あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ内検索 / 「消えそうな命、二つ-01」で検索した結果
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消えそうな命、二つ
...孫悟飯召喚 消えそうな命、二つ-01 其の一:カトレアと孫悟飯 消えそうな命、二つ-02 其之二:見たこともない月の下で 消えそうな命、二つ-03 其之三:悟飯の涙、カトレアの背中 消えそうな命、二つ-04 其之四:まずは苦難の道 ~指名手配 孫悟飯?~ 消えそうな命、二つ-05 其之五:倉で…… 消えそうな命、二つ-06 其の六:一つ目の決意 消えそうな命、二つ-07 其之七:孫悟飯の戸惑い 消えそうな命、二つ-08 其之八:よろしくない遭遇 消えそうな命、二つ-09 其の九:長女エレオノール 消えそうな命、二つ-10 其の十:カトレアとエレオノール、そして孫悟飯 原作の未来版トランクスのエピソードを元にオリジナルシーンを加えTV用スペシャルエピソードとして放映されたもの。 それは、悟空が心臓病で急死してしまったもう一つの未来。 半年後... -
消えそうな命、二つ-01
前ページ次ページ消えそうな命、二つ いきなりで済まないが、本当のことだ。 体を覆いつくすだけじゃ飽き足りないほどの閃光が、 オレがこの世で最後に見た光景だった。 わかっていた。 前に人造人間との戦いで、隻腕になってしまったオレ。 一人でもオレでは及ばないヤツらは、その実二人もいる。 二対一だ。 オレの周りには、もう誰もいない。 ナメック星でフリーザと相対したときは、クリリンさん、べジータさん、後から助けに来てくれたピッコロさん。 そして……危ない時に必ず駆けつけてくれる、父さんがいた。 しかし、今、オレの周りには誰もいない。頼れる人は皆死んでしまった。 目の前の殺戮兵器に、殺されてしまった。 オレがここで死ぬことも、たぶん頭では理解していた。 だが、それでも、滅んでいく地球に目を背ける事を、心が許さなかった。 トランクスは残した... -
消えそうな命、二つ-05
前ページ次ページ消えそうな命、二つ 空高く太陽が昇り、世界により強い光と熱をもたらした。 葉と葉の間から降る日光からそれを感じ取ったオレは、ふぅと息を吐き出し木にもたれ掛かる。 「もう昼なのか……」 どこまでも青い空をぼうっと見上げながら、思わず呟いた。 確か今日は、まだ空がうっすらと暗い時間から修行を始めたはず。 太陽の昇り具合から見て、今は大体正午といったところだろう。 追われる羽目になったのが、空に明るみが出始めてだったから…… 思考の最中、かすかな気の集まりを感じて、ちらりと視線を落とす。 もういい加減聞き飽きた、革靴で地面を蹴り進める音が近づいて、3人の――いずれも手に剣などの武器を持った――男が、早足で眼下を通り過ぎた。 さっきから何度この光景を見届けたことか、数えては無いが、もういい加減ため息も吐き飽きたのは確かだ。 ... -
消えそうな命、二つ-03
前ページ次ページ消えそうな命、二つ 小さな頃から、オレは色んなものを見てきたと思っている。 生まれて初めの三年は、何気ない山奥で普通に育てられた。 父さんと母さんに囲まれて。母さんは勉強しろと強く言っていたが、厳しい口調の裏には、ちゃんとオレの事を心配してくれている気持ちが篭っていた。 父さんはそんな母さんにしぶしぶ従いながらも、よくこっそりと武術を教えてくれようとした。……もちろん後で見つかって、いっつも母さんに怒られてたけど。 そして、その後から、オレの人生は父さんの息子であるということと、サイヤ人の血を継いでいるということの織り成す運命に、容赦なく投げ込まれてしまう。 今思えば、それはなるべくしてなった事なのだ。と納得できる。 止まってしまうと潰されそうになることがあった、だからオレはガムシャラに走った。 そして、夢中で駆け抜け... -
消えそうな命、二つ-02
前ページ次ページ消えそうな命、二つ 孫悟飯は死んだ。 孫悟飯は殺された。 それでオレの物語は終わりだった。 父さんの歩んだ道――ワクワクと冒険の物語は、何時しか世界を駆けた超決戦へと移り変わり、この世界に生れ落ちたばかりのオレにも、早々と運命が待ち受けていた。 避けられない血に定められた運命を、人は牢獄のようだなと同情するかもしれない。 でも、オレは、運命を恨んではいなかった。だが、それを受け入れることが出来ていたのか、と聞かれれば、そうじゃないと答える。 そう、決してオレの人間が出来ていたわけじゃないんだ。 その頃は、世界に希望があった。 大魔王と恐れられた異星人に誘拐されようと、宇宙で帝王と恐れられる、文字通り次元違いの化け物と相対したときでさえ、希望は静かに燃え上がり、見たこともないようなまばゆい光がそこにあった。 だから、オレは何だって... -
消えそうな命、二つ-06
前ページ次ページ消えそうな命、二つ ――――背中に暖かい熱を感じた。 ゆっくり開けた両目から薄く光が差し込み、はっと意識を覚醒した。 習慣ゆえにか、体を起こすと反射的に身構えた。さほど激しい動きではなかったが、足場である太い古木が小さな軋みを上げる。 ここはどこだ……? 頭の一部が、どこかしらがまだ呆然としていた。 振りかぶって周りを見渡すと、どうやら視界が悪いのは ひとえに眠りから覚めたばかりだからではないらしいとわかった。 目覚めたそこはうす暗く、そして押し殺したように静かだった。 いつもと変わらぬ夜のようだった。自身のいた世界での、まるで戦時中のように明かりが無い夜。光の無い町は寂しく怖い。 ――――明かりを灯せば、やつらが目を付ける。 崩れ落ち、瓦礫と化した建物に染み入る夕日だけが、唯一の明かりだった。 ... -
消えそうな命、二つ-08
前ページ次ページ消えそうな命、二つ 空は羨ましいほど清々しく青く、それを謳歌するように流れる大きな白雲がここ一帯を覆った。 初夏とは少し違う、春と夏を混ぜ合わせたような暖かい風のせいか、体が熱く、心地よい重さがある。 かつて見ていた平和な世界は、こんな風であったか、悔しいことに覚えていない。 この世界はこのまま秋を向かえ、冬に入って一巡りし、春を迎えるのだろう。 四季の廻りは良くも悪くもなく、一定の時を経てもきっと変わりはしない。人々が歴史と共に創り上げた営みも、またそれに順ずるものだ。 ――だから、きっと誰も思わないのだろう。誰も、気づかないのだろう。 この世界が変わり始めていることに、何かが動き始めていることに。この世界に生きる殆どの命が気づかない。 それは、この世界から直接生まれたものではないからだった。 しかし、 それはこの世界の... -
消えそうな命、二つ-04
前ページ次ページ消えそうな命、二つ 楽しそうな顔だった。 自分の過去を話す。そう言った彼の顔はどこか照れくさそうだったけど、そのうち話に熱が入り始めると、固く結ばれていた緊張や常に纏っている全てを嫌うようなぴりぴりとした空気が、かすかに綻んでいた。 よほど楽しく、よほど厳しい人生だったんだろう。 話を聞くだけでわかってしまう。彼の人生は冒険そのものだった。 そして同時に、苦しくてつらい戦いそのものだった。 カトレアは素直に驚いた。すごい!と思わず拍手してしまいたかった。 彼はたとえどんな逆境に立たされようと、決して運命を呪ったり、憎んだりしていないのだ。 たった4歳のときに親元から離され5歳で命がけの戦場に放り込まれた心境は、果たして自分には想像もできない所にあるのだろう。 たった一生命でありながら、星をも壊せてしまう破壊者を前にした絶望は... -
消えそうな命、二つ-07
前ページ次ページ消えそうな命、二つ ヴァリエール公爵家。見るものをことごとく圧倒し、初見の者には例外なく驚愕を刻ませる“超”豪邸。 そこと、領地である森林地帯道と外をつなぐ長い道を、真っ直ぐに、数台の馬車が進んでいた。 カタカタと軽快な音を立てて揺れる馬車は、昇りきっていない青白い日の光に当てられ、その光景はどことなく神秘的かつほのぼのとして…… いなかった。 馬の手綱を持つ老齢の御者も、一番前を行く馬車とは別の馬車に乗車している平民の召し使いたちも、皆額に冷たい汗を滲ませ、目はどんよりとまるで半分死んでいる。 特にひどいのは、先頭を行く馬車の手綱を持つ初老の男。 見事に白く染まった口ひげと髪が、意思を持っているかのようにあさっての方向へぴんぴん背伸びしているのに、まるで直す気が無いのだろう。完全に無視している。 目も一際濁り、額に滲んだ冷汗... -
消えそうな命、二つ-09
前ページ次ページ消えそうな命、二つ 気づけば、昼も半分過ぎていた。 窓から、温かな日差しとともにチ、チ、チ、と鳥の鳴き声が降り注ぎ、カトレアの部屋にいる動物たちは各々適当な場所に寝転がり、のびのびと日向ぼっこに興じていた。 部屋の主であるカトレアは椅子に腰かけ、のんびりと本を読んでいる。朝から咳は出ておらず、今日の体調は上々だった。 膝の上には子猫や子犬が体を丸くして、気持ち良さそうに寝転んでいた。 ……実は本を読んでいる、というより『待ち人』が来るのを待っていて、その暇つぶしとして本を読んでいる。 というのが本当なのだが、ドアの向こう側のドタバタ慌ただしい気配から察するに『待たせ人』がここに来るのは中々遅くなるかもしれなかった。 ぱら、と本をめくった時、窓側から2回、硬いものを軽く小突く音が聞こえた。窓に視線を向ける。 そこにいたのは一羽、... -
消えそうな命、二つ-10
前ページ消えそうな命、二つ ――小さな頃の記憶だった。 ともすれば忘れてしまっていた記憶だった。 それは、小さい頃からの夢だった。 ラディッツに出会う前、父である悟空と母であるのチチに、悟飯は夢を話したことがあった。 まだ小さいにもかかわらず、しっかりした目標を語る息子に二人とも喜び、 特にチチは感極まって悟飯を抱きしめた後、涙を流しながら牛魔王に報告していた。 優しくも厳しく、小言が多い母の言葉に乗せられたわけじゃない。 自分で好きなものを見つけ、自分で目指すと決めたこと。 それがたまたま母の望む姿と重なっていただけだった。 牛魔王への連絡に勤しむチチを遠目に、悟空が悟飯の頭に手を乗せた。 ごつごつして、頭がすっぽり包まれそうに感じてしまう、大きな手だった。 悟空は顔を近づけると、眉をしかめた。名... -
長編(五十音順)-04
た行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 更新日時 T-0 ターミネーター2 T- 800 2009-01-01 17 21 23 (Thu) 悪魔の虹 大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン 冷凍怪獣バルゴン 2010-10-05 18 59 46 (Tue) ルイズ伝・ゼロと竜と世界の話 太公望伝(諸星大二郎) 竜と誰か 2007-10-05 20 51 18 (Fri) THE GUN OF ZERO 第3次スーパーロボット大戦α クォヴレー・ゴードン 2009-05-16 18 58 48 (Sat) 大使い魔17 大鉄人17 17(ワンセブン) 2011-07-06 15 49 15 (Wed) ゼロの平面 大乱闘スマッシュブラザーズDX Mr.ゲーム&ウォッチ 2007-09-02 06 10 01 (Sun) 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔 戦う司書シリーズ モッカニアの本 ... -
世界最強コンビハルケギニアに立つ
「スプリガン」より暁巌とボー・ブランシェを召喚。 世界最強コンビハルケギニアに立つ-01 世界最強コンビハルケギニアに立つ-02 世界最強コンビハルケギニアに立つ-03 世界最強コンビハルケギニアに立つ-04 世界最強コンビハルケギニアに立つ-05 世界最強コンビハルケギニアに立つ-06 世界最強コンビハルケギニアに立つ-07 世界最強コンビハルケギニアに立つ-08 世界最強コンビハルケギニアに立つ-09 世界最強コンビハルケギニアに立つ-10 世界最強コンビハルケギニアに立つ-11 世界最強コンビハルケギニアに立つ-12 世界最強コンビハルケギニアに立つ-13 世界最強コンビハルケギニアに立つ-14 世界最強コンビハルケギニアに立つ-15 世界最強コンビハルケギニアに立つ-16 世界最強コンビハルケギニアに立つ-17 世界最強コンビハルケギニアに... -
長編(話数順)-02
長編(ページ数順05~14P) ※総ページ数をカウント(例:第○話が前後編なら2ページ分、外伝や幕間も加算) 長編(話数順01~04P)へ 長編(話数順15P~)へ 10~14P 05~09P 10~14P 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 更新日時 超魔王(?)使い魔 魔界戦記ディスガイア ラハール 2007-07-21 17 35 48 (Sat) ゼロの皇帝 ロマンシング サ・ガ2 最終皇帝 2009-10-03 22 10 54 (Sat) 0G 影技-シャドウスキル G・カイン・ファランクス 2009-10-03 21 26 29 (Sat) 使い魔の夢 仮面ライダー555 乾巧 2007-08-30 01 45 09 (Thu) 竜が堕ちゆく先は ドラッグ オン ドラグーン アンヘル 2007-08-29 23 27 27 (Wed) 使い魔の... -
世界最強コンビハルケギニアに立つ-01
前ページ次ページ世界最強コンビハルケギニアに立つ 「心配するな、奴と決着をつけるまでこの私が死んでたまるか。早速弱者を助けに行かねば・・・急ぐぞ!」 夜の森の中に、二人の男がいた。 片方の男は血まみれで、息も絶え絶えだった。 それでも立ち上がり、歩き出した彼をもう片方の男が気遣っている。 「おまえ本当に大丈夫なのか?」 「しつこいぞ!私は不死身なのだ!この程度の傷で死ぬはずが――」 そのとき唐突に二人の前に巨大な鏡が現れ、眩い光があたりを包んだ。 そして鏡が消えたとき、彼らの姿も世界から消えていた。 「我の運命に従いし使い魔を召喚せよ!」 爆発が起こる。 それはまた一つ、少女が失敗を積み重ねたことを意味していた。 ここはトリスティン魔法学院。 各国の貴族の子弟に魔法をはじめとした様々な教育を行う、... -
一覧テスト02
長編(五十音順:’07/10以降更新) ※召喚される側の原作作品のあいうえお順となっております あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行 その他 あ行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 更新日時 サーヴァント・ARMS ARMS 高槻涼、神宮隼人、巴武士 2010-10-10 12 25 51 (Sun) ゼロのアルケミスト アクエリアン・エイジ クラリス・パラケルスス 2009-10-11 16 26 48 (Sun) 使い魔くん千年王国 悪魔くん 松下一郎 2009-10-11 16 33 42 (Sun) 零の謳姫 アルトネリコ2 世界に響く少女たちの創造詩 ジャクリ 2009-10-11 17 11 51 (Sun) 夜明けの使い魔 異界戦記カオスフレア 宇宙... -
世界最強コンビハルケギニアに立つ-09
前ページ次ページ世界最強コンビハルケギニアに立つ 日は沈み、二つの月が大地を照らしている。 カチャカチャという硬い音がルイズの部屋に響く。 部屋に存在しているのはルイズと暁の二人のみ。 ボーは使用人たちの宿舎に寝泊りすることにしており、夜はここにはいない。 ルイズはベッドに腰掛け、ぼんやりと暁を眺めている。 彼は先程から壁際でL字型の黒い金属の塊を分解していた。 何かの箱だったのだろうか、中からは様々な形の小さな金属が次々と出てくる。 ルイズには何をしているのか、そもそもそれが何なのかはさっぱりわからなかったが、 それらの細かい金属を布で拭いたりしているので、手入れをしているのだというのは漠然と理解できた。 「ねぇ、アカツキ」 「あん?」 作業を中断し、暁が顔を上げる。 ルイズはずいぶんと久しぶりに自分から話し掛けたような気がし... -
虚無と炎髪灼眼-01
「サイト」 泣き出しそうな声で、ルイズが呟く。 「助けて。サイト、助けて」 迫る魔法人形の足音が大きくなる。 理性が語りかける、サイトは死んだのだと。 いくら自分が信じていても、サイトは死んだのだと。 自分を助けるために、七万のアルビオン軍にたった一人で立ち向かい、サイトは死んだのだと。 諦めろ――わかってる。 諦めろ、諦めろ――わかってる、わかってる! お前の使い魔は死んだのだ!――わかってるって言ってるでしょ! ぎりっと唇を噛むルイズ。 「なによぉ……」 ルイズは叫んだ。 「なによ!なによなによ!」 死んだと囁く、自分の理性を許せない。 「どいつもこいつも死んだ死んだ死んだって……、わかったわ!死んでるわ!」 呪文を、唱え始める。 ルイズの口からこぼれる呪文、それは古代のルーンではない。 メイジなら、誰... -
世界最強コンビハルケギニアに立つ-06
前ページ次ページ世界最強コンビハルケギニアに立つ 「君が軽率に香水の壜なんかを拾い上げたおかげで二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」 「知るか馬鹿者、二股なんぞかけた貴様が全面的に悪い。さっさと謝って来い」 ギーシュの八つ当たりがばっさりと斬り捨てられたことで、ギャラリーから笑いが起こる。 彼を揶揄する言葉も投げかけられ始め、ギーシュの顔は徐々に赤くなっていった。 「……何やってんだお前」 「おお、暁にルイズ。お前たちもこの小僧に何か言ってやれ」 暁もルイズも、どうせボーが変なことをやったのだろうと考えていた。 そしてどうにかこの場をおさめようと考えていたのだが、 「そりゃお前が悪いぜ、お坊ちゃん」 「それはあんたが悪いわ、ギーシュ」 二人はがっくりと肩を落とした。 話を聞くとボーは被害者だった上、原因... -
ゼロの武侠-01
前ページ次ページゼロの武侠 ゼロの武侠-01 その日、私が呼び出した物は鉄の塊だった。 形状としては鳥に近い物だったのかもしれない。 だけど、その鼻先というべき部分は地面に押し潰され、 翼に見えた部分は両方とも根元からへし折れている。 誰がどう見ても、それはただの鉄屑だった。 どっと沸き上がる笑い声。 諌めるコルベール先生の声も小さく、彼等を制するには到底至らない。 しかし級友達の嘲笑する声は突如として止んだ。 代わりに響くのは内より木霊する打撃音。 あたかも雛が卵を割って生まれ出でるように、 鼓動と共に鋼鉄は変形しその身に亀裂を走らせる。 突然起こった変化に、私も彼等も凍りついた。 それは、この中に潜む未知なる物が与える恐怖によるもの。 「何を笑っていやがる。そんなに面白いコトでもあったのかよ」 そして一際大きい破... -
ゼロの因果導体-01
「あんた誰?」 「え?」 目の前にいきなりピンク色の髪の少女が現れた。 自分は今し方ベータに自分の搭乗していた戦術機を粉砕され死んだはずだった。 しかし今は緑の草原に石造りの大きな城が見える。 欧州的な建築物だが欧州はベータの侵攻によって最後まで生き残っていたイギリスも破壊されているはずだ。 さらに自分の周りには某ポッター家のハリーくんの冒険を描いた小説の世界のような格好をした少年少女たち。 まったく理解できない状況である。 自分はついさっきまで最前線で戦っていたはず、それが今ではどこか分からないところに居る上、訳も分からない連中に囲まれている。 死ぬ直前の幻覚でも見ているのかもと頬を抓ってみるとずきりと痛みを感じた、紛れも無くこれは現実だろう。 「ちょっと! 黙ってないで答えなさいよ!」 自分の体を見てみると99式衛士強... -
世界最強コンビハルケギニアに立つ-02
前ページ次ページ世界最強コンビハルケギニアに立つ 二つの月が世界を照らしている。 それをルイズの部屋からなんともいえない表情で眺めている男がいた。 暁巌である。 暁は元の世界で『トライデント』という組織に身をおいていたことがある。 太古――神話と呼ばれる時代――の文明が遺したいくつもの遺産を手に入れ、それらを元に新たな兵器を作り出そうとする巨大な兵器開発組織である。 その組織の実行部隊長として彼はいつも最前線にいた。 それゆえいくつもの超常現象にも遭遇したし、異世界にも入り込んだことがある。 だから彼は異世界に飛ばされたからといって大仰に驚くような男ではない。 それでも唐突に異世界に迷い込み、帰る手段が皆目見当がつかないというのはあまり楽しい状況ではない。 もっとも暁は「元の世界に帰りたい」という願望はさほど強くない。 言葉は普通に通じ... -
異世界に灯る聖なる焔の光-01
前ページ次ページ異世界に灯る聖なる焔の光 音素(フォニム)に包まれた惑星オールドラント。星の生誕から終焉までを詠んだ預言(スコア)と、その遵守を絶対の教えとするローレライ教団に支配された世界。 今この時、オールドラントの人々に根付く預言に導かれる世界が終わろうとしていた。 世界を新たな未来に導こうとする栄光の大地で、二つの信念がぶつかり合っている。 世界を根本から正そうとする者、ヴァン・グランツが勝つか。人々の変革を信じる者、ルーク・フォン・ファブレが勝つか。未来の行方が決する時は近い。 その戦いの最中、一人の焔が肉体に与えられた役割を終えようとしていた。男の名はアッシュ。 ローレライ教団が設立した神託の盾(オラクル)騎士団の顔である、六神将の一角だった男。六神将は皆、自分の戦闘能力にちなんだ二つ名を持っている。 アッシュは、その血のごとき頭髪と... -
ゼロの使い魔はメイド-01
前ページ次ページゼロの使い魔はメイド 「――あんた、誰?」 ルイズがそう訪ねても、即答はなかった。 地味な衣服を着たその少女は、粗末げなカバンを抱えて地面に座りこんでいた。 黒に近い濃い目というか暗目の褐色のおかっぱに、同じような色合いの瞳。 明らかに平民と見えるその少女は目をそのつぶらな瞳を見開いて、口をぱくぱくさせている。 自分の現状がまだ理解できていないらしい。 「ちょっと、返事しなさいよ!」 ルイズがきつい口調で叫ぶと、少女はびくりと震える。 平民だ、平民だと囃すまわりが鬱陶しい。 「まあ、まあ、ミス・ヴァリエール」 コルベールがルイズをなだめる。 「彼女もいきなり召喚されて驚いているのでしょう。それよりも、早速契約のほうを」 「コルベール先生、やりなおしをさせてください! いくら何でも平民の女の子なんて……」 「... -
三つの『二つ名』 一つのゼロ-01
前ページ次ページ三つの『二つ名』 一つのゼロ 「あんた達、誰?」 急速に開いた視界に映ったのは、抜けるような青空と、一人の少女の怪訝な顔だった。 まだ若い。十代のなかば程度だろうか。不思議そうな顔でこちらを覗き込んでいる。 少女は美しかった。特徴的な桃色のブロンド。透き通るような白く細い首筋、整った顔立ち。 丸く大きめな鳶色の瞳が印象に残る。 「……はい?」 クリフ・ギルバートの口から間の抜けた声が出た。 どこかで春を告げる鳥の鳴き声。柔らかな風が頬を撫でる。穏やかな陽光が心地よい。 ? 脳内にクエスチョンマークが大量に浮かぶ。眼前の光景が理解できない。 先ほどまで自分がいた場所との大きな落差に、処理が追いつかない。 自分は仰向けに寝転んでいるのだろうか。起き上がり、あたりを見回す。 少女と同じ服装をした大勢の子供達が、物珍しそうにこち... -
確率世界のヴァリエール-01
前ページ次ページ確率世界のヴァリエール 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第一話 永遠にひとしいまどろみの中で、また、繰り返す。 他者と己との境目の無い世界、暗赤色の肉の檻の中で。 (少佐のうそつき、、、) ヴァルハラで会おうと言ったのに。 みんなで殺したり殺されたりしようと言ったのに。 言ってくれたのに。 あの人は、望みどおりの死を迎えることができたのだろうか。 死ぬためだけに歩き続けた、人でなしの戦争狂<ウォーモンガー>。 あの人は、この世の地獄の何もかもを引き連れて 修羅の地獄へと下ることができたのだろうか。 ヴァルハラへと。 じわり、と視野が赤く染まってゆく。 ああ、彼がまた、暴れているのか。 あの狂王が。 全存在を賭して少佐と戦い、そして敗れた 少佐と同類、戦争狂の人でなし。 ... -
ゼロのミーディアム-01-08
前ページ次ページゼロのミーディアム 「薔薇人形に♪薔薇人形に♪薔薇人形にごっすんごっすん五寸釘ぃ~♪」 素敵なセンスの歌をノリノリで口ずさみルイズの衣類を洗濯板でゴシゴシと洗っている水銀燈 ちなみに今彼女が歌っているのはアリスになった暁にお父様にご披露する「お父様は大変なものを盗んでいきました」である しかしそんな彼女の思惑は歌ほどおめでたくは無い。彼女は昨日の決闘を思い起こしていた (あの子から…ルイズから引き出した力…戦っている最中は気付かなかったけど今考えたらすごい物だったわね…) 思い返しながらも手は止まらない 洗い終えたネグリジェを籠に入れ水銀燈は次の物に手を伸ばす ルイズから発現させた力、脆弱だった羽を青銅を貫く威力にまで引き上げ、一度は砕かれた剣を今度はそれを一刀のもとに斬り捨てる域にまで強化させた物だ 水銀燈がミー... -
虚無の使い魔だよ!ドクロちゃん!-01.5
これは、使い魔のドクロちゃんが加わった新しい生活に慣れ始めたある日の僕の話。 僕は常々思っていた疑問をドクロちゃんに聞いたんだ。 「ねぇ、ドクロちゃん。確か僕の属性は土だった気がするんだけどね。虚無って重複とかしたりするのかな?」 ドクロちゃんは可愛らしい声で。 「分かんない!」と言った。 知らないのかよ。 ドクロちゃんはガサガサとベッドの下を探しだしたんだ。 「でもね、先生が保証してくれたんだよ!」 僕はベッドの下に隠していたやましい物が発見されないかとひやひやしてたのだよ。 すると、ドクロちゃんは肌色の紙切れっぽいものをを取り出し僕に突き付けた。 「えーと、なになに。『ギーシュ君は虚無です。間違いありません。ギトー』って、何で既に念書をとってあるんだい!」 ドクロちゃんは、えへへと笑いながら。 「きっと必要になると思ったの!」 ... -
ソーサリー・ゼロ-4
前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ 一二 寄宿舎のルイズの部屋へと戻った君は、頃合を見計らって彼女を揺り起こす。 君に着替えを手伝うよう命じるルイズと、この世界の女性に恥じらいはないのかと嘆く君との間で短い口論こそあったが、 やがて身支度を終えたルイズは、君を従えて廊下に出る。 そこで君たちは、紅蓮の炎のような赤い髪と褐色の肌をもつ少女に出会う。 少女といっても顔つきも体格もルイズよりずっと大人びており、服の胸元を大きく開いて豊かなふくらみを惜しげもなくさらけ出している。 やはり、この世界の女には恥じらいが足りぬようだ。 「あら、おはようルイズ」 赤毛の少女の声には、なにかを面白がっているようなひびきがある。 「おはよう、キュルケ」 対するルイズの挨拶からは、あからさまな嫌悪感が感じられる。 キュルケ... -
“微熱”の使い魔-01
前ページ次ページ“微熱”の使い魔 「あなた、だあれ?」 「はい?」 いきなりの言葉に、エリーは間抜けな声を上げてしまった。 エルフィール・トラウム。 通称エリー。 年齢16歳。6月18日生まれ。ふたご座。 故郷はロブソン村。 昨年の九月から、ザールブルグのアカデミーで学んでいる錬金術士の卵。 なのであるが。 ――ええと、これ、どうなってるのかな??? 今ひとつ、身に起こっている状況が理解できない。 昨日8月1日、アカデミーのコンテストを終え、一息ついたばかりだった。 すぐに結果を見に行こうかとも思ったが、散らかりっぱなしになった部屋をちょっと掃除しようと思い直し、まず、大事な参考書をまとめて、 (本棚に、整理しようと思ったんだよね……) 初等から高等までの... -
ゼロのドリフターズ-01
前ページ次ページゼロのドリフターズ ――ハルケギニアに一つの人影が立った。 その者は全身が隠れるほどのローブに頭から身を包み、素顔は暗く塗り潰されたように窺い知ることは出来ない。 外套から伸びる傷痕の残る腕、その手には先端に蜻蛉のような意匠がついた杖を握っていた。 ――憎い。人が憎い。世界が憎い。全てが憎い。 滲み出すほどに内に秘めたるは、ただただ憎悪の一色。 何物よりも深く濃い純粋な色。あらゆるものを呑み込み染め上げる闇黒色。 彼の者はゆっくりと・・・・・・噛み締めるかのように荒野を睥睨する。 ――そう、全てはここから始まる。 「人を救おうとした、だが拒絶された」 感情を込め、されど抑揚のない声で絞り出す。 「ならば人ならざる者を救い、人を滅ぼすしかない」 ――そう、全てを滅ぼさねばならない。 ... -
ゼロと運命の剣-01
前ページ次ページゼロと運命の剣 その少女の魔法は例外なく爆発する。例外がないということはつまり今回も、だ。 しかし少女の瞳はあきらめていない。今度こそ成功したと言う実感が(例えそれが数秒後に消えるものだとしても)あったし、それが気のせいだと思いたくはなかった。 そしてその声は、聞こえた。 『おいそこの女、我の声が聞こえるか』 「成功した!」 少女は煙の中を駆け出した。念願の使い魔だ。契約さえ済めば、これでゼロと馬鹿にされる事もなくなる。 しかし少女の希望は、一瞬の後に疑問に変わり、直後に落胆に変わる事になる。 「…………剣?」 そこにあったのは、確かに剣であった。大地に突き立っている。 やや刀身の長く、刃が広い長剣で、柄に奇妙な装飾がついていた。あまり実用的な剣とも思えないし、それにしては装飾が真新しいわけでもない、古... -
三つの『二つ名』 一つのゼロ-04
前ページ次ページ三つの『二つ名』 一つのゼロ 「じゃあなによ、結局タダメシ食えたんじゃない」 教室のドアをくぐりながらヴォルフが言う。 キクロプスの話によると、厨房で働かせてくれと頼んでみたはいいが、貴族の使い魔を横取りするようなことはできない、と断ら れてしまったらしい。 ただ、食事はまかない食でいいなら好きなだけ出す、いつでも食べに来てくれということだった。 「…………ずいぶん気のいい親父だった……親切な話だ……」 キクロプスは感動しているようだった。表情があまり動かないので分かりにくいが。 「いい奴もいたもんねぇ。こりゃラッキーだわ」 「…………全くだ」 クリフ達はルイズの後ろについて低い階段を登る。教室はちょうど大学のような浅い傾斜のある形式だった。ただ、全て石ででき ているのが違う。 へえ、とクリフは思った。自... -
S-O2 星の使い魔-01
前ページ次ページS-O2 星の使い魔 『アイツは、英雄様の息子だからねぇ』 哂い声が、聞こえる。 人は誰も、己の持たぬものを羨望するもの。 聞き飽きたはずの嫉妬とやっかみ。 しかし、向けられ続ける悪意を受け流すには、少年は若すぎた。 『違う! 僕は僕だ!』 反発する声が、聞こえる。 人は誰も、一度は己に刻み込まれた運命を呪うもの。 恵まれているはずの自分の出生。 しかし、それを与えられるままに満足するには、少年は聡明すぎた。 『……あまり周りの言うことなんて気にするな』 優しい声が、聞こえる。 人は誰も、信じるに値する人物が世に存在するもの。 けれど、その優しささえもが重く、苦しい。 人の真心を素直に受け入れるには、少年は幼すぎた。 『僕は、地球連邦軍... -
鋼の使い魔 幕間-01
鋼の使い魔 ギュスターヴとギーシュがヴェストリ広場で繰り広げた決闘から数刻。太陽は斜陽を向かえ、双月が虚空に姿を現し始めた逢魔が時。 決闘の敗者、ギーシュ・ド・グラモンは医療室で切断された小指を繋ぎ、学生寮女子棟に続く螺旋階段を上っていた。 学院内での怪我や病気に関する治療行為に掛かる費用は学生と学院で折半される。貴族の子女の教育を謳う学院としては、 学生達の自立性の尊重という名の元に経費の削減を行っていた。 繋がれた小指の感触を確かめながら、ギーシュは一段一段と上り、モンモランシーの部屋を目指していた。指の付け根には うっすらと繋いだ傷が見える。切断面が鋭利だったこともあって治療自体は短時間に、かつお手軽な値段で済んだのだが、実家が決して 裕福とはいえないギーシュのポケットマネーは治療に使った秘薬の代金で綺麗さっぱり消し飛んだ。予備の杖は勿論用意してあったが、 ... -
ゼロギアス-01
「宇宙の(ry」 何十回の失敗の末、一際大きな爆発が起き、砂埃が派手に舞った。 そして時間と共に視界が晴れ…『それ』が姿を見せた。 『それ』は、体のいたる箇所から煙を上げ…立ったまま、眠るかのように微動だにしなかった。 「…プッ…プハハハ!!『ゼロのルイズ』が人間を召喚しやがった!!」 「いや、あのなり、亜人かもしれねーぞ!ひゃははは!」 「やっと成功したと思ったらこれかよ!」 後ろから聞こえる嘲笑に耐えられず、ルイズは顔を真っ赤にして振り返る。 「コルベール先生!…ミスタ・コルベール…?」 無駄とは知りつつも、コルベールに最召喚の許可を… そう思い振り向いたルイズが見たのは、緊張した顔で杖を構えるコルベールの姿だった。 「…ミス・ヴァリエール…早く、そこを離れなさい…」 呻くようにそう言ったコルベールの額には…玉の様な汗が... -
使い魔の炎-01
前ページ次ページ使い魔の炎 「あんた誰?」 抜けるような青空をバックに少女が烈火に問いかけた。 知らない顔だ。年は烈火とそう変わらないだろう。 「誰って…俺の名前は、花菱烈火だけど」 「変な名前。どこの平民?」 平民?なに言ってんだコイツは。 周りを見回すと、彼女と同じような服装をした少年少女たちたくさんいた。皆、例外なく棒のようなものを持っている。 「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」 「さすがゼロのルイズだ!」 誰かが言うと、 「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」 と目の前の少女が怒鳴った。 この子は、どうもルイズという名前らしい。 烈火は足りない頭で必死に考えた。 ここはどこなんだ!? こんな場所は日本にはない。それに、烈火の周りにいる少年たちの顔立ちは日本人のそれとはかけ離れている... -
虚無の闇-01
前ページ次ページ虚無の闇 暖かな日差しが降り注ぐトリスティン魔法学校の魔法演習場で、本日2度目の大爆発が発生した。 地響きと共に青々とした草原の一部がえぐれて茶色い土があらわになり、遠目からでも一目で分かるほどの土煙が高々と上がっている。 煙幕のように充満するそれは桃色の長い髪をした女の子へと直撃し、清楚だった制服とマントをうっすらと茶色に染めた。 「やっぱりゼロのルイズだ!」 「なんでこんなこともできないのかしら?」 「しょうがないよ、だってルイズだし」 追い討ちをかけるように生徒たちは好き勝手に野次を飛ばし、いつもながらのルイズの失敗を笑っていた。中には腹を抱えているものまであった。 砂の被害を受けないように遠くから眺めている彼らは、とっくにサモン・サーヴァントの儀式を成功させており、その証拠は各々の隣に座していた。 中にはモンスターとしか思え... -
0 to 2-01
何が起こったのか、よく解らなかった。 いつもいつも失敗してばかりだった魔法。今日この日こそと挑んだ『サモン・サーヴァント』。 幸いにも魔法は成功し、ゼロのルイズと呼ばれる彼女は、漸く生涯を共にする使い魔と出会えた――はずだった。 だが、しかし。 ゼロの名とは無関係に、事は起こってしまった。 爆発による砂埃が晴れると、そのクレーターの中心に、何かが蹲っているのが見えた。 痩せっぽちで、生まれて間もない赤子に見えるほどに小さい身体。 病的に白い、紫がかった肌。その中に浮いて見える、紫色の長い尾と丸い腹部。 リザードマンにも竜のようにも見える、しかしそれらの種族には生えていない、角のようなものが目立つ頭部。 筋肉がついているとは到底思えない、細い腕。それとは対照的な、ウサギのような脚。 異形。そんな言葉が、ちらと皆の頭をよぎった。 ルイズは元より... -
『0』-01
彼女がその場で意識を取り戻したのは、その天体における、正午をやや過ぎた辺りの時間帯であった。 悪夢を見ていて、次の瞬間それから目覚めたかのように、鮮明に、突然、目覚めたのであった。 つい先ほどまで感じていた、絶対的な孤独感……彼女が己の死を実感し――それは彼女が生命の謎をまた一つ解明したという事実でもあった――「それもそうか」という、漠然とした諦念。それとともに、自らの意識を眠らせようとした矢先に、おせっかいな第三者の手によって無理やり目覚めさせられた実感。 彼女ははっきりとした意識を回復させながらも、このとき確かに不快感を感じていた。終わらせるべき物語、完成した物語に、無理やり続編を作らされる感覚。 彼女は自分が横たわり、目を閉じているのを認識する。全身に暖かい光の感触を味わう。それは、日光によるものであろう。彼女は、自分が屋外にいることを認識した。 「あんた、だれ?... -
魔法陣ゼロ-01
前ページ次ページ魔法陣ゼロ 1 新たな旅立ち 勇者とグルグル使いが魔王ギリを封印し、世界中の空に祝福の花びらが舞い踊った。 世界を覆っていたギリの魔力は消滅した。かつてギリの魔力により支配されていたモンスター達の多くは、今は魔境の住人たちのように平和に暮らしている。 しかし、モンスターの脅威が無くなったわけではなかった。 かつてギリの魔力が世界を覆っていた頃に、モンスターの個体数が大きく増加していた。 その中には、ギリとは関係なく人間を襲う者が少なからず存在し、いまだに各地で人々を苦しめていた。 さらに困ったことに、ギリの支配によるタガが外れたため、逆に活動を活発化させた者まで存在した。 闇魔法結社には、そんなモンスターを退治して欲しい、という依頼がしばしば届けられる。 それを聞いたニケとククリは依頼を横取りし、モンスター退治... -
残り滓の使い魔-01
前ページ次ページ残り滓の使い魔 ────その日、少年は選択を迫られていた。 長々と引き延ばしてきた決断であったが、2人の少女の決意と、 少年へと向けられている思いに真摯に向かい合わなければならない。 (振り返ってみれば、本当に色々あったよなあ) 半年前唐突に訪れた非日常。炎髪をなびかせる少女に告げられた“この世の本当のこと”、 『本物の坂井悠二』が既に死んでいるという現実。 そして、自分がその残り滓から作られた代替物『トーチ』であるということ。 (あの時から全部始まったんだよな) 一人ビルの屋上で、喧騒に包まれている街を見下ろし、彼は一つ小さなため息をついた。 本来は残された“存在の力”を徐々に失い、全てを忘れ去られてしまうはずだった。 しかし、幸か不幸か、毎夜零時にその日失った“存在の力”を回復させる永久機関... -
虚無と鬼-01
前ページ次ページ虚無と鬼 虚無と鬼 第一話 ただ歩いていた。 白き靄が立ち込め、果てが見えないほど真っ直ぐに続く道。 その道には霧以外はなにもなく、道の外には深い奈落があるだけである。 傍らには誰もいない。 先ほどまで共に歩いていた息子とは、すでに道を違えた。 後悔や未練はあると言えばあるが、我慢できないほどのものでもなく。 息子の前ではカッコよくいたいと思うぐらいには父親であった。 どちらにしろ、今更息子の行く先へと行けるはずも無く。逆に息子を連れてゆくわけにもいかない。 なぜなら行く先は地獄なのだから。 人を殺しすぎた。 仕事、正当防衛、犯罪者相手――そんな建前が通用するには数が多く。 なにより自分の“強さのために”殺したものだからだ。 犯罪者を殺し、本当は罪のない者を殺し、力ある者を殺し、力ない者を殺し、子供を殺し、老人を殺し、悪人を殺し... -
狼と虚無のメイジ-02
前ページ次ページ狼と虚無のメイジ 「娘、酒などないかや」 毛皮をめくれば下半身すらも露なその娘だが、異常なこの状況に動じている様子は全くない。 よく見れば脱穀前の小麦にまみれ、場違いなことこの上無かった。 「なんじゃ、酒はないのかや。なら食べ物は……」 「ちょちょちょちょっと待ちなさいよっ!何無視してるのよ!あんた誰よ!」 「わっち?」 「あんた以外に誰がいるのよ」 娘はあたりを見回して一言。 「色々と、たくさんおるのう」 「~~~!」 まさしく、辺りを見回せばクラスメイトが大量にいる。 失笑が漏れる中、ルイズは自らの杖を、娘につきつけた。 「あんたは、誰よ!」 杖をつきつけられて、流石に娘の顔から笑みが消えた。赤い……よく見れば琥珀色に強い赤みのかかった瞳をすっと細める。 「礼儀の知らぬ娘じゃの」 ... -
エースコンバット・ゼロの使い魔-01
前ページエースコンバット・ゼロの使い魔 俺は死ぬはずだった でも死ななかった あいつの放った赤い光は 俺の乗っていたイーグルの 右翼をその光と同じ色で包んだ あいつなりの手向けだったのかもな 痛む体を引きずってたどり着いた場所は あの核の爆心地だったんだ 何も無い光景 それがなんだか 悲しくてしょうがなかった でも そこで強く生きる人々がいた 俺は彼らに助けられたんだ 国境も関係なく助けてくれる人が、そこに居た 世界に境目なんて必要ないかもしれない でも 無くすだけで変わるんだろうか 世界を変えるのは人を信じる力なんだろうな 信じ合えば憎悪は生まれない 俺は基地に帰り 恋人と結婚した 家もこうして構えた 国境の近くだ 確かめたいんだ あいつが、片羽があそこまで 執着していた国境の意味を そして... -
世界最強コンビハルケギニアに立つ-03
前ページ次ページ世界最強コンビハルケギニアに立つ 暁は早朝の学園をさまよっていた。 懐に女性物の下着を入れて――である。 洗濯場を探しているのだが、一歩間違えば変質者であった。 無論彼にそんなつもりがあるはずがない。そもそも子供に欲情できるほど彼は節操無しではないのだから。 (しかし広すぎだろこの学校。まるでと言うかまさしく城だな) 豪華な石造りの廊下を歩きながら物珍しげに辺りを見回す。 やはり貴族の子供を預かる学校ともなるとこれくらいの建物でなければならないのだろうか。 考察しながら歩いていると、近くの部屋からメイド服を着た少女が出てきたのが目に止まった。 非常に都合がいい、あわよくば洗濯を頼める。 そう思った暁は歩みを早め、少女に近づいていく。 が、少女のあとに続き洗濯籠を抱えて部屋から出てきた包帯だらけの男を見て、暁は見事に... -
無惨の宴-01
前ページ次ページ無惨の宴 それは名を持たない。 大多数が無意識に忌避し、臆病者は回れ右で走り出し、攻撃的な人間であれば迫害を試 みる。誰も名付けようとはしない。それとの和合を考える一部の狂人でさえ、名を与えよ うとはしなかった。 決まった姿かたちを持たず、形容することさえ困難な対象に、誰が名をつけられようか。 それは貪りつくす。 死骸、腐肉、塵芥から、鋭く尖った無数の針、産業廃棄物、天を駆ける流星まで。 時には己が産み落とした卵でさえも、区別例外なく一呑みで喰らう。 それは際限なく増える。 穢れと汚濁、目を背けたくなるものを床にして卵を孵す。 産まれた子は、親と寸分違わぬおぞましくも忌まわしい姿でせせら笑う。全てを貪り、 それは多くなり、大きくなり、はばかる事を知らず世に蔓延る。 それ... -
長編(五十音順)-01
あ行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 更新日時 ラスト・レイヴン×ゼロ ARMORED CORE LAST RAVEN ジナイーダ 2009-10-11 15 58 32 (Sun) [秩序]の守護者 ARMORED CORE MASTER OF ARENA ハスラー・ワン 2011-04-16 16 38 23 (Sat) サーヴァント・ARMS ARMS 高槻涼、神宮隼人、巴武士 2010-10-10 12 25 51 (Sun) 三つの『二つ名』 一つのゼロ ARMS クリフ、ヴォルフ、キュクロプス 2011-11-13 18 50 55 (Sun) ゼロの使い魔×相棒 ~トリステイン魔法学院特命係~ 相棒 杉下右京 2010-03-16 00 13 10 (Tue) アウターゾーンZERO アウターゾーン ? 2011-09-06 21 03 16 (Tue) ア... -
虚無と賢女-01
前ページ次ページ虚無と賢女 使い魔となったエレアノールを連れて部屋に戻ったルイズは、改めて彼女の格好を見直す。 身に着けてるのは青い衣服に鈍く銀色に光る鎧、ただしどちらも何があったのか妙にボロボロになってる。 自分より頭一つ分くらいは高い身長、すらりと伸びる両足、鎧の上からも分かる豊かな両む―――は関係ないことにして、 世間知らずの平民にしては整った理知的な顔立ち。さらに、どことなく気品を感じさせる物腰。 (本当は幻獣が欲しかったけど……、従者としては及第点以上……ね) 心の中で勝手に評価する。評価されてるエレアノールも、ルイズの心の中を知ってか知らずか、 室内の家具を見回している。家具の質と細工に関心を持っているようにも見える。 「ヘタに触って欠けさせたりしないようにしなさいよね。どれも平民が一生働いても弁償できないくらいの価値なんだから」 ... -
るろうに使い魔外伝-01
前ページ次ページるろうに使い魔 春風が吹く季節も佳境に入り、段々と新緑の夏の匂いが色めき始めるこの頃。 ここトリステイン魔法学院も、遂に一週間後には待ちに待った『夏休み』が来ようとしていた。 殆どの学生たちは、皆久しぶりの実家帰りや企画を持ち込んでの大冒険を模索し賑わせる中、一人の少女は変わらない無表情で廊下を歩いていた。 少女の名はタバサ。その昔、大国ガリアの正統なる王女の血筋を引く者だったのだが、『不慮の事故』で父を亡くし、その上謀殺されたように母親も心を奪われ、自身は過酷な環境に身をおかされて日々生き死にをかける人生を送っていた。 幼い頃は明るかったその顔も、今はすっかり人形のようなものへと変貌してしまい、常に突き放すかな様な雰囲気をその身に纏わせていた。 これは、そんな彼女に起こった、ある一つの物語である。 外伝第一幕 『タバ... - @wiki全体から「消えそうな命、二つ-01」で調べる