旅は道連れ世は情け

42話 旅は道連れ世は情け

「B-2……て、この辺じゃない!」

B-2医院。
放送を聞いた少女、東員祐華が声を上げ、隣にいた狐獣人少年、伊神嘉晴がその声の大きさに少し驚く。

「びっくりした……」
「あ、ごめん……でも、禁止エリアこの辺り指定されちゃったみたい。早く移動しないと……」
「そうだな……」

自分達のいるエリアが禁止エリアに指定された以上、
早々に当該エリアから避難しなければならない。
さもなければ、首にはめられた忌まわしい首輪が作動し、命を失ってしまう。
禁止エリアは今自分達がいるB-2の他に、東二つのエリア――B-3、B-4が続いて指定されている。
つまり避難すると言っても東に行くのは全く妥当では無いと言う事だ。
かと言って西、北に行ってもいずれは海にぶち当たるのみ、
そればかりか禁止エリアが出現した後は陸の孤島と化し身動きが取れなくなる可能性があった。
残るは南のみ。
南であればルートが開けている上、行く手にリゾート街もある。
実質的に、選択肢は南しか無かった。

「南に行くしか無いね」
「ああ」

移動ルートを南に決めた祐華と嘉晴はすぐに出発の準備に取り掛かる。

準備が終わった後、隠れていた病室から出る祐華と嘉晴。

「そうだ、東員さん。守矢とレオノーレさんはどうする?」
「うーん、一応声掛けておこうか」

嘉晴が同じ医院内にいる筈の二人、白峰守矢とレオノーレに声を掛けていこうと提案し祐華もそれを承諾した。
かの二人とは仲間になったが大人数で行動するのは危険なため別行動を取ると言うスタンスを取っていたが、
それでも仲間には違い無いので、出発する前に声を掛ける事ぐらいはしていこうと嘉晴は考えたのである。

二人はやや急いで、守矢とレオノーレがいる病室に向かった。

「守矢君、レオノーレさん」
「あっ……東員さんに伊神君」

祐華が病室にいた守矢とレオノーレに声を掛け、レオノーレが返事をする。
二人もまた出発しようとしていたようだった。

「放送は聞いたわね二人共?」
「うん」
「はい」
「私と嘉晴君は南へ行こうと思ってるの……って言うか南しか選択肢が無いっぽいし……二人はどうするの?」
「ああ、僕達も南へ行こうかと思ってまして……東員さんと伊神さんと似たような考えで」

守矢とレオノーレもまた、祐華達と似たような考えで南へ避難しようとしていたようだった。

「うーん、って事は私達四人共南って事ね……一緒に行動出来無いって言ったけど、
そうも言ってられないか……って言うか時間が押してるからもう行こう。一緒に行こう取り敢えず」

やむを得ず四人全員で一緒に南へ行く事となった。
禁止エリアに指定される時間が刻一刻と迫っているため議論している暇など無い。
四人は医院の出口へと向かった。


【朝/B-2/医院】

【東員祐華】
[状態]健康
[装備]H&K MP7(40/40)
[持物]基本支給品一式、H&K MP7の弾倉(5)
[思考]1:嘉晴君と行動。
    2:B-2エリアから退避。南へ向かう。
[備考]※白峰守矢、レオノーレは殺し合いに乗っていないと判断しました。

【伊神嘉晴】
[状態]健康
[装備]組立式十文字槍
[持物]基本支給品一式
[思考]1:祐華と行動。
    2:B-2エリアから退避。南へ向かう。
[備考]※白峰守矢、レオノーレは殺し合いに乗っていないと判断しました。

【白峰守矢】
[状態]健康
[装備]サバイバルナイフ
[持物]基本支給品一式、ピアノ線
[思考]1:レオノーレさんと行動する。死ぬ気は今の所失せた。
    2:B-2エリアから退避。南へ向かう。
[備考]※樊欽の外見のみ記憶しました。

【レオノーレ】
[状態]健康
[装備]62式7.62mm機関銃(200/200)
[持物]基本支給品一式、7.62mm×51ベルトリンク(200)
[思考]1:守矢君と行動する。
    2:B-2エリアから退避。南へ向かう。
[備考]※樊欽の外見のみ記憶しました。



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最終更新:2014年02月03日 01:00