学級委員長、風紀委員長……。
校内に委員長数あれど、最も眼鏡が似合うのは図書委員長である。
イメージとしては「内気な性格」「おさげ」「貧血症」が一般的であり、俗にこれを「図書委員長三種の神器」と呼び、古来より崇められてきたのでござる。
眼牙書房「そこがとってもいいんちょう」(平賀才人著)より抜粋
校内に委員長数あれど、最も眼鏡が似合うのは図書委員長である。
イメージとしては「内気な性格」「おさげ」「貧血症」が一般的であり、俗にこれを「図書委員長三種の神器」と呼び、古来より崇められてきたのでござる。
眼牙書房「そこがとってもいいんちょう」(平賀才人著)より抜粋
「なのになぜだ!? ここはめがねの聖域のはずなのに。なのになぜ……」
トリステイン魔法学院図書館。
静寂を破って三成の絶叫が響き渡る。
「ルイズ・ヴァリエール! なぜ裸眼のお前が図書委員長なんだー!!」
その視線の先には、受付カウンター内で貸出・返却の手続きを行っているルイズの姿があった。
「裸眼でも本が好きなんだからいいでしょ!」
「いいや、よくない! 図書委員長はめがねっ娘じゃなければ駄目なんだー!!」
「……ミツナリ……図書室では静かに……」
タバサの言葉通り、周囲では図書館に居合わせた生徒達が何事かと三成に視線を向けていたが、三成は一切気に止める事無く、
「そうだタバサ! キミが図書委員長をやればいい!」
「……え……」
突然話を振られて呆気に取られたタバサだったが、
「タバサならさぞや素敵な図書委員長になれるだろう」
「……そんな……ミツナリ……」
「おーい」
完全に自分達の世界に入った三成・タバサに思わずツッコむルイズ。するとそこへ、
――バンッ!
「ならばどちらが真の図書委員長か、決めようではないか!」
勢いよく本を閉じる音が聞こえ、ワルドが穏やかな微笑みを浮かべつつ話に入り込んできた。
「ワルド子爵!」
「真の図書委員長が決まらない事には読書に集中できない。なあそうだろう、諸君!」
「そのとーり!」
「ジーク図書委員長! ハイル図書委員長! マンセー図書委員長!」
ワルドの言葉に、図書館内にいた男子生徒達が同意の叫びを上げた。
(この学院は病んでいるわ……)
ルイズの内心の呟きにまったく気付く様子も無く、タバサは決意を込めた視線でルイズを見据える。
「……まさかルイズと戦う事になるなんて……でも私はミツナリのために図書委員長にならなければいけない……」
「何でよ」
トリステイン魔法学院図書館。
静寂を破って三成の絶叫が響き渡る。
「ルイズ・ヴァリエール! なぜ裸眼のお前が図書委員長なんだー!!」
その視線の先には、受付カウンター内で貸出・返却の手続きを行っているルイズの姿があった。
「裸眼でも本が好きなんだからいいでしょ!」
「いいや、よくない! 図書委員長はめがねっ娘じゃなければ駄目なんだー!!」
「……ミツナリ……図書室では静かに……」
タバサの言葉通り、周囲では図書館に居合わせた生徒達が何事かと三成に視線を向けていたが、三成は一切気に止める事無く、
「そうだタバサ! キミが図書委員長をやればいい!」
「……え……」
突然話を振られて呆気に取られたタバサだったが、
「タバサならさぞや素敵な図書委員長になれるだろう」
「……そんな……ミツナリ……」
「おーい」
完全に自分達の世界に入った三成・タバサに思わずツッコむルイズ。するとそこへ、
――バンッ!
「ならばどちらが真の図書委員長か、決めようではないか!」
勢いよく本を閉じる音が聞こえ、ワルドが穏やかな微笑みを浮かべつつ話に入り込んできた。
「ワルド子爵!」
「真の図書委員長が決まらない事には読書に集中できない。なあそうだろう、諸君!」
「そのとーり!」
「ジーク図書委員長! ハイル図書委員長! マンセー図書委員長!」
ワルドの言葉に、図書館内にいた男子生徒達が同意の叫びを上げた。
(この学院は病んでいるわ……)
ルイズの内心の呟きにまったく気付く様子も無く、タバサは決意を込めた視線でルイズを見据える。
「……まさかルイズと戦う事になるなんて……でも私はミツナリのために図書委員長にならなければいけない……」
「何でよ」
「では真の図書委員長を決める審議委員長を、私南雲が務めさせていただきます」
三成の開催宣言に拍手で応える一同。
そして注目の第1回戦の内容は……、
「さて、図書委員長といえば……そう! おさげである! 『どちらがおさげが似合うか』対決!!」
まずは先手・ルイズ。
『おおー!!』
美しい桃髪を見事な三つ編みにしたルイズの姿に、観客達からどよめきが起こった。三成も、
「うーむ、これで裸眼でなかったら……」
と顎に手を当て唸り声を上げている。
「いちいちうるさいわね!」
するとそこへワルドが歩み寄ってきた。
「あの……、1つ頼みがあるのだが」
「何ですか、ワルド子爵?」
「首をこう……、ぶんっと振ってくれないか?」
勢いよく自分の首を振ったワルド子爵の意図がわからず、首を傾げるルイズ。
「?」
「おさげで僕の頬を……ビシッと♪ ビシビシビシビシ……」
「ワルド子爵!!」
我を忘れて連呼するワルドの肩を、三成が激しくつかんで正気に戻す。
「は!? まさかまた僕の中のシャイターンが!?」
「だだ漏れです、ワルド子爵!」
するとそこに、
「……ミツナリ……うまくおさげにならない……」
セミロングヘアの先端部を少々無理に三つ編みにしたタバサが、三成の前に歩み出てきた。
「……髪が短いから……小さいおさげしかできない……」
「ちっちゃいおさげ!」
「おおーっ!」
「これはこれで……」
「ありだ!!」
タバサの短いおさげも観客達のツボを突いたようで、彼らは口々に賞賛の言葉を言う。
「審議委員長、判定は?」
「………」
悩みぬいた三成が下した判定は、
「おさげドロー!」
「ふ~、ドローか~」
緊張が解けて大きく息を吐いた観客達を、ルイズは困惑の表情で眺めていた。
(何なの……)
三成の開催宣言に拍手で応える一同。
そして注目の第1回戦の内容は……、
「さて、図書委員長といえば……そう! おさげである! 『どちらがおさげが似合うか』対決!!」
まずは先手・ルイズ。
『おおー!!』
美しい桃髪を見事な三つ編みにしたルイズの姿に、観客達からどよめきが起こった。三成も、
「うーむ、これで裸眼でなかったら……」
と顎に手を当て唸り声を上げている。
「いちいちうるさいわね!」
するとそこへワルドが歩み寄ってきた。
「あの……、1つ頼みがあるのだが」
「何ですか、ワルド子爵?」
「首をこう……、ぶんっと振ってくれないか?」
勢いよく自分の首を振ったワルド子爵の意図がわからず、首を傾げるルイズ。
「?」
「おさげで僕の頬を……ビシッと♪ ビシビシビシビシ……」
「ワルド子爵!!」
我を忘れて連呼するワルドの肩を、三成が激しくつかんで正気に戻す。
「は!? まさかまた僕の中のシャイターンが!?」
「だだ漏れです、ワルド子爵!」
するとそこに、
「……ミツナリ……うまくおさげにならない……」
セミロングヘアの先端部を少々無理に三つ編みにしたタバサが、三成の前に歩み出てきた。
「……髪が短いから……小さいおさげしかできない……」
「ちっちゃいおさげ!」
「おおーっ!」
「これはこれで……」
「ありだ!!」
タバサの短いおさげも観客達のツボを突いたようで、彼らは口々に賞賛の言葉を言う。
「審議委員長、判定は?」
「………」
悩みぬいた三成が下した判定は、
「おさげドロー!」
「ふ~、ドローか~」
緊張が解けて大きく息を吐いた観客達を、ルイズは困惑の表情で眺めていた。
(何なの……)
「次は愛読書対決! 本の好みで図書委員長としてのランクが決まるぞ!」
まずは先手・ルイズの愛読書発表。
「私歴史ものが好きなのよ。特に『5カ国志』」
「おおっ! 渋いとこきた!」
「しかし悪くないのでは?」
「何かヤオイ臭いなあ……。『ビリュー総受け本』とか作ってないだろうな?」
「作るかー!!」
三成からのとんでもない横槍に思わず声を荒げるルイズ。
「……私は……ショタール・ケイナミィの『幻覚商売』……」
『渋っ!!』
あまりに渋いタバサの愛読書にどん引きする観客達。
「……主人公のゴーヒェ・アキアーマがかっこいい……」
「いや……、というか……」
丸めた紙を剣に見立てて振り上げるタバサに、三成は不満を述べようとする。
「ちなみに僕の愛読書は『召喚されし書物』!!」
「子爵は少し黙っててください!!」
情熱のまま図書委員長論を2人に熱く語って聞かせる三成。
「そうじゃなくて! 図書委員長が読むのは詩集と決まってるんだよ!! え? 読んだ事無い? ゲーテは? リルケは? 中原中也は? 宮沢賢治も!?」
まずは先手・ルイズの愛読書発表。
「私歴史ものが好きなのよ。特に『5カ国志』」
「おおっ! 渋いとこきた!」
「しかし悪くないのでは?」
「何かヤオイ臭いなあ……。『ビリュー総受け本』とか作ってないだろうな?」
「作るかー!!」
三成からのとんでもない横槍に思わず声を荒げるルイズ。
「……私は……ショタール・ケイナミィの『幻覚商売』……」
『渋っ!!』
あまりに渋いタバサの愛読書にどん引きする観客達。
「……主人公のゴーヒェ・アキアーマがかっこいい……」
「いや……、というか……」
丸めた紙を剣に見立てて振り上げるタバサに、三成は不満を述べようとする。
「ちなみに僕の愛読書は『召喚されし書物』!!」
「子爵は少し黙っててください!!」
情熱のまま図書委員長論を2人に熱く語って聞かせる三成。
「そうじゃなくて! 図書委員長が読むのは詩集と決まってるんだよ!! え? 読んだ事無い? ゲーテは? リルケは? 中原中也は? 宮沢賢治も!?」
すると廊下の方から足音が接近してきて……、
――バンッ!
「うるさい!! 図書館で騒がない!!」
眼鏡をかけ長髪をおさげにした美女――学院長秘書兼図書司書・ロングビルが、声を荒げて図書館内に入ってきた。
――バンッ!
「うるさい!! 図書館で騒がない!!」
眼鏡をかけ長髪をおさげにした美女――学院長秘書兼図書司書・ロングビルが、声を荒げて図書館内に入ってきた。
図書委員長が上級職業にクラスチェンジした姿、それが「図書司書」である。
めがねが似合う美人図書司書、これは美人保険医と同じくらい幻の存在である。
だが、「いつかどこかに美人図書司書」。
この言葉を胸に、今日も行こう!! 友よ!!
眼牙書房「オレたちゃ酔いどれ探検隊」(平賀才人著)より抜粋
めがねが似合う美人図書司書、これは美人保険医と同じくらい幻の存在である。
だが、「いつかどこかに美人図書司書」。
この言葉を胸に、今日も行こう!! 友よ!!
眼牙書房「オレたちゃ酔いどれ探検隊」(平賀才人著)より抜粋
「もう~、『またあなた達』なのですか? まさか私に叱られるために毎回騒いでるんじゃないでしょうね?」
「そんな~、ミス・ロングビル~」
「滅相も無いです、ミス・ロングビル~」
呆れ顔で注意するロングビルに、にやけ顔で返す三成・ワルド。
『………』
無言で顔を見合わせていたタバサ・ルイズは同時にひとつ頷き、
「ふん!!」
――ビシッ!
ルイズは自分のおさげで三成の頬をひっぱたいた。
「はぶらっ!」
「ああっ、僕にも……」
「……メーン……」
慌ててルイズ達に駆け寄ろうとするワルドを、タバサは後方から丸めた紙で頭に一撃を浴びせたのだった……。
「そんな~、ミス・ロングビル~」
「滅相も無いです、ミス・ロングビル~」
呆れ顔で注意するロングビルに、にやけ顔で返す三成・ワルド。
『………』
無言で顔を見合わせていたタバサ・ルイズは同時にひとつ頷き、
「ふん!!」
――ビシッ!
ルイズは自分のおさげで三成の頬をひっぱたいた。
「はぶらっ!」
「ああっ、僕にも……」
「……メーン……」
慌ててルイズ達に駆け寄ろうとするワルドを、タバサは後方から丸めた紙で頭に一撃を浴びせたのだった……。