新神祖との決戦!!戦いの結末は!

オリジン・ルーツ「ありえん…おまえはあの時確かにやられたはず」
シュウ「あれはあなたをだます芝居だったのですよ」
オリジン・ルーツ「芝居…だと?」
シュウ「そもそも私たちがあなたたちが現れる場所を正確に予測し、襲撃できたのはなぜでしょうか。それを考えればわかること」
オリジン・ルーツ「まさかライアードの奴…最初からお前に情報を流していたのか」
シュウ「そういうことです。彼もあなたがこれだけの力を得る事態になるのを危惧していたのでしょう。だが私たちはあなたの襲撃に失敗した」
予想だにしなかったアングルフ(AIS)の進化により一転窮地に陥ったシュウとライアードは最後の手段を使ったのだ。
シュウ「彼の力で私を亜空間に飛ばした。それは賭けでした。結果私は死者の世界とでもいうべき世界に飛ばされてしまいましたがね」
オリジン・ルーツ「だがそこからどうやって…この場に」
シュウ「異なる世界に飛ばされる中、私はその幕間に再びアレを垣間見ました」
オリジン・ルーツ「アレだと…まさか」
シュウ「今のあなたならわかりますね。私は再びアレに触れたことで完全に力の使い方を覚えました」
オリジン・ルーツ「再び…そうか一度目の接触は時間移動の際か。そして此度アレに接触し力の使い方を知ったと」
シュウ「理解が早くて助かります。私はそれからは仲間を集め、あなたが次元門を開くのを待ちました。そしてその時は訪れた。私の仲間があなたと戦うため次元門を超え現れた。だがその仲間もあなたに倒されてしまいましたがね」
オリジン・ルーツ「そしてお前が自ら現れたというわけか。巨匠気取りもいいとこだな」
シュウ「言い訳をするつもりはありませんがこちらにも事情はあったのです。本来ならば彼らがやられる前にこちらにくるはずでした」
よく見るとシュウの服は各所に傷や汚れがついている。
オリジン・ルーツ「何だろうが構わん。お前が次元門から現れた謎が解けた今、我がお前に臆することもない。

グググ!!

アダミーヴが垂れていた頭を上げる。
シュウ「私の力で抑えきれませんか」
オリジン・ルーツ「いくらアレに触れ力の使い方を知ったとしてもそれができるかどうかは別の話だ」
シュウ「悔しいがそのようです。あなたの『慈愛の嫉魚』の覚醒段階は私の力より上のようですね」
オリジン・ルーツ「そういうことだ。仲間を失った今、己の力の無力さを呪い再び死の世界へ戻るがいい」
シュウ「ふっ」
不敵に笑うシュウ
シュウ「あちら側での仲間は倒されてしまいましたが、それはこちら側では別の話です」

ザッ!

シュウの後ろに並ぶ十也たち。
シュウ「彼らが私を仲間と認めてくれるならば、こちら側にも仲間はいるのですよ」
ツバメ「こんな形であなたと再会するとはね」
ウルズ「生きていたんだな…とは言い難いのかもしれないが」
シュウ「えぇ。そうですねウルズ。今の私は霊体に近い存在と言えるかもしれません」
結利「じゃあ幽霊ってことなの?」
シュウ「そこが少し難しいところなのですが…詳しい話は彼を倒してからですね」
オリジン・ルーツ「我を倒せる気でいるなど…力の差を理解していないようだな」
ナル「あいつの言うとおりだ。さっきの攻撃がまた来たら防げるかどうか…」
メルト「でしたらやられる前にやる作戦でどうでしょう」
にろく「あれだけの巨体…普通の攻撃じゃ大したダメージも与えられるとは思えないぞ」
巨大な地縛神を吸収し形成されたアダミーヴ。その巨体は人間の攻撃で大したダメージが与えられるとは到底思えない。少し考えるシュウ。そして彼が出した結論は…
シュウ「いえ…ここはメルトさんの作戦でいきましょう」
ナル「正気ですか!?」
アポロン「そなたがいうということは」
ツバメ「なにか考えがあるのね」
シュウ「えぇ。と言っても賭けのようなものですが。私たちの力を合わせて新神祖を名乗る彼を倒すにはこれしかないでしょう」
十也「どうすればいいシュウ?」
十也たちはシュウの作戦に乗る気だ。今までも彼の作戦に助けられてきた彼らはシュウの作戦を信じる。新神祖を倒すためには他に手がないのだから。
シュウ「策というほどのものではありませんが…みなさんの持てる限りの全力で攻撃を仕掛けてください。協力し合えるものはその力をさらに高めて」
ツバメ「ただ攻撃するだけ…」
シュウ「そうです。私の仮説ですがオウリギンが造り出したこの空間は死者すらも実体化する。死者がその姿を保てるのは想像力…想いの力によるものではないかと思われます。すなわちこの次元の間と呼称されているこの空間では我々の想いも力となるはず。彼を倒すという強い意志をもって力を振るえば彼を倒せるはず(私たちの持つ太極の因子の力が作用すれば…あるいは)」
ナル「他に手がない以上やる他ない」
アポロン「そなたの策に乗らせてもらう」
各々に構える一同。
シュウ「一縷の望みにかけるほかありません。科学者としてはありえない選択ですがね」
オリジン・ルーツ「なにをやろうと無駄だ」
十也「無駄かどうかはやってみるまでわからない!」
ウルズ「どうにも俺たちはあきらめが悪いんでね」
ゲイン「結果がすべてを証明する。だがその結果を作り出すのはその足を進めたものだけだ」
ティスシス「そういうことですの。こうしてお兄様たちと足をそろえて歩むことができる今を、そして…」
黒の魔導書により新たな命を得たティスシス。レーヴェンズとしてその使命に縛られていた彼女は新たな命を得て、その使命から解放された。偽りの記憶で構成された彼女はゲインたちと関わることで個としての存在を得た。一人の個として存在意義を得た彼女は歩むことを決めたのだ。その先へと。
ティスシス「未来を手放す気はありませんの」
結利(未来…私は未来からこの時代にやってきた…まさかそれがこんなことになるとは思っていなかったけれど)
オリジネイターと共にこの時代に降り立った結利。彼女は未来を救うため戦う道を選んだ。
結利(たくさんの仲間に出会って多くの敵と戦ってきた。ここで敗けたら未来は手放されてしまう。もう未来に戻れなくても私は!そんなことは…)

グッ!

拳に力を籠めフリント・ブレードを握る結利。
結利「こんな形で終わりを迎えるつもりはない!」
スライ「お前にやられたカリナン公国の建て直しもまだまだこれからだ。きっちりとそのツケは払ってもらうぜ!なぁトニー!」
トニー「はい。あなたを倒しカリナン公国へ戻るまで僕たちは敗けれません!」
昴(まさか成り行きでこんなことになるとは正直信じられないね)
ネオに捕われ、精神を破壊された昴。彼女はアサルトシャドーのフリアーデスによりその精神が回復した。
昴(並行世界の私自身…フリアーデス。彼女から託された想い)
フリアーデスの言葉を思い出す昴。

フリアーデス「生きなさい昴。私の…分まで…」

戦いの世界にその身を置いていたフリアーデスは昴に戦いとは無縁の世界に生きてほしかった。
昴(フリアーデス…あなたの望む生き方はできないけれど…)
昴「私は生きる!こんなところで死ぬ気なんてさらさらないよ!」
ディック「地縛神、サフォー…地縛民たちを利用したおまえを俺は許さない!」
リョウガ「こいつのせいで地縛民たちは世界を混乱に陥れることになった。そのケジメはつけてもらう!」
にろく「ネオを超える悪がいたとはな…EGOを掌握してここまでのことをやるとは驚きだ。元秘密諜報部としてそのケツをふかせてもらうか」
きゅっぱ「あたしも元秘密諜報部として付き合うよにろく。こんなやつを野放しにはできないからね」
ボルク「火の国もお前のせいでだいぶ被害を受けた。その分は返させてもらうぜ!」
アポロン「自分本位な身勝手な行いで世界を混乱させた罪。その罪は大きい。その身で償ってもらう!」
キノ「そうだね。彼の行いは到底許せるものではない」
自身の水の国レモンドのことを思い出すキノ。滅びてしまった祖国。
キノ(EGO…いやオウリギンによって多くの国は窮地に陥った。だけど滅びなかったことだけが救い。でも…その行いを許すことはできない!)
両手に握る銃を持つ力が強くなるキノ。
キノ「僕たちがお前を倒す!」
ナル「お前のエゴのために世界は混沌に満ちた。個人のエゴで世界を振りまわしたお前を僕たちは必ず倒す!」
メルト「そうです!メルディア=シールに危害を加えたことを後悔してください!」
ツバメ「オウリギン。あなたの野望はかなえられることはないわ。私たちがいる限り!」
シュウ「彼らの…いや私たちの意思は固い。あなたを倒す。たとえあなたがどれほど強力な力を持っていようとも私たちは屈しはしません。ではメルトさん」
シュウから振られるメルト
メルト「はい!ではでは!私の考えた!やられる前にやる作戦!開始です!」
オリジン・ルーツ「愚かな…そなたらの願いは儚く散る」

ギュォォン!!

新神祖アダミーヴの翼が輝き、直後!

ドドドド!!

翼から放たれる無数の粒子弾。
メルト「あわわ!作戦変更です!やられながらもやる作戦!」
アダミーヴの放つ粒子弾の中を駆けるスライたち。
スライトニー!」
トニー「はい!『ライトニング・ボルト』!」

ドゴォン!

二人の体に落ちる雷。雷を纏った二人は素早い動きで粒子弾を避けていく。
スライ「俺たちの拳技!」
トニー「受けてみろ!」

ダッ!

地面を蹴りアダミーヴへととびかかる二人。

バッ!

スライトニー「果倉部流!」
右手に力を籠める二人。
スライトニー「『雷双正拳突き』!!」

ドゴォン!!

二人の拳がアダミーヴの腹部に撃ち込まれる。

バキバキ!!

撃ち込まれた地点を中心にアダミーヴの装甲がひび割れる。
スライ「あとは」
トニー「頼みます!」
正拳に全ての力を込めた二人はそのまま地面へと落ちていく。二人に放たれる粒子弾。

バン!

キノ「『オート・プロテクト』!」
二人の前に現れたキノの『オート・プロテクト』により防がれる粒子弾。
キノ「自分の能力(ちから)を信じれば!」
ボルク「炎神全開放!『オーバードライブ』!!」

ボシュゥ!!

炎がボルクの体を包み込む。

タッ!


昴「たのむよ!」
結利「よろしく!」
結利と昴がボルクの元へ走ってくる。
ボルク「おぅ!」

ダッ!

ボルクの右手と左手にのる結利と昴。
ボルク「おりゃぁぁ!!」

ボッ!

両腕で2人を投げ飛ばすボルク。二人はアダミーヴに向け飛んでいく。
結利「フリント・スラッシャー!」
昴「くらいなチャクラム!」
各々の武器を放つ二人。

ズン!

スライたちが攻撃を放った腹部に突き刺さる二人の武器。

キン!

結利の放ったフリント・スラッシャーの刃が外れる。

ボン!

その地点で爆発が起きる。次々と刃が外れながら爆発するフリント・スラッシャー。

ボン!ボン!ボン!

空中に放り出された結利と昴は態勢を崩しながら落ちていく。二人に放たれた粒子弾。それを避けるすべはない。

ジジジジ!!

だが粒子弾は二人の眼前で壁に阻まれるように止まる。
ティスシス「私の斥力フィールドで守りますの」
昴「助かったよ」
結利「ありがとう」

ゴゴゴ!!

炎に包まれ力を溜めるボルク
ボルク「さっきみたあいつの炎…」
龍静の青い炎。その炎の強力さはボルクの脳裏に深く刻まれていた。
ボルク「俺の炎も…あいつのように。俺が思っている限界は限界じゃない!自分の限界を超える!」

ボォォ!!

ボルクを覆う炎が大きくなる。
ボルク「違う!集中しろ!」

ゴゴゴゴ…

大きくなった炎がボルクを中心に集まっていく。集まった炎は、小さいがその密度は先ほどまでと比べ物にならない。凝縮した炎は青く揺らめく。
ボルク「きた!これだ!」

シュゥゥ…

青い炎を纏うボルクボルクの体表を薄く纏う程度の炎。だがその炎は先ほどまでとは比べ物にもならないほどの力を秘めている。力を周囲に拡散していた先ほどまでの炎とは違う。圧縮された青い炎はボルクの力を確実に引き出す。
ボルク「いくぜ!炎神集焼(えんじんしゅうやく)!『フルアグリッション』!!」

ボッ!

地面を蹴り飛ぶボルク。その姿は炎が燃えさかるがごとく素早く一瞬の間に移動する。


ボゥ!!

アダミーヴの左翼の前に立つボルク
ボルク「うぉぉぉ!!」
拳を振るうボルク

ドドドド!!

その拳は燃えさかる炎のごとく激しくアダミーヴの左翼に撃ち込まれる。
ボルク「こいつで!」

両手の平を開き、手の内側の付け根を合わせるボルク。その構えは、かの有名な〇〇〇〇波のポーズを思わせる。
ボルク「『炎神爆波(えんじんばくは)』!」

ジュッ!

ボルクの手がアダミーヴの左翼に一瞬触れたと思った瞬間。

ボゴォォォ!!

青い炎がアダミーヴの左翼を包む。
ボルク「これが限界を超えた俺の力だ!」

バッ!

力を使い果たし落ちていくボルクとすれ違いざまにアダミーヴに向かっていくディックリョウガ
ディックリョウガ!」
リョウガ「おう!」

ズッ!

アダミーヴの左翼の下部に剣を突き立てるリョウガ
リョウガ「はっ!」

シュン!

もう一本の剣を左翼の上部に投げ刺すリョウガ
リョウガ「準備はできた!」
ディック「『風糸(フォンシェン)』!」

ビッ!

風の糸がアダミーヴに放たれたリョウガの剣の柄に付けられる。
ディック「はぁ!」

ブン!

ディックの手の動きに合わせてリョウガの双剣が上下からアダミーヴの左翼を切り裂いていく。

ガガガ!!

翼を切っていくリョウガの剣。

ガッ!

上下の剣が衝突し、はじけ飛ぶ。
ディックリョウガ!」
リョウガ「おうよ!」

バッ!

はじけ飛んだ双剣を手にするリョウガリョウガディックが背中合わせになる。
ディックリョウガ「果倉部流象形拳『蜘蛛の囁き』!!」

ダッ!
互いの足を蹴り合い、アダミーヴの左翼へと飛ぶ二人。ディックの双拳とリョウガの双剣が蜘蛛の足を思わせる動きで左翼を攻撃していく。蜘蛛の四足による攻撃が左翼を破壊していく。

ビキビキビキ!!

巨大な亀裂が入るアダミーヴの左翼。
ディック「全力を出しきった…」
リョウガ「これ以上は力の出しようがないな」
地面に落ちていく二人。

ドシュン!

アダミーヴから放たれる粒子弾が二人を襲う。
ディック「嘘だろ!このタイミングで!?」
リョウガ「もう力は残ってないぞ…」

ヴォン!!

突如二人の視界が遮られる。
ディック「これって…」
二人の視界は遮られたのではない。この空間に閉じ込められたのだ。外界からの干渉をすべて防ぐ空間。使いようによっては最強の防御能力となりえる彼女の展開した空間に。
ツバメ「秘密の箱庭『シークレット・ベース』。危ないところだったわねディックリョウガ
リョウガ「さすがだなツバメ」
ディック「たすかったぜ~」
ツバメ「あとはみんなを信じましょう」

きゅっぱ「いくよ『トリガーオン!』」
にろくとウルズに向けてトリガーを押すきゅっぱ
きゅっぱ「人は肉体の限界を無意識にセーブしている。あたしのトリガーでその限界をセーブするリミッターを外した」
にろく「体が軽い」
ウルズ「俺は体のほとんどが機械だからな。あまり実感がわかないが…」
きゅっぱ「いいからいきな!あたしにできるのはこれくらいだ。頼んだよ!」
ウルズ「あぁ」
にろく「ウルズ。御雷を!」
ウルズ「いいねぇ。あれをやる気か!『御雷(ミカヅチ)』!」

バギョォォン!!

地面に向かい御雷を放つウルズ。
にろく「『プラグオン』」
地面に対し放たれている御雷のエネルギーをプラグオンで吸収するにろく。
ウルズ「よ~し。いくか!」
にろく「あぁ」

バッ!

アダミーヴの右翼へと飛ぶ二人。

ドドドド!!

粒子弾が二人を襲う。
ウルズ「『御雷』!」
にろく「『プラグオン・御雷』!」

バギョォォン!

高周波を展開し粒子弾を防ぐ二人。
ウルズ「にろく!」
にろく「わかっている」

バッ!

プラグオンから出ている高周波をウルズの発生させている高周波に収束させていくにろく。

ジジジジ!!

収束する高周波は円錐形の槍状になる。にろくの手のプラグの先に展開される高周波の槍。
にろく「くらえ!」

ズッ!!

アダミーヴの右翼に高周波の槍を突き刺すにろく。
にろく「プラグオンミカヅチ『御雷槍(ミカヅチノヤリ)』!」

ガッ!

プラグオンを解除し高周波の槍を放すにろく。その瞬間。

バギョォォン!!

制御を失った高周波が暴走するように爆発する。アダミーヴの右翼が焼けただれたように見るも無残な姿になる。
ウルズ「どうだ」
にろく「これで…」

ガッ!

二人の体を掴む腕。それは駆動鎧の腕。ゲインが射出した腕部ユニットに回収される二人。
ゲイン「お前たちはおれが回収する。あとは後続に任せろ」
ナル「メルト!」
メルト「はい!」

ガッ!

宝剣を重ねる二人。
ナル「水のマナ」
メルト「火のマナ」
ナル・メルト「相反する2つのマナよ!」
二人の宝剣に逆巻く炎と水。
ナル・メルト「混成魔導!『前后火焰水(チェンホウ・ヒュアエンシュイ)』!!」
逆巻く炎と水がアダミーヴの右翼を包んでいく。炎と水の異なる属性による攻撃が翼を焼き、水流により切り刻む。
オリジン・ルーツ「なぜ…これほどの力をそなたらは…理解できん」
シュウ「アダミーヴの翼、胴体その体躯はほぼ破壊しました。これで…」
オリジン・ルーツ「我は神抗者。この程度で滅びるなどありはしない…いやあってはならん!」

ビキビキビキ!!

修復していくアダミーヴの体躯。
ツバメ「これだけやってもダメなの…」
ティスシス「こちらの力の想像を超えてますの」
シュウ「十也!この状況を打破できるのはあなたしかいない」
十也「えっ?どういうことだ?」
シュウ「あなたなら奴を倒せるはず。奴が完全に修復する前に。急いでください!」
今までに見たことがないシュウの焦った表情。それは今の事態がどれほど危機的な状況かを知らせるには十分なものだった。
十也「みんなの攻撃が効かなかったのに俺に奴を倒せるのか…」
シュウ「疑問を抱いている時間はありませんよ十也!」
十也「そんなことを言ったって…」
オリジン・ルーツ「シュウよ。そなたは天十也になんらかの期待をしていたようだが当人がこれではな」

ビキビキ!!

アダミーヴの修復が進んでいく。
アポロン「十也。シュウが言うのだ。そなたならば奴を倒せると。自身の力を信じろ」
十也「アポロン…。お前までそういうなら」
ウルズ「ったく!十也!」
十也に駆け寄るウルズ。
ウルズ「おまえの力は俺たちみんなが信じている!俺たちにできなくともお前ならやってくれる!お前はそういうやつなんだよ!」
十也「ウルズ…」
ウルズ「それでも自分の力が信じられないんだっていうなら!昇華機構解除!!」

バシュン!

ウルズ「建御雷(タケミカヅチ)!」
右腕を十也に突き立てるウルズ。
十也「うぉ!力が…」
体中から力が溢れる十也。
ウルズ「俺たちの力を受け取れ!」
アポロン「言葉で通じぬなら身をもって示すか。それならば!」
タクトを振るうアポロン。それに呼応するようにボルクの炎、ナルの魔導により発生した水が十也の体を守るように展開される。
十也「これは…」
アポロン「そなたはひとりではない。我らがついている」
十也「そうだ…」
みんなが紡いでくれた道。この機を逃せばアダミーヴを倒す機会は失われる。
十也「俺は…いく!」

バシュン!

ブレオナクを構える十也。
十也「みんなが紡いだ道。それを俺は進む!AS(アクセラレート・シフト)!」

ギュォォン!!

十也の鎧が赤く輝く。だがその輝きはいつも以上に強くなる。
シュウ「これは…!?」
それに呼応するようにシュウアポロンスライトニーの体も輝きを放つ。
スライ「なんだ?」
トニー「なんですか?」
アポロン「何が起きている…?」
4人の体の光の輝きが十也に収束していく。

コォォォ!!

一際(ひときわ)光を放つ十也。
シュウ(やはり彼は…。ジャーデ・フォーティア…その技術力は恐れ入ります。だが彼の存在は戦乱を生む。もしやそれすらも予期してジャーデは彼を造ったのでしょうか…だとすれば彼が進む先にあるものは…)
十也の体を覆う光がブレオナクに集中していく。
十也「うぉぉぉ!!」
ブレオナクを構えアダミーヴへと突撃する十也。
オリジン・ルーツ「無駄なあがきだ」
十也「無駄なんかじゃない!みんなが紡いだこの瞬間(とき)を!俺は紡いだ道を!」
両手でブレオナクを掲げる十也。
十也「繋いで見せる!」

ヴン!

ブレオナクを覆う光が一段と強くなる。それはブレオナクを覆い巨大な粒子の刃となる。ヴァーダンドの必殺の一撃を思わせるほどの巨大な粒子の刃を展開するブレオナク。
オリジン・ルーツ「な、なんだと!?」
十也「みんなの力が俺に力を与えてくれた。これは俺一人の力じゃない!」
オリジン・ルーツ「ありえん…因子の力も持たずこれだけの力を発揮するなど…」
十也「オリジン・ルーツ!お前を!倒す!」

ブン!

巨大な粒子の刃を持つブレオナクを振るう十也。

ズン!

アダミーヴに縦に振るわれる一撃。
十也「まだだ!」

ブン!

さらにブレオナクを振るう十也。十字にアダミーヴに斬撃が入る。
十也「これが俺たちの…力だ!」
オリジン・ルーツ「お…ろかな」

ボゴォン!!

爆発するアダミーヴ。
十也「はぁ…やっ…た」

ガクッ!

その場に膝をつく十也。
シュウ「やりましね十也」
アポロン「やったな十也」
十也に駆け寄ってくる一同。
十也「あぁ…これで…終わったんだな」

「ま…だだ!」

ゴゴゴゴ!

爆炎の中から姿を現すアダミーヴ。
十也「う…うそだ…ろ」
直視できない現実が目の前に現れる。あれだけの攻撃を受けてもまだアダミーヴは破壊されないのか。
オリジン・ルーツ「まだ…我は」
ウルズ「あいつは不死身なのかよ!」
シュウ「これでも倒せないとなると…残念ながら他に手はありませんね」
ツバメ「そんな…」
シュウ「ですが」

ビキビキ!!

アダミーヴの腹部に大きなひびが入る。
シュウ「その心配は必要なさそうですよ」

バキン!

アダミーヴの体から誰かが落ちてくる。
エミス「…」
それは吸収されていたエミスだ。
ゲイン「エミスか!」

ドッ!

落ちてくるエミスを受け止めるティスシス。
ティスシス「エミスの救出に成功しましたの。これで…」
エミス「うっ…」
目を覚ますエミス
エミス「みなさん…」
結利「よかった!無事で!」
ウルズ「心配かけやがって!」
エミス「すいません。助かりました」

オリジン・ルーツ「バカな…」

ボロボロ…

エミスが体から離れたことで制御ができなくなり朽ちていくアダミーヴ。
オリジン・ルーツ「そんな…我が力…我は絶対の存在…」

ザッ!

アダミーヴの前に立つエミス
エミスオウリギン…」
オウリギンエミス…私の造った存在であるお前が…私に歯向かうというのか?」
エミス「決まって…いる!僕は…!」

ジャキン!

背中に背負った剣を構えるエミス
エミス「エミス・アレジェーネだ!おまえの人形ではない!はぁぁ!!」

キュィィン!

DE(ディス・エクス)ブレイカーに粒子が纏われていく。
エミス「僕に纏わりつく因縁ごとお前を砕く!」

ブン!

DEブレイカーを勢いよく投げるエミス

ズン!

アダミーヴに突き刺さるDEブレイカー。

バッ!

右手の平を開きアダミーヴに向けるエミス

キュィン!キュィン!キュィン!

DEブレイカーから無数の光が放出される。
オウリギン「ばかな…私の計画は完ぺきだったはず…虚構の記憶をもとに完璧に構成した計画…。すべてに狂いはなかった…なぜだ…なにを間違った。オリジンでも到達できなかった領域に私は到達した。地縛神と『慈愛の嫉魚』も掌握し次元門をも開いた…そうだ…ふふふ…新神祖である私が負けるなどありえない!」
エミス「お前の計画は最初から失敗していたんだ」
オウリギン「そんなはずは…ない!」
エミス「だったら言ってみろ!今お前を倒す僕は!誰が造った!」
オウリギン「はっ…そんな」
我に返るオウリギン。自身にとどめを刺す存在。それを造ったのは紛れもなく…
オウリギン「それは私だぁぁぁぁ………」

カッ!

DEブレイカーが激しい光と共に爆発する。爆発と共に崩壊するアダミーヴ。アダミーヴと一体化していたオウリギン。彼もアダミーヴと共にその命を散らすのであった。
エミス「因鎖(いんさ)の楔(くさび)はこれで…終わりです」

to be continued

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最終更新:2020年05月03日 09:23