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あき AYA ◆zh2yobq4zs - (2006/10/20 (金) 13:05:47) の1つ前との変更点

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*** 860 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/08(金) 00:58:12.87 oXzMkwsG0 (*´・ω・`)ノ 突然ですが次のストーリーです。 テンション高めに行きたいと思っとります。 ------------------------------------------------------- 「親父。やっぱり俺、変わる事になりそう」  晩酌中の親父に、俺は思い切って話しかけた。  俺の16歳の誕生日が、1週間前に迫った今日。 「…分かった。大丈夫、お前の好きなようにしていいんだから」  飲みかけてた焼酎グラスを一旦置いて、親父が返答する。 「じゃ…」  俺はリビングを出る。途中でお袋が見てた気がしたけど、 そのまま部屋に戻った。  俺の部屋は、典型的なオタク部屋。  本棚には、商業誌と同人誌とエロゲがびっしり。  パソコン周りはとうにあふれて、フィギュアが所狭しと並ぶ。  2次元イラストの書かれたポスターは天上にも貼られ、  エロ抱き枕がベットに横たわる。  俺はドアを閉めると、パソコン画面と向き合い、とある スレに向かった。 『【まっすぐ】童貞のまま誕生日を迎える奴・106【女体化】』 カチッ。  そしてコメント入力欄に1行書き込んだ。 『あと1週間で、女体化する俺が通りますよ』 それに対して『仲間ktkr!』『スペックうp!』のレスが付く。 *** 862 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/08(金) 01:02:54.66 oXzMkwsG0 「秋則(あきのり)。ちょっと座れ」 親父が俺の名をフルネームで呼ぶことなんて珍しい。 俺は、親父の前に座った。 「母さんも、来てくれないか」 「うん…でも、ちょっと待ってぇ」  しかし、ちょっと待ってもなかなか台所から出て来ないので、 いびれを切らした親父が、話しを始めた。 「お前、まだ童貞なのか?」  待てw単刀直入すぎwwwお袋がその場に居なくて良かったww  そう思いながら「うん…」と後味の悪い返事をする。  そこにお袋が登場した。 「あなた、あきは何ですって?まだ童貞だった?」  ちょwwwお袋空気嫁www 「まぁ、俺達夫婦は、あきが選ぶ道なら、男だろうが女だろうが どちらでもいいと思ってる」  昔から一般の人が引くような内容でも、すんなり容認していた 両親だけど、ちょっと心が広くないっすか? 「でも俺、長男だし、一人っ子だぜ。いいの?」  念の為に確認する。  そこに意外な一言が登場した。 「あのねあき。実は母さん、元男だったの」 それなんてエロゲ!? …いや、エロゲでもそんな展開いらねぇww *** 863 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/08(金) 01:04:52.12 oXzMkwsG0 「で、でも、親父は…?」  親父は知ってて結婚したの。そこまで言えなかったけど、 なんとなく言いたかった事を分かってくれたようだ。 「母さんの過去を知っていたが、このまま受け止める気持ちで いっぱいだった」 「だってお父さん。プロポーズでは  『元男だって構わない!俺と付き合ってくれ!結婚してくれ!』  だったもの」  ちょっと待て。お付き合いキャンセル結婚だったの!? 「あの時は若かったなぁ」  そういう問題じゃないだろ、そう言いたくても声が出ない。 「だから、好きな方に進んでくれていいんだ」  …なんだか腑に落ちないんだが、俺の好きなように決断して いいことは分かった。 「あきは、可愛いお洋服とか好き?」  唐突にお袋が聞いてくる。 「…嫌いじゃ、無いかな」 「やっぱり!お部屋に女の子の絵が一杯あると思ったのよ。  それじゃぁ女の子になったら、可愛い服、新調しましょうね」  待て。いっつもその天然振りには戸惑っていたが、それはねぇよ。  と言うか、お袋。男の時は、どの位頼りなかったんだ?  そして1週間、一応悩んだんだが、ここで童貞捨てても、 その語女性と出会う可能性が少ないと感じた。  だから、俺は女になる事を受け入れることにした。 *** 864 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/08(金) 01:06:07.94 oXzMkwsG0 誕生日の朝。だるさを覚えながら、睡眠から醒める。 さて、俺の顔はどうなったかな。 デブが病弱と思われる程やせてるとは思ってない。 でも、可愛くなっていて欲しい。  一昨日、お袋が「女の子なら、全身見れる鏡は必要!」と 購入してきた姿見に映った自分を見て、朝だと言うのに、 ものすごい声を上げそうになった。  誰だお前!?  贅肉はほとんど取れ、ほんのりぽっちゃりとした容姿。 元々長めだった髪の毛は腰ぐらいまでのストレートに。 色を染める…なんて事はしなかったので、純粋な黒髪だ。 瞳も大きくなっていて、ちょっとぽちゃっとした唇が、 女らしさを表現していた。  すげぇ!コレが俺!?  思わず顔を引っ張るが、鏡の中の少女も同じしぐさをしていた。  間違いなかった。  慌ててあのスレに書き込む。 『秋◆/c1cQbsgqU  以前のブサメンです。てか、すげぇ美人になってた!』  朝だと言うのにすぐレスが付く。 『mjd!容姿どんな感じ!?』  そこで、今感じた事を書き連ねる。 『すげぇ!!うp!うp!』 『だから、うpは勘弁wwwww』  スレから離れると、俺はリビングに向かった。 *** 926 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/08(金) 11:00:14.43 ZnQ/x4bq0  今日は、女体化する事がほぼ確定だったので、事前に学校には 休む旨を連絡していた。 「…お早う…」  女体化後、始めて発した声は、ちょっと高めの女の声だった。  一応ドキドキしながら、お袋に声をかける。 「おは…あき!あきなの!?わぁ!あき、超可愛い!」  杞憂だった。 「残念ね、お父さんはもう会社に行っちゃったもの…。  そうだ!メールしよ!」  身体全体がだるい俺は、いつも以上に高いお袋のテンションに 付いていけないまま、携帯で撮られて、その写真は、仕事中の 親父へと送信されたのだった。 「体調はどう?今日はお休みだから、ゆっくりしてていいのよ」  女体化経験済みだからか、お袋は俺の身体を気遣ってくれる。  ご飯もお粥で、どこか疲れていた身体に染み渡るようだった。 「じゃ、部屋に戻るわ」 「何かあったら呼んでね。あと、今日の晩ご飯は期待してて!  大丈夫。朝は女体化で疲れてるけど、夜にはお腹が減るのよ」  嫌な理解度だな…と思いつつ、分かった、と答え、部屋に戻った。 *** 927 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/08(金) 11:01:56.54 ZnQ/x4bq0  ドアを閉める。  女体化して、気に入らなくなったら、売ればいいんだ。  そう思って、二次元系グッズはそのままだった。  ちょっと疲れたので、ベットで横になる。傍にはエロ抱き枕。 数ヶ月前にはまったキャラで、衝動買いしたやつだ。  以外に抱き心地が良かったので、そのまま置きっぱなしだった。  やっぱ、可愛いわwwwww  三つ子の魂、なんとやら。俺の性格は、女体化しても変わらない ようだ。フィギィアも、それぞれ女の子が可愛いポーズを取って、 いつもと同じ方向を向いている。  ポーズ…。  姿見…。  なんか、テンション上がってきた!これなんかいけそうじゃね?  一つフィギュアを手にして、姿見の前に移動する。  それを机に置き、見ながら、足を肩幅に開いて少し内股に、ちょっと 前かがみになり、左手は腰に、右手は人差し指を立てて顔の横に。  そして。顔は姿見へ…。顔を移動した瞬間、髪の毛がふわりと、 動きに釣られて移動する。  ちょwww3次元に萌えたwwwww  ていうか、コレ俺wwwww俺バカスwwwww *** 928 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/08(金) 11:03:31.46 ZnQ/x4bq0  でも、可愛いと思ったのは事実。ただ、惜しむべきは服装だ。  いつものダサいパジャマのままだ。  服いらねぇなぁ…じゃ、脱いで…みた…り?  い、いや。やましい事は無い。自分の身体なんだ!  そうだよ、今までと違うんだから、ちゃんと、分かってなければ!!  一つ一つ、パジャマの前ボタンを外す。なんか緊張するな…。  ちらっと鏡を見たら、上目づかいの女の子が、ちょっと小さくなって パジャマのボタンを外していた。  やべ、また萌えた。とりあえず前ボタンを外し終わる。下には何も 着ていないから、服の間から、今まで直射日光を浴びる事の少なかった 白い肌が見えた。けれど、これまでと違う、きめ細かい感じがする。  俺は、目をつぶって、勢い良く上を脱いだ。  ゆっくり目を開く。  そこには小ぶりな胸の、ちょっと顔を赤らめた少女がいた!!  ってだから、少女は俺なんだってば!!!  こ、これは混乱するな。男の時の思いがまだ残ってるのか?  この様子は、確実におかずに出来ると、断言出来る。 *** 929 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/08(金) 11:04:50.20 ZnQ/x4bq0 「あ、あははは…」  思わず、乾いた笑い声が出てしまった。  こうなったら!えぇい!…と、勢いで下も脱ぐ!  勢いありすぎて、パンツまで脱いでた。足元に服が落ちる。  うわー。無いんだー。  見た感想はこれだった。これしか思えなかった、と言うのもある。  この足元にパジャマがある状態、エロ画像なら萌えそうだが、 いかんせん、男のパンツまで見えるのが萎える。  足をパジャマから抜き、足で端に追いやる。  これで俺は、一糸まとわぬ状態になったわけだ。  改めて見た鏡の前の少女は、完全に顔を赤らめていた。 *** 176 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/09(土) 02:48:28.48 6sRq8R830  さて。全裸になった俺は、さっきと同じポーズをとる気は失せていた。 裸でやるにはバカらしい、という事に気付いたのだ。  風邪引く前に、服を着よう。  でも、まだ自分の身体だと言う認識が薄いからか、ダサいパジャマを 着させるのが…なんとなくかわいそうな気がしてきた。  タンスを開け、数少ない中でも、まだ良さそう服を探す。  ふと振り向くと、姿見に少女の白いお尻が映ってた。  だから、それ俺(ry  性別が変わっただけなのに、なんでこんなに見方が変わるのか。  男の尻は見たくないし。そういう性癖のある人は違うと思うけどさ。  服を決めた俺はタンスを閉め、ベットに上がるとそんな事を考えていた。  ベットの上で、なんとなく女の子座りしてみる。…男だったらキモくて 殴り倒してるよな。可愛いは卑怯だな。  俺の胸はそんなに大きくないけど、掴む事が出来るぐらいはあった。  昨日までは男の贅肉で掴めたけど、さわり心地が違う。手に吸い付く、 そして弾力感が気持ちいい。  乳首だって、可愛いよな…。  思わずつまんでみる。始めはなんとも思ってなかったけど、触って いるうちに、なんか、こう、むずむずするような気持ちになってきた。  自分の身体で女性の身体体験するなんて変な話だけども、こう指を 動かしてると、だんだん身体が変化してくのが分かる。  あ。エロゲとかの「乳首が立ってくる」ってこういう事か。  …と言う事は…。 *** 177 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/09(土) 02:51:16.38 6sRq8R830  興味しかもう頭にない。  ゆっくりと、右手は胸を離れ、お腹の下へと向かわせる。それに合わせて ゆっくりと、両足が外へと離れていく。  右足と左足の付け根辺りまで動いて、手が止まる。  …確か。この辺りに豆状のがあるはず…。  そろそろと、指が降下する。不意に柔らかいものに触れ、一瞬びくっと 身体が動いた。それでも、そのまま押し進むと割れた部分に当たった。  鼓動が早いのが分かる。未知の世界に入り込んだような気分がする。  ふぅっと息を吐き出すと、俺はそのまま指を進めた。  どこだろ…そう思った次の瞬間。 「ふあっ!」  びっくりするほどの感覚が全身を襲った。何が起こったのか分からなかった。 ドキドキするのが止まらない。  今のがクリトリスなんだ…。一度唾を飲み込むと、衝撃ではじかれるように 股を離れた俺の右手を、また元の位置へと向かわせた。 「ん…んんっ…」  ちょんちょんと突付いただけなのに声が出てしまう。  この緊張感と衝撃に、完全に酔っていた。  …そうだ、確かすべりを良くすると気持ちいいんだっけ?  すべてはエロゲの知識だけ。本当にいいのか分からないけど、迷わず クリトリスの奥へと指を進める。 「あ…」  思わず声が漏れた。俺、すごい濡れてる。  ガマン汁が出てる感じと一緒なのかな。すごくぬるぬるしている。  ちょっとだけ。すくうように指を動かして、さっきの位置まで戻り、 そして…。 「…んぁ…やっ」  さっきとは違う、もっとじらすような感覚。でも、これはこれで、いいかも。 *** 179 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/09(土) 02:53:33.62 6sRq8R830 「…ふぐっ…ん…んっ…」  どうしても声が出てしまうから、俺は左手で掛け布団を取ると、端を 口に半ば押し込むようにして咥えた。  終わるとすぐ、右手の動きを再開させる。もうゆっくりなんてスピード ではない。何回擦っただろう。その度に声を上げてる。  左手は、敷布団をぎゅっと掴んでいたのだが、気が付くと胸を掴み直して いた。しだいに左胸をまさぐるように動き始める。  もうダメ、もうそろそろおかしくなりそう…感覚から逃げたいのか、 ちょっとのけぞったその瞬間、姿見の少女と目が合った。  うわぁ、俺…俺、なんて顔して、なんて格好で、なんて動きを…。  さっきまで恥らってた少女とは思えない、とろけた表情で、人には 見せられない格好をしている画を見て、さらに身体が熱を帯びた。  こんな格好って、何かの画像で見た気が…と、熱を持った全身と、 止まらない手だけを感じている思考をよぎる。 「ん、んんーっ!!!」  急に泣きそうな気分になった瞬間、全身をぐっと突き抜ける感覚が 襲った。 「はぁ…はぁ…」  口から布団を放す。両手はまだ同じ位置にあるけど、もう動いていない。  幾度か呼吸を繰り返すと、だんだん気分が落ち着いてきた。 *** 180 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/09(土) 02:56:25.10 6sRq8R830  …汗かいてる。風呂入った方がいいかも…。  全身、汗まみれな事に気付いた。右手には汗以外の分泌物も絡んでいる。 ぬちゃっとした液体を、ベット傍らのティッシュでふき取った。  咥えていた布団の端は、元より濃い色に変わっている。  とりあえず今朝まで着てたパジャマを着て、風呂場に行く事にしよう。  ベットから立ち上がる。  急に、ひやっとした感触を受けた。  見ると、座っていた位置は、自分から出た液で、布団の一部を変色 させてしまっていた。  なんだか急に、悪い事したような気分に襲われた。  またティッシュを取ると、変色した部分をいくどか擦る。取れるわけ じゃない、でも…。  急にぶるっと震えが全身を襲った。まだ全裸のままだ。  仕方がないので、その部分には数枚ティッシュを重ねると、急いで 端に投げたパジャマへと向かった。  途中。姿見を通った時、横目で見ると、髪は乱れ、まだ軽く顔を上気 させている少女が過ぎ去るのが見えた。 ***25 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/11(月) 00:48:31.01 /nxv7vcq0 「き、着てみよぅ…」  いそいそと試着を開始する。うるんはサブキャラな上、お助けキャラの 位置付けだけど、どじっ娘の設定。  アニメ自体は始まる前、全体的にベタな設定に不評の嵐だったが、映像の 質が良かった事、それより内容が想像以上に面白く、はまる人が続出。 俺もその一人だった。  衣装は、袖部分にフリルの付いてるエプロンだが、その中は股下ぐらいの 浴衣風。濃い紅色に梅の花が散っており、裾にはレースが付いている。  そして黒ニーソに赤い鼻緒の下駄、おまけにネコ耳。ロングの黒髪。  小道具は漆塗りのお盆。うるんちゃんはそこから召還する、召還系魔法 使いだ。届いたお盆は、明らかに合成漆だけど。 「おぉぉ…」  なんとも女の子とは思えない声が出てしまったが、イラストもいいけど 立体の衣装もなかなか。  自分も黒髪なので、イメージには遠くないと思うんだけど…。 「思い切って、行っちゃおうかな…」  付けっぱなしのPC画面を見る。そこに記載されている日時は来週日曜日。  小さめの、アニメコスプレイベントのお知らせサイト…。  もし。もし衣装を着た自分の姿が悪くなかったら参加しようと、数日前から チェックしていたサイトだった。 *** 250 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/09(土) 15:29:57.93 nK1uVWiC0  あの後。やっぱり風邪引いた。  寝汗かいた、と言って風呂に入ったが、どうにも調子がおかしい。晩 ご飯は食べられたが、翌日から熱が出てしまい、朦朧とした2、3日を 過ごすはめとなった。  その為、学校は久し振りの登校となってしまった。 「…お袋。スカートって、すごく、その、スースーすると言うか…」  朝食を取りながら、俺は思わずこぼす。とは言え、ズボンを穿けるわけ では無いから、これを逃れる手はなく、俺が慣れるしかない。 「結構すぐに慣れるわよ。…あ、それじゃ、ストッキング穿いていく?」  ちょwww難易度上がったwww 「い、いや。ソックスでいい。…それじゃ、行ってくる」 「気を付けてね~」  足取りも重く、俺は学校に向かった。  ネット上では突撃に加わったりする俺だけど、学校では話す相手も少なく、 日ごろ対応しない相手から声を掛けられると緊張して、おどおどした感じに なってしまうほどだ。  だから、始業ギリギリに登校して、放課後はすぐに帰る毎日だった。  今日もいつも通りの時間に登校する。登校してる人もまばらなので、 その間の緊張感は軽いものだったが、教室が見えてくるに連れて心拍数は 上がる一方だった。 *** 251 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/09(土) 15:31:57.54 nK1uVWiC0  これまで、虐められてた訳じゃないけど、あまり評判が良くなかったのは 事実だ。まして久し振りの登校だ。  ガラ…ガラガラ…  教室のドアを、ゆっくりを開ける。教室内ではほとんどが、友達同士の おしゃべりで夢中になっていた。  い、今のうちに席に…。 「あれ?あの子、誰?」  全校の女の子チェックは欠かさない、と豪語している奴に見つかって しまった。教室中が静まり、そいつの指差す方、つまり俺を凝視している。 「あ、あの…」  どうしていいのか分からないでいると、先生が入ってきた。 「今日はやけに静かだな…ん?…あぁ、前原か。ほらみんな席に着け」 「えーっ!?あの前原!?」 「デブあき!?」  先生の言葉に、教室中が騒然となる。噂で聞いてた、俺の裏でのあだ名まで、 平然と飛び出していた。 「いい加減にしろ!!」  先生の一言で、一瞬静まり返る。そして皆、慌てて自分の席に移動したが、 席についた後でも、あちこちでひそひそ話しが聞こえる。  皆の移動に、まぎれるようにして自分の席に着いたのだが、居心地は これまで一番悪かった。何言われてるんだろ。もう帰りたい。  授業中も身に入らず、とにかく黒板の文字を写し取りはしていたが、 書く事がなくなった時は下を向いていた。 *** 252 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/09(土) 15:33:45.43 nK1uVWiC0  1時間目が終わってしまった。先生が教室を出て行く。  唯一の頼りが無くなる事に気づき、クラスの皆から逃れる気持ちで一杯に なった俺は、先生が出てくと同時に、席を立った。ら。 「前原~!超可愛いじゃん!!」  何故かクラスの女の子に囲まれた。机に手を突いたままぽけっとなる。 「びっくりしたー!女の子に変わって良かったんじゃない?」 「さらさらストレート、うらやましい!!」  いろいろ言われ、髪を触られ。勢いに押されて、俺は椅子に座り込んだ。 「親もびっくりしてたんじゃない?」 「これだけ可愛いと反則だよね」  ねーっ…って。これは、いじめられてるのか?  人に囲まれるなんて慣れてないので、そんな様子をもじもじしながら 見てるしか出来ない俺。 「さっきから話さないけど、声聞かせてよ!」 「あーっ!聞きたい!聞きたい!!」  何を言えと!でも、この女パワー・勢いは、恐ろしいものを感じる。 「え、えと…」  戸惑うしかなく。今まで学校でいたように、弱々しい、か細い声が 口からつく。 「うわっ!なんか可愛くない?」 「いつもおどおどしてキモかったけど、美少女になると可愛くなっちゃうん だねー」  口々に言われ、今までキモかった、にぐさりと気ながら、なんとなく 好感触を得てるのではないか?と思い始めていた。  外見がいいと、やっぱり人付き合いにも関わってくるんだな…。  次の授業始まりの合図に助けられた俺は、ノートを取りながら、そんな事を 考えていた。 *** 253 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/09(土) 15:35:23.61 nK1uVWiC0  やっと1日が終わった。  何故か、他のクラスの女の子もやってきたり、購買にパンを買いに行った時、 押されてよろけた…と思ったら、同じクラスの男に助けられたり。 つい手が出たみたいで「あ、大丈夫?」とだけ言うとすぐ離れたが、人から 自然に触られる事なんて無かったので、なんとも言えない気分に戸惑って しまった。  最後の授業が終わると、今まで通り、すぐ帰ろう…としたのだが、また 女の子に囲まれて、気が付くと1時間後の帰宅になっていた。こんなの初めてだ。 「ただいま…」 「遅かったじゃない!心配したのよ!何か問題あった!?」  疲れ果てて帰宅すると、お袋が玄関に飛んできた。  リビングの椅子に座ると、とりあえず今日あった事を伝えようとしたのだが、 女の子に囲まれた事しか思い出せなかった。 「そっか!じゃ、特に問題は無かったんだ」  これが問題無い事なのか…。明日も同じかと思うとぐったりする。 「私は、女の子と仲良くできるのかが心配だったのよ~。  じゃぁ、晩ご飯にしましょう」  女の子と仲良く、なったのかなぁ…そんな事をぼーっと考えていた。  部屋に戻るとベットに倒れこんだ。  …そうだ。面倒な事に、制服に皺がついちゃうから、脱がないとまずいん だっけ?  のそっと起き上がり、着替える事にした。姿見には、疲れた顔の少女がいた。  この顔…女の子は皆、可愛いって言ってくれてたよな。  やっぱり、可愛い…んだよな、誰が見ても。 *** 255 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/09(土) 15:38:28.88 nK1uVWiC0  制服を脱ぎ終わり、部屋着を手に取る。振り向くと、姿見に振り返る 下着姿の少女の後姿が見えた。  女物の下着は、お袋が俺の休み中に購入してくれ、そして、付け方等の レクチャーをしてくれた。はっきり言えば、めんどくさいと思った。  自分も着る物も周囲も、すっかり変わってしまった事を改めて感じ、 服を着ると再び布団に倒れ込んだ。  また身体を弄繰り回すという気分は、あれから起こってない。思い出すと ドキドキするけど、最後に感じた罪悪感が胸に引っかかっていた。  せっかく可愛くなった自分。なんだか大切にしなければいけない、そんな 気持ちが込み上げてきていた。  と言う事で。自分を生かして、可愛がる事にした。  ピ~ンポ~ン 「キター!」  俺しかいない、土曜の午後。チャイムが鳴った。注文していた品が届いた 知らせだ。  大きめな段ボール箱を受け取る。部屋に戻ると、いそいそと箱を開け始める。  包みから出てきたのは、欲しかったコスプレ衣装。  今はまっているアニメ「おまかせ☆マジカル メ・イ・ド」のキャラクター、 うるんの衣装だ。  フィギュアや等身大ポスターは持ってるのだが、衣装はさすがにまずいと 手が出なかった。だがしかし。今、自分は女なのだ。女が女の衣装を所持して 何が悪い!  勢いで購入したのだが、冷静になると、届くまで気が気じゃなかったのは 言うまでも無い。  でも、こうして現物を目の前にすると、そんな不安は吹き飛び 「買ってよかった…」  と言う心境が、思わず口からこぼれていた。 *** 26 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/11(月) 00:52:11.41 /nxv7vcq0  女体化した後、しばらくしたら、男から告白されるようになった。主に、 他学年の男からだ。みんな、すれてない感じがいいと言う。すれてない…と 言うより、まだ女の子のテンションには付いていけないだけだ。  始めは上手く返事が出来なかったけど、5回も続くと 「俺、元男だし…」 と、すらっと吐けるようになった。それを聞くとみんな去っていった。  その内、”元男”が効かなくなってきた。本当に気に入ったのか、相手して くれる女がいないからカモにされてるのか分からないけど。  でもこちらはその気じゃないので、 「…だったら、昔の私の写真。見てみるといいよ」 との、言葉も付け足すようになってきた。  その言葉を聞いた後、改めて告って来る奴はいなかった。  今は落ち着いたが、1、2週間に1回ぐらいの間隔に。でもまだ男が寄ってくる なんて、一体、どれだけ相手がいないんだよ。  相変わらず女の子は集まってきているが、だいぶ減った。  返答は余り上達していない。でもちょっとした意思表示は出来るように なっていた。女の子の好きな雑貨なども、分かる様になってきた。  そして、何が言いたいのかも分かってくるようになっていた。  始めはどうも、俺に対して告白してくる奴が多いので、嫉妬や監視から 集まってきてたようだ。全部断ってるけど、図に乗ってるわけではなく、 おどおどしたままのが良かったのか、とげとげしさは薄くなってきている。  今はほとんど、本当に雑談をしている感じだ。 *** 27 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/11(月) 00:56:01.77 /nxv7vcq0 「ただいまー。母さん、晩飯…」 「ば ん ご は ん」 「…はい。晩ご飯、まだでしょうか」  言葉遣いなんて、今まで注意された事は無かったのだが、ここの所、注意 される事が多くなった。一人称も『俺』から『私』に変えさせられた。 けれどもつい、雑な言葉は出てしまう。 「それにしても。本当に女の子が身に付いてきたわよね。スカートももう 慣れたでしょ?」 「慣れたと言うか…慣れたのかな」  始めの頃のように、気恥ずかしさは薄まってきているけど、歩く時に布が ふわふわする感覚はまだ気になる。 「そう。今週の日曜日、ちょっと出掛ける」 「何かゲームの発売日だっけ?…あ、日曜日だからイベント?」  理解力ありすぎ。 「ま、まぁ遊び…」 「もう女の子なんだから、遅くなっちゃダメよ」  コスプレイベントに行くにしても、声を掛ける相手なんて居ない。一人での 参加。状況に耐えられなくなったら、速攻帰ってこようと思っている。  女の子達と少しずつ話せるようになった事、男に告られた経験。外見の せいだろうけど、それらの経験は少しずつ気持ちを前向きにさせる影響を 与えている気がしていた。 *** 28 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/11(月) 00:56:52.77 /nxv7vcq0 当日がやってきた。現地に着いたが、どうしていいのかよく分からない。  にわかのカメラ小僧はした事あるけど、撮られる側は初めて。思わず衣装の 入ったバックを抱きしめる。 「コスプレ参加の方ですか?」 「は、はい」 「ではここに名前等書いて。はい、これが参加証ね」 「は、はい…」  運良く出会えた係りの人に流されるまま手続きをして、更衣室に入れた。 みんな、思い々々の格好をし、綺麗に、可愛く見えるようにのチェックに 余念が無い。  俺は隅に移動し、いそいそと着替えを始めたが、開始ギリギリに到着した 為か、どんどん女の子は開場へと移動していた。着替え終わった頃には、 数人しか残っていなかった。  ドキドキする。なんでだろ、いつもと違う服だからか?  いや違う。元々インドア、ネット中心の生活してたのに、大勢の中に紛れ 込もうとしているからだ。 「早く出てくれる?」  簡易の更衣室なので、出入り口は狭い。 「は、はい。ごめんなさい」  声に押されて、慌てて俺は外へと飛び出した。 *** 29 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/11(月) 00:58:25.94 /nxv7vcq0  すでに、あちこちで撮影が行われていた。あのアニメ、あのゲーム。  見たことあるキャラに、元々のオタク魂が萌える、いや燃える。 「あれ?うるんちゃんだ!可愛いね!」  昔の俺のようなカメラ小僧が近づいてきた。声を掛けられて、思わず ドキっとして、お盆を抱きしめる。 「おっ!うるんちゃんのイメージそのまま!写真撮らせてよ!」  違う奴も近づいてきた、のを皮切りに、どんどん集まってくる。  欲望丸出しの迫力は、かなり怖い。 「ほら!決めポーズ取ってよ!」 「早く!早く!!」  俺も同じ事言ってました。これまでのレイヤーさん、ごめんなさい。  そんな事がよぎりながら、逃げようにも足がすくんでいると、声がした。 「あーっ!うるんちゃん、発見!!」  女の子の声に振り向くと、「おまかせ☆マジカル メ・イ・ド」の主人公 キャラクター、マイと敵役の男・ウッドのレイヤーがいた。  マイ役の女の子は、その短めメイド衣装が良く似合う人。  小さいイベントなので、武器の剣も鞘から抜けないならOKだったから、 その小道具を腰両脇にぶら下げて、アニメのイメージ通りの姿だった。 ウッド役も青いタキシード風の衣装で身長もあってかっこいい。昔の俺を 思い出すとげんなりするほど似合っている。 「一緒にポーズ取ろ?」  早速、側でポーズを取るその女の子。こうなれば、どうにでもなれ!  調子に乗って、一応家で練習してきたポーズをその横で取る。  …。非常に多くのカメラ小僧が集まっていた事に、改めて気が付いた。  カメラのレンズを通して、ものすごいエネルギーを感じる気がする。 *** 30 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/11(月) 01:00:23.45 /nxv7vcq0 「じゃぁ。今度は…こうだっ!」  その子は大胆にも、俺に抱きついてきた。 「!」  思わず固まってしまったけど、うるんちゃんは控えめキャラだからか、 それに特に苦情も無く、暫くしたら人はだんだんと居なくなっていった。  終わってみると、以外に撮られる事が気持ちよかった。 「突然ごめんね!うるんちゃんイメージぴったりなんだもん!」 「あ、ありがとう…」  屈託の無い笑顔で、楽しそうに話しかけてくるその子を見ていたら、だんだん 緊張も薄まってきていた。 「私は可憐、と言ってもコス用w でこっちが友達の紫苑、同じくコス用ね」 「宜しく」 「はい、宜しく…えと、私は今日が初めてで、コス用の名前とか…」 「あ、初体験だったんだ!これからもやるなら、時々会おうよ!  これ私のメアド。良かったら連絡頂戴。それまでにコス用の名前決めて もらっていいし。本名さらすのはちょっと怖いだろうからね」 「ちなみに、さっきの写真撮ってた中に知り合いがいるから、俺にも教えて くれるなら、データ送るよ」  自分も見たいけど、マイとウッドのも見たい! 「そ、それじゃ。帰ったらメールします」 「うん!待ってる!!」  じゃぁ、またね!元気に手を振り去っていく可憐ちゃんに釣られて、 思わず小さく手を振る。もう振り返らないのを確認すると、急に疲れが出て きたので、もう帰る事にした。 *** 31 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 投稿日:2006/09/11(月) 01:01:14.62 /nxv7vcq0  ぼーっと歩いていたと思う。 「おっ!うるんちゃんじゃん!写真、いい?」 「あ。あ、はい」  3人の男が近寄ってきた。さっきの雰囲気を思い出し、ちょっとだけなら…と、 思わず了承していた。 「じゃあさ、こっち来ない?いい撮影スポットがあるからさ」 「えっ…」  人の居る方とは逆…。でも手を引かれる力に負けて、3人に囲まれるように 連れて行かれる。  不安が込み上げるが、どうしても逃げ出せる雰囲気じゃなかった。

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