22話 道なき道をゆく月の光だけ…
深谷明治は療養所を探索していた。
この殺し合いが始まってからかれこれ三時間程経っていたが、
今の所、明治は誰とも遭遇しておらず危険にも見舞われていない。
幸か不幸か分からないが。
支給されたスチールパイプを片手に療養所の廊下を歩く明治。
ガチャ。
「！」
突然、前方にある扉が開き中から人間の少女が出てくる。
良く見ると、腹から夥しい出血をしているようだった。
「おい、どうした？ 大丈夫か？」
「う……死にたく、ない……死に、た……く……」
「！ おいって！」
何事か呟くと、少女はその場に倒れてしまう。
明治は急いで少女に駆け寄るが、少女はもう事切れてしまっていた。
部屋の中で何かあったのだろうか、明治は少女が出てきた部屋を見てみる事にする。
部屋の入口には「リハビリ室」と書かれたプレートが貼ってあった。
中は確かにリハビリ用の器具が至る所に置いてある広い部屋である。
床に残った血の跡を辿って行くと、獣人の少女が倒れていた。
「……生きて、るか？」
「……ぃ……」
辛うじて息はあるようだったが、首には紐が巻かれ、口と鼻から血を流している。
失禁もしているようで、もう手の施しようが無い事は火を見るより明らかだった。
「げほっ……首から下、何も感じないんです……身体、動かないんです……」
「……」
「私は……生き残りたかった……だけ……なん……で……す」
そう言うと獣人の少女はごぼっと大きな血の塊を吐き出し、息絶える。
少女の手元には血の付着した大型のハンティングナイフが落ちていた。
この少女とさっきの人間の少女が揉み合って、このような結果になったのだろうか。
もう知る術は無いが、目の前でいきなり二人の命が消えるのを見た明治は少なからず動揺していた。
やはり自分の知らない所で殺し合いは確実に進行しているのだと。
「……」
明治はハンティングナイフを拾う。
切れ味、強度は抜群のようだ。
こんな物で腹を刺されれば、確かに致命傷は免れまい。
ただ、明治は別の事に思考を向けていた。
明治は首輪を調べたいと考えていた、ただそれには首輪そのものが必要である。
今、明治の近くには二つの死体が転がっている。
正直な所「その行動」は明治はとてもやりたくは無かったが、首輪を何とかしなければ、
この殺し合いから逃げ出す事も出来ない。
意を決した明治はまず着ていたツナギと、下着、安全靴と靴下を脱いで裸になり、
着ていた物は遠くへ置いた。
決して変な気分になっている訳では無い。
これからする「行動」によって衣服に血が付くのを避けたかったためである。
「よし……！」
明治は、ハンティングナイフを少女の死体の首に当てた。
◆◆◆
服を着た明治は、水道で二つの首輪、ハンティングナイフを洗う。
気分も悪かったが、吐きたい程では無い。
血は、二人共息絶えていたせいか、それ程出なかった。
あれなら服を脱ぐ事も無かったかと、明治は思った。
「……首輪は手に入れたんだ、後は工具がいるな……」
首輪を調べるには工具が必要だが、持っていない。
この療養所のどこかにあるかもしれないが、療養所は広く工具だけ探すのは非効率的だろう。
「そう言えば北の方にガソリンスタンドがあるな。
ガソリンスタンドなら工具ぐらい揃っている筈……行ってみよう」
明治は療養所の出口を目指し歩き始める。
【神室さつき 死亡】
【更級亜矢 死亡】
【残り48人】
【黎明/G-3/療養所】
【深谷明治】
［状態］少し気分が悪い
［装備］ハンティングナイフ
［持物］基本支給品一式、スチールパイプ、首輪（
神室さつき、
更級亜矢）
［思考］1：首輪を調べたい。
2：北のガソリンスタンドへ向かう。
［備考］※特に無し。
《参加者紹介》
【名前】深谷明治（ふかや あきはる）
【年齢】23歳
【性別】男
【職業】バイクショップ勤務
【性格】熱血な好青年
【身体的特徴】赤髪、黄色毛皮の虎獣人。筋肉質
【服装】青いツナギ
【趣味】ツーリング
【特技】バイクの構造に詳しい、工具の扱いに長けている
【経歴】小学生の時に父親が蒸発している
【備考】従兄弟にEX俺オリロワ2nd登場の深谷春那がいる。仲は良いようだ。
典型的なバイク好きのあんちゃん
【名前】神室さつき（かみむろ-）
【年齢】15歳
【性別】女
【職業】中学生
【性格】温厚で理知的
【身体的特徴】亜麻色の髪の少女
【服装】普段着
【趣味】特に無し
【特技】速記、英語
【経歴】特筆事項無し
【備考】ごく普通の少女
【名前】更級亜矢（さらしな あや）
【年齢】13歳
【性別】女
【職業】中学生
【性格】臆病
【身体的特徴】茶髪に茶色毛皮の犬系獣人
【服装】普段着
【趣味】不明
【特技】特に無し
【経歴】特筆事項無し
【備考】もう設定考えるのめんどくなってきた
最終更新：2013年07月08日 21:44
