真っ赤な夕日が地平線へ低速で落ちていく。
さながら、一つの世界が終わるかのような光景だ。
さながら、一つの世界が終わるかのような光景だ。
そして時刻は午後五時ジャスト。
普通の学生ならば、部活という非日常を終える時間である。
普通の学生ならば、部活という非日常を終える時間である。
それにしても、今日は色々――――いや、一生分は気苦労したな・・・。
病み上がりなのに。
そうだよ。俺は昨日まで高熱を出して学校を休んでいたのに・・・。
まさか復帰一日目からこの騒動とは・・・。
病み上がりなのに。
そうだよ。俺は昨日まで高熱を出して学校を休んでいたのに・・・。
まさか復帰一日目からこの騒動とは・・・。
あっ・・・、何だか気分が・・・。―――などと都合良く具合が悪化するはずも無いか。
「キョンくん、長門さん。お待たせしました。」
俺と長門は、部室に忘れ物をした朝比奈さんを待って、校門の前で暫く佇んでいた。
そういえば、三人で帰ることなど今まで無かったな。
朝比奈さんと長門が一緒にいる風景も・・・。
俺と長門は、部室に忘れ物をした朝比奈さんを待って、校門の前で暫く佇んでいた。
そういえば、三人で帰ることなど今まで無かったな。
朝比奈さんと長門が一緒にいる風景も・・・。
何だか・・・、レアな状況に立ち会っているな。
「ああ、大丈夫だよ朝比奈さん。じゃあ帰ろうか。」
「そうですね。」
いつもより帰宅時間が遅いせいもあって、俺達は少々足早に通学路を歩く。
「カラスが鳴いていますね・・・。」
夕日が俺達を照らして大きな影を作る。
一番背の低い長門が一番大きな影を持っているのは、まるで心の身長を表しているかのようだ。
「あっ、ちょうど信号が赤になっちゃいましたね。」
「そうですね。まあ、帰るときだからいいんじゃないんですか?」
差し掛かった交差点が丁度赤になった為、俺達は他愛も無い会話で時間を潰す。
それにしても、長門は本に関する話ならば良く喋るんだな。
―――しかも恋愛小説やらミステリーまで読むとは・・・。
「そうですね。」
いつもより帰宅時間が遅いせいもあって、俺達は少々足早に通学路を歩く。
「カラスが鳴いていますね・・・。」
夕日が俺達を照らして大きな影を作る。
一番背の低い長門が一番大きな影を持っているのは、まるで心の身長を表しているかのようだ。
「あっ、ちょうど信号が赤になっちゃいましたね。」
「そうですね。まあ、帰るときだからいいんじゃないんですか?」
差し掛かった交差点が丁度赤になった為、俺達は他愛も無い会話で時間を潰す。
それにしても、長門は本に関する話ならば良く喋るんだな。
―――しかも恋愛小説やらミステリーまで読むとは・・・。
「あっ、青です。渡りましょう。」
「相変わらずココの信号は長いな。」
話し始めてから数分後。やっと信号が青になる。
すると、夕日がまた俺達の真正面に来たのか、目の前にまた影が出来る。
「そういえば・・・。」
俺はその影を見て、不意に長門が疑問視してた事を思い出す。
閉鎖空間へ行く直前、俺を中心に出来た黒い何か。
それが閉鎖空間への入り口だったのは確かだが・・・。
「そうだ長門。俺を中心に閉鎖空間が出来た理由は・・・、分かったのか?」
「分からない。」
「そうか・・・・。お前が分からないのならば、仕方ないな。」
「相変わらずココの信号は長いな。」
話し始めてから数分後。やっと信号が青になる。
すると、夕日がまた俺達の真正面に来たのか、目の前にまた影が出来る。
「そういえば・・・。」
俺はその影を見て、不意に長門が疑問視してた事を思い出す。
閉鎖空間へ行く直前、俺を中心に出来た黒い何か。
それが閉鎖空間への入り口だったのは確かだが・・・。
「そうだ長門。俺を中心に閉鎖空間が出来た理由は・・・、分かったのか?」
「分からない。」
「そうか・・・・。お前が分からないのならば、仕方ないな。」
やっぱり分からないままなのか・・・。
結局、何だかんだで何も理解できない事ばかりだったな。
結局、何だかんだで何も理解できない事ばかりだったな。
ハルヒのことも。元の世界に戻れた理由も。
俺を中心に閉鎖空間が出来た理由も。
俺を中心に閉鎖空間が出来た理由も。
何一つ・・・。
「あれ・・・?あれって・・・。」
「えっ?」
俺は朝比奈さんの言葉を聞いて、思わず彼女の視線の先を追う。
追った先にあったのは、いつもだったら見向きもしない萎(しな)びた公園。
ついでに言うと、近くには公立の小学校もある。
「えっ?」
俺は朝比奈さんの言葉を聞いて、思わず彼女の視線の先を追う。
追った先にあったのは、いつもだったら見向きもしない萎(しな)びた公園。
ついでに言うと、近くには公立の小学校もある。
そして、そこに居るのは・・・。
「涼宮・・・?で、一緒にいるのは・・・、小学生?」
「パーソナルコードを照合・・・・、100%の確率で涼宮ハルヒと断定。」
本当に何をやってんだハルヒの奴。
しかも小学生と一緒に。
「パーソナルコードを照合・・・・、100%の確率で涼宮ハルヒと断定。」
本当に何をやってんだハルヒの奴。
しかも小学生と一緒に。
「何をしているんですかね~。」
「さあ・・・ね。近くに行ってみますか?」
「さあ・・・ね。近くに行ってみますか?」
そして俺が朝比奈さんと長門に向かってそう言った途端、
「ちょっと!諦めるの?」
―――ハルヒと一緒にいる小学生は、少し大きめの声で喋り始めた。
「お姉ちゃん。やっぱり仮面ライダーなんてこの世にはいないよ。
学校の皆はいないって言うし、ママやパパもいないって言うんだ。」
「だから諦めんの?だってアンタの夢は、仮面ライダーになって世界の平和と正義を守るんでしょ?」
学校の皆はいないって言うし、ママやパパもいないって言うんだ。」
「だから諦めんの?だってアンタの夢は、仮面ライダーになって世界の平和と正義を守るんでしょ?」
おいおい、仮面ライダーってハルヒよ。お前は一体幾つだ?
「でも・・・、僕は喧嘩弱いし・・・。この前もお姉ちゃんに助けてもらったばかりだし・・・。」
「もしかしてアンタ・・・、この前のイジメっ子が言っていた事を気にしているの?」
「う、うん・・・。」
「もしかしてアンタ・・・、この前のイジメっ子が言っていた事を気にしているの?」
「う、うん・・・。」
小学生はハルヒの言葉に申し訳なさそうな顔でうなずく。
本当にコイツは何の話を・・・。
本当にコイツは何の話を・・・。
「あ~んなのは無視よ無視!!
この前みたいにイジメっ子に言われたって、孤立したって信じ続けるのよ!
だって・・・、それが貴方の夢なんだから!!」
この前みたいにイジメっ子に言われたって、孤立したって信じ続けるのよ!
だって・・・、それが貴方の夢なんだから!!」
(ハルヒ・・・、お前もしかしてこの子と自分を・・・。)
俺はハルヒの言葉を聞いた刹那、コイツがやけに正義の味方にこだわった理由の確信を得る。
(そうか、そうだったのか・・・。ハルヒ、お前は・・・。)
しかし、俺はそこまでの確信を得ているのにも関わらず、現在の思考を打ち切る。
そう。所詮これも、俺が勝手に彼女の行動の裏を『決めつけ』ているに過ぎない。
そう。所詮これも、俺が勝手に彼女の行動の裏を『決めつけ』ているに過ぎない。
例え本心がどうであろうと、今日のハルヒは正義の味方になって怪人と闘いたかった。
いつも通り彼女が求めてやまない、『非日常を探求した結果』なのだ。
いつも通り彼女が求めてやまない、『非日常を探求した結果』なのだ。
うん。それだけなんだ。
「じゃあ、帰りますか。」
俺は振り返って朝比奈さんと長門にそう言う。
「そうですね。」
「・・・・。」
「・・・・。」
必死で小学生を説得しているハルヒを後目に、俺達は今度こそ各々の帰路へ足を向ける。
夕日は俺達の背中を照らして、またそれぞれの影を作る。
今度は俺の影が一番大きい。
このことは別に意味など無いが、一番大きいと少し嬉しくなるのは、気のせいでない筈だ。
夕日は俺達の背中を照らして、またそれぞれの影を作る。
今度は俺の影が一番大きい。
このことは別に意味など無いが、一番大きいと少し嬉しくなるのは、気のせいでない筈だ。
「じゃあ、ここでお別れですね。また明日。朝比奈さんに長門。」
暫くして、俺達は分かれ道に差し掛かる。
この珍しい組み合わせでの道中も、これでおしまいだ。
「うん。」
「はい・・・、それでは・・・。
あっ!そうだ。私・・・、お二人に言っておきたかった事があったんですよ。」
「はあ・・・、なんですか?」
俺が別れの挨拶を言った後、朝比奈さんは突然思い出したかのように口を開く。
一体・・・、何なんだろうか?
「さっきキョンくんや長門さんが言っていた『キョンくん中心に閉鎖空間が出来た理由』。
私には分かりますよ。」
「えっ!本当ですか!」
「びっくり。」
長門よ。それがお前なりの驚き方なのか。
暫くして、俺達は分かれ道に差し掛かる。
この珍しい組み合わせでの道中も、これでおしまいだ。
「うん。」
「はい・・・、それでは・・・。
あっ!そうだ。私・・・、お二人に言っておきたかった事があったんですよ。」
「はあ・・・、なんですか?」
俺が別れの挨拶を言った後、朝比奈さんは突然思い出したかのように口を開く。
一体・・・、何なんだろうか?
「さっきキョンくんや長門さんが言っていた『キョンくん中心に閉鎖空間が出来た理由』。
私には分かりますよ。」
「えっ!本当ですか!」
「びっくり。」
長門よ。それがお前なりの驚き方なのか。
まあいいか。
ともかく今は・・・、
ともかく今は・・・、
「で、理由って何ですか?」
「ふふふ。それはですねえ~。・・・あっ。」
朝比奈さんは俺の質問に答えようとした瞬間、何かに気付いたような顔と、
僅かだが悲しそうな顔の両方を覗かせる。
そして、俺が瞬き一つし終わるくらいの間に、その表情は元に戻っていた。
「ふふふ。それはですねえ~。・・・あっ。」
朝比奈さんは俺の質問に答えようとした瞬間、何かに気付いたような顔と、
僅かだが悲しそうな顔の両方を覗かせる。
そして、俺が瞬き一つし終わるくらいの間に、その表情は元に戻っていた。
「・・・・。」
俺と長門は、そんな朝比奈さんを無言で見つめる。
何だか今の彼女の様子は、前に喋った未来の朝比奈さんを髣髴とさせた。
「いえ・・・。ごめんなさい。やっぱり禁則事項です。
では、お疲れ様でした。」
朝比奈さんはそう言って人差し指を口元へやると、一礼の後に帰ってしまった。
その場に取り残される俺と長門。
俺と長門は、そんな朝比奈さんを無言で見つめる。
何だか今の彼女の様子は、前に喋った未来の朝比奈さんを髣髴とさせた。
「いえ・・・。ごめんなさい。やっぱり禁則事項です。
では、お疲れ様でした。」
朝比奈さんはそう言って人差し指を口元へやると、一礼の後に帰ってしまった。
その場に取り残される俺と長門。
珍しく朝比奈さんに振り回された図でもあった。
「結局なんだったんだ?」
「知らない。」
確かに長門の言う通りだ。
だが、それでも一つだけ分かったことがあった。
「知らない。」
確かに長門の言う通りだ。
だが、それでも一つだけ分かったことがあった。
それは――――朝比奈さんは、どんな表情や仕草をしても可愛いという事だ。
――――――――――涼宮ハルヒの正義・6――――――――――