今から近い未来。科学は爆烈的な進歩を遂げていた。
ある日、石田虎侍宛に時空管理局からの呼び出し状が届いた。なんでも、過去のコジローの身の回りでちょっとした問題が起こり、それを自分がそこに行って対処しないと今の自分に繋がらない矛盾?が発生するらしい。
時間も取らないみたいだし、仕事帰りにでも管理局に少し寄らないと…。
というわけで何をするのか、完結に内容だけを聞かされたコジローは管理局専用のタイムマシンにてその時代に戻り、ある人物と会ってあることをしなければいけなかった。
ちなみに過去の人間にタイムマシンの存在を知らせることになりかねないので、間違っても自分とだけは会わない様に、とも言われた。。
「到着、と…。ここは…。あの頃の俺んちか、懐かしいなぁ。服も昔のスーツに着替えろって同じの渡されてるんだっけ……。」
いざ着替えて鏡で見てみると当時と同じ格好をしているのに頭の中で描いた、このスーツを来た自分、と比べるとやはり顔は少し老けている気がする。
ところで、コジローがやらなければならないことは実に単純であった。
「…いた。学校帰りにこんなトコに寄り道なんかしよって……。」
そこには一人、公園のベンチでおまんじゅうを食べているキリノがいた。
「お~い、キリノっ!」
「!!……(ぷいっ)」
「??」
コジローが話しかけると同時に顔を背けられた。
(あれ?俺とキリノって、こんなに仲悪かったっけ?)
心なしかご機嫌がよくないみたいだった…。
(こんな状態のキリノから俺は……できるのか?)
しかしあまり考えずに言われたことだけをさっさと実行してしまおうと思い、キリノの横に腰掛け、唐突に切り出した。
「は、腹減ったなぁ~。お俺もまんじゅう、く、食~いて~な~」
するとどうだろう…キリノは食べかけのおまんじゅうを二つに割り、不機嫌そうにコジローに突き出してきた。。
(こ、これ食ってもいい雰囲気なの?いや食わないといけないんだっけ…)
「わ、悪りぃな、なら遠慮せず、い、いただきま~す。」
しばらく夕日を眺めながらベンチに並んで座り、二人でおまんじゅうを食べていると、キリノが口を開いた。
「……明日もいります…?」
「??…あ、あー、あぁ、いるいるっ。」
「…わかりました。もう忘れちゃダメっすよ?」
なんのことを言っているのかさっぱりわからなかったが、適当に相づちを打つとキリノのご機嫌も戻っているみたいだった。
そのまま別れておしまい。ホントにやることはこれだけでいいのかよくわからなかったが、とりあえず再び家に戻る予定になっていたので、それに従った。
さて、家に着くと管理局の人が来ており、言われた通りに実行したことを伝え、再び元いた時代に戻ることになった。
この行為になんの意味があったのか、聞いてはみたが結局教えてはもらえず、元の時代に戻ってもあまり他言はしないようにだけ言われた。
「ただいまー。」
「おかえりぃ。今日もお疲れさま♪」
「…なぁ…、気になることがあるんだけど。」
「んー?」
「俺、昔公園でおまえとまんじゅうなんか食ったことあったっけ?」
「あぁ、あったねー。覚えてるよっ。『部活したらやたら腹が減る』って言うから、ならあたしが何か夕方まで腐らないお菓子でも作ってあげようか?って話になって…」
「…ふむ。(覚えてないな…)」
「でもすっかり忘れられちゃってたみたいで部活の前に他の女の子が家庭科で作ったクッキーをせびってまで貰って食べてんだもん。
それで、気分よくないからさ、『もうあげなーい。』って思って、おまんじゅう部活終わって公園で一人で食べてるトコに『腹減った~』とか言いながら来たんでしょ?
いや~、でも今思うとあれからだっけ?コジローせんせ~に色々作ってあげるようになって、それがきっかけで…」
「ちょ、その呼び方はもうやめてくれ、なんか…こそばゆい……。」
「ん~?なんでどうしてですか~、せ・ん・せ♪」
「あーもう、あざといっ、ハズいもんはハズいんだよ。今言われるとなんかな…。」
最終更新:2008年07月16日 21:46