り乱したところを――という意識は、気位の異常に高いこの少女に、普段の羞恥心を復活させ、その羞恥心は少女のマイナス思考を呼び起こした。
(そうよ、だいたい、こんな距離でサイトが見えるわけが無い。ううん、サイトがそもそも……アルビオンに来ているかどうかさえ……!!)

 才人と風見の一行が、タバサの風竜に乗ってアルビオンに現れたという目撃情報はある。
 だが、……それでも、彼らの存在に確証があるわけではない。現に、ヴァリエール家の旗を掲げたニューカッスルに、彼らからの連絡はついに無かった。
「ゴメンなさい、子爵さま……わたし、どうかしていました……」
 少女は、結局――自分の中に芽生えた、使い魔の少年との“絆”を信じることができなかった。



「全軍、そのまま突き進めいっ!! 逆賊どもの陣中を、縦に切り裂くのじゃぁっ!!」

 地上部隊の戦闘指揮をとる王党派の貴族、ジェラルド・マーヴェリー卿の号令のもと、騎兵を中核とする、王党派本軍二百の兵団が、炎逆巻く貴族派の包囲軍を、中央突破してゆく。
 浮き足立った貴族派の部隊は、勢いに乗った王党派の軍を止める事は出来なかった。


 王党派がニューカッスル城に掲げた、トリステインの有力諸侯ヴァリエール公爵家の旗。
 家旗掲揚を依頼したルイズの思惑はともかく、その旗は寄せ手を混乱させ、戦況を膠着状態に持ち込ませるには充分な威力を持っていた。
――と、見せかけ、密かにニューカッスル真下の大穴への艦隊行動を起こしたレコン・キスタ。地上と地下から同時に攻撃を仕掛け、今度こそ、この難攻不落の城塞を攻略するはずだった。
 だが、何ぞ知らん。その大穴の存在こそ、王党派が渾身の力を振り絞って仕掛けた、最後の大罠であろうとは!!

 浮遊大陸アルビオンの真下。――昼間でも、光一筋差さぬ暗礁空域。
 ぶち当たれば、フネさえも無事では済まぬ巨大な岩塊が、まさしく雨後のタケノコのごとく乱立し、貴族派が制空権を確保してからも、容易に踏み込む事をためらわせた漆黒の危険地帯。
 そこに仕掛けられた『火』の秘薬は、暗闇の中をニューカッスルに向けて、おっかなびっくり進む貴族派の艦隊を巻き込んで大爆発を起こし、そして雨あられのごとく降り注いだ巨大な岩礁は、貴族派四個艦隊をあっさり海の藻屑と変えたのだ。
――無論、秘薬の引火は自然発火ではない。
 コウモリを使い魔とするメイジたちによって、暗中でも精密射撃を可能とした王立空軍砲兵科の、卓抜した技術あってこその策であった。

 そして、大陸直下の大爆発を号令として、城塞地下の天井を破壊し、そこを突破口として地上に奇襲を仕掛けた王党派本軍。
 ――と言っても、実質兵数二百余程度の無勢だが、いずれも王家に殉ずる覚悟を決めた、誇り高いメイジを中心とする精兵たちだ。
 また、貴族派本陣付近に、神風特攻隊よろしく自沈攻撃を仕掛けた『マリーガラント』号の船蔵に満載された硫黄は、墜落と同時に大爆発を巻き起こし、地上部隊の中央突破を援護する。
 もはや威風堂々たる貴族派の重包囲網は、見るも無残な大混乱に陥り、指揮系統を失った大軍は、統制の取れぬ人の群れに成り下がっていた。

 そして、壊乱状態の寄せ手を、さらに恐怖に叩き込む一人の戦士。
 長さ数メイルほどの鉄柱を軽々と振り回し、王党派の先陣で敵を蹴散らす赤い仮面。胸のレッドボーンに輝くルーンを刻み込んだ、記憶を持たない改造人間。

――ティファニアの使い魔“ブイスリー”。

 その腕力は、重量1トンもの鉄柱を颶風のごとく振り回し、その脚力は、王党派鉄騎軍の先頭に立ちながら、後続の味方の騎馬さえ引き離しかねない速度を誇り、その不死身の肉体は、貴族派の魔法攻撃を一身に引き受けながら、全く怯む様子すら見せない。
 いや、攻撃を喰らうほどに、胸のルーンは光を放ち、その怪物のような威圧感は増すばかりだ。
 もはや、この赤い死神の前に立ちはだかる愚を、貴族派の兵たちは十二分に思い知らされていた。


「ここは……どこだ……?」
 ワルドは、頭を振り、上った血を下げながらあたりを見回す。
 自分も驚いてはいるが、それ以上に驚愕の表情で、こちらを見返す軍人たちが、こっちを取り囲むように立ち竦んでいる。
 一体どうなっているんだ?

「ここは『レキシントン』の艦橋ですわ」

 その声に、ワルドとフーケは、反射的に振り向いた。
 日光さえ遮りそうな厚手の黒コートを着た女が、涼しい顔でそこに立っていた。
 思わずワルドが呟く。
「ミス・シェフィールド……!?」
 そのフードに覆われた女の額から、ルーンが美しい輝きを放っている。
 だが、輝くルーン以上に蒼い光をたたえた彼女の双眸は、呆然としているワルドや、うさんくさそうな目で彼女を見上げるフーケ、さらには、だらしなく気を失っているクロムウェルにさえ、一瞥たりとも注がれてはいなかった。
 彼女の眼差しは、ただ艦橋から見える唯一の敵艦に向けられている。
 王立空軍最後のフネ――戦列艦『イーグル』号。

――そうだ。
 あのとき『マリーガラント』号が、『イーグル』号に艫綱を切られ、レコン・キスタの本陣に突っ込んできていたはずだ。
 ワルドは思い出していた。
 彼は――いや、フーケもクロムウェルも、そしてシェフィールド自身さえも、自沈攻撃にさらされた当の本陣にいたのだ。
 本来なら、フネの爆発に巻き込まれ、骨すら残らずに灰になっているはずだったのだ。
 空が丸ごと落下して来たような、あの圧迫感と恐怖は、沈毅重厚なワルドでさえも、思い返せば身の毛もよだつ。
 現に、標的とされたクロムウェル本人は恐怖のあまり失神し、未だに目を覚まさない。
 それが何故、こんなところで俺たちは生きている?
 確か『レキシントン』の艦橋だと言っていたか?

「“転移の腕輪”……術者の脳裡に描かれた空間に、一瞬の内に瞬間移動できるマジックアイテムです。これを使わなかったら、今頃わたしたちは、閣下もろともヴァルハラの門を叩いていたはずですわ」

 こちらにまるで視線を向けもしないくせに、ワルドとフーケ、そして艦橋に居並ぶ軍人たちの疑問に直接の解答を投げかけるシェフィールド。
 だが、彼女が本当に言いたいことは、そんな魔道具の自慢ではなかったらしい。
「それより艦長、――早くこちらとしても竜騎士を発進させないと、『イーグル』号の射程距離に入られてしまいますわよ?」

 その言葉で、貴族派連合空軍旗艦『レキシントン』艦長ヘンリー・ボーウッドは、ようやく我に返った。
 そして自他共に許す“空の男”たる自分が、首領の秘書とはいえ、女一匹ごときに、状況を指摘されたという、羞恥心さえも同時に回復する。
「全竜騎士を発進させいっ!! 生き残った他の艦にも、竜騎士を出せと発光信号を送れっ!! 敵は一隻だ。デタラメに撃てば同士討ちの危険がある。それより竜騎士に任せて、敵艦の包囲を固めよとなっ!!」
 だが、シェフィールドは涼しい顔で口を挟む。
「的確な御指示ですわ。ですが、どうせならば艦砲射撃で竜騎士を援護なされても宜しいのでは?」

 ボーウッドの額に、青筋がはしる。
 だが、ボーウッドは、彼女に鋭い一瞥を投げただけで、何も言い返さなかった。
 ただ、戸惑ったような顔をして、艦長と議長秘書の女を交互に見返す連絡士官を怒鳴りつけただけだった。
「何をしておるっ!! 艦長の命令が聞こえなかったのかっ!?」
「はっ、はいっ!!」
 尻を蹴り飛ばされたような顔をして、連絡士官が、発光信号を担当する通信士たる風メイジ――信号に用いる『光』は、風系の“ライト”の魔法を使う――への伝声管に走る。

 この、相手を逆なでするような口を利く女と、これ以上会話したくなかった。それもある。
 だが、それ以上にボーウッドは、たった一隻の敵艦相手に、味方の竜騎士を撃ち落しかねない攻撃を仕掛ける危険は避けるべきだ。――そう判断したのだ。
 奇襲部隊たる四個艦隊が、一瞬で全滅した。それは事実だ。だが、それでも当方には、二個艦隊――20隻以上の艦がいまだ健在だ。慌てる事は何も無い。
 ヘンリー・ボーウッドの瞳は、光を取り戻しつつあった。


「敵残存艦隊、後退して行きますっ!! いや……竜騎士ですっ、竜騎士の編隊が、こちらに向かってきますっ!! その数およそ、……三十騎っ!!」


 伝声管から響く、索敵班の悲鳴のような報告に、『イーグル』号の艦橋士官たちは蒼白になった。

 大艦巨砲主義では、艦載機による一撃離脱を防ぎ切れない。
 太平洋戦争によって確立されたこの概念は、戦史的に地球より遥かに以前から、軍事行動に航空戦力を投入してきたハルケギニアに於いて、すでに一種の常識であった。
 つまり、竜騎士による包囲攻撃を仕掛けられれば、どんな巨艦でも、袋叩きにされざるを得ない。
 ましてや『イーグル』号は、空賊船に身をやつすほどの艤装しか、艦に施してはいないのだ。三十騎もの竜騎士から、一斉に攻撃されれば、10分とは保たないだろう。

――あと少しで『ロイヤル・ソヴリン』を射程距離に捉える事が出来たものを……!!

 ウェールズは思わず舌打ちをしそうになるのを懸命にこらえる。
「でっ、殿下っ、どうなさいますっ!?」
 副官のパリーが、こちらを振り返る。
 どうするもクソも無い。
 マーヴェリー卿率いる地上部隊は、いまだ包囲網を突破し切っていない。
 今ここで沈められるわけには行かないのだ。

――奇襲部隊が、一瞬で壊滅したという貴族派の動揺をさらに利用し、残存艦隊が恐慌状態から脱しないうちに射程距離に入り、各個撃破を繰り返す事で、今度は敵艦隊の目を、逆に地上部隊から逸らす。

 それが、この作戦の戦術的骨子である。
 敵艦隊の目が地上部隊に向くのだけは、どうしても避けねばならない。何故なら、航空戦力からの艦砲射撃こそが、陸軍に対する最も有効な戦法だからだ。
 だから『イーグル』号としては、敵艦隊が恐慌状態から脱しないうちに、なんとしても敵旗艦たる『ロイヤル・ソヴリン』=『レキシントン』を墜としてしまいたかったのだ。

『イーグル』号は敵旗艦を墜とし、敵の恐慌状態を維持する。
 地上部隊は、“ブイスリー”を鏃(やじり)として中央突破を敢行し、敵の恐慌状態を維持する。
 何より重要なのは、敵の混乱を収束させない事。そして、陸・空による連携を絶対に取らせない事。
 それが出来なければ、王党派としては敗北するしかないのだ。

 ハッキリ言って、策としてはムチャクチャもいいところだ。何といっても、敵の総数五万に対し、こっちは三百しか手勢を持っていないのだから。
 幸い、現段階では作戦は上手くいっていた。しかし、もし今『イーグル』号が沈めば、敵艦隊の目は、たちまち地上部隊に向くだろう。
 そうなったら、王党派は潰滅するしかない。

 だが、まだ方策が無いわけではない。
 そもそも、混乱を利用すると言えば聞こえはいいが、いつ敵が冷静さを取り戻すか知れない以上、最悪の場合の対応策を立案しないほど、ウェールズは間抜けではない。
 彼は全艦直通の伝声管を握り締めた。
――ためらいがあるとすれば、この作戦は、かなり破れかぶれな色合いが濃く、かなりの数の部下を危険に晒してしまうことだ。だが、……それでもやるしかない。


「全艦に通達! 航海班と砲兵科を残し、総員、白兵戦用意っ!!」
 ウェールズはそう叫ぶと、パリーを振り返った。
「艦の指揮は任せる。ヴァリエール嬢に傷一つ付けるわけにはいかん。『イーグル号』はこのまま竜騎士隊を引き付けよ。最悪の場合、暗礁空域に避難しても構わん。――絶対に艦を沈めるな」
 はっ!! とパリーが直立不動の軍礼を返す。
 そして、ウェールズは伝声管を握ると、再度声を張り上げた。
「繰り返すっ!! 総員、白兵戦用意!! 準備の整った者から、急ぎ出撃せよ!! 目標は敵旗艦『ロイヤル・ソヴリン』!! 戦闘指揮は、このウェールズが執る!!」

「子爵さまっ、一体、どういう事っ!?」
 軍事に疎いルイズには、いまのウェールズの指示の意味が、よく理解できない。理解出来たのは、自分を守るために『イーグル』号を避難させるといった一節だけだ。
 そんなルイズに、ワルドは、こともなげに答える。

「斬り込むのさ。“フライ”で直接、敵のフネにね」

 ルイズは、絶句した。
「本気、なの……!?」
「悪い策ではない。逃げ回る『イーグル』号を囮として竜騎士を引き付け、その間に直接、敵の旗艦を攻め落とす。――もし上手くいけば、いまの戦況を引っくり返せる」
「上手くいけばって、……上手くいくの……?」
「分かるものか」
 とは、ワルドは言わなかった。
 ただ、彼はウェールズを振り返り、こう言っただけだった。
「ウェールズ殿下、わたしもお供させていただけましょうな?」



「ぷはっ、――まったく、ひどい目にあったよ」
 泥まみれになって、地面から這い出してきたギーシュは呟いた。
 ニューカッスル城まで、あと少しというところだったのに、何でこんな……!!
 その瞬間だった。
 眼前にいた、身長2メイル以上の巨躯を持つ豚面の怪物と、ばっちり目が合ってしまったのは。


「――ぶひ?」


 おっ、おっ、おっ、オーク鬼……!? 何で、こんなところにオーク鬼が、こんなにたくさん!?
 いや、怪物はその一匹だけではない。
 気がつけば、周囲ぐるりを、二十匹以上のオーク鬼たちが取り囲み、突如、地下から出現した自分たちを、呆気に取られた表情で見ている。
 そのときになって、ようやくギーシュは思い出した。
 アルビオン北部の高地地帯には、野生の幻獣のみならず、種々の亜人が数多く棲息しており、戦時ともなれば、血と戦闘を好んで、自ら参戦を志願してくる、と。
(つまりこいつら、……敵?)

 才人がぼそりと呟く声が聞こえた。
「どうやら、本当にひどい目に遭うのは、これからみたいだな」
 同時に、彼が、背中のデルフリンガーとかいう長剣を引き抜く音も。

「わっ、わわっ、ワルキューレっ!!」
 ギーシュが薔薇をかたどった杖を振るい、タバサもキュルケも、問答無用で眼前の亜人たちに攻撃を仕掛ける。
「ぶひぃっ、ぶひひひぶひゅひゅう!!」
 オークたちが火だるまに、あるいは氷の矢に串刺しにされて斃れるが、無論、疲労困憊の彼らの魔法だけで、周囲全てのオーク兵が怯むわけも無い。

「きゅいきゅいきゅい~~~~~~!!」
 いまだに地面から完全に出られず、ジタバタしているシルフィードに襲い掛からんとしていたオーク鬼を、才人は背中から斬り付け、彼女を引っ張り上げようと、その手を握る。

「シルフィ、はやく竜に戻って!! 空に逃げなきゃ殺されちゃうわっ!!」

 そう叫ぶキュルケを、ギーシュは反射的に振り返った。
 冗談じゃない、このオーク鬼の部隊の向こうには、貴族派の正規軍が五万といるんだぞ!?
 そんな中で、背中に四人も乗っけた風竜が逃げられるものか!! たちまち弓矢や魔法で攻撃をかけられて、ヴァルハラ行きだ。
 降伏だよ、降伏!! それ以外にこの場を生き延びる道が在るもんか!!
……という言葉が頭に浮かんだが、ギーシュはそれを口にしなかった。
 血に飢えたオーク鬼に、降伏という言葉は通じない。そのくらいの常識は、彼にもあったからだ。

 その時だった。
 オーク鬼たちが、不意にその動きを止めたのは。

「え?」
 目をぱちくりさせるギーシュ。
 いや、動きを止めただけではない。
 自分たちを包囲していた全てのオークが、いきなり背を向け、何事も無かったようにぞろぞろと、移動し始めたのだ。
 ある意味壮観な眺めであったが、あまりにも不可解な現実に、ギーシュはへたり込む事さえ忘れてしまう。
「ちょっと、なに? なに? なに? なに!? どういうこと!?」
 キュルケが、やはり素っ頓狂な声を上げているが、その疑問に答えられる者は、当のオーク鬼だけだ。そんなに知りたきゃキュルケ、ぼくの代わりに訊きに行ってくれよと、ギーシュは言いたかったが、言ったあとでキュルケに殴られそうなのでやめておいた。

「大丈夫か? ――ったく、こんな子供を戦場に連れてくるなんて、ロクな世界じゃねえな、まったく……」

 聞き覚えのある声であった。
 いや、いかにギーシュといえど、どうしてその特徴的な錆びた声を忘れられようか!?
 平民のクセに、貴族を貴族とも思わぬ態度をとる、目付きの悪いエラそうな男。
 それでいて、自分たちのアルビオン上陸を、文字通り身体を張って援護してくれた男。

「かっ、風見さんっっ!!」
 才人が、泣きそうな声を出して、突然現れた、黒革の上下に身を包んだ男にすがりつく。
「生きてたんだねっ!! よかったっ、よかったっ、……本当に、……よかっ……!!」
 どうやら彼は、感極まって涙まで流し始めたらしい。
 いや、アルビオン上陸時の、才人の死にそうな顔色を思い出せば、無理も無いだろう。
 そう思って、ギーシュは我知らず頬をほころばせた。
――だが、

「ええっと、失礼だが、……どこかで会ったかな?」

「え……?」
 きょとんとした顔で、才人が風見を見上げる。
 いや、才人だけではない。
「……ちょっと、何ふざけてんのよカザミ? あんたそんなキャラじゃないでしょう?」
 キュルケも、タバサも、何を言われたのか理解できない顔をしている。
 いや、困った顔をしているのは、当の風見も同じだ。その目にはむしろ、この場の誰よりも当惑しているような光さえ浮かんでいる。
 自分たちを見て、そんな顔色を見せる風見に、才人は激しい衝撃を受けた。
「風見さん、何言ってるんだよっ!? おれだよっ、あんたと同じく日本からルイズに召喚された、ガンダールヴの平賀才人だよっ!!」

 その途端、風見の目が鋭く光り、ややあって、事情を納得したような、そんな笑みが彼の口元に浮かんだ。
「なるほど、そういうことか。なら……人違いだ」

 優しく笑いながら、だが風見は確実な拒絶の意味を込めて、才人をぐいっと自分から引き離し、右手の皮手袋を外した。
 才人は、いや、キュルケもタバサも、ギーシュも呆然と立ち尽くしている。
 この男はいま、人違いと言った。それが一体どういう意味なのか、いや、そもそも風見が一体何を言おうとしているのか、もはや少年少女たちには見当もつかなかったからだ。

「俺は確かに風見志郎だが、君の言うガンダールヴの風見じゃない」

 その瞬間、風見の右手が光り始めた。
「あっ!?」
 才人は思わず声を上げる。
 風見の右手で光を放つもの――それは、自分たちと同じく刻まれた、当代のハルケギニアでは、もはや使う者さえ無き古代ルーン文字……!!
 しかし、右手ではない! 自分と風見に刻まれたルーンは、右手ではなく左手だったはずだ!! それが何故……!?


「俺はヴィンダールヴ。ヴィンダールヴの風見志郎。心優しき神の笛――そう呼ばれた存在さ」


 ヴィンダールヴの風見志郎。
 正直そう言われたところで、才人たちには何のことだかサッパリ意味が分からない。
 分かる事があるとすれば、この妙に飄々とした“風見”は、本当に自分たちの知る風見志郎とは別人なのかという、漠然とした疑問が自分たちの心中に浮かんだという事だけだ。
 いわんや、彼の右手から放たれた、その光に支配された竜騎士の竜たちが、一斉に『イーグル』号から反転し、その背に乗せた騎士たちの手綱を全く無視して、旗艦たる『レキシントン』に襲い掛かっている事など、知る由も無かった。





「ぬうぅぅぅぅんっっ!!」

 眼前に現れた、貴族派とおぼしき年若いメイジ兵に、“ブイスリー”は、何のためらいも無く、手にした鉄柱を叩きつける。
「ひいぃっっ!!」
 彼らは悲鳴を上げて、杖を放り出し、恐怖のあまり逃げる事さえ思いつかない。“ブイスリー”の攻撃が速過ぎて、思考が身体についていかないのだ。
 これまでも、今までもそうしてきたように。ただ敵意だけで人を殺す。その動作の一つを機械的に繰り返し、次の瞬間には、この哀れなメイジ兵は原形を留めぬ無残な屍と化す。
――はずだった。

「っ!?」

 音がしなかった。
 手応えも無かった。
 だから一瞬、“ブイスリー”には、何が起こったのか分からなかった。
 凄まじい威力と速度を以って振るわれた死神の“棍棒”は、それと同次元のパワーによって受け止められていたのだ。――それも、片手で。
 無論、腰を抜かして、自らが排出した尿溜まりにへたり込んでいる、若きメイジの仕業ではない。

「そこまでだ」

 あまりに巨大すぎる“ブイスリー”の鉄柱。その凶悪なサイズは、それを受け止めた男の姿が、鉄柱の陰にすっぽり隠れてしまうほどだ。
 だが、姿さえ判別できない男の、その呟きは、王党派・貴族派問わず、周囲にいる全ての者たちの動きを封じた。

「貴様、何者だ……!?」

 その声の威に服さなかった唯一の者は“ブイスリー”のみだったと言っていい。
 だが、その誰何の声が震えを帯びるのは、彼の心を、別種の衝撃が捉えていたからだ。
(俺と、同じ声……だと!?)
 そして、鉄柱の陰から姿を現した、その男。

「なっ!?」
「――ばっ、ばかなっ!?」

 不気味に輝くルーンを額に刻み込み、1t近い質量を片腕一本で抑え込んだ男の姿は、その声に動きを封じられていた周囲の兵たちから、さらに驚愕の声を上げさせた。
 赤い仮面、緑の複眼、白い手袋――。



「自分の声に聞き覚えが無いのか?」



 そこには、“ブイスリー”と全く同じボディを持った、奇妙な亜人が立っていた。

 いまここに、ガンダールヴを除いた、すべてのV3が、一つの戦場に集結したのである。

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