この子の七つのお祝いに / あさき
子守唄
「この子の稚 き ててが握る紅差し指は禍福 よ」
「この子の
貴方の遺愛のぼんぼり粛然 と
灯 点 して暗夜 に濡 つ
私 と子 と交錯する雨音 に心願
「散華 と散り敷く涙も枯れた」
あれから幾年 貴方が残したちぃさぃ幸せ
髪締め乍 ら 夜な夜なこの子の為にと
子守の唄を口遊 み 徘徊 る四肢
髪締め
子守の唄を
右手 左手 足 首 心音
助けて 助けて 助けて 助けて
狐ノ堵列 ハ這イズリ回ッテ裂帛 為 イ為イコノ子ヲ掴ンダ
逃げて 逃げて 逃げて 逃げて
「嗚呼・・この子だけは・・なくさぬように」
この 耳 鼻 目 口 髪の毛一本 誰にもやらぬ
隠してしまおう この子が七つになるまで
貴方のコイノボリが空に昇って行くまでお願い・・
隠してしまおう この子が七つになるまで
貴方のコイノボリが空に昇って行くまでお願い・・
「この子に幸せの風が吹きますように」
あぁ、この子が大きくなれば貴方のかわりになるのでしょう
瞳が哀 しいほど貴方に似ていた
瞳が
空を泳ぐコイノボリだけは知っていた
「あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・
あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ!
あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ!
この子 よく 見たら お人形」
long ver.
子守唄
「この子の稚 き ててが握る紅差し指は禍福 よ」
「この子の
貴方の遺愛のぼんぼり粛然 と
灯 点 して暗夜 に濡 つ
私 と子 と交錯する雨音 に心願
「散華 と散り敷く涙も枯れた」
「
あれから幾年 貴方が残したちぃさぃ幸せ
髪締め乍 ら 夜な夜なこの子の為にと
子守唄を口遊 み 徘徊 る四肢
髪締め
子守唄を
天井踊って 眼下に破れ
飛び散る手足が頭についたり
毎朝 毎晩 舌掻きむしって 騒擾
もういいかい もういいかい と笑む
稚拙 な吐息で灸 られても
この子のために
この子のために
うしろの正面だあれ
右手 左手 足 首 心音
蛇口に隠れた少女が飛び出し小さなこの子の姿に閃光
少しずつ
この 笑みも 心の埋 み火 一切 誰にもやらぬ!
貴方が残した小さな幸せ守るために白鶴
「溢れる汚水に片身を浮かせて!恥ずべき奴だ!」
ゲラゲラ讃 える狐の団居 に背を向け
唇噛みちぎり ぼんぼり抱えて慟哭
貴方が残した小さな幸せ守るために
「溢れる汚水に片身を浮かせて!恥ずべき奴だ!」
ゲラゲラ
唇噛みちぎり ぼんぼり抱えて
ああ 静かに流れる音が
こだまして九十九 折りなす
小さな貴方の手を引き 生きていく
ひらひら椿 の散華
同じ重さの掌 にそっと頬よせ
火を灯す
こだまして
小さな貴方の手を引き 生きていく
ひらひら
同じ重さの
火を灯す
金切り声あげ
刻々次第に影絵となりて
奥歯をならしてしたたる夫婦が
狐「ほらほら はやく 息 とめなくっちゃあ!
背中にしがみついて 首刈るぞ」
背中にしがみついて 首刈るぞ」
狐の
「嗚呼 この子だけは なくさぬように」
助けて!
女「耳 鼻 目 口 髪の毛一本 誰にもやらぬ!」
狐「お前が望んだ幸せ ひとつも ひとつも 叶わぬ」
髪の毛むしって嗚咽
少女はもんどりうって笑う
老夫婦「隠してしまえよ この子が七つになるまで」
狐「お前が望んだ幸せ ひとつも ひとつも 叶わぬ」
髪の毛むしって
少女はもんどりうって笑う
老夫婦「隠してしまえよ この子が七つになるまで」
女「ああああ貴方!鯉のぼりが空に昇って行くまで!お願い!」
「この子に幸せの風が吹きますように」
ああ 貴方の足跡灯し歩く小さな背中を見て祈った
この子の七つのお祝いに 小さな折り鶴ひとつ水上 から流す
幸せ込めて 貴方は風に舞う
この子の七つのお祝いに 小さな折り鶴ひとつ
幸せ込めて 貴方は風に舞う
貴方の遺愛の
神の木
狐の
時折
おやすみよ すやすやと かわいいこ
あなたは 目を閉じて
ただすやすやと おねむりなさい
あなたは 目を閉じて
ただすやすやと おねむりなさい
崩れた積み木の下で抱く 狐色の子
逃げていく
逃げていく
神木から落つ 少女の顔 ただれて泡吹き 金切り笑う
浅黄 に染まった男と女は利休鼠 の眼球こすって痙攣
劈 く音して一瞥 先には
双眸 を縫ったお狐様の行列が股開く
もういいかい
まあだだよ
もういいかい
もういいよ
まあだだよ
もういいかい
もういいよ
首転がる
「ああ この子が大きくなれば 貴方と過ごした日々がまた」
瞳は刻んだ硝子 の回想
空を泳ぐ鯉のぼりだけは知っていた
瞳は刻んだ
空を泳ぐ鯉のぼりだけは知っていた
あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・
あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あー
あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あー
あ!
この子
よく
見たら
あーあーあーあー
お人形