SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ内検索 / 「「修羅と鬼女の刻」人物紹介」で検索した結果
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「修羅と鬼女の刻」人物紹介
「修羅と鬼女の刻」人物紹介 ☆足利家(実力ある人気アイドルと、真面目堅物な経営者と、裏にも通じた強い用心棒) 足利尊氏……源氏の嫡流、名門の御曹司。温厚にして勇敢、でも優柔不断。三国志で 例えれば「将軍として凄く有能な劉表」。臣下から見ると歯痒くて堪らん人。 足利直義……尊氏の弟。健気な萌え弟キャラなのだが本作では影薄し。正成にも同様な 萌え弟がいるが、そっちは出演すらせず。作者の遠慮である。察されたし。 高師直……皇族・公家への敬意の無さが革命的で、いわゆる「バサラ」の起源みたいな 男。だからこそ尊氏にはできないことを担当して活躍した、足利家の執事。 ☆天皇家(ここまで長期間、実際に泥にまみれて戦った皇族って、多分この二人だけかと) 後醍醐天皇……倒幕を二度企て、二度目で捕まって島流しにされるも脱出して遂... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)
修羅と鬼女の刻 第壱話 第弐話 第参話 第四話 第伍話 第六話 第七話 第八話 第九話 第拾話 第拾壱話 人物紹介 第拾弐話 第拾参話 第拾四話 第拾伍話 第拾六話 第拾七話 関連年表 _ -
職人さん別 ふら~りさま
短編 最強伝説の戦士 黒沢 <完結!> 乙女のドリー夢 <完結!> 悪魔の歌 <完結!> BATTLE GIRL MEETS BATTLE BUSINESSMAN <完結!> 強くなるのは、なれるのは <完結!> 強くなるのは、なれるのは その2 <完結!> 美少女戦士の意外(?)な弱点 <完結!> 長編 修羅と鬼女の刻 <完結!> -
完結した長編集
やさぐれ獅子(サナダムシさま)<完結!> 金田一少年の事件簿 殺人鬼『R』(カマイタチさま)<完結!> どらえもん のび太の超機神大戦(サマサさま)<完結!> WHEN THE MAN COMES ARROUND (さい氏)<完結!> 修羅と鬼女の刻(ふら~りさま)<完結!> 項羽と劉邦(スターダストさま)<完結!> 涼宮ハルヒの正義、SOS団はいつもハルヒのちキョン(名無しさま)<完結!> 「人々は作者はしぇきさんであると噂しあった、そのSSや天晴れ、後書きの去り際も見事と」 Der Freischuts~狩人達の宴~(ハシさま)<完結!> 七クロ(クロさま)<完結!> ネクロファンタジア REVENGER and DEAD GIRL(ハシさま)<完結!> しけい荘戦記(サナダムシさま)<完結!> ... -
修羅と鬼女の刻(ふら~り)47-4
これから大和が使おうとしている最後の切り札、奥義『無空波』は、拳を相手に当てた後、 実際に相手の肉体が打撃を受けるまでに時間のずれがある。それはごく僅かなので 本来なら気にするほどではないのだが、今の勇の拳では……無理だ。無空波が先に 決まったとしても、次の瞬間には大和の頭を勇の拳が砕いているだろう。 が、大和は止まらない。勇を倒すには、もう無空波しかないのだ。ならばやるしかない。 正成や尊氏の思い、大和の怒り、そして何より大和の体を流れる修羅の血が、 大和自身の生存本能をも凌駕し突き動かして、 「くらえっっ!」 腰を落とした大和の拳が、勇の腹部に触れた。瞬間、その拳から力が完全に消失する。 そこへ一気に、超人的に高めた全身の力を叩き込むことで拳を振動させ、 相手の体内に破壊の波を起こす。それが無空波である。 勇の拳が迫る。その風圧が大和の髪を揺らす。一瞬後、大和の頭... -
修羅と鬼女の刻(ふら~り)47-3
陸奥圓明流の攻撃は、確かに人を越えた修羅のものである。百戦錬磨の正成を 圧倒したことからもそれは明らかだ。 だが陸奥圓明流の防御は、あくまでも人間を相手に戦うためのもの。人間に攻撃された 場合を想定し、それを防ぐためのものである。 本気になった勇、『半魔』の血の滾りは、もはやヒトの域ではない。 「ふふっ。この程度なのですか? もしや貴方は、まだ色を知らな……っと、失礼。 機会があれば、わたしが直々に教えて差し上げても良かったのですけど」 優しげな声で、勇が語りかけてくる。両腕を大きく広げた、本気の構えで。その両手の 先、十本の指から滴る血は、大和のもの。陸奥の血だ。 大和は息を切らせて、勇と対峙している。腕からも脚からも胸からも腹からも血を流し、 その血の出所は肉を指の形に抉り取られている。 「残念ながら、貴方はここで逝くことになりますから。あの世で護良親王様や、近々... -
修羅と鬼女の刻(ふら~り)47-2
激しく交錯する大和と正成の技と技。だが舞い散る血飛沫の中で大和の動きは 際限なく加速していき、やがて徐々に、徐々に、正成との差が開き始めた。 相変わらず正成は相打ちを厭わず攻めるのだが、正成が一撃入れる間に、 大和は二撃叩き込んでくる。いや三、いや四、いや五? 『!? 見えぬ……どころではない、まるで何十、いや何百という拳脚で同時に打たれて いるような……人間を相手にしている気がしない……修羅? そうか、これが……』 「オオオオオオオオォォォォッ!」 普段の、のんびりとした様子からは信じられぬ気迫で向かってくる大和に、正成は、 「なるほどな。しかと見たぞ、これが圓明流……これが陸奥よ、お前の真の姿か!」 血染めの体を無理やり引きずり起こすようにして、己の全てを乗せた渾身の正拳を 繰り出した。その人間離れした速さと鋭さが、かわそうとした大和の側頭部の肉を 抉り取る。 ... -
修羅と鬼女の刻(ふら~り)46-9
深夜。京の都・平安京に足利軍が到着した。師直の軍と尊氏・直義兄弟の軍との 二手に分かれて、怒涛のように進軍していく。 古来より、攻めるに易く守るに難いと言われているこの平安京だが、それにしても この突入劇は見事過ぎる。まるで何者かが内側から手引きをしているかのような。 街は大混乱に陥り、人々が悲鳴を上げて逃げ惑う中、尊氏は配下の全員に厳命して いた。市民には決して手出しせぬよう、目指す敵以外に被害をもたらさぬようにと。 そのおかげか、入り組んだ市街での大混戦にも関わらず火災すら出ていない。 「こんな場所では楠木得意の奇策も陥穽もやりようがありますまい。新田などは恐るる に足りませぬし、もはやこの平安京が我らの手に落ちるのも時間の問題ですな、兄上」 かつての足利軍駐屯地に再び設けられた本陣。いまいち浮かない顔で立つ尊氏の隣で、 直義は誇らしげだ。 確かに直義の言う通り、... -
修羅と鬼女の刻(ふら~り)46-7
師直は、かねて用意していた護良親王の動向調査書(尊氏を討つ為に兵を集めたり していた証拠)と、引きずってきた大和(親王が尊氏暗殺を企んだ件の証人)を揃えて 新政府に訴えた。武人気質の親王はもともと公家たちと仲が悪く、またそういう 気質だから言い訳などもせず尊氏暗殺命令を堂々と認めた為、親王の有罪が確定。 尊氏の弟、直義(ただよし)が治めている鎌倉へ流され幽閉されることになった。 だが、この件の実行犯である暗殺者は事件当夜から親王の前にすら姿を見せず、 何処かへと消えてしまったという。 「ま、あの小娘を逃がしたのは残念でしたが、首謀者をひっ捕らえることができたの ですから。とりあえず一件落着ですな、陸奥殿」 「……うん」 足利の屋敷。師直と大和が、いつも通り机に向かい合って事務仕事をしている。 「それはいいんだけどさ。最近、足利さん元気なくて」 「ほう」 「無理ない... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)46-3
長い長い戦いの末、赤坂城は落ちた。城は見事に焼け崩れ、楠木正成の焼死体も 確認され、一件落着と相成った。 わざわざ濃霧の日に城の中から勝手に火の手が上がった、のは別に不自然ではない。 そういえば戦いの最中、河内悪党の連中が時々幕府軍の死骸を回収してたのは 何の為なのだろうか、というのも考えないことにする。あと楠木正成の死骸、 確かに鎧は正成のものだが少し体格が違うような……も無視する。 心身ともにズタボロにされた幕府の遠征軍は、とりあえず城を落としたということで 帰途に着いた。時を同じくして護良親王軍も散り散りとなり、後醍醐天皇も捕らえて 隠岐に島流しにして、戦は一応決着。幕府はホッと胸を撫で下ろした。 だが今回の戦で、さんざん醜態を晒し威信を落としたのは事実。また、かつての元寇と 同じで戦に勝ったとはいえ敵の領土を奪ったというわけではない。なので出陣を命じた 各地の御家人たちに、褒美を与... -
修羅と鬼女の刻(ふら~り)47-1
決戦の地、湊川。戦が始まって早々、いや始まる前に、新田軍は足利軍の策にはまって クルリと回れ右。戦場からどんどん離れていってしまって。 結局、楠木軍だけで足利全軍を迎え撃つ形になった。城も砦も何もない平地で、十数万 対七百の正面衝突。もはやこんなもの、戦でもなんでもない。ぷちっと潰して終わりだ。 が、そうはならなかった。たった一人の豪傑が、万単位の敵軍を受け止め支え、 切り裂き突き抜け、押し返してさえいたのだ。 その様、古代中国で言うなら長坂橋の張飛か、長坂坡の趙雲か、官渡の戦いの関羽か。 今ここ、中世日本でそれをやっているのは伝説の武術の継承者。陸奥圓明流、陸奥大和。 「オオオオオオオオォォォォッッ!」 地平線の彼方まで埋め尽くすような大軍の中を、修羅が駆ける。騎馬隊を拳で殴り倒し、 歩兵隊を脚で薙ぎ払い、弓隊を石礫で撃ち崩す。一騎当千などという言葉では足りぬ、 獅... -
修羅と鬼女の刻(ふら~り)46-10
「このまま時が過ぎるに任せれば、結果は見えている。足利殿は間もなく再起して ここに攻め寄せるだろう。その時には、もはや我らと足利軍の戦力差はどうしようもない ほど大きく広がっているはず。つまり、我らは敗北し新政府は潰れ足利幕府ができる」 「え。そ、そんな、当たり前みたいにあっさり言わなくても」 「当たり前……そう、当たり前かもしれんのだ。いいか陸奥、よく考えてみろ」 正成は語った。かつてこの日本国は神の国であったが、やがてそれが神の化身である 人間、天皇のものとなった。それが平安時代、藤原家などによって公家たちが実権を 握った。そして鎌倉時代、公家の下僕だった武士たちの中から天皇の血を引く名門・ 平氏と源氏が力をつけて天下を取った。 天下の実権は下へ下へと降りていくのが、歴史の必然なのではないだろうか。だとすると、 次は名門武士の下、地方武士たちの時代。それは今、尊氏を... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)45-2
燦々と日の光が降り注ぐ、清々しい空気に満ち満ちた山の中。木々が少し途切れて ちょっとした広場になっている場所で、若者が木刀を振るっていた。 速く強く、華麗で切れ味良く、荒々しくはないが鋭さに溢れたその剣筋は、若者が 正統な剣術の修行を生真面目に積んできたことを示している。 また、別の方面からも若者の素性を伺うことができる。身に纏っている道着の仕立てと いい、綺麗に結われた髪といい、更には木刀の見事さといい。どれを取っても若者の 身分の高さと育ちのよさ、大切に育てられたのであろう箱入りな人生を如実に語っている。 もっとも、その割には若者の剣技は見事すぎるのだが。いくつかの型を十度ずつほど終え たと思ったら、今度は太く束ねて地面に突き立てた竹の束に、木刀を横薙ぎに打ち込んだ。 竹は大きくしなる。当然、反動が来る……いや来ない。若者の木刀で押さえられている。 数拍おいて、若者は木刀を放した。そし... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)46-4
楠木正成と護良親王の奮闘、後醍醐天皇の隠岐脱出。崖っぷちの幕府は、出陣を 渋っていた足利家を半ば脅迫するようにして京都に向かわせた。が、その足利家が 反旗を翻して京都の六波羅探題(幕府の西の拠点)を攻撃。これが決め手となって、 一気に全国の武士たちが立ち上がった。機は熟した、今こそ幕府を打ち倒せ! と。 その勢いの中、足利家と並ぶ名門中の名門、新田家が幕府の本拠地・鎌倉に向けて 進軍を開始。もはや西の反乱軍鎮圧どころではなくなって、幕府遠征軍は大混乱、で 崩壊、撤退、壊走、消滅。跡形なく消え失せた。 楠木正成と護良親王は、天下の鎌倉幕府を向こうに回して見事戦い抜いたのである。 「……で。あのさ、お兄さん。この戦、オレたちの大勝利と言っていいと思うんだ」 正成が最初に戦いの旗を掲げた、赤坂の地。小高い丘陵に大和と正成がいた。 二人の前には、戦死者慰霊の為に正成が立てた大きな墓が二つ並んでいる... -
修羅と鬼女の刻(ふら~り)46-8
弟・直義が鎌倉で反乱軍相手に苦戦していると聞き、尊氏は初めて新政府に逆らった。 まだ許可も得ぬ内から、軍を率いて鎌倉に向かったのだ。 そして反乱は間もなく鎮圧できたのだが、尊氏はそこで護良親王の死を知る。その時には もう、噂が都に届いていた。「戦のどさくさに紛れて、足利が親王を殺した」と。 無許可出陣した間の悪さもあり、都に帰れなくなった尊氏は鎌倉に居続ける。すると、 今こそ好機とばかりに新田義貞が、 「足利は、第二の幕府を開くつもりです! これこそ護良親王が恐れていた通りのこと であり、なればこそ足利は親王を邪魔に思い、殺したのです!」 と訴えて認められ、反乱軍討伐と称して公式出陣した。直義と師直が迎撃に出たが兵の 士気が低く苦戦を強いられる。なにしろ総大将である尊氏が、「帝に逆らう意思はない」 と引き篭もっているのだから。これでどうして兵たちの士気が上がろうか。 ... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)45-1
第三の幕府、江戸幕府。その末期には坂本竜馬や新撰組、薩摩や長州が 己の信念と日本の未来を懸けて戦った。 第二の幕府、室町幕府。その末期には織田信長や豊臣秀吉、徳川家康らが 己の野望と天下の覇権を懸けて戦った。 そして第一の幕府、鎌倉幕府。その末期、すなわち日本国史上最初の 「幕末の動乱期」においても、前述の坂本竜馬や織田信長たちに劣らぬ 英雄たちが激しい戦いを繰り広げた。 決して譲れぬ思いを胸に、己が信じる何かのために…… 煌々と照る満月の明かりがなければ、伸ばした腕の先さえ見えないような深夜の闇。 虫や獣の声、川や滝の音以外は何も聞こえない深い山中。 だが今宵は特別、松明の明かりが辺りを照らし、男たちの争う声が響き渡り、 剣戟の音が満月に届けとばかりに響いている。その中心で、 「ぬんっ!」 剣戟、ではなく拳撃の音が響いた。腰を低く落とした男の拳が、鎧を打ち砕いたのだ。 砕かれた方の武者... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)46-5
平安京の一角に、足利軍の駐屯所がある。尊氏と、家臣や兵たちはそこで暮らしている。 毎夜、兵たちと手分けして街の巡回をしている尊氏だが、では日中はどうしているのかと いうと、ここで大賑わい大混雑の窓口業務に勤しんでいる。 なにしろ倒幕直後のこと。江戸幕府が倒れた後の、明治政府の立ち上がりと同様、 戦うことよりもその後の政治的あれやこれやの方が大変なのだ。まして後醍醐天皇は 自身が陣頭に立って政務を執り、それがまた貴族中心・武士そっちのけな姿勢丸出し だったものだから、この平安京に集まっている武士たちの不満が日々高まっている (それがまた治安悪化の一因になっている)。 なので尊氏は、そういった武士たちの相談所を設置。窮状を聞き、訴状を集め、 それらを整理しては新政府にかけあい、苦しむ武士たちのために働いているのである。 そんな駐屯所の中にある尊氏の屋敷にて。尊氏の右腕といわ... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)46-1
大盛り上がりの内に宴は終わり、大和と正成が期待した通り、皆少し元気になった。 そして翌朝。見張りの兵の大声で正成は目を覚まし、呼ばれるままに城壁に上がった。 朝もやの中、城の外に出てたった一人で幕府の大軍と対峙しているのは…… 大和だ。昨夜のまま、ほっかむりと化粧と、四本の鍬を手に持って。 「な。何を考えてるんだあいつは!? あんなことをしたら……」 「かかれええええぇぇっ!」 案の定、侮辱されたと思った幕府軍の武士たちが騎馬で突撃してきた。手に手に 槍や薙刀を構え、憤怒の形相で大和に向かっていく。 対する大和は、鍬四本の内二本を、頭上に高く投げ上げて踊りながら跳躍し、 「♪犬が西向きゃ尾は東~♪」 向かってきた騎馬武者二人の首を、両手の鍬で雑草のように斬り飛ばした。 え? と武者たちが動きを止める。大和は一度着地したかと思うと、またすぐ跳躍して、 「♪オイラが笑うと星が散るっ♪ と!」 ... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)46-2
楠木正成率いる河内悪党が、赤坂城にて幕府軍を苦しめていた頃。 彼らほど派手ではないが、護良親王もまた激戦を繰り広げていた。比叡山の僧兵たちを 取りまとめ、自身も積極的に最前線に出て、遠征してきた幕府軍をズタズタに切り崩し、 さんざんに翻弄していたのだ。 幕府軍はそのせいで赤坂城への増援もままならず、ますます苦境に立たされていく。 比叡山延暦寺。平安時代、最澄が天台宗を開いたことで有名な寺だが、いまやここは 護良親王軍の総本部となっていた。 月が雲に隠れ、星も僅かしか見当たらず、墨を流したような闇夜。だが延暦寺周辺は 一晩中篝火が灯され、伝説の猛者・弁慶もかくやと思われる武装した僧兵たちが、 あちらこちらで油断なく警備している。 そんな彼らに守られた寺の最深部、広い寝室にて護良親王は静かに目を開けた。そして、 「……む」 腕の中にいたはずの女がいないことに気付く。彼が目を覚ましたのは、 そ... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)46-6
昼は武士たちの苦情処理、夜は街の巡回。激務ではあるが、間違いなくそれが人々を 救っているということが実感できる。大和は今まで、強者と戦って己の武技を磨くこと しか考えていなかったが、こういう生き方もあるのかと新鮮な感動を覚えていた。 たまに戦地の正成から手紙が届いたり、尊氏や師直とささやかな宴会をしたり。街も 少しずつだが平和を取り戻しているし、大和は充実した日々を送っていた。 そんなある夜。いつものように大和は街の巡回をしていたが、 「! な、何だ!?」 異様な気配を感じ、足を止めた。 どこかで感じたことのある底知れぬ妖気。まるで人ならぬ者、鬼か魔物のよう。そんな 奴が、誰かと戦っている。そいつも並の腕ではなさそうだが、正直言って勝ち目は…… 『ん? この感じ……あ、足利さんだっ!』 大和は顔色を変えて駆け出した。 『ふふふふっ。ほんのつまみ食いのつもりでし... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)45-3
時の帝・後醍醐天皇は倒幕を企て、兵を率いて幕府に反旗を翻した。幕府は直ちに 軍を差し向けてこれを討伐せんとする。天皇は京都の南端に位置する笠置山中、 笠置寺に陣を張った。天皇の実子にして、かねてより僧兵として修行を積んでいた 護良親王(もりよししんのう)も比叡山の僧兵たちを率いて、背後から天皇を援護。 そして楠木正成も赤坂城に手勢を集結させ、幕府軍を迎え撃った。総勢五百人の 河内悪党が籠もる赤坂城を取り囲む幕府軍は、一万なのか二万なのかそれ以上か。 圧倒的多数、どころか絶望的多数の敵軍だが、正成は奇策の数々で健闘、むしろ 優勢に戦いを進めていた。 赤坂城は正成が急ごしらえで造った城、というか砦なので、小さなものである。鉤縄を 投げて城壁に引っ掛けて、簡単に登っていける。そのはずなのだ。普通は。が、 「……ん?」 縄を掴み、城壁を登っていこうとした幕府軍の武士たちが、ふと手を止めた。城内か... -
汝は罪人なりや? (金鹿さま)
(あらすじと人物紹介) 【序】【ぷろろーぐ】1 【序】【ぷろろーぐ】2 【序】【ぷろろーぐ】3 【序】【ぷろろーぐ】4 【発】【いちにちめ】 【抜】【いちにちめ】 【閥】【いちにちめ】 【驚】【ドッキリ】 空想科学ネウロ 【歌】【うた】 -
シュガーハート&ヴァニラソウル(ハロイさま)
前奏曲 『夏のはじまり、花盗人の残り香』 『初めての友達、そして転校生』 01 02 03 04 『復活のビート Part3』 01 02 03 04 『赤ん坊を待ちながら』 01 02 03 04 05 『迂回と焼菓』 01 02 03 04 05 06 07 『液状と透明』 01 02 03 04 05 06 07 08 09 『世界を滅ぼす千の方法』 01 02 03 04 『金剛石をめぐる論議』 01 登場人物紹介 01 02 03 -
シュガーハート&ヴァニラソウル 人物紹介②
ラウンダバウト(人間名 奈良崎克巳) 登場作品 「ビートのディシプリン」 統和機構の合成人間でありエージェントでもあったが、監視対象である人身売買組織を義憤に駆られて壊滅させ、裏切り者として処分されそうになるところを、 統和機構の幹部でありながらこれっぽちも服従していない少女「レイン・オン・フライディ」こと九連内朱巳に内密に拾われる。 レインに心酔というかむしろ崇拝しており、自分の人間名も彼女にあやかっている。 女の癖に男みたいな格好をしたり、もって回ったような口調を好んだりと、一見やや複雑な性格であるが、 統和機構を抜けた件からでも分かるように本質は直情径行の激情家。それがコンプレックスのようで、わざと『迂回』を名乗っている。 原作ではレインの命令で『カーメン』の謎を追う者に制裁を加えるべく、合成人間「ピート・ビート」を襲撃する。が、その後彼の味方... -
シュガーハート&ヴァニラソウル 人物紹介③
ユージン(人間名 天色優) 登場作品「ブギーポップ・イン・ザ・ミラー パンドラ」「ブギーポップ・オーバードライブ 歪曲王」「ブギートーク・ポップライフ」 統和機構の合成人間でありエージェントでもあったが、ある任務を期に生死不明に。 「温厚で人畜無害で女みたいな美少年」「冷徹で冷淡な任務の鬼」という二つの顔を相手によって使い分ける。 特殊能力は掌から分泌し、生体組織を爆散させり特殊体液『リキッド』。 卓越した戦闘センス、そして統和機構内でも『最強』のエージェントから「将来のライバル候補」と目される潜在能力を秘める。 舌の感覚が発達しており、それで生体兵器を分析するほどの性能を誇る。 また、必要とあればなんの躊躇なく幼女にもディープキスをかます氷の心の持ち主。そこにシビれる憧れる。 原作では五人の予知能力者と出会い、彼らに取り入るために『聖痕(スティ... -
シュガーハート&ヴァニラソウル 人物紹介①
「ブギーポップ・デュアル 負け犬のサーカス」からのキャラの説明 秋月貴也 登場作品『ブギーポップ・デュアル 負け犬のサーカス』 副人格『ブギーポップ』をその身に宿す気弱な少年。 ナーバスで流されやすい性格の持ち主で、初佳の奇行や奇抜なアイディアに振り回されている。 『ブギーポップ』が現れ始めたころの混乱で精神的に追い詰められていたところを、初佳に助けられる。 彼女とはそれ以来の付き合い。本SS内ではラブラブっぽいが、原作ではそこまで表面化していない。 心の底には強い意志を秘めており、原作ラストではブギーポップですら敵わなかった『世界の敵』を倒し、初佳を救う。 五十嵐初佳 登場作品『ブギーポップ・デュアル 負け犬のサーカス』 貴也と同じ高校に勤める養護教諭。というか、貴也を自分の勤めている高校に編入させた。 『世界の敵と戦う』という傍目には正気... -
汝は罪人なりや?[あらすじと人物紹介]
ヤコ…桂木弥子 大食い女子高生探偵として有名 ネウロの協力者もとい奴隷として日々虐げられている ネウロ…脳噛ネウロ 魔界の住人 弥子の助手を装って事件を解決している 最高の頭脳と最悪な性格の持ち主 根っからのサディスト ゴダイ…吾代忍 闇金融会社で働いていたがネウロに事務所を乗っ取られ雑用をするはめに あかねちゃん…探偵事務所の秘書 壁に埋まっていた死体の髪の毛 ネウロの障気によってよみがえり 魔力を分けてもらうことでヤコと一緒に行動できるようになった 携帯ストラップにもなれる かなりの美少女その他…警察関係者数人 ゲストキャラ(すべてハンドルネーム) くらら…気の強い女性 常にあきらを気にかけている あきら…暗い雰囲気の少女 腕にリストバンドを付けている エドガー…売れない小説家 ノリが軽い ジェニファー…舞台女優の卵 ハンネの由来はジェニファー̶... -
女か虎か(電車魚さま) 人【じんぶつしょうかい】
サイ【さい】 より正確には怪物強盗X.I(エックス・アイ)だが、 原作では怪盗"X(サイ)"、もしくは単に"X"と呼ばれることのほうが多い。 常に変異を続ける特殊な細胞を持つ、世界的に有名な盗賊兼殺人鬼。 誰にでも変身できる一方、重度の記憶障害に悩まされている。 フツーの少年漫画ならライバル的立ち位置で主人公を脅かすタイプのキャラだが、 ネウロにおいては主人公ネウロがあまりに際立った強さを誇るがために、 むしろ彼のほうが主役っぽく見えてしまうという現象が起こっている。 なお、本作では彼のシリアスな側面に注目してキャラを立てているが、 原作の彼は天然入ったボケキャラでもあり、アイと一緒にほのぼのギャグ要員もこなす。 ★本作15終了時点での状況: 自分と近い能力を持つ虎≪我鬼≫を追っていたが、その≪... -
永遠の扉 第030話 ~ 第039話
第020話 ~ 第029話 第030話 「斜陽の刻 其の弐」 第031話 「斜陽の刻 其の参」 第032話 「斜陽の刻 其の肆」 第033話 「斜陽の刻 其の伍」 第034話 「斜陽の刻 其の陸」 第035話 「斜陽の刻 其の漆」 第036話 「歩いた先に」 第037話 「天空高き月の遥か遥かその下で(前編)」 第038話 「天空高き月の遥か遥かその下で(後編)」 第039話 「暁遥か前、暗幕透ける記憶を祓い」 第040話 ~ 第049話 登場人物一覧 偽キャラクターファイル №2 小札零 №3 栴檀香美 №4 栴檀貴信 №5 鳩尾無銘 -
来襲!冥土番長 (サマサさま)
23区計画。それは、東京23区一つ一つに<番長>と呼ばれる超人たちを配置し、戦わせ、最後に残った者に 絶大な権力を与え日本の支配者として君臨させるという、次代の独裁者を生み出す恐るべき計画。 だが、それに真っ向から立ち向かう漢がいた。 彼の名は<金剛番長>。日本に残った、最後の硬派である。見るからに無骨でいかつい風貌、まさに漢である。 そんな彼は、なかば無理矢理に手渡されたチラシに嘆息し、目前の少女に目をやる。 「メイド喫茶<冥土印天国(メイド・イン・ヘヴン)>開店でーす!よろしかったら、来店お願いしまーす」 下手をすれば小学生にも見えそうな小柄な女の子。長い髪と泣き黒子が特徴的な、中々可愛らしい顔立ちだった。 そんな彼女の頭にはカチューシャ。身を包むのはエプロンドレス。手には箒。 俗に<メイドさん>といわれるスタイルである。その趣味の方にはたまらない服装だ... -
永遠の扉 第020話 ~ 第029話
第010話 ~ 第019話 第020話 「環境の変化(前編)」 第021話 「環境の変化(中編)」 第022話 「環境の変化(後編)」 第023話 「人(?)それぞれ」 第024話 「演じるというコト」 第025話 「変調(前編)」 第026話 「変調(後編)」 第027話 「動き出す闇(前編)」 第028話 「動き出す闇(後編)」 第029話 「斜陽の刻 其の壱」 第030話 ~ 第039話 登場人物一覧 偽キャラクターファイル №2 小札零 №3 栴檀香美 №4 栴檀貴信 №5 鳩尾無銘 -
乙女のドリー夢 52-4
刃牙の懸命な説得も、梢江には半信半疑で受け止められたまま放課後。梢江は生徒会 の会議があるからと(刃牙を疑惑の目で見つつ)残り、刃牙は一人で帰路についた。 とりあえず留美に尾行されてはいないようだが、今朝のこともあるから油断はできない。 『はぁ……どうすりゃいいんだか』 夕闇迫る街をとぼとぼ歩いて、人気のない路地に差し掛かった時。刃牙の前に、 大柄な人影が立ちはだかった。と思ったら背後からも。あっという間に刃牙は、 前を三人後ろを四人、七人の男たちに挟まれてしまった。左右は壁の狭い路地、 逃げ場はない。 といっても、実は刃牙は彼らの尾行には気付いていた。殺気があったのでわざと 人気のないところへ誘い、さっさと片付けるつもりだったのだ。 そうしたら案の定というか、姿を現した相手は思いっきり不審者丸出しであった。揃いも 揃って紅葉ほどではないがかなりの筋肉巨漢で、それを誇... -
乙女のドリー夢 52-2
留美は普段、あまりお洒落には気を遣わない。服や髪やアクセサリーといったものには 大して関心がない。関心があるのはあくまでも二次元の美少年たちのみである。 が、そうはいってもやはり年頃の女の子の端くれ。体重計に乗ったら不本意な数字が出た、 なんて時には食事を減らしたり運動して汗を流したりする。 というわけで今朝、早くのこと。留美は眠い目をこすりながらジャージ姿で家を出た。 「はふぅ眠い……」 あくびを噛み殺しつつ、のろのろ走る留美。そんなんで体重減少効果が得られると思ったら 甘いぞとかいう作者の声は聞こえず、留美はゆっくり時間をかけて近所の公園の前まで来る。 そしてそのまま通り過ぎるつもりだったが、見覚えのある男の子がいたので、ふと足を止めた。 松本さんの家に下宿してるとかいう、範馬刃牙君だ。既に相当な距離を走ったのであろう、 トレーニングウェアが湿って重そうなぐらい汗だ... -
強くなるのは、なれるのは その2 第一話
最大トーナメントが終わって、加藤清澄は悩んでいた。 自分は、独歩以外なら誰であろうと負ける気はしなかった。刃牙も克巳もブッ倒してやる つもりだった。 が、結果はどうだ。克巳には格の差を見せ付けられ、その克巳も烈に完敗、その烈は 刃牙に敗北。自分はと言うと、一回戦負け未満と言っていい惨めな負けっぷり。 聞くところによると、昻昇も似たような悩みを抱えたらしい。で、そんな自分に 喝を入れるべく、まだ見ぬ達人に試合を申し込んだという。そしてその結果、 見事に立ち直って発奮し、今の自分は烈より強いと息巻いているとか。 強くなるのは、なれるのは 「……」 光成の屋敷。加藤は、自分も光成から試合相手を紹介してもらおうと思ってやってきた。 そしてとりあえず、昻昇と試合をしたという柔術家の資料を見せてもらったら、絶句した。 「……昻昇のヤロウ……」 「羨ましい、とか思っ... -
乙女のドリー夢 52-3
早朝。いつものジョギングコースを走り終えた刃牙は、いつもの公園にやってきた。 呼吸を整えつつストレッチをしながら、考える。 『そういや前にここでリアルシャドーをやった時、誰かの視線を感じたような気は してたんだよなぁ。もしかして浅井さんに見られたのかな? あれって普通の人が見たら 思いっきり異常だろうし、浅井さんの中じゃオレはバケモノ扱いされてるのかも……』 頭を抱えつつも、刃牙は注意深く辺りを見渡した。そして気配を探る。どうやら、今朝は 留美は来ていないようだ。 それにしても悔やまれる。油断して、こんなところでリアルシャドーやっちゃったのが間違い だった。一体、何て説明したらいいのか? ありのままを言ったら余計にアブナイ人扱い されそうだし。何たって妄想相手に殴り合って血ぃ出すんだもんなぁ。あぁどうしよう。 「どうした? 恋に悩む思春期の少年のような顔をして。まぁ実際... -
バンカラメモリアル2~テメエに会えて~
陽ノ下光、ひびきの高校新入生。ひびきの高校へと、足を弾ませて進む。 可愛らしかった少女は、誰もが振り向くような美少女に成長していた。 長かった髪は、ショートカットになって。泣き虫も、治って。けれど、変わらないもの。 太陽みたいな笑顔と―――制服の上から羽織った、彼が最後にくれた、学ラン。成長した今でもサイズが合わなくて、 袖を盛大に捲り、裾を地面に引き摺らせながら、それでも肌身離さず身に付けている。 「光、あなた…まだ、その汚い学ラン着てるの?」 「汚いは余計だよ、琴子~」 ぶーたれる光に、隣を歩く親友―――水無月琴子(みなづきことこ)は、溜息を吐いた。長い髪に広いおデコ、少々 きつい感じはあるが、中々魅力的な和風美人だ。 「もう忘れたら?7年も帰ってこないんでしょ?」 「忘れられないよ…」 光は、寂しそうに笑った。 「あきらちゃんのこと…忘... -
遊☆戯☆王 ~超古代決闘神話~ 番外編・良い子のためのカード紹介①
闇遊戯「皆!本編は楽しんでくれてるかい?」 城之内「第一部も終わったことだし、今回は趣向を変えて、今まで登場したカードを紹介するぜ!」 遊戯「上手く説明できるかどうか分からないけど、ヨロシクね」 海馬「では早速いくぞ!まずはオレの魂のカード<青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)>だ! 攻撃力3000は、まさに史上最強の龍の名に相応しいぞ!」 エレフ「ふむ。青い眼と白く輝く身体が神秘的な、美しい姿だな」 城之内「なんでいるんだ、お前ら!?」 オリオン「まあまあ、番外編なんだからいいじゃんか。ここでくらいは仲良くいこうぜ」 ミーシャ「そういうものなの?」 エレフ「そういうものだ。私とてこういう場でくらい、ミーシャの傍にいたいからな…」 城之内「なんだかんだ言っても仲良し兄妹だからな…何だか、オレも静香の顔を見たくなったぜ…」 海馬「フン... -
乙女のドリー夢 52-1
「松本さん、範馬君とどういう関係なのっ?」 ある日の休み時間。トイレにでも行くらしい刃牙が教室を出たのを見計らって、 隣のクラスの女の子が一人、梢江の席に鼻息荒く駆けて来た。 この子の名は浅井留美。これといって特徴のない、というか今時珍しいくらい地味な 三つ編み眼鏡っ子である。梢江とは中学の時に同じクラスだったので顔見知り。 梢江としては『浅井さん、ちょっとお洒落に気を遣ったら、もっと可愛くなるだろうになぁ』 とか思ってしまうような、そんな子だ。でも本人はどこ吹く風のマイウェイを貫いている。 そういえば昔から、留美が男子と会話しているところなんて殆ど見たことがない。そんな 留美が、何でいきなりよりによって刃牙のことを? 「ど、どういう関係って言われても」 「確か前に言ってたよね。範馬君、松本さんの家に下宿してるって。範馬君の家とは 家族ぐるみでお付き合いしてて、範馬君... -
ドラえもん のび太の新説桃太郎伝49-1
第五話「第三勢力」 それは、こことはまた違う世界で。 ―――深い闇の中、巨大な影が鎮座していた。 彼は何をするでもなくたった一人、ただ目を閉じて座っている。やがてその口が開いた。 「―――この世には、百八の地獄あり」 その声をどう表現したらよいのだろう。憎しみ、軽蔑、怒り―――あらゆる負の感情を煮詰めたようなそれを。 天突くような巨体に燃え上がるように逆立った髪、四本腕の異形。インドの古い神話あたりに登場する邪神さながらの 不気味な影。 「このワシが…このマンダラ王が治めしこのマンダラ地獄は序列にして八番目の地獄!―――そして」 マンダラ王と名乗った男の声が、ますます大きくなっていく。 「バサラ王が治めし地獄など…たかだか百一番目の地獄にすぎぬ!」 あまりにも衝撃的な事実―――それを彼は、あまりにも唐突に、あっさりと告げた。 「それだけ... -
第98話「さよなら!」
第九十八話「さよなら!」 ―――そして、共に戦った仲間たちとの別れの時がやってきた。 「当たり前だけど・・・やっぱ、のびちゃんたちは元の世界に帰っちゃうのよね」 亜沙は名残惜しそうに口を開いた。 「うん・・・だけどさ、前みたいには悲しくないよ。だって、ほら」 のび太はCPSを指し示した。 「これがあれば、ほら、これからはいつだって会えるんだから。だからさ・・・」 「ちょっとだけ・・・ちょっとだけさよなら」 プリムラは、小さく微笑む。 「そうだよね?また、会えるもの」 「そうそう。ちょっと寂しいけど、会いたくなったらいつでも会いに行くぞ」 へへー、とフー子が屈託なく笑う。今の彼女はサイバスターに宿る精霊という立場上、サイバスターから遠く離れる ことはできない。というわけで、フー子は稟の元でお世話になることになったのであった。 サイバスターと一緒に。 「―――って、サイバスターは俺が所有する... -
永遠の扉 第035話
第035話 「斜陽の刻 其の漆」 目を閉じていても、体に染み付いた術技は功を奏するものだ。 光輪を飾り輪のエネルギーで相殺すれば、目の前で凄まじい光が起 きるのは明らかだった。 よって秋水は手に斬撃の感触が通り過ぎるまで、目を閉じていた。 次に開いたその時。 「まだだ! せめててめえも道連れに!」 死にゆく逆向がチェーンソーをかざし、迫ってくる。 (そうか。『もう一つの調整体』の効果で震洋の体に宿った以上、普通 のホムンクルスのようには死なない……だがこうなったら震洋にはすま ないが、戦闘不能になるまで斬り伏せる!) 秋水は激しい息をつきながら再び構え──… 一体何が起こったのか、十体のムーンフェイスは判断に困った。 「特異体質発動」 気づけば彼らは密集していた。ひどく狭い場所に。 そのまま視界が空へ向かって流れた時、よ... -
乙女のドリー夢 52-5
格闘技なんかはもちろんド素人で、殺気や闘気を感じ取ることなどできない留美。 もちろん、普通の女子高生……というか、平凡な一般人ならそれが当たり前だ。 だが目の前に立つ男からは、それらが強烈に感じられた。留美の髪を揺らさぬ突風が、 留美の服を濡らさぬ津波が、そして留美を物理的には押し潰さぬ重圧が、絶え間なく 襲いかかってくる。 「……ぅ……」 たった今、刃牙のことを地上最強だと心底信じた留美だったが、その思いはあっさりと ひっくり返ってしまった。範馬君がこの人と戦っても絶対に勝てない、と確信できてしまう。 刃牙はというと半ば反射的に留美を背に庇う位置に立ったが、しかしそこまでだった。 勇次郎の気迫と視線を受け止め、潰されないようにするだけで精一杯である。 「親父……今、ここで、やる気なのか?」 もし勇次郎が本気でその気なら、どうせ逃げられはしない。ならば応戦するしかない... -
第094話 「パピヨンvsヴィクトリア&音楽隊の帰還」後編 (9)
「戦団に勾留された筈の音楽隊がどうして!? 解き放っていいんですか!?」 居並ぶかつての敵達に、斗貴子は叫んだ。無理もない。倒すのにどれほど苦労したか。 「まあまあ。彼らは俺たちに協力すると約束してくれた。自ら望んでホムンクルスになったという訳でもないし、人間を喰い殺 したコトは一度もないという。なら大丈夫だろう」 「……彼らの話を信じるんですか? ホムンクルスのいうコトを」 「勾留中にたっぷり話したからな。目も濁っていない。信じていいと思う 気楽な調子の防人だ。よくもまあと斗貴子は反論したくなったが押し留まる。よく考えてみれば彼女自身もこういう不可解な 温情を戦団から賜り、結果助けられた覚えがある。武藤カズキをめぐる逃避行。ヴィクターIIIという人外へ変質し、再殺を 余儀なくされた彼に斗貴子は肩入れし……結果、戦士1人を内部から『ブチ撒けた』。戦士に危害を加えたという... -
The Times They Are a-Changin' (銀杏丸さま)
人の定義は何か、と問われたら私は「己の意思によって立っている者」と応えるだろう。 運命などと、宿命などと、そんな言葉で私は己を偽らない。そんな言葉でこの教皇シオンは揺るがない。 ひなびた老人の、この私の、心の臓腑に突き立つ、黄金の拳を、運命などという言葉で諦観しない。 年老いたとてなおも鮮烈な赤、紅、朱、赫、あふれ出す血潮。 黄金に煌く聖衣を纏う少年、その野心に、その信念に燃えるその姿はひどくまぶしく思える。 今この哀れな老人を屠る少年の姿はひどく眩しい。 正邪など関係なく、その姿は人間なのだ。 死につつある私の体から、法衣を剥ぎ取り、教皇のマスクを奪い去る少年の姿は、 天を仰いで哄笑をあげる少年の姿は、冒涜的なまでに美しくおぞましいまでに純粋だ。 彼の意思はたった一つ、神を祓うこと。 この地上をいかなる神々の干渉から解き放つ、人の手による管理運営。 その果断を若いと... -
戦闘神話48-2
part.2act2 聖域中枢、教皇の間。 白い顔をさらに青白くしたニコルは、グラード財団からの出向で聖域に入ってもらっている男、 マース・ヒューズと内密の会談をしていた。 元イギリス陸軍諜報部所属、非公式作戦の功績から20代で中佐に昇進したという辣腕(らつわん)の情報将校である。 彼はグラード財団の招きに応じてあっさりと除隊。 愛妻家にして家族主義者である彼は、危険度の高い割りに給料の低い軍に見切りをつけ、 条件の良いグラード財団情報処理部門の特別顧問へと華麗に転職していた。 一児の父にしてよき夫、日本風の言い方をするならば一家の大黒柱。 そんな彼は、何の因果か欧州史上最悪のタブー「聖域」へ出入りする身分となっていた。 情報を制すものが世界を制す。 聖域は持ち前の機動力を生かした情報網を世界各地に張り巡らせている。 ありとあらゆる権力者... -
天体戦士サンレッド ~少女の願い!サンレッド・怒りの全力バトル
毎度お馴染み、神奈川県川崎市。 「…んー」 「どうしたのよ、あんた」 「いや…ほら、あの女の子」 商店街で買い物していた我らがヒーロー・サンレッドとかよ子さん。二人の視線の先には。 「―――新装開店セールでーす!よろしくお願いしまーす!」 現実じゃありえねー天然物のピンク髪は、彼女が人外の存在である事を雄弁に物語っている。雪よりも白い清らかな肌 と、穢れを知らぬ清純可憐な愛らしい顔立ち。 そんな年端もいかぬ美少女が、道行く人々に向けてチラシを配っているのだった。 「女の子型の怪人ってのは珍しいけど、あの子は最近よく見るんだよな…こないだは定食屋で働いてたぞ」 「ああ、そう言えば私も他の場所でティッシュ配ってるの見たわ」 「そんなに仕事を掛け持ちしてんのか…働きモンだなあ、おい」 「そうねー。誰かさんに見習ってほしいぐらいね」 ゲホンゲホン、とわざとらしく咳をするレ... -
乙女のドリー夢
第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 -
脳噛ネウロは間違えない 50-5
「──さて、ヤコ。昨日のおさらいだ。 吾代の情報によれば、『辺境人(マージナル)』こと香織甲介がいわゆるアンダーグラウンドの世界の住人である可能性は低い。 つまり、貴様の出番が回ってきたという訳だ」 「……え? わたし?」 「そうだ。『表の世界』は貴様のフォロー範囲内だ。 先日、奴等と遭遇した場所を覚えているな? 貴様が意地汚くも飛鳥井全死のオゴリで昼食を貪っている間、 香織甲介とその連れの小娘──荻浦嬢瑠璃といったな──は飛鳥井全死を探して周囲の店舗に聞き込みを行ったフシがある」 「え、そうなんだ」 「豚のごとく目の前の料理に食らいついていた貴様は知らぬだろうが、香織甲介自身がそのように言っているのだ。 貴様はそこにさらに調査を被せろ。香織甲介が飛鳥井全死の足取りを追ったその道を逆に辿り、奴等の活動半径を突き止め──なんだアカネ。 今、我が輩はこの... -
最強伝説の戦士 黒沢 51-3
『ぐっ……や、やっぱりそうかよ……オレは未確認生命体第2号……そりゃ、こんなナリで こんなバケモノと五分にケンカしてりゃあ、そう見えるのが自然っ……当然っ……! で、 こうして銃口を向けられることはむしろ必然っ……解ってた、解ってたけど……っ!』 と黒沢が歯軋りしてる内にコウモリ男はというと、回転灯とヘッドランプの光に苦しみ、 大きく羽ばたいて高く高く飛翔。あっけなく逃げてしまった。 何人かの警察官が発砲するが、数秒とかからずコウモリ男の姿は夜空の彼方へと消える。 「もういい、3号はほっとけ! それより2号だ!」 「了解!」 改めて、全員の銃口が黒沢に向けられた。慌てて野明が、 「待って下さい! この人は……」 「まだガタガタ言ってるのか! さっさと逃げろっ!」 杉田警部が苛立ち紛れに叫ぶが、野明は逃げない。 「違うんです、話を聞いて下さい! 今、3号に襲われていた... -
THE DUSK 第二話 (3)
晶はたっぷりと時間をかけて超至近距離のまひろを睨みつけていたが、やがて興味を失ったように 胸倉を掴んでいた手を離した。 急に地面を取り戻したまひろの足。 しかし、バランスまでは取り戻す事が出来ず、ヨロヨロと二、三歩よろけて後ずさる。 ようやく平衡を保ち、制服の乱れを気にする余裕が出てきた頃には、晶は既に二人に背を向けて 教室を後にしようというところだった。 二人の方へは振り向かずに親指で瑠架を指しながら、晶は気だるげに言う。 「アタシにかまってる暇があるんなら、そこのイジメられっ子を何とかしてやんなよ」 「え? あっ……」 瑠架へと眼を遣ると、危難が去って気が緩んだのか、晶の迫力に怯えていたのか、彼女は床へと しゃがみ込んでいた。 頬を伝った涙の筋はまだ乾いておらず、鼻水をすする音も引っ切り無しに聞こえてくる。 晶とのコミュニケーションを諦め... - @wiki全体から「「修羅と鬼女の刻」人物紹介」で調べる