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「せんせー、メリークリスマスっ」
「ぐぅえっ、首が…」
道場の鍵を開けた瞬間、そんな声を掛けられたが、今日は12月24日である。後ろから飛びついて来たのでやつ(こんなことする心当たりはそう多くない)が言っている言葉は納得できた。…がなんで首が締まるんだ!?
「えへへ~っ、どう?そのマフラー、あったかいっすか?モフモフですか~?(テレテレ)」
マ、マフラーだったのか…
「お、おぅ、あったかいよ。なんだくれるのか?ひひっ、貰えるものならなんでももらうぞ?」
「んんっ、なんかその言い方心外だなぁ。せっかく夜なべして編んであげたのに。まぁ、別にせんせーにあげる為に編んだんじゃなくって、
弟にせがまれて作ったのがたまたま納得いく出来じゃなかったからあげるんすけどねー。」
「悪りぃな。でも助かるわ、マフラー持ってなかったからよ。お前編み物うまいのな、すっげぇあったかい。」
「えへんっ、失敗作とはいえ、縫い物編み物から料理まで、家庭科は得意なんすよ。」
「…そうか。なら大事にするよ。
…よし、じゃあ今日も元気に練習するかっ」
「はいっ!」
先ほども言ったが、今日はクリスマス。ということで部活は自由参加である。
この時間になっても現れないということは他はみなそれなりに用事でも入っているのだろう。
ったく、コイツもクリスマスくらい好きな奴でもデートに誘うなりして一緒に過ごしたらいいのに、どんだけ剣道好きなんだよ。
「久しぶりっすね~、2人っきりの練習って。」
「ここ最近はウチも随分活気づいて来たからなぁ。悪いな。一人じゃちゃんとした練習もさせてやれないや。」
「全然っ!!」(こりゃサンタさんがくれたプレゼント…)
「ん?なんか言ったか?」
「!!??な、なにも言ってないっすよ!?」

今日の練習は、内容こそ深くないものの、一人でもできる基礎練を徹底的にすることにした…と言ってもコイツ基礎はしっかりしてるんだが…。





気がつけばもう外も暗くなっている。
「そろそろ終わりにするか。」
「はいっ」
そういって各自更衣室に入り、着替えている時、今朝方キリノからもらったマフラーを巻いていて気がついた。
「ははっ、わざわざイニシャルまで入れてくれてるのか、細かいねぇ。さすがは家庭科優秀なだけあ…。」
何かひっかかるのだが、んー、まぁいっか。しかしなんかお返ししてやらんといかんなぁ…。そうだ。
「キリノーっ、服着替えたらちょっと待っといてくれるか~。」
女子更衣室の外から声を掛け、急いで職員室の冷蔵庫にある物を取りに行き、帰ってくるとすでにキリノは道場に座っていた。
「悪りぃ悪りぃ。これな、もしみんな来たらと思って買って来てたんだ。持って帰ろうかとも思ったんだけど、やっぱ二人で食えるだけ食っちまおうか。」
ミヤやダンが来ないのはおよそ予想してはいたが、キリノが来るならてっきりサヤも来ると思っていたのだが…
中身はホールケーキである。
二人で食べるのも虚しいかと思ったが、クリスマスを返上してまで練習に来てさらには曲がりなりにもプレゼントまでくれたキリノをそのまま帰してしまうのはあんまりだ。
「わぁ~、いいんすかぁ?こんなのみんないない時に食べちゃって…」
「いいって。いつもクリスマスにはムサいおっさんが来るんだが、あの人も今は家庭があるからな。持って帰ってもどうせ一人じゃ食いきれねーよ。」
「ふふっ、その様子じゃあ、今年もせんせーと一緒に過ごしてくれる女の人はいないみたいですな。」
「う、うるせーな。んな奴にはサンタのトコやらねーからな。」
「あぁっ、うそうそっ。きっと来年にはせんせーにも美人で素敵な彼女さんができてますって。」

(ったく。…どうせ薄給で冴えない非常勤講師の俺なんか好きになる奴なんかそうそういねーよ。)

……私がいるじゃないっすか……

一瞬なにか聞こえた気がしたが、唯一の同一の空間共有者はケーキを頬張ることに必死だ。
…なんだ?

少し冷える道場ではキリノの服装は少し寒いんじゃないかと思ったのでマフラーをずらして入れてやることにした。
合コンなんかでもサラッとこういうことができるヤツがモテるんだろーな、やっぱ。
と思いつつも。もう一つ思ったこともある。
…案外、こういうクリスマスもいいのかもしれない…。


━その頃サヤさんは…━

「タマちゃんやユージくんも休むみたいだし。キリノは先生と2人っきりになれたかね~」

…部活をサボってテレビを見ていた。


GJ、サヤ!!
最終更新:2008年12月20日 23:59