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水銀燈3 - (2006/01/15 (日) 15:50:22) のソース
<p> 銀「(今日もジュンは図書館ね。うふふ、今なら真紅もいないしジュンとゆっくり話せるわ~)」<br> 銀「あ~らジュン~、今日も学校には来ないで図書館でお勉強?・・・なんだったら今日は暇だから私がかわいそうな貴方と一緒に勉強してあげても」<br> ジ「うるさいな、僕の事なんてお前には関係ないだろ。ほっといてくれ。」<br> 銀「・・・・・あ、あ~らそう・・。分かったわ・・・。」<br> <br> ジ「そうか、分かったなら早くとっとどっかに行ってくれ。」<br> 銀「・・・・良いわ、また今度ね。」<br> 銀「(何なの、酷いわジュン・・・。あ、あれ何でかしら?どうして涙が出るの?どうして・・・?)」</p> <hr> <p>私は私が嫌いだ……<br> 同世代にまず見かけないシルバーブロンドの髪、白い肌に紅い瞳。どれもが忌々しく憎らしい。<br> この肌と瞳はアルビノ、即ち特異的な遺伝変異によって起こったものらしい……</p> <p>人は異端を排除する生き物だ。<br> 人は成長するに従いドロドロとした本心を暗い闇に仕舞い込み、仮面をかぶる術を自然と身につけるものだ。<br> だがその術を知らない子供は忌々しいまでに素直に己の本心に従い、身を委ねるのだ。他者の明確なる拒絶を……</p> <p>「■■■って何かキモいよね」<br> 「あの髪……まるで悪魔ね」</p> <p> あちこちから聞こえる悪意ある言葉に幼いころの私は酷く傷つき、そして自分の殻へと閉じこもるようになるのは当然の成り行きだった。<br> 殻に篭ればこれ以上傷つくことはない……暫くすると周りの音も気にならなくなった。それが酷く嬉しかった。だが……</p> <p>「おい……」</p> <p> あれは酷い夕立の日だった。持ってきたはずの傘は無くなっていた……そんな嫌がらせはいつもの事だった。<br> 私は仕方ないので降りしきる雨の中、帰路へ着こうとした時ふと雨が自分の身体を叩かないことに気がついた。<br> 顔を声の主へと向ける。するとそこには傘を片手に頬を指で掻く一人の少年の姿が少女の瞳に鮮やかに映った。</p> <p>「傘……ないのか?」</p> <p> いつもなら声を無視してさっさと帰っていたはずだ、なのに……</p> <p>「…………見ればわかるでしょう?」</p> <p> 酷く冷たい声、そんな声に憎悪さえ抱きそうになる……それなのに……</p> <p>「…………そっか」<br> 「早く退きなさい……邪魔よ」<br> 「なら……最後まで邪魔するかな」<br> 「なっ!?」</p> <p> 酷く狼狽する自分の言葉に少年は小さく笑った。今までに見たことのないその暖かな笑みに私は……私の殻は音を立てて崩れたのだ。</p> <p><br> 今日は久しぶりの雨……おかげで久しぶりに昔のことを思い出した。自分の右手には水色の傘が握られている。<br> とりあえず私はその傘を片手に隣の咳に座る彼に向かって声をかけることにした。</p> <p>「帰りましょうか……もちろん相合傘でねぇ♪」</p> <p> 私の声に奇声を上げる同級生達……高校に入って出来た“友達”に向かって私は余裕の笑みを浮かべた。</p> <p><br> 今、私は私が好きです。</p> <hr>