必要悪

24話 必要悪

森の中の開けた場所、そこで虐待おじさんこと葛城蓮と、
白髪の猫耳少女シルヴィアは情報交換を行っていた。

「つまり私は一度死んでいるんだ。別の殺し合いでな」
「すると、殺し合いをするのも二回目なのか」
「ああ」

自分が以前にも殺し合いに巻き込まれ、そこで一度死んだ筈である事を蓮に話すシルヴィア。
殺し合いに乗っていた事も包み隠さず話した。

「うーん……」

にわかには信じ難い話である。
しかしシルヴィアが嘘を吐いているようには蓮には見えない。
そもそも、修学旅行のバスから経路不明の拉致をされ、先程は見た事も無い喋る大きな獣と遭遇したりと、
既に常識の範囲には収まらない事象が多々発生しているのだから、
今更シルヴィアの話の内容のみを疑うのもおかしいであろう。
シルヴィアもまた、本物の猫耳と尻尾を持った、人間外の姿をしているのだ。

「信じられない? いや無理も無いよな」
「いや、信じるよ。もう色んな事が起きちまってるしな。お前の話だけ疑うのも変だ」
「そうか……だけど、さっき言ったように前の殺し合いには私は乗っていた。
そんな奴を本当に信じて、くれるのか?」

殺し合いに乗っていた経験の有る自分の事を蓮は本当に信じてくれるのか。
シルヴィアの問いに蓮は答える。

「殺し合いに乗っていたとしても、今のお前はもうその気は無いんだろ?
乗っているんだったら、さっきお前を助けた時、逃げるか俺を襲うかしていた筈だ。
もう一度言う。信じるよ」
「……ありがとう」
「俺はこの殺し合いを潰す。その為にクラスメイトや、俺達と同じようにゲームに乗ってない奴らを集めて、
運営の連中に反抗する。協力してくれシルヴィア」

自分の考えを示しシルヴィアに協力を仰ぐ蓮。
それは彼がシルヴィアを信用している事を示していた。

「ああ。良いよ。その考えに乗る。私もサーシャを捜したいしね」

そして蓮からの申し出をシルヴィアは快諾した。

「宜しくな。シルヴィア……さて、と、これからまずどうするか」
「夜だし視界が悪いからな……月明かりが有るとは言え……森の中だから尚更……」

「あ、あのー」

「「!」」

突然聞こえた男の声に、蓮とシルヴィアは身構える。

「誰だ!」
「待ってくれ! オレは殺し合いには乗っていない、今からそっちに行く!」

蓮とシルヴィアが注視する中、声の主が茂みから出てくる。
それは縞模様を持った巨躯の白狼だった。
今度は喋る狼かと蓮は思う。

「お前、名前は?」
「オレ、ガルルモン……」
「いつからそこに居たんだ? 私と蓮の話をずっと聞いてたのか?」
「あ、ああ。オレ、ここの開けた場所で休んでたんだ。そしたら、声が聞こえてきたから隠れて、
それでアンタらがやって来て……」
「つまり俺達の話ずっと聞いてたのか?」
「ああ! 聞いてた。な、なあ! 殺し合いに乗ってないんだろ?
頼むよ! オレも仲間に入れてくれ!」

懇願するガルルモン。
逞しい外見に似合わず小心者の彼は、殺し合いに反抗しようとする蓮とシルヴィアの話を聞き、
彼らの仲間になれば自分の生存率が上がると考えた。
尤も、正直にそうは言えないので話を聞いて共感したように装ったが、
彼の頼り無さそうな雰囲気は否が応も無しに蓮とシルヴィアは感じ取っていた。

「どうする? 蓮」
「……」
「オナシャス! 何でもしますから!」

頭を下げて必死に頼み込むガルルモン。

「ん? 今何でもするって言ったよね? じゃあ、お前の支給品ちょっと見してみろよ」
「え? あ、うん」

ガルルモンは蓮に言われるがまま、自分の支給品を見せた。
それは.45口径の自動拳銃、デトニクス スコアマスターであった。
予備の弾倉も三個付属して支給されたようだ。

「良い武器持ってんじゃねぇか。よし、お前、これ、俺らにくれよ」
「え?」

突然の要求にガルルモンは思わず抗議の色を滲ませた返事をする。
それを聞いた蓮は語気を強めて威圧し始めた。

「何でもするって言ったよなぁ? 何でもするって言ったのに早速しないっておかしいだろそれよぉ!」
「い、言ったけど……」
「どうせアンタの四足じゃ銃なんて使えないでしょ。大人しく寄越しなよ」

蓮に便乗してシルヴィアもガルルモンに攻勢を掛けた。

「うう……」

二人の勢いに押されるまま、ガルルモンはスコアマスターと弾倉三個を蓮に渡した。

「シルヴィア、お前これ使うか?」
「良いの? じゃあ……」
「よし分かった……おい、ガルルモンだったな?
仲間にしてやるけど、俺やシルヴィアの言う事ちゃんと聞けよ? さっき自分で何でもするって言ったんだしな」
「む、無茶な事はさせないでくれよ?」
「おう、考えといてやるよ(させないとは言っていない)」
「……」

早くもガルルモンはこの二人に接触した事を後悔し始めていた。
一方の蓮とシルヴィアは良い具合の使い走りが出来たと喜んだ。



【深夜/E-1森】
【シルヴィア@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]デトニクス スコアマスター(7/7)@現実
[所持品]基本支給品一式、スコアマスターの弾倉(3)、自転車のチェーン@オリキャラ/自由奔放俺オリロワリピーター
[思考・行動]基本:蓮(虐待おじさん)と協力して殺し合いを潰す。殺し合いに乗っていない者を集める。
        1:蓮(虐待おじさん)、ガルルモンと行動。
        2:サーシャを捜したい。他のクラスメイトは遭遇次第対応を考える。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
    ※葛城連(虐待おじさん)のクラスメイトの情報を当人から得ました。

【虐待おじさん@真夏の夜の淫夢シリーズ/動画「迫真中学校、修学旅行へ行く」】
[状態]健康
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、手榴弾(2)@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル
[思考・行動]基本:クラスメイト(特にひで、KBTITこと拓也)や殺し合いに乗っていない参加者を集め、殺し合いを潰す。
        1:シルヴィア、ガルルモンと行動。
        2:襲い掛かってくる者には相応の対処をする。
[備考]※動画本編、バスの中で眠らされた直後からの参戦です。
    ※元動画準拠なので、本名は「葛城蓮」、平野源五郎とは面識が無い設定です。
    ※シルヴィアのクラスメイトの情報を当人から得ました。
    ※シルヴィアが一度死んだ事、殺し合いが二回目である事、以前の殺し合いに乗っていた事を知りました。

【ガルルモン@ゲーム/デジタルモンスターシリーズ】
[状態]健康
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]基本:死にたくない。生き残りたい。
        1:生存率を上げる為に二人(虐待おじさん、シルヴィア)についていく。
        2:でも早速心折れそう。
[備考]※アニメのガルルモンとは別人です。性別は♂、性格は小心者です。


《支給品紹介》
【デトニクス スコアマスター@現実】
アメリカのデトニクス社が製造販売していた自動拳銃。M1911クローンの一つ。
競技用拳銃として設計されている。.45ACP弾使用モデル。
余談だが映画「コマンドー」にてベネットが使っていた拳銃はこれ。


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最終更新:2014年08月24日 10:37