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天庭 おとこのこ編 - (2013/01/30 (水) 00:29:02) のソース

**天庭 おとこのこ編/あさき

ふらりふらり
そ知らぬ顔して紫雲より垂れる

ひと

口唇をしづめて跳ねまわり
あうらや追い越せと果てる

ひと

あかときは終にいく
もう帰してはくれぬ

爆ぜて

あ!

天ぐらり!


あをみ 延びて 推し量る
行き会う星の間の深さ
追いかけていたはずの光に追われ
迷子になる

寂滅を待つ
凍みた灯火を抱き
過ぐ明日を雲に託し流る

日輪にあくがれ
歪にうねる影絵
互いの肝を抉り合い
悦に浸る

神火はいつでも貴様らの背中を焼いている



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Long Ver.


──太陽の下で──

さあさ 皆様!
あすこをご覧あれ!

暗澹たる中天へと延びたる光の梯子に
群がる星屑たちが口々に叫んでいる

心を殺せ

──春のひと──

ふらりふらり
素知らぬ顔して紫雲より垂れる

ひと

口唇をしづめて跳ねまわり
あうらや追い越せと果てる

ひと

四本足の動物たち
「満目の枯れ明かり!」

あなた 召しませ とこしなえ

──夏のひと──

女性の形を模した仏様
「さあさあ ごゆるりとご覧あれ」と鬻ぐ
梅が枝を突き刺して笑みなさり

男性の形を模した仏様
「ほらほら ここで生り」

様々な動物の顔を模した帽子をかぶる かわいらしい人々
「ふむふむ ここか」

ここに在り!

神仏が分かつ五臓と六腑を
舐めつ くくみつつ 眼下に広がる
濁流の岸を洗ひて安着

幸せかい

そうだろう

何も知らない

という幸せがそこにはある

──太陽の下で──

あかときは終に行く
もう帰してはくれぬ
爆ぜて

あ!

あっ!

天ぐらり!

絶景だ

あをみ 延びて 推し量る
行き会う星の間の深さ
追いかけていたはずの光華に追われ
迷子になる

寂滅を待つ 凍みた灯火を抱き
過ぐ明日を雲に託し流る
日輪にあくがれ
歪にうねる影絵
互いの肝を抉り合い悦に浸る

──秋のひと──

光の梯子に群がり
矯声をあげる星屑たちの間を
黒い点滅がすり抜けていく
やがて無数の大きな線状の糸遊になったそれは
羅を羽織りながら羽化をとげ
あはあはと大虚を縛り付ける
天日の錘に絡みつきながら
その速度を上げ
灼熱の顔を覆い尽したのち
さらばえた影を引きずりながら
夜空と同化し 消えた

「啜り泣くひと」

ひゅ ひゅ ひゅるる~

──冬のひと──

朔風は見え得ぬものを鳴らし
呼吸合わせをり

──「神は懈怠ないのです!」とほざくひと──

鉛色の霧をまといながら
濁液を垂らして連なるきららは
顎に念珠をこすりつけ

今か!今か!

とまつさらの闇に
祓へと打ち込む!

かなしいな かなしいね
かなしいな かなしいね
かなしいな かなしいね

肩に降る銀のささやき

──子供たちへ──

猿ども
「あらあら こんなところに面映い源が!」

仏様
「おとこのこ おんなのこの秘め事さ」

世界中の動物たち
「あいやー あいやいやー」

満面で笑う
不揃いの虹は
多岐茫洋

──月の下で──

見ているか

ひととして
在りたくて
月見船に乗って
湖心へ向かうひとよ
見えるか 見えているか
天心の月はあまりにも遠すぎる

焼かれた瞼で見る漁火

──太陽の下で──

ひらひらと舞い落ちた
空の欠片が掌で燃えて
汚れた灰になり
風にのって
又 空へと昇る

光 あくがれの光
歪を物憂く見つめ合う
その火柱 よじれよじれて
夕陽の色欲りぬ

為すべきを為し
肝抉り身反らし
迷子の蛻掲げて笑う

どす黒く広がり
吹き溜まる縁に
何を聞き 何を伝えて 我行けり

貴様ら見えるか
あの天道の先で在り
妬心の業火に焼かれた手を
希望のたばしり落としては拾って
脇目もふらず 内臓舐め合う様を

ほら 閃きよ
垣間見て其の上の
時代見届けぬ
消え残る星ひとつ置き

誰か教えておくれ
幸せは何処にある
光背くづるるごとく
空が割れている

ひと思ふ故 曰くを踏む
星 泳ぎ 行く その先に

幸あれ

暗澹たる中天へと延びたる光の梯子に
群がる星屑たちが口々に叫ぶ

神火はいつでも貴様らの背中を焼いている

──ひとへ──

ねえみて 春がやってきて
草も木も花も歌っている
ねえみて 春がやってきて
みんな ここにいる

みんな赤い背中をしている
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