あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ内検索 / 「もう一人の『左手』-12」で検索した結果
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もう一人の『左手』
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もう一人の『左手』-12
前ページ次ページもう一人の『左手』 「逃げろ?」 ルイズが、きょとんとした表情で、V3が言った言葉を鸚鵡返しに聞き返す。 当然、その言葉に従うための復唱ではない。 言われた言葉の内容を、さらに確認し直すための質問である。 ルイズだけではない。 残りの二人も、その瞬間、何を言われたのか分からない顔をし、そしてキュルケが口を尖らせた。 「なに言ってるのよ、あんた? さっきまでフーケの小屋に着いてからの段取りを、散々話し合って――」 「それは中止だ」 「ちゅっ、中止って、――分かるように言いなさいよっ!!」 そう言われて、V3は、彼女たち三人に向き直るが、無論、少女たちに、その赤い仮面の下にある表情は伝わらない。 ここは地上数十mの上空にある、風竜の背の上。 ハリケーンを乗り捨てたV3は、タバサに頼み、シ... -
もう一人の『左手』-05
前ページ次ページもう一人の『左手』 「サイトぉっ!!」 「どいてぇっ! ――いいから――どきなさいよぉっっ!!」 人垣の中から、野次馬を掻き分けて、桃色がかったブロンドの少女が飛び出し、才人のもとへと走り寄り、その血まみれの頭を抱きかかえる。 「しっかりしてサイトっ!! 死んじゃダメ、死んだら……死んだら、絶対に、許さないんだからねっ!!」 「……よお」 才人は、うっすら右目を開くと、ほんの少しだけだが、微笑んだ。 ギーシュに見せた、唇を歪ませた皮肉な笑みではない。人が心落ち着かせたときに見せる、安らかな表情。 ――それは、ルイズが見る、彼の初めての笑顔だった。 ルイズには何故か、才人の、その笑顔の意図を正確に汲み取る事が出来た。 お互い出会ってから、まだ数時間しか経っていないというのに。いや、それどころか、口を開けば、諍いばかりだった... -
もう一人の『左手』-07
前ページ次ページもう一人の『左手』 「だめか……」 ぼそりと呟くフーケ。 まあ、ここは仮にも王立魔法学院の宝物庫なのだ。 王宮ほどでは無かろうが、それでも歴史的にも貴重な“お宝”の数々が貯蔵されているはずだ。 『アンロック』や『練金』ごときで、容易く扉が開くとは思ってはいない。 だから、彼女は焦らない。 これでも『土くれ』のフーケといえば、トリステインはおろか、ハルケギニア全土に跨る神出鬼没の怪盗として鳴らしたものだ。 この程度の警備は何度も潜り抜け、無事標的を手中に収めている。 焦らず、逸らず、じっくりと機会を待てばいい。なんせ、今の自分は学院長の秘書なのだから。 フーケは、そう思い、きびすを返した。 その時だった。 廊下の窓から、何かが見えた。 何か、打ち上げ花火のようなものが、深夜の上空に発射される... -
もう一人の『左手』-18
前ページ次ページもう一人の『左手』 「アルビオン……だと?」 「ええ、いま言った通りよ」 「本気で言ってるのか、ヴァリエール?」 風見は、普段ルイズの部屋ではなく、コルベールの部屋に居候している。 だから、今では、ハルケギニアの世情に、少しは詳しくなっている。そして、彼の知識によると、いまアルビオンは確か……。 「当たり前でしょう! こんな名誉ある任務をお断りするバカがどこにいるの!?」 ルイズが、えへんと胸を張る。 まあ、その気持ちは、風見にも分からないではない。 幼馴染みとはいえ、王家の象徴たる姫殿下が、自分を頼ってくれた事が、ルイズにとっては誇らしくてたまらないのだろう。 だから、コルベールを通じて、自分を呼び出したルイズが、嬉々として、王女に個人的な任務を命じられたことを話されたとき、風見は純粋にルイズのため... -
もう一人の『左手』-16
前ページ次ページもう一人の『左手』 <フリッグの舞踏会、PM9:15> 「――あのばか犬……!!」 ルイズは、一人呟いた。 ドレスに着飾り、普段あまり熱を入れない化粧にも時間をかけ、持ち前の高飛車オーラを、普段余り見せない淑やかさでカバーした彼女は、確かに美しかった。いつもの彼女を知らない者たちには、――神々しい、とさえ見えるほどに。 それまで彼女を、ただの劣等生としか見ていなかった、この学院の男子生徒たちが色めきたったのも、むべなるかな。彼らは、この少女・ルイズ・ラ・ヴァリエールが、元来、校内屈指の美少女であった事実を、ようやく思い出したのだ。 当然、紳士たちによるダンスの誘いが殺到したが、ルイズは、それらの甘い言葉を、普段はまるで垣間見せぬ優雅な振る舞いで、――拒絶し、壁の花に甘んじた。 「ちっ、なんだい。『ゼロ』のくせに、お高... -
もう一人の『左手』-03
前ページ次ページもう一人の『左手』 四人が学院長室を辞した後、風見はコルベールの部屋に誘われていた。どうやら彼は、二人が元いた“異世界”に多大なる興味があるらしい。 才人も、風見について行くべきか迷ったが、やめておいた。 彼にとっては、自分がTVの再放送で観ていたヒーローが、一人の人間として、当然のように自分の隣にいるという現実は、この魔法の国以上に受け入れがたいものだったからだ。 ――ひょっとして俺は、本当は今頃、病院の集中治療室で、植物状態になって、覚めない悪夢でも見ている最中なんじゃないか? 風見を見ていると、そんな想像が頭をよぎり、気が狂ってしまいそうになってくる。 だったら、かなりムカつく女ではあるが、まだコイツと一緒にいる方がマシかも知れない。そう思ってしまう。 幸い――かどうかはともかく、少女は部屋までついてこい、... -
もう一人の『左手』-02
前ページ次ページもう一人の『左手』 「やめろっ!! やめるんだ風見ぃっ!!」 結城丈二――ライダーマンが、血を吐くような絶叫を上げるのが聞こえた。 だが、戦友には申し訳ないが、風見志郎――仮面ライダーV3には、もはや引き返す気はなかった。 ――V3火柱キック。 レッドボーン、レッドランプ、ダブルタイフーン。 その肉体に仕込まれた三つの動力装置を、ほぼ暴走状態に近いまでにフル回転させ、そのパワーを全て右足に乗せる。理論上では『逆ダブルタイフーン』のさらに数倍の威力を発生させる事が出来る。 ――だが、それゆえに、肉体にかかる負担は半端なものではなく、例え改造された肉体と言えど、その衝撃に耐えられるかどうかは定かではない。 つまり、命と引き換えに放つ、文字通り『最期』の技。 だが、いまの風見には、そんなことなどどうでもい... -
もう一人の『左手』-14
前ページ次ページもう一人の『左手』 <フリッグの舞踏会から43時間前> 「サイトぉぉぉっ!!」 地獄のような業火が渦巻く森の中から、空中に飛び出した一個の物体。 それが、タンデムに才人を載せた、風見志郎が駆るハリケーンであると気付いた瞬間、シルフィードの背から、ルイズは思わず叫んでいた。 それは絶望の声ではない。 それは喜悦の、感激の、感涙の絶叫だった。 結局、彼女たちは、脱出しなかった。 森の遥か上空から風竜に跨り、炎の中に姿を消した少年と青年を待ったのだ。 無論、同乗者たち――キュルケやフーケは難色を示した。 いくら上空とはいえ、こんな場所に留まっていては、カメバズーカが自爆したら絶対に助からない。 いや、純粋に命の問題だけではない。 そうなったら、自分たちを逃がすために、自ら身体を張って時... -
もう一人の『左手』-04
前ページ次ページもう一人の『左手』 「ガンダールヴ?」 「ああ、やはり思った通りだ。カザミさん、このルーンは間違いなく、伝説の始祖の使い魔ガンダールヴのものだよ!!」 「分かるように言ってくれ。あんたも知っての通り、俺はこの世界の常識が無い」 「あ、――ああ、そうだったね。では始祖ブリミルの説明からした方がよさそうだ」 始祖ブリミル――フルネームを、ブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリ。 六千年前、東方の聖地よりこの地に降臨し、風火地水の四大系統からなる『系統魔法』の技術を人々に伝え、現在のハルケギニア文明の、ほぼ根幹を創り上げた大聖者。 だが、本人はその四つの系統のいずれでもない、零番目の系統『虚無』の使い手であったとされ、その力は、生命の組成から時空間への干渉まで及んだという、伝説のメイジ。 また、三人の子と弟子の一人に... -
もう一人の『左手』-11
前ページ次ページもう一人の『左手』 「キュルケ」 「なによ」 「あんた、……確か、風竜を使い魔にしている、あの娘と仲が良かったわよね?」 「タバサのこと? まあ、付き合いはあるけど……それが?」 「その娘、まだ起きてる?」 「まあ、宵っ張りで本の虫だから、ひょっとしたら、まだ起きてるかも……って、どこ行くのよアンタ!?」 「決まってるでしょっ!! その娘のところに行って、ドラゴンを借りるのよっ!!」 そう叫ぶや否や、ルイズは宝物庫を飛び出した。……それから15分後、紆余曲折の果てに、魔法学院の上空に、赤・青・桃の3色の頭を乗せたシルフィードが飛び立って行くのが見えた。誰も見ている者はいなかったが。 夜風が身にしみる。 寒風吹きすさぶ冬の夜空を駆けるドラゴンの背は、恐ろしく寒い。本来なら、暖かいベッドの中で布団にくるまれている時間であるだけに... -
もう一人の『左手』-06
前ページ次ページもう一人の『左手』 『ゼロ』のルイズが召喚した、もう一人の“平民”。 黒革の上下に身を包んだ、目付きの悪い長身の男。 確かにさっきの、一人目の平民とは、何やら纏う雰囲気が違うが、それでも所詮、平民は平民。 いや、考えようによっては、ルイズを相手に大人気ない真似をするよりは、見世物としては、はるかにマシだろう。―― そう思って、ワルキューレによる攻撃を開始した瞬間、 「――なっ!!?」 ワルキューレは宙を舞っていた。 それも、三つの鉄槐に寸断されて。 ギーシュには、何が起こったのか分からない。 彼がその目に捉えるには、あまりにも、風見の剣さばきが速過ぎたからだ。 無造作に繰り出されたワルキューレの拳、風見はそれを首を振って躱すと、そのままワルキューレとすれ違うように踏み込みながら、その胴を寸断し、返す刀で、燕返しに戦乙... -
もう一人の『左手』-01
前ページ次ページもう一人の『左手』 ――これは……!? コルベールは、思わず身体を堅くした。 ディティクト・マジックでその男の肉体を走査した瞬間、これまで見たことも無い反応が起こるのを感じたからだ。 その長身の男は人間だった。 生物学的に言えば、それは疑いようも無い。 黒革の上下に、襟元からスカーフをなびかせたその男は、見るからに精悍な相貌をしていた。 だが、――同時に、男は『ただの』人間ではなかった。 皮膚、筋肉、神経・骨格をはじめ、ありとあらゆる内臓器官が、コルベールの見たことも無い物質によって組成され、代替され、全身の肉体を構成している。 しかし、しかしそれでも、“彼”は人間なのだ。 それはコルベール自身のディティクト・マジックの反応が証明している。 一体……何者……なんだ!? コルベールは、『サモン・サーヴ... -
もう一人の『左手』-09
前ページ次ページもう一人の『左手』 「かっ、風見さんっ!! おっ、おれの事はいいから、このクソ女を……うぁぁぁぁ!!」 ゴーレムが、少し手に力を込めただけで、才人が、その勇ましい発言内容を、あっさり覆す呻き声を上げる。 「余計なこと言うんじゃないよ坊や」 女は、そう言いながら、ゴーレムの肩から地上のV3を睨みつけた。 V3は己の迂闊さに、ほぞを噛んだ。 眼前のミス・ロングビルが戦いを挑んで来たのは、あくまで、この自分――V3を、学院に仇なす不審な亜人と判断したからだ、そう思っていた。 だが……違う! 仮にも教育機関の構成員たる者が、不審人物を取り押さえる為の戦闘中に、人質を取るような真似をするはずが無い。 この女は、もとより、ただの秘書などではなかったのだ。 なぜ気付けなかったのだ!? もし、もっと早く気付いていれば、……こん... -
もう一人の『左手』-15
前ページ次ページもう一人の『左手』 <フリッグの舞踏会から9時間前> ユニコーンと杖を組み合わせた紋章をつけた馬車が、護衛たる魔法衛士隊の一団とともに、魔法学院の門をしずしずとくぐり、学院長オスマン以下、教員生徒、御目見え以上の資格をもつメイジたちはこぞって居並び、杖を掲げた。 従者に手をとられ、馬車から降りた女性は、いまだ少女と呼ぶべき幼さを、その顔に残していたが、そのあどけなさこそが、彼女の容貌に華を添えていることを、誰もが認めていた。 トリステイン王国第一位王位継承者・アンリエッタ・ド・トリステイン姫殿下。 その可憐で清楚な美貌は、国民の間に絶大な人気を誇り、その支持率は、実際に政務を執る宰相のマザリーニはおろか、国家の最高主権者たる太后マリアンヌさえも凌ぐという。 毎年開催される『使い魔品評会』の最大の主賓であり、その御前に使い魔... -
もう一人の『左手』-17
前ページ次ページもう一人の『左手』 <フリッグの舞踏会から7時間30分前> 途端に客席がざわめく。 なに、あいつ? 一体何をする気なんだ? ってか、あいつ平民だろ? 自分が王族に口を利ける身分と思ってるのか? そういう声が会場に溢れる。 見ると、ギトーやシュヴルーズが、いや、アンリエッタの近侍らしい金髪の女性も、真っ青になって舞台へ向かっている。 無断の闖入者である才人をつまみ出す気らしい。 しかし、才人はまったく動じない。 傍らに突き立てた剣を振り返ると、 「そして、こいつがおれの相方。インテリジェンス・ソードのデルフ君です。――デルフ君、挨拶」 「どっ、どうも、インテリのデルフリンガーです。……って、本当にやる気かよ相棒?」 デルフの声が震えている。 どうやら、才人に比べて、剣の方はまだ覚悟が決まっていないようだ。... -
もう一人の『左手』-13
前ページ次ページもう一人の『左手』 「ズゥゥゥゥゥカァァァァァァ!!」 悪鬼のごとき形相で迫るカメバズーカ。 「ぐっ!?」 それを迎え撃とうとするV3の全身に走る、高圧電流のような激痛。 思わず腰が砕けそうになるが、こんな状況で、膝を屈するわけにはいかない。懸命に大地を踏みしめる。 そんな隙だらけのV3の懐に、カメバズーカは一気に飛び込み、その勢いを殺さぬままに、二本の剛腕で、V3の首根っこを、握り潰さんばかりに引っ掴む。 「ちぃっ!」 しかしV3は、カメバズーカの勢いを利用して、柔道の巴投げの形で、怪人を後方に放り投げる。 大地にのけぞって倒れたV3。その彼によって、大地に転がされたカメバズーカ。 だが、そのままむくりと身を起こすカメバズーカを、予期せぬ攻撃が襲う。――彼の足元の地面が、いきなり爆発したのだ... -
もう一人の『左手』-10
前ページ次ページもう一人の『左手』 「カザミ……本当なの? サイトが生きてるって……信じていいのねっ!?」 先程まで悪鬼のような形相で、風見の腹筋にグーパンチを打ち込んでいたルイズが、いきなりふにゃっと歓喜に緩んだ。――この使い魔は、愛想こそ無いが、嘘はつかないという事を知っていたからだ。 「ああ。いま奴は、この学校から南南西の方角に約5kmのポイントを馬車で移動中だ。目的地がどこかまでは、分からんがな」 「5……“きろ”?」 「ああ、こっちの言い方だと5“リーグ”と言った方がいいのか」 「サイトは?」 「ロープで縛られて、荷台に転がされている。……無事だよ。呼吸も顔色も変化は無い」 「でっ、でも、何で分かるのよ、そんな事まで……!? まるで、見てきたような言い方じゃない!?」 風見の正体を知らないキュルケが、ルイズやコルベールを振り返る... -
もう一人の『左手』-19
前ページ次ページもう一人の『左手』 . 「さあ、聞かせてもらいましょうか。あんたが一体、どういうつもりなのか」 そう、押し殺した声で言ったキュルケは、怒っていた。 ここは酒場だ。周囲の喧騒からして、盗み聞きされるとは思えないが、それでも、最低限の用心だけは欠かすわけにはいかない。 キュルケが、眼前の人物を怒鳴りつけたいのを、必死になってこらえているのは、話の内容だけではなく、いま自分が会っている人物が誰であるか、絶対に周囲に知られるわけにはいかないからでもあった。 そのため、目立ち過ぎる貴族のマントを脱ぎ捨て、町娘の扮装までしているのだが、しかし、キュルケ持ち前の雰囲気と、庶民の娘にしては派手なコーディネイトのおかげで――哀しいかな、街の娼婦しかに見えなかった。 そんな彼女が、目深にフードを被った、いかにも済まなさそうな、ワケあり風の女性を睨み... -
もう一人の『左手』-22
前ページ次ページもう一人の『左手』 雲と霧の白い闇を抜けると、一抹の光さえ差さない、真の闇がそこに待っていた。 浮遊大陸アルビオンの“真下”である。 四人の少年少女を乗せたシルフィードは、ためらうことなく、その暗黒の中に身を紛れ込ませた。 「タバサ! 待ってくれっ!! 風見さんを置いて行く気かっ!?」 才人が必死に叫んでいる。 だが、待つわけには行かない。 自分たちが大陸の下側に逃げ込んだのは、確実に目撃されているだろう。 少なくとも、先程のフネを乗艦とする竜騎士が追って来れない程度の距離を、この暗闇の中で稼がねばならない。 貴族派の空軍は、大陸の下側には入って来ないと風見は言っていたが、いくら何でも、100メイルや200メイル程度の距離なら、たちまち竜騎士に臭いを辿られ、追いつかれてしまう。少なくとも3~4リーグは距離を稼がねば、安全と... -
もう一人の『左手』-08
前ページ次ページもう一人の『左手』 「冗談じゃねえ! 冗談じゃねえ!! 今度こそ本気で冗談じゃねえぞ!!」 「はあ……まあ、たしかに、そうかもねえ……」 才人の怒声に、褐色の肌と豊満な肉体を持つ女性――キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・ツェルプストーが、溜め息を洩らしながら、呟くように同意する。 こんなはずではなかったのだ。 今頃この自室は、本来ならば濃密な色気と媚香が漂う、愛の空間と化しているはずだったのに。 才人の意識が回復してから、はや一週間。 もはや恒例行事と化した観のある、ルイズと才人の大喧嘩。 その怒声は、本来、分厚い石壁で遮られているはずの隣室にまで聞こえて来る。 キュルケは、そのおぼろげに伝わってくる罵声を、聞くとも無く聞きながら、改めて、あの平民の少年は大したものだと思った。 少なくと... -
もう一人の『左手』-27
前ページ次ページもう一人の『左手』 . 「敵突入部隊、接近してきます!!」 「指揮官は分かるか!?」 「そっ、それが……」 「どうしたっ!?」 「ウェールズ殿下本人が率いているようですっ!!」 その瞬間、『レキシントン』の幕僚たちを、沈黙が包み込んだ。 ――ウェールズ殿下が、来る……!! かつての自分たちの主君にして上司。 アルビオン史上類を見ないほどの大反乱を巻き起こした国王ジェームズ1世の虐政。だが、失望させられ続けてきたアルビオンの国民にとって、皇太子ウェールズは、王家に残された最後の希望だった。 その若き王子が、自らこのフネに乗り込んでくる。叛徒逆賊として、我々を殺すために。 ならば我々はどうだ? ボーウッドは自問する。 いかに敵とはいえ、杖を向けることが出来るか!? あのウェールズ殿下を、直接その手に掛ける事が出来るか!? ... -
もう一人の『左手』-21
前ページ次ページもう一人の『左手』 . 「てめえら、こいつらも運びな。身代金がたんまり貰えるだろうぜ」 派手な格好の空賊の頭が、ルイズとワルドを指して言い、去って行く。 それに合わせて、周囲の賊たちも、下卑た笑い声を上げるが、――ワルドは妙な違和感を覚えた。 賊たちの立居振舞いから、何と言うか、――演技のような、わざとらしさを感じるのだ。 魔法衛士隊の束ねとしてワルドが知る、本物の『賊』たちは、こんなに無駄なバカ騒ぎ――油断と言い換えてもいいだろう――を獲物の前では決してしないからだ。 なぜなら賊たちにとって、“略奪行為”という時間は、少なくとも傭兵たちにとっての戦闘と同じく、命を賭けた『職業的戦場』なのだから。 彼らのやり方はもっと酷薄だ。要求だけをシンプルに突きつけ、逆らうような素振りを見せれば、人質の一人や二人は、躊躇せずに殺す。人... -
もう一人の『左手』-35
前ページもう一人の『左手』 . 「貴族の方々が、平民に何をしようが、我々に何が出来ると言うんだ。たとえどれだけ理不尽であっても、これが始祖ブリミルの定めし世界の理(ことわり)であり、法(のり)なのだ」 その悲痛な台詞に、才人は返す言葉を持たなかった。 彼女の父親は、次の瞬間にはハッと我に返り、済まなさそうな表情を向けたが、詫びの言葉は来なかった。――だが、そんなことは才人にはどうでもよかった。彼が言った台詞は、まぎれもない真実なのだから。 足元がふらつくような感覚をこらえ、才人はシエスタを追って厨房に入る。 「シエスタ……」 何を言えばいいのか、まったく整理もつかないまま才人は口を開く。 「はい?」 シエスタの笑顔に取り乱したところはない。もうパニックは脱したというところなのだろうが、帰省の理由を訊かれたときの彼女の反応を鑑みれば、シエ... -
もう一人の『左手』-28
前ページ次ページもう一人の『左手』 . 固唾を飲んで成り行きを見守る『イーグル』号に、その鷹が飛来したのは、そのときであった。 「ファルコニア」 パリーが、不意に現れたその猛禽を、驚きの目で見る。 老メイジの言葉が確かならば、この猛々しい、それでいて気品さえ感じさせる見事な翼を持った鷹こそが、ウェールズの使い魔であるという。戦闘に際して、ウェールズはこの使い魔を、常に自分の身辺から離さぬらしい。 (これがウェールズ殿下の使い魔……!!) メイジの実力を知りたくば、その使い魔を見よというが、ルイズはなるほどと納得してしまった。周囲を圧する猛気を発していながら、その鷹の目元はあくまで涼やかな知性の輝きを宿している。ただ凶暴なだけの鳥類ではないことは、一目瞭然だ。 このファルコニアという鷹こそ、まさしく四海に名高きプリンス・オブ・ウェールズの使い魔に相応しい... -
もう一人の『左手』-20
前ページ次ページもう一人の『左手』 . 「なぜ知っているだと……? テメエ一体、さっきから何言ってやがるんだ」 じわりと声に殺気を込めて、平田がそのままカウンターから立ち上がり、風見ににじり寄る。それはまるで、猫科の大型肉食獣が威嚇するような迫力があった。 ――が、そんな見る者の目さえ背けさせるような圧力を、風見は無言のまま、弾き返すような鋭い眼光で睨み返している。口元の冷笑さえも、いまだ浮かべたままだ。 (――ちがう) 不意にフーケは気付いた。 この男は確かに、風見志郎だ。 顔と体格が同じというだけではない。そんな外見的特徴など、魔法を使えば、いくらでも似せられる。だが、そんなことでは、絶対に解決出来ない内面的特徴というものがある。 そういう意味では、この男は紛れもなく風見志郎本人だ。 この雰囲気、体臭、なにより余人には絶対に... -
もう一人の『左手』-26
前ページ次ページもう一人の『左手』 . 「離して子爵さまぁっ!! いたのよっ!! サイトがっ、わたしの使い魔がっ」 そう叫びながら、ルイズは甲板に飛び出そうともがく。 だが、彼女を取り押さえるワルドの逞しい腕は、まるで微動だにせず、ルイズの抵抗を空しくさせる。 しかし、――確かに彼女は見たのだ。『イーグル』号の艦橋舷窓から。 地面の中から泥まみれになって、のそのそとモグラのように貴族派の陣中に這い出してきた少年を。 たとえ双月が夜空を煌煌と照らしていたとしても、そして『マリーガラント』号の自沈攻撃によって、戦場が紅蓮の炎に包まれていたとしても、――それでも今は、夜だ。『イーグル』号の小さな舷窓から、一人の少年を視認したというには、やや無理がある。 だが、それでも、ルイズは……才人を見たのだ。 しかし、それを主張する少女の姿は、... -
もう一人の『左手』-31
前ページ次ページもう一人の『左手』 . 「大政奉還、そして新政府への参加、か……」 ウェールズはぬるくなった紅茶を一口飲むと、 「考える時間はくれないのか?」 そう言った。 クロムウェルは、そんな皇太子に微笑んだ。 「勿論ここで即答せよとは申しませんよ殿下。それほど簡単な話をしているつもりは、私にもありません。状況が許す限り、あなたには深く考えて頂きたい。ただし――」 「ただし?」 「殿下には、私のこの言葉に対して、確たる回答を返す義務がある。……それは承知して頂きたい」 真摯な瞳でそう言い切ったクロムウェルを前に、ウェールズは溜め息をついた。 「……たいしたものだな大司教。噂で聞く君とは、まるで別人のようだよ」 その愚痴にも似た呟きに、黒衣の大司教は、苦笑して何も答えなかった。 (それはまったく同感だよ、皇太子殿下) ワルドは顎ヒ... -
もう一人の『左手』-24
前ページ次ページもう一人の『左手』 全身の激痛で、風見志郎は目を覚ました。 瞼が重い。 いや、重いのは、瞼だけではない。全身の骨格も、筋肉も、皮膚も、内臓も、身体中が激痛にまみれている。 ――つまり、それは、ある一つの事実を結論づけている。 (まだ、死んではいないようだな……) 指は動く。腕も、脚も、頚も、腰も。痛みはあるが、一応全身の関節は問題なく稼動するようだ。 次は意識状態の確認だ。記憶の欠損はないか、思い返してみる。 ……いや、欠損どころではない。 思い返すだけで、背筋が凝固したような戦慄が、全身を凍らせる。 自分は、撃ち落されたのだ。 貴族派の砲火でも、カメバズーカでもなく、V3の姿をした、もう一人の自分に。 まるで記録映像のように、脳裡にあのときの光景が焼き付いている。それは、彼の精神に与えられ... -
もう一人の『左手』-33
前ページ次ページもう一人の『左手』 . 「撤退だそうだ」 「撤退って、……どっちが?」 「信じられんが、我が軍の方らしい」 「――はあっ!? 何で!? 貴族派の連中は白旗挙げたんだぜっ!?」 「俺が知るかっ!! とにかくクロムウェルのクソ坊主と直接話したウェールズ殿下が、その指示を出したんだってよっ!!」 「……何でそうなるんだよ……? 王子様、『レコン・キスタ』の国賊どもに毒でも一服盛られちまったんじゃねえの?」 「かもな。あのクソ坊主は特に一筋縄じゃいかねえって聞くしな。停戦交渉で盃に毒を盛るくらいはやりかねないぜ」 「――で、撤退ってどこへ行くんだ? 地下道に穴あけちまったから、もうニューカッスルには戻れねえぞ」 「いや、それがな……どうもトリステインらしい」 「じゃあ、撤退っていうのは……アルビオンからの……って意味なのか……ッッッ!?」 ... -
もう一人の『左手』-23
前ページ次ページもう一人の『左手』 「ねえ、タバサ……これって、あんまり言いたく――いや、訊きたくないんだけどさ」 「なに」 「ここ、どこ……?」 キュルケの、半ば脱力したような問いかけに、タバサはある意味、容赦ない答えを返す。 「わからない」 貴族派の追撃はやり過ごした、――とキュルケも思う。 浮遊大陸の真下に逃げ込んだ、彼女たちの駆るシルフィードを、追ってくる者は結局、誰もいなかったからだ。だが、タバサは慎重にも、さらに1リーグほど、大陸直下を飛行した上で、ようやく、地上に出る坑道掘削を実行に移した。 ギーシュの使い魔、ジャイアントモールのヴェルダンデの能力が、遺憾なく発揮されたのだ。 しかし、1時間ほど地下を進み、泥まみれになって、ようやく地上に出たとき、キュルケは半ば呆然としてしまった。 まあ、無理も... -
もう一人の『左手』-30
前ページ次ページもう一人の『左手』 . 「これはこれは、お初にお目にかかります殿下、オリヴァー・クロムウェルと申します」 「ウェールズ・テューダーだ。大司教、一度あなたとはゆっくり話がしたいと思っていたよ」 貴族派空軍旗艦『レキシントン』の艦橋で、にこやかに挨拶を交し合う二人の男。 金髪碧眼の皇太子は、敵艦斬り込み隊の中でも、特に腕利きな六人のメイジをその背に従え、艦橋に入室した。 だが、勝者の代表を待ち受けていた、僧衣と僧帽に身を固めた黒づくめの男に、敗軍の将たる悲壮感はカケラもない。 男は、白面の貴公子を慇懃な態度で出迎え、室内にしつらえられた豪華なテーブルまで、自ら案内する。しかし、そこに卑屈さはなかった。その所作はあくまで『客』をもてなす作法の範疇を出ないものだったからだ。その瞳に宿る蛇のような眼光を除けばだが。 当然、王党派のメイジたち... -
もう一人の『左手』-29
前ページ次ページもう一人の『左手』 . 「いい匂いだな」 「ええ」 風見の声に、厨房で子供たちに囲まれながらシチューをかき混ぜていたティファニアが笑顔で答える。 「“ブイスリー”、そろそろ夕食の時間ですよ」 ティファニアは、彼をあくまで『風見志郎』とは呼ばない。 それでいい、と風見も思うし、好きに呼べばいいとも言った。彼女が召喚した使い魔と、ここにいる自分とは、あくまで別人であるという事実は、やはり二人を並べて見せない限り、少女にとって理解も納得もできない事象なのだろう。 なにより自分が『V3』である事も、決して間違いではないのだから。 「――さ、ジム、そろそろ、そのチェスを片付けちゃいなさい。シチューが置けないでしょう?」 かまどにかけられた大鍋。そこには風見とティファニア、そして孤児たちの分を含めた十二人前のシチユーが、ぐつぐつと煮込まれ... -
もう一人の『左手』-25
前ページ次ページもう一人の『左手』 「まったく、やられましたな」 そうぼやきながら、羽帽子の男は、エール酒のジョッキをあおる。 ニューカッスルから単身、脱け出してきたワルド子爵であった。 ここは、ニューカッスル包囲軍の本陣近くの、とある天幕。 空になったワルドのジョッキに酒を注ぐのは『土くれ』のフーケ。そして、その様子を冷ややかな眼差しで、額にルーンを刻まれた風見志郎が見ている。 そして、ひとしきり酒で喉を潤した彼は、ジョッキを置き、テーブルの上座の位置に座す、漆黒の僧衣を纏った男に目を向けた。無論、その僧形の男の傍らにはシェフィールドが、気配さえ感じさせぬままに侍っている。 レコン・キスタ最高貴族院議長にして、アルビオン貴族派連合軍総司令官オリヴァー・クロムウェル大司教。……事実上のレコン・キスタの領袖であるが、彼自身は一人の私兵も一寸の... -
もう一人の『左手』-34
前ページ次ページもう一人の『左手』 . 「例のワルドの報告、――お主は耳にしたか?」 薄暗い部屋の中、マザリーニは、眼前の椅子に座る男に尋ねた。 「ウェールズ殿下が一度戦死され、“虚無”の秘儀で蘇生された――という、例の報告ですか?」 「そうじゃ。貴公はいかが思う?」 銀髪が美しい初老の男は、しばし目を俯けて心中の言葉を探っているようであったが、やがて硬い視線をマザリーニに向けた。 「分かりませぬ。ワルドは……少なくとも私が知る限り、左様な虚言を軽々しく流す者ではありませんからな」 「余人ならばいざ知らず、情報源が彼奴である以上、信じる価値はある、と?」 確認するようなマザリーニの言葉に、男は重厚に頷き、枢機卿はさらに重い溜め息をついた。 男の名はリッシュモン。 トリステイン王国の高等法院長。 この国の司法長官と検事総長と最高裁判... -
もう一人の『左手』-32
前ページ次ページもう一人の『左手』 . 「え……?」 少女は耳を疑った。 あの竜騎士は、確かにいま自分の名を呼んだ? ルイズ、と叫んだ? そんなバカな? 貴族派の竜騎士が何故自分の名を呼ぶ? いや、疑ったのは自分の耳だけではない。目もだ。 爆光の中、彼女は確かに見た。 爆発のあおりを食らったドラゴンの鞍から、宙に弾き出された少年。たすきがけに背負った一本の長剣。メイジであるはずの竜騎士にもかかわらず、杖を持たず剣をたばさむ? まあ、それはいい。ワルドのようにサーベル状の杖を持つメイジもいる。 だが、彼が着ていた衣服はどう考えても軍服ではなかった。後頭部にフードをつけた、青と白のツートンカラーの上着。 ルイズは知っていた。 彼女がよく知る少年も、同じような衣服を着衣として使用している事を。 そして、その着衣は、ハルケ... -
長編(五十音順)-02
か行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 更新日時 ドラゴンナイト・ゼロ 駈斗戦士仮面ライダーズ 超変身ギャグ外伝 サバイブ龍騎 2010-02-18 13 40 53 (Thu) 日本一の使い魔 快傑ズバット 早川健 2009-10-19 20 39 26 (Mon) ゼロウォーズ カオスウォーズ 日下兵真 2009-10-19 20 57 46 (Mon) ルイズ風水回廊記 カオスシード 飛天石 2009-10-19 21 07 22 (Mon) ゼロのヒットマン 家庭教師ヒットマンREBORN! 獄寺隼人 2009-10-19 21 18 05 (Mon) 滅殺の使い魔 CAPCOM VS. SNK2 神人豪鬼(しんごうき) 2009-10-19 21 22 57 (Mon) ゼロの使い魔外伝‐災いのタバサ‐ 平成版「ガメラ」 ギャオス 2010-12-02 21 08... -
長編(話数順)-03
長編(ページ数順15P~) ※総ページ数をカウント(例:第○話が前後編なら2ページ分、外伝や幕間も加算) 長編(話数順01~04P)へ 長編(話数順05~14P)へ 80P~ 60~79P 50~59P 40~49P 35~39P 30~34P 25~29P 20~24P 15~19P 80P~ 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 更新日時 マジシャン ザ ルイズ Magic the Gathering(マジック・ザ・ギャザリング) ウルザ 2010-11-06 23 52 26 (Sat) ソーサリー・ゼロ ゲームブック「ソーサリー」 主人公「君」 2014-01-14 22 18 54 (Tue) ウルトラ5番目の使い魔 ウルトラマンシリーズ ウルトラマンA 2020-08-13 22 58 15 (Thu) ゼロの黒魔道士 ファイナルファンタジー9 ... -
たった一人の監視者
『Watchmen』からロールシャッハの『顔』と日記を召喚 ※『顔』……『Watchmen』中でロールシャッハが身につけている覆面のこと。白地に黒い模様がランダムに流動して表れている。 たった一人の監視者-01 たった一人の監視者-02 たった一人の監視者-03 -
Persona 0-11
前ページ次ページPersona 0 ペルソナ0 第十一話 何もかも白く染まる霧の中でサイトは蹲っている。 まるで子供のように泣きながら、慟哭を地面に吸わせている。 知られてしまった、何もかも知られてしまった。 醜く変わった本当の己の姿を、一番知られたくない相手に知られてしまった。 これが罰なのか、俺の犯した罪に対する罰なのか? 嘆くサイトの前に声を投げかける者があった。 「ああそうさ、あれだけのことをしたお前にはこんな最低な罰がふさわしい」 顔をあげると霧の向こう側に誰かがいる。 「まさか……」 それが聞きなれた自分の声なのだと気づいたのは、しばらく時間が経ってからだった。 「もう一人の俺……」 シャドウのなかで蹲っていた自分とは違う、自分の弱い心が生んだ自分の影。それがよりにもよってこんな時に…… サイトは歯を噛みしめる... -
一覧テスト02
長編(五十音順:’07/10以降更新) ※召喚される側の原作作品のあいうえお順となっております あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行 その他 あ行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 更新日時 サーヴァント・ARMS ARMS 高槻涼、神宮隼人、巴武士 2010-10-10 12 25 51 (Sun) ゼロのアルケミスト アクエリアン・エイジ クラリス・パラケルスス 2009-10-11 16 26 48 (Sun) 使い魔くん千年王国 悪魔くん 松下一郎 2009-10-11 16 33 42 (Sun) 零の謳姫 アルトネリコ2 世界に響く少女たちの創造詩 ジャクリ 2009-10-11 17 11 51 (Sun) 夜明けの使い魔 異界戦記カオスフレア 宇宙... -
Persona 0-02
前ページ次ページPersona 0 「――私は、私ィィィィィ!」 下から響いてきた絶叫にキュルケは慌ててレビテーションを解いた。 頭から真っ逆さまに地面へと落ちていく、その途中に異様なものを見てキュルケは思わず再度レビテーションを唱えるのを忘れそうになった。 「あは、あはは、あははははぁぁぁ」 それは船だった、どこにでもあるような小さな小さな木製の船だ。 そこから冗談のように太い樹が天に向かって生え聳えている。 太い根を船中にのたくらせた樹は血のように赤い葉をを思うままに茂らせている。 もっともその樹が茂らせているのはそれだけではない。 「あはは、キュルケェェェ!」 小さな船を苗床に育ったその樹は、首を吊った桃色の髪の少女と言う実をつけた。 「――!? ヴァリエール」 船が揺れるたびにガサガサと葉がこすれる音が響き、それに伴って少... -
銀の左手 破壊の右手-05
前ページ銀の左手 破壊の右手 最終話『銀の左手 破壊の右手』 「行くぜガンダールヴ、気合入れろー!」 「おう、任せとけデルフ!」 一度制御を失敗したとはとても思えないほど『破壊の杖』は手に馴染む。 デルフリンガーが補助していると言えどまるで手の延長の如く馴染むその感覚は、才人の決意を『破壊の杖』が汲んでいるからだ。 ARMは精神感応兵器、人の精神を喰らって力と為す武器である。 ただの少女でしかなかったアナスタシアが人間すべてを絶望させたロードブレイザーと互角に渡り合うことが出来たのは、偏にアガートラームやアークスマッシャーの持つその性質にある。 アナスタシアの力の源は人ならば誰もが持つその欲望、『みんなと一緒に生きたい』と言う他の英雄としての死を求めるような軽薄な人間では到底比肩しえない強大な欲望の心をアガートラームが力としたからだ。... -
PSYFER THE BLAZE-05
前ページ次ページPSYFER THE BLAZE 四人目と左手 決闘の次の日の朝食の時間、修太の姿は食堂にはなかった。 それが無性に気になっていたマリコルヌは、ルイズに聞いてみることにした。 「ルイズ」 「何?」 「シュータの姿が見えないけど?」 「それがね……」 ルイズは昨日、決闘の傷が癒えたヴィリエと、キュルケに(自分が)重傷を負わせた件で厳重注意され、修太の食堂入室許可を取り消された事を説明した。 「根っこは去年と全然変わってないな……」 マリコルヌは、去年の決闘でルイズがギーシュを半殺しにした事を思い出しながら呆れ果てた。 一方、厨房では修太が朝食にありついていた。 「しっかし災難だったな、我らの焔」 「うん……」 キュルケに襲われた時の事を思い出して少し身震いしながら修太は答えた。 修太が着ている際どいワンピースを見ながら、マ... -
たった一人の監視者-03
前ページたった一人の監視者 chapter10 それは飽きた玩具を送りつけるような無作法だった。 皇帝アルブレヒト三世から、皇妃アンリエッタへのトリステイン旧王国領における三権裁可権限の委任状。 公文書の束には皇帝自らの私信が付け加えてある。 どうやら降臨祭の贈り物を前渡ししているつもりらしい。 歓心を買うつもりなのかもしれない。が、かくしてアンリエッタの手に、トリステインは戻った。 委任状が届いた日から時間は飛ぶように流れる。アニエスと、そしてエレオノールの手を借りて、アンリエッタは荒され尽くしていたトリステインの政務に着手した。 鳥の骨が昔一人で行っていた事を三人がかりでやり直すのは、十年の月日を思うとさらに困難なものだった。 しかし、アンリエッタは身を燃やすように現実と向き合った。 十年の虚ろな時間を取り戻そうと、もがいていた。... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-08
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 8.悩みの種は喋る剣 わいわい、がやがや。トリステインの城下町を二人は歩いている。 二人とも、馬に乗るのは慣れていたので、何処かの誰かのように、 腰を痛めたりはしなかった。 適当な服屋に入って、衣装を買う。ルイズは、お金はある。 と言って、いかにも彼に皇帝とした服を買おうとしたが、 いやいや、頼むから待っておくれ。とマーティンが止めた。 「司祭で通っているのだから、それらしい服装の方が良いだろう?」 と言うマーティンに、しぶしぶそれらしい、控えめなローブを何着か買った。 んー、とルイズはうなる。せっかく来たのだからマーティンが好きそうな、 「何か」を買うべきだろう。しかし、何が好みだろうか。 「ダガーナイフとか、ダメだろうか?」 あなた... -
たった一人の監視者-01
前ページ次ページたった一人の監視者 chapter0 その“事件”について、当時の学院教授ジャン・コルベールの日記にはこのように書かれている。 “その日、私が監督した春の使い魔召喚の儀式において、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、一冊の本と覆面を召喚した” “それはまったくの未知の言語で書かれた書物で、また覆面は成人男性用の布製と見られたが、具体的な製法等において、同じく未知の物質であった” “私は、特殊な事例ではあるものの、使い魔の召喚としてこれを認め、ルイズは覆面に契約の口づけをした” “ルイズ自身から、幾種類かの抗議が上がったが、私は彼女を説得し、最終的に彼女はこれを認めてくれた” “しかし翌日、彼女が寮から失踪したと聞いた時、私は最初深い後悔を感じたが、次の報告を聞いて、一種の不気味さを感じざるを... -
二人のルイズ
二人のルイズ 「なによ、これは……」 彼女にとって今日は記念すべき日になるはずだった。 自らの系統を見定め、より内容的に特化した二年への進級試験も兼ねた春の使い魔召喚の儀式。 何度も失敗し、今度こそは意を決して杖を振り下ろした先に現れたのがコレだった。 「なんだあれは!? 「まさかゼロのルイズが」 「信じられない」 周りの生徒たちが驚愕から喧々囂々の騒ぎを巻き起こす中、ルイズはまるで瀕死の魚のように口をパクパクさせることしかできなかった。 出来ればドラゴンやグリフォンのような幻獣であれば言うことはない、虎や獅子でも大歓迎だ、それが無理なら犬猫でも構わない、いやオールドオスマンのようにネズミでもしょうがないし、さっき頭上を飛んでいった雀でもこの際贅沢は言うまい。 そんな気持ちで挑んだサモンサーヴァントだからと言... -
割れぬなら……-12
前ページ次ページ割れぬなら…… 「始祖の降臨の日を祝して、悪鬼を追い払う剣舞をご覧に入れましょう」 アンリエッタ、ウェールズといった名士達の前に、女装をした曹操が歩み出た。 軍楽隊はパレードの音楽を止めて、演武用の曲を奏で始める。 リッシュモンがその様子を苦々しく見つめていた。 「戻りました」 そこに先日リッシュモンと密談をしていた男が現われ、そっと耳うちをした。 「首尾は?」 「なんとかワルド子爵の眼を誤魔化して何箇所かに兵を配置できました。 メイジはおりませんが、全員が銃の名手です。 命令があれば、出席者を狙撃する事が可能です」 「良し、すぐに奴を始末させい」 「はっ」 男は再び人混みの中へと消えていった。 当時の鉄砲の有効射程距離はおおよそ200メイル。 甲冑を着込んでいるのなら... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-05
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 5、ドラゴンファイアを知る ルイズは眠っている。気絶から本格的な眠りに入ったルイズは、 シュヴルーズが目覚めた後も、眠り続けていた。 今日の朝からどうにも、ルイズは夢を司るデイドラ王、ヴァーミルナに気に入られたらしい。 老婆の姿で、ヴァーミルナは杖を持ち、何を見せるか己の姿を変えながら考える。 眠ってしまった後は、どのような生物だろうと彼女の元へ行かねばならぬ。 そこは、いわゆる夢の世界という奴であり、そこに行かずに済むには眠らない以外方法がない。 人は眠りながらにして、常に異世界、オブリビオンへと足を踏み入れているのだ。 だが、殆どの者は入ったことすら忘れ、時たまに悪夢を見た!という衝撃だけを覚え、目覚める。 彼女は悪夢こそがその本領だが、しかしたまには変わった夢を見せ... - @wiki全体から「もう一人の『左手』-12」で調べる