終戦の末!それぞれの未来!

ビキビキ!

オウリギンが消滅したことにより次元の間にヒビが入り消滅していく。
十也「やったなエミス

ポン!

エミスの肩をたたく十也。

ボロ…

エミスの肩が朽ちていく。
十也「えっ!?」
ツバメ「エミス!あなた体が…」
エミス「もう限界みたいですね…。アダミーヴの体を維持するのに僕の力はほとんど使われてしまっていました…今の一撃で全ての力を使い果たしたみたいです」
結利「そんなことって…」
昴「せっかく助かったのに…こんなこと」
エミス「みなさん悲しまないでください。僕はみなさんと出会えて幸せでした。記憶を持たず自分が何者かもわからない僕を皆さんは迎え入れてくれた。そしてこうして仲間として最後まで戦えた」
ウルズ「エミス…」
エミス「最後に僕から一つだけお願いがあります」
ツバメ「なに…かしら?」
エミス「僕の分までみなさんは生きてください。それだけが僕の願いです」

ボロボロ…

崩れていくエミスの体。
十也「あぁ!誓う!これから先どんなことがあろうと俺たちは必ず生き続ける!」
エミス「ありがとう…ございます…」
二コリと笑顔を浮かべるエミス。笑顔を浮かべながらもそのうるんだ瞳からは雫が垂れ落ちる。
エミス「さよう…なら」

サァァ…

風にのり、塵になったエミスの体はいずこかへと流されていく。
十也「エミス…お前のことは絶対に忘れない…」
ツバメ「彼の分も私たちは生き続けるわ…必ずね」
それぞれにエミスの死を受けとめる十也たち。彼らはエミスのことを忘れることはないだろう。運命に翻弄されながらも果敢に立ち向かった一人の少年。その命の輝きを。

コン!

キノ「いた!」
上空から落ちてきた何かがキノにぶつかる。キノは自身にぶつかったそれを拾い上げる。
キノ「ブローチ?」
輝く宝石がうめこまれたようなそれはどこから落ちてきたのだろうか。
キノ「とりあえずは持っておこうか」

スッ!

服の中にブローチをしまうキノ。
シュウ「おや?」

シュゥゥ…

シュウの体が光になっていく。
アポロン「そなたの体!」
ディック「どうなってんだ!?」
シュウ「私もお別れのようですね」
十也「シュウ!お前も死んじゃうのかよ!」
シュウ「私は死ぬわけではありません。必ずあなたたちにまた会えると約束しましょう」
結利「その言葉…信じていいんだね?」
シュウ「えぇ。私は嘘をつきませんから」
にやりと笑うシュウ
結利「どうだかね」
シュウ「ではみなさん。再び会う時までしばし別れを」
光となり消えるシュウ
結利「シュウ…」

バキン!

次元の間が完全に崩壊する。シャカイナの搭の前に姿を現す十也たち。

カレン「無事だったか!」
ディサイブ「そなたらが無事現れたということはやったのだな」
十也「あぁ…」
浮かない様子の十也たち。オウリギンを倒しはしたが、そのための犠牲も出た。それは素直に喜べるものではない。
カレン「石鬼と化していた地縛民たちは解放され無事だ。ほかの石鬼たちはすべて消滅した」
ツバメ「そうですか。こちらは地縛神を倒し、オウリギンも倒せました」
カレン「オウリギンだと?なにがあった!」
ツバメ「詳しい話はあちらで…」

こうして地縛民とEGOを利用し世界を混乱に陥れたオウリギンとの戦いは幕を閉じた。世界各地に爪痕を残した戦い。その爪痕はすさまじく各地の修復は多大な時間を要した。

~数ヵ月後・レムリア大陸EGO本部・集会場~
AISにより破壊されたEGO本部は新たに造りなおされ新造された。巨大な集会場でスーツに身を包むEGO隊員たち。
EGO隊員「ではこれより就任式を開始します」

タッタッ!

壇上へと歩いていく女性。壇上に立つ女性はマイクを手に取る。
カレン「え~。EGO本部新長官に任命されたカレン・ネティスだ。EGOが世界に与えた損害は大きい。その贖罪ではないが我々は今まで以上に規律を重んじ、この世界に生きる人々を守るためその力を振るわねばならない。それを肝に銘じろ!以上だ!」

パチパチパチ!!

~EGO本部長官室~
カレン「ふぅ~」

ドサッ!

椅子に腰を下ろすカレン。
カレン「本当に私が長官でいいのか?」
グリンツ「えぇ。私のような老兵がいつまでも上にいては組織は変わらないからね」
カレン「オウリギンとミゲルの件を考えてのことか」
グリンツ「それが一番だね。あの一件を引き起こしたときに更迭されていたとはいえ長官であった私が引き続き…というわけにはいかないね。君は安心して本部長官としての任を全うしてくれ。私が副長官として全力でサポートさせてもらうよ」
カレン「よろしく頼む。それであれはどうなった?」
グリンツ「シャカイナの搭の前に落ちていた円輪。あれはグリフ大陸支部…今は元ですか。あそこに建設した施設で厳重に保管していますよ」
カレン「ツバメの話ではあの次元門と呼ばれるものは異なる次元をつなぐ門。今はその力が閉じているようだがいつどうなるかわからない以上、常に監視しておかねばなるまい」
グリンツ「えぇ。あれにそんな力があるならばとても危険な物です。その存在も秘匿し、カレン長官が言う通り監視しておくのがいいでしょうね」
カレン「本来ならば破壊したいところだが…」
どんな理屈かはわからないがあらゆる能力や手段を用いても次元門は破壊することができなかった。
カレン「あれは危険だ。なにもおこならなければいいのだがな…。まぁ今はそれよりも!」

ドン!

机に置かれた書類に目を通すカレン。
カレン「せっかく本部長官になったのだ!体制の改変等々やることは山積みだ!ふはは!腕が鳴るな!」
グリンツ「あまり強行的なやり方はしないほうがいいと思いますよ。それではミゲルやオウリギンと似たやり方として嫌遠されかねません」
カレン「むっ…ならば仕方ないな。徐々にやることにしよう」
グリンツ(本当にこの人を長官にしてよかったのだろうか…)
一縷の不安を抱えるグリンツ。
カレン「さ~て!仕事に取り掛かるか!」

~モゴラ大陸・EGOタウガス支部~
龍静「本日も異常はないな」
タウガス支部の新長官として就任した龍静。
EGO隊員「長官。お客さまです」
龍静「通してくれ」

ナル「やぁ」
ボルク「おぅ」

龍静「わざわざ足を運ばせてすまないね」
ナル「そんなことはないですよ」
ボルク「こうして協力しあえることになるなんてな」
EGOと魔導都市メルディア=シール、火の国アルバンダムは協定を結び互いに侵攻せず、協力し合う条約を結んだのだ。その親善大使として任命されたのがナルとボルクだ。
龍静「本当ならモゴラ大陸全ての国が協力し合えればよいのだが…」
ナル「火の国を挟み大陸の東側は特殊な国が多いからね。なかなか難しいところもあるんだろうけど」
ボルク「国風ってのがあるもんな。うちの国が協定を結んだのは意外だったけどな」
ナル「今までもいろいろあったけど今回の件で考えるところがあったのかもね。それはうちの国もだけど」
龍静「その一因をEGOが成していたのも事実だ。すまない。代表して謝らせてもらう」
ナル「龍静さんがあやまることはありませんよ」
ボルク「そうだ!お前は悪くない!」
龍静「そう言ってもらえるとこちらも助かるよ」

シュン!

誰かが部屋の中に転移してくる。
龍静「だれだ!」
それは…
メルト「高鳴(ガオミン)様~!」
転移してきたメルトがナルに駆け寄る。
ナル「急に転移してくるなんてどうしたんだいメルト?」
メルト「大変なんです!魔導図書館が…」
ナル「なにかあったの?」
メルト「私が魔導を失敗して図書館の本棚に並べられていた本を散乱させてしまって!すぐに元に戻せって!」
その光景が目に浮かぶナルたち。
ナル「ふぅ。仕方がないね僕を連れて転移魔導を」
メルト「はい!」

シュン!

姿を消すナルとメルト
ボルク「あいつも大変だな」
龍静「苦労してるだろうね」

~聖ラウズレイ王国~
ラインハルト「聖王。我が国はモゴラ大陸の同盟には参加しないと」
ディサイブ「あぁ。EGOとその他の国とは我がラウズレイ王国は組まぬ」
アーガン「我が国の歴史あってこそ。その判断は支持します」
ディサイブ「うむ。我らは聖国が成してきた歴史を守る義務がある。必要があれば彼らと力を合わせることもあろうが(今回の戦いのようにな)。表立っての同盟は組みはしない」
ラウズレイ王国の成してきた歴史を守るのもディサイブの役目。軽々しくその歴史を否定する発言はできない。
ディサイブ(形式の話だ。結局は我らは助けられ、助け合っている。それにライアード…奴の件もある。気は抜けんな)

~グリフ大陸・デルポイの丘~
アポロン「…」

剣を携え立つアポロン
キノ「なにか聞こえたの?」
アポロン「今の我に神託は聞こえぬ。我に聞こえるのは風のささらぐ音だけだ」
キノ「そう。彼はずいぶん頑張っているようだね」
アポロンディックか」
アポロンたちの後ろで一人で鍛錬に励むディック。時折リョウガに手伝ってもらい修練を重ねているようだ。
アポロンディックはその進む道を見据えた。そのための修練であろう」
キノ「じゃあアポロンは?」
アポロン「スピノザを追う。我はその真意を確かめねばならん」
キノ「その先にあるものが不都合な真実であっても?」
アポロン「構いはしない」
キノ「それでこそアポロンだね。僕も力になるよ」

~グリフ大陸・カリナン公国~
スライ「よし!」
EGOにより被害を受けた国の建て直しは大部分が完了した。
トニー「この調子なら思った以上に早くいけそうですね」

ザッ!

スライたちの前に現れる二人の人物。
ルージュ「ちょっと!物理的には直ったけれど経済はまだまだ大打撃よ!」
スライ「経済?なんだそれ?」
ロン「やれやれ。ダイヤモンドの名を持つ君がそれでは思いやられるね」
トニー「勉強の時間ですね。スライ!行きますよ!」
トニーに引きずられながら連れられて行くスライ
ロン「本当に大丈夫か?」
ルージュ「まっ。彼らを信じましょう。曲がりなりにもダイヤモンドの名を持つのだから」

~グリフ大陸・EGO研究施設(元EGOグリフ大陸支部)~
崩壊したグリフ大陸支部の跡地に建設された研究施設。厳重な警備を持つそこのなかにあるのは…
ボルドー「ふむ。いくら見ても仕組みがわからんの」
次元門を観察するボルドー
リヴァーレ「外は相変わらず以上はありませんね」
ボルドー「しかしグリフ支部を再建するまでここの警備をしろとは…」
モニカ「あまり愚痴を垂れるものではありませんよ」
リヴァーレ「モニカ長官!」
モニカ「レイジヴァイスも外の警備に回ってくれています」
R部隊がなくなった今、レイジヴァイスはグリフ大陸支部に仮所属となっているのだ。
モニカ「さぁ今日も張り切って仕事をしましょう。支部が再建されるまではこれがわたしたちの仕事よ」

~ミストラルシティ・喫茶かざぐるま~
トポポ!

コーヒーを注ぐにろく。
にろく「やはりこの生活が一番だな」

バン!

勢いよく開かれる扉。その扉を開いたのは…
ツバメ「にろく!仕事よ!」
にろく「なんだ急に」
ツバメ「このままじゃ私の会社が…」
今までにない表情で焦るツバメ。
にろく「なにがあったんだ?」
ツバメ「ヒルデの奴!この忘れたときにあの約束を持ち出してきたのよ!」
EGOとの戦いの際、ヒルデ・カミナから交わされた約束。協力する代わりに多額の資金を要求されていたツバメ。
ツバメ「あの女狐!あの時のやり取りを全て録音していたのよ。まさか本当に請求してくるなんて…」
にろく「払ってやればいいだろう」
コーヒーを飲みながらツバメに返答するにろく。
ツバメ「この額を見てもそういえるかしら?」

バッ!

カミナ工業からの請求書をにろくへ見せつけるツバメ。
にろく「ぶっ!?」
コーヒーを噴き出すにろく。その額はにろくの想像をはるかに超える金額だった。
ツバメ「このままじゃ私の会社は…でもちょうどいい稼げる仕事があるの。にろく。協力してもらうわよ!」
にろく「やれやれ仕方がないな」
身支度を整えるにろく。
にろく「これも仕事か。報酬はしっかりもらうぞ」

~EGOミストラルシティ支部~
EGO隊員「それでは新長官からのあいさつを!」
長官席に着く女性。
リオル「この度EGOに復帰し、ミストラルシティ支部長官となったリオル・ロンです。長官という任は始めてですが、あなたたちが働きやすい環境となるよう努めるつもりです。よろしくお願いします」
十也「まさかリオルさんが長官になるなんてな」
結利「驚きだよね。カレンさんが本部長官になったのはもっと驚いたけどね」
マードック「これからは僕も技術長じゃなくミストラルシティ支部副長官だ。よろしく頼むよ十也、結利」
十也「あぁ!」
結利「よろしくねドク!」

~EGOミストラルシティ支部・技術研究部~
リオル「どうかしら新しい家は?」
昴「本当にいいの?」
きゅっぱ「職権乱用じゃないのかい?」
ウルズ「俺たちとしては寝床を用意してもらえるならありがたいが…」
リオル「ちゃんと本部の承認も得ていますからね。問題はないでしょう」
きゅっぱ(本部ってカレンが長官なんだろ…。なら承認が通るのは当たり前…やっぱり職権乱用じゃないか)
リオル「あら?なにかいいたいことでもあるのかしらきゅっぱ
きゅっぱの考えを見透かしたように彼女に話しかけるリオル。
きゅっぱ「い、いやなにもないよ」
リオル「それはよかった。では…」
部屋を後にするリオル。
きゅっぱ「末恐ろしいね…」

~EGOミストラルシティ支部・長官室~
リオル「彼はどうしてるかしら…」
椅子に座り通信機器を手に取るリオル。だれかに連絡を取るリオル。
リオル「もしもし?そちらはどうかしら?」
ゲイン「快適に過ごさせてもらっている。恩に着る」
リオル「EGOに復帰した以上その研究所は私にとっては使い道がない場所ですから。あなたに有意義に使っていただいたほうがいいでしょう」
リオルクラフト研究所をゲインに明け渡したリオル。
ゲイン「この世界で身寄りがない俺にはこの上ない条件だ」
ゲインに並行世界の技術提供を条件にリオルは研究所を貸したのだ。

ドドドド!!

通信の向こうで聞こえる騒音。
リオル「あら?なにやら騒がしいわね?」
ゲイン「…仕方がない。こいつがな」
部屋の中をはしゃぎまわるティスシス。だがそれはゲインにとってはいつものこと。
リオル「ずいぶんと天真爛漫なパートナーがいるようね」
ゲイン「…慣れたさ」

ティスシス「ゲイン!あっちの部屋にこんなものがありましたの!」

ゲインに駆け寄ってくるティスシス。
ゲイン「なんだそれは!そんなものをもって走ってくる…」

ドッ!

衝撃音と共に切れる通信。
リオル「彼も苦労してるのね…」

~ミストラルシティ・路地裏~
「へっへっへっ」

ザッ!

取り囲まれる気の弱そうな少年。
少年「た、助けて!」
「助けを呼んだって誰も来やしねぇよ!おい!やっちまえ!」
「へい!」
少年へと襲い掛かる男たち。

バッ!

男たちの体をかすめ剣が飛んでくる。
「ぐっ!」
「なんだ!?」
結利「EGOよ!その子を開放しなさい!」
「EGOだと!」
「くそっ!」
一目散に逃げていく男たち。
少年「あ、ありがとうございます」
結利「けがはないみたいね」

ピピ!

マードックからの通信が結利に入る。
マードック『犯行グループはこのまま路地を進んだ先だ。裏路地を抜けて大通りに抜けられたらもう見つけられないぞ!』
結利「大丈夫。そっちは任せてあるから!」

「はっ!はっ!」
裏路地を進んでいく男たち。
「くそっ!EGOに見つかるなんてついてないぜ」
「だがこの路地を抜ければ大通りだ!そこまでいけば逃げ切れる!」

ヒュン!!

上空から何かが降ってくる。

ドゴン!

男たちの目の前の地面に突き刺さる槍の刃。
「なんだ!?」

ダッ!

直後男たちの前に現れたのは。
十也「EGOだ!おとなしくしろ!」
「ちっ!」

バッ!

地面に手をつく男。

ドッ!

十也の目の前の地面から生えてくる針。
十也「針!?」
「へっ!伝説のチンピラO(オー)さんほどじゃないけど俺は地面から針をはやすことができる!くらいやがれ!」

バシュン!

ガキン!

瞬時に鎧を纏う十也。その鎧に阻まれる男の針。
「げっ!鎧を纏う槍使い…まさかおまえ!」
十也「?」
「Oさんを倒したっていう…天十也か!」
十也「あたりだ!」

ザシュン!!

十也に倒される男たち。
十也「ふぅ…まだまだ世界は平和にならないな。でも…」
エミスのことを思い出す十也。
十也「エミス…お前との約束は守る。必ず俺たちは生き抜いて見せる!」

能力者がはびこる世界。それはとても安寧とは程遠い世界なのかもしれない。
だがそんな中でも己の理念を貫き生き抜いていく者たちがいる。
これはそんな彼らの物語。たとえ世界が危機に陥ろうと彼らはその歩みを止めない。
数多の危機に立ち向かう彼らの持つ勇気という武器はその能力よりも強大な武器となる。
その武器を手に彼らはこれからも道を進んでいくのだろう。まだ見ぬ険しい道をも。


リベリオン・ザ・ワールド編
Fin





ASR
to be continued

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最終更新:2020年05月03日 22:38