Consultation room

19話 Consultation room

F-2エリアに存在する病院。
規模は決して大きく無いが、一通りの医療設備は揃っている。
現在時刻は深夜だが、院内の廊下は一部の部屋は明かりが灯っておりそれ程暗くは無い。

「うわぁ凄い、フサフサやんなぁ」
「そうだろう」

一階診察室にて少女、西川のり子は二足歩行の狐のような生物の尻尾を触っていた。
そのふさふさとした心地良い触感が気に入ったようでこれでもかと言う程のり子は尻尾を触る。
狐のような生物――レナモンも嫌な顔一つせず満更でも無いと言った様子である。

西川のり子とレナモンは病院内で遭遇し知り合った。
明らかに人間では無い上自分の常識外の生物であるレナモンに最初は戸惑い怯えていたのり子だったが、
話が通じ温厚であり害が無いと知ると打ち解けるのにそう時間は掛からなかった。

「ふぅ、また触ってもええかな?」
「ああ」
「小鉄達は無事なんかな……はよ会いたいわ」

のり子は殺し合いに呼ばれている友人達の事を気に掛ける。
元気な馬鹿少年・大沢木小鉄、食べる事にかけては右に出る者の居ない太っちょ少年・鈴木フグオ、
強面だが友達思いの少年・土井津仁、良く家に皆で遊びに行く老け顔少年・金子翼、
何故教師を続けているのか疑問に思う程の馬鹿教師・春巻龍の五人。

「今すぐにでも捜しに行きたいんやけどなホンマは」
「月明かりが有るとは言え、外は暗くて見通しも悪い……暗がりから急に襲われる可能性も有る。
まだ動かない方が良い。気持ちは分かるが」
「うーん……」

レナモンに引き止められ唸るのり子。
レナモンも当人が言った通りのり子の心情は察してはいたが、
暗い夜道を、いつ命を狙われるか分からない状況下で、どこに居るか分からない知人の捜索をさせるのは、
リスクが大き過ぎる。そう思いのり子を引き止めた。

病院内は全てでは無いが一通り見回り一応の安全は確認している(襲撃を受けたらこの限りでは無いが)。
現時点では、明るくなるまで診察室に留まるのが上策だとレナモンは判断した。

(何でこんな事になったんやろ)

診察用のベッドの上に寝転び白い無機質な天井を見詰めながら、のり子は物思いに耽る。
友達との騒がしくも平和な日々、しかし気付けば見知らぬ土地に連れて来られ殺し合いをさせられている。
見せしめで殺された赤ん坊と、その家族の悲痛な叫びは今ものり子の耳に残って離れない。
そしてそれら一連の悲劇は、まだ小学生の子供に過ぎないのり子の心に大きなショックを与えていた。

(死にたくないなぁ……お父んやお母んに、会いたいなぁ)

普段世話を焼いているだらしがない両親、しかし大好きな両親。
生きて帰れるのか、再び、両親に会えるのか。

溢れそうになった涙を、のり子はぐっと堪えた。



【深夜/F-2病院】
【西川のり子@漫画/浦安鉄筋家族】
[状態]健康
[装備]???
[所持品]基本支給品一式、???
[思考・行動]基本:殺し合いはしたくない。死にたくない。
        1:レナモンと行動する。小鉄達を捜したい。
        2:明るくなるのを待つ。
[備考]※少なくとも金子翼登場から彼と親しくなった後からの参戦です。

【レナモン@ゲーム/デジタルモンスターシリーズ】
[状態]健康
[装備]???
[所持品]基本支給品一式、???
[思考・行動]基本:殺し合いをする気は無い。
        1:のり子と行動。
        2:明るくなるのを待つ。
[備考]※性別は♀、アニメのレナモンとは別人、性格もオリジナルの設定です。但し口調等は参考にしています。


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最終更新:2014年06月16日 23:24