あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ内検索 / 「虚無と狂信者-17」で検索した結果
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虚無と狂信者
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虚無と狂信者-17
前ページ次ページ虚無と狂信者 アルビオン ウエストウッド村 マチルダはその村の様子に息を飲んだ。 その村を包むのは、真の無音。 そこに響いているはずの子ども達の、あの賑やかな声が聞こえ無い。 家の中に入る、争った形跡は無い。着替え、その他必要なものが消えうせている。 「どこかに逃げてくれたか………?」 あの仮面の男から渡された手紙に書かれた場所。この村の場所。 何をするかは言ってこなかったが、それだけで充分だった。 少し安堵した。で、あるなら自分がトリステイン魔法学院で秘書をしていることは知らせてある。 ならばトリステインで待てばいずれ来るだろう。 そう思って港に戻ろうとした時、その鼻孔をつく臭いに気づく。 急ぎ、風上に移動する彼女。そこで見た物。 なぎ倒された木々、吐瀉物、そして残された大量の血痕。 地面に伏すマチ... -
虚無と狂信者-02
前ページ次ページ虚無と狂信者 アンデルセンは、とりあえずは普通にやってくれていた。キュルケが部屋を私から遠い所 にしたり、あの吸血鬼が昼間寝ていたりなどから2人が出会う絶対数も少なかったし、 出会っても私とキュルケが全力で止めたからだが。彼は普段は温厚な神父の顔を崩さなか ったし、私の雑用を割りとしっかりやった。曰く「孤児院の仕事で慣れている」そうだ。 しかし、隙あらば平民に彼の神の教えを広めようとするのには辟易した。 けれど、あの時の出来事もまた彼なのだろうか。 私が錬金の授業で失敗した時、クラスの皆は私を責め立てた。それは死人がでてもおかし くない規模の爆発だったから無理もないけど。情けない気分になる私の前に彼は立ち、 私の両肩に両手を置き、皆にこう言った。 「この中で生まれて一度も失敗をしたことの無い人だけがこの子を責... -
虚無と狂信者-03
前ページ次ページ虚無と狂信者 教皇庁生物学研究所より再生能力強化用製剤及び当該研究データの全てが奪われ、研究者 十五名が殺害される。遺体の状況から吸血鬼の犯行であると判断し、13課が捜査開始。 二年間の捜査の後構成員二名が行方不明。その後10年間の捜査の結果、進展が認めら れず捜査の終結を決定する。当製剤唯一の被験者であるアレクサンド・アンデルセン神父 「一体ここどこだ?」 平賀才人は視界に突然現れた森に茫然とする。それもそうだ、今まで東京に居たんだから。 上を見ると月が二つある。彼は笑って言う。 「夢だなこりゃ。」 「「私の使い魔しらない?」」 ルイズとキュルケは二人同時に話しかける 「あなた、リンゴの香水?それ。」 強い匂いにルイズは顔をしかめた。その途端キュルケが震えだす。 常に冷静なゲルマニアの娘の取... -
虚無と狂信者-11
前ページ次ページ虚無と狂信者 巨大な狼がアンデルセンに勢いよく噛みつき、壁に叩きつける。 アンデルセンの左腕はメキメキと音を立てた。 血の塊を吐いた神父は空いた右腕で銃剣を突き立てようとするも、素早く離脱される。 サイトは今にも千切れそうな彼の左腕に口を押さえる。 だが、アンデルセンのとった行動はさらに恐るべき行動だった。 彼は己の左腕の袖に噛みつき、無理矢理引っ張り上げた。 そして、あろうことか、大尉に向かって行った。 「神父!!」 サイトが不安げに声をかける。しかし、アンデルセンはサイトの方を一顧だにしない。 ただ真っ直ぐに狼へと立ち向かう。眼には未だに闘志と殺意が湛えられている。 突き進もうとした彼は、不意に思いだしたようにポツリと、おそらくはサイトに向けて呟いた。 「そうあれかしと叫んで斬れば、世界はするりと片付き申す」... -
虚無と狂信者-10
前ページ次ページ虚無と狂信者 アンデルセン達が桟橋へと到着した。その大木にさすがのアンデルセンも驚いた。 そして階段を上り、踊り場にさしかかった時、後ろからそいつは現れた。 仮面をつけた男、男の発する気配から、そこそこはできる印象を受ける。 神父は、構えるルイズ達を制し、先に行くよう促した。その彼の前にギーシュが躍り出る。 「あはは、女王陛下の望みのため、このギーシュ・ド・グラモンが、グボア!」 仮面の唱えたエア・ハンマーにより、ギーシュは昏倒した。 その後、男にゴミを捨てるように、階段から落とされる。 アンデルセンは興味なさそうに一部始終を見ていた。 アンデルセンにとっては久し振りのまともな戦闘である。 ルイズも行ったようだし、心置き無く楽しめる。 「いい月だな」 アンデルセンはそう言うと、懐から大量の銃剣を取り出し、仮面に投... -
虚無と狂信者-01
前ページ次ページ虚無と狂信者 私の好敵手である「微熱」のキュルケの召喚した使い魔は恐ろしいものだった。 赤いコートに防止にサングラス、見かけは只の平民である。しかし私たちは声がでない。 誰も彼も固まったままである。皆一様に彼をみる。彼は私たちを見回し、目があう生徒は皆脅えた。 コルベール先生は杖を向けるがキュルケは左手で制止する。彼女は使い魔に説明をし、契約を要求した。 「私に従僕になれと?」 彼はキュルケに訪ねた。 「ええ、そうよ」 彼女は髪をかきあげながら言い放つ。彼は肩を震わせ笑った。一歩も退かないキュルケに私は改めて感嘆する。 「その前に教えて、あなた何者?」 彼は答えた。 「吸血鬼だ」 その瞬間言いようもない感情が私たちをつつんだ。しかし、私たちは声も上げることができない。キュルケは嬉しそうに手を叩いてい... -
虚無と狂信者-15
前ページ次ページ虚無と狂信者 レコンキスタ所有の戦艦の中。 火が、風が、氷が、刃が、彼に当たる。その度にそれに臆することなく進んでくる彼の為に、恐怖と恐慌が巻き起こる。 彼が一度その腕で薙ぎ払う度に、血の糸が生み出され、血風が舞い、死が起きて行く。 一方別の場所では両手から放たれる弾丸が人を粉砕し、息の根を着実に止めて行く。近接戦を挑んだものは 喉に食いつかれ、生きながらにしてその血を吸われていく。 「あーあ」 叫びと、狂乱と、死の言霊が空の風を突き破り、キュルケとルイズの元に届く。シエスタは口元を抑えて呟く。 「……エグイですね……。」 「「……言わないで。」」 少し落ち込む二人。ふと戦艦の辺りを舞う黒い蝙蝠達に気づいた。何やら戦艦と外を行ったり来たりしている。 蝙蝠達はそれぞれ石を持っていて、バケツリレーで運び、それらをポ... -
虚無と狂信者-07
前ページ次ページ虚無と狂信者 ミスロングビル、真の名を土くれのフーケと呼ぶ、は悩んでいた。あの破壊の杖の使い方が分からない。 学院の連中を誘き寄せようかとも思ったが、あんな化け物がいるのでは下手に動けない。というか動きたくない。 そもそもあの吸血鬼共とは酒場で知り合った。明確なギブアンドテイクの元に手を組んだだけだ。 しかし、その強さは明らかに異常ということは分かった。それをあんなにもた易く倒す吸血鬼と神父。 どうもオスマンの話だと奴らは吸血鬼を狩るものらしい。 その話を聞いた時、奴らの話に乗り吸血鬼と成らないでよかったと思ったものだ。 そしてこれからの身の振り方を考える。はっきり言ってこの秘書の仕事の収入は悪くない。 ただ、盗賊の仕事ほどでは無い。 考え事をしていると何かにぶつかった。それにフーケは悶絶する。 赤いコート、帽子、サングラ... -
虚無と狂信者-13
前ページ次ページ虚無と狂信者 「パンは肉、ワインは血。」 城の中では最後の晩餐会が行われていた、サイトは今まで見たこともないような豪勢な 食事を喜んだ。 「いや、タンパク質だろ常考。」 そう言い、昨日までで失った血を補充した。ふと目の前に人が来る。なんか輝いてる。 「ベルナドットさん!どうしたんすかソレ?!!」 ベルナドットは全身にアクセサリや指輪、宝石をふんだんに纏い、サンタクロースのような 袋を身に纏っている。おそらく中身は全て宝石だろう。総額で一億円位は軽くありそうだ。 「いやーどうせ貴族派に盗られるならっつうことで気前良くくれたんだよ。 まあ、ここまで死ぬ思いした駄賃ってとこかな。」 心底楽しそうに彼は笑った。 「そういうことだ。君もどうだね?」 ウェールズが正装でサイトに話しかける。その顔はどこまでも晴れやかだった... -
虚無と狂信者-12
前ページ次ページ虚無と狂信者 朝もやの森を疾走する巨大な狼、大尉。 その上では長いマスケット銃を持った女性がぐったりとしていた。 「しっかしとんでもないな!あの吸血鬼は!それにあの男!あれが聖職者って嘘だろ!」 ナイフ、地下水はぶつくさと文句をつける。 はっきり言って大尉にとっては何をいまさらといった話なわけだが。 「おい、嬢ちゃん!何寝てやがる!起きろやとっとと!」 リップバーン中尉はぐったりしたままか細い声を上げる。 「ごめんなさい……もっと寝かして……」 正直彼女は限界だった。 あのアーカード達を引きつける任務。その間に邪魔ものを地下水が始末。 そして大尉がバックアップ。余った面子でアンデルセンも何とかする。 無茶もいいとこの作戦とも言えない作戦だったのだが、アーカード及びセラスの参戦は全く予期せぬことだったので仕方がない... -
虚無と狂信者-14
前ページ次ページ虚無と狂信者 マリー・ガラント号に乗り込む列に並ぶ、タバサとベルナドット。脱出手段のない彼らは、 戦地での結婚式に出席する訳も無く、先に脱出すると言っておいた。 「まあ、プラフだけどな」 「最高のタイミングで横合いから思い切り殴りつける」 ベルナドットは主人の答えに同意する。彼らは礼拝堂に向かった。 「さあ、始めようか。」 そう言うと十人のワルドは一斉にライトニングクラウドを唱える。 あるものは風、あるものは土で防いだが、ほぼ全員がトライアングル。 スクウェアの偏在達の一斉攻撃で全ての精神力は使い果たされた。 ルイズはワルドの一体にレビテーションをかける。すぐさま弾けるワルドの偏在。 さらにサイトはトリガーを引き、正確にワルドの偏在を貫く。 だがワルドのエアハンマーが二人を吹き飛ばし、ルイズは気絶、銃は... -
虚無と狂信者-04
前ページ次ページ虚無と狂信者 ベッドの上の男は、震える手で老人にそれを渡した。胸には金の十字架がある。 「このマークを…知るものが居れば…それを…渡して下さい…。」 男は十字架を触りながら、震える声で呟いた。 「我らは…右…手に…短刀と毒…薬を持ち…、左……手に」 トバルカインはトランプを無数に取り出し、アンデルセンは銃剣を逆手に持ち大上段に構えた。 先に動いたのはトバルカインだった。横に駆けながらトランプを放って行く。 アンデルセンはそれの間を抜けながら銃剣を投げつける。双方の得物が双方の頬を掠める、その傷が治らないことに吸血鬼の緊張は高まる。 遠距離での戦いに不利を見たアンデルセンがトバルカインに突撃を敢行するも、トランプの一斉正射に身を交わすのみ。 だがトバルカインとしてはアーカードが追い付く前に決着を付けねばならない為、精神的には不利... -
虚無と狂信者-19
前ページ次ページ虚無と狂信者 三十年前のある街のある夜。 街に買い出しに来た修道女。彼女は月夜の通りを足早に歩いていた。 そこに二つの影が忍び寄る。男の声が通りに、妙な重音で響き渡る。 「眠りを導く風よ」 その声が響いた瞬間、猛烈な眠気が女性を襲った。 その正体が眠りを導く先住魔法だと、賢明なメイジであれば気づいただろう。 襲いかかる睡魔に必死になって抵抗するも、空しくふらりと倒れ落ちる。 獲物に近寄る二つの影。影が女性に手を伸ばした時、異変が起こる。 突然、得体の知れないものが彼らの回りを旋回する。 何か、異国の言葉が書かれた紙片は街の建物の壁に次々と、何処からか出現した鉄の釘で打ちつけられた。 そして、紙の一枚一枚がぼんやりと、神聖さを以て輝き始める。 吸血鬼が驚いて見上げると建物の屋根に人影を確認した。その影は三十メイルの高... -
虚無と狂信者-18
前ページ次ページ虚無と狂信者 「ふーん、あんたもアンデルセンに置いてかれちゃったのね」 「あ、ああ」 ルイズは唇に指を当て何事か考えていたが、ふと笑顔になる。 「そ、そう。あ、あんたみたいな平民が傍にいても嬉しくなんてないけど。しょうがないわね! あなたを私の召使にしてあげるわ!」 「召使?いやだよ」 才人に速攻で拒否され、ルイズはムッとする。 「何言ってんの?あなたアンデルセンの助手でしょ?アンデルセンは私のもの。よってあなたは私のものなの」 「いや、その理屈はおかしい」 などと限りなく不毛な言い争いをした後、才人はあきらめた。 「まあ、神父がいない間はお前を世話してやるよ」 どうもあの神父はこの少女に恩義みたいなものを感じているようだから、 彼に命を救って貰った恩がある手前できる限りのことはしようという気になった。 「... -
虚無と狂信者-16
前ページ次ページ虚無と狂信者 「うーん、ここは」 平賀才人の眼前に見なれた景色が飛び込む。 そこは日本の街のど真ん中だった。突然の帰郷に才人は戸惑う。 「あれ?俺、ワルドと戦って、そっから……」 ぼんやりとした頭で思い返す。 ふと目の前を見ると彼の目の前に一人の少女がいる。黒い髪の、見なれた少女だ。 この少女に話を聞こうと声を掛ける。 「あ、シエスタ。俺」 「あら、サイトさん、どうされたんですか」 彼女は何故かセーラー服を着ていて、普通なら魅了される所だが、そうはならなかった。 少女に不釣り合いな程の野太い声によって。 「な、何で」 後ろからルイズが駆け寄って来る。彼女はナースだがそれよりも気になるのは。 「ちょっとエロ犬! 何メイドと話をしてるのよ」 犬ってナニ?とかメイドだから?とか... -
虚無と狂信者-06
前ページ次ページ虚無と狂信者 「これは?」「黒鉄」「これは?」「陶工」 サイトは中庭で聖書と格闘していた。アンデルセンの手でハルケギニアの言語で直されたそれを読んでいく。 一度単語の意味さえ知れば以後意味がずっと解る様になる為、読むこと自体は簡単である。便利なものだ。 アンデルセンからは他にも祝福済みの銃剣二本と13課のコート、ロザリオが与えられた 「回復法術を使うにはどうすればいいんですか。」 「神に祈ればいいのです。」 (え?そんだけ?) 「瞬間移動や結界もですか?」 「ええ。」 (んなわきゃねえよな……。) サイトは昨夜の神父とのやりとりを思い出し、溜息をついた。もしそれが本当なら地球人の内10億人が超能力者だ。 (きっと修行とかするんだ。) と自分に言い聞かせ、とりあえず聖書を読むことから始める。そしてそん... -
虚無と狂信者-26
前ページ次ページ虚無と狂信者 トリステイン王宮の一室。アンリエッタはマザリーニから草案を受け取っていた。 対吸血鬼戦専用特殊部隊。 王立特務十三課。 アンデルセンからの通達により、教会が建造されたことを知ったアンリエッタは、竜騎士を使い 武器を輸送し、全軍の剣、槍、銃弾などに至急祝福を施すことを決定した。 おそらく、近いうちに通常戦力としては十分な量の装備ができることだろう。 これにより戦時の際への最低限度の備えはできたことになる。 しかし、不十分だとマザリーニは言う。 今の所、吸血鬼の行う戦闘行為は無視できるものではない。 何か手を打たなければならないが、吸血鬼に対抗しうる戦力は無いのが現状だ。 確かに武器はある。しかし、それを振るう人間を育成するには、しばし時が足りない。 今の所、候補は... -
虚無と狂信者-27
前ページ虚無と狂信者 シエスタは衛士に連れられ廊下を歩いていた。自然と溜息が漏れる。 その右手に視線を移す。少女のものとは思えないほど、無骨で、傷だらけの手だ。 こんな風にするまで、どれ程の鍛練をしてきただろう。どれ程の時間を費やしただろう。 そして、それほど賭けて積み上げた技術も、何の意味も為さない。 ここから逃げることも拒否することも、愛する人の元に向かうことも。 何もできはしないのだ。 「護身……か……」 己の身を護ることが武の本質とするならば、この結果は間違いなくそれに近いだろう。 金は得られ、大切な人は守られる。 けれど、どうしても悲しかった。 ふと、曽祖父の言葉が思い出される。 「シエスタ、おぬし程の才があればわかるだろう。武を極めたものにとって実際に戦うなど下の下、 もし、武の真髄に近づくならば、危うきには近寄れぬ... -
虚無と狂信者-20
前ページ次ページ虚無と狂信者 夜になり、村中の娘を村長の屋敷に集めて守ることにした。 怪しいアレキサンドルは、ベルナドットが見張っている。 そして中庭ではメイジ役のセラスとサイトが武器を置いて酒を飲み、管を巻く。 無力を装い酒に酔ったふりをして吸血鬼を誘き出す算段である。 「何だよあいつらー。俺が何したってんだよー」 才人が飲んでいたのは葡萄ジュースの筈だったが、それでも酔っぱらっている。よほど辛かったらしい。 「何でさー、女の子に電流流れる首輪つけられる訳? 俺の国なら普通に警察動くよ? それとも何? これがこの国の貴族のスタンダート何ですか? ねえタバサ!」 タバサは黙って石を投げる。若干正気に戻ったらしい才人はいらないことを言わないように突伏する。 そしてフラリと屋敷のトイレに向かった。 才人が廊下でバタリとすれ違っ... -
虚無と狂信者-09
前ページ次ページ虚無と狂信者 「ルイズ、僕と結婚しよう。」 一体なにを言っているのかわからなかった。そもそも彼にはアンデルセンを御せなかったことと、サイトに嫌われたことを相談していた。 それがいきなり求婚されてしまっては訳が分からない。確かアンデルセンが何者かが解らないという話だったか。 「いいかい君の使い魔は凄い!山賊を一撃で薙ぎ払い、吸血鬼とも互角に戦ってのけたじゃないか。」 それはそう思う。しかし、ではその吸血鬼を召喚したキュルケやタバサは一体何者であろうか。 「それに君の失敗魔法!あんな威力僕だって出せやしない!火系統のスクエアメイジに相当する威力じゃないか。」 魔法の話をしていただろうか。でも確かにネガティブなことを言ったかもしれない。 「君は素晴らしい、偉大なメイジとなりうる可能性を持っている。断言しよう。だからお願いだ。 どう... -
虚無と狂信者-24
前ページ次ページ虚無と狂信者 才人は中庭に出て一つ伸びをした。 何とかルイズが元気になったことは彼にとっても嬉しい。 アンデルセン不在の今、少女の面倒を見るのは自分の務めだ。 そこでふと見ると、中庭の中央で何やら騒ぎが起きている。 その中心にギーシュとシエスタ、そしてシルフィードの姿を見止め、才人もまたそこへ駆け出した。 才人は目の前の男と何やら言い争いをしているギーシュに声を掛ける。 「ああ、サイト実はだね……」 「はん! ギーシュ! やっぱりお前はそこの平民と親しいんだな」 ギーシュの前にいる、彼に突っかかっているらしい男を見る。 「……誰?」 「ああ、彼は……誰だっけ?」 「ロレーヌだ! まあいい……。貴様か? この竜の主人は?」 いきなり話を振られ、才人は考える。 (確かに俺とシルフィードとの関係って謎... -
虚無と狂信者-23
前ページ次ページ虚無と狂信者 ルイズは朝起きて、しばらく呆けていた。 辺りを見回しても、自分の使い魔はいない。 それはいい。確かにアンデルセンは自分の使い魔だが、彼の信仰心は知っている。 それを邪魔する権利は自分にはない。 彼の戦闘力、人格は己の使い魔としては過ぎたるものと考えているし、 彼が私に忠誠と、一種の、それは先生が生徒に対するもしくは親が子に対する、愛情を 持っていることは感じている。そしてアルビオンで彼が懸命に、それこそ命がけで己が 受けた任務の成功の為に働いた為、この位の暇は与えてもいい。 大体彼は姫様の依頼で動いている訳で、これはひいては己の為にもなる。 それに彼に付いていったって何ができるでもなく、そもそも授業がある。 などと頭では分かっているのだが、彼女の気分は暗澹たるものだった。 というのも机に置かれた一冊の... -
虚無と狂信者-05
前ページ次ページ虚無と狂信者 院長室に入る四人の中で、アンデルセンは頭を下げることもせずにオスマンの所へ進む。 ルイズが慌てて止めようとするが、間に合わない。机の上に銀の箱を置く。 「これを一体どこで手に入れたので。」 オスマンは白い髭をいじりながらいう。 「何?これを知っているのか。」 アンデルセンは言外に圧力を込めて言う。顔つきは険しい。 「これは我々ヴァチカンの、カトリックの物だ。それが何故異世界にある?」 オスマンは驚きアンデルセンを見上げる。そしてその口から出た言葉に異界の二人は戦慄する。 「もしやそなたはイスカリオテか?」 アンデルセンの顔に驚愕が、アーカードの顔に狂喜が浮かぶ。オスマンは話始めた。 三十年程前に近隣の村に吸血鬼がいると聞き討伐に向かった。この世界の吸血鬼は先住魔法と呼ばれる 強力な魔法と一人だけ... -
虚無と狂信者-08
前ページ次ページ虚無と狂信者 「何でアーカードと戦うの?」 寝そべりながらルイズは自分の使い魔に聞く。彼は何事かと少女を見る、その瞳が真剣さと憂いを宿していたため、アンデルセンは答えた。 「私がイスカリオテであり、奴が吸血鬼であるからです。」 ルイズは続けて問う。 「それだけの理由であんな化け物と闘うの?」 アンデルセンは黙って頷いた。ルイズは、今度はあの少年を思い出す。 「サイトもあなたの様になるの?」 彼は考えた。あの弱いただの子どもを。優しさと勇気しかその身に持たない少年を。 「彼は私とは違う。彼は自分の意思を神と同等に信仰しています。自分の心に沿っています。 私は神しか信じていません。それがイスカリオテですから。」 そうなのだ。あの少年が信仰しているのは己でしかないのだ。 ふとあのプロテスタントの、怨敵の主たるあの女を思... -
虚無と狂信者-25
前ページ次ページ虚無と狂信者 ハルケギニアにはオーク鬼という亜人が広範囲に生息する。 二メイル以上の体躯に厚い脂肪。戦闘能力は手練れの平民の剣士五人に相当する。 「そいつらが学院にほど近い教会に生息し始めたのじゃが、 だれか退治にいってくれんかの……報酬は弾むぞ?」 打ち捨てられた寺院。こういうことが起きぬよう取り潰しておくべきだったが、 今さら言ってもしょうがない。しかしオーク鬼というのはメイジであれども相当に危険な 相手であり、教師陣は誰も手を挙げない。そこで手を挙げたのはミス・ロングビルである。 周りはざわつくが彼女の正体を知るオスマンは、問題無いとみた。 相性の問題で彼女、土くれのフーケの作る巨大ゴーレムはオーク鬼であろうと安全に狩ることができるからだ。 オークの攻撃は三十メイル級のゴーレムに乗る彼女に届くことは決してない... -
虚無と狂信者-21
前ページ次ページ虚無と狂信者 杖の先から放たれる爆炎が、武装した男達を焼いていく。 突然現れたメイジに恐慌した男達はそれでも身構え、抵抗しようとする。 「山賊の皆さん。早く降伏なさい」 その女の姿は焼け放たれた柱の中に隠れている。赤く美しい髪がそこから洩れている。 これでは弓で狙撃することも叶わない。艶やかな声でメイジは告げる。 「今ならちゃんと警吏に引き渡し、我が国の法に則って正当に処断してあげるから」 それは山賊としては容認できない。死刑以外の刑に処される程度の罪では無いのだ。 今なら彼女は油断している。山賊とはいえ、その中にはメイジがいることがある。 これもまたそのケースである。杖を引き抜き、風が巻き上がる。 しかし、それより早く炎が杖を焼いた。 「な!」 男は驚愕する。今の風を破った火の出力と精度、そして威力。おそらくト... -
虚無と狂信者-22
前ページ次ページ虚無と狂信者 ジュリオは昨晩の屋敷の庭に竜を降り立たせた。 キュルケはヒラリと飛び降り、屋敷に向かう。 ジュリオはやれやれと首を振り、後を追おうとする。 「ここで待ってて。すぐに退避できるように準備していて」 キュルケは一人で行くことに逡巡しないでもなかったが、竜に乗っていない竜騎士を 連れていくよりは一人の方が効率的と考え、代わりに退路を確保することを優先させた。 「わかった。気をつけるんだよ」 ジュリオもそれに反論することなく、彼女を見送った。 キュルケは慎重に屋敷を探索する。 そこでふと違和感に気づく。 「埃が積もっているわね」 生活感がまるでみられない。ならばあの男はこの屋敷の住人という訳ではなさそうだ。 聞き込みをしておけば、この屋敷を使っていた人間はとうにいないことを知っただろう。 ... -
もう一つの虚無と狂信者-02
由美江と由美子がティファニアに召喚されてから一月ほど。この生活にも慣れてきた。 由美子とティファニアは太陽と共に起きて、朝食の準備を始める。朝食が済めば、由美江に代わって、 今度は薪割りや狩猟といった力仕事を行う。特に薪割りは男でのないウエストウッド村ではかなり 重宝される。この効率のよさは由美江の能力だけではなさそうだ。 (左手のルーン?って奴かな。) 初めて薪割り用の斧を握って見た時、その変化に気づいた。体が軽くなった感覚を覚え、どれだけ 動いても疲れにくい。狩猟用の弓も、使ったことなど全くない由美江でもあっさりと使いこなせた。 ためしに由美子にも使わせてみたが、その効果は変わらず発揮された。無論能力の差はあったが。 これを戦いに応用できれば、対吸血鬼戦で強力な活躍ができるだろう。 しかし、不思議とそんな気はおきない。 「由美江?休憩にしよ?」 ... -
もう一つの虚無と狂信者-01
アンデルセン達がルイズ達に召喚された頃。 多くの孤児達を抱え、彼らを年長者として切り盛りする一人の少女、ティファニア。 その容姿は可憐であり、その肢体は女性としての魅力に溢れ、 その心はアルビオンから湧き出る霧のように白い、全てにおいて完璧な美女である。 そんな彼女には一つだけ大事なものが欠けている。 友達 長く麗しい金色の髪から顔を出すその長い耳、エルフを表すそれはハルケギニア全土の 恐怖の象徴である。それは彼女を人との交わりから遠ざけていた。 同年代の友達 それは彼女の最大の望みであり、同時に決して叶わぬものであった。 鬱屈とした願望を燻らせていたある日のこと。彼女を世話するマチルダ、別名土くれのフーケより、 彼女から送られてきた手紙につけられた紙の束。そこに書かれていたのは魔法陣、呪文、注意書き 「サモン・サーヴァン... -
虚無と金の卵
「マルドゥックヴェロシティ」のウフコックを召喚 第一章 使い魔は金の卵 虚無と金の卵-01 虚無と金の卵-02 虚無と金の卵-03 虚無と金の卵-04 虚無と金の卵-05 虚無と金の卵-06 虚無と金の卵-07 虚無と金の卵-08 虚無と金の卵-09 虚無と金の卵-10 第二章 追憶と邂逅 虚無と金の卵-11 虚無と金の卵-12 虚無と金の卵-13 虚無と金の卵-14 虚無と金の卵-15 虚無と金の卵-16 虚無と金の卵-17 虚無と金の卵-18 -
虚無と狼の牙
「トライガン・マキシマム」からニコラス・D・ウルフウッドを召喚 虚無と狼の牙-01 虚無と狼の牙-01b 虚無と狼の牙-02 虚無と狼の牙-03 虚無と狼の牙-04 虚無と狼の牙-05 虚無と狼の牙-06 虚無と狼の牙-07 虚無と狼の牙-08 虚無と狼の牙-09 虚無と狼の牙-10 虚無と狼の牙-11 虚無と狼の牙-12 虚無と狼の牙-13 虚無と狼の牙-14 虚無と狼の牙-15 虚無と狼の牙-16 虚無と狼の牙-17 虚無と狼の牙-18 虚無と狼の牙-19 虚無と狼の牙-20 虚無と狼の牙-21 -
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PSのアクションRPG「ベアルファレス」より ラスボス戦直後の「西方の賢女」エレアノールを召喚 ※ネタバレ注意 虚無と賢女-00 虚無と賢女-01 虚無と賢女-02 虚無と賢女-03 虚無と賢女-04 虚無と賢女-05 虚無と賢女-06 虚無と賢女 幕間1 虚無と賢女-07 虚無と賢女-08 虚無と賢女-09 虚無と賢女-10 虚無と賢女 設定集 -
虚無と十七属性
『ポケットモンスターダイヤモンドパール』より、主人公(男)を召喚 虚無と十七属性-01第一節「魔王」 虚無と十七属性-02 虚無と十七属性-03 虚無と十七属性-04 虚無と十七属性-05 虚無と十七属性-06 虚無と十七属性-07 虚無と十七属性-08 虚無と十七属性-09第二節「怯える剣(つるぎ)」 虚無と十七属性-10 虚無と十七属性-11 -
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「クロノベルト」より「九鬼耀綱」を召喚 虚無と鬼-01 Bサイド 虚無と鬼-02 -
虚無と最後の希望
「HALO」より、マスターチーフを召喚 虚無と最後の希望 Level01 虚無と最後の希望 Level02 虚無と最後の希望 Level03 虚無と最後の希望 Level04 虚無と最後の希望 Level05 虚無と最後の希望 Level06 虚無と最後の希望 Level07 虚無と最後の希望 Level08 虚無と最後の希望 Level09 虚無と最後の希望 Level10 虚無と最後の希望 Level11 虚無と最後の希望 Level12 虚無と最後の希望 Level13 虚無と最後の希望 Level14 虚無と最後の希望 Level15 虚無と最後の希望 Level16 虚無と最後の希望 Level17 虚無と最後の希望 Level18 虚無と最後の希望 Level19 虚無と最後の希望 Level20 虚無と最後の希望 Level21... -
お預かり作品
姉妹スレの作品置き場 アニメSS総合スレ HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました ガンダムキャラがルイズに召還されました アニメSS総合スレ ■ 過去スレ └ アニメSS総合スレ 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ(他備考等) 更新日時 ゼロのミーディアム ローゼン・メイデン 水銀燈 2009-11-13 16 21 31 (Fri) (注:このSSは本スレに連載先が変わりました ページ最上部へ HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました ■ ... -
虚無と炎髪灼眼
灼眼のシャナよりシャナを召喚 虚無と炎髪灼眼-01 虚無と炎髪灼眼-02 フリアグネ&マリアンヌの なぜなにシャナ!なんでも質問箱! -
『虚無と金剛石~ゼロとダイアモンド~』
ウィザードリィより、アラビク王子を召喚 (設定はベニー松山版) 『虚無と金剛石~ゼロとダイアモンド~』-1 『虚無と金剛石~ゼロとダイアモンド~』-2 『虚無と金剛石~ゼロとダイアモンド~』-3(前編) 『虚無と金剛石~ゼロとダイアモンド~』-3(後編) -
虚無と狼の牙-17
前ページ次ページ虚無と狼の牙 虚無と狼の牙 第十七話 ジョンストンはレキシントン号の真下に竜騎士部隊を展開させた。先行した巡洋艦四隻撃墜の原因が、下からの狙撃であったことを踏まえての策である。 「例のトリステイン貴族といい、艦長といい、全くの腰抜けどもめ。この私自らが戦い方を教えてくれるわ!」 鼻息を荒くしてジョンストンは威勢よく啖呵を切った。ボーウッドは苦笑いを浮かべながら、ジョンストンの後姿を見つめる。その二人の傍らで、ワルドはどこか冷ややかな笑いを浮かべている。 「事実上更迭された割には、随分と余裕ですな、ワルド子爵?」 平然とした様子のワルドに、ボーウッドは訝しげな様子で話しかけた。 「なに、面白いものがみれそうですからな」 「面白い?」 「……まずは相手の手の内を知る、これは戦いの基本でしょう」 ワルドは目の前のジョ... -
長編(五十音順)-06
は行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 更新日時 ルイズと博士と時々ダディ BIOSHOCK ビッグダディと無線機 2009-10-11 13 54 41 (Sun) 絶望の街の魔王、降臨 BIOHAZARD3 LAST ESCAPE ジル・ヴァレンタイン 2009-09-18 12 03 39 (Fri) バイ 0 ハザード バイオハザード4 レオン・S・ケネディ 2007-08-08 20 08 02 (Wed) BIOHAZARD CODE Zero バイオハザード6 レオン・S・ケネディ 2016-03-05 01 42 10 (Sat) ZEROMEGA BIOMEGA(バイオメガ) 丁 五宇、ヒノト・タイラ他 2008-12-20 10 06 53 (Sat) 音速の使い魔 覇王大系リューナイト アデュー・ウォルサム 2008-02-13 16 30 10 (W... -
虚無と金の卵-17
前ページ次ページ虚無と金の卵 サイトが傭兵の内の一人を捕らえて、情報を吐かせた。 足を折られて呻き声を上げている賊の襟首を無造作に掴み、剣の切っ先を首筋に当てて静かに脅しつけるサイトの姿を、ルイズはどこか遠い世界の出来事のような目で眺めていた。 二十人以上を一度に相手にした男と、貴族三人に囲まれて、傭兵は哀れなほどに怯えていた。 実力行使に出るまでもなく、傭兵は壊れた蛇口のように簡単に喋った。 曰く――知らない貴族に雇われた。多分、二十代くらいの男だ。この辺りでは初めて見る顔だった。 曰く――貴族の素性なんてどうだって良かった。内戦も膠着してるから、俺みたいな連中は冷や飯食わされてんのさ。 曰く――山賊の真似事でもして暴れてこいと言われた。あんたみたいな腕利きや貴族が居るなんて知らなかった。 曰く――頼む、助けてくれ。貴族に... -
長編(話数順)-03
長編(ページ数順15P~) ※総ページ数をカウント(例:第○話が前後編なら2ページ分、外伝や幕間も加算) 長編(話数順01~04P)へ 長編(話数順05~14P)へ 80P~ 60~79P 50~59P 40~49P 35~39P 30~34P 25~29P 20~24P 15~19P 80P~ 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 更新日時 マジシャン ザ ルイズ Magic the Gathering(マジック・ザ・ギャザリング) ウルザ 2010-11-06 23 52 26 (Sat) ソーサリー・ゼロ ゲームブック「ソーサリー」 主人公「君」 2014-01-14 22 18 54 (Tue) ウルトラ5番目の使い魔 ウルトラマンシリーズ ウルトラマンA 2020-08-13 22 58 15 (Thu) ゼロの黒魔道士 ファイナルファンタジー9 ... -
虚無と十七属性-10
前ページ次ページ虚無と十七属性 「たばさーっ!」 友人のキュルケが、どたばたという擬態語を上げながら、了承も得ずに『アンロック』をして部屋に入ってきた。『サイレント』を使おうかと杖を手に取ったが、キュルケはもうそこまで来ていた上に、何か焦っていた。 悪いけれど、読書中は静かにして欲しいのに。 「ね、ね、タバサ。今日はとても良い天気でしょう? 一緒に町まで行かない?」 「……虚無の曜日」 「分かってるわ。あなたにとって虚無の曜日が、本を読める大切な憩いの日って事は。でも、大変なの! ルイズと、その使い魔と一緒に町へ行こうかと思ったら、彼がなんか凄い早い乗り物に乗って先に行っちゃったの!」 その言葉に、ぴくん、と反応する。あの『魔王』じみた彼は、一体どんな乗り物を持っているのかに興味が湧いたのだ。だけど、召喚された時にはそんな物を持っていなかった気がする。 「... -
虚無と狼の牙-19
前ページ次ページ虚無と狼の牙 虚無と狼の牙 第十九話 トリステイン城下町にある酒場魅惑の妖精亭は、シンと静まり返っていた。タルブがアルビオンの侵攻を受けたというニュースを聞いて、タルブ出身の店長スカロンはどうしても店を開ける気持ちになどなれなかったのだ。 「大丈夫よ、父さん。あそこの人たち、ほんとうにしぶといから平気だって」 ジェシカが椅子に座って頭を抱えるスカロンの肩をポンと叩く。 「わたしだって、そう思っているわよ。けれども、やっぱり心配で心配で」 そう言ってスカロンが頭をフルフルと振った時だった。カランとベルの鳴る音がして、店の扉が開いた。 「あ、悪いんだけれども、今日は店は閉めてるんだ――って、あんた、ウルフウッド?」 「え?」 ジェシカの素っ頓狂な声に、スカロンも顔を上げる。そこにはつい先日アルバイトでこの店にいた男の姿。 「よう、店... -
虚無と金の卵-01
前ページ次ページ虚無と金の卵 プロローグ/???にて―― 自閉し、外部との接触を絶った多次元構造の自己の中で、金の卵と呼ばれた鼠はまどろんでいた。 虚無にあがく良心の存在を夢見ていた。 『“苦痛する価値”がかつて果たした役割は、今も全ての犠牲者に宿っている』 自己が濫用される悪夢を見ていた。 『自分がどんどん小さくなっていく……俺が消えてしまいそうだ……』 自己の存在を訴える夢を見ていた。 『俺もいつか必ず死ぬ。 それがいつかはわからない。 それまでに俺は見つけ出さなければいけないんだ。俺自身の有用性を』 信頼する相棒に裏切られ、忌むべき凶器として操られた悪夢を見ていた。 『何故だ。何故俺を濫用した……ボイルド』 相棒は、良心を振り切って加速し、虚無の権化と化してしまった。 ... -
虚無と賢女-00
前ページ次ページ虚無と賢女 その日、物質世界と精神世界を融合させ『新しき世界』を創造しようとした神―――ベアルファレスは倒れ、 その身体の中から眩い『光』が異形の表皮を突き破って溢れ、あっという間に始原の地の最深部たる神界を覆いはじめる。 最強の切れ味を秘めた無銘の長剣で斬りかかった青年と、その傍らで強大な炎の魔法を放ち続けた少女を飲み込んで。 「ウェルドー!! ノエルー!!」 ただ一人、辛うじて『光』から逃れることの出来た女性は、死闘で乱れた長く美しい黒髪を整えもせず、 必死になって脈動しつつ膨張する光の塊―――光球に向かって叫び続けた。 「返事を!! 返事をしてくだ―――ッ!?」 何度目かの呼びかけの最中、光球は突如として脈動を止める。膨れようとする箇所、収縮しようとする箇所、 ねじれた円錐状の突起を生み出す箇所、い... -
虚無と夜闇の魔法使い
――――――――――予告―――――――――――― ―――空に浮かぶは二つの月 ―――世界を統べるは魔法の力 今、ハルケギニアを舞台に新たな物語が始まろうとしていた。 少女の声に呼ばれ、異世界から召喚されし一振りの魔剣を持つ少年。 彼は侵魔から地球を守る為、過去に忘れ去られし古の力―魔法―を駆使して戦う魔法使い"ウィザード" ――その少年の名は柊蓮司。またの名を「下がる男」―― 柊蓮司「そのネタはもういいんだよっ!」 ≪虚無と夜闇の魔法使い≫ ――少年と少女が出会った時、世界は新たな歴史を紡ぎ出す。 異世界の住人である彼は、この世界に何を齎すのか! 柊蓮司「お、俺の魔剣がーっ!?」 ... -
虚無と金の卵-11
前ページ次ページ虚無と金の卵 ガリア王都、リュティス。 そこに、ハルケギニア有数の宮殿の一つ、ガリア王家のヴェルサルテイル宮殿が存在する。 そして宮殿中心部、グラン・トロワの一室に、二人の男が向かい合っている。 一人は瀟洒な椅子にゆったりと寛いでいる――王者の風格。 一人はひどく堅い調子で屹立する――忠誠を見せんとして身動ぎもしない。 椅子で寛ぐ男、ガリア国王陛下ジョゼフ。青髪の美丈夫。たくわえられた立派な髭。がっしりとした闘士のような体つき。 匂い立つような男ぶり/国民からは無能王、簒奪者と罵られる男。 そして、ジョゼフはもう一人の男に何事かを報告させていた。 その男の眼球はせわしなく動く。だが努めて、不興や誤解を与えぬよう、朗々と羊皮紙を読み上げていく。 酷く緊張した男の有様とは対照的に、ジョゼフは欠伸混じりに聞いていた。 「... -
虚無と十七属性-07
前ページ次ページ虚無と十七属性 「ヴェストリの広場で、ギーシュが決闘してるぞ!」食堂に、二年生の誰かが駆け込んできてそう言った。 「え、本当!? 誰と? 誰と?」 「もしかして、さっきの二股が原因?」周りの生徒が、これはいい肴を見つけた、とばかりに飛びついた。 「ああ。なんでも、原因となった小瓶を拾った、ルイズの使い魔と決闘しているらしい。逆恨みだよなー」 その言葉が食堂に響いた後、一斉に視線がこっちを向いた。思わず吹き出しそうになった口の中のものを、必死に飲み込む。 「あんの……馬鹿!」 虚無と十七属性 第七話 バラおとこのギーシュは ワルキュレをくりだした! (※ポケモンの世界に於いて、固有名詞は5文字までしか入りません) 「僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。よって、君の相手は青銅のゴーレム・ワルキューレがお相手す... - @wiki全体から「虚無と狂信者-17」で調べる