SIDE:Z

シャカイナの塔の前
黒いローブに身を包み、彼は塔の最上階に目を向ける。
そこにはかつて、地縛民が信仰するシャカイナがいたという。
その姿が消えてからもずっと、地縛民はシャカイナを神として崇め再臨を待っていた。
ディック「そして生まれた力が《ディスコネクト》。さらに因果が集まり俺の《イマジナリーフレンド》に到達した。」
その力は地縛民の悲願だっただろう。神の再臨をなす力なのだから。
しかしディックは浮かない顔をしている。それは彼が思う行き先が、地縛民の求めるそれとは異なるところだからだろう。
ディック「父さんと母さんは俺の力にいた早く気づいた。その上で俺をかくまい逃した…それはつまり…」
シャカイナの再臨は、この世界にとって善ではないのではないか。地縛民はもはやシャカイナの再臨という呪いに、その身体の芯に至るまで満たされている。
誰になんと言おうとその流れは変わらない。変えられないから止めようとした。
そしてディックの父と母は殺されたのだろう。シャカイナ狂信派の手によって。
ディック「一族の中にもさまざまな思想があるのはいいことだが、うまく付き合うのは難しいもんだぜ」
踵を返してディックは地縛民の集落へと戻っていった。

◯集落の中、集会所
ディオール「だから、シャカイナ様は金色の光を求めてこの地に来られたんだ!ディックを火あぶりにすれば光差す道が出来るから!」
ディーゼル「あのなーディックを殺してしまったらシャカイナ様の通信者がいなくなるだろ?シャカイナ様は私たちとは違う言葉を使われるのだから!」
ディンプル「とにかくシャカイナ様が持つことわりの珠を一房分けてもらえればわたし達の未来は安泰なんだ!」
ディディアン「…ねえ、ディックきてるよ」
皆の視線がディックに注がれる。
ディック(地縛民の思想はほんと閉鎖的で進歩しない。だからおれはたまにこうして皆に事実を伝えてるんだが…)
ディック「…というわけで七つの魂に分裂したシャカイナの代行者を見つけてやれば、それはシャカイナの再臨と同じというわけで、狂信派の求める道とは少し異なるのね。そして…」

がたん!
突然ディックの講話を断ち切って少女が立ち上がった。
ディック「ん?どうした?ディディアン?」

虚ろな目で彼女は語り出した。
ディディアン「災厄が訪れる…狂った牙が七つの魂を境界に導き…金色の光が差す先に…因子が集いてシャカイナが復活する…」
そして、事切れたかのようにその場に倒れてしまった。
駆け寄ってきたディックは小さなつぶやきを聞き逃さなかった。

「アカシックレコードにアクセスせよ。太極のことわりがそこにある」

しばらくしてディディアンは目を覚ますも、先のことは何一つ覚えていなかった。

ディック「この世界には何かある。今はまだ知らないことだけど、おれの、地縛民の未来を導く鍵なのかもしれない」


こんな、オカルトじみたこと、誰に相談したものか…あ、そういえばにろくたちは最近怪異探偵をなのっていたなあ。彼らなら何か知ってるかもしれない。

そうしてディックも怪異のはびこる世界に足を踏み入れることになった。ディックに待ち受ける真実とは…一体…

SIDE:Z(地縛民の未来)


To be countinued …

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最終更新:2019年07月13日 15:10