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  • ゼロのエルクゥ - 18a

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのエルクゥ - 18a

最終更新:2008年05月29日 13:48

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  • ゼロのエルクゥ


「……あの」
「なんだい?」

 ちーちちち……と小鳥の囀りが響き渡る昼下がりの陽光の中を、二人は馬車でゆったりと進んでいた。
 御者台で手綱を引いているのは、草色の髪を風に揺らすマチルダ。後ろに乗っているのは、物珍しい漆黒の髪を同じく風に流す楓だった。

「本当に、良かったのですか?」
「いいって言っただろ? 元々少しの骨休めのつもりだったんだし、どうせトリスタニアぐらいまでは行かなくちゃいけなかったんだしね。ついでさ、ついで」

 かっぽかっぽ、という蹄の音が、なんともうららかな風景であった。

「ま、それに、あの子があんなに必死に頼み事をするなんて、初めてだったからね」

 苦笑とからかいが半々に混じり合ったようなマチルダの言葉に、楓は少し頬が熱くなってしまう。
 それは、昨夜、その『あの子』と友人の契りを交わした後の事だ。

『マチルダ姉さん、お願い! カエデさんを恋人さんのところまで案内してあげて!』

 魔法学院には戻れない事を言うに言えず、承諾させられてしまった。
 先ほどまで馬車に揺られながら、『学院長のセクハラに耐え切れず放り出してきたから戻るのはバツが悪い』というある意味真実な事情を楓に話したところだ。

「人の事情も知らないで無茶言うんだから、まったく……」

 当の魔法学院でフーケ扱いされていないという事実はトリスタニアで情報を集めた時に知る事になるのだが、今はそうぼやくしかない。
 しかしその言葉は、呆れと共に確かな慈愛が感じられるものだった。

「……すいません」
「別にあんたが謝る事じゃないさ。逆に感謝してるぐらいだよ」
「えっ?」
「良くも悪くも他人の事ばっか気にして生きてきたあの子が、少しでもワガママ言えるようになったって事だからね。大進歩さ」
「マチルダさん……」
「はは。私がこんな事言ってたなんて、テファには言わないどくれよ?」
「はい」

 微笑み合う二人を乗せた馬車は街道を外れていく。

「道を外れていくみたいですけど、いいんですか?」
「ああ。急いで行きたいんだろ? 明日の夜はスヴェルの月夜って言ってね。二つの月が重なるんだ。そして、アルビオンが一番ハルケギニアに近付くのがその翌日なのさ。船乗り達は風石を節約するために、ここ数日辺りはあんまり船を出さないんだよ」
「ふうせき?」

 マチルダは首を傾げた楓に、彼女はハルケギニアの外から呼ばれたらしいという妹の説明を思い出した。

「風の魔法の力が篭った石でね。ものを浮かしたりする力があるんだ。それを使って、船を空に飛ばすんだよ」

 その説明に、燃料のようなものかな、と楓は納得した。なるほど輸送業にとって燃料代は大事な問題だろう。

「ありがとうございます。魔法の事はよく知らなくて」
「遠くから来たって話だけど、そこには魔法がないのかい?」
「はい。物語や、空想のお話の中だけの存在でした」
「ふぅん……」

 馬車はどんどんと道から遠のき、荒れた地を進む。ごろごろ転がっている大きめの石に車輪が取られ、揺れが酷くなる。
 マチルダが舌打ちしながら小さなタクトのようなものを振るうと、揺れが少なくなった。

「歩くならいいけど、馬車で通るのは億劫だねえ。まあ、モグリだからしょうがないか」

 口振りからすると、魔法で道をならしたらしい。
 それよりも楓には、マチルダの言葉の中の一つが気になった。

「モグリ?」
「ああ。今向かってるのは、モグリの竜籠屋さ。値段は張るけど、対応の速さは信頼できるとこだよ。……ああ、竜籠ってのは、風竜の手に人が乗る座席を持たせた乗り物の事。竜が目立つもんだから、街ん中には作れないんだ」

 楓は、時代劇で見るような『籠』を思い浮かべて、納得した。

「驚かないんだね」
「……そういうのを否定する気はありません」
「そういうのを利用するマチルダ姉さんは、もしかしたら、このままあんたをさらって遊郭に売り飛ばしちまうかもしれないよ?」
「あなたの……ティファニアさんに対する思いを、信じていますから」
「……やれやれ。テファもとんだ奴をお友達にしちまったもんだ」

 降参、とマチルダは両手をあげた。

§

 夕方頃に到着したその竜籠屋というのは、地下に作られていた。
 容易には発見できないようにカモフラージュされた入り口をマチルダは難なく開け、地下に下りていくと、大きな空間が広がった。
 鍾乳洞のような洞窟だった。それも、かなり大きなもの。少なくとも数十メートルの高さはあるその中に、何頭もの大きな竜が羽を休めていた。
 奥には、浮遊大陸の側面に開いていると思われる外に続く大穴があり、雲が垣間見える真っ青な光景が覗いている。
 耕一が見ていたアニメの、ロボットが発着する為の格納庫というかカタパルトというか……そんなものを思い出させた。
 マチルダが近くにいた男に二、三言話し掛けると、竜籠はすぐに用意された。
 座席を広くした観覧車のような『籠』に乗り込むと、器用に竜の足がそれを掴み、大穴からその翼をはためかせた。

「…………すごい」

 籠には、四方に窓がつけられていた。後ろを見ると、雲が高速で流れ、巨大な岩の塊のような陸地が、みるみる遠ざかっていくのが見える。
 一度、耕一のところに行くとき、能登から飛行機で羽田まで行った事がある。その離陸時に見た地上が遠ざかっていく速度と比べても、遜色ないように感じられた。
 そうして半日ほど飛んだだろうか。夕方から夜を通り越して早朝と呼べる時間に、竜籠は地上へと降り立った。
 そこは、ダングルテールと呼ばれるトリステインの辺境一帯の山中だという。あまり人の住んでいない地域らしく、裏組織のアジトなんかが多いらしい。
 そこからさらに乗用の風竜と御者を一騎チャーターし、首都トリスタニアまで一日。この世界の金銭感覚がわからない楓でも値段が張る事ぐらいは理解できたが、マチルダは自分の為でもあるから気にするなと言うだけだった。
 『土くれ』のフーケ包囲の為の検問が怖い故に陸路を使わないというのがその理由だった。今こうして風竜で飛んでいる際にも、直線では向かわず、巡視をかいくぐるようなルートを通っている。
 これまでと違って魔法学院では、束ねた髪と伊達メガネで誤魔化していたとはいえ、自分の顔を多くのメイジに晒している。少し腕の立つ土メイジなら、覚えた顔の人相書きを作る事ぐらいは十分可能だ。
 さすがに何百枚も作るのは金も骨も折れる作業だろうが、あの魔法学院から宝物を盗み出したのだ。面子を何よりも気にする貴族連中の事、数日経てば国中に手配書が行き渡ると考えるのは妥当な判断と言えるだろう。
 結論から言えばそれは杞憂だったのだが、そのおかげで通常三日はかかる道程を一日で踏破できたのだから、楓にとっては幸運だった。
 そして、一つに重なった大小蒼紅の双子月が煌々と照らす夜を過ぎ、徐々に空が明るみ始めた早朝。それまで地上に垣間見えていた小さな集落ではなく、外れに大きな宮殿を構えた立派な街並が見えてくる。トリステイン王国首都、トリスタニアであった。
 正面門ではなくその裏手に降り立った風竜は二人を降ろし、そそくさと飛び去っていく。

「正面門から出てすぐの交差を西にいけば魔法学院さ。私はこれ以上ついていけないけど、ま、うまくやりなよ」
「はい。本当にありがとうございます」
「落ち着いたら、コーイチ君を連れてテファのところに顔を出しておあげ。きっと喜ぶだろうからね」

 そう笑い、楓に宿代と馬の賃料だと言って金貨の詰まった袋を渡すと、マチルダはばさっとフードを目深に被り、足音無く朝もやの中に消えていった。
 楓はもう一度マチルダの消えた方向に向かって深く頭を下げ、街の外周を回って正面門へ辿り着くと―――そのまま自らの二本の足で走り出し、馬と見紛うようなスピードで街道沿いに西へと向かい始めた。

§

 そこに到着した頃には、気持ちの良い朝の空が広がっていた。
 高い城壁。立ち並ぶ塔。まさに中世ファンタジーという趣のトリステイン魔法学院は、既に活動を始めているようだった。

「……耕一さん」

 城壁の外から塔を見上げながら、その存在を感じてみる。

「…………?」

 なんとなく、遠い感じがした。すぐそこの建物にいるというのに、以前と変わらないぐらいの、おぼろげな存在感。
 異世界故の精神ネットワークの異常だろうか、と不安を抱えながらも、楓は正門に立っている衛兵に、マチルダに教えられた通りの言葉をかけた。

「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢に面会をしにきました。カシワギカエデ、と言えばわかると思います」

 少し眠たげな顔をした衛兵が少々お待ちください、と詰め所に声をかけると、使いらしき別の衛兵が学院内に走っていくのが見えた。

「申し訳ありません。ヴァリエール嬢は外出中らしく、現在学院にはいらっしゃらないとの事です」

 しばらくして戻ってきた衛兵は、戸惑った顔を隠さずにそう告げた。
 楓は軽く途方に暮れかけるが、目的がここにある事は間違いない。このまま退散する道理はなかった。

「……どこに行ったとか、いつ頃戻るとかは わかりますか?」
「いえ、そこまでは……」
「……そうですか」

 言葉を濁す衛兵に、楓は落胆を隠せなかった。
 これからどうしようか、と正門から中央にそびえる巨大な塔を何ともなしに見上げる。マチルダの話によると、あの中に男子寮、職員寮、食堂、浴場、図書館、宝物庫等々主要な施設が詰まっているそうだ。大きいはずである。
 そんな楓の視界に入る朝の光が、さっと何かに遮られた。

「あなたが、ミス・カシワギ?」
「……あなたは?」

 それは、背の高い女性だった。燃え盛る炎のような、軽くウェーブがかった長い赤の髪が、よく陽に焼けた艶やかな肌にまとわりついている。
 ボタンを意図的に外しているらしいブラウスからは、豊満な谷間が覗いている。自分か初音と同じぐらい線の細い体に不似合いな爆弾がくっついているティファニアと比べると、体のバランス自体は非常に健康的なものだった。というかむしろアレが異常すぎるのだ。

「私はキュルケ。キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーよ。お見知りおきを」

 長い。長い上に、なんだかそこらじゅうからそれらしい名前をちぐはぐにくっつけたような、不思議な名前だった。

「……柏木楓です。あの」
「ええ。存じておりますわ、ミス・カシワギ。あなたが用があるのは、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールではなく、その使い魔。コーイチ・カシワギなのでしょう?」

 余裕綽々、という言葉を体現したかのような微笑みで言葉を続ける、キュルケと名乗った女性。

「…………」

 楓は、事情を知っている人に会えたという僥倖に喜ぶよりも、警戒心を先に持った。
 鋭く細められる楓の瞳に、キュルケはどこか懐かしいものを見るように目を細め、そのままさっと頭を下げる。

「ごめんなさいね、そう身構えないで。さっきそこの衛兵に話を聞いて、ちょっとお話したいと思っただけなのよ」
「……あなたは……?」
「うふふ。あなたの恋敵、ですわ」
「っ!?」

 ばさぁっ、と髪をかきあげて、キュルケは余裕の笑みを妖艶なそれに変えて再び笑った。

§

 キュルケに連れてこられたのは、城壁にある小さな塔の一つだった。
 そこは女子生徒の寮らしい。しかし案内された一室は、『寮』と呼ぶにはいささか豪華な部屋だった。部屋は広く、家具には豪奢な飾りがつき、なんと大きな浴槽がでんと一つ置かれている。どこからか、ふんわりと香水の香りが漂っていた。

「お掛けになって」

 楓は警戒を緩めないまま、手近にあった椅子に腰を下ろす。

「さて、これからちょっとお話を聞きたいと思うのだけど……その前に」

 キュルケはベッドに腰かけ、男を誘うような仕草で脚を組んだ。

「あなたは、どうやってここまで来られたの?」
「どうやって……?」
「彼は、とても遠くから来たと聞いているわ。とても歩いていけないようなところからと。さて、彼と同じ名前をもつあなたは、一体どこからいらしたのかしら?」
「…………」

 話すべきだろうか、と迷った。キュルケは何かしら事情を知っているようだが、その意図が読めない。『話を聞きたい』などというのは理由になっていないし、何より……恋敵、という言葉だ。
 耕一が浮気をしているなどとは思わないが、目の前の女性から漂う色気を間近に見ると、一抹の不安を覚えてしまうのも仕方のない事であっただろう。
 ただスタイルがいいだけではなく、それを最大限に活かして男を誘う術を身につけている。そんな雰囲気を纏っていた。

「ああ、あまり深い意味は無いの。実はこの近くに住んでいたのか、本当に遠くから彼を探しにきたのか、その程度でいいのよ」
「……?」

 まだ意図が掴めず、首を傾げて先を促す楓。

「残念ながら、ヴァリエールとコーイチは、本当にどこかに出かけていていないの。彼を探してここまで旅をしてこられた、というなら、帰ってくるまで泊まるところが必要でしょう?」
「……そう、ですね」
「お話を聞く代価として、私のお客様として学院の客室に部屋を用意してあげようと思っただけなのよ。タダで人を動かそうなんて、ゲルマニアの誇りに傷がつきますもの」

 帝政ゲルマニア。トリステインの東に位置する、始祖を縁とする古い王権から独立した新興国家。
 貴族ではなく商人の国、とも揶揄されているぐらいの、実力(拝金)主義の国だと、道行く雑談でマチルダが言っていた。魔法の使えない平民でも、お金で領地を買えば貴族として扱われるとか。
 つまりは、これも取引、という事だろうか。しかし、恋敵、と称した自分の話にそこまでする価値があるとは思えなかった。自分という恋人から耕一自身の話を聞いて、簒奪の参考にするとか、そういう事だろうか?

「どうかしら?」

 なんだかやりかねない雰囲気の女性ではあるが、確信は持てなかった。小さな頃から耕一一筋だった自分には、色恋の駆け引きなんて全く経験がないのだ。
 それに……そういう方向に考えが向くように、わざわざ女の自分相手に色気を振りまいているようなフシが無いわけでもない。
 おいしい話には裏がある。が、その『裏』を看破する事は、楓にはまだ出来なかった。

「……あなたは、なぜ私から話を聞きたいのですか?」

 だから、聞いてみる事にした。どうせ交渉なんて出来ないのなら、真正面からぶつかるしかない。
 ……なんだか、ティファニアの時にも同じような事を思ったような気がする。元の世界に戻ったら少しは人見知りを直そう、と密かに決意した。

「興味があるから、じゃダメかしら?」
「……何に、興味を?」
「色々、よ。彼の事も、あなたの事も、故郷の遠いところっていうのも。私の二つ名は『微熱』。好奇心という微熱から、身を焦がすような情熱は生まれますの」
「好奇心?」
「そう。本当に単純な興味よ。未知の場所から召喚された未知の異邦人。興味がないなんて言ったらゲルマニア貴族の名がすたるってものですわ」

 腐った伝統を廃し、革新を取り入れ、ゲルマニアは力を付けてきたのだから、とキュルケは笑った。
 それは、おそらく嘘ではない。しかし……全てを語っているとは到底思えなかった。

「……では、恋敵、というのは?」
「あら、鋭いのね」

 キュルケは笑みを崩さない。楓は知らず、眉を寄せて睨みつけてしまう。

「そう怖い顔をしないで。そうね、素敵な殿方でしたから一度誘ってはみたのですけど、恋人がいるからってすげなく断られてしまいましたのよ。さて、奪い取るのも悪くはないかなって思ってたんですけれども……」

 じっと、眉を寄せた楓を見つめて。

「身を引きますわ。勝てない戦はしない主義ですの」

 そう、にっこりと笑った。

「…………」

 その明け透け過ぎる笑顔に、楓は呆気に取られてしまった。
 絶妙な距離で纏わりつくように思わせぶりな事を言っていると思ったら、あっという間に手の届かないところまで一直線に退却。なんとも自由奔放だった。

「ふふ。奪うのも奪われるのも世の常と思っていますけれど、誰かの『一番』には手を出さないようにしてますの。さ、お返事を聞かせてくださる?」

 キュルケの邪気の無い笑顔に、楓は知らず張っていた肩をそっと下ろした。
 なんというか……言葉で抵抗しても無駄、という気がした。どれほどの向かい風を与えても平気な……いや、向かい風を吹かせれば吹かせるほど、煽られて燃え上がる炎を相手にしているような。

「……わかりました。お言葉に甘えさせていただきます。ありがとうございます」
「いいのよ。ギブアンドテイクですもの」

 キュルケは、まるで理想の男を口説き落としたかのような笑顔で、にっこりと笑った。

「さて、お返事がそうという事は、本当に遠くからいらっしゃったのかしら?」
「はい。おそらくこのハルケギニアとは別の世界から、ある人の唱えた召喚魔法に便乗してやってきました」
「……はい?」

 それまで常に余裕を保っていたキュルケの眼が点になる。楓は少しだけ溜飲が下がり、小さく微笑みを浮かべた。

§

「……本当の未知っていうのは、未知である事すら未知、って事なのねぇ」

 楓の話を全て聞き終えたキュルケは、肩を揉み解しながら一言だけぼやいた。
 彼と彼女は、魔法の存在しない月が一つの別の世界から来たという事。
 精神感応能力で召喚ゲートの波動を感じ取り、それに乗ってきた事。
 この学院に耕一らしき人物が使い魔として召喚されたことを聞き、訪れた事……。

「自分で言うのもなんですが、信じるとは思いませんでした」
「それが全部嘘だとして、誰が得をするのよ?」
「……さっき散々あなたにやり込められた私が、あなたの驚く顔を見て」

 真偽は利害で見抜ける。そう言い切らんばかりのキュルケの声に、楓は少し悪戯っぽい声を出した。
 話すがら、この人は取引だと言いながら、実のところ善意で協力してくれているのだとわかったから。

「あっはっは! そりゃ一本取られたわね!」

 笑い転げるキュルケに、騙されたという感じは見受けられない。

「ま、事情はわかったわ。というわけで、ルイズ達が帰ってくるまで、あなたは私のお客様。好きなだけここにいてくれていいから」
「ありがとうございます」
「いいのよ。それじゃ、適当な空き部屋貸してもらえるように言っておくわね」

 楓はもう一度頭を下げた。思えばこの世界に来て以来、人の善意に甘えてばかりだ。
 素性が不明な自分の面倒を見てくれたティファニア。
 その頼みでここまで案内してくれたマチルダ。
 事情を知って(本人は取引だと嘯いてはいるが)協力してくれるキュルケ。
 もし自由に会う事が出来るのなら、友人として付き合いたいと思う人達ばかりだ。
 でも、帰らなくてはならない。大切な姉妹達を放っておくわけにはいかないのだから。
 ……相談もなく勝手にこっちに来てしまった自分が言える事じゃないのかもしれないけど。

「ふぅ……」

 主が出ていった部屋は、どこか寂しげだった。
 手持ちぶさたに窓の外を眺めながら、ため息を一つ。

「……耕一さん」

 耕一とその主人が何処に出かけたか、誰も知らないらしい。
 公休扱いになっている事から学院長の許可は得てあるようだけど、それ以上の事はわからない、とキュルケは話してくれた。
 一昨日の朝、朝早く馬に乗って出かけていくところは見ていたという。こんな事なら後を追っかけておくんだったわ。あぁ、でもそうしたらカエデと会えなかったわね。などとわざとらしく肩を竦めていたキュルケを思い出し、楓は微笑みを浮かべた。

 ―――そして、それは急激に訪れた。

「あ、ぐうっ!?」

 がくん、と楓の体が波打ち、椅子から投げ出され、床にくずおれた。

「あ、あ、あ、あ……っ!」

 例えるなら、ドアノブを握って静電気が火花を散らしたショックの万倍のそれが、体の中心を貫いたような、途方もない衝撃。
 それは、以前にも感じたことのある物だった。

「こ、耕一さん、耕一さん、耕一さんっ!!」

 そう、それは―――『エルクゥ』が覚醒した時の、悦びの咆哮。
 一年前、千鶴の鬼氣を受けて目覚めさせられた耕一の鬼が顕現した時と同じ―――いや、その何倍、何十倍もの衝撃と、激情。
 どんな距離も無意味に、世界中に響き渡る怨嗟。同じエルクゥであれば、否応無く叩きつけられる衝動。
 それは、遥か記憶の彼方、次郎衛門がエディフェルを看取った際のそれに似ていて……。

「だ、ダメえっ! 耕一さあんっ!!!」
「カ、カエデっ!? どうしたのっ!?」

 楓が叫んだ瞬間、ドアが開き、慌てた様子のキュルケともう一人、小柄な女の子が部屋に走り込んでくる。

「耕一さんが、耕一さんがっ!」
「ど、どうしたのよ? コーイチがどうしたの? あのテレパシーってやつなの?」

 楓の性格を、だいぶマシとはいえタバサのそれと同類と見ていたキュルケは、その今にも泣きそうな必死の表情に面食らっていた。
 届けられる慟哭。直接楓に向けられているわけではなく、ただ全てに振りまいているだけの波紋でありながら、その場所まで特定できそうなぐらいに強いそれは、楓を強く焦燥に駆り立てていた。

「あ、アルビオン……!?」
「アルビオン? アルビオンがどうしたの? もしかして、アルビオンにいるっていうの?」

 感じ取ったその場所は、楓が最初に降り立った場所……アルビオンの方向だった。

「う、あ、ああっ……!」
「ほら、しっかりなさいっ!! 何か異変が起こってるなら、助けに行かなきゃいけないでしょっ!?」
「っ!? あ……?」

 キュルケの一喝に、楓の瞳に理性の光が戻る。

「落ち着いた?」
「は、はい」
「そう。それで、ルイズ達はアルビオンにいるのね?」

 楓は、ためらいがちに頷いた。

「あなたが行って、どうにかなりそうなの?」
「……わかりません。でも」

 耕一が、『エルクゥ』の力を解放した。
 自分は、その傍に行かなければならない。居なければならない。

「そ。タバサ?」

 言葉を続けなかった楓の目からその決意を読み取ったキュルケが、一緒に部屋に飛び込んできた少女に声をかける。その少女は無言で頷き、さらりとその蒼い髪を揺らした。
 タバサと呼ばれた少女は、指を口元に当て、ピィー、と甲高い口笛を鳴らす。

「行くわよ、カエデ!」
「え、ええっ!?」

 タバサが窓を開け、そのまま空中に向かって何のためらいもなくジャンプを敢行した。
 楓を抱きかかえたキュルケもそれに続く。
 何かを考える間もなく、三人の体は、思ったより遥かに小さな衝撃と共に着陸した。

「え……?」

 ばさあっ、と大きな翼が風を凪ぐ音。
 そこは見覚えがあった。つい数時間前まで乗っていたようなところ……風竜の背中だ。

「さあシルフィード! 目標アルビオン! 全速前進っ!」

 キュルケが空の向こうに向かってびしぃっと指を差し、タバサは無言で背びれに背を預け、本を広げて読み出した。
 三人を乗せた風竜、タバサの使い魔シルフィードは、きゅーい! と一鳴きして、ぐんぐんと空を昇っていった。


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