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みさと第2部 ゆうき(2) だお ◆oCJZGVXoGI - (2006/10/25 (水) 17:57:57) のソース

[[みさと第2部 ゆうき だお ◆oCJZGVXoGI]]

*** 455 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 08:56:29.32 4Y0AIQFhO [#uc35502c]
「いらっしゃいませ!!」 
くるくるとよく動く大島のお陰で喫茶店は盛り上がっている。 
…で、俺もメイド服を着ているわけなのだが…男の自然が痛い。 
やはりこの胸があるからだろうか? 
「すみませーん、これとこれを…」 
「わか…りました」 
あまり喋るのが得意じゃない俺にはこの作業は向いていない。 
「みさとちゃん写真撮るね~」 
「はいはーい」 
「パンチラktkr」 
「チラ見は一回500円です」 
ほんと…よくアドリブが効くやつだ。 
しかもちゃっかりチラ見代を貰って自分の財布にいれているし…。 
「うははww儲かりまくりんぐww」 
…こいつ…ニュータイプか 


*** 458 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 09:15:46.23 4Y0AIQFhO [#gdeeb145]
「おーい、こっちも注文きてないんだけど」 
「は…はーい!」 
昼になると流石に500円を貰う時間がないのかバタバタ走り回っている。 
その必死そうな姿に男子が面白がって呼びつける。 
それが大島の作戦でもあったのだが…。 
「はぁ…はぁ…」 
「おらおら!休むな!」 
「はぃ…わかりましたぁ」 
大島の顔がにやりと笑う気がしたが… 
「あー!なんで俺こんなに注文してんだ!?」 
疲れた姿を見ようと注文しまくった客に大島は笑顔でお礼を言ってる。 
おそろしい子……!! 


*** 459 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 09:31:13.46 4Y0AIQFhO [#m9b10b30]
「あー疲れた」 
メイド服姿のまま冷やしたタオルを頭に乗せ溜め息をする。 
「お疲れ様、凄い人気ね」 
「俺じゃないだろ」 
石田に向かって大島は笑いながらいう。 
いや、どうみてもさっきのはお前目当てだよ。 
俺が呼ばれた回数は5回程度、石田は倍以上か 
大島に確かにメイド服がよく似合う、妹のような顔や身長にメイド服…これは結構…。 
「足立さんこっちはー?」 
「少しは待ちなさいよね!ちゃんと行ってあげるから!」 
……足立もあれだな… 
黒髪を左右に結んでいてお姉さん的な雰囲気は何かいい。 
そこにあの喋り…まぁ俺は別になんでもいいわ。


***  466 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 10:52:12.28 4Y0AIQFhO 
「それにしても、気持ち悪い」 
「何が?」 
「あつー…」 
スカートをパタパタさせながら大島は歩き回っている。 
とりあえず落ち着いてほしい。 
「そのスカートパタパタはやめな」 
「いいじゃん」 
やはりかなり疲れていたらしい。 
流石にあんなにずっと走り回っていたら疲れるだろう…。 
この疲れた顔を見たくてみんなが走らせて居たのだが…結局見せなかったな…。 
やることだけはしっかりこなすのが大島だ。 
「それにしても儲かったぜ」 
財布から500円玉が大量に出てくる。 
流石大島、しっかり自分の仕事をしてやがる。 


***  476 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 13:14:24.92 4Y0AIQFhO 
「うー…さむい…」 
大島は少し暗くなった空の下を一人で歩いていた。 
みんな先に帰るなんて…そんな風に呟きながら石ころを蹴る。 
「ぼく…ん?ぼ…ぼ…えーっと…俺!」 
なかなか出にくくなった言葉を必死に思い出す。 
「ぼくばっか置いてけぼりかぁ!」 
…… 
「ぼく…じゃなくて俺ね、俺」 
最近やっぱり進んでる…。 
最初は私と言おうとしていたが無理に押さえると僕になっていた。 
なんというか…うぅ…さむい…。 
はやく帰ろう…。 


***  483 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 14:23:20.67 4Y0AIQFhO 
「ぼくじゃなくて俺」 
鏡に向かって呟きながら大島は悲しそうな顔をする。 
元の自分とお別れをする時が近いらしい。 
だが自分はまだここにいる、考え方や口調が変わる…それだけだ。 
なのに寂しかった。 
…あ…そうだ…。 
「お父さん」 
「うぉ!?裸はやめなさい!」 
「パンツはいてるよ」 
「シャツ着ろ!」 
「…おいクソじじい!…さよなら」 
「どういう意味だ?」 
ふらついて壁に手をやりながら僕は笑ってみせた。 
父親はどういう意味かわからないというように僕を見てる。 
「あ…」 
自分の中から抵抗しようとする意識が消えた。 
それが妙に怖いような気もしたが、すぐに馴染んでくるのがわかる。 
「お父さん」 
「…そうか…みさと、シャツを着なさい」 
「わわっ!?見ないでよっ!?」 
隠しながら部屋に戻っていく僕の背中を父親が寂しそうに見ているのがわかった気がした。 
ごめんなさい…お父さん… 


***  488 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:02:06.54 4Y0AIQFhO 
「あれ?今日は結んできたの?」 
セミロングの髪を両端で縛りツインにしている大島が前より女になった風に見える。 
「おはよぉ!今日はちょっと気分転換だよ」 
「そっか…」 
その言葉でだいたい理解出来た。 
あぁ…前までの大島はもう…。 
「暗い顔……何か悲しいことあった?」 
「ううん、何でもないよ」 
足立が大島の頭を撫でるとまるで子犬のように見上げてる。 
尻尾なんかあればぶんぶん振っていそうだ。 
「ぁ…そうだ」 
ごほんと咳払いをして大島はにっこりと笑ってみせる。 
「あんまり暗い顔すんなって!…どう?元気になった?」 
消えた訳じゃないんだもんな、……複雑な気分だ。 
「ゆーちゃん」 
「俺のことか?」 
「うん」 
今まで見たことのない笑顔に自分の顔が赤くなるのがわかった。 
うぅ…俺も体は女なんだが… 
「で、みさにみずちゃん」 


***  489 名前: ◆oCJZGVXoGI 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:03:14.64 4Y0AIQFhO 
「あんたもみさじゃない」 
「一緒だね」 
足立はやれやれといったように大島の頭をぽんぽん叩いて歩き出した。 
「みずお姉ちゃんね」 
「わかった!」 
大島みさとは明るい女の子だ、笑顔が可愛くて……妹みたいな……。 
涙が少し流れた気がした。 
もう…冬の時期か… 


***   493 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:27:18.33 4Y0AIQFhO 
「あ、ボクのご飯は自信作!」 
さて、見ないように食べるかという空気に大島は怒っているようだ。 
「今回はすごいからねっ!?」 
弁当箱を開けると中には綺麗に盛り付けられた弁当が…。 
「まーた嘘ついてる。お母さんでしょ」 
「えっ!?ち、ちがうよ…」 
弁当箱を抱えるように隠しながら大島はいう。 
「嘘つきは…」 
「うー…だって…」 
しょんぼりと弁当を前に静かになる大島に石田はクスクス笑う。 
「俺は大島の弁当は嫌いじゃない」 
「ほんと?」 
「見た目も匂いも味も悪いが嫌いじゃない」 
「…っていうことはみずお姉ちゃんのお弁当より美味しいって事だね」 
「なんでそうなる」 


***   501 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:59:32.17 4Y0AIQFhO 
「ぱんちんぐましーん…」 
「俺は得意だ」 
山根はポニーテールを揺らしながらグローブを付け体重を乗せて機械を殴りつけた。 
がごん!! という音が響く。 
「鈍ったか」 
表示には95と表示されている。 
次に立ったのは足立だった。 
「いきます」 
またもや機械が揺れる。 
機械の画面には83と表示されている。 
「負けた…」 
「次私」 
本気で悔しそうにする足立をよそに石田が金を入れる。 
「いくね」 
グローブをはめて一気に…。 
軽い音が響き機械は何事もないように計っている。 
56の数字に石田はあらあらと呟きながら大島に交代した。 
「……あ…背が届かないかも」 
「じゃあ椅子に乗って…はいどうぞ」 
「とぅあ!!」 
がすんと言う音と同時に機械は威力を測定しはじめ大島は…。 
床に落ちて転がっていた。 
ちなみに30だった。 


***  528 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 17:18:17.61 7ndEh5l30 
11月に入ったとあって木々の紅葉がよく進んでいる。 
落ち葉がつもる路地を落ち葉を踏む音を聞きながら歩き続けていた。 
空は迫ってきそうな程に青く、雲は綿のように流れていく。 
大島はそんな空を見上げてはぁっと溜息を付くと落ち葉をまた踏みしめる。 
「みーさーと」 
「あ、みさ」 
足立が長い髪を風に靡かせながら大島の前に出てくる。 
いつもの優しそうな顔に大島はほっとしたような笑顔を零した。 
「散歩なんて年寄りみたい」 
「みさも一緒にする?気持ちいいよ」 
「ん~・・・羊羹と緑茶が・・・別に食べたいわけじゃないんだよ?」 
「みずお姉ちゃんのとこ、いく?」 
「いくいく」 
クスクスと笑いあう大島と足立の間を冬を告げる風が吹く。 
スカートに黒いストッキング、編んだセーターを着た大島はパタパタと走って足立から少し離れる。 
「寒いから早く行きたくなった!」 
「まったく・・・」 
二人は少しだけ早く歩きながら、秋に染まった街を歩いていった。 
昔、二人でよく遊んだように、笑いあって。 
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