Encounter of the night hospital

15話 Encounter of the night hospital

白峰守矢レオノーレは、やっとの思いで目的の医院に到着する。

「乗っている人がいるかもしれない、気を付けて行こう」
「うん」

地図にも載っている上、建物の規模もそれなりにあるこの医院。
自分達以外にも訪れる人はいると見た方が良い。
その来訪者が殺し合いをやる気になっている人物である可能性は十分に考えられる。
警戒するに超した事は無い。
守矢はサバイバルナイフ、レオノーレは62式7.62mm機関銃と、
それぞれの支給武器を持って医院正面口の自動ドアを潜る。
医院の中は静かで、非常灯以外には明かりも灯っておらず暗い。
見取り図が壁に貼られていたので二人はそれを見て医院のおおよその構造を覚えようとする。

「二階建て、いやそれは外から見た時に分かったけど。
後地下があって、一回には診察室……事務室……検査室……」
「結構広いから誰かいてもおかしく無いわね。
ゲームが始まってから二時間ぐらい経ってるし……」
「一階から見てみよう、守矢君」
「分かった……」

面倒ではあるが一部屋一部屋見て回る事にした。
誰か隠れているかもと考えていては落ち着いて休息する事も出来ない。
休んでいる時に急襲でも掛けられては敵わない。

診察室、受付、事務室、薬局、処置室、検査室、点滴室、レントゲン室、厨房、院長室……。
一階のフロアの三分の二程を回るが今の所誰もいない。

「夜の病院なんておっかないなあ……怪談ものでよく病院が舞台なのあるし」
「私が昔見た奴は、何だか黒い影みたいなのが追っかけてきて追いつかれたら……」
「やめて下さい」
「地下は……あれ」

地下に行こうとしたが、地下の入口はシャッターが下りていて通れなくなっている。
誰かが下ろしたのか、元々下りていたのかは分からないが、
いくらシャッターを上げようとしてもびくともしないので、二人は諦めて二階の病室区画へ向かう。

◆◆◆

医院二階の病室の一つ。
ベッドの上で、黒狐獣人の少年と赤髪の美少女が、互いの秘部を舐め合っていた。

「こ、こんな事して良いのかな……」
「こんなにおっきくして何言ってんのよ、嘉晴君。
いつ死ぬか分からないんだから、楽しめる時に楽しまなくちゃ」
「そ、そうだね、東員さん……」
「祐華で良いよ。呼び捨てで」
「ゆ、祐華」
「良く出来ました。ん、はあ……舌がざらついててイイ……。
私も、男の子のこれ始めてしゃぶるけど……凄いね……」
「気持ち良い……ん?」
「どうしたの? 嘉晴君」

嘉晴と呼ばれた黒狐獣人少年の耳がピクピクと動く。

「足音が聞こえる……」
「ええ? 私には何も……」
「いや確かに聞こえた……誰か来たっぽい」
「マジ……?」

やむなく二人は行為を中断し、濡れた秘部を適当な掛け布団で拭くと、
パンツとズボン(祐華はスカート)を穿き直して、
嘉晴は組立式十文字槍、祐華は短機関銃H&K MP7をそれぞれ装備して、
入口の扉の陰に左右に分かれ、警戒態勢を取った。
やがて足音は祐華の耳にもはっきり聞こえるぐらいに大きくなる。
しかも一人では無く二人のようだ。
その上、病室を一部屋一部屋確認しているのか扉の開閉音も聞こえてくる。
とすればこの部屋にも来るだろう。
殺し合いに乗っているのか否か、二人で行動しているのなら、
乗ってはいない可能性が高い。と言うのも一人しか優勝出来ないのに、わざわざ徒党を組む理由が無い。
とは言え例外も有り得るので、警戒するには越した事は無い。
そして。

ガチャ。

扉が開き、ツインテールの髪を持ったえらく露出の多い格好の少女と、
黒い身体の竜人の少年が入ってきた。

「動かないで!」
「止まれ!」

祐華と嘉晴は持っていた武器を、入ってきた二人に突き付けた。

◆◆◆

いくら警戒していてもそれが功を奏するとは限らないのだと守矢は思った。
今回幸運だったのは、二階病室で武器を突き付けてきた、
東員祐華伊神嘉晴の二人が殺し合いには乗っていなかった事だろう。

「ごめんなさい、いきなり武器向けたりして……」
「いいのいいの。こんな状況だもの、警戒するのは当たり前よ。責めたりはしないわ」
「伊神さんに、東員さんでしたっけ……二人は一緒に行動してるんですか?」
「ああそうだよ」
「成程……あ、いや、それだけです」
「ここに俺と祐華が来た時も見て回ったけど、誰もいなかったぞ。
お前とレオノーレさんが来るまで足音も聞こえなかったし、この病院には今、
俺らだけって事になるな」
「へえ……」
「東員さんに伊神君、殺し合いに乗っていないんなら、
私達の仲間になって欲しいんだけど……どうかな?」

レオノーレの提案に、祐華と嘉晴はしばし考える。
程無く結論を、祐華が口に出す。

「良いわ。仲間になる、けど、同行は出来ないわね」
「え? 何で?」
「四人になったら大所帯で目立つでしょ」
「あ……それもそう、だけど」

仲間にはなるが一緒に行動はしないと言う事だった。
しかし祐華の言う事にも理はあるとレオノーレと守矢は思う。
四人で同時に行動するのは彼女の言う通り大所帯になって目立つ。
いざと言う時の機動性にも問題があるからだ。
その後、守矢とレオノーレは祐華と嘉晴の病室の隣にある病室に移動し、そこでしばらく休む事にした。

「殺し合いに乗ってない人がいて良かった」
「そうね」
「……」
「……」
「しちゃおうか、守矢君?」
「……お願いします」

守矢とレオノーレは、互いにドキドキとしながら、互いの身体にそっと手を触れ合う。

◆◆◆

「ふぅ、殺し合いに乗ってない人達で良かったわ」
「そうだね……」
「さて、続きをしようか」

祐華はパンツとスカートを脱いだ。

「あ……」
「ほら、嘉晴君も脱いで」
「よし」

嘉晴もまたズボンとパンツを脱ぎ捨てる。
興奮した二人の愉悦の時間はまだ始まったばかり。


【黎明/B-2/医院二階206号室】

【白峰守矢】
[状態]健康
[装備]サバイバルナイフ
[持物]基本支給品一式、ピアノ線
[思考]1:レオノーレさんと行動する。死ぬ気は今の所失せた。
    2:レオノーレさんと……。
[備考]※樊欽の外見のみ記憶しました。

【レオノーレ】
[状態]健康
[装備]62式7.62mm機関銃(200/200)
[持物]基本支給品一式、7.62mm×51ベルトリンク(200)
[思考]1:守矢君と行動する。安全そうな場所を見付けたら守矢君にさせてあげよう。
    2:守矢君と……。
[備考]※樊欽の外見のみ記憶しました。


【黎明/B-2/医院二階205号室】

【東員祐華】
[状態]健康
[装備]H&K MP7(40/40)
[持物]基本支給品一式、H&K MP7の弾倉(5)
[思考]1:嘉晴君と行動。
    2:取り敢えず今は嘉晴君と愉しむ。
[備考]※白峰守矢、レオノーレは殺し合いに乗っていないと判断しました。

【伊神嘉晴】
[状態]健康
[装備]組立式十文字槍
[持物]基本支給品一式
[思考]1:祐華と行動。
    2:取り敢えず今は祐華と愉しむ。
[備考]※白峰守矢、レオノーレは殺し合いに乗っていないと判断しました。



《参加者紹介》

【名前】東員祐華(とういん ゆうか)
【年齢】17歳
【性別】女
【職業】高校生
【性格】基本的に誰に対しても面倒見が良いが年下や自分の気に入った相手に対しては特にそれが顕著
【身体的特徴】赤髪ロングの美少女
【服装】学校制服のセーラー服
【趣味】レゴブロック制作
【特技】手先が器用
【経歴】東員財閥の次女として生まれた
【備考】日本風国家に存在する財閥の一つ、東員財閥の現総帥、東員幸祐の次女。
    小遣いは多く貰っているが余り沢山は持ち歩かないようにしている。
    防犯のためと言うよりは多く持っていると浪費してしまう癖があるため。
    自宅の部屋では全裸で過ごす裸族で、性にも多分に興味がある

【名前】伊神嘉晴(いがみ よしはる)
【年齢】16歳
【性別】男
【職業】高校生
【性格】少し内気
【身体的特徴】黄色の狐獣人。細目
【服装】学校制服のブレザー
【趣味】自動車関係の本を読み漁る事
【特技】自動車の構造を概ね把握し多少弄る事と運転が出来る
【経歴】小学生の頃から無免許運転をしているが捕まった事は今の所無い
【備考】車好き。将来は自動車会社に勤務しようと考えている


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最終更新:2013年11月04日 22:50