第五話 人と翼人と異邦人とハーフエルフ 後編
翌日、村長の村の広間にタバサの姿があった…ブツブツと何やら呪文を唱えている
「何だ、騎士様…朝飯食べてからずっとああしてるぞ?」
「精神統一だってさ…今日、ご友人さんと一緒に翼人退治に行くらしい。」
扉の外では集まっている村人が、ぼそぼそと小声で話し合っていた
これは周囲を欺く為のフェイクなのだが、彼等はそれを知らない
「そう言えば、そのご友人さんはどうしたんだ?」
「あの方も自分の部屋に篭って何かしているらしい…大丈夫かね、本当に。」
昨日の出来事のせいで、二人に対して期待が持てず、不安が募っていた
そんな村人達を他所に、サムは周りを見回しながら誰かを探している
「なぁ、親父…ヨシアを見なかったか?」
父親に尋ねるサム…彼が探しているのは朝から姿が見えないヨシアだった
そのヨシアは翼人達と合流の為、既に村から出ている
「えっ、ヨシア?さぁ、私は見なかったが…。」
父親の返答を聞き、サムは弟の行動を訝しんだ
弟が翼人の女と交流していたのは、自分だけでなく村の誰もが知っている
何かするつもりじゃ…そう考えていた時、突然外からドーンという大きな音が響いた
「な、何だ!?」
サムも村長も、集まっていた村人達も一斉に外の方を向く
始まった…タバサはゆっくりと立ち上がり、これからの芝居を始めようと思った
先程の音が、クラースによる合図だと思ったからだ
タバサが外に出ようとすると、バァンと大きい音と共に扉が開き、男が一人中に入ってくる
「はぁ、はぁ、はぁ……た、大変、大変だぁ!!!」
男が慌てた様子で大変、大変と叫び続ける
彼の尋常じゃない様子に周囲が驚く中、サムが男に駆け寄る
「落ち着け、大変だけじゃなにがあったかわからねぇだろうが!!」
そういって、サムは男の頭に拳を一発叩き込む
鉄拳を受けて我に返った男は、頭を抑えながらようやく本題に入った
「た、大変なんだ…何人もの武装した集団がこの村に襲ってきたんだ!!」
男の言葉に周囲は騒然となる…タバサも意外とばかりに驚く
「なに、それは本当か!?」
「う、嘘じゃねぇよ。あいつ等魔法で火をつけやがって…入り口の方はやられちまってる!!」
その時、再びドーンと大きな音が聞こえた…悲鳴まで聞こえてくる
それによって、周囲がパニックになった…これでは、翼人どころではない
「皆、うろたえるな…女こども年寄りは家にいろ、男どもは俺と一緒について来い!!」
サムは慌てずに指示を出すと、居間に入ってたて掛けてあった斧を手に取る
そして、今度はタバサの方へと歩み寄った
「騎士様、今何者かが村を襲っているらしい…悪いが手を貸していただきたい。」
サムの申し出にタバサは頷いて答える…そして、サムは男達と共に外へと走り出した
彼等が去った後、二階にいたクラースが慌しく降りてくる
「タバサ、一体何があったんだ?大きな音がしたと思ったら、村に火の手が上がっているぞ。」
「緊急事態…武装した集団がこの村を襲っているらしい。」
タバサが事情を説明すると、再びドーンという音が外から聞こえてきた
一刻の猶予もない…タバサは杖を握り締めて、外へ出る
「やれやれ、ようやく解決の糸口が見つかったと思ったらこれか…やるしかないな。」
クラースもまた、魔術書を手にタバサの後を追って外へ出た
「何だ、騎士様…朝飯食べてからずっとああしてるぞ?」
「精神統一だってさ…今日、ご友人さんと一緒に翼人退治に行くらしい。」
扉の外では集まっている村人が、ぼそぼそと小声で話し合っていた
これは周囲を欺く為のフェイクなのだが、彼等はそれを知らない
「そう言えば、そのご友人さんはどうしたんだ?」
「あの方も自分の部屋に篭って何かしているらしい…大丈夫かね、本当に。」
昨日の出来事のせいで、二人に対して期待が持てず、不安が募っていた
そんな村人達を他所に、サムは周りを見回しながら誰かを探している
「なぁ、親父…ヨシアを見なかったか?」
父親に尋ねるサム…彼が探しているのは朝から姿が見えないヨシアだった
そのヨシアは翼人達と合流の為、既に村から出ている
「えっ、ヨシア?さぁ、私は見なかったが…。」
父親の返答を聞き、サムは弟の行動を訝しんだ
弟が翼人の女と交流していたのは、自分だけでなく村の誰もが知っている
何かするつもりじゃ…そう考えていた時、突然外からドーンという大きな音が響いた
「な、何だ!?」
サムも村長も、集まっていた村人達も一斉に外の方を向く
始まった…タバサはゆっくりと立ち上がり、これからの芝居を始めようと思った
先程の音が、クラースによる合図だと思ったからだ
タバサが外に出ようとすると、バァンと大きい音と共に扉が開き、男が一人中に入ってくる
「はぁ、はぁ、はぁ……た、大変、大変だぁ!!!」
男が慌てた様子で大変、大変と叫び続ける
彼の尋常じゃない様子に周囲が驚く中、サムが男に駆け寄る
「落ち着け、大変だけじゃなにがあったかわからねぇだろうが!!」
そういって、サムは男の頭に拳を一発叩き込む
鉄拳を受けて我に返った男は、頭を抑えながらようやく本題に入った
「た、大変なんだ…何人もの武装した集団がこの村に襲ってきたんだ!!」
男の言葉に周囲は騒然となる…タバサも意外とばかりに驚く
「なに、それは本当か!?」
「う、嘘じゃねぇよ。あいつ等魔法で火をつけやがって…入り口の方はやられちまってる!!」
その時、再びドーンと大きな音が聞こえた…悲鳴まで聞こえてくる
それによって、周囲がパニックになった…これでは、翼人どころではない
「皆、うろたえるな…女こども年寄りは家にいろ、男どもは俺と一緒について来い!!」
サムは慌てずに指示を出すと、居間に入ってたて掛けてあった斧を手に取る
そして、今度はタバサの方へと歩み寄った
「騎士様、今何者かが村を襲っているらしい…悪いが手を貸していただきたい。」
サムの申し出にタバサは頷いて答える…そして、サムは男達と共に外へと走り出した
彼等が去った後、二階にいたクラースが慌しく降りてくる
「タバサ、一体何があったんだ?大きな音がしたと思ったら、村に火の手が上がっているぞ。」
「緊急事態…武装した集団がこの村を襲っているらしい。」
タバサが事情を説明すると、再びドーンという音が外から聞こえてきた
一刻の猶予もない…タバサは杖を握り締めて、外へ出る
「やれやれ、ようやく解決の糸口が見つかったと思ったらこれか…やるしかないな。」
クラースもまた、魔術書を手にタバサの後を追って外へ出た
エギンハイム村は凄惨な事態に見舞われた…村の入り口から火の手が上がっている
そんな中を村人達が逃げ惑い、それを武装した男達が追いかける
「はぁ、はぁ、はぁ…ぐわっ!?」
今、逃げていた村人を、男達の一人が斬りつける
背中を切られた村人は、その場に倒れこんだ…背中から血が流れる
「おい、無駄に殺すなよ。」
「解ってるさ、手加減はしている…それに、この方が「恐怖」を刷り込みやすいだろ。」
仲間にそう答えると、男は倒れた村人を見る…地面を這って逃げようとしている
そんな彼を嘲笑うかのように、男は傷ついた背中を踏みつける
「ぐあっ!?」
「勝手に逃げんじゃねぇ、この劣悪種が…これからお前等は俺達の悲願の糧となるんだからよ!!」
ぐりぐりと足で傷口を踏みにじる…村人の悲鳴が周囲に響く
その様子を見て男と、その仲間が残酷な笑みを浮かべる
「もうその辺にしておけ、でないと使い物にならなく…。」
その言葉を終える前に、男の仲間は突然後ろへと吹き飛ばされた
驚いた男が様子を見ると、仲間は仰向けに倒れている
「な、何だ…一体誰が…。」
その時、前の方に気配を感じた…男は即座に持っている剣を構える
彼の視線の先には、杖を構えたタバサの姿があった
「が、ガキだと…お前が…ぐふっ!?」
驚いている間にタバサはスペルを唱え、氷のダーツを数本飛ばした
油断していた事もあり、その身に氷のダーツを受けた男はその場に倒れこむ
「……大丈夫?」
男達を倒した後、タバサは倒れている村人へと駆け寄った
息も絶え絶えの状態だが生きている…タバサは袋から薬を取り出す
「これを…すぐに元気になる。」
タバサは村人に薬を与える…彼の呼吸が若干落ち着いた
早く運ばないと…レビテーションを唱えようとした時、殺気を感じた
「タバサ、伏せてろ…バースト!!」
タバサが立ち上がろうとした時、クラースの声が聞こえ、頭上を光弾が走った
短い悲鳴と共に人が倒れる音が聞こえる
「大丈夫か、タバサ?」
振り返ると、此方に向かって走ってくるクラースの姿があった
光弾が放たれた先には、弓を持った敵が倒れている
「何なんだ、こいつ等は…服装からして、野盗とは違うようだが…心当たりはあるか?」
「ない…こんな服装をした軍団は、ハルケギニアの国にはいない筈。」
倒れた男の服装を見ながら、タバサは答える…その時、サムが仲間を率いて此方にやってきた
「騎士様、ご無事ですか?」
「大丈夫…それより、この人を屋敷に…。」
タバサがそう言うと、仲間が倒れている村人を担いで村長の屋敷へと運んでいく
周囲からは、戦いの音が響き始めている
「今、動ける奴等で戦っているが…昨日の今日だから、満足に戦う事が出来ねぇ。」
「それに相手は中々手強くて…苦戦しています。」
「そうか。なら、私達が援護するしかないな…タバサ、いけるか?」
クラースの言葉に対し、タバサは頷くだけだったがそれだけで十分な返事だった
こうして、クラースはサムと共に、タバサはもう一人と一緒に劣勢を強いられる村人達の援護へ向かった
そんな中を村人達が逃げ惑い、それを武装した男達が追いかける
「はぁ、はぁ、はぁ…ぐわっ!?」
今、逃げていた村人を、男達の一人が斬りつける
背中を切られた村人は、その場に倒れこんだ…背中から血が流れる
「おい、無駄に殺すなよ。」
「解ってるさ、手加減はしている…それに、この方が「恐怖」を刷り込みやすいだろ。」
仲間にそう答えると、男は倒れた村人を見る…地面を這って逃げようとしている
そんな彼を嘲笑うかのように、男は傷ついた背中を踏みつける
「ぐあっ!?」
「勝手に逃げんじゃねぇ、この劣悪種が…これからお前等は俺達の悲願の糧となるんだからよ!!」
ぐりぐりと足で傷口を踏みにじる…村人の悲鳴が周囲に響く
その様子を見て男と、その仲間が残酷な笑みを浮かべる
「もうその辺にしておけ、でないと使い物にならなく…。」
その言葉を終える前に、男の仲間は突然後ろへと吹き飛ばされた
驚いた男が様子を見ると、仲間は仰向けに倒れている
「な、何だ…一体誰が…。」
その時、前の方に気配を感じた…男は即座に持っている剣を構える
彼の視線の先には、杖を構えたタバサの姿があった
「が、ガキだと…お前が…ぐふっ!?」
驚いている間にタバサはスペルを唱え、氷のダーツを数本飛ばした
油断していた事もあり、その身に氷のダーツを受けた男はその場に倒れこむ
「……大丈夫?」
男達を倒した後、タバサは倒れている村人へと駆け寄った
息も絶え絶えの状態だが生きている…タバサは袋から薬を取り出す
「これを…すぐに元気になる。」
タバサは村人に薬を与える…彼の呼吸が若干落ち着いた
早く運ばないと…レビテーションを唱えようとした時、殺気を感じた
「タバサ、伏せてろ…バースト!!」
タバサが立ち上がろうとした時、クラースの声が聞こえ、頭上を光弾が走った
短い悲鳴と共に人が倒れる音が聞こえる
「大丈夫か、タバサ?」
振り返ると、此方に向かって走ってくるクラースの姿があった
光弾が放たれた先には、弓を持った敵が倒れている
「何なんだ、こいつ等は…服装からして、野盗とは違うようだが…心当たりはあるか?」
「ない…こんな服装をした軍団は、ハルケギニアの国にはいない筈。」
倒れた男の服装を見ながら、タバサは答える…その時、サムが仲間を率いて此方にやってきた
「騎士様、ご無事ですか?」
「大丈夫…それより、この人を屋敷に…。」
タバサがそう言うと、仲間が倒れている村人を担いで村長の屋敷へと運んでいく
周囲からは、戦いの音が響き始めている
「今、動ける奴等で戦っているが…昨日の今日だから、満足に戦う事が出来ねぇ。」
「それに相手は中々手強くて…苦戦しています。」
「そうか。なら、私達が援護するしかないな…タバサ、いけるか?」
クラースの言葉に対し、タバサは頷くだけだったがそれだけで十分な返事だった
こうして、クラースはサムと共に、タバサはもう一人と一緒に劣勢を強いられる村人達の援護へ向かった
「そらよっ!!」
「ぐあっ!?」
燃え盛る民家の前で、謎の男の攻撃を受けて青年は地面に倒れる
敵は一人、それに対して三人で挑んでいるのに刃が相手に届かない
「くそ、何て奴だ…三人がかりでも倒せないなんて。」
「お前等が弱すぎるんだよ、この劣悪種どもが。」
残った二人がたじろぐ中、男は笑みを浮かべながら剣を向ける
そんな中、今度は斧を持った屈強な男が戦いを挑む
「うおおおおおっ!!!!」
一気に接近し、渾身の一撃を放つ…が、相手は簡単にそれを避けた
追撃しようと斧を持ち直そうとするが、男の剣の方が早かった
「ぐわっ!?」
剣は村人の利き腕を切り裂き、彼は痛みから斧から手を離す
煥発いれずに、男は村人に剣を突き刺した…腹部を貫かれ、村人はその場に崩れ落ちる
「あっ、ああ……。」
最後に残った青年は後ろに後ずさった…持っている剣が震えている
相手はそれを見てにゃにやしながら近づくと、青年に向かって剣を振り上げた
青年は思わず目をつぶった…
「ぎゃあっ!?」
「…えっ?」
直後、自分ではなく男の悲鳴が周囲に響いた
恐る恐る青年が目を開けると、足元に男が倒れていた…背中に氷のダーツが刺さっている
驚きながら辺りを見回すと、向こうの方でタバサが杖を構えていた
「あっ…き、騎士様!?」
タバサを見て青年は安堵する…が、タバサは険しい顔のままだ
何となく後ろを振り返ると、敵の集団が此方に向かって来ている事に気付いた
慌てて下がる青年…逆にタバサは前へと歩き出す
「…貴方達は何者?何故この村を襲ってきた?」
疑問を投げかけるタバサ…だが、相手の返答は剣だった
相手がメイジだと知った彼等は、容赦なくタバサに襲い掛かってくる
「はあっ!!」
先頭を切った男の剣撃をタバサは避けながら、素早くスペルを唱えた
氷のダーツが数本飛んでいくが、男はそれを剣で薙ぎ払う
そのまま突進してくる…再び攻撃を避けると、タバサは杖を男の胸にぶつける
「ぐおっ!?」
そのまま零距離からスペルを唱え、風が男を吹き飛ばした
残った男達は一斉に襲い掛かり、二つの剣がタバサ目掛けて振り下ろされる
タバサはフライを唱えると、空高く舞い上がって屋根の上へと足を下ろした
着地と同時にスペルを唱え…氷の嵐が残りの二人を包み込んだ
「………。」
全員倒した事を確認すると、タバサは辺りを見回した…火の海である
村の三分の一が炎に包まれ、黒い煙が辺りを覆っている
「(何故この村は襲撃された…敵の目的は何?)」
只の野盗でない事は確かだ…自分の直感がそう告げている
思考をめぐらせていると、後ろから敵がタバサに向かって忍び寄ってきた
ゆっくりと、音を立てずに近づいて剣を振り上げる…が、振り下ろされる前にタバサが振り向いた
「ぐおっ!?」
彼女の風をその身に受け、男は下へと落ちていった
他に敵がいない事を確認すると、タバサは下に降りる
「騎士様、大丈夫ですか?」
「私は平気…それよりも、傷ついた彼等の手当てを…。」
タバサは持っている薬を幾つか取り出し、村人達に渡す
使い方を説明すると、彼等は倒れている仲間の傷を癒していく
「……まずは敵の殲滅、正体を探るのはその後。」
そう結論付けると、タバサはまだいる敵の所へ向かって歩き出した
「ぐあっ!?」
燃え盛る民家の前で、謎の男の攻撃を受けて青年は地面に倒れる
敵は一人、それに対して三人で挑んでいるのに刃が相手に届かない
「くそ、何て奴だ…三人がかりでも倒せないなんて。」
「お前等が弱すぎるんだよ、この劣悪種どもが。」
残った二人がたじろぐ中、男は笑みを浮かべながら剣を向ける
そんな中、今度は斧を持った屈強な男が戦いを挑む
「うおおおおおっ!!!!」
一気に接近し、渾身の一撃を放つ…が、相手は簡単にそれを避けた
追撃しようと斧を持ち直そうとするが、男の剣の方が早かった
「ぐわっ!?」
剣は村人の利き腕を切り裂き、彼は痛みから斧から手を離す
煥発いれずに、男は村人に剣を突き刺した…腹部を貫かれ、村人はその場に崩れ落ちる
「あっ、ああ……。」
最後に残った青年は後ろに後ずさった…持っている剣が震えている
相手はそれを見てにゃにやしながら近づくと、青年に向かって剣を振り上げた
青年は思わず目をつぶった…
「ぎゃあっ!?」
「…えっ?」
直後、自分ではなく男の悲鳴が周囲に響いた
恐る恐る青年が目を開けると、足元に男が倒れていた…背中に氷のダーツが刺さっている
驚きながら辺りを見回すと、向こうの方でタバサが杖を構えていた
「あっ…き、騎士様!?」
タバサを見て青年は安堵する…が、タバサは険しい顔のままだ
何となく後ろを振り返ると、敵の集団が此方に向かって来ている事に気付いた
慌てて下がる青年…逆にタバサは前へと歩き出す
「…貴方達は何者?何故この村を襲ってきた?」
疑問を投げかけるタバサ…だが、相手の返答は剣だった
相手がメイジだと知った彼等は、容赦なくタバサに襲い掛かってくる
「はあっ!!」
先頭を切った男の剣撃をタバサは避けながら、素早くスペルを唱えた
氷のダーツが数本飛んでいくが、男はそれを剣で薙ぎ払う
そのまま突進してくる…再び攻撃を避けると、タバサは杖を男の胸にぶつける
「ぐおっ!?」
そのまま零距離からスペルを唱え、風が男を吹き飛ばした
残った男達は一斉に襲い掛かり、二つの剣がタバサ目掛けて振り下ろされる
タバサはフライを唱えると、空高く舞い上がって屋根の上へと足を下ろした
着地と同時にスペルを唱え…氷の嵐が残りの二人を包み込んだ
「………。」
全員倒した事を確認すると、タバサは辺りを見回した…火の海である
村の三分の一が炎に包まれ、黒い煙が辺りを覆っている
「(何故この村は襲撃された…敵の目的は何?)」
只の野盗でない事は確かだ…自分の直感がそう告げている
思考をめぐらせていると、後ろから敵がタバサに向かって忍び寄ってきた
ゆっくりと、音を立てずに近づいて剣を振り上げる…が、振り下ろされる前にタバサが振り向いた
「ぐおっ!?」
彼女の風をその身に受け、男は下へと落ちていった
他に敵がいない事を確認すると、タバサは下に降りる
「騎士様、大丈夫ですか?」
「私は平気…それよりも、傷ついた彼等の手当てを…。」
タバサは持っている薬を幾つか取り出し、村人達に渡す
使い方を説明すると、彼等は倒れている仲間の傷を癒していく
「……まずは敵の殲滅、正体を探るのはその後。」
そう結論付けると、タバサはまだいる敵の所へ向かって歩き出した
一方、タバサのいる場所から少し離れた所にクラースの姿があった
数人はいる男達相手に、サムや村人と一緒に戦っている
「うわっ!?」
離れた場所からの弓矢を受け、戦っていた村人の一人が倒れる
クラースは遠くにいる弓兵にバーストを放った…放たれた光弾によって相手は倒れる
「ぜぇ、ぜぇ…くそ、きついぜこいつは!!」
向かってきた男を倒し、サムは肩で息をしながら斧を構える
相手が並みの傭兵以上というのに、彼が一番善戦していた
「確かに、これでは拉致があかんな…仕方ない、召喚術を使うか。」
本をペラペラと捲って、クラースは召喚術を行う準備を始めた
周囲に魔方陣が展開し、詠唱を始めようとする
「おい、すまんがこれからとっておきのやつを使う…だから、それまで踏ん張ってくれ。」
「ええっ、とっておきって…一体何をするってんだ?」
サムが尋ねるが、クラースは既に詠唱に入って返答する事はなかった
彼の事を疑っているサムだが…こんな時まで疑う程馬鹿ではない
「…チッ、解ったよ、やってやるぜ!!」
敵が一気に雪崩れ込んでくる…サムは斧を振り上げると、仲間と共に応戦した
激しい戦いの中、クラースは素早く呪文を唱え…詠唱を完成させる
「よし、いくぞ……シルフ!!」
クラースが召喚術を発動すると、シルフ三姉妹が姿を表した
彼女達はサム達をすり抜け、向かってくる敵に攻撃を仕掛ける
「なっ…シルフだと!?」
男の一人が驚く…その直後、彼はユーティスの矢を受けてその場に倒れる
セフィーの剣が、ユーティスの弓が、フィアレスの風が彼等に襲い掛かる
敵は応戦しようと立ち向かうが、善戦空しく敗北する
「す、すげぇ……。」
目の前の光景を、サム達は呆然と見守る…既に目の前の敵は全滅していた
クラースは一息つくと、呆然としている彼等に声を掛ける
「おい、ボーっとしてる場合か…手の空いている者は負傷者を下がらせるんだ。」
その指示を受け、慌てて村人達は負傷者を担いで後退する
シルフ達はその間、敵が来ないよう警戒している
「あ、あんた、あれは一体何なんだ…まるで伝説の妖精みたいだが。」
「説明している場合じゃないんだがな…まあ、新しい魔法だとでも思ってくれ。」
尋ねてくるサムにそう答える…すると今度は、彼は申し訳なさそうに此方を見た
「あの、その…俺あんたの事を疑っていたんだ。俺達の事を裏切るんじゃないかって…すまなかった。」
クラースの力を目の当たりにして、サムは彼に謝罪する
それは、彼が偽りなく自分達と自分達の村を守ろうとしている事を知ったからだ
「謝罪なら後にしろ…それより、村を守るのが先決だ。」
サムの謝罪にぶっきらぼうに答えるクラース…だが、顔は笑みを浮かべている
それに頷くと、サムは斧を手に次の相手を待った
「(それにしても…本当に相手は何者なんだ?シルフの事を知っているとは…)」
倒れた男達を見ながら、クラースは先程の言葉を思い返す
彼女達を見てシルフと言い当てた…なら、彼等は自分達の世界の人間なのだろうか?
「(馬鹿な、そう何度も異邦人と会う筈がない。それに彼等のような軍団は私達の世界にはいなかった筈だ。)」
だが、否定しようにもこの疑問を完全に拭い去る事が出来なかった
しばしの沈黙が続いた後、クラースはシルフに尋ねる
「シルフ、彼等が何者か…君達は知っているのか?」
『そうですね…彼等は…。』
セフィーがそれに答えようとした時、無数の矢が此方に降り注いできた
シルフ達が風で薙ぎ払うと、向こうから新手が姿を現した
「チッ、新手が着たか…詮索は後にするか。」
クラースが手を敵に向かって翳す…シルフ達は風に乗って相手に向かっていった
数人はいる男達相手に、サムや村人と一緒に戦っている
「うわっ!?」
離れた場所からの弓矢を受け、戦っていた村人の一人が倒れる
クラースは遠くにいる弓兵にバーストを放った…放たれた光弾によって相手は倒れる
「ぜぇ、ぜぇ…くそ、きついぜこいつは!!」
向かってきた男を倒し、サムは肩で息をしながら斧を構える
相手が並みの傭兵以上というのに、彼が一番善戦していた
「確かに、これでは拉致があかんな…仕方ない、召喚術を使うか。」
本をペラペラと捲って、クラースは召喚術を行う準備を始めた
周囲に魔方陣が展開し、詠唱を始めようとする
「おい、すまんがこれからとっておきのやつを使う…だから、それまで踏ん張ってくれ。」
「ええっ、とっておきって…一体何をするってんだ?」
サムが尋ねるが、クラースは既に詠唱に入って返答する事はなかった
彼の事を疑っているサムだが…こんな時まで疑う程馬鹿ではない
「…チッ、解ったよ、やってやるぜ!!」
敵が一気に雪崩れ込んでくる…サムは斧を振り上げると、仲間と共に応戦した
激しい戦いの中、クラースは素早く呪文を唱え…詠唱を完成させる
「よし、いくぞ……シルフ!!」
クラースが召喚術を発動すると、シルフ三姉妹が姿を表した
彼女達はサム達をすり抜け、向かってくる敵に攻撃を仕掛ける
「なっ…シルフだと!?」
男の一人が驚く…その直後、彼はユーティスの矢を受けてその場に倒れる
セフィーの剣が、ユーティスの弓が、フィアレスの風が彼等に襲い掛かる
敵は応戦しようと立ち向かうが、善戦空しく敗北する
「す、すげぇ……。」
目の前の光景を、サム達は呆然と見守る…既に目の前の敵は全滅していた
クラースは一息つくと、呆然としている彼等に声を掛ける
「おい、ボーっとしてる場合か…手の空いている者は負傷者を下がらせるんだ。」
その指示を受け、慌てて村人達は負傷者を担いで後退する
シルフ達はその間、敵が来ないよう警戒している
「あ、あんた、あれは一体何なんだ…まるで伝説の妖精みたいだが。」
「説明している場合じゃないんだがな…まあ、新しい魔法だとでも思ってくれ。」
尋ねてくるサムにそう答える…すると今度は、彼は申し訳なさそうに此方を見た
「あの、その…俺あんたの事を疑っていたんだ。俺達の事を裏切るんじゃないかって…すまなかった。」
クラースの力を目の当たりにして、サムは彼に謝罪する
それは、彼が偽りなく自分達と自分達の村を守ろうとしている事を知ったからだ
「謝罪なら後にしろ…それより、村を守るのが先決だ。」
サムの謝罪にぶっきらぼうに答えるクラース…だが、顔は笑みを浮かべている
それに頷くと、サムは斧を手に次の相手を待った
「(それにしても…本当に相手は何者なんだ?シルフの事を知っているとは…)」
倒れた男達を見ながら、クラースは先程の言葉を思い返す
彼女達を見てシルフと言い当てた…なら、彼等は自分達の世界の人間なのだろうか?
「(馬鹿な、そう何度も異邦人と会う筈がない。それに彼等のような軍団は私達の世界にはいなかった筈だ。)」
だが、否定しようにもこの疑問を完全に拭い去る事が出来なかった
しばしの沈黙が続いた後、クラースはシルフに尋ねる
「シルフ、彼等が何者か…君達は知っているのか?」
『そうですね…彼等は…。』
セフィーがそれに答えようとした時、無数の矢が此方に降り注いできた
シルフ達が風で薙ぎ払うと、向こうから新手が姿を現した
「チッ、新手が着たか…詮索は後にするか。」
クラースが手を敵に向かって翳す…シルフ達は風に乗って相手に向かっていった
クラースとタバサが加勢する事で、村は謎の軍団の襲撃にある程度は持ちこたえていた
それでも敵は多く、手練である事もあって炎は村に広がっていった
「ぐわっ!?」
そんな中、逃げ遅れた一家が敵の攻撃を受けていた
剣で切りつけられ、一人の村人が血を流しながら倒れる
「父さん!!」
倒れた父親に駆け寄る幼い兄妹…昨日、プレセアにトマトを投げつけたあの兄妹だった
男の子が顔を上げると、周囲は数人の男達によって囲まれていた
「全く、手間を掛けさせやがって…よし、捕獲第一号だ、こいつ等を連れていけ。」
その中の一人が指示を出すと、男達の手が子ども達に伸びる
女の子は抵抗も出来ずすぐに捕まってしまったが、男の子は相手に体当たりを仕掛けた
「こいつ…よくも父さんを!!」
自分に出来る最大限の抵抗をするが、すぐに捕まってしまう
それでも諦めず、捕まえた男の腕に噛みついた
「いでっ…このガキ!!」
男は振り払って男の子を地面に叩きつける
剣を振り上げると、男の子に向かって剣を突き刺そうとする
「そんなに死にたいのなら…死ねぇ!!」
そして、剣が振り下ろされる…男の子は目を瞑った
その時、二人の間に誰かが割り込んできた…巨大な斧を振り払い、相手をなぎ倒す
倒れていた男の子が起き上がると、その目に彼女の背が映る
「お、お前……。」
少年の危機を間一髪で救ったのは…斧を構えたプレセアだった
「き、貴様は…何故貴様が此処に!?」
周囲の男達はプレセアを見て驚くが、彼女は構わず戦いを挑んだ
斧を振り回し、反撃の隙を与えずにあっという間に周囲の男達を蹴散らす
「と、止まれ…止まらないと、このガキの命はないぞ!!」
残った一人が捕まえていた女の子の首を締め付けながら、プレセアを脅す
それに対し、動きを止めるプレセア…男はこのまま逃げ出そうとした
「ぐわっ!?」
だが、その前に激痛が走り、男は逃げる事も出来ずにその場に倒れた
男の後ろには、武器を構えるジーニアスの姿があった
「ふぅ、間一髪だったね…大丈夫、プレセア?君達も?」
「私は平気です、ジーニアス…でも、この人が…。」
駆け寄るジーニアスから、プレセアは倒れている村人へと視線を移す
お父さん…と女の子が泣きながら抱きついており、ジーニアスが傷の具合を見る
「…大丈夫、そんなに酷い傷じゃないから、これを食べればすぐに元気になるよ。」
女の子を安心させると、ジーニアスは倒れた村人を介抱する
その間プレセアが周囲を警戒し、男の子は彼女に声を掛けた
「あ、あの…何で…。」
「森から火の手がありましたから…何かあったんだと思って、やってきたんです。」
アイーシャから今回の芝居は聞いていたが、こんな予想外の出来事が起こった
それに、奴等が現れたから…それを確かめる為にも、此処に来たのだ
「そうじゃなくて…何で、助けてくれたんだよ。」
しかし、少年が求めていた答えはそれではなかった
あんな酷い事をしたのに、どうして…プレセアはその瞳を少年に向けながら答える
「……人を助けるのに理由がいるんですか?」
と…それが一番の答えであり、それだけで十分な理由となった
「まぁ、色々といざこざはあったけどさ…誰だって命は一つだからね。」
続いてジーニアスが答える…既に父親の傷は癒えていた
「父さん!!」
少年は父親の元へと駆け寄る…3人は抱き合って互いの無事を喜んだ
その様子を、ジーニアスとプレセアは見守る
「さあ、早く逃げてください…向こうの方なら安全です。」
しばらくして、プレセアが彼等を安全なルートへと誘導した
戸惑いを見せるが、父親は頭を下げると子ども達と共にその道へと向かった
その途中で少年は一度だけ振り返り…やがて、見えなくなった
「……行きましょうか、ジーニアス。」
「うん。」
親子が無事に行った事を確認すると、二人は他の人々を助けに向かった
それでも敵は多く、手練である事もあって炎は村に広がっていった
「ぐわっ!?」
そんな中、逃げ遅れた一家が敵の攻撃を受けていた
剣で切りつけられ、一人の村人が血を流しながら倒れる
「父さん!!」
倒れた父親に駆け寄る幼い兄妹…昨日、プレセアにトマトを投げつけたあの兄妹だった
男の子が顔を上げると、周囲は数人の男達によって囲まれていた
「全く、手間を掛けさせやがって…よし、捕獲第一号だ、こいつ等を連れていけ。」
その中の一人が指示を出すと、男達の手が子ども達に伸びる
女の子は抵抗も出来ずすぐに捕まってしまったが、男の子は相手に体当たりを仕掛けた
「こいつ…よくも父さんを!!」
自分に出来る最大限の抵抗をするが、すぐに捕まってしまう
それでも諦めず、捕まえた男の腕に噛みついた
「いでっ…このガキ!!」
男は振り払って男の子を地面に叩きつける
剣を振り上げると、男の子に向かって剣を突き刺そうとする
「そんなに死にたいのなら…死ねぇ!!」
そして、剣が振り下ろされる…男の子は目を瞑った
その時、二人の間に誰かが割り込んできた…巨大な斧を振り払い、相手をなぎ倒す
倒れていた男の子が起き上がると、その目に彼女の背が映る
「お、お前……。」
少年の危機を間一髪で救ったのは…斧を構えたプレセアだった
「き、貴様は…何故貴様が此処に!?」
周囲の男達はプレセアを見て驚くが、彼女は構わず戦いを挑んだ
斧を振り回し、反撃の隙を与えずにあっという間に周囲の男達を蹴散らす
「と、止まれ…止まらないと、このガキの命はないぞ!!」
残った一人が捕まえていた女の子の首を締め付けながら、プレセアを脅す
それに対し、動きを止めるプレセア…男はこのまま逃げ出そうとした
「ぐわっ!?」
だが、その前に激痛が走り、男は逃げる事も出来ずにその場に倒れた
男の後ろには、武器を構えるジーニアスの姿があった
「ふぅ、間一髪だったね…大丈夫、プレセア?君達も?」
「私は平気です、ジーニアス…でも、この人が…。」
駆け寄るジーニアスから、プレセアは倒れている村人へと視線を移す
お父さん…と女の子が泣きながら抱きついており、ジーニアスが傷の具合を見る
「…大丈夫、そんなに酷い傷じゃないから、これを食べればすぐに元気になるよ。」
女の子を安心させると、ジーニアスは倒れた村人を介抱する
その間プレセアが周囲を警戒し、男の子は彼女に声を掛けた
「あ、あの…何で…。」
「森から火の手がありましたから…何かあったんだと思って、やってきたんです。」
アイーシャから今回の芝居は聞いていたが、こんな予想外の出来事が起こった
それに、奴等が現れたから…それを確かめる為にも、此処に来たのだ
「そうじゃなくて…何で、助けてくれたんだよ。」
しかし、少年が求めていた答えはそれではなかった
あんな酷い事をしたのに、どうして…プレセアはその瞳を少年に向けながら答える
「……人を助けるのに理由がいるんですか?」
と…それが一番の答えであり、それだけで十分な理由となった
「まぁ、色々といざこざはあったけどさ…誰だって命は一つだからね。」
続いてジーニアスが答える…既に父親の傷は癒えていた
「父さん!!」
少年は父親の元へと駆け寄る…3人は抱き合って互いの無事を喜んだ
その様子を、ジーニアスとプレセアは見守る
「さあ、早く逃げてください…向こうの方なら安全です。」
しばらくして、プレセアが彼等を安全なルートへと誘導した
戸惑いを見せるが、父親は頭を下げると子ども達と共にその道へと向かった
その途中で少年は一度だけ振り返り…やがて、見えなくなった
「……行きましょうか、ジーニアス。」
「うん。」
親子が無事に行った事を確認すると、二人は他の人々を助けに向かった
「………。」
タバサは杖を構え、敵と対峙していた…今彼女は周囲を囲まれている
互いに相手の出方を伺って牽制し遭う中、最初に動いたのは…タバサだった
『アイス・ストーム』
素早くスペルを唱え、雪風の嵐で周囲の敵を攻撃する
周囲の敵の殆どが飲み込まれていくが、何人かがそれを突破する
「はあっ!!」
迫り来る剣撃…タバサはそれを避け、一人風を操って吹き飛ばす
残りが魔法を使わせまいと、一気に仕掛けてくるが…
「アクアエッジ!!」
その前に、圧縮された水のカッターが男達に襲い掛かる
突然の攻撃に相手は成す術もなく倒れ…タバサは魔法が放たれた方に視線を向ける
「大丈夫、タバサ?」
そこには、剣玉を構えるジーニアスの姿があった…後ろにはプレセアもいる
周りに敵がいない事を確認すると、二人はタバサの下へと駆け寄る
「何故…貴方達が……。」
「村がこんな騒ぎですから…助太刀に来ました。」
彼等が助太刀してくれると知り、タバサは警戒を緩める
その間ジーニアスは、倒れた男達を見つめていた
「それにしても…何でディザイアンが此処にいるんだ?」
「ディザイアン?」
「あ、うん。説明すると長くなるから…簡単に言えば、僕達の世界で僕達が戦っていた相手なんだ。」
聞いた事のない言葉にタバサが疑問を浮かべると、ジーニアスが説明する
ディザイアン…二人の世界において、悪しき存在と言われる者達
その存在には大きな謎が隠されているのだが、それを今説明している余裕はない
「貴方達の世界の…何故?」
「解りません…そもそもディザイアンは、私達が倒した筈です。なのに…。」
復活して、異世界であるハルケギニアに姿を表した
その理由を知る者はこの場にはいない…いるとすれば
「こうなったら、ディザイアン達を捕まえて事情を聞きだすしかないね。」
「ですね…そしてこの村を守る為には、私達が協力して戦わなければいけません。」
そう言って二人はタバサを見つめる…タバサもまた、二人を見返す
「一緒に戦いましょう、貴方とクラースさんと村の皆さんで…この村を守る為に。」
共同戦線を張る…プレセアの言葉に、少しの時間を空けたがタバサはこくりと頷く
それを見て、ジーニアスは笑みを浮かべた…が、急にタバサの顔が険しくなった
二人に向かって杖を構えると、早口でスペルを唱える
「えっ、何を……。」
驚くジーニアス…だが、発動された魔法は自分達の周囲を覆う風となった
直後、その風のシールドに炎がぶつかり、無効化される
「チッ、防がれたか!?」
2人が後ろを振り返ると、杖を持った男…ディザイアンの姿があった
魔術を扱うディザイアンの魔術師、アンクショナーだ…周りには、彼を守る一般兵達の姿もある
「いつの間に…ありがとう、タバサ。君が助けてくれなかったら…。」
「感謝は後で…何よりもまず、彼等の撃退を優先する。」
杖を構えるタバサ…ジーニアスとプレセアも顔を見合わせた後、頷いて武器を構える
「いきます…烈旋斧!!」
術師2人を守るべく、プレセアが前に立ち…持っている斧を振り回した
その攻撃で先頭の三人を吹き飛ばし、その間にジーニアスとタバサがスペルを唱える
「いくよ、タバサ!!」
準備が整うと、ジーニアスは炎を…タバサは嵐を呼び出した
二人の魔法は合わさり、炎の嵐となって全てを飲み込む
「おのれ、劣悪種どもめ…こうなれば我が秘術、とくと見せてやる。」
只一人残ったアンクショナーは杖を突き立てると、それを前に不思議な踊りを始めた
これがディザイアン流の詠唱方法で、この時彼は強力な術を発動しようとしていた
「………。」
そんな中、彼女はスペルを唱えて風の刃・ウィンドブレイクを放つ
その一撃を受けたアンクショナーは、術を発動させることなくその場に倒れる
「隙だらけ。」
倒れたアンクショナーにぽつりと呟くタバサ…この時には、周囲の敵は掃討出来ていた
タバサは杖を構え、敵と対峙していた…今彼女は周囲を囲まれている
互いに相手の出方を伺って牽制し遭う中、最初に動いたのは…タバサだった
『アイス・ストーム』
素早くスペルを唱え、雪風の嵐で周囲の敵を攻撃する
周囲の敵の殆どが飲み込まれていくが、何人かがそれを突破する
「はあっ!!」
迫り来る剣撃…タバサはそれを避け、一人風を操って吹き飛ばす
残りが魔法を使わせまいと、一気に仕掛けてくるが…
「アクアエッジ!!」
その前に、圧縮された水のカッターが男達に襲い掛かる
突然の攻撃に相手は成す術もなく倒れ…タバサは魔法が放たれた方に視線を向ける
「大丈夫、タバサ?」
そこには、剣玉を構えるジーニアスの姿があった…後ろにはプレセアもいる
周りに敵がいない事を確認すると、二人はタバサの下へと駆け寄る
「何故…貴方達が……。」
「村がこんな騒ぎですから…助太刀に来ました。」
彼等が助太刀してくれると知り、タバサは警戒を緩める
その間ジーニアスは、倒れた男達を見つめていた
「それにしても…何でディザイアンが此処にいるんだ?」
「ディザイアン?」
「あ、うん。説明すると長くなるから…簡単に言えば、僕達の世界で僕達が戦っていた相手なんだ。」
聞いた事のない言葉にタバサが疑問を浮かべると、ジーニアスが説明する
ディザイアン…二人の世界において、悪しき存在と言われる者達
その存在には大きな謎が隠されているのだが、それを今説明している余裕はない
「貴方達の世界の…何故?」
「解りません…そもそもディザイアンは、私達が倒した筈です。なのに…。」
復活して、異世界であるハルケギニアに姿を表した
その理由を知る者はこの場にはいない…いるとすれば
「こうなったら、ディザイアン達を捕まえて事情を聞きだすしかないね。」
「ですね…そしてこの村を守る為には、私達が協力して戦わなければいけません。」
そう言って二人はタバサを見つめる…タバサもまた、二人を見返す
「一緒に戦いましょう、貴方とクラースさんと村の皆さんで…この村を守る為に。」
共同戦線を張る…プレセアの言葉に、少しの時間を空けたがタバサはこくりと頷く
それを見て、ジーニアスは笑みを浮かべた…が、急にタバサの顔が険しくなった
二人に向かって杖を構えると、早口でスペルを唱える
「えっ、何を……。」
驚くジーニアス…だが、発動された魔法は自分達の周囲を覆う風となった
直後、その風のシールドに炎がぶつかり、無効化される
「チッ、防がれたか!?」
2人が後ろを振り返ると、杖を持った男…ディザイアンの姿があった
魔術を扱うディザイアンの魔術師、アンクショナーだ…周りには、彼を守る一般兵達の姿もある
「いつの間に…ありがとう、タバサ。君が助けてくれなかったら…。」
「感謝は後で…何よりもまず、彼等の撃退を優先する。」
杖を構えるタバサ…ジーニアスとプレセアも顔を見合わせた後、頷いて武器を構える
「いきます…烈旋斧!!」
術師2人を守るべく、プレセアが前に立ち…持っている斧を振り回した
その攻撃で先頭の三人を吹き飛ばし、その間にジーニアスとタバサがスペルを唱える
「いくよ、タバサ!!」
準備が整うと、ジーニアスは炎を…タバサは嵐を呼び出した
二人の魔法は合わさり、炎の嵐となって全てを飲み込む
「おのれ、劣悪種どもめ…こうなれば我が秘術、とくと見せてやる。」
只一人残ったアンクショナーは杖を突き立てると、それを前に不思議な踊りを始めた
これがディザイアン流の詠唱方法で、この時彼は強力な術を発動しようとしていた
「………。」
そんな中、彼女はスペルを唱えて風の刃・ウィンドブレイクを放つ
その一撃を受けたアンクショナーは、術を発動させることなくその場に倒れる
「隙だらけ。」
倒れたアンクショナーにぽつりと呟くタバサ…この時には、周囲の敵は掃討出来ていた
「タバサ、無事か?」
全員を倒した後、向こうからクラースがサム達を引き連れてやってきた
ある程度近づくと、プレセアとジーニアスがいる事にも気付く
「お、お前達は…何でお前等が此処に!?」
当然、サムも二人がいる事に気付いて驚きの声をあげる
後ろの仲間達も武器を構えるが、クラースがそれを止める
「待て、この二人は私達の手助けに来たんだ…そうだろ、二人とも?」
クラースの言葉に二人は頷いて答えるが、それでもサム達の警戒心は緩まない
「そんなの信じられるか、こいつ等のせいで昨日は酷い目にあったんだぞ!!」
「それに、翼人どもだって…こんな時に何をするか分かったもんじゃねぇし。」
自分達の行動を棚に上げて、二人や翼人達を非難する村人達
そんな彼等に憤りを感じながらも、ジーニアスは口を開く
「あのさ…折角皆が助けに来てくれるのに、そんな言い草はないんじゃない?」
ジーニアスの言葉にサム達は首を傾げる…意味が分からないらしい
「この街を助けに来たのは私達だけではありません、翼人の皆さんも一緒です。」
「僕達は先に着たんだけど…もうすぐ皆こっちに来る頃だよ。」
翼人達が此処に来る…その言葉に、皆驚いた表情を見せる
それも、自分達を助けに来る為だというのだから
「ば、馬鹿をいうな…翼人どもが俺達を助けにくるわけねぇだろ。」
「嘘じゃないって…ほら、来たよ。」
ジーニアスの言葉に、サムやクラース達は上を見上げる
上空には、翼を生やした人…翼人達が何人も飛んでいるのが見えた
彼等は村中に散らばると、苦戦している村人達を援護していく
「ね、嘘じゃないでしょ。」
「だ、だけどよ…何で奴等、俺達を助けに…。」
「兄さん!!」
その疑問に答える人物の声が聞こえた…自分が知っている弟の声だった
声の方を向くと、ヨシアが此方へやってくる…アイーシャも一緒だ
「ヨシア、お前今まで何処に…それにその翼人の女は…。」
「兄さん、今はそんな場合じゃないよ…翼人の皆と一緒にディザイアンと戦うんだ。」
戸惑う兄に向かって、普段とは違う力強い声でヨシアは呼びかける
「あの翼人達…ヨシアが連れてきたのか?」
「僕だけじゃないよ…アイーシャやこの子達の説得があったから、皆来てくれたんだ。」
「だ、だがな…。」
「あっ…皆さん、怪我をされているんですね。」
それでもまだ戸惑うサムだが、アイーシャはサムの傍へと駆け寄った
そして、精霊の力を使って彼の傷を癒し始める
その様子を呆然と見ているうちに、傷の手当が完了する
「他の皆さんも見せてください…私なら、多少の傷を癒す事が出来ますから。」
アイーシャの言葉に、皆は戸惑った様子で顔を見合わせるだけだった
それでも、彼女は自分から進んで村人達の傷を癒していく
「ジーニアスやプレセアだけじゃなく、翼人達まで来てくれたか…本当、よく来てくれたな。」
精霊の力を争い事に使いたくないといっていたのに…
「それはアイーシャも最後まで迷っていました…けど、皆が本当に理解しあえるのならって。」
共存の道を歩みたいから…敢えて、彼女は自身の信念を曲げたのだ
それを聞き、クラースは軽くヨシアの背を叩く
「良い子じゃないか、本当に…大切にしてやれよ。」
「えっ…は、はい!!」
その言葉にヨシアは頷きながら答えると、アイーシャの元へと駆け寄っていった
それを見送っていると、タバサ達がクラースの元へと歩み寄る
「敵の正体が解った…相手は彼等の世界から来たらしい。」
タバサが、先程二人から聞いた話をクラースに話す
「そうか、やはり敵は異世界の…それも、君達の世界だとは驚きだな。」
「でも、僕達でもどうしてあいつ等が此処にいるのか…目的が何なのか解らないんだ。」
「その辺は、この一件が終わった後に奴等から聞きだすしかないというわけだ。」
折角、流れが此方にのってきたのだ…負けるわけにはいかない
クラース達は今回の一件に決着をつけるべく、動き出した
全員を倒した後、向こうからクラースがサム達を引き連れてやってきた
ある程度近づくと、プレセアとジーニアスがいる事にも気付く
「お、お前達は…何でお前等が此処に!?」
当然、サムも二人がいる事に気付いて驚きの声をあげる
後ろの仲間達も武器を構えるが、クラースがそれを止める
「待て、この二人は私達の手助けに来たんだ…そうだろ、二人とも?」
クラースの言葉に二人は頷いて答えるが、それでもサム達の警戒心は緩まない
「そんなの信じられるか、こいつ等のせいで昨日は酷い目にあったんだぞ!!」
「それに、翼人どもだって…こんな時に何をするか分かったもんじゃねぇし。」
自分達の行動を棚に上げて、二人や翼人達を非難する村人達
そんな彼等に憤りを感じながらも、ジーニアスは口を開く
「あのさ…折角皆が助けに来てくれるのに、そんな言い草はないんじゃない?」
ジーニアスの言葉にサム達は首を傾げる…意味が分からないらしい
「この街を助けに来たのは私達だけではありません、翼人の皆さんも一緒です。」
「僕達は先に着たんだけど…もうすぐ皆こっちに来る頃だよ。」
翼人達が此処に来る…その言葉に、皆驚いた表情を見せる
それも、自分達を助けに来る為だというのだから
「ば、馬鹿をいうな…翼人どもが俺達を助けにくるわけねぇだろ。」
「嘘じゃないって…ほら、来たよ。」
ジーニアスの言葉に、サムやクラース達は上を見上げる
上空には、翼を生やした人…翼人達が何人も飛んでいるのが見えた
彼等は村中に散らばると、苦戦している村人達を援護していく
「ね、嘘じゃないでしょ。」
「だ、だけどよ…何で奴等、俺達を助けに…。」
「兄さん!!」
その疑問に答える人物の声が聞こえた…自分が知っている弟の声だった
声の方を向くと、ヨシアが此方へやってくる…アイーシャも一緒だ
「ヨシア、お前今まで何処に…それにその翼人の女は…。」
「兄さん、今はそんな場合じゃないよ…翼人の皆と一緒にディザイアンと戦うんだ。」
戸惑う兄に向かって、普段とは違う力強い声でヨシアは呼びかける
「あの翼人達…ヨシアが連れてきたのか?」
「僕だけじゃないよ…アイーシャやこの子達の説得があったから、皆来てくれたんだ。」
「だ、だがな…。」
「あっ…皆さん、怪我をされているんですね。」
それでもまだ戸惑うサムだが、アイーシャはサムの傍へと駆け寄った
そして、精霊の力を使って彼の傷を癒し始める
その様子を呆然と見ているうちに、傷の手当が完了する
「他の皆さんも見せてください…私なら、多少の傷を癒す事が出来ますから。」
アイーシャの言葉に、皆は戸惑った様子で顔を見合わせるだけだった
それでも、彼女は自分から進んで村人達の傷を癒していく
「ジーニアスやプレセアだけじゃなく、翼人達まで来てくれたか…本当、よく来てくれたな。」
精霊の力を争い事に使いたくないといっていたのに…
「それはアイーシャも最後まで迷っていました…けど、皆が本当に理解しあえるのならって。」
共存の道を歩みたいから…敢えて、彼女は自身の信念を曲げたのだ
それを聞き、クラースは軽くヨシアの背を叩く
「良い子じゃないか、本当に…大切にしてやれよ。」
「えっ…は、はい!!」
その言葉にヨシアは頷きながら答えると、アイーシャの元へと駆け寄っていった
それを見送っていると、タバサ達がクラースの元へと歩み寄る
「敵の正体が解った…相手は彼等の世界から来たらしい。」
タバサが、先程二人から聞いた話をクラースに話す
「そうか、やはり敵は異世界の…それも、君達の世界だとは驚きだな。」
「でも、僕達でもどうしてあいつ等が此処にいるのか…目的が何なのか解らないんだ。」
「その辺は、この一件が終わった後に奴等から聞きだすしかないというわけだ。」
折角、流れが此方にのってきたのだ…負けるわけにはいかない
クラース達は今回の一件に決着をつけるべく、動き出した
「………。」
村の入り口には、ディザイアン達の旗本となる部隊がいた
彼等の中心には、鞭を持ったディザイアンが報告を待っている
ベイリップと呼ばれるこのディザイアンは、この軍団のリーダーであった
「はぁ、はぁ、はぁ……。」
村から一人の兵士が報告に戻ってきた…体中傷だらけである
「ほ、報告します…森より敵援軍が現れました、翼人と呼ばれるこの世界の亜人のようです。」
「そうか…それで、戦況は?」
「はっ、最初は我々が優勢だったのですが…この世界のメイジと翼人達の増援により苦戦しています。」
それに…と、報告はまだ続く
「戦闘の中で、神子の仲間二名を確認しました…あのハーフエルフの魔術師と斧を持った戦士です。」
「何、神子の一味が…奴等もこの世界に来ていたのか?」
報告を聞きリーダーだけでなく、周りにいる者達も驚く
それ程、二人の存在は彼等にとって脅威だからだ
「は、はい、確認されたのはその二名だけですが…後、召喚士の存在も確認されています。」
以上です、と部下の報告を聞いてリーダーは思考する
周りのディザイアン達は、彼の指示が出るのを待った
「つまりは、主戦力であるそいつ等を倒せば良いわけだな…よし。」
彼は自分の考えを纏めると、一歩前へと歩み出る
そして、自分の部下達を見回し、声を上げた
「これより、我等も前線に入る…奴等を倒せばこの村を一気に占拠できる!!」
全軍、前進…の掛け声と共に、残った部隊も投入された
村の入り口には、ディザイアン達の旗本となる部隊がいた
彼等の中心には、鞭を持ったディザイアンが報告を待っている
ベイリップと呼ばれるこのディザイアンは、この軍団のリーダーであった
「はぁ、はぁ、はぁ……。」
村から一人の兵士が報告に戻ってきた…体中傷だらけである
「ほ、報告します…森より敵援軍が現れました、翼人と呼ばれるこの世界の亜人のようです。」
「そうか…それで、戦況は?」
「はっ、最初は我々が優勢だったのですが…この世界のメイジと翼人達の増援により苦戦しています。」
それに…と、報告はまだ続く
「戦闘の中で、神子の仲間二名を確認しました…あのハーフエルフの魔術師と斧を持った戦士です。」
「何、神子の一味が…奴等もこの世界に来ていたのか?」
報告を聞きリーダーだけでなく、周りにいる者達も驚く
それ程、二人の存在は彼等にとって脅威だからだ
「は、はい、確認されたのはその二名だけですが…後、召喚士の存在も確認されています。」
以上です、と部下の報告を聞いてリーダーは思考する
周りのディザイアン達は、彼の指示が出るのを待った
「つまりは、主戦力であるそいつ等を倒せば良いわけだな…よし。」
彼は自分の考えを纏めると、一歩前へと歩み出る
そして、自分の部下達を見回し、声を上げた
「これより、我等も前線に入る…奴等を倒せばこの村を一気に占拠できる!!」
全軍、前進…の掛け声と共に、残った部隊も投入された
……………
エギンハイム村の攻防戦は、村の中央広場へと舞台は移った
劣勢を強いられる村人達だったが、翼人達の登場によって形勢を逆転させた
村人達の反撃に、ディザイアンは一人、また一人と倒されていく
「ふぅ…やれやれ、何とか持ちなおしたな。」
額の汗を拭いながら、クラースは辺りを見回す
村人達の避難は完了し、ディザイアンも殆ど撃退できた…負傷した者は手当てを受けている
「油断は出来ない…まだ敵はいるはず。」
「そうですね…その確立は極めて高いです。」
タバサとプレセアはそう言いながら武器を構え、相手の出方を待つ
「大丈夫ですか、皆さん。」
後ろでは、今の戦いで負傷した村人を、アイーシャを含めた翼人達が手当てしていた
最初は抵抗感を持つ者もいたが、今はそんな様子は見られない
高い治癒能力を持つ彼女達に、皆感謝していた…その様子をサムは見つめている
「全く、どいつもこいつも翼人どもに甘えやがって…敵じゃなかったのかよ。」
「兄さん、またそんな事を…。」
ヨシアが憎まれ口を叩く兄を諌めようとすると、サムが此方に振り向いた
二人の兄弟は互いに見つめあい…やがて、サムが笑みを漏らした
「解ってるさ、今は翼人がどうのこうの言ってる場合じゃない…村の存亡がかかってるからな。」
自分を含め、村人達にとってこの村は全てだ…村が無くなれば、自分達の居場所はなくなってしまう
その事を考えて…自然と、サムは今の本音を漏らした
「ヨシア…お前が正しかったのかもな。互いに協力し合えば何とかなるもんだ…こんな時とかな。」
「兄さん…。」
サムの言葉に、ヨシアは自分の心が温かくなるのを感じた
ちょっと予定とは違うけど、村人と翼人が理解し合えている事が嬉しかったからだ
そして、兄弟は互いに笑った…今回の騒動で、初めて二人は笑いあえた
「皆さん、来ます。」
だが、その温かな時はプレセアの声によって終わりを告げる
前方から、無数の矢が此方に向かって降り注いできたのだ
その矢はタバサと翼人達によって防がれ、全員無事だった
「敵の増援か…いよいよというわけだな。」
クラースが見据える先には、ベイリップ率いるディザイアン達の姿があった
劣勢を強いられる村人達だったが、翼人達の登場によって形勢を逆転させた
村人達の反撃に、ディザイアンは一人、また一人と倒されていく
「ふぅ…やれやれ、何とか持ちなおしたな。」
額の汗を拭いながら、クラースは辺りを見回す
村人達の避難は完了し、ディザイアンも殆ど撃退できた…負傷した者は手当てを受けている
「油断は出来ない…まだ敵はいるはず。」
「そうですね…その確立は極めて高いです。」
タバサとプレセアはそう言いながら武器を構え、相手の出方を待つ
「大丈夫ですか、皆さん。」
後ろでは、今の戦いで負傷した村人を、アイーシャを含めた翼人達が手当てしていた
最初は抵抗感を持つ者もいたが、今はそんな様子は見られない
高い治癒能力を持つ彼女達に、皆感謝していた…その様子をサムは見つめている
「全く、どいつもこいつも翼人どもに甘えやがって…敵じゃなかったのかよ。」
「兄さん、またそんな事を…。」
ヨシアが憎まれ口を叩く兄を諌めようとすると、サムが此方に振り向いた
二人の兄弟は互いに見つめあい…やがて、サムが笑みを漏らした
「解ってるさ、今は翼人がどうのこうの言ってる場合じゃない…村の存亡がかかってるからな。」
自分を含め、村人達にとってこの村は全てだ…村が無くなれば、自分達の居場所はなくなってしまう
その事を考えて…自然と、サムは今の本音を漏らした
「ヨシア…お前が正しかったのかもな。互いに協力し合えば何とかなるもんだ…こんな時とかな。」
「兄さん…。」
サムの言葉に、ヨシアは自分の心が温かくなるのを感じた
ちょっと予定とは違うけど、村人と翼人が理解し合えている事が嬉しかったからだ
そして、兄弟は互いに笑った…今回の騒動で、初めて二人は笑いあえた
「皆さん、来ます。」
だが、その温かな時はプレセアの声によって終わりを告げる
前方から、無数の矢が此方に向かって降り注いできたのだ
その矢はタバサと翼人達によって防がれ、全員無事だった
「敵の増援か…いよいよというわけだな。」
クラースが見据える先には、ベイリップ率いるディザイアン達の姿があった
村の中央広場は、ディザイアンとクラース達によって二分される状態となっている
中央を境として、両者は対峙しているのだ
「確かに、奴等の姿があるな…ジーニアス・セイジとプレセア・コンバティールと言ったか。」
二人を見てそう呟くと、ベイリップは一人前へと歩き出した
それは、一見無謀にも見える行為に見えた
「あいつ、一人で来るつもりか…皆、矢を射掛けろ!!」
サムの指示に、男達は矢を向かってくるベイリップへと放った
数本の矢が、彼を狙って飛んでいくが……
「ふん!!」
彼は持っている鞭で、その全てをなぎ払った
半分に折られて地面に落ちた矢を見て、サム達は驚く
「あいつ、出来るな…奴がディザイアン達のリーダー格か。」
クラースがそう推察する中、更にベイリップは歩を進める
やがてクラース達の前まで近づくと、その歩みをとめた
「まさか、こんな所で会えるとは思わなんだぞ、神子の仲間達よ…これも因縁か。」
前に出ている四人に聞こえる声で、ベイリップが語りかけてくる
特にジーニアスとプレセアには、憎悪を含んだ瞳で睨んでいた
「貴方達は…何故此処にいるのですか?何故この世界に…。」
「それは此方の台詞だ…まさか、また我等の計画を邪魔しに来たのか?」
「計画…計画ってまさか…。」
ベイリップの言葉に、ジーニアスは嫌な予感を感じた
彼等があの時の残党というのなら、その目的は…
「決まっている、我等の悲願である千年王国の設立…その為に私達は戦っているのだ。」
ジーニアスの予想は的中した、彼等はあの頃…三年前のままだった
全ては終わったというのに……
「そんな、ミトスは…ユグドラシルはもういないんだよ。クルシスだって無くなったんだ、なのに…。」
「黙れ、小僧…例えユグドラシル様が倒れても、裏切り者の四大天使が何と言おうとも、我等の悲願は果たさねばならんのだ!!」
ジーニアスに怒鳴りつけると、ベイリップは鞭を彼に向けて放った
それは威嚇攻撃で、鞭はジーニアスの足元にあった小石を砕いた
「過去の、亡霊……。」
ディザイアン達を見つめながら、プレセアがぽつりと呟いた…その言葉は正しかった
彼等は残党、過去の亡霊なのだ…三年前に終わったあの戦いの…
「ジーニアス、戦いましょう…彼等を放っておくわけにはいきません。」
「うん、分かってる…ミトスを眠らせてあげる為にも…。」
二人の思いは同じだった…武器を構え、戦闘態勢を整える
「詳しい事情は解らんが…乗りかかった船だ、亡霊にはお引取り願おうか。」
クラースもまた構えを取り、タバサも無言で杖を構える
その様子に、ベイリップは鼻で笑う
「貴様らを倒せば、我等の邪魔をする者もいなくなり、計画もはかどるわけだ…全員、攻撃開始!!」
隊長の指示に、待機していたディザイアン達が一斉に攻撃を仕掛ける
それを迎え撃つべく、サムや翼人達も戦い始める…最後の戦いが始まった
「さて…貴様らの相手は私だが…これを使わせてもらおうか。」
ベイリップが鞭を地面に向けて叩くと、どこからともなく三つの物体が姿を現した
風を纏ったそれは、ベイリップを守るように配置につく
「あれはウィンドコア…風を操って使用者を守る人工生命体だよ。」
「行くぞ、我等の悲願の為に!!」
ベイリップの鞭が唸り、ウィンドコアの風がクラース達に襲い掛かった
中央を境として、両者は対峙しているのだ
「確かに、奴等の姿があるな…ジーニアス・セイジとプレセア・コンバティールと言ったか。」
二人を見てそう呟くと、ベイリップは一人前へと歩き出した
それは、一見無謀にも見える行為に見えた
「あいつ、一人で来るつもりか…皆、矢を射掛けろ!!」
サムの指示に、男達は矢を向かってくるベイリップへと放った
数本の矢が、彼を狙って飛んでいくが……
「ふん!!」
彼は持っている鞭で、その全てをなぎ払った
半分に折られて地面に落ちた矢を見て、サム達は驚く
「あいつ、出来るな…奴がディザイアン達のリーダー格か。」
クラースがそう推察する中、更にベイリップは歩を進める
やがてクラース達の前まで近づくと、その歩みをとめた
「まさか、こんな所で会えるとは思わなんだぞ、神子の仲間達よ…これも因縁か。」
前に出ている四人に聞こえる声で、ベイリップが語りかけてくる
特にジーニアスとプレセアには、憎悪を含んだ瞳で睨んでいた
「貴方達は…何故此処にいるのですか?何故この世界に…。」
「それは此方の台詞だ…まさか、また我等の計画を邪魔しに来たのか?」
「計画…計画ってまさか…。」
ベイリップの言葉に、ジーニアスは嫌な予感を感じた
彼等があの時の残党というのなら、その目的は…
「決まっている、我等の悲願である千年王国の設立…その為に私達は戦っているのだ。」
ジーニアスの予想は的中した、彼等はあの頃…三年前のままだった
全ては終わったというのに……
「そんな、ミトスは…ユグドラシルはもういないんだよ。クルシスだって無くなったんだ、なのに…。」
「黙れ、小僧…例えユグドラシル様が倒れても、裏切り者の四大天使が何と言おうとも、我等の悲願は果たさねばならんのだ!!」
ジーニアスに怒鳴りつけると、ベイリップは鞭を彼に向けて放った
それは威嚇攻撃で、鞭はジーニアスの足元にあった小石を砕いた
「過去の、亡霊……。」
ディザイアン達を見つめながら、プレセアがぽつりと呟いた…その言葉は正しかった
彼等は残党、過去の亡霊なのだ…三年前に終わったあの戦いの…
「ジーニアス、戦いましょう…彼等を放っておくわけにはいきません。」
「うん、分かってる…ミトスを眠らせてあげる為にも…。」
二人の思いは同じだった…武器を構え、戦闘態勢を整える
「詳しい事情は解らんが…乗りかかった船だ、亡霊にはお引取り願おうか。」
クラースもまた構えを取り、タバサも無言で杖を構える
その様子に、ベイリップは鼻で笑う
「貴様らを倒せば、我等の邪魔をする者もいなくなり、計画もはかどるわけだ…全員、攻撃開始!!」
隊長の指示に、待機していたディザイアン達が一斉に攻撃を仕掛ける
それを迎え撃つべく、サムや翼人達も戦い始める…最後の戦いが始まった
「さて…貴様らの相手は私だが…これを使わせてもらおうか。」
ベイリップが鞭を地面に向けて叩くと、どこからともなく三つの物体が姿を現した
風を纏ったそれは、ベイリップを守るように配置につく
「あれはウィンドコア…風を操って使用者を守る人工生命体だよ。」
「行くぞ、我等の悲願の為に!!」
ベイリップの鞭が唸り、ウィンドコアの風がクラース達に襲い掛かった
四人は攻撃を避けると、二手に分かれてベイリップを攻める事にした
ジーニアスとプレセア、クラースとタバサにである
「いくぞ………バースト!!!」
既に準備を整えていたクラースは、バーストを唱えた
光弾はベイリップ目掛けて放たれるが、ウィンドコアの放つ風によって反らされる
「ラグース・イス・イーサ……。」
「いくよ………フリーズランサー!!!」
続いてタバサとジーニアスが、ウィンディ・アイシクルとフリーズランサーを唱える
氷の槍と矢が飛んでいくが、それもウィンドコアの風によって阻まれてしまう
「駄目だ、あれのせいで僕達の呪文が効かないよ。」
「なら、接近して……。」
プレセアが斧を構えて接近し、ベイリップに向かって切りかかった
だが、ウィンドコアが行く手を遮り、攻撃を押さえ込む
「くっ……ああっ!?」
そして衝撃波を生み出し、プレセアの体を吹き飛ばした
吹き飛ばされたプレセアは空中で体勢を戻すと、地面に着地した
が、衝撃の影響でその場に片膝をつく
「プレセア、大丈夫?」
「大丈夫です…少しダメージを受けただけですから。」
ジーニアスにそう答えると、プレセアはベイリップを見据える
ウィンドコアは主を守り、その中心で彼は笑みを浮かべている
「以前のものより強化されています…中途半端な攻撃では、歯が立ちません。」
「その通りだ…貴様等の攻撃なぞ、こいつの前には手も足も出ないだろう。」
そう言うと、ベイリップは鞭を振ってプレセアを攻撃した
バックステップで避けるが、相手は次々と仕掛けてくる
「そらそらそらそらそら!!!!」
ベイリップは鞭を振るい、ウィンドコアは風を巻き起こす
その鞭とウィンドコアの風によって彼等は苦戦を強いられた
「おりゃあ!!」
一方、他のディザイアン達と戦っているサム達は善戦していた
確かに相手の一人一人の腕は良いが、翼人達がサポートに回っている事によって苦にはならない
サムは向かってきた相手をまた一人、自慢の斧で沈める
「お前等が誰だか知らないが…俺達の村を好きにはさせねぇぜ!!」
倒れたディザイアンに向かってそう言い放つと、苦戦している仲間達の援護に向かった
「………」
そんな彼を、今一人のディザイアンが狙っていた
ポーチャーと呼ばれるディザイアンは、持っているボウガンをサムに向けている
「あ、あれは……。」
それに気付いたのは、近くで戦っていたヨシアだった
兄の様子を伺うと、目の前の敵と戦っていて気付いていない
その間に、ポーチャーはボウガンの引き金を引こうとした
「兄さん、危ない!!」
そう叫んでヨシアがサムの前に出たのと、矢が放たれたのは同時だった
放たれた矢はサム目掛けて飛んでいくが、ヨシアがその間に割り込む
「ヨシア!?」
敵を倒し、振り返った時に見えたのは…胸に矢が突き刺さった弟の姿だった
ヨシアはサムの目の前で、その場に崩れ落ちる
「ヨシア…畜生、この野郎!!」
サムはポーチャーを睨むと、短剣を取り出して投げつけた
その短剣は胸に突き刺さり、相手はその場へ倒れた
「ヨシア、しっかりしろ…ヨシア!!」
サムはヨシアを抱きかかえて彼の名を呼ぶ…が返事は返ってこない
ヨシアが倒れている事に気付いたアイーシャが、彼等に駆け寄ってくる
「ヨシア、ヨシア!!」
彼女もヨシアの名を叫ぶが、それでも彼から返事は返ってこない
その間にも、敵はやってくる…弟を守る為、サムは斧を手に戦った
ジーニアスとプレセア、クラースとタバサにである
「いくぞ………バースト!!!」
既に準備を整えていたクラースは、バーストを唱えた
光弾はベイリップ目掛けて放たれるが、ウィンドコアの放つ風によって反らされる
「ラグース・イス・イーサ……。」
「いくよ………フリーズランサー!!!」
続いてタバサとジーニアスが、ウィンディ・アイシクルとフリーズランサーを唱える
氷の槍と矢が飛んでいくが、それもウィンドコアの風によって阻まれてしまう
「駄目だ、あれのせいで僕達の呪文が効かないよ。」
「なら、接近して……。」
プレセアが斧を構えて接近し、ベイリップに向かって切りかかった
だが、ウィンドコアが行く手を遮り、攻撃を押さえ込む
「くっ……ああっ!?」
そして衝撃波を生み出し、プレセアの体を吹き飛ばした
吹き飛ばされたプレセアは空中で体勢を戻すと、地面に着地した
が、衝撃の影響でその場に片膝をつく
「プレセア、大丈夫?」
「大丈夫です…少しダメージを受けただけですから。」
ジーニアスにそう答えると、プレセアはベイリップを見据える
ウィンドコアは主を守り、その中心で彼は笑みを浮かべている
「以前のものより強化されています…中途半端な攻撃では、歯が立ちません。」
「その通りだ…貴様等の攻撃なぞ、こいつの前には手も足も出ないだろう。」
そう言うと、ベイリップは鞭を振ってプレセアを攻撃した
バックステップで避けるが、相手は次々と仕掛けてくる
「そらそらそらそらそら!!!!」
ベイリップは鞭を振るい、ウィンドコアは風を巻き起こす
その鞭とウィンドコアの風によって彼等は苦戦を強いられた
「おりゃあ!!」
一方、他のディザイアン達と戦っているサム達は善戦していた
確かに相手の一人一人の腕は良いが、翼人達がサポートに回っている事によって苦にはならない
サムは向かってきた相手をまた一人、自慢の斧で沈める
「お前等が誰だか知らないが…俺達の村を好きにはさせねぇぜ!!」
倒れたディザイアンに向かってそう言い放つと、苦戦している仲間達の援護に向かった
「………」
そんな彼を、今一人のディザイアンが狙っていた
ポーチャーと呼ばれるディザイアンは、持っているボウガンをサムに向けている
「あ、あれは……。」
それに気付いたのは、近くで戦っていたヨシアだった
兄の様子を伺うと、目の前の敵と戦っていて気付いていない
その間に、ポーチャーはボウガンの引き金を引こうとした
「兄さん、危ない!!」
そう叫んでヨシアがサムの前に出たのと、矢が放たれたのは同時だった
放たれた矢はサム目掛けて飛んでいくが、ヨシアがその間に割り込む
「ヨシア!?」
敵を倒し、振り返った時に見えたのは…胸に矢が突き刺さった弟の姿だった
ヨシアはサムの目の前で、その場に崩れ落ちる
「ヨシア…畜生、この野郎!!」
サムはポーチャーを睨むと、短剣を取り出して投げつけた
その短剣は胸に突き刺さり、相手はその場へ倒れた
「ヨシア、しっかりしろ…ヨシア!!」
サムはヨシアを抱きかかえて彼の名を呼ぶ…が返事は返ってこない
ヨシアが倒れている事に気付いたアイーシャが、彼等に駆け寄ってくる
「ヨシア、ヨシア!!」
彼女もヨシアの名を叫ぶが、それでも彼から返事は返ってこない
その間にも、敵はやってくる…弟を守る為、サムは斧を手に戦った
「はぁ、はぁ、はぁ…これは随分と厄介な敵だな。」
左腕を抑えながら、クラースはベイリップを見る…抑えた箇所から血が流れている
彼も、彼を守るウィンドコアも健在で、不適な笑みを浮かべている
他の三人を見ると、傷を負っているが何とか立っている
「ジーニアス…上級魔術であれごと一気に倒すというのは無理なのか?」
「出来ない事はないけど…詠唱時間が長いのと、強力すぎて周囲にも被害が出ちゃうからお勧めは出来ないよ。」
周囲では村人と翼人達も戦っている…これだけ混在しては、識別するのも難しい
相手を倒せても、村人まで巻き添えにしては意味がない
「(どうする…どうすれば良い?)」
クラースは思考を回転させる…どうやれば、あの防壁を突破できるのか
要は風をどうにかすれば良いのだが…しばらく考えた後、頭の中にある案が浮かんだ
「そうか…無理に壊さなくても、あれの動きを止めれば良いのか。」
そう叫ぶと、クラースは詠唱に入った…シルフを呼び出すつもりだ
だが、ベイリップはそれを許さない
「召喚術か…そうはさせるか!!」
ウィンドコアが風を発生させ、クラースを吹き飛ばそうとする
迫り来る風…だが、そこへタバサが割り込み、杖を向けた
タバサの風がウィンドコアの風を遮り、クラースを守る
「タバサ、助かる………いくぞ、シルフ!!!」
タバサが守っている間に、クラースは詠唱を終えてシルフを召喚した
三姉妹はベイリップに向かって飛ぶと、三方から彼を囲む
「よし…頼むぞ、シルフ!!」
クラースの意図を理解した彼女達は、風を放った…ウィンドコアも風を発生させ、相殺する
風と風がぶつかり合い、荒れ狂うように周囲に風が吹き荒れる
「無駄だ、いくら風の精霊といえど、この改良されたウィンドコアを破壊する事は出来んぞ!!」
「確かにそいつは厄介だがな…今の状況をよく考えてみろ。」
「何!?」
クラースの言葉に、ベイリップは辺りを見回す
自身を守っていたウィンドコアは、シルフの風を防いでいて身動きが取れない
その為に、死角が生まれてしまった…つまり
「まさか…しまった!?」
「今だ、タバサ、ジーニアス、プレセア…一気に攻めろ!!」
彼がそれに気付いたが遅かった…クラースの言葉に対し、三人の行動は早かった
ジーニアスとタバサは呪文を唱え、プレセアは一気に接近する
舌打ちをすると、ベイリップは鞭を振るって攻撃しようとするが…
「ウィンドカッター!!!」
ジーニアスの風の刃により、鞭はプレセアに当たる直前に切断された
更に、タバサがアイスストームを唱え、氷の嵐が襲い掛かる
何とか耐え切ってみせるが、プレセアはすぐ傍まで来ていた
「これで…終わりです!!」
「ぐはっ!?」
強烈なプレセアの斧が、ベイリップの胸を切り裂く
その一撃で致命傷を受け、彼は血を流しながらその場へと倒れた
周りのウィンドコアも、主が倒れた事で機能を停止させる
「ま、まさか…風で風を抑えつける事で、ウィンドコアの防壁を崩すとは…。」
「風はあんたの専売特許じゃないってわけだ…防壁への過信が仇となったな。」
ベイリップは立ち上がろうとするが、既に戦う力は残っていなかった
顔を上げると、プレセアが此方を見下ろしている
「教えてください…何故、貴方達はこの世界にやってこれたのですか?」
「……フッ、貴様等に話す事など…何もない。」
そう言うと、ベイリップは丸薬を取り出してそれを飲み込んだ
直後、口から大量の血を吐き出す
「貴方、毒を……。」
「ククク、死人に口無し……だが…これは覚えておけ、我等の…悲願は……あ、あの方が…きっと…。」
そこまで言うと、ベイリップはガクリと頭を垂れて動かなくなった
あの方…と、黒幕がいるような言葉だけを残して
左腕を抑えながら、クラースはベイリップを見る…抑えた箇所から血が流れている
彼も、彼を守るウィンドコアも健在で、不適な笑みを浮かべている
他の三人を見ると、傷を負っているが何とか立っている
「ジーニアス…上級魔術であれごと一気に倒すというのは無理なのか?」
「出来ない事はないけど…詠唱時間が長いのと、強力すぎて周囲にも被害が出ちゃうからお勧めは出来ないよ。」
周囲では村人と翼人達も戦っている…これだけ混在しては、識別するのも難しい
相手を倒せても、村人まで巻き添えにしては意味がない
「(どうする…どうすれば良い?)」
クラースは思考を回転させる…どうやれば、あの防壁を突破できるのか
要は風をどうにかすれば良いのだが…しばらく考えた後、頭の中にある案が浮かんだ
「そうか…無理に壊さなくても、あれの動きを止めれば良いのか。」
そう叫ぶと、クラースは詠唱に入った…シルフを呼び出すつもりだ
だが、ベイリップはそれを許さない
「召喚術か…そうはさせるか!!」
ウィンドコアが風を発生させ、クラースを吹き飛ばそうとする
迫り来る風…だが、そこへタバサが割り込み、杖を向けた
タバサの風がウィンドコアの風を遮り、クラースを守る
「タバサ、助かる………いくぞ、シルフ!!!」
タバサが守っている間に、クラースは詠唱を終えてシルフを召喚した
三姉妹はベイリップに向かって飛ぶと、三方から彼を囲む
「よし…頼むぞ、シルフ!!」
クラースの意図を理解した彼女達は、風を放った…ウィンドコアも風を発生させ、相殺する
風と風がぶつかり合い、荒れ狂うように周囲に風が吹き荒れる
「無駄だ、いくら風の精霊といえど、この改良されたウィンドコアを破壊する事は出来んぞ!!」
「確かにそいつは厄介だがな…今の状況をよく考えてみろ。」
「何!?」
クラースの言葉に、ベイリップは辺りを見回す
自身を守っていたウィンドコアは、シルフの風を防いでいて身動きが取れない
その為に、死角が生まれてしまった…つまり
「まさか…しまった!?」
「今だ、タバサ、ジーニアス、プレセア…一気に攻めろ!!」
彼がそれに気付いたが遅かった…クラースの言葉に対し、三人の行動は早かった
ジーニアスとタバサは呪文を唱え、プレセアは一気に接近する
舌打ちをすると、ベイリップは鞭を振るって攻撃しようとするが…
「ウィンドカッター!!!」
ジーニアスの風の刃により、鞭はプレセアに当たる直前に切断された
更に、タバサがアイスストームを唱え、氷の嵐が襲い掛かる
何とか耐え切ってみせるが、プレセアはすぐ傍まで来ていた
「これで…終わりです!!」
「ぐはっ!?」
強烈なプレセアの斧が、ベイリップの胸を切り裂く
その一撃で致命傷を受け、彼は血を流しながらその場へと倒れた
周りのウィンドコアも、主が倒れた事で機能を停止させる
「ま、まさか…風で風を抑えつける事で、ウィンドコアの防壁を崩すとは…。」
「風はあんたの専売特許じゃないってわけだ…防壁への過信が仇となったな。」
ベイリップは立ち上がろうとするが、既に戦う力は残っていなかった
顔を上げると、プレセアが此方を見下ろしている
「教えてください…何故、貴方達はこの世界にやってこれたのですか?」
「……フッ、貴様等に話す事など…何もない。」
そう言うと、ベイリップは丸薬を取り出してそれを飲み込んだ
直後、口から大量の血を吐き出す
「貴方、毒を……。」
「ククク、死人に口無し……だが…これは覚えておけ、我等の…悲願は……あ、あの方が…きっと…。」
そこまで言うと、ベイリップはガクリと頭を垂れて動かなくなった
あの方…と、黒幕がいるような言葉だけを残して