「着いたわ」
食堂へ到着すると、ポロンはその広さと豪華さに目を見開いた。
山の様に積まれた料理から食欲をくすぐるいい匂いがしてくる。
最初に食堂と聞いた時は、町の片隅にある様な質素なものを想像していただけに、
自身の想像とあまりにかけ離れた目の前の光景にポロンはただただ驚くばかりであった。
山の様に積まれた料理から食欲をくすぐるいい匂いがしてくる。
最初に食堂と聞いた時は、町の片隅にある様な質素なものを想像していただけに、
自身の想像とあまりにかけ離れた目の前の光景にポロンはただただ驚くばかりであった。
「こいつぁ凄えなあ。ここは本当に学生食堂なのかよ?」
この魔法学院自体が下手をすれば一国の城と大差無い程の規模があるだけに、
その内装も学校という範疇を軽く超えたものであった。
物珍しそうに食堂内を見回すポロンを見て、ルイズは得意げに胸を張った。
その内装も学校という範疇を軽く超えたものであった。
物珍しそうに食堂内を見回すポロンを見て、ルイズは得意げに胸を張った。
「ここは本来平民は勿論、使い魔だって入ることは許されない場所なのよ。
アンタは私の計らいで特別に入ることを許されたんだから感謝しなさいよね!」
「そういやあ、確かに他の使い魔を見ねえなあ」
アンタは私の計らいで特別に入ることを許されたんだから感謝しなさいよね!」
「そういやあ、確かに他の使い魔を見ねえなあ」
ポロンは食堂内で先程ルイズの部屋の前から慌てて立ち去ったキュルケの姿を確認したが、
その近くにフレイムの姿は無かった。
代わりに鮮やかな空色の髪をしたメガネの少女と何やら談笑していた。
メガネの少女の方は食堂内なのに本を読みながら適当に相槌を打っている。
その近くにフレイムの姿は無かった。
代わりに鮮やかな空色の髪をしたメガネの少女と何やら談笑していた。
メガネの少女の方は食堂内なのに本を読みながら適当に相槌を打っている。
「何しているの?早くこっちへ来なさい!」
見ると、ルイズは既に席へ着いていた。
ポロンがルイズの隣の席に座ろうとすると、ルイズは無言でそれを制した。
ポロンがルイズの隣の席に座ろうとすると、ルイズは無言でそれを制した。
「?何だよ?」
「そこは貴族だけが座れる席よ。アンタはここ」
「そこは貴族だけが座れる席よ。アンタはここ」
ルイズはそう言いながら地面を指差した。
そこには固そうなパンと何も入っていない色の薄いスープの入った皿が置かれている。
それを見るなり、ポロンの表情が変わった。
そこには固そうなパンと何も入っていない色の薄いスープの入った皿が置かれている。
それを見るなり、ポロンの表情が変わった。
「ああ?これは何だ?」
ポロンは不機嫌を隠さずに言った。
しかし、ルイズはただ首を横に振るだけで取り合おうともしない。
ポロンは渋々地面に座り込んだ。
それを見て、ルイズは内心ほくそ笑む。
しかし、ルイズはただ首を横に振るだけで取り合おうともしない。
ポロンは渋々地面に座り込んだ。
それを見て、ルイズは内心ほくそ笑む。
(ウフフ・・・。使い魔とご主人様との差が身に染みて分かったかしら?)
そうしている間に食前の祈りの時間となった。
ルイズは目を閉じると、唱和を始める。
ルイズは目を閉じると、唱和を始める。
「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今朝もささやかな糧を与えたもうたことを感謝いたします」
(ささやか・・・ねえ。俺らの世界の言葉と意味が違わねえなら、こりゃ皮肉って奴だな)
ポロンは手にパンを持ちながら、心の中でそう呟いた。
(まあ、旅している時はパンどころか水すらろくに飲めないこともあったし、
それに比べりゃマシだ、と思うしかねえな)
それに比べりゃマシだ、と思うしかねえな)
目の前に積まれたご馳走を睨み付けながら、ポロンはパンを千切って口の中に放り入れた。
ふとルイズの方を見ると、彼女の前には鳥のローストにサラダ、パイにワインなど
朝から食べるにはあまりそぐわないものが並べられている。
ポロンの視線に気が付くと、ルイズは鳥のローストから皮をナイフで切り取り、それをポロンの皿へ落とした。
ふとルイズの方を見ると、彼女の前には鳥のローストにサラダ、パイにワインなど
朝から食べるにはあまりそぐわないものが並べられている。
ポロンの視線に気が付くと、ルイズは鳥のローストから皮をナイフで切り取り、それをポロンの皿へ落とした。
「ほら、肉は癖になるからダメよ」
「へーへー、ご主人様のあまりに慈悲深き行いに涙が止まんねーよ」
「へーへー、ご主人様のあまりに慈悲深き行いに涙が止まんねーよ」
ポロンはそう言うと、鳥の皮をパンに乗せて食べる。
ルイズは満足そうな顔をして再び自分の食事に戻った。
ルイズは満足そうな顔をして再び自分の食事に戻った。
大した量が無かった為、ポロンの食事はすぐに終わってしまった。
ルイズの方を見ると、何やら果物が乗ったパイを味わっている様で、食事はまだまだ終わりそうに無い。
これ以上人が食べてるところを見るのは目に毒なので、ポロンは食堂を後にすることにした。
ルイズの許可は取っていないが、そもそもここに自分みたいなものがいるのは本来はいけないことらしいのだから、
出て行ったところでお咎めは無いだろうと判断する。
ルイズの方を見ると、何やら果物が乗ったパイを味わっている様で、食事はまだまだ終わりそうに無い。
これ以上人が食べてるところを見るのは目に毒なので、ポロンは食堂を後にすることにした。
ルイズの許可は取っていないが、そもそもここに自分みたいなものがいるのは本来はいけないことらしいのだから、
出て行ったところでお咎めは無いだろうと判断する。
「本当にささやかな糧だったな。空腹で死ぬってことは無いが全然満たされてねえし。
何かもう少し腹に入れたいところだな」
何かもう少し腹に入れたいところだな」
これから先、使い魔として何かやらされるならもう少し体力をつけておきたいところである。
「厨房にでも行ってみるか?でも、厨房の場所知らねえしなあ・・・」
「あら?ポロン様!」
「あら?ポロン様!」
声が聞こえた方へ振り返ると、そこにはシエスタがいた。
見ると、空になった皿を運んでいる様である。
見ると、空になった皿を運んでいる様である。
「お、丁度いいところに来たな!なあ、シエスタ。厨房が何処だか教えてくれないか?」
「厨房ですか?今から戻るところなのでご案内することは問題ありませんが・・・、厨房に何か御用でも?」
「実はなあ、うちのご主人様が恵んで下さった朝飯があまりにもささやかだったんで、ちょっと何か他に腹に入れたくてさ。
空腹状態だと使い魔の仕事にも支障が出るかも知れないし・・・ダメか?」
「まあ、そうだったんですか。分かりました。そういうことなら私、マルトーさんに頼んでみます!
では、厨房まで案内いたしますので私の後について来て下さいね」
「おお、サンキューな!」
「厨房ですか?今から戻るところなのでご案内することは問題ありませんが・・・、厨房に何か御用でも?」
「実はなあ、うちのご主人様が恵んで下さった朝飯があまりにもささやかだったんで、ちょっと何か他に腹に入れたくてさ。
空腹状態だと使い魔の仕事にも支障が出るかも知れないし・・・ダメか?」
「まあ、そうだったんですか。分かりました。そういうことなら私、マルトーさんに頼んでみます!
では、厨房まで案内いたしますので私の後について来て下さいね」
「おお、サンキューな!」
ポロンはシエスタに案内されて厨房へとやって来た。
厨房の中はまるで戦場の様に怒号が飛び交っている。
シエスタは皿を洗い場へ持って行くと、奥の方で料理をしている中年の男に話し掛けた。
どうやらその中年の男がマルトーという男らしい。
暫くシエスタと話していたマルトーだったが、話が終わると料理の手を止め、ポロンの方へと歩いて来た。
目の前まで来ると、ポロンの肩をポンと叩く。
厨房の中はまるで戦場の様に怒号が飛び交っている。
シエスタは皿を洗い場へ持って行くと、奥の方で料理をしている中年の男に話し掛けた。
どうやらその中年の男がマルトーという男らしい。
暫くシエスタと話していたマルトーだったが、話が終わると料理の手を止め、ポロンの方へと歩いて来た。
目の前まで来ると、ポロンの肩をポンと叩く。
「おめえも苦労してんだな。賄いでよけりゃ食って行け」
「話が早くて助かる。恩に着るぜ!あんたがマルトーさんか?」
「ああ、ここではコック長なんて呼ばれたりもしているが、別にマルトーで構わねえや。歳もそう変わらないみたいだしな」
「そうか、じゃあマルトー!改めて有難うな!」
「話が早くて助かる。恩に着るぜ!あんたがマルトーさんか?」
「ああ、ここではコック長なんて呼ばれたりもしているが、別にマルトーで構わねえや。歳もそう変わらないみたいだしな」
「そうか、じゃあマルトー!改めて有難うな!」
ポロンはマルトーと握手した。
すると、シエスタが何やら皿を持って来た。
すると、シエスタが何やら皿を持って来た。
「ポロン様、熱い内に召し上がって下さい」
見ると、何やらシチューの様なものであった。
賄いというだけあって肉や魚の類は入っていないみたいであったが、先程飲んだスープに比べると匂いから何まで段違いである。
シエスタから皿とスプーンを受け取り、一口食べる。
濃厚かつマイルドな味が舌の上に広がる。
賄いというだけあって肉や魚の類は入っていないみたいであったが、先程飲んだスープに比べると匂いから何まで段違いである。
シエスタから皿とスプーンを受け取り、一口食べる。
濃厚かつマイルドな味が舌の上に広がる。
「お、こいつぁ美味え!マルトー、あんたなかなかの腕だな!」
「だろ?」
「まあ、うちのサクヤの料理には負けるがね」
「ほほう、そいつは何処のどいつだ?」
「俺の女房さ」
「か~、そいつは俺にも勝てねえな!そんなんで良ければお代わりもあるぞ」
「そいつは有難いが、あんまり腹いっぱいになっても後でご主人様に怪しまれるからな。
取り敢えずこの一杯を有難く頂かせていただくぜ」
「そうかい」
「だろ?」
「まあ、うちのサクヤの料理には負けるがね」
「ほほう、そいつは何処のどいつだ?」
「俺の女房さ」
「か~、そいつは俺にも勝てねえな!そんなんで良ければお代わりもあるぞ」
「そいつは有難いが、あんまり腹いっぱいになっても後でご主人様に怪しまれるからな。
取り敢えずこの一杯を有難く頂かせていただくぜ」
「そうかい」
マルトーやシエスタと談笑しながら、ポロンは賄いを食べ終えた。
料理の味自体も素晴らしいが、やはりこうやって誰かと楽しく喋りながら食べるとより一層美味しく感じる。
ポロンはふとルイズのことを思い出した。
料理の味自体も素晴らしいが、やはりこうやって誰かと楽しく喋りながら食べるとより一層美味しく感じる。
ポロンはふとルイズのことを思い出した。
(そういや、アイツ・・・。食堂でも独りだったな)
料理にばかり気がいっていたが、ルイズはあの場で誰かと楽しくお喋りしながら食事をしている風では無く、独り黙々と食事をしていた。
無論、独り静かに食事をするのが好きな人もいるが、ルイズの表情は何処か寂しそうだった気がする。
無論、独り静かに食事をするのが好きな人もいるが、ルイズの表情は何処か寂しそうだった気がする。
(食事が終わるまでは一緒にいてやってもいいか・・・な)
ポロンはマルトーとシエスタに礼を言うと、厨房から出て行った。
暫く廊下を歩いていると、ルイズに出会う。
どうやらついさっき食事を終えた様であった。
暫く廊下を歩いていると、ルイズに出会う。
どうやらついさっき食事を終えた様であった。
「ちょっと、いきなりいなくなるからしんぱ・・・探したのよ!!」
「すまねえ、便所へ行ってたんだ」
(厨房に行っていたことは話さない方がいいな。何言われるか分かんねえし)
「食事中にそんな話されても嫌だと思ったから言わなかったんだが・・・不味かったか?」
「・・・せめていつ戻るかくらいは言いなさいよね?」
「ああ、そうするよ」
「・・・まったく、さあ行くわよ!」
「?何処へだ?」
「教室よ。使い魔を呼び出して初めての授業だから、使い魔も同伴しなきゃダメなの」
「教室・・・ねえ」
「すまねえ、便所へ行ってたんだ」
(厨房に行っていたことは話さない方がいいな。何言われるか分かんねえし)
「食事中にそんな話されても嫌だと思ったから言わなかったんだが・・・不味かったか?」
「・・・せめていつ戻るかくらいは言いなさいよね?」
「ああ、そうするよ」
「・・・まったく、さあ行くわよ!」
「?何処へだ?」
「教室よ。使い魔を呼び出して初めての授業だから、使い魔も同伴しなきゃダメなの」
「教室・・・ねえ」
(どうも勉強ってのは好きじゃねえが、この世界をより知るチャンスって考えたら悪くは無いか)
ポロンは頷くとルイズの後を追って教室へと向かった。
教室へ辿り着くと、ルイズはすぐに自分の席へ座ったが、ポロンは座らずに立っている。
そんなポロンを見てルイズはにっこりと笑った。
教室へ辿り着くと、ルイズはすぐに自分の席へ座ったが、ポロンは座らずに立っている。
そんなポロンを見てルイズはにっこりと笑った。
「よく学習したようね?」
「御蔭様で。で、俺は何処にいればいい?」
「使い魔は後ろに立っていなさい!と言いたいところだけど、いいわ。隣へ座りなさい」
「こりゃ、有難いことで」
「御蔭様で。で、俺は何処にいればいい?」
「使い魔は後ろに立っていなさい!と言いたいところだけど、いいわ。隣へ座りなさい」
「こりゃ、有難いことで」
そう言われて、ポロンはルイズの隣に座った。
周りを見ると、他の生徒たちは皆何かしらの使い魔を連れていた。
暫くすると、中年の女性が入って来るのが見えた。
紫色のローブに身を包み、ふくよかな体型をしている。
どうやらあの女性が教師の様だ。
女性はコホンと軽く咳をした。
周りを見ると、他の生徒たちは皆何かしらの使い魔を連れていた。
暫くすると、中年の女性が入って来るのが見えた。
紫色のローブに身を包み、ふくよかな体型をしている。
どうやらあの女性が教師の様だ。
女性はコホンと軽く咳をした。
「お早うございます。初めましての方は初めまして。私、シュヴルーズと申します。
私の二つ名は『赤土』。赤土のシュヴルーズです。土系統の魔法をこれから一年間、皆さんに講義します。
よろしくお願いしますね」
私の二つ名は『赤土』。赤土のシュヴルーズです。土系統の魔法をこれから一年間、皆さんに講義します。
よろしくお願いしますね」
彼女はそう言うと、教室を一通り見回すと満足そうに微笑んだ。
「皆さん、使い魔の召喚は大成功の様ですわね。私はこうやって春の新学期に皆さんの使い魔を見るのが、
毎年とても楽しみなのですよ。中には変わった使い魔を召喚した者もおりますが・・・」
毎年とても楽しみなのですよ。中には変わった使い魔を召喚した者もおりますが・・・」
シュヴルーズがポロンをチラっと見てそう言うと、教室中が笑い声に包まれた。
ルイズは思わず俯く。
そんなルイズの様子を見ると、ポロンは再び不機嫌になる。
ルイズは思わず俯く。
そんなルイズの様子を見ると、ポロンは再び不機嫌になる。
(あのシュヴルーズとか言う教師、こんなこと言ったらルイズが笑い者になるって分かってんのか?
分かって言ってんならいい性格していやがるが・・・)
分かって言ってんならいい性格していやがるが・・・)
ポロンが心の中でシュヴルーズを批判していると、太った少年が立ち上がり更に囃し立てる。
「『ゼロのルイズ』!召喚出来なかったからってその辺の平民を連れて来るなよ!」
再び教室中が笑い声で包まれた。
ルイズは思わず立ち上がり、その少年に対して怒鳴った。
ルイズは思わず立ち上がり、その少年に対して怒鳴った。
「違うわ!きちんと召喚したもの!こいつが来ちゃっただけよ!」
「嘘吐くな!『サモン・サーヴァント』が出来なかったんだろう!」
「ミセス・シュヴルーズ!これは侮辱です!風邪っぴきのマリコルヌが私を侮辱しました!」
「風邪っぴきだと!?僕は『風上のマリコルヌ』だ!!」
「アンタ自分の声聞いたことある?無いでしょうね。アンタの声はガラガラで、まるで風邪をひいてるみたいなのよ。知らなかった?」
「何だとお!?」
「嘘吐くな!『サモン・サーヴァント』が出来なかったんだろう!」
「ミセス・シュヴルーズ!これは侮辱です!風邪っぴきのマリコルヌが私を侮辱しました!」
「風邪っぴきだと!?僕は『風上のマリコルヌ』だ!!」
「アンタ自分の声聞いたことある?無いでしょうね。アンタの声はガラガラで、まるで風邪をひいてるみたいなのよ。知らなかった?」
「何だとお!?」
シュヴルーズはやれやれと首を振ると、小ぶりな杖を振った。
すると、今まで立っていた2人が急にすとんと座った。
すると、今まで立っていた2人が急にすとんと座った。
「ミス・ヴァリエール。ミスタ・マリコルヌ。みっともない口論はお止めなさい。
2人ともお友達をゼロだの風邪っぴきだの呼んではいけません。分かりましたか?」
2人ともお友達をゼロだの風邪っぴきだの呼んではいけません。分かりましたか?」
マリコルヌと呼ばれた少年はシュヴルーズにそう言われると憎々しそうな顔でルイズの方を見る。
「ミセス・シュヴルーズ。僕に対する風邪っぴきは只の中傷ですが、ルイズの『ゼロ』は事実です」
その一言に、くすくすと笑い声が起き始める。
シュヴルーズは穏やかだった顔を厳しくして教室内を見回した。
そして杖を振ると何処からか赤い粘土が現れてくすくす笑いをする生徒達の口を塞いでいく。
シュヴルーズは穏やかだった顔を厳しくして教室内を見回した。
そして杖を振ると何処からか赤い粘土が現れてくすくす笑いをする生徒達の口を塞いでいく。
「お友達を笑うとは何事ですか。罰としてあなたたちは、その格好で授業を受けなさい」
こうして教室内から笑い声は収まった。
それを見て満足した様にシュヴルーズは微笑む。
一連の流れを見ていて、ポロンは思った。
それを見て満足した様にシュヴルーズは微笑む。
一連の流れを見ていて、ポロンは思った。
(てめえの不始末をてめえで片付けただけじゃねえか。何、ひと仕事した。って顔してやがんだ。
・・・それにしても、生徒を座らせたり赤い粘土を飛ばしたりと、ここの呪文は俺らの世界の呪文とは違うんだな
ま、俺らの世界にも神仙術とか似たようなことが出来るものもあるっちゃあるんだが)
・・・それにしても、生徒を座らせたり赤い粘土を飛ばしたりと、ここの呪文は俺らの世界の呪文とは違うんだな
ま、俺らの世界にも神仙術とか似たようなことが出来るものもあるっちゃあるんだが)
授業が始まった様で、シュヴルーズが何か話している。
ポロンは一先ずその話に耳を傾けた。
シュヴルーズはまず、系統魔法についてルイズに質問を投げ掛けた。
ポロンは一先ずその話に耳を傾けた。
シュヴルーズはまず、系統魔法についてルイズに質問を投げ掛けた。
「はい、ミセス・シュヴルーズ。系統魔法の種類は『火』、『水』、『土』、『風』の4つです」
ルイズが答えるとシュヴルーズはにこりと笑う。
「はい、その通りです。そして、今は失われた系統魔法である『虚無』と合わせて、全部で5つの系統があることは皆さんも知っての通りです。
その5つの系統の中で『土』は、最も重要なポジションを占めていると私は考えています。
何故なら、土系統の魔法は万物の組成を司る重要な魔法なのです。土系統の魔法は皆さんの生活にも密接に関係しているのですよ」
その5つの系統の中で『土』は、最も重要なポジションを占めていると私は考えています。
何故なら、土系統の魔法は万物の組成を司る重要な魔法なのです。土系統の魔法は皆さんの生活にも密接に関係しているのですよ」
そして土系統の魔法の特長が説明された。
(ふーん。なるほどな。こっちの呪文・・・おっと魔法か?まあ別にどっちでもいいが、そいつは人々の生活に根ざしたものなんだな)
シュヴルーズは魔法で石を呼び出すと、土系統の魔法の基本である錬金を見せる為にその石に向けて何かを唱える。
すると石が光りだし、金色の物体へと変わっていた。
それを見るなりキュルケが思わず身を乗り出す。
すると石が光りだし、金色の物体へと変わっていた。
それを見るなりキュルケが思わず身を乗り出す。
「ご、ゴールドですか?」
「違います。これはただの真鍮です。ゴールドを錬金できるのは『スクウェア』クラスのメイジだけです。私はただの『トライアングル』ですから」
「違います。これはただの真鍮です。ゴールドを錬金できるのは『スクウェア』クラスのメイジだけです。私はただの『トライアングル』ですから」
シュヴルーズの言葉を聞くと、ポロンはルイズの肩を叩いた。
「おい」
「・・・何よ。授業中よ?」
「『スクウェア』とか『トライアングル』って何だ?」
「系統を足せる数の事よ。それでメイジのレベルが決まるの。1つの系統に他の系統を足したり、同じ系統を足したりして魔法を強化することが出来るわ」
「ほう・・・」
「足せる数によって下から『ドット』『ライン』『トライアングル』『スクウェア』と上がっていくのよ」
「あー、ミス・ヴァリエール?授業中にお喋りは感心しませんね」
「!?あ、す、すみません」
「では、その罰も兼ねてミス・ヴァリエールには錬金の実演を行ってもらいましょう」
「ええ~~!?」
「・・・何よ。授業中よ?」
「『スクウェア』とか『トライアングル』って何だ?」
「系統を足せる数の事よ。それでメイジのレベルが決まるの。1つの系統に他の系統を足したり、同じ系統を足したりして魔法を強化することが出来るわ」
「ほう・・・」
「足せる数によって下から『ドット』『ライン』『トライアングル』『スクウェア』と上がっていくのよ」
「あー、ミス・ヴァリエール?授業中にお喋りは感心しませんね」
「!?あ、す、すみません」
「では、その罰も兼ねてミス・ヴァリエールには錬金の実演を行ってもらいましょう」
「ええ~~!?」
ルイズは思わずポロンの顔を睨む。
ポロンも自分に原因があるので、取り敢えず「悪い悪い」と謝罪する。
渋々ルイズは立ち上がると、キュルケが口を開いた。
ポロンも自分に原因があるので、取り敢えず「悪い悪い」と謝罪する。
渋々ルイズは立ち上がると、キュルケが口を開いた。
「・・・危険です」
「?危険とはどういうことですか?」
「危険だから危険なんです。ミセス・シュヴルーズは確か、ルイズを教えるのは初めてでしたよね?」
「ええ。でも、彼女が努力家であるということは私の耳にも届いていますよ」
「?危険とはどういうことですか?」
「危険だから危険なんです。ミセス・シュヴルーズは確か、ルイズを教えるのは初めてでしたよね?」
「ええ。でも、彼女が努力家であるということは私の耳にも届いていますよ」
シュヴルーズがそう言ってにこっと笑うと、キュルケは頭を抱えた。
そんなキュルケを不思議そうに見た後、シュヴルーズはルイズの方へ向き直った。
そんなキュルケを不思議そうに見た後、シュヴルーズはルイズの方へ向き直った。
「さぁ、ミス・ヴァリエール。気にせずに前に出て来なさい。失敗を恐れていては前に進むことも出来ませんよ」
当のルイズは、キュルケに水を差されたことに腹を立てていた様で、「やるわ」と一言だけ口にし、緊張した面持ちで教壇へと向かった。
教壇へと辿り着くと、シュヴルーズはルイズに向かって二言三言何かを伝える。
ルイズはこくりと頷くと目をつむり手に持った杖を振り上げた。
そして何かを呟くと、杖を思い切り振り下ろす。
その瞬間、強烈な光が辺りを包み大爆発が起きた。
教壇へと辿り着くと、シュヴルーズはルイズに向かって二言三言何かを伝える。
ルイズはこくりと頷くと目をつむり手に持った杖を振り上げた。
そして何かを呟くと、杖を思い切り振り下ろす。
その瞬間、強烈な光が辺りを包み大爆発が起きた。
「!?な、何だ!!?」
ポロンは思わず伏せるが、間に合わず教室の後ろの方まで吹っ飛ばされた。
壁に叩きつけられたものの、思ったよりはダメージが無くポロンは何とか立ち上がることが出来た。
教室を見回すと、そこは見るも無残な姿へ変わっていた。
爆発に驚いた使い魔達が暴れ出し、教室内は大パニックとなっている。
壁に叩きつけられたものの、思ったよりはダメージが無くポロンは何とか立ち上がることが出来た。
教室を見回すと、そこは見るも無残な姿へ変わっていた。
爆発に驚いた使い魔達が暴れ出し、教室内は大パニックとなっている。
「・・・ルイズは大丈夫か!?」
教壇の方を見ると、爆心地の間近にいたシュヴルーズが黒板に叩き付けられたのかもたれ掛かりながら気絶している。
この爆発の原因であるルイズもすぐそこで立っていた。
煤にまみれて真っ黒になっており、服の至る所が破れているのが見える。
ルイズは意外と冷静にハンカチを取り出し、顔の煤を拭いた。
そして一言だけ呟く。
この爆発の原因であるルイズもすぐそこで立っていた。
煤にまみれて真っ黒になっており、服の至る所が破れているのが見える。
ルイズは意外と冷静にハンカチを取り出し、顔の煤を拭いた。
そして一言だけ呟く。
「ちょっと失敗みたいね」
ポロンは何故彼女が『ゼロのルイズ』と揶揄され、馬鹿にされているのかをこの時理解した。