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**魚氷に上り 耀よひて/あさき 嵶やかに泳ぐ あさひに焦がれ あまりにも深く いとましき その口より曰く 虹を吹いては 「昇るものよ 沈むものよ これが現実だ!」 と還り散る 欲しいままに生貪る 緋色の珊瑚礁 そそり歌をのせて 狭霧 深く遠く鳴り ああ 誰か光をくれ さまよう 人 そぞろ泳ぐ 手を取り合い 泡と詠み 明日をつなぐ輪をくぐって あまひに舞ふ赤い雲に問ふ 「一天の深きよ」 答えはない 泣き響むか 浮き沈むか もうわかっているのだろう もう気がついているのだろう そうだ もう光はこない 永遠に だ
* &ruby(うおひ){魚氷}に上り &ruby(かが){耀}よひて / あさき 嵶やかに泳ぐ あさひに焦がれ あまりにも深く いとましき その口より曰く 虹を吹いては 「昇るものよ 沈むものよ これが現実だ!」 と還り散る 欲しいままに生貪る 緋色の珊瑚礁 そそり歌をのせて 狭霧 深く遠く鳴り ああ 誰か光をくれ さまよう 人 そぞろ泳ぐ 手を取り合い 泡と詠み 明日をつなぐ輪をくぐって あまひに舞ふ赤い雲に問ふ 「一天の深きよ」 答えはない 泣き響むか 浮き沈むか もうわかっているのだろう もう気がついているのだろう そうだ もう光はこない 永遠に だ ---- ** Long ver. &ruby(たお){嫋}やかに泳ぐ あさひに焦がれ あまりにも深く いとましき ざわめき あたもろとも 波にさらわれ 笑うものよ &ruby(いた){悼}むものよ 皆等しく ひいわりと &ruby(だんがい){断崖}に沿って だんぶと落ちて &ruby(たま){珠}に似た&ruby(しぶき){飛沫} かこちをり その口より曰く 虹を吹いては 「昇るものよ 沈むものよ これが現実だ!」 と &ruby(かえ){還}り散る なんと つらいことだ あまりにも つらいことだ 欲しいままに&ruby(せい){生}&ruby(むさぼ){貪}る &ruby(ひいろ){緋色}の&ruby(さんごしょう){珊瑚礁} そそり歌をのせて &ruby(さぎり){狭霧} 深く遠く鳴り ああ 誰か光をくれ &ruby(さまよ){彷徨}うひと そぞろ泳ぐ 手を取り合い 泡と&ruby(なが){詠}み 明日をつなぐ輪をくぐって あまひに舞う 赤い雲に問う 一天の深きよ! &ruby(こた){応}えはない 泣き&ruby(とよ){響}むか 浮き沈むか もうわかっているのだろう もう気がついているのだろう そうだ ここに光は来ない 永遠に だ 光は幻想だ まやかしだ なんと 馬鹿馬鹿しいことだ 夢を見てはいけない 夢を見るのは愚か者だ ひとりで泳いでいけ たったひとりで泳いでいくのだ そしてひとりで果てるのがよい ああ ささくれては &ruby(ぎょう){行}に&ruby(しの){偲}び 地を削り流れを変える が そうだ その通り 結局のところ ここに在らず そこに在らず &ruby(ゆえ){故}に 道もなく くるしい くるしくない 許せない 許してやろう くるしい くるしくはない たすけてほしい たすけてやろう ここは寒い ここは熱い 地獄だ そうだここは天国だ 孤独だ くるしい くるしいな 助けてくれ 助けてやるよ 憎い 憎いかな 愛している 愛してはいない つかれたか そうか ふと見上げると &ruby(みなも){水面}が割れていた その割れ目から 真っ白な いや &ruby(こはくいろ){琥珀色}の 泥のようなものが降ってくる おそろしいことだ これは 大変に 本当に おそろしいことだ 尻の穴を見せあっている醜い魚たちが 「我こそが我こそが」 とつぶやいている 早口で 早口で! 早口で早口で早口で! は や く ち で! &ruby(あえ){喘}ぎながら&ruby(せい){生}&ruby(むさぼ){貪}る 白い珊瑚礁 息ができぬと任せては 深く深く 慰め合い ああ &ruby(かしま){姦}しく鳴り 跡形もなく 溶けて 波にさらわれ この素晴らしい世界を隅々まで あますところなく巡った後 また 堂々巡り 未来&ruby(えいごう){永劫} 同じことの繰り返し ひとりで泳ぐ そびらに春を &ruby(あさひ){旭}を浴びて 泡に消える そんな夢 なあ いやになっちゃうよ 毎日毎日いやになっちゃうよ &ruby(さまよ){彷徨}うひと &ruby(せん){先}に昇る 信じたもの 愛したひと &ruby(へきらく){碧落}にあるべくとして 昇る ひと それに続き また 昇る ひと 千は百になり 百は十になり 十は一になり 一が&ruby(つも){積}り千となる &ruby(これ){是}まさに 堂々巡り あぶれ&ruby(いと){厭}ふ 深海と&ruby(まが){紛}う &ruby(なお){波折}りの深さよ 深くて 暗い 泥の海の おはなし &ruby(あまい){天井}はない そして 底もない 故に 光差す道理など無く ああ 並み居ている 見ろ あの&ruby(ながめ){長雨}を 深海で降り続く&ruby(こはくいろ){琥珀色}の 日影にも似た&ruby(か){彼}の雨を &ruby(あまね){遍}し日よ 光をくれ 誰か 曰く 「幼いころ 子守唄に 母が歌ってくれた歌があって かわいらしい 迷い子の歌なのだけれど 今は自分で 自分のために歌ってる」 毎日毎日 &ruby(ごうか){業火}で焼かれていやになっちゃうよ 眺め&ruby(や){遣}る 迷い子 &ruby(うたかた){泡沫}の消えては&ruby(な){生}る 思い出 もう今は思い出 昔の思い出 大切な思い出 ──後日談── &ruby(あしもと){足下}が燃えている 熱くて 痛い 熱くて 息が出来ない どうしようもない 空が凍っている 寒くて 痛い 寒くて 息が出来ない どうしようもない 誰もが どうしようも! ない! と ただ泣いている ここは地獄だ ここは天国だ ここは天国さ ここは地獄さ 信じたものの 虹の先には何もなく 振り返っても何もない それでも 今日も明日も明後日も 来週も来月も来年も 十年先も そして 尽きた その後も ひとはきっと 泳いで泳いで泳いで泳いで泳いで泳いで 泳いで泳いで泳いで泳いで泳いで泳いで 泳いで泳いで泳いで泳いで泳いで泳いで 泳いで泳いで泳いで泳いで泳いで泳いで &ruby(たお){嫋}やかに わらえる

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