168.GMとは…
「彼女もね……」
「え?」
「彼女も一介の冒険者だったころはあんなんじゃなかったんですよ。
ええ、今でも覚えています、本当にあの世界が好きな子でした」
ゆっくり穏やかにそして悲しげにその元GMは言う
「え?貴方は昔の彼女を?」
「もちろんです、彼女に限らずあちらで会った人達のことは今でも覚えていますよ。
彼女はたしか……そうそう、よくアルデバランに居ました、時計塔の鐘の音が好きだ。と」
まるで昨日の出来事の様に話す様に♀GMは頭を金槌で殴られたようなショックを受けた
自分は職務をただこなすだけであの世界の住人のことなど欠片ほどにも覚えていなかったのだ
それに引き換え目の前に居る男性はGMを退いた今でも……
「彼女も何かに狂わされたのでしょうかね、彼女自身が狂わせたあの模造品の世界の様に」
最後に呟かれたその言葉はもはや♀GMの耳には届いていなかった
<ヒャックたん&♀GM所在地:癌呆新開地開発部(94話から移動せず)
所持品:共に不明 備考:殺戮の舞台である世界(鯖?)を監視中、なんらかの綻びが生じた場合行動?>
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