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ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア The Elder Scrolls IV オブリビオン より シロディール最後の皇帝マーティン・セプティムをシナリオクリア後から ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-01 ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-02 ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-03 ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-04 ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-05 ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-06 ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-07 ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-08 ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-09 ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-10 ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-11 ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-12 ジ・エル... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-28
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 28.見捨てられし白の国の王子 外に出たルイズは、とりあえず杖を取り出して精神統一を計る。 何も考えず目を閉じて、呪文を紡ぐ。 「ユビキタス・デル・ウインデ…」 呪文を唱え終わり、目を開けると――。 「えぇえええええええ!?」 20人を超える桃色髪の女の子がそこにいた。平賀才人がいたら夢みたいな状態だろう。 吉夢か悪夢か?後者じゃないだろうか。ルイズならどれが本物!?等と彼に聞くと思われる。 マーティンは、おそらくオリジナルだろう慌てているルイズの方を見た。 他のルイズも慌てている。 「まずおめでとうルイズ。ところで、体の方に何か異変はあるかい?」 「えーとえーと、あ、ありがとうマーティン。いい異常はないわね」 ふむ。とマーティンは... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-26
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 26.ブリミルの詩 どうしてだろうか。ルイズは古ぼけたオルゴールから流れる声をとても懐かしく思った。 神の左手ガンダールブ―― マーティンのルーンだわ。確かに彼らしいわね。 神の右手がヴィンダールブ―― 心優しく動物好き。まるでちぃ姉様みたい。 神の頭脳がミョズニトニルン―― ニルン。マーティンのいた世界の名前。 何か関係があるのかしら? そして最後にかの邪神……。記すことすらはばかれる…… 音は続くが、ノイズが酷くなって何を言っているのか分からない。 邪神?そんなの始祖ブリミルの話に出た事無いわよ? ルイズの頭が混乱する中、それとは別に何か他の言葉が聞こえ始めた。 「ルイズ?」 急に杖を持ち、何かをルイズは呟き始めた... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-12
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 12.王家の乙女 舞踏会から一週間が過ぎた。 平凡な日常が続く。マーティンにとってはありがたい休暇である。 そして、この地についての調べ物の日々でもある。 何故ハルケギニアとタムリエルの魔法が全く互換性が無いのか、 ここはニルンのどこら辺なのか。等が主にそうだが、 デルフリンガーについても調べたいし、 自分を養っているルイズの魔法が何の系統なのか、 おそらく『虚無』ではないかと当たりはつけてあるが、 しかし、証拠も確証もない。 そんなわけで、学院の図書館塔で、 マーティンはずっとこれらの情報を漁っているが、 未だ有益な情報は見つかっていない。 魔法の互換性については、根本から違う為と思われる。 天にあると言われるエセリウスの概念が、この世界にはな... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-29
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 29.失われた歴史 「…何か、様子が変になったというかな。 サハラから帰ってきた弟は大人しくなった。 悪いことではない。むしろようやく王家としての自覚を持ったのか。 その時は皆そう思ったよ」 ふぅ。とジェームズはため息をつく。 「仕事の方もしっかりやるようになった。 どこかへ勝手に出かけなくなったし、 いい加減嫁でももらえと私は言ったのだが、 何故かあやつはうんとは言わなかった。 おそらく、君の母君がいたからだろう。 分かってしまったらどうしようもなかったからな」 肩を落とし、ジェームズは続けた。 「四年前の事だ。ある日モードに仕えている使用人が、血相を変えて王宮に来た。 モードがエルフの女と暮らしていて、子供を設けてい... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-20
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 20.ブルーディスティニー まだ泣いてる。でも私がどうにかできる訳ないもんね… ごめんね。ごめんねエレーヌ。お姉ちゃんどうしようもなくてごめんね。 とりあえず、話は終わった。このイザベラ姫の話が正しければ、の話だが。 まぁ、結果は日を見るより明らかだ。多分この娘は何も知らされてはいない。 大方あの無能王と、マニマルコとかいうのに利用されているんだろう。 杖無し魔法はマニマルコにか…マスター何か知ってるかね?さて―― 「で、あんた」 「き、きゅい」 フーケはシルフィードの頭を一発殴る。 「い、痛いのね!暴力反対!」 「なら話し合いに応じてくれるかい?」 「う、しまったのね…」 『すまぬな。この者は粗忽者で』 「影におわす半分大いなるお... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-01
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 1不運な皇帝 晴れ晴れとした青い空が延々と続いている。 なるほど、神の住まう地エセリウスとはこのような場所だったか。 父と先祖達は一体どこにいるのだろう。 黒髪で少し黄色がかった肌をした40代くらいに見える男、 マーティン・セプティムはどこかの草原に倒れていた。 タムリエル帝国最後の正統な血統を持つ皇帝だった彼は、 命と引き替えに国を守り、天に召されたはずだった。 ふと、自分が仰向けになって倒れていることに気づき、 起きあがろうとすると誰かの顔が見えた。 この地に住まう神々、九大神の使いか何かだろうか。 「あんた誰?」 エルフと人間のハーフを祖先とするブレトンであろう、 可愛らしい容姿の少女が何とも形容しがたい顔でそう言った。 何故お前がここにいるのだと言... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-15
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 15.酒の席での墓穴 盗賊共と別れて後、ラ・ロシェールまで確かにそういった連中はいなかった。 何事も無く、無事にたどり着きマーティンはほっとした。 先に着いた三人と合流して今日の宿をとる。 この町で最も上等な『女神の杵』亭という宿であった。 「僕とルイズは今から船の交渉に行ってきます。マーティンさんと二人はこの店にいて下さい。 部屋の方はロビーに言えば鍵をくれますから」 にこやかに紳士の様相を崩さないまま、 ワルドはルイズと手を繋いで出て行った。 なんともなしに窓を見た。日が傾きつつある。 そろそろ夕方になる頃だろうか。そんな事を考えながら、 一階の酒場でマーティンはくつろいでいた。 常に神経を尖らせていると後に響く。 いくらなんでも、ここには... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-21
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 21.最高の盗賊に栄光あれ 最近、才人は家に帰ると自室の押入を開けその中に入る。 オブリビオンの門がそこに開いているのだ。 正確にはヴァーミルナの領域、クアグマイヤーへの門が。 『おお、ぼーやか。おもしろかったぞこれ』 と、ヴァーミルナはご満悦そうに言った。 ドリルが格好良くて怖かったらしい。たしかにそうだ。 「また怖くできそう?」 『ああ。もっともっと怖くできるだろうなぁ』 にんまり顔の彼女はひどく可愛らしい。 そりゃ、才人が頼んだ姿形に変わってくれるのだから当然だが。 「ところで、ここっテさ」 『なんだ?』 「いや、ヴァーみルナが創った化け物とかは見るケど、 元からいルのっておマえだけダよなって思ってさ」 時... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-39
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 39. The Elder Scrolls タルブの村のはずれで爆音が響く。豪快なそれはルイズの気分が、 晴れやかな事を表しているのかもしれない。 マーティンは音の鳴る方へ進み、ルイズに薬が出来た事を伝えた。 「早いわね。流石エルフだわ」 そういう問題なのだろうかとマーティンは口に出そうとしたが、 ルイズの天にも昇りそうな満面の笑みを見ると何も言えなくなった。 「それじゃあ、ちいねえさまの所に行かないと」 ルイズが小さい頃は同じ屋敷で暮らしていたが、 八年程前から別の屋敷にいる。本格的な病気治療の為に造られたのだ。 それがあるのはフォンティーヌ領で、ヴァリエール公爵はカトレアを不憫に思った結果、 残りの生涯を家名に縛られずに生きて欲しかった為、名を変えさせた。 ルイ... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-24
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 24.『子供向けのアヌの伝記』と『人類の誕生以前』、それと古の種族について マーティンが竜の上のルイズに声をかけた。 なんとも言えず悲しそうな顔をするルイズだったが、 彼女は気を取り直してマーティンに手を振った。 「どうしたの?聞いてなかったとか」 「うううるさいわね。それじゃ、また後でね!」 キュルケとの会話を乱暴に終わらせて、 彼女は竜から降りてマーティンに近づく。 「何か、あったのかい?」 「何にもないわ。ええ、何にもね」 そうか。とマーティンは何も聞かずにルイズが歩く方へ付いていった。 竜から少し離れた所で止まり、彼女は口を開いた。 「ところでさっきの話なんだけど」 「ああ、伝記の話かい?」 ルイズは首を横に振る。... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-02
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 2 ご主人様の涙 「ねぇ。本当に人、いえ猫とかトカゲの亜人ですら先住魔法を使えるの? その、タムリエルって所は。」 先ほどの発言に驚くルイズを落ち着かせ、 彼女の部屋で証拠――簡単な自己回復の魔法――を見せても、 未だ信じられない様子で、何度も繰り返し聞き返すルイズに、 少しうんざりしながらマーティンは、先住魔法の意味をあまり考えずに、 先ほどからくり返し説明している事をぶっきらぼうに言った。 「そうとも、ご主人様。タムリエルと、 それ以外の全ての大陸と島々を合わせたニルンの地がある『ムンダス界』より 遠く離れた異世界『エセリウス』の影響と、 そこに住まう神々九大神の加護によって、 ニルンの生きとし生ける全ての知あるものは魔法が使えるんだ。 人によって得手不得手があるのは間違... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-06
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 6 伝説か見知らぬ者か ああ、おはよう。そう椅子に座っているマーティンは言った。 先ほどの夢とは全く違う、気楽そうな姿である。 隣に座る黒髪のメイドと、楽しく談話していたらしい。 「彼女――シエスタ嬢がご飯を持ってきてくれたよ。食べられるかい?」 ただのシエスタで良いですよ。そういって笑う。 なかなか綺麗だった。からかい混じりで試してみようと、ルイズは口を開いた。 「ええ、大丈夫ですわ。マーティン陛下。ところで、ドラゴンファイアは灯せましたの?」 またもや時が止まる。ちなみに、ナイフも、ロードローラーも、 タンクローリーも周りには無い。 コホン、とマーティンは咳をした。シエスタ、と呼ばれたメイドは、へ、と口を開け、呆然としている。 「... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-36
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 36.彩られた部屋(Colored room) キュルケがグラスとおかわり用のワインを持って帰ってくると、 眠くなったルイズが部屋に来ていた。 壮観ねぇ。とでも言いたそうにルイズは青髪達を見る。 彼女達はまだ食べ続けていて、そろそろ袋の中身が無くなりそうだった。 あの大きい方が風韻竜だったとはね。 絶対言わないように口止めされたけれど、 言ったところで誰か信じたりするのかしら? ありえないとルイズは確信を持って言えた。 「ああ、あんたもここな訳ね」 ルイズが振り向くと気怠げなキュルケがトレーを持っていた。 「ベッドが4つあるからそうなるでしょうね」 タルブワインと3つのグラスを持ったキュルケは、 一つをルイズに渡し、二つを貪る一人と一匹の近くに置く。 ルイ... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-13
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 13.手紙を届けよ アンリエッタ姫殿下が学院にやってきて後、現在夜である。 マーティンは、ルイズが学んでいる教科書の一つを借りて、 ハルケギニアの魔法の理解を深めようと勉強していた。 主に『風』の系統についてである。 これだけは概念その物がタムリエルには無いのだ。 自身で闇雲に考えるよりも、知っている人から教えてもらう方が良い。 そんな訳でこれについては後回しにしていた。 他の系統魔法も憶測まじりでの理解だったので、 これの後に教えてもらう予定だった。 教科書と共に教えてくれる教師はルイズだった。 何とも言えない顔つきでぼうっとしていたが、 一声掛けるといつもの調子に戻ったので、まぁいいかと彼は教えを受けた。 勉強机に椅子を二つ並べてマーティンがルイ... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-50
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 50.火の本質 「はぁ、結婚式の感謝の詩ですか……」 コルベールはマーティンと一緒にやって来たルイズから、どの様にしてこの研究室に来たかを説明し、 詩についてとても困っていることを聞いた。コルベールは腕を組み、そういえばとルイズに話しかける。 「ミス・ヴァリエール。私の記憶が確かならば、君の友人にこういうのが得意そうな」 ルイズはきっぱりと否定した。 「いません。いたとしても却下します、絶対にやです」 即答するルイズを見てコルベールは苦笑する。やはり、彼女には頼めないか。 ツェルプストーとヴァリエールの関係を見れば明らかな話だ。 そしてコルベールはゆっくりと首を縦に振った。 「大船に乗ったつもりで、という訳にはまいりませんが、これでもたし... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-05
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 5、ドラゴンファイアを知る ルイズは眠っている。気絶から本格的な眠りに入ったルイズは、 シュヴルーズが目覚めた後も、眠り続けていた。 今日の朝からどうにも、ルイズは夢を司るデイドラ王、ヴァーミルナに気に入られたらしい。 老婆の姿で、ヴァーミルナは杖を持ち、何を見せるか己の姿を変えながら考える。 眠ってしまった後は、どのような生物だろうと彼女の元へ行かねばならぬ。 そこは、いわゆる夢の世界という奴であり、そこに行かずに済むには眠らない以外方法がない。 人は眠りながらにして、常に異世界、オブリビオンへと足を踏み入れているのだ。 だが、殆どの者は入ったことすら忘れ、時たまに悪夢を見た!という衝撃だけを覚え、目覚める。 彼女は悪夢こそがその本領だが、しかしたまには変わった夢を見せ... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-44
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 44.フォンティーヌの休日 二人が落ち着いてしばらくしてから、姉妹は少し遅めの昼食を取った。 エレオノールがやって来たのは一時間程前で、 まだご飯を食べていなかった。そしてカトレアはずっとルイズを見ていたからだ。 「で、よろしいのですか?私の様な者も一緒で」 実家にあるテーブルと違い、円卓状になったそれの傍に立つグレイ・フォックスが、 主人であるカトレアに聞いた。 円卓のテーブルの意味はそこに座る者は皆同じであり、 貴賤の差無しという事である。 カトレアはこのテーブルで使用人と共に食事を取っている。 「構いませんわ。妹を運んでいただきましたしね」 ペコリと頭を下げて、グレイ・フォックスは貴族らしい、 ちゃんとした作法で座り、昼食を取る。 「しかし、まさ... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-42
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 42.シェオゴラス 小雨が降る暗い森の中、ルイズはカトレアから離れた所に現れた。 カトレアは日記帳を持ってひたすら森の奥へと歩いている。 時折激しく咳き込みながら、ランランと目を輝かせているのがルイズには何故か分かった。 辺りは強い風が吹き、ルイズは自分の視界すら確保出来ないというのに、 カトレアは明かりも点けずにずんずん前へ進んでいく。その顔は歓喜に満ちていて、 精神力が具現化したオーラが彼女の周りを漂っている。 青にも茶色にも見えるそれが舞う。荒れ狂う嵐のようなそれらをまとう姉はとても怖かった。 「獣って、どこにいるのかしら。ああ、もうここで倒れるのも悪くないわね。 だめ、だめよカトレア。こんな所じゃすぐに見つかってしまうわ…」 こわい。このちいねえさまも、今のちいねえさまも... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-48
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 48.トリニティ 「ほう……なるほど。大体分かった」 アニエスはシエスタの話を聞き終わり、ふんふんと頷いた。 シエスタは色々とぼかしながら話したが、 アニエスはそれらを細かく聞こうとはしなかった。 盗賊家業なのだ。漏らしてはならない情報も色々あることは、 誰だって考えがつく。 「お前が最近話題に事欠かない盗賊一味の一人で、 『よきしるし』を持つ者を二人知っているということだな」 よきしるしとは何か、シエスタはそれが何か分からない。 きょとんとした顔でアニエスを見ていると、 ああ、と合点がいったらしくアニエスは説明を始めた。 「よきしるしとは、はるか昔に始祖ブリミルがお作りになられた3つのルーンの事だ。 だが、ロマリアの者達は滅ぼされた邪神まで……」 また... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-08
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 8.悩みの種は喋る剣 わいわい、がやがや。トリステインの城下町を二人は歩いている。 二人とも、馬に乗るのは慣れていたので、何処かの誰かのように、 腰を痛めたりはしなかった。 適当な服屋に入って、衣装を買う。ルイズは、お金はある。 と言って、いかにも彼に皇帝とした服を買おうとしたが、 いやいや、頼むから待っておくれ。とマーティンが止めた。 「司祭で通っているのだから、それらしい服装の方が良いだろう?」 と言うマーティンに、しぶしぶそれらしい、控えめなローブを何着か買った。 んー、とルイズはうなる。せっかく来たのだからマーティンが好きそうな、 「何か」を買うべきだろう。しかし、何が好みだろうか。 「ダガーナイフとか、ダメだろうか?」 あなた... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-40
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 40.スプーンのカトレア ツタが屋敷――というよりも立派な城の外壁に絡まり、 いかにも年代物という雰囲気を醸し出している。 しかしこの建物は、まだ建てられて少ししか経っていない。 カトレアの趣味から、植物に手を加えずそのまま育てさせているのだ。 日が傾いて薄暗がりと赤が混じった色に、 照らされ始める城はどこか奇妙で、フォックスは何か不安を感じてしまう。 竜はその城の上を飛んでいる。ルイズはにこやかだった。 「ちいねえさまの家って、いつ見ても変わっているわ。 それがおもしろいのだけれど」 変わりすぎだろ。とフォックスは心の中でツッコんだ。 ミス・フォンティーヌの噂はよく聞くが、その内容は病弱である事だけだ。 薄幸の美女で凄く――おっきぃ。という感じの噂がよく流れる。 まぁ、噂... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-37
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 37.魂の本質、そして古き法 ジェームズのベッドがある部屋、ルイズ達が寝ている頃に戻る。 マチルダが部屋の皆にイザベラの説明を詳しくしていた。 「…とまぁ、こんなことがあった訳さ。言うなって青髪の子からは頼まれたけど、 流石にこれ言わなかったらまずいよねぇ?」 ああ。とフォックスが力無く頷いている。頷き続けている。 聞いてないねこいつ。マチルダは聞いていた人の方へ向いた。 「レキシントンにマニマルコが乗っていて、 しかもそこにガリア王家の者までいると… 考えられるとしたら――」 マーティンは、あまり考えたくない事を考えなくてはならなかった。 死霊術師の主にして、とても強大な力を持ったメイジだった存在。 手を掲げるだけで何百もの死霊が蘇り、その魔法は山を震わせる... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-22
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 22. The Nightmare Before Marriage 泣きはらして一夜が過ぎた。ルイズは泣きながら寝ていたらしい。 ベッドに入った覚えがない。きっとマーティンが運んでくれたんだろう。 立派な貴族になる。そう決めたがやはり出来ないのだろうか? 私は、やはり「ゼロ」のまま。泣くしか出来ない子供なのだろうか。 嫌な事が続くと、頭の中まで嫌な考えに染まる。 ふと周りを見ると、何故かワルドがいた。 「いやはや、死ぬ前にこのような事を頼まれるとはね」 良い記念になる。そう言ってウェールズは笑った。 マーティンは隣で礼拝堂を見渡している。 「なるほど。これが始祖ブリミル…」 様式こそ色々と違ったが、やはりこういった神像みたいな、 ... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-43
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 43. ラ・ヴァリエールの姉妹 ルイズは残り少ない自制心を全て費やして、 どうにかこの存在自体がシャレになっていない老人に来た理由を話した。 シェオゴラスは不服そうな顔でルイズを見ている。 「ハ!余は記憶か。誰がそんな魔法を作った? マグナス?イスミール?トール・パパ?それともチェザーレの馬鹿か? ああ、ブリミルかもしれんな。あの野郎余の言うこと無視しやがって!! 知ってるか?あいつのヴィンダーなルーンを作ってやったのは余だぞ。 なのにあの野郎、余の信者にならなかった!酷い詐欺ってもんだ!!!」 「知らないわよ!それより、あんたなんなのよ。全然わかんないのよ! ちいねえさまを変にしたりわたしに嵐を浴びせたり!!」 シェオゴラスは生暖かい笑みをルイズに向けながら、優しげな声... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-53
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 53.護衛のアニエス 「えー、おほん。えへん。ごほん……」 何をすれば良いのか、そんなことは分かっている。でもできない。というよりしたくない。 エレオノールはルイズの使い魔によって回復した婚約者と、 両頬が赤くのびきっているルイズを前にして、わざとらしい咳払いを続ける。 ひとしきりその様を見たヴァレリーは、腹を抱えて笑いながら出て行った。 なんかあやまりたくない。自分が悪いとは分かっているが、 それであやまるのはどうなのだろうか。いや、 むしろあれはノックもせずに人の部屋を勝手に見たのが悪いのだから、 あやまる必要自体無いのではないか。 笑顔のカトレアがゆっくりと顔をエレオノールのそばによせる。 「姉さま。いいかげんにしないとやっぱりなしって言われるかもしれませんわ」... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-17
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 17,盗賊ギルドの秘密 「おお、何と…」 マーティンは言葉を失って、ただ目の前に浮かんでいる大陸を見やる。 空に浮かぶ「白の国」アルビオン。書物で確かに浮かんでいるのは知っていたが、 実際に見るのとでは大違いであった。 「どう?凄いでしょ!」 ルイズが楽しそうに笑う。さっきの事もあって、どうにか気楽になろうとしていた。 驚いているマーティンはルイズの方へ向いて、感激した風に言った。 「ああ、全くだよルイズ!しかし――ここまで大きな物が何で浮かんでいるんだろうか?」 「色々学説があるらしいけど、始祖ブリミルが風の精霊に頼んで、 このアルビオン大陸で聖地へ行ったって伝説がよく言われるわね。 昔はハルケギニアのどこへでも行けたらしいけれど、 ... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-23
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 23,烈風 ワルドがのんきに笑っている間、カリーヌ・デジレと現マンティコア隊の訓練は熾烈さを増していた。 一人、また一人と風にあおられ、マンティコアと共に空高く吹き飛ばされる。 「どうしたというのか!それで終わりか?」 烈風の風は止む気配が全くない。先ほど吹き飛ばされた現隊長、 ド・ゼッサールが勇敢にも突撃した。瞬間、彼は風に舞う。 今回の終了条件は、カリーヌに一撃でも攻撃を浴びせること。 「遅い!」 また200メイル上空まで吹き飛ばされる。ちゃんと死なないように、 カリーヌは地面に当たる瞬間、彼を魔法で少し浮かせてから落とす。 「…きょ、教官殿。も、もう動けません」 マンティコアと共に倒れている誰かが悲痛そうに訴えた。まだ新人の様で... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-38
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 38.出発までの休憩 ルイズ達が朝食を食べ終わる。彼女は再び魔法の練習をしに出て行った。 キュルケは暇なのと、自身の勘が正しいのかどうかを確かめるためにそれを見に行く事にした。 青い髪の二人はというと―― 「眠いから寝ますわ。今日は帰らないでしょ?お姉様」 コクリとタバサが頷いた事を確認して、シルフィードは2階のベッドに行った。 食っちゃ寝は体に悪いだろうが、そんな事を気にする程老いてはいない。 タバサはというとハシバミ草のお代わりを頼んだ。 タルブ独特の味付けが気に入ったようで、15杯目であった。 「にしても――凄いわねぇ」 爆発音と共に豪快な土煙が吹き上がる。 さっきからの練習は、明らかに爆発が多いが成功も何度かしていた。 とんでもない氷柱が出来たり、見たこと... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-09
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 9,女の表と裏 手順は、とりあえず決まった。多少マスターの手は借りたが。 ロングビルとして戻り、学院から約2~3時間程の所にある廃棄された家屋。 実は、盗賊ギルドのちょっとした隠れ家みたいな場所だが、に案内。 それに手に入れた品を置いておき、フーケが逃げたように仕立て上げる。 もしもの時を考えて、今回監視役だったフォックスお気に入りの、 「スケイル」という女を、フーケの仕事着で近場に待機。 状況に応じて適宜どうにかする。という方法である。 「ああ、骨折り損のくたびれ儲けかぁ…」 せっかく情報集めたのになぁ。 そりゃ、壊したのは悪いけどさー。とロングビルは言う。 でも良いじゃないか。あれくらい。あいつら貴族だし、とも。 「いやぁ、それはどうかと思いま... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-18
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 18.ブルースカイ・ハイ とぉぉんでるよ~そぉらぁをとぉぉんでるんだ~ クリフ・レーサーは空高く飛ぶんだぁ~とぉぉんでるよぉぉ~ ところで、クリフ・レーサーってなんなんだろう。後でマニマルコに教えてもらおっと。 「なぁ、犬」 レキシントン内の密室。吐き気をこらえるクロムウェルに向かって、ぞんざいにマニマルコは言った。 犬きた。クロムウェルはさて、何かしたっけと自分の秘書兼雇い主のマニマルコを見た。 「何かご用でしょうか?マニマルコ様」 「ワルドだったか。本当に使えるのか?」 いや、そんな事言われても連れてきたのはあなたですし、 水の精霊を従わせる為に、ラグドリアン湖に行ったのも俺・ワルド・貴女様でしょうに。 とは言えず、柔らかく言うクロムウェル... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-45
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 45.ジャックとオリヴァー ルイズがタルブから出発してしばらくしてから、 ティファニアがタバサの薬を完成させた。 笑顔でタバサの下へやって来たティファニアは、 やはりピンク色の液体が入ったビンを二つ持っている。 「これでおそらく大丈夫です」 タバサはおそらくという言葉がひどく頭に引っかかったが、 そんな事を言い出したらきりがない。 タバサは礼をしてそれを受け取って寝室に行き、 未だグッスリ眠っている自身の使い魔をたたき起こす。 悲鳴を上げて飛び起きたシルフィードの目には主人が映る。 頭をさすりながら、うーと唸ってタバサを見る。 なにしやがりますのねこのちびすけは。とは言わず、 正論で訴えることにした。 「今日は、帰んないって、お姉様はいいましたわ」 杖で頭を思... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-04
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 4,貴族の四男 「トリステインは平和じゃのぉ。ミス・ロングビルよ」 「ええ、そうですわね。オールド・オスマン」 学院長はおもむろに「うむ、うむ」と呟き、座っている机の引き出しから水ギセルを取り出す。 ロングビルと呼ばれた理知的な顔の女性は、何も言わずに自分の仕事を続ける。 まぁ、いいか。老い先短いのだから、と健康管理するのが面倒になったのと、 何とも言えない愛嬌のあるじいさんが、スネて仕事をサボタージュするのが嫌だったからだ。 「平和が一番じゃ。アルビオンで続く戦が早く終わってくれるといいのじゃがなぁ…」 白の国アルビオン。 空に浮かぶその島は、貴族派と呼ばれる、現在テューダー王家に反抗する者達で構成された組織によって、 甚大な被害を被っていた。クロムウェ... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-25
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 25.Paradise[sahara Carac Agaialor ] あなたへ。機密なのですが王宮で少々困った事が起こりました。 ですのでしばらくそちらに帰れそうにありません。 追って手紙を出します。カリーヌ 今より少し前、カリーヌは王宮に戻って短い文章の手紙を鳩にくくりつけて飛ばした。 先ほど、暫定処置としてグリフォン隊の隊長に任命されたところである。 マザリーニの懐刀であるワルドが、裏切り者だとは誰も思っていなかった。 それ故今回の件は、王宮中で混乱が起こる事態となっている。 当然グリフォン隊の面々も驚きとまどっているが、 彼女が新しい隊長だと言われたら、はいとしか言えないだろう。 姫殿下がさらわれてしまったものの、影の中に消えたという証言から、 ... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-27
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 27.森の人組合 怒って出てきてしまったけれど、今思えばあそこにはテファがいた。 ああ、なにやってんだい私は。こんな感情なんか忘れて、 あの子の為に生きようって…出来る訳無いんだけどねぇ。 何であたしの家族が殺されなきゃならなかったんだい? ああ、くそったれ。 タルブ近くの草原地帯。ブドウの名産地に隣接する様にオレンジの木々が植えられている。 何でも、オレンと言う名の男が伝えたらしいこれらは、とても美味しい事で有名だ。 どうにも出来ぬもやもやした感情を持ったまま、マチルダはオレンジの木々の間を進む。 「ちょっと、そこのお姐さん」 うん?と声の方を向く。盗賊用の仕事着とは違う服を着たシエスタ-仲間内ではスケイル-がいた。 「何してんだい?皆を手伝っ... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-54
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 54.探求者たるもの アニエスがヴァルハラ、もしくは月影の国へ逝きかけている頃、ルイズはアカデミー近くの草原にて、 呪文を繰り返し唱えていた。爆発が起こったかと思えば辺り一面が白銀に染まり、 それに驚く間もなく、嵐と見まがう大きな竜巻がいくつも発生しだす。 「疲れた?」 「平気!」 物に釣られたルイズの精神力はあり余っている。いつだってそういう状態ではあるが、 やる気になっているからか、更に凄いのだ。 髪をかきながら、その場で錬成したイスに座っているエレオノールは、 同じく錬成した机に置かれてある羊皮紙に、何かを書いている。 伝記や伝説、特に神様がどうの、始祖がどうのといった物語にしか存在しない「虚無」の系統。 ちゃんとしたデータが全く無いので、とりあえず「虚無」の使い手は... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-14
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 14,閃光のジャン・ジャック 姫殿下からの依頼を受けた翌日はとても良い天気だった。 未だ朝もやが残る中、マーティンとルイズは馬に鞍をつけている。 内容があまり人に知られるべきでない事もあって、 皆が動き出す前に行こうという話になったのだ。 「ここから、アルビオンまでは遠いのかい?」 地理の事はタムリエルからどの辺かを探す辺りでだいたい覚えたが、 距離的にどの程度かまではそれほど調べていなかった。 内陸よりもどこかタムリエルと関係が無いかについて調べていたのだから、 ある種当然かもしれない。 「そうね。まずは港町のラ・ロシェールに早馬で二日、そこから船に乗って何日か掛かってあっちの港に着くから、 早ければ三、四日程で行けると思うわ」 希望的観測... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-47
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 漆黒のバラと炎蛇 ルイズがマリコルヌをしばいたりぶっとばしたりして、 ギーシュがケティとモンモランシーを舌足らずに褒め称える。 マーティンは死霊術の対策を思案しつつ、ルイズの魔法練習に付き添ったりして過ごしている。 キュルケは対抗して更に修練に励み、タバサはハシバミ草を貪るように食べ続け、 ついにマルトーに完敗宣言をださせた。 学院長はというと美人秘書の形をしたガーゴイルを経費で購入しようとして、 教師たちに止められる。 「なんでじゃ!ここの最高責任者はわしじゃよ!?」 「どう見てもいかがわしい機能付きでしょうが!!」 そんな平和な魔法学院とはうってかわって、トリスタニアでは厳重な警戒体制の中、 ある犯罪者の捜索が行われていた。要所の警備をしている衛兵達が総出で、 王宮の図書室... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-30
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 30.2nd lover 突然だが、アンリエッタ・ド・トリステインはトリステイン王国の姫殿下である。 そしてご存じの用に、色々と問題の多い姫殿下である。 人によっては、彼女を美しいだけの無能と捉えるかもしれないし、 また人によっては、どうしようもない暗君と捉えてしまうかもしれない。 だが、少し考えて欲しい。彼女は本当にそんな存在なのだろうか? と、いうのも彼女は王宮暮らしである。 故に世間知らずなのは致し方無い。 この時代、貴族の娘というのはとかく世間に疎い物。 ルイズですらそうなのだ。更に俗世から離れた彼女に、 国を知れ等と言うのはお門違いにも程がある。 では、知恵が無いと思われるか? まさか、それこそあり得ない。 王家に生まれると言うことは、... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-10
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 10,犯人は君か お、来た来た。とスケイルは、 隠れ家付近にまで近づいている、フーケ一行を見つけた。 曾祖父から教わった数々の『術』は、どんな時でも役に立つ。 ひいおじいちゃんが嫌っていた事以外にも、たくさん。 しかし、人数が多いですよ?フーケさん。と思うスケイルだった。 「おそらく、あそこですわ」 ミス・ロングビルは廃墟を指差した。長年使われてなさそうな家である。 盗賊ギルドの凄いところで、これで案外、内装はマトモなのだ。 「なら、中に誰か入らなければならないわけだな?ミス・ロングビル」 本当にあるかどうか。そしてフーケにも気を付けなければなるまい。と、 ギトーは言った。 「それに、罠があるかもしれませんね。こうした、一見人がいない所... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-52
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 52.もう限界 ルイズが詩の代筆を頼んでから二週間が過ぎた。 世間では高等法院のリッシュモンが行方不明になったことが話題になっている。 実際ここ数日誰も彼を見ておらず、王宮は何かの事件に巻き込まれたのでは、と彼の行方を調査している。 もっとも、そんな話はすぐに忘れられるだろう。アンリエッタ姫の結婚式が近づいている。 ほとんどの国民はお祝いの準備に忙しく、普段何をしているかあんまり分からない老貴族に構っている暇なんて無いからだ。 授業が終わったルイズは自室で完成した詩を見比べていた。 4人が書いてくれた詩の中からこれは、と思った一人の詩を詠みあげる。 「火をかき消し、水を切り裂き、土を吹き飛ばす……ああ、風よ舞え。 その疾風に勝る物は無い。打ち砕け、破砕せよ。おお、素... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-19
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 19.シヴァリング・ブルー へー?何さそれ。ああ、もういい。もういいよ。魔法とか使わないから。 使わないからぶん殴って終わらせようじゃないか。死ね。とりあえず今すぐこの場で死んじまいなぁ! イザベラの怒りは際限がなくなっていく。ノクターナルに言った。 「何なんだいあんた!あたしの邪魔ばかりしやがって! そんなに死にたいなら、お望み通り殺してやるからそこをどきな!」 『常闇の父に創られし我は、何があろうと死ぬ事はない。あきらめよ、定命の者よ』 「すごぉい。すごぉい自信じゃあないか。そうかいそうかい。だからそんなに陰気なんだね? あははははははははははははは。良いよ。今すぐ私が殺してやるよぉぉぉぉ!」 イザベラはノクターナルに詰め寄り、一撃を加えよう... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-46
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 46.新しい二つ名 メイジにとってあだ名や二つ名といった物はとても重要である。 というのも、メイジにとってそれらは己を一言で表す物だからだ。 それだけに不名誉な行動から付いた名はもちろん、 語呂の悪い名を好む者もいない。 当然、それはルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールにも言えた。 「ゼロ」の名を持つ彼女は『虚無』の系統の使い手である。 虚無とは他の四系統の上位に位置する魔法系統で、 それに目覚めたルイズは四系統のスクウェアクラスの呪文と、 スクウェアに対応する一部の呪文が使える様になった。 今までの爆発の原因は、自身の力が大きすぎてコントロールが出来ていなかったこと。 魔法が使えるようになったルイズはもはやゼロではない。 しかし彼女は、新しいあだ名をまだ決めかね... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-32
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 32.レモンちゃんのお願い もうほとんど理性が無くなっているウェールズは、 アンリエッタに向かって叫んだ。 「君が、君がいけないんだアンリエッタ!君がこんなに可愛いから!だから!」 アンリエッタは嬉しそうに笑っている。口づけを交わした後言った。 「ウェールズさま。好き。大好きですわ」 「僕もだ。愛してる!愛してるよアンリエッタ!まるでオレンちゃんだ!」 オレンのオレンジ。品種改良によりとても良い品質を保っているそれの品名は、 オレン・オレンジ。まんまだが、ストレートな方が覚えてもらいやすいものだ。 「うふふ、オレンちゃんってなぁに?」 「肌がすべすべで、オレンちゃんだ。ああ、ここもオレンちゃんじゃないか」 もう脳内に考えるだけの思考能力... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-51
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 51.アズラ様が笑う 「わりぃが、そりゃ無理な話だ。主人を見捨てるのはできかねん」 説得が通じる相手ではないと女の目を見て理解した。そしてこの女がやろうとしていることは、 多分その方が良い行いなんだろうと、後でうめいているリッシュモンについて男は思った。 自分が仕えている老人の腹は真っ黒だ。そのくせ変に自信過剰でこんな真夜中にも出歩く。 さっさと逃げてしまいたいが、リッシュモンを守る為にもここで引く訳にはいかなかった。 「旦那ぁ、近くにいられると困るんで人気のある所で待っといてもらえますかね? ああ、魔法唱えといて下さいね。こいつだけとは限らないんで」 リッシュモンは男の声にはっと我に返ったようで、何か二言三言うるさくわめいてから離れていった。 「待て!」 追いか... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-31
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 31.アンアン猫とウェーウェー犬 ディナーもメインディッシュが終わり、出されたデザートを食べ終わる者が出だした頃、 アンリエッタはつい欠伸をした。何とも始終和やかな雰囲気で、 どういう訳かいつもの社交会の様な緊張感を感じなかったからだ。 「おや、お眠いのですかな姫殿下?」 笑顔で語りかけるアルブレヒト。 ああ、いけないいけないとアンリエッタは緊張感を取り戻す。 マザリーニもどうやら最近の疲れが現れつつあるようだ。 「まぁ、もうしばらくお待ち下さいアンリエッタ姫。 そろそろディナーが終わります故、貴女様をベッドまで案内しましょう」 それから20分程経ってディナーは終わった。 本来ならこの後から色々と楽しみな「ディナー後の宴」がある訳だが、 ア... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-11
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 11、死霊術師と姫と王 父上に言われたの。今のお前は優秀とは言えないが、 このクスリを飲めば、とっても優秀になれるんだって。 本当にそうだった。飲んだら眠くなって、 気が付いたら、とっても凄い魔法がたくさん使えるようになったの! とても速く空が飛べるし、飛びながら魔法が使えるし、 それに炎も、氷も、風系統の「ライトニング・クラウド」まで使えちゃう! それ意外にも、変わった呪文をたくさん教わったわ! しかも先住魔法らしいから全部杖がいらないの!ゴーレムも創りたかったけどね。 全部父上が呼んだマニマルコから教えてもらったの。嬉しいなぁ。 これでもう誰も私を馬鹿にしない。これで誰も私を嘲ったりしない。 これでもう誰も私を能なしと言わない。これで誰も私に逆らわない。 これで... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-41
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 41. 病と嫉妬 ふと、ルイズが目を覚ます。 そこは湯船の上ではなく、カトレアの部屋だった。 使用人が掃除したらしく普段通りに戻っている。 「ティファニアだったわね。あんのコブ付きエルフ」 治ったのはありがたいけど、何であんな治し方なのよ。 ねえさま死ぬかと思ったじゃない。と一人頭の中であの憎たらしい胸を、 こね回しながらそんな事を考える。そうこうしていると、 どうしたの?だいじょうぶ?と言いたそうにつぶらな瞳の動物たちが、 ルイズの近くに集まって来た。 「大丈夫よ。心配してくれているの?ありがとう」 近くの何頭かの頭を撫でてから、ルイズはベッドにごろんとした。 治って良かった、とルイズは嬉しそうにコロコロ転がり、 私が治したんだ。と勢い... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-55
前ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 55.ルイズの悩み 貴族とは、メイジとは。来客用のベッドで横になって、ルイズはそんなことを考える。 ルイズの理想は立派な貴族になること。けれど、どのような貴族が立派だと言えるのか? もちろんルイズには理想がある。父や母のような貴族……けれど、 あの二人は自分がいない所ではどの様に振る舞っていたのだろう? ルイズはエレオノールの話を通じて、自分の考え方が世の中とずれていることに気がついた。 ああでもない。こうでもない。色々考えているといつの間にか空が白みはじめ、 気がつけば朝になっていた。 考えが深みに入り、思考が鈍化する。徹夜で考えた事柄はルイズに悩みだけを植え付ける。 朝食を終えても全くそれから抜け出せず、底の方へ引き込まれていく。 「……私、一体どういう貴族になりた... -
ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-16
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 16,それぞれの思惑 それから三人でひとしきり話あった後、 さて寝ようかとマーティンが言おうとした時だった。 玄関が騒がしくなったかと思うと、 傭兵が現れ、店を襲おうと弓を構えて撃ち始めたのだ。 「敵襲!?何が起こってるのよ!!」 矢が届く前にマーティンとワルドは机を盾にし、 寝ているキュルケと現状把握の出来ていないルイズを抱え込みつつ、 そこで傭兵達の攻撃を凌いだ。 「さて、どうしますか?ミスタ・ワルド」 迂闊だったか。やはり逃すべきではなかった。 とはいえ仕方ない、情報の対価という奴だ。 まさか街中で堂々と襲い掛かると思っていなかったマーティンは、 舌打ちをして応戦を始める。 手だけ机から出して範囲の広い氷の魔法を放つ。 ... - @wiki全体から「ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア-28」で調べる