25話 涙を勇気に変えてみせましょう
殺し合いが始まって早くも二時間程が経とうとしていた。
まだまだ夜の闇は会場を厚く覆っている。
ゲーム会場北部の森の中を歩く、五歳児野原しんのすけと女子高生北沢樹里。
「早くとーちゃんとかーちゃん、シロに会いたいゾ。
樹里おねえさんも、お友達に会いたい?」
「え? うーん……」
しんのすけと樹里は森の中で出会った後、歩いている間にお互いの知人の情報を交換していた。
樹里はクラスメイトの事は特徴程度を話し、関係性など余り具体的な事は言っていない。
故にしんのすけはクラスメイト=樹里の友達と考え会いたいかどうか尋ねた。
倉沢ほのか、愛餓夫は言うまでも無く会いたくない存在だが、
他のクラスメイトについては会いたいとも会いたくないとも言える、微妙な所である。
そこまで親しい者が居ないのだ。
「そうね、二人ぐらい会いたくないのが居るけど、他はまあ、会いたいかな」
「どうして会いたくないの? 仲が悪いの?」
「まあ、ちょっと……ね」
会いたくない理由の詳細を話す気にはなれずはぐらかす樹里。
「オラのとーちゃんとかーちゃんもよくケンカするけど、すぐに仲直りするゾ。
オラとひまもよくケンカしたけどやっぱりすぐに仲直りして……」
そこまで話した所で、しんのすけが言葉を切った。
彼の脳裏に、妹・ひまわりの最期の表情と叫びが蘇る。
「……しんのすけ?」
突然黙ったしんのすけを心配する樹里。
「樹里おねえさん」
「何?」
「オラ、ひまを殺した、じゅんぺいとまひろって言うおにいさん達を絶対に許さない……。
だから、おにいさん達の言う事なんて聞かないゾ。
殺し合いなんてしない、とーちゃん、かーちゃん、シロを探して、この殺し合いをメチャクチャにするんだゾ」
拳を固く握り締め、しんのすけは樹里に自分の決意を語った。
震えた声だったが、力強さが籠っていた。
五歳児らしからぬその態度と発言に、樹里は感心を禁じ得ない。
「強いね……しんのすけは」
「オラ頑張るゾ! おねえさんもオラと一緒に頑張って欲しいゾ」
「良いよ、協力するよ」
樹里はしんのすけの考えに賛同し、殺し合いに反抗する意思を明確にした。
以前の殺し合いで自分が犯した罪に対する償いと言う気持ちも込められている。
「よし行くゾ~! 出発おしんこ~!」
「あ、ちょ、待って待って!」
掛け声と共に走り出したしんのすけ。
それを慌てて樹里は追い掛けた。
(ひま、お兄ちゃん頑張るゾ。天国から、見守っててね……)
【黎明/E-1、D-1境界線付近の森】
【野原しんのすけ@アニメ/クレヨンしんちゃん】
[状態]健康、目が少し腫れている
[装備]懐中電灯(基本支給品)
[所持品]基本支給品一式(懐中電灯装備中)、S&Wスコフィールド・リボルバー(6/6)@オリキャラ/エクストリーム俺オリロワ2ndリピーター、
.45スコフィールド弾(12)
[思考・行動]基本:殺し合いなんてしない。父ちゃん、母ちゃん、シロを探す。
1:樹里おねえさんと行動する。
[備考]※北沢樹里のクラスメイトの大まかな特徴を聞きました。但し樹里とクラスメイトの詳しい関係性は聞かされていません。
【北沢樹里@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]出刃包丁@現実
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]基本:殺し合いには乗らない。
1:愛餓夫は会いたく無い。会ったら相応の制裁を加える。倉沢さんは……。
2:しんのすけと行動する。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※倉沢ほのかに対し謝罪したい気持ちが有るようです。
※野原一家の詳しい特徴をしんのすけから聞きました。
※以前の殺し合いの事はしんのすけには話していません。
最終更新:2014年08月11日 01:10