「おお~」
イカ娘が護送車から飛び降りた。
「なかなかいい場所ではなイカ!
マリワナを思い出すでゲソ」
「マリワナ海溝に何があったんだ?
でも確かにいいところだな。小学校のとき林間学校で来たっけ」
栄子が腕をのばして、大きく息を吸い込んだ。
どこまで手を伸ばしてもかまわないぐらいに、空は遠く、草原は広い。
「そう、かわいかったなあ。あのときランタンに飛んできたガのみんな……」
早苗がそのときを思い出すように身をよじった。
「そういやお前、ゲテモノ好きだったな。
イモムシ、ジグモ、イカ娘」
「一緒にするめイカ!」
「そういや、悟郎とシンディーの姿が見えないな」
「話を聞かなイカ」
「もうマキを取りに行ってくれたわよ。
わたしたちも準備をしなきゃね。
イカ娘ちゃんお待ちかねの……、
バーベキューよ! るんるん」
(千鶴がるんるん言ってるでゲソ……)
イカ娘が護送車から飛び降りた。
「なかなかいい場所ではなイカ!
マリワナを思い出すでゲソ」
「マリワナ海溝に何があったんだ?
でも確かにいいところだな。小学校のとき林間学校で来たっけ」
栄子が腕をのばして、大きく息を吸い込んだ。
どこまで手を伸ばしてもかまわないぐらいに、空は遠く、草原は広い。
「そう、かわいかったなあ。あのときランタンに飛んできたガのみんな……」
早苗がそのときを思い出すように身をよじった。
「そういやお前、ゲテモノ好きだったな。
イモムシ、ジグモ、イカ娘」
「一緒にするめイカ!」
「そういや、悟郎とシンディーの姿が見えないな」
「話を聞かなイカ」
「もうマキを取りに行ってくれたわよ。
わたしたちも準備をしなきゃね。
イカ娘ちゃんお待ちかねの……、
バーベキューよ! るんるん」
(千鶴がるんるん言ってるでゲソ……)
「よっ……。
すまん、これ、受け取ってくれ」
「はい」
悟郎が茂みからよこしてきた枝を、シンディーが受け取った。
「ついでに手を貸すわよ」
「すまん」
シンディーが悟郎の手を取って、ぐっと力を込めて引っ張った。
茂みに埋まるようになっていた悟郎の体が自由になる。
「けっこう力あるんだな。鍛えてありそうだ」
「まあね。歩くのは好きだし、調査担当として世界の奥地を這いまわったりしているのよ」
「見た目は細いのにな」
「そ、そうかしら……」
シンディーに降りた意味ありげな沈黙に、悟郎は気づいていなかった。
「ねえ」
やがてシンディーが口を開いた。
「悟郎は宇宙人が怖いの?」
「怖いな。顔も見たくない」
「でもイカ星人は平気じゃない」
「イカは……あいつも本来なら苦手なんだろうがな。
だがあいつの海を愛する気持ちは本物だから。
俺も海が好きだ。あいつはイカである前に、もう仲間だ」
すまん、これ、受け取ってくれ」
「はい」
悟郎が茂みからよこしてきた枝を、シンディーが受け取った。
「ついでに手を貸すわよ」
「すまん」
シンディーが悟郎の手を取って、ぐっと力を込めて引っ張った。
茂みに埋まるようになっていた悟郎の体が自由になる。
「けっこう力あるんだな。鍛えてありそうだ」
「まあね。歩くのは好きだし、調査担当として世界の奥地を這いまわったりしているのよ」
「見た目は細いのにな」
「そ、そうかしら……」
シンディーに降りた意味ありげな沈黙に、悟郎は気づいていなかった。
「ねえ」
やがてシンディーが口を開いた。
「悟郎は宇宙人が怖いの?」
「怖いな。顔も見たくない」
「でもイカ星人は平気じゃない」
「イカは……あいつも本来なら苦手なんだろうがな。
だがあいつの海を愛する気持ちは本物だから。
俺も海が好きだ。あいつはイカである前に、もう仲間だ」
「それなら」
シンディーが言った。
「宇宙人だってそうじゃない。
わたしは信じてる。遠い宇宙を超えてきてくれた宇宙人は、きっと友達だって」
「シンディー!」
悟郎はシンディーに抱きついた。
しかし、それは抱擁ではなく……
「な、なんかいる。
後ろの茂みになんかいる」
「ええ!?
なに? 宇宙人?」
二人の後ろの茂みがガサガサと音を立てた。
出てきたのは、イカ娘ほどの身長の少女である。
「宇宙人ではない……だワン」
シンディーが言った。
「宇宙人だってそうじゃない。
わたしは信じてる。遠い宇宙を超えてきてくれた宇宙人は、きっと友達だって」
「シンディー!」
悟郎はシンディーに抱きついた。
しかし、それは抱擁ではなく……
「な、なんかいる。
後ろの茂みになんかいる」
「ええ!?
なに? 宇宙人?」
二人の後ろの茂みがガサガサと音を立てた。
出てきたのは、イカ娘ほどの身長の少女である。
「宇宙人ではない……だワン」
つづく