バトルROワイアル@Wiki

220

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220.激怒


「ごはっ!」
血反吐を吐いてその場に蹲る♂プリースト。
秋菜はそれを冷笑しながら見下ろしていた。
「あらら~。もう終わりですか~? せーっかく私が・素・手・でやってあげてるんですよ~」
即座に言い返したい所だが、腹部を襲う激痛のせいで声が出せない。
インティミの後、砦内に逃げ込んだ所をIWで出入り口を封じられ、その後はひたすら殴られっぱなしである。
出来れば砦の外を逃げ回りたい所だったが、視界が通っている状態だと、秋菜が容赦なく魔法を放ってくるので、とてもではないが障害物無しではやってられなかったのだ。
「もー私は♀セージちゃんとこうしたかったのに、邪魔なんてしてぷんぷんですよっ!」
蹲る♂プリーストを無造作に蹴飛ばす秋菜。
まるで全速で走るペコに跳ね飛ばされたかのような衝撃に、♂プリーストはたまらず地面に倒れ伏す。
「こうなったら、♂プリーストちゃんで遊ぶとしますね~。恨むんなら、身代わりになった♀セージちゃんを恨んで下さいねっ♪」
もう一度側面から♂プリーストを蹴る秋菜。
鈍い音がして、♂プリーストの左腕がひしゃげる。
「っぐあぁぁぁーーーー!!」
遂に悲鳴を上げる♂プリースト。
腹部を殴られた時の比ではない。痛みの余り、一瞬今自分が居る状況すら忘れ去る程だ。
そんな♂プリーストの右腕を引っ張って持ち上げる秋菜。
何をしようとしているのか気付いた♂プリーストは、必死になって言った。
「よせ止めろ! くそっ! ふざけんなっ!」
「えいっ♪」
またも鈍い音が響き、♂プリーストの絶叫が木霊する。
完全に戦意を喪失したように地面に蹲る♂プリースト。
全身を震わせて、ひたすら痛みに耐える事しか出来ない。
「うんうん、♂プリーストちゃん頑張った♪ でもー、私は全然不満ですー」
ぶーと口を尖らせる秋菜。
「後悔させなきゃね♪ 貴方達全員に♪」
秋菜は♂プリーストの襟首を掴んで引きづり上げる。
顔中に苦痛を漲らせながら、♂プリーストは言う。
「……ふ、ざけんな……後悔なんざしねえよ……」
「わおっ、強情! その方が楽しいんですけどねん」
「……俺はくたばるだろうが、お前の仲間も一人しとめた。……残りは他の連中がヤってくれる。く、くたばるのはてめーの方だ……」
♂プリーストの言葉に秋菜は眉を潜める。
「ほへ? 一人? GMの被害は二人でしたよ?」
「あんなの……仲間でもなんでもねえだろ……砦の中に居た、あの野郎だよ」
瞬間、秋菜の顔から余裕が消えた。
「な……んですって?」
♂プリーストは笑う。
「てめーの仲間は俺が殺したって言ったんだよ! 俺達が首輪を外してから今まで、ぼけーっと何もしてなかったとでも思ってんのか!?」
完全に真顔になる秋菜。
「殺した? 彼を?」
♂プリーストはせせら笑いながら続ける。
「新要素レポートだったか? あのくそったれな紙くずに埋もれてぴくりともしてねーよ! ざまーねえなクソGMが!」
そこまで言うと、♂プリーストは自分の足で立ち、秋菜を足の裏で蹴飛ばした。
♂プリーストの言葉にショックを受けていた事もあり、まともに腹にケリが入る。
「お前も俺達がぶっ殺してやるから、ありがたく死にやがれ!」
たたらを踏んで後退した秋菜の顎を、下から掬い上げるように蹴り上げる。
秋菜の顎が跳ね上がり、後頭部をしこたま地面に打ち付ける。
動揺している秋菜、♂プリーストはその隙を見逃す気は無い。
仰向けに倒れながら真上を見上げる秋菜の、顔面を踏み潰そうと足を振り上げる。
秋菜は、呆然と天井を見上げたまま♂プリーストの足を掴む。
寝ころんだ力の入りずらい姿勢にもかかわらず、♂プリーストはその手を振りほどく事が出来なかった。
無造作に秋菜の手が振るわれると、♂プリーストはまるで紙のおもちゃみたいに軽々と放り投げられた。
数秒の浮遊感、そしてその後地面に激突。
勢いはそれで止まらずに、ごろごろと地面を転がり回る。
その際、地面に何度も折られた腕を擦りつける事になり、その度身をよじらんばかりの激痛に襲われる。
そうして回転が止まった時、♂プリーストは口から泡を吹いたまま、目の焦点も合わずにただ地面に這い蹲る事しか出来なくなっていた。
秋菜はその場に跳ね起きると、転がる♂プリーストを走って追いかけ、回転が止まった所で♂プリーストの上に乗り、馬乗りになって動きを封じる。
仰向けに倒れた♂プリーストと、その上に跨る秋菜。
両腕をへし折られた♂プリーストには、最早抵抗の手段は残されていなかった。
最初の拳が♂プリーストに振り下ろされる。
その一撃で失い欠けていた意識が戻る♂プリースト。
再度拳を振り上げる秋菜を見ると、その動きがとても遅く感じられた。

『なんだ? 随分トロイなこいつ……もっとも、俺も全然動けねえんだけどさ』

体を回転させながら、拳を振り下ろす秋菜。
♂プリーストからは、秋菜の顔が良く見えた。

『へっ、ひでぇ顔してるぜお前。そうそう、てめえにもそうやって本気になってもらわねえとな』

上半身の体重が充分に乗り、腰の回転を加えた拳、それはこの体勢から放てる最大の拳であろう。

『俺達の決着付かないまま、お前に逃げられちゃ締まらねえ』

その威力のせいか、特に大きく見える拳。

『ブチ切れてる奴の方が御しやすいだろ♀セージ……後頼むわ、俺はここでリタイアだ』


二撃目で♂プリーストは意識を失う。
その後は秋菜の気が晴れるまで、♂プリーストの頭蓋骨が砕け散り、頭部が完全に肉片と骨の欠片になるまで、秋菜は♂プリーストを殴り続けた。


<♂プリースト 死亡 現在位置/ヴァルキリーレルム砦内部 所持品/チェイン、へこんだ鍋、♂ケミの鞄(ハーブ類青×50、白×40、緑×90、赤×100、黄×100 注:HP回復系ハーブ類は既に相当数使用済) 首輪無し>
<GM秋菜 現在位置/ヴァルキリーレルム砦内部>
<残り5名>

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