あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ内検索 / 「ゼロの黒魔道士-77」で検索した結果
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ゼロの黒魔道士-77
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「オォオォォオオォオオオォォオォオオオォォオ――」 「絶望を贈ろう……」 空気が、震える。 パイプオルガンの管の中にいるみたいだ。 全部の鍵盤が出鱈目に押されて、唸りを上げている。 地面の底から低い音、頭の高いてっぺんから高い音が、 ぐっちゃぐちゃに入り乱れてお腹の方まで来て……すごく気持ち悪い。 これだけでも、尻ごみしてしまいそうになる。 音だけじゃなくて、空気そのものを覆い尽くすようなクオンの迫力に、 ボクはほんの少しだけ、気圧されてしまっていたんだ。 「こ、断るぅぅう!!全身全力で受け取り拒否っ! 先手必勝!『錬金』っ!!」 ギーシュがすごいのは、こういうところだと思うんだ。 例えどんなに力の差があったとしても、 例えどんなに不利な状況だったとしても、 いつもどおりの自分で、立ち向か... -
ゼロの黒魔道士-77a
前ページ次ページゼロの黒魔道士 宛ても無く、彷徨っていた。 手がかりも無く、探し続けた。 何を?と言われても困る。 とにかく、探し続けていた。 何かを。足りない何かを。 自分には欠けているモノがある。 それを探し続けていた。 はて、自分。 そう考えている自分とは何者なのだろうか。 どうやら、名前すら落したらしい。 これは困った。 まずは自分というものを見つけなくてはならないらしい。 まず、ここはどこだろう。 何やら大きな流れの中であることは間違いないらしい。 薄淡い緑色の光、あるところではそれが渦巻き、 あるところではそれが滝のように流れ落ちていく。 どうやら自分もこの流れの一部であるようだ。 特に何も考えなければ、そのままふよりと流れて行ってしまいそうになる。 だが今、自分は考えている。 それがゆえ、流れ... -
ゼロの黒魔道士-00
前ページ次ページゼロの黒魔道士 みんな…… ありがとう…… さようなら…… ボクの記憶を空へあずけに行くよ…… …空の向こうって、こんなに人がいるんだっけ…? ―ゼロの黒魔道士― …たしかに、ボクは動かなくなってしまったはずだった… …不思議と怖くないやって思ってた みんなとめぐり逢えたから、だよね、きっと… …死ぬときって、「光に包まれる」って表現があるって聞いてたけど… 「…人形?いえ、人なの?」 …光に包まれて、気づいたら青空が広がっていた… 「まさか、私、平民を召還しちゃったの?」 …ひょっとして、ここが空の向こうの…天国とかなのかなぁ…? 「あんた、何?」 …空の向こうにも、こんなに人がいっぱいいて… 「あんた、何なの?」 …空の向こうにも、しっかりと草や木... -
ゼロの黒魔道士-73
前ページ次ページゼロの黒魔道士 今度こそ、捕えた。 アルビオンでは、左腕だけだった。 タルブ上空では、逃がしてしまった。 でも、今度こそ…… 「うしっ!俺様大復活ぅっ!!」 今度こそ、デルフはワルドの胸元に突き刺さっている。 今度こそ、ワルドをやっつけた。 今度こそ、そのはずなのに…… 「デルフッ!油断しないで!まだ終わって無いっ!!」 『終わっていない』。 まるで、ドロドロの沼地に足を取られたような、 飲み込まれていくって感触が、剣の先からボクの体に伝わってくる。 なんだろう、これ。 なんなんだ。嫌だ、怖い。 真っ暗闇を独りで歩くような怖さ。 飲まれる、飲み込まれていく。 「ビビっ!?」 ルイズおねえちゃんの声。 大丈夫、ボクは独りなんかじゃない。 でも、それなのに……いや、『だからこそ』? 真っ暗... -
ゼロの黒魔道士-75
前ページ次ページゼロの黒魔道士 『何にも無い』があるはずのその場所で、 ボクは、確かに見たんだ。 「……女の子?」 膝を抱えて、暗闇の中、ぽつんと1人ぼっちの女の子。 雪よりも真っ白な髪の毛の女の子。 ボクは、その子を見ていた。 『目を離しちゃいけない、離したらもう二度と会えなくなる!』 ……何故だか、そんな気がしたんだ…… 【どうして君は泣いているの?】 誰かがその子に話しかけたんだ。 変なんだけど、ボク自身がしゃべってるような、そんな感じの声。 頭の中を反射して、ボワンって広がるそういう声だった。 ≪みんなが、みんなが……いじめるの……≫ 女の子が、少しだけ顔を上げる。 その涙が頬をこぼれ落ちる度に、 暗闇が少しだけ震える。 震える度に、さざ波のように声がするんだ。 『やーい!親無し~』 『真っ白... -
ゼロの黒魔道士-03
前ページ次ページゼロの黒魔道士 …食事って「みんなを笑顔にする魔法でもあるアルヨ!」っておじいちゃんが言ってたこともあったなぁ… 「本来なら、使い魔はこの食堂にすら入ることを許されないんだからね!」 …目の前には豪華な食事が(狩猟祭の後みたいだ)… 「あんたは私の特別なはからいで入れたのよ?感謝しなさいっ!」 …周りの学生さんたちがクスクスこっちを見て笑ってる… 「えーと…ボクの食事って…」 「そこにあるでしょ?」 …足下にはスープとパンだけ… 「あ、う、うん…ありがとう…」 …とりあえず、お礼を言う…うーん… …使い魔って、やっぱり大変なのかもしれないなぁ… ―ゼロの黒魔道士― ~第三幕~笑顔の魔法 前半 …あわただしい朝食前の支度が終わって(女の人の服って複雑なんだなぁ…) アルヴィーズの食堂ってところに来たんだ… ... -
ゼロの黒魔道士-76
前ページ次ページゼロの黒魔道士 クリスタル・ワールド。 全ての、ありとあらゆる世界の記憶が、いつか帰りつく場所。 全ての、ありとあらゆる世界の記憶が、いつか生まれてくる場所。 クリスタルの結晶が道を作って、クリスタルの結晶が空を彩る場所。 不思議で奇妙で、でも懐かしくて、幻想的なそんな場所。 景色を楽しめればいいんだろうけど…… 合流したボク達に、そんな余裕は無かったんだ。 「急いだ方が良い」 「え、ちょ、クジャさん!?ひっぱらないで――」 ほとんど、無言で走った。 さっき見た、吐きそうになるぐらい濃い『記憶』。 その記憶が辿りついた場所に、ボク達は走ったんだ。 ……全ての始まり、『ゼロ』の場所へ…… ゼロの黒魔道士 ~第七十六幕~ 久遠の影 渦巻く光の回廊を越えた先、 綺麗に六角形にそびえ立ったクリ... -
ゼロの黒魔道士-74
前ページ次ページゼロの黒魔道士 足音が増えるって、頼もしいって思うんだ。 心細くなったりしたときに、仲間がいるって嬉しい。 ましてや、これから悪いヤツと戦いに行くってときには、ね。 ……でも、仲間、かぁ……なんか、不思議な感じもするなぁ…… 「しかし、奇妙な場所だよね、ここ……」 真っ直ぐなのに曲がった道、 空に線の痕を残しながら動く星、、 真っ逆さまに昇っていく雨…… ギーシュに改めて言われるまでもないぐらい、 不思議で奇妙な場所を、ボク達は歩いていた。 「『記憶の場所』って言うそうよ。入ってきた人達の記憶を映す……」 「あー、うん。その点は、うん、もういい。理解している」 「なんだ、もう見たの?」 「聞カナイデクダサイ」 ルイズおねえちゃんの質問に、ギーシュは固い口調で答えた。 思い出したくない物を、見てしまっ... -
ゼロの黒魔道士-02
前ページ次ページゼロの黒魔道士 …目をさましたら天井が遠いところにあった 「…お金持ちの人たちって、こんな高い天井ばっかりで目をまわさないのかなぁ…」 …ルイズおねえちゃんの使い魔、か… 新しい1日が、始まろうとしていたんだ… ―ゼロの黒魔道士― ~第二幕~ビビ、がんばる 「グゥ~…貴族として~…クックベリーパイはわたしのもの~…」 …ルイズおねえちゃんは気持ち良さそうに寝ていた…クックベリーパイって何なんだろ? ふと、手の中の薄い布に気づく。 「あ、そっか…洗濯しなきゃ…」 クワンおじいちゃんにやり方は教わったし(「おいしい食事は綺麗な食卓からアルヨ!」って言ってたっけ)、 野宿が続いたときはみんなで手分けしてやったり(スタイナーおじちゃんの鎧はすっごく臭かったっけ)、 黒魔村でも体の動くうちは手伝っていた(ボクら黒魔道士は服も体の一... -
ゼロの黒魔道士-04
前ページ次ページゼロの黒魔道士 …ルイズおねえちゃんの杖先に魔力がこめられる… 「え、この魔力の流れって…」 周りの空気がざわめいて、小石に急激に流れ込む、そしてそれはすべてを飲み込んで… ドッカァァァァァァァァンッ!!! 「…フレアアァァァァァァッ!!?」ゴスッ …ルイズおねえちゃんの唱えた呪文は、フレアそっくりだった…って考えたのはホントはもっと後で… 爆風に吹き飛ばされて…グルグルと回転しながら教室の壁に頭を打ち付けて… 「…ちょっと失敗しちゃったみたいね」 「いい加減にしろ!」 「さすがゼロのルイズ!」 「ぼくのつ、つかいまが~…」 …色んな声が聞こえてくる中… 「きゅぅ…」 意識を失っちゃったんだ… ―ゼロの黒魔道士― ~第四幕~笑顔の魔法 後半 …トリステイン魔法学院は、教室もやっぱりすっごくおっきかったんだ… 「... -
ゼロの黒魔道士-05
前ページ次ページゼロの黒魔道士 …ルイズおねえちゃんのために、がんばろうって思ってたんだ… …それなのに… 「…よろしい、ならば決闘だっ!!」 …どうしてこんなことになったのかなぁ…? 「え、え、け、決闘!?」 …使い魔って、ホントに大変だなぁ… ―ゼロの黒魔道士― ~第五幕~ローズ・オブ・ギーシュ …教室のお掃除も終わって(高いところは2人とも背が届かなかったから諦めたけど)、 また食堂に来たんだ…そしたら、ルイズおねえちゃんがこう言ったんだ… 「あ、朝は少なかったでしょうから、昼は厨房でまかないでももらって食べなさい!ちょっと、そこのメイド!」 「あ、はい!なんでございましょうか?」 …あ、シエスタだ…すごいなぁ…ずっと働いてるんだろうけど、笑顔のまんまだ… 「私の使い魔に厨房のまかないでも食べさせてあげなさい!…ビビ、ちゃんとお礼... -
ゼロの黒魔道士-06
前ページ次ページゼロの黒魔道士 …痛い…痛い…体中が痛むんだ… 「ギーシュ!いい加減にしてっ!!もうやめてっ!!」 「いいや、やめないね、ゼロのルイズ…それとも、君が僕に土下座をするかい?」 …体も痛むけど…心が…もっと痛かった… ―ゼロの黒魔道士― ~第六幕~Vamo alla flamenco! 「諸君!さぁ決闘のはじまりだ!」 「わたたた!?」ドサッ …引きずられて…投げられて…たどり着いたのは、ヴェストリの広場ってところだったんだ… 既にひとだかりができて…野次馬ができてた…ボクらの…その… 「うぅ…あ、あの…決闘って…」 ボクは、決闘をするつもりは無かったんだ… 「ふんっ!この僕を侮辱しておいて今さら命乞いかい?そうは問屋がおろさないよっ!ワルキューレッ!」 …ギーシュがバラを振ったんだ …ズンッと音がして、金属の甲... -
ゼロの黒魔道士-15a
前ページ次ページゼロの黒魔道士 二人の男がおったとさ 一人は銀髪、一人は青髪 二人の男がおったとさ 一人は作られし存在で、 虚構の城に立てこもり、 世界を変えると意気込んで、 世を混乱に陥れ、 数多の命を奪いけり 一人は無能と蔑まれ、 豪奢な城の主となり、 実の弟の命を奪い、 その妻子をも苦しめて、 狂えし王と囁かれり 一人は命もつきかけて 一人は命を絶ちたくて 光の鏡に 召喚の扉を 入ったそうな 開いたそうな ―ゼロの黒魔道士― ~幕間劇ノ一~ Obey Me, or Defy Me ? 一人の男は困惑の顔 一人の男は驚愕の顔 一人の男はその手を月光にかざす 一人の男... -
ゼロの黒魔道士-68
前ページ次ページゼロの黒魔道士 『落ちている』って表現すれば良いのか、 『飛んでる』って言えば良いのか、迷ってしまう。 一番丁度良さそうなのは……『漂っている』かなぁ……? 『霧』よりも濃い、真っ白な世界。 全てがミルクのボウルに落ちてしまったような感じ。 ボクはその中を、漂っていた…… ポツンと、一人ぼっち。 見上げても、見渡しても……一面の白。 衣擦れの音すらしない、静かの海。 ……ううん、違う。……なんだろう、少しだけ、音が…… 波?……水の音じゃない……もっと、キラキラした…… 光の……ざわめき……? 「……――ビ!ビビ!」 押しては返すざわざわという音が、だんだんと大きくなっていって、 ボクを呼ぶ声になっていく。 「……ルイズ……おねえちゃ……ん?」 「――ビビ!?大丈夫!?頭打ってない!... -
ゼロの黒魔道士-78
前ページ次ページゼロの黒魔道士 空から、光がこぼれてきた。 そんな感じがしたんだ。 (……この歌って……) うっすらとだけ、聞いたことがある。 あれは確か……マダイン・サリだっけ…… ダガーおねえちゃんの、想い出の歌だ…… 召喚士一族に伝わる、優しい優しい歌…… その歌が、聞こえる…… 音がキラキラと、零れる。 雨のように、木の芽を育む優しい雨になって降り注ぐ。 それが何重にも重なって……まるで、世界中が歌っているような…… バラバラになったはずのボクの体に浸みこんでいった、そんな感じがしたんだ。 目をうっすら開ける。目が見える。 希望も、絶望すらも消え去った暗闇なんかじゃない。 左手が見える。左手が動く。 ガンダールヴのルーンが光る、ボクの左手がそこにある。 左手に握るデルフが見える。 「あれ……... -
ゼロの黒魔道士-79
前ページ次ページゼロの黒魔道士 ボクと、ボク達の、全部をこめた一撃を、 クオンの頭から思いっきりふりつけた。 「うぐぁああああああああああああぁぁぁああああああああああぁぁあああぁああぁ あぁあぁぁあぁぁぁあぁぁあぁああぁぁぁぁあああぁああああぁあぁ!!!!!!」 これは音の洪水だ。 それもとびっきり濁った、沼の底にたまった泥水のような嫌あな音の。 絶望の嘆きが、悲しみの旋律が、轟音になって噴き溢れてくる。 「ァあぁぁぁあぁぁアぁああぁぁぁぁあああアアアアアァァアア!!!」 「くっ……」 押し流される。押し流されたくない。 もう少し、もう少しだ。 ボクはこの手を離さない。 全部を無駄にするなんて、そんなのは嫌だ。 みんなの力に…… 「えぇぃいっ!!!」 ボクの力を、ほんのちょっとだけ足して、振り抜いた。 重... -
ゼロの黒魔道士-61
前ページ次ページゼロの黒魔道士 船の名前は『ブラック・ジャック号』。 名前のとおり、外側がカラスの濡れた羽のように真っくろ黒の飛空挺だ。 でも、中は外側と違って、金や赤色で目がチカチカするような作りだった。 あちこちにゲームをやる台とかがあって、空飛ぶカードスタジアムって感じがする。 ……ルイズおねえちゃんは、ウェールズ王子と一緒に今は船長室にいる。 あのウェールズ王子なら、多分信用できる……と思う。 目を見ていたら、分かる。あのウェールズ王子は本物だって。 でも、今も『悪意』に満ちた魔力を感じる。 どちらのウェールズ王子のものでも無かった、ラグドリアン湖で感じた嫌な空気。 ……となると、これを出しているのは、一人しか考えられない。 「――入るよ」 パタンという軽い音がして、その一人が入ってきた。 船尾に近い方の客室、ボクとデルフがいるその... -
ゼロの黒魔道士-01
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「はぁ…全く、どうしてくれようかしら、こんな役立たず…」 「あ、う、うん、ゴメンなさい、ルイズおねえちゃん…」 …出会ってから、ちょっと時間が立ったんだ。 …ここは、お城みたいな魔法学院。 …目の前のきれいだけどちょっと怖い女の子はルイズおねえちゃん。 …で、ボクはビビ、死んじゃって、動かなくなったはずが… 「なんっであんたが使い魔なのよぉ~!!!!!」 …使い魔、になっちゃったみたい…ホントに、なんでなのかなぁ…? ―ゼロの黒魔道士― ~第一幕~魔法の学び場 トリステイン魔法学院 …窓の外の空には2つのお月さま、 ここもお月さまは2つなんだなぁと変な感心をしてしまう。 「ちょっと!またあんた、聞いてるのっ!?」 「わぁっ!?ご、ゴゴメン…なさい…ルイズおねえちゃん…」 さっきからずっと... -
ゼロの黒魔道士-28
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「あの、ね、ビビ。王宮には私が報告に行くから、ここでちょっとだけ待ってて欲しいの」 「……え?ついてかなくて、大丈夫なの?」 事件から一夜明けて、ボク達はトリスタニアにいたんだ。 「えぇ。せめて――報告だけは私にさせてほしいの」 ルイズおねえちゃんは、昨日ずっと黙っていた。 ラ・ロシェールで治療されてたときも、晩御飯のときも、今朝シルフィードに乗ってたときも。 なんとなく、自分を追い詰めてるって、そんな感じがした。 もしかしたら、今は1人になりたいってそういうときなのかもしれない。 「……うん、分かった。じゃぁ、これ、『風のルビー』……あと、王子様からの伝言は……」 「分かってるわよ!一言一句、ちゃんと記憶にあるから!――じゃ、ちょっと行ってくるわね」 そう言って、少しだけ笑ってお城の門まで小走りに駆けていくルイズおねえちゃ... -
ゼロの黒魔道士-70
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「ワタシとー、やり合うおつもりですかー?おつもりですねー?それでは~……」 ガレキの塔の上、ワルドの手が光った。 「狂宴のはじまりはじまりぃ~!!」 切り裂くような風の渦。 風が千と万の刃となって襲ってくる。 「くっ!」 「きゃっ!?」 避けるのが、精一杯…… ワルド、何でこんなに強くなってるの!? ゼロの黒魔道士 ~第七十幕~ かぜはやみ 石畳の床が、どんどん削られていく。 カケラの一個一個が、まるで刃のようだ。 一つ一つが鋭く尖り、急所を確実に狙ってくる 「ほらほらーっ!コォオオッ!!」 ワルドの掛け声が、別の場所からも聞こえる。 風の遍在。 別の方向から竜巻みたいな風が、ボク達を襲う。 「ハァアアッ!」 「ダッ!!」 デルフ... -
ゼロの大魔道士
「DRAGON QUEST―ダイの大冒険―」のポップ ゼロの大魔道士-1 ゼロの大魔道士-2 ゼロの大魔道士-3 ゼロの大魔道士-4 ゼロの大魔道士-5 ゼロの大魔道士-6 ゼロの大魔道士-7 ゼロの大魔道士-8 ゼロの大魔道士-9 -
ゼロの黒魔道士-31
前ページ次ページゼロの黒魔道士 裸のお姫様なんて、影も形も無いねって、アニエス先生と目で会話したんだ。 「む?――ゲホゲホッ」 「……アニエス先生、大丈夫?」 アニエス先生が突然咳きこんだんだ。 「――何ともないぞ。うむ、少々風邪気味だったかな?」 「大丈夫?アニエス先生?……モンモランシーおねえちゃんも……???」 なんか、モンモランシーおねえちゃんも顔が真っ青だったんだ。 ……風邪でも、流行ってるのかなぁ? 「え?え、い、いえいえいえいえ、私は大丈夫よ?私は。 あ、あの、アニエスさん、でしたかしたら? 風邪気味ならば、無理をなさらず、医務室に行かれては――」 「――ふむ、そうだな、慣れぬ仕事が続いたことだし、一度診てもらうか」 ……アニエス先生、大丈夫かなぁ? 顔、合わせてくれないけど…… ―ゼロの黒魔道士― ~第三十一幕~... -
ゼロの黒魔道士-09
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「じゃ、私達は宿題やってるから、中庭で他の使い魔達と遊んでらっしゃい!」 「うん、ルイズおねえちゃんも、宿題っていうの?がんばってね?」 「はいはい…あぁ、それからいいこと?使い魔の恥は主の恥なんだから、変なことしちゃダメだからね!」 「はい!」 …今日はルイズおねえちゃんの授業は午前中までしか無かったんだけど、 ルイズおねえちゃんたちは「宿題」っていうのがあって集中したいからって図書室に行っちゃった… …学生さんって大変だなぁ… んー…ボクは、今日は夕方まで仕事が無いし、フレイムとかと遊ぼうかなって思ってたんだ…けど… …なんでだろ…誰かに見られている気がする…? ―ゼロの黒魔道士― ~第九幕~ とんがり帽子のその下の ピコン ATE ―まるみえ― 「ちょ、ちょっとっちょっと!キョロキ... -
ゼロの黒魔道士-12
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「な、なんなのよコレっ!?」 ズゥーン、ズゥーンと大きな音が響き渡る…… 「ゴーレム!?でも大きすぎじゃないっ!?」 二つの月を覆い隠す大きな影…… 「お、おでれーた!?なんなんでぇこいつぁ!?」 そいつは校舎の壁を叩きつけ…… 「おそらく、“土くれ”」 こっちを睨みつけた……え?こっちを? 「う、うわぁぁっ!?」 ボクらのこと、バレてるっ!? ―ゼロの黒魔道士― ~第十二幕~ 追い立てる思い 急いでその場を逃げたんだ…… ゴーレムの上に乗ってた人(影しか見えなかったけど…)はゴーレムを伝って壊した壁の中に入っていった…… 「“土くれ”って――今日街で聞いた盗賊の?ちょっとぉ、こんな大きなゴーレムなんて聞いてないわよぉ!」 「“土くれ”のフーケ、壁を土くれに... -
ゼロの黒魔道士-26
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「光り輝く使い魔、か」 「まさに『神の盾』と呼ぶにふさわしい」 「その力を失うのは惜しいな」 「今も、俺に仕える気はないのだな?」 「主共々生かしてくれてもいいが」 5人のワルドが、嫌悪感しかもたらさないセリフを次々と続ける。 周りを取り囲まれて、間合いをゆっくりと取りながら聞こえるそれは、 嫌悪感と合わさってさらにゆらゆらと揺れて聞こえた。 「誰が、お前になんか!」 デルフをまっすぐ構えて気持ち悪くなるのをごまかした。 「(おい、相棒、大丈夫か?ちーっと足がやべぇんじゃね?)」 デルフが小声で話しかける。 ありがたいことに、『ガンダールヴ』の力か、 両手の怪我は気にならない程度になっている。 でも、左足は……深く傷つけられて、思うように動かない。 正直に言えば、絶好調とは言えない状況だ。 でも……... -
ゼロの黒魔道士-13
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「ミス・ロングビル!本当にこんなところにフーケのアジトが?」 ……あったかいお日さまの光も届かない森の中、 「えぇ、元々は木こりや狩人の仮宿として使われていたそうですよ?」 ……あるはずの鳥のさえずりも無くて、 「フーケも、なんでこんなところにアジトなんk―…あいたっ!?キュルケ、気をつけなさいよっ!!」 ……聞こえるのはボクたちが前に進む音だけで、 「しょうがないじゃないのよー!邪魔な木の枝を払わなきゃ進めやしないんだし」 ……その小屋はホントに突然 「静かに、もう着く」 ……ボクたちの目の前に現れたんだ 「よっしゃー!おっぱじめるぜーっ!!」 「「「デルフ、静かに!!!」」」 ……でも緊張感が無いのはなんでなんだろう……? ―ゼロの黒魔道士― ~第十三幕~ 独りじゃない ……その廃屋は、廃屋ってい... -
ゼロの黒魔道士-20
前ページ次ページゼロの黒魔道士 酒場って、色んな情報が聞けたりするから、 旅の基本であり、町に来たらまず行けって聞いたことがあるんだ。 ……確かに、色んな情報は聞けるんだけど…… 「きゅ、キュルケおねえちゃん、やめてよぉ……」 「いいじゃないのよぉ~!キュルケおねえちゃん嫌い?ね、ビビちゃんはどんな子が好きなのよぉ~♪」 ……こんな情報を問いただされるとは思わなかったなぁ…… ―ゼロの黒魔道士― ~第二十幕~ 眠らない港町 ラ・ロシェール ラ・ロシェールは山の中にある港町なんだ。 (飛空挺の港、なのかなぁ?) 岩を削って作ったってルイズおねえちゃんが自慢してたけど、 ここまで大きな町を作るって確かにすごいなぁって思う。 「残念ながら、明後日まで船は出ないそうだ」 お買い物をしながら情報収集をしていると、 (分かったのは、アル... -
ゼロの黒魔道士
ファイナルファンタジー9からビビを召喚しました (エンディング中、ラスボス戦~ジタン再登場の間) ピロリン 立て看板がある…… くりあでーた が あると べつのぼうけん に でられるらしいぜ? Disc 1 ~プロローグ~ ビビの冒険 ~第一幕~ 魔法の学び場 トリステイン魔法学院 ~第二幕~ ビビ、がんばる ~第三幕~ 笑顔の魔法 前半 ~第四幕~ 笑顔の魔法 後半 ~第五幕~ ローズ・オブ・ギーシュ ~第六幕~ Vamo alla flamenco! ~第七幕~ ときには昔の話を ~第八幕~ ビビ、まだまだがんばる ~第九幕~ とんがり帽子のその下の ~第十幕~ 王都 トリスタニア ~第十一幕~ フレアうも多少の縁 ~第十二幕~ 追い立てる思い ~第十三幕~ 独りじゃない ~第十四幕~ 使役魔衆... -
ゼロの黒魔道士-29a
前ページ次ページゼロの黒魔道士 にんぎょうげきが はじまるよ! にんぎょうげきが はじまるよ! ぼっちゃん じょうちゃん よっといで! にんぎょうげきが はじまるよ! きょうの しゅやくは おんなのこ! にんぎょうになった おんなのこ! かのじょのなまえ? かのじょのなまえは―― ―ゼロの黒魔道士― ~幕間劇ノニ~ タバサときゅうけつきと…… そもそも、彼女の名前はタバサなどでは無かった。 犬猫ではあるまいに、 そんな名をつける親などいるものか。 シャルロット・エレーヌ・オルレアン。 それが、本来、親から授かった彼女の名前だった。 名前が示すとおり、 彼女はかのガリア王国の王弟、 オルレアン公シャルルの娘である。 その事実は、彼が死した後にも変わることは無い。 父の死、... -
ゼロの黒魔道士-72a
前ページ次ページゼロの黒魔道士 未だ小さなルイズは、走った。 走った。走った。 「僕の小さなルイズちゃぁ~ん♪破壊の力を見せておくれよぅ~!」 「ハァ、ハァ、ハァ」 必要なものは距離、あるいは時間、あるいは味方。 未だ小さなルイズには、足りない物が多すぎて、 彼女は走った。走った。走った。 「何をとまどっているんだい? 君の望みを叶えなよ!」 「私はッ……」 「力が欲しかったんだろ? その力を見せつけたかったんだろう?」 逃れようとするたびに、風の手が伸びてくる。 首へ、手へ、足へ、小さいその背中へ。 かつての憧れが、真っ黒けの悪夢に塗りつぶされて襲ってくる。 彼女は走った。走った。走った。 「私は、そんなつもりは……」 踏みしめる石畳は幻の中、トリステイン魔法学院のもの。 少しばかり小奇麗な... -
ゼロの黒魔道士-11
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「ぷ、くくっ い、いや別に変じゃないのよ?ビビ、うん、あんたが選んだんだから、まぁいいと思うんだけど…」 …ちょっと、うっかりしてた、とは思うんだ… 「あははははは!ま、まぁ、あはは!これも可愛いから…ぷぷ、やだビビちゃんたらもー!あはははははははは!」 …でも、そんなに笑わなくてもいいんじゃないかなぁって思うんだけど… 「きゅいきゅ~い♪」 うー……シルフィードまで笑ってる…… 「あ、相棒、無理することぁないぜ?」 デルフの気づかいがちょっとうれしいけど……ちょっぴり悲しいんだ…… 「明らかに、短い」 ……まさか、デルフを鞘から抜くことができないなんて、考えもしなかったんだ…… ―ゼロの黒魔道士― ~第十一幕~ フレアうも多少の縁 武器屋さんの帰り道はルイズおねえちゃんたちのお買いものだったんだ… ル... -
ゼロの黒魔道士-71
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「あれれー?どーこにかくれちゃったのかなぁ~?」 「かぁくれんぼとは懐かしいですネェ~♪」 「もーいーかい?」 「まぁだっだよっ♪」 「もーいーかい?」 「まだですかぁ?」 ワルドの声が二人分、洞窟の中のように木霊する。 馬鹿にしたような声が、ぐわんぐわんと響く。 ワルドのぐっちゃぐちゃになった記憶は、次々に入れ替わる。 さっきまではアルビオンの教会、それからどこかの酒場。 額縁の中の絵が、紙芝居のように変わって、今はルイズおねえちゃんのお家の景色。 ピンクの月が照らす大きなお屋敷。 ボク達はその中庭の池の中……ボートの中に身をひそめていた。 障害物が多い記憶の景色で良かったと、ちょっとだけ感謝しながら。 「――ビビ、あのスピード、対抗できる?」 「……ちょっと……きびしそう、かな……」 ... -
ゼロの黒魔道士-40
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「フハハハハハハハ!!踊れ踊れ踊れぃ!!」 「ク、クェェェェェッ!?」 「う、うわわっ!?」 よく、普通の人間の子供がやる遊びに、『鬼ごっこ』っていうのがあるらしい。 鬼役の子供につかまらないよう、他の子供たちが逃げるっていう遊び。 遊びじゃないって点を除けば、これはその『鬼ごっこ』に近い状況だったんだ。 ……逃げるしかない。悔しいけど、空中戦はワルドの方が上だった。 「やっこさんブチ切れすぎだろ!?」 「ぼ、ボコ、大丈夫!?」 「クェェ~……」 詠唱速度の差や、身のこなしの速度はやはりあいつの方が勝っている。 立て続けに巻き起こる風の刃や矢からは逃れるので精一杯になってしまう。 加えて、チョコボが飛べない鳥なのが問題になっていた。 あいつが乗っているのは空を駆け巡るワシの頭をしたクァールみたいな猫っぽい生き物。 ボ... -
ゼロの黒魔道士-42
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「ビビちゃん、働き者ですね」 小さな森の中の村だから、黒魔道士の村とやるべき仕事はほとんどおんなじだった。 水をくんだり、薪をひろってきたり、木の実やキノコの採取に、家畜の世話…… 今ボクが手伝っているのは、「リリパット・ブレッド」っていうパンを作るための小麦袋を運ぶ仕事。 結構重いけど、袋を小分けにしているからそれなりに運びやすい。 「え、せっかく世話になってるのに、何もしないのは悪いし……」 動けるんだから、タダでごはんをもらったりするわけにはいかないなぁって思うんだ。 看病とかしてくれていたみたいだし…… 「いいですのに。ゆっくり休んでていいのよ?」 「そーだぜ、相棒~!怪我してブッ倒れてた後だってのによぉ」 起きてから1日、怪我をしてから4日が経っていた。 ゼロの黒魔道士 ~第四十二幕~ その扉の向こうに ... -
ゼロの黒魔道士-08
前ページ次ページゼロの黒魔道士 …ボクは困ってた…ものすっごく困ってたんだ… 「ツェルプストー!!!いい加減に離しなさいっ!!!」 …どうすればいいんだろう… 「あらぁ、いいじゃな~い、ビビちゃんだって、あんたのその緊縮財政な体より、こっちの方が絶対いいわよ?ねぇ?」 …あのホントにボク…そんなに抱きしめられても… 「苦しそう」 …息ができないんだけど!!! ―ゼロの黒魔道士― ~第八幕~ ビビ、まだまだがんばる …色んなことがあった一日が終わって… …また朝日が昇ったんだ… 「ん~…洗濯に行かないと…」 …ルイズおねえちゃんはよく寝てる…昨晩は「それで?それで?」とボクの話をせがんだんだ… …ちょっと、子供みたいだなぁと思って笑ってしまう …やっぱり、ルイズおねえちゃんの使い魔になって良かったなぁと思うんだ… 「あ... -
ゼロの黒魔道士-16
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「ルイズおね~ちゃ~ん?……やっぱりダメかぁ……デルフ、いつものやるよ」 帽子をきゅっとかぶりなおす デルフはルイズおねえちゃんの傍に立て掛ける 「あーちきしょー!娘っ子、頼むからそろそろ自分で起きてくれよぉぉ!!」 朝日がちょっとずつ高くなる 今日もいい天気になりそうだなぁ 「まばゆき光彩を刃となして 地を引き裂かん! サンダー!」 ビシャァァァァンッ 「キャァァッ!?」 「あ、起きた!ルイズおねぇちゃん、おはよう!」 「――ビビ~!?もうちょっと大人しい起こし方にしなさいよ!毎度毎度、流石に心臓に悪いわ!」 「そーだぞー!いくら吸い取れるっつったてしびれるもんはしびれんだからなー!!」 ここ最近の日課、ルイズおねえちゃんをサンダー(の音)で起こすこと 「……ん~、ルイズおねえちゃんが声かけて起きて... -
ゼロの黒魔道士-58
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「うぅ……」 ダメだ。体が、動きそうにない。 アンリエッタ姫は、なんとか助けられたけど、ボクはわき腹をやられた。 ボクの体を貫いたのは……杖、なのかなぁ? エルフ戦で減った体力を回復できてなかったのは痛い。 反撃するだけの力も出ない。 蛍がチラチラ瞬いている。 「相棒!相棒ぉぉぉ!?」 デルフの叫ぶ声が、遠い。 「ウェールズ……ウェールズ……」 お姫様の声は、それよりもさらに遠い。 なんだか、景色も急に遠くなってきた…… 声が、出ない。息が、出ない。 ダメだ。言わなきゃいけないのに…… 「一緒に来てもらうよ……無理やりにでも、ね」 このウェールズ王子は…… 偽者、だってことを……!! ゼロの黒魔道士 ~第五十八幕~ 暗闇×沈黙×混乱 ピコン ATE ~彼女達の背中には... -
ゼロの黒魔道士-53
前ページ次ページゼロの黒魔道士 暗闇から、声がする。 「砂漠のお城に、騎士達か」 人をバカにするような、冷たい声。 「これはおもしろい。 囚われのお姫様は誰なのかな?」 お芝居のように、全てを語る声。 「だ、だだ誰だっ!」 ギーシュは慌てて剣を構える。 「ちょ、ちょっとやだ、エルフ!?心の準備が……」 モンモランシーおねえちゃんは、取り乱してギーシュの影に隠れている。 ボク?ボクは…… 「……待って」 ボクは、少なくとも、慌てたり、取り乱したりはしなかった。 「ビビ?」 でも、驚いてたんだ。それも、すっごく。 「……この声……」 だって、この声は……この声は…… 「フフ、お久しぶり、ビビ君……あと、デルフ君、だったね」 一番、聞きたくない、声だったから…… 「おー、あん時の兄ちゃんか!」 「……クジャ!」 ボクは、思いっきり、暗闇... -
ゼロの黒魔道士-18
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「――つまり、その手紙が?」 「はい、その手紙が敵の手に渡ってしまいますと――あぁ、私はどうすれば!!」 お姫様が困っているのは、アルビオンの王子様が持っているお手紙のことらしいんだ。 何か、とっても大切なことが書かれてるみたいで、奪われると同盟がどうこう…… っていうのはややこしくて分からないけど、とにかく大変なことになってしまうみたい。 うーん……そんな手紙、なんでアルビオンの王子様が持っているんだろう……? 「分かりましたわ!私、この命に代えてでも、その手紙を取り戻して参りますわ!!」 「あぁ、ルイズ!あなたこそ私の真の友達ですわ!!」 「ビビ!あんたも使い魔として、キリキリ手伝うのよっ!!」 「え、あ、は、はいっ!!」 その手紙を取り戻す、か……うーん、ルイズおねえちゃんが危ない目に合わないようにしないとなぁ…... -
ゼロの黒魔道士-07
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「…ボクたち、黒魔道士は…そうやって生まれたんです…」 …オスマン先生は長いお髭しきりにさすっていたんだ… …コルベール先生は口をポカンとあけてしまっているし、 ルイズおねえちゃんはあまりのことに口元をおさえている… …そうだよね、ボク自身最初は信じられなかったんだ… 「ふむ…すると、君は戦のための兵器であった…ということか…」 「…はい…試作品…だそうですけど…」 …ボクは、『作られた存在』だった… ―ゼロの黒魔道士― ~第七幕~ときには昔の話を …「サンダガ」の後…着地失敗して…まだすることがあったんだ… …立ち上がって…服についたホコリをはらって…帽子をしっかりかぶりなおす… …そして、腰を抜かしている…「対戦者」のところへ向かったんだ… 「ひ、く、くるなっ…くるなっ!」 …怯えた目でボ... -
ゼロの黒魔道士-15
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「いやいやいや!まさかミス・ロングビルがフーケとはのぅ!残念なことじゃわい……」 ……オスマン先生が悲しい顔をする そうだよね……信じていた人が、実は悪い人だなんて、悲しいことだと思う…… 「ところで、彼女は学院長が自らお雇いになったのですよね?どういった経緯ですの?」 「いや、それがそのー……酒場で……ケホンケホン」 「酒場?あの、オールド・オスマン?どういうことですか?」 ……あ、仲間を見つけるのはやっぱり酒場が一番って聞いた気がするから、そういうことかなぁ……? 「い、いや、その、ちょいと飲んでおったら、目の前にそれはそれは見事な尻があったもんでな?」 ……あれ? 「オールド・オスマン、まさか……」 「触っても笑ってくれたんじゃもん!折角だから、もっと触る機会が欲しかったんじゃもん!丁度秘書もおらんかったし!」 ……... -
ゼロの黒魔道士-14
前ページ次ページゼロの黒魔道士 ……頭の中には次への動きがながれこんでくる…… 「ちっきしょぉ、隙が全然ねぇな!相棒がちっこいから避けれてるもののぉっ!」 ……変、といえば変だなと、頭の片隅では思ってたんだ…… 「うぉぁっ!?今のぁ危ねぇ!?」 ……ゴーレムの右手をギリギリ体を回転させて避ける…… 「相棒っ!?おら、シャキッとしやがれっ!?考えてんのかっ!?アイツに隙ぁ――」 「分かってるよっ!だ、大丈夫っ!」 「頼むぜ相棒ぉぉぉぉぉ~!!また来たぁぁっ!!」 ……体がこんなに動くのも、こんな風に避けれるのも不思議だけど…… ……『魔法を使った対策』が全然思いつかないのは何でなんだだろう……? ―ゼロの黒魔道士― ~第十四幕~ 使役魔衆活躍譚 ……考えてみれば変な話なんだ…… ボクは、ずっと、旅をしていたときも、『魔法を使って』... -
ゼロの黒魔道士-33
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「わ、わたしを置いていくというのか!? ――この身、そなたに預けると言ったはず。 本当にそれがそなたの望みなのか……?」 「え、えっとー……」 アニエス先生がこの状態で一緒に来ると、ややこしいことになるってことで、 ルイズおねえちゃんの部屋に置いていくってことになったんだけど…… 「そうか――貴様がわたしのビビをたぶらかそうとしているのだな!」 「ちょ、あ、危ないでしょっ!?」 アニエス先生は、ついてくるって聞かないんだ。 ルイズおねえちゃんに剣をつきつけたりするし…… 「その~――アニエス先生?ちょっと、ビビ君は外せない用事でして――」 「ならばっ!わたしも連れて行けっ!何故貴様ら青瓢箪だけが付き添うのだっ! ビビに何かあったらどうしてくれるっ!!それとも、連れて行けぬ理由でもあるのか!?」 ちなみに、モットお... -
ゼロの黒魔道士-10
前ページ次ページゼロの黒魔道士 …ボクは震えていたんだ… 「ん~、いつもながらタバサの使い魔って最高よね~!」 「く、くやしくないもんっ!ビビだって!ビビだって!」 「みんな違ってみんないい」 「きゅいきゅい~♪」 …みんなは楽しそうなんだけど… 「あれ?ビビちゃんどうしたの?具合でも悪いのかしら?」 「ん?ちょっとビビ!あんた何か変なもん食べさせられたんじゃないでしょうね!シエスタとかいうメイドに…」 「乗り物酔い?」 「きゅい?きゅい?」 …ボク…高い所は… …苦手なんだよね… ―ゼロの黒魔道士― ~第十幕~ 王都 トリスタニア …ボクたちが何でシルフィードに乗ってるかっていうと… …昨日の夜… 「明日は虚無の曜日だから、街まで武器を買いに行くわよっ!」 「虚無の曜日?」 ルイズ... -
ゼロの黒魔道士-62a
前ページ次ページゼロの黒魔道士 上空、約7000メイル。 ガリアとロマリアの国境に存在する火竜山脈の頂を見下ろす場所。 若き研究者が見渡す限り、全てがあるべき姿に納まる完璧な研究室がそこにはあった。 あえて学術の場にそぐわない物があげるとすれば、部屋の主と漂う香りだろうか。 何と形容すべきか、幻惑的で、そそる様な…… 「――論理的じゃないわね。これじゃ報告書の体を成していないわ。 いいこと?データを出しておきながら、それに対する考察が……」 そんなことをぼんやりと考えていた脳に、目の前の部屋の主の叱咤の声が響く。 先ほどまで書きあげていた報告書をコテンパンに貶されたのだ。 実に微に入り細を穿ち、徹底的のめっためたに、報告書が赤インクで染まっている。 「は、はいっ!直ちにやり直しを……」 「慌ててやってもらっても、貴方のことだから失敗... -
ゼロの黒魔道士-23
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「こらビビ~、起きなさい!アルビオンが見えてきたわよ!」 船室から顔を出すと、周りは茜色に染まった大きな雲だったんだ。 「すっごいでしょ?ほら、もっとこっち来てみなさいよ~!」 おっきなマシュマロの塊みたいな雲の上に、おっきな陸地がのっかっている。 チョコボの空中庭園よりも巨大で、それは綺麗で幻想的で、すっごい光景だった。 でも…… 「あ、あのさ、ルイズおねえちゃん、そんなに乗りだしちゃ危ないよ?……こ、ここからでも十分見れるし……」 高い所って、やっぱり怖いなぁ…… ―ゼロの黒魔道士― ~第二十三幕~ 白の王国 アルビオン 流石に、ルイズおねえちゃんみたいに甲板から身を乗り出すことはできなかったけど、 お日さまがゆっくりと上がってきて、周りが朝やけのオレンジ色の雲で囲まれるっていうのは、 心が揺れて、旅... -
ゼロの黒魔道士-80i
前ページゼロの黒魔道士 ――と、いうわけで、ジョゼット姫にとって、最初の恋は悲恋に終わったのでありま…… んあ?あ、あれ?ここは…… っ痛つつ……あぁ、飲みすぎましたな、こりゃ。 いやはや、飲み屋でつぶれるとは、久しぶりに舌が弾みすぎました…… あ、お姉さん、ここに座ってた……あ、帰った?まぁそりゃそうですなぁ。 ま、クレームのフォローとしては、上々ですかな。 舌先三寸で今日もごちそうさま……あぁ、すいませんお姉さん、こちらの話です。えぇ。 え?お勘定?もう閉店?ありゃありゃ……そんな時間ですか…… はいはい、伝票どうもっと。 えーっと、おいく……は!?え、なな、いやいやいや!?ちょっとお高くな…… えーと、はい、はい、ワインはまぁ……こっちのお肉は? 連れ……あぁっ!?払わないで帰ったのですか!? く……や、やられましたなぁ... -
ゼロの黒魔道士-25
前ページ次ページゼロの黒魔道士 ……その日は、朝から「おでれーた」日だったんだ。 「――ビビ?」 「あ、ルイズおねえちゃん、おはよー。よく眠れた?」 ボクとデルフは別の部屋で寝てたんだ。 今日は、おそらく悲しい日になるんだと思う。 けど、悲しんでばかりはいられないんだ。 ルイズおねえちゃんをトリステインまで連れて帰らないと…… 「――あの、ね、ビビ、驚かないでね?」 「?どうしたの?ルイズおねえちゃん……」 「あ、あたし――求婚されちゃった――ワルドに」 「え!?……あ、そっか、婚約者、だもんね……」 「おいおい、めでてー話じゃねぇの?」 そう。おめでたい話なのに、ルイズおねえちゃんの顔はちょっと浮かなかったんだ。 「そ、それでね――結婚式、することになったんだけど――」 「うん、おめでとー、ルイズおねえちゃん!あ、結婚式って、ボクも参加していいの... -
ゼロの黒魔道士-21
前ページ次ページゼロの黒魔道士 夢の中で、「あぁ、夢なんだ」って思うことって、何回かあるよね? 今回も、そんな夢だったんだ。 ボクは、多分、水の中にいたんだ。 水面には、小舟が浮いていた。 その上で、小さな女の子が、 ボクよりも小さい女の子が、膝を抱えてさらに小さくなっていた。 一人ぼっちで、悲しそうに、寂しそうに、 シクシク泣いていた。 助けたい、そう思ったんだ。 もがくんだけど、手足が思うように動かない。 水の底に引きずられるようにズルズルと沈んでいってしまう。 この水は、あの女の子の涙? 水の底の闇は、あの女の子の悲しみ? ボクは、あの女の子を助けることはできないの? 焦りの中、女の子のいる水面ごとあたりは黒く濁っていって、 ボクはその暗い暗い水の底へ―― ドサッ 「うわっ!?」 水の底はベッドの下だったんだ。 「いたたた…... -
ゼロの黒魔道士-54
前ページ次ページゼロの黒魔道士 ビリビリと伝わる、魔力。 目に見えない『立ち入り禁止』の看板のようなものだった。 入り込めない。 空気そのものが、ボク達を拒絶していると感じる。 クジャと会って感じたイライラやザワザワが、一瞬に冷や汗になってしまった気がする。 魔力に覆われた、恐怖そのもの。 それが、ボク自身の臆病さを、睨みつけて動けなくしていた。 恐怖を覆すのは、勇気ばっかりじゃない。 「ファイヤボールっ!!」 それは、キュルケおねえちゃんの、感情の塊、だったんだと思う。 「ちょ、いきなりっ!?」 「勝負は先手必勝よ、モンモランシーっ!」 大きさも、火力も、『ファイガ』を越えるかもしれない巨大な火の玉。 大砲の弾よりも速く、エルフを飲み込む……って見えたはずなんだ。 「え!?」 「危ないっ!?」 炎の向きが、180度反対になって跳ね... - @wiki全体から「ゼロの黒魔道士-77」で調べる