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  • あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ
  • 汝等、虚無の使い魔なり!-05

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

汝等、虚無の使い魔なり!-05

最終更新:2009年11月01日 00:48

匿名ユーザー

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  • 汝等、虚無の使い魔なり!


 窓に張り付き、荒い鼻息で窓の外をにらむ主殿。
 この主殿は危ない、と九朔は考えた。
 挑発とまる分かりの売り言葉に、後先考えずその場で簡単に乗ってしまう。
 侮辱と判断すれば噛み付き、侮蔑だと判断すれば噛み付き、不敬と判断すれば噛み付き……。
 とにかく少しでも主殿を侮辱すれば怒りを顕にする、はっきり言えば非常に幼稚な性格と言える。
 まるで扱いの難しい爆弾のよう、それも少しの揺れで簡単に起爆するくらいの。

「……主殿、落ち着いてくれ」
「何よ!」
「何よ、ではない。 もう少し落ち着くべきではないのか?」
「落ち着けるわけないでしょ! 平民なんかにあんな事言われて、黙っていられるもんですか!!」
「だからこそ落ち着かなければならぬだろうが。 主殿はいちいち言葉を額面通りに受け取り過ぎておる、聞き流す位の器量を持ってみてはどうだろうか」
「そんな事できないわ! 無礼な平民は確り躾けて……」
「確かに我らは爵位を持たぬ身、しかしながらこの地と我らが住まう地とはまったく持って違う、そこを考えて欲しい」

 平民が九割以上の世界の人間に、いきなり召喚されてこちらは貴族だから平伏しろと言われても早々納得は出来はしないだろう。

「もしかしたら我らは帰れないかも知れぬ、それを理解している紅朔は多少イラ付いているのだ」
「うっ、それは……その……」

 実際の紅朔は小旅行気分であろうが、ここは主殿の癇癪を抑えるために役立ってもらう。
 それを知らぬ主殿はもごもごと口の中で言葉を転がす、それは精一杯の努力であろう。
 主殿も多少は罪悪感を感じているようだった。

「難しいなら言わなくても良い、それだけでも十分に気持ちは伝わる」

 こういう性分、貴族としての在り方を叩き込まれているのだろう。
 言う通りに平民に下げる頭など持ち合わせていないにもかかわらず、謝ろうとする姿勢は悪くはない。

「主殿はなんと言われようとも聞き流す、いや、許してやれるような存在になって欲しい」
「……侮辱は許せないわ、誇り高き公爵家の……」
「その嘲笑が意味の無い物だと思えば良い」
「は?」
「言ったであろう? 主殿はおそらく虚無であると、呪文を知らずして虚無の魔法を使う事有らず。 主殿は永遠に魔法を使えぬ訳ではない、『今』魔法を使えぬだけであるとな」

 他の者は系統魔法の呪文を知っているだけ、主殿は伝説級の代物であるために容易に知れるものではない。

「事実を知らぬ者たちを、逆に笑ってやるぐらいの器量を持てばよい」

 そう続けて言った。

「……本当に、そう思ってるの?」
「そうとしか思えん、でなければ紅朔が主殿の魔法を使えない理由が立たない」
「そう……、なんだ」

 事実、紅朔はあの金髪少年貴族の血を取り込み、『土』の魔法を使った。
 ならば先の召喚の際、主殿の血を取り込んだ時から魔法が使えるようになっているはずだ。
 だが現実は使えない、主殿には血に宿っている魔法の力が無い、カケラさえ感じられない。

 その理由に実は主殿は貴族の子ではなかった、という可能性も考えたがすぐに捨てた。
 貴族の血が一切流れていないならば、魔法行使による爆発は起きるはずも無いし、そもそもサモンサーヴァントが成功するはずも無い。
 他にも実は主殿には人外の血が流れていた、と言うのも考えたがやはり違う。
 『人外』で有るからには人とは違う血が流れている、だが主殿の血はあの金髪少年貴族と基本構造が同じ、人間の血が流れている。

 他にも幾つかはあるが、どれもが現実的ではないか、違うと判断できる材料がある。
 であるからに、最も可能性が高い『虚無』の属性が浮かび上がる訳だ。
 伝説と言われるからには系統魔法とは源流が違うのかもしれない。
 血に流れる魔法の力が無ければ、根源である『魂』から魔法の力が生まれているのだろう。
 ……断定するには情報が足りなさ過ぎるが。
 不満を募らせベッドに座るルイズと、そう考えながら椅子に座る九朔。
 呪文が分かれば即詠唱、と言ったルイズのため、心構えや準備をするよう諭しておくことにした九朔は話を繰り出した。

「よもやこれから我等の魔術を目にする機会が増えるかも知れぬ故、主殿には感情の精練を学んで欲しい」
「……例えば?」
「怪異に対する耐性、精神的強度の上昇を狙いたい。 魔法の精度や威力にも精神は絡んでくるであろう?」
「まぁ……そうだけど」

 うーん、と唸り出す主殿。
 やはり地位も階位も無い、平民たる我に教わりたくないか。

「そ、そう言う訳じゃなくてね……。 ほら、あの……あれ、とか、また見て訳分からなくなりたくないし」
「確かに、だが主殿には僅かばかりだが耐性が出来ておろう。 おそらく次に見ても前後不覚には陥りはすまい」
「そうなの? それなら……」

 ショゴス程度の狂気ならば十分に人は対応できる、ある程度の才覚を有していれば『魔術師<マギウス>』になれるのだから。
 問題はさらに上を目指す時、三次元までしか対応できない人間が別次元の怪異を相手にする時だ。
 四次元、五次元の高位存在でありながら低い二次元などからも干渉が可能と言う異形たち。
 認識できない物を認識する必要がある為、それに耐え切る精神力が必要になる。
 常軌を逸した訓練を行ってさえも、耐え切れない者など山ほど居る。

 そう言った者の中から登り上がってくるのは才覚を有した、常人とは一線を画した人間。
 壊れにくい複雑な精神の構造をした者、高い強度を持つ精神防壁を張り巡らせれる者、あるいは狂いながらも正常な思考を可能とする矛盾した者。
 そこからさらに高みへと上り詰める者、強力な魔導書を手にすることが出来る者たちは皆『壊れている』と言っても過言ではない世界。
 己を破壊してまで上り詰めるのは一様にして、強大な力を持つ恐るべき異形のものどもに魅入られた者たち。
 異形の神の知識を得る為に、異形の神を滅ぼす為に、異形の神を復活させようとする為に。

 自分のために、他人のために、異形のために。
 どれにしても精神力が必要となるのだ。
 言葉通り折れぬ曲がらぬ擦り切れず、如何様な衝撃にも耐える強靭な精神。
 無論そのようなものたちに慣れるために厳しい訓練をするわけもなし、さすがに主殿にそこまで求めはしない。

「それで、訓練って何するのよ」
「精神統一、正なる感情と、負なる感情。 それを拒まず迎合し『一』つと出来た時には、主殿は一つ高みへと登れるであろう」
「よくわかんないけど、それで魔法が使いやすくなるのね?」
「正確には準備、と言うところであろうな」

 魔術を使うための準備、如何に精神が乱れ崩れていようとも即座に立て直す。
 怪異と戦うために必ずや必要になる、この世界では必要ないかも知れぬが。
 精神状態によって魔法の効果は増減するならば、精神の常に平安に保てば一定の効果を。
 感情を操る事が出来れば、さらなる効果が望めるだろう。
 どちらも行えるようになれば、魔法に良い結果を与えられると思われる。

「そうさな……、自身を律すると言うのが正しいか」
「律する、ね」
「うむ、感情を内に溜め、ここぞと言う時に爆発させる。 言うは易し、行うは難しと言った所だが」
「いうはやすし?」
「口で言うのは簡単だが、実際やるのは難しいと言う我が居た世界の教訓だ」
「……へんなの」
「口だけで目標が達せられるなら、人間は遥か高みへと進んでいるであろうな」

 なればこのような諺など生まれてはおるまい。

「……いや、話が逸れてきたか。 要は感情の制御、揺れぬ心を持って欲しいのだ。 つまり、先ほどの簡単な挑発に乗らぬような」
「……それで、結局はどうするのよ」
「我慢だ」
「……はぁ?」
「今の主に求められるのは耐える事」

 魔術師の訓練を行っても主殿は簡単に音を上げるだろう。
 ならば手堅く主殿だけで行える『我慢』から学んで欲しい。

「……なにそれ、なんかすごい事言ってる様に感じたけど、そんなの大した事無いじゃない」
「ふむ、本当に『大した事ではない』と?」
「あ、当たり前じゃない!」
「では、主殿の我慢が出来ている雄姿を、しかとこの目に焼き付けていただこう」

 そうしてその時からルイズが我慢する訓練が始まった。
 内容は簡単、侮辱されても『一言も反論しない』の一点。
 蹴ったり殴ったり、物理的な反論も禁止。
 それこそ睨むのも禁止にしようとした所に、ルイズの猛反発を食らった九朔。
 その猛反発を押さえ込むのも簡単ではあったが、訓練の締めに使う事にしたので今回は睨むのはありと決まる。

「では主殿、そろそろ夕餉の時間だ」
「分かってるわよ!」

 長い事話していたら、日はすでに落ち始めて窓の外の景色を真っ赤に染めていた。
 フンと鼻息を鳴らし、勢いよくドアを開け大股で部屋を出て行くルイズ。
 どう見ても躍起になっており、我慢くらい簡単にこなしてさっさと次の訓練に移ろうと言う魂胆が透けて見えていた。

「……我慢は難しいぞ、主殿」

 今のルイズは昔の、彼の両親と出会う前と似ていた。
 己に誇りを重ねて脆い鎧を作り、侮辱されれば烈火の如く怒りを滾らせる。
 他者の忠言でも耳に入れず、そんな事は無いと突っぱねる。

 堕ちる螺旋、誰かの手助けが無ければ堕ち続ける傾斜。
 九朔と紅朔、胎動する血肉と魔の断わり/理、己が己であるそれが壊れた時の悲しみ、虚脱、苦しみ。
 己が壊れる感覚、生涯最も二度も味わいたくない感情、それを味わってほしくは無い。

「届かぬかも知れぬ、だが届くかも知れぬ」

 抱擁する険悪、その現出に耐え切れるか。

「届いても、届かなくても支える心算? あれが生きている間、ずぅっとそばに居る心算?」

 その心配の最中窓の外から声、からかい外へと逃れていた紅朔が窓枠に座っていた。

「それが無い事位分かっておろう」
「私? それとも向こう?」
「どちらもだ」
「どうかしらね、向こうは分かっていないようよ?」

 紅朔が笑みを浮かべ、見つめる先はドア。
 そこに立つのはルイズ、表情は怒りか悲しみか、どちらとも付かない色を貼り付けていた。
 後を追ってこなかった我を引っ張りに戻ってきたのだろう。

「こんな能無しの小娘一人に関わらず、さっさと東へ向かえばいいじゃないの」
「なんですって!」
「ほら、もう忘れてる。 僅かばかりにさえ耐える事が出来ない貴女、それがどうして力を操れよう?」
「ッ……」

 紅朔の言葉に、やはりすぐ噛み付くルイズ。
 言われて気が付き、悔しそうに唇を噛んだ。

「貴女は力を持たない方が良いわ、持ってしまえばすぐにでもその身を滅ぼす。 それも周囲を巻き込んでね」

 断言するように言って、一瞬だけ険しい表情を作った紅朔は哂う。

「多分よ、多分だけどアカシック・レコードにも干渉を許される……。 いえ、許させている力がどれほどの物か理解していないでしょう? これは神域にさえ届く所業、もはや魔法と言えぬ神秘を貴女程度の人間が使いこなせると?」
「うるさい! あかなんとかよくわからない事言って、それが何だって言うのよ!」
「紅朔、もう止めておけ」
「物知らずの子供にやさぁーしく教えてあげてるだけじゃない、止める必要があるの?」

 やはり哂う。

「知りたいのでしょう? 虚無というものを、それがどれほど凄いのかを」
「あんたたちは別の世界の生き物なんでしょ! こっちに来てから三日も経ってないのに──」
「識っているわ、少なくとも貴女と同等にはね」
「なんで、どう言う事よ!」
「血は力、血は知識、血は命、体の隅々まで流れる生命の水は全てを識っている」

 故に、我らは『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』の全てを。
 喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、さらには記憶、言葉や行動の端々まで須らく識っている。

「な、ななな!?」
「貴女のあーんな事やこぉーんな事まで識ってるわよぉ」

 凄まじいほどにいやらしい笑みを浮かべる紅朔、それを見てルイズが顔を赤くし始めた。
 なにか恥ずかしい事を思い出しているのか、……真逆かあれとかか。

「紅朔! からかうのは止せ、いい加減に事を進めたい」
「あら、少し弄るだけでコロコロ変わるのが面白くて」
「くぬぅ! あんたね!」
「主殿も、このような挑発に一々……」
「アンタもし、ししし知って……」

 顔を赤くしたまま、ルイズは九朔を見た。

「……識っている」
「………」

 数秒、見つめ合った後にルイズは向きを変え、机へ歩を進める。
 歩き机の傍に寄り、引き出しからある物、鞭を取り出した。
 取り出してからも無言、また向きを変えて九朔へと歩み寄る。
 そうして。

「忘れろーーーー!!」

 と大きく杖を振りかぶり、九朔へと振り下ろす。
 当たれば痛い事間違いなし、それ所か皮膚が裂けたりしてもおかしくは無い。
 が、ルイズの身体能力で振るわれる鞭は、九朔からして見ればハエが止まるような遅さであり。
 その場から動かなかったり、自ら当たりに行かねば何度振ろうとも九朔に当たる事は無い。

「避けるな!」
「そんなものが当たればどうなるか分かっておろう!?」
「いいから忘れなさい! 避けるな! 当たれ!」

 当たっても怪我をするだけで記憶が無くなる訳が無い。
 だからこそ。

「!」
「駄目よね、本当に」

 ルイズが無闇矢鱈に振り回していた鞭が、足を止めた九朔の頬に当たった。
 破裂したような音とともに当たった衝撃でほんの僅かに九朔の髪が揺れ、その頬には赤い鞭の跡が付いていた。

「この事に付いては申し訳ないと思っている、必要の無い記憶は封じておくので寛大な容赦を」

 痛がる素振りを見せず、そうして膝を着いた。
 頭を垂れる、あるいは臣下の礼。
 トリステインの礼式とは違うそれでも、礼儀を象った物だと言うのがルイズには分かった。

「………」

 部屋に声は響かない、九朔は膝を着いて頭を垂れたまま。
 ルイズはそれを見下ろして立ったまま。
 紅朔は笑みを作ったまま、ただその光景を見つめている。

「………」

 ただ待っている、許そうと許すまいが九朔はルイズの声をただ待っている。

「……いいわ、許してあげる。 でも絶対に私の記憶は封じておく事、いいわね!」
「ご容赦、真に感恩の極み」
「あらあら、許しちゃうのねぇ。 許さなかったらそのまま出て行こうと思ったのだけど」

 助かっちゃったわねぇ、許してあげて。
 と肩を揺らしながらもクスクス哂う。
 その声を咎めず、九朔は立ち上がり口を開いた。

「それでは主殿に幾つか説明しておこう、先の『アカシック・レコード』に聞き覚えは無いであろう?」
「……無いけど」
「教える前に一つ、これは『おそらく』、『多分』と言った予想的な物に過ぎない。 言った事全てが事実ではないと覚えていてほしい」
「わかったわ、で。 あかしっくれこーどって何よ」
「ありとあらゆる出来事を記録している概念、と言った所か」
「ありとあらゆる?」
「ああ、どんな些細な事でも書き記された本だと思えば良い、普通は見る事も触れる事も出来ない物ではあるが」
「それで、その本がどうだってのよ」
「はぁ~? 本当に頭がないわよねぇ。 貴女、ちゃんと脳みそ入ってるの?」
「ッ……!」
「『ありとあらゆる』よ? 過去も現在も未来も、全ての事が書き記されているのよ? 話の内容、お嬢ちゃんはしっかりと理解できるんですかぁ~?」

 喉から出掛かった声を口元で押さえ、紅朔を睨むルイズ。
 紅朔は容赦無しに馬鹿にし始めていた。
 訓練になるために咎めず、先に進める。

「そう、『ありとあらゆる』だ」

 そうして左手の甲をルイズへと向ける九朔。

「このルーン、間違いなく特殊なものでもある。 通常の使い魔の印とは違い、限定的なアカシックレコードへのアクセス権限が込められている」
「……どう言った意味が?」
「とある項目、おそらくは『武器』についての閲覧権限であろう。 剣でも弓でも、武器と名付く物ならそれの最適な使用方法がこのルーンを付ける者に与えられる」
「知らない使い方も分かるって事?」
「うむ、これがただ身体能力の向上だけであったなら問題なかったのだがな」
「そうよねぇ、ただでさえ窮極とも言える知識の宝庫へのアクセス権利を、限定的にとは言え他人に付加させるんだから」

 やれやれ、と肩をすくめる紅朔。

「……何、そんなにすごいの?」

 その言葉に紅朔は大きくため息を、思い切りわざとらしく吐く。
 また一瞬で頭に怒りが上るが、相手にしていたら限が無いと気が付いたのか紅朔を見ないようにしたルイズ。

「何の力の無い者にでも、このルーンを刻み付ければ受動的にだが知識が与えられると言う事」
「それを刻み付けられる貴女は、区分の制限無しに閲覧できるかもしれない」
「全ての情報を収めた窮極の書、それこそ未来展望すら可能である」
「み、みらい……」
「そのような神々でしか触れ得ぬ物に、主殿は触れ得る可能性を持っていると心得た方が良いかと」
「神々……あ、どんな事でも載ってるのよね?」
「うむ」
「なら……」

 思いついた、そんな表情で顔を輝かせたルイズ。

「主殿がそこまで到れないかも知れぬので、過度の期待は寄せないほうが良いかと」
「……なら期待させるような言い方するんじゃないわよ!」
「それについても申し訳ない」

 おそらく主殿の姉、病気のカトレア殿の治療方法を知りたかったのだろう。

「まぁそれは良いわ、まずは魔法を使えるようにならないと……」
「確かに、全てはそれからであろう」
「お嬢ちゃんは能無しのままじゃ嫌だものねぇ~」
「………」

 主殿は紅朔に視線さえ向けず、そっぽを向く。
 だがこめかみには青筋が立っている、口や視線に出さないだけでかなり怒っているようだ。

「何事も一歩から、まずは足場を固めるほうが先決であろう。 主殿には張り切り過ぎずこなして欲しい」

 主殿は焦りが積もっている、我らが召喚された事で多少は緩和されているが。
 今現在もその他の魔法は成功していない、このまま魔法が使える状態が続けばまた解消した分以上に溜まってしまうだろう。
 フラストレーションが長きに渡って続いている以上、精神に異常をきたす可能性もある。
 主殿が怒りやすいのもおそらくそれの諸症状の一つ、上手く怒りで発散させているようではないし、むしろ悪い方向に向かっている可能性が高い。
 だからこそ感情の制御、ただ魔法を使いやすくする為だけではなく、心身ともに効率良く過ごせるための物でもある。

「見てなさいよ、あんたが言う訓練なんてすぐにでも終わらせてやるんだから!」

 顔をそむけながら言うルイズを見て、軽く笑う。

「期待させていただくとしよう」

 夕餉、夕食の時間を過ぎても話し続ける。
 九朔にしてもルイズにしても、話す事聞いておく事に損は無いと判断したからだ。
 異世界の人、九朔が話す事はルイズにとって時空間的な外の話であり、普通ならばどうやっても聞けない話ばかり。
 耳を傾けるには十分すぎる話だった。
 そうやって話す中で一番の問題点は、やはり二人の左手にあるルーンだった。

「確証を得る為武器を握ってみなくてはならないな」
「そうね……、それじゃあ次の虚無の曜日に見に行きましょう」

 頷く、多種多様な武器でしっかり確認しておきたい。
 学院の衛士が持つ武器だけでは確証を得るには心許ない。

 学院の宝物庫にもあるらしいのだが、『確かめるので開けてください』と言っても通じは済ない。
 魔法が掛かった武器と言うのももちろんあるが、大体は『固定化』などによって物理的強度が高いものが精々だろう。
 刀身に炎を纏っているとか、振り下ろせば風の刃が走ると言ったような物はそれこそ伝説級。
 貴族の子弟が通う学院の宝物庫とはいえ、そのような物は収められては居ないだろう。

「それはそれとして、夕食はとうに過ぎてしまったが」
「あ」

 真剣に取り合ってくれたのだろうか、ただ簡単に流してくれるより好ましいのは確かか。





「厨房で何か作ってもらおう」

 ルイズは頷き、立ち上がり部屋を出て行く騎士殿。
 そうして部屋に残るのは二人。

「………」

 気まずい雰囲気、なのはピンクブロンドだけでこっちとしては何てこと無い。
 足を組み椅子に腰掛けたまま、ただピンクブロンドを見る。

「……何よ」
「なにも」

 そう一言、笑みを作ってただ見つめ続ける。
 このピンクブロンドは予想が現実になるほどの成長を見せるのだろうか。
 それともやはり予想は予想、現実に落ちこぼれとして生きていくのか。

「言いたい事があるならはっきり言いなさいよ!」
「あは」
「何よいきなり笑って!」

 ちょっと長めの休暇程度にしか思ってなかったけど、結構面白いことになりそう。

「黙ってないで何とか言いなさいよ!」

 どこまで至るか、しっかり見せてもらいましょう。

「人の話を聞けって言ってんのよ!」

 日が落ちて夜、ルイズの部屋でただ喚き声だけが聞こえてきていた。





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