バトルROワイアル@Wiki

2-157

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157.相容れぬ殺戮


何人もの手練れの暗殺者。
罠に加えてモンスターの放たれた大部屋。
壁の見えない複雑な迷宮。

アサシンギルドに存在するあらゆる障害を越え、3人の男がアサシンギルドマスターの前に立っていた。
鋭い眼光を3人に向け、まずギルドマスターが言葉を発する。

「……随分と派手にやってくれたようだが、女王の親衛隊がわざわざ何の用だ」

それを受け、そのうちの一人の男が一歩前に出る。
一礼し、胸に手を当て話す。

「いえ、我々はGM……親衛隊ではありません。 その使い走りとでもお考え下さい」

別の一人が前に出て、続ける。

「GMジョーカーの命により、昨日より♂アサシンのBR参加前の行動を調査しておりました」

もう一人が前に出て、同じように続ける。

「BRの機密を王国の者より聞き出した者がいます。 そして、その者の遺体はモロクで発見されていますが……」

最初に前に出た一人が話す。

「その遺体は偽装である疑いが強かったのです。 ではその遺体は何処の誰なのか……
いえ、誰なのかは問題ではありません、その遺体を誰が何処から何の為に用意したのか」

ギルドマスターは変わらぬ眼光を向け、静かにそれを聞いている。
動揺などは一切見られない。
そんなギルドマスターを無表情に見つめ、男は話し続ける。

「当初は調査にてこずったのですが、モロクを縄張りにしているローグの方々などからようやく情報が集まってきまして。
一人の男、それも今回BRに参加した♂アサシンに酷似した男が遺体を運んできたとの話しが聞けました。」

そこでギルドマスターは口を開く。

「つまり、♂アサシンが偽装の為の遺体を用意したことが王国への反逆に当たる、とでも言いたいわけか?」

それを聞くと、最初に話し始めた男が少し苦笑して話す。

「王国の知る限り、あの♂アサシンはギルドの仕事以外で一切人は殺していません。 BRに参加中の言動からもそのような人物であると見て取れます。
かと言って、無許可にこのギルドから遺体を持ち出しても問題になりますね。 となりますと……
……アサシンギルドから許可を受けて持ち出した、運営を統括する貴方がそれを知らないはずはない。
そして、貴方はそれを何の為に用意するのかを確かめた」

そこで、話していた男が手を挙げる。

「貴方は♂アサシンから聞いた依頼主が何者かを聞き
その行動を洗わせ、その遺体が何の為に用意されたのかを確認した」

それを合図とし、3人の背後からいくつもの弓や杖が
ギルドマスターに向けられ、3人もサーベルを抜く。
男はまた話し出す。

「……♂アサシンをわざわざ今回のBRに参加させたのは、その依頼主が今回参加しているから。
別のアサシンでは依頼主の信用を得られませんからね。
♂アサシンにその遺体を用意させた本当の目的を伝えて依頼主との接触を優先させなかったのは
暗殺者としての心構えが未熟な彼ではあからさまな行動をとりかねないからですね。
…………貴方は何故BRを潰そうとするのですか。反逆者を淘汰する素晴らしいシステムですのに」

そこまで聞き、ギルドマスターは嘲笑して言う。

「何にしても、それはほとんどが推測だ。
♂アサシンが黙って遺体を持ち出した可能性が無いわけではあるまい」

ふと、男も少し笑い。

「確定させるのはあとで構いません。我々は貴方を連行するために此処まで来たのですから」

「何でも構わん。貴様らがどんな拷問に出ようとも俺は潔白だ、期待されていることなど何も話しはしない」

「……アサシンギルドを守っていたアサシン達、彼らが人質でも?」

ギルドマスターの眼光がまた鋭くなり。

「手強い方々でしたよ、強力な薬物で肉体強化をせねば取り押さえられないような。
おかげでほとんどの人員が当分はロクに動けませんよ。
と、付け加えておきますと貴方を含めアサシンギルドの機能を奪うことで
この王国に多大な被害が出ることは承知しています。
ただ、それだけBRが重要であると御理解下さい」

「……汚い連中だ、本当に」

「何とでも……と、コレは貴方には伝えておくべきですか」

男は鋭い笑みを浮かべ。

「もう♂アサシンは死んでいますよ、別の参加者の手でね。」

「…………そうか」

ギルドマスターはそれを聞いても平然としている。
男にはそれが少しつまらないのだが、仕事に私情は挟まないよう努め
連行するよう指示を出した。


アサシンギルドマスターがBR制の崩壊を望む理由。
彼は憂いていた、こじつけの罪でBRに参加させられ無残に死んでいく人々を。
BRを恐れ、荒廃していく王国を。
アサシンギルドの殺しによる世の平定はとても保てず、混沌へと突き進む。
それを打ち破り、あるべき姿へ世界を戻したかった。

(……♂アサシンはただで死ぬ男じゃない。 あの男が何かを為せたと信じるしかない、な)



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