エンジェルレストの戦い、続き。
我先へと傭兵は飛び出し、果敢に黒騎士団の重歩兵隊へ切り込んでいく。
聖軍の勇者たちも、それに続けとばかりに白マントをはためかせ駆け出す。
聖軍の勇者たちも、それに続けとばかりに白マントをはためかせ駆け出す。
両軍は入り乱れ、戦場はすぐに血の匂いで満たされる。
所々に鎧のかち合う音が響き渡り、聖軍の修道女たちの歌声は、その度に消え入りそうになる。
所々に鎧のかち合う音が響き渡り、聖軍の修道女たちの歌声は、その度に消え入りそうになる。
聖軍は、よく統率されていた。
しかし、練度には埋めがたい差があった。
徐々に教団側は劣勢となっていき、戦線はじわじわと後退していた。
しかし、練度には埋めがたい差があった。
徐々に教団側は劣勢となっていき、戦線はじわじわと後退していた。
これを勝機と踏んだのか、黒騎士団の指揮官が声を張り上げた。
「重騎兵隊前へ、密集陣形を維持し突撃せよ!」
「重騎兵隊前へ、密集陣形を維持し突撃せよ!」
この号令を合図に戦況は一変した。
瞬く間に教団兵たちがなぎ倒され、これに慌てた一部の傭兵たちは逃げ出した。
瞬く間に教団兵たちがなぎ倒され、これに慌てた一部の傭兵たちは逃げ出した。
KIRINもこの状況に危機感を覚え、いち早く身の安全を図ろうとしていた。
しかし、団長の声が聞こえない。それどころか、他の傭兵たちともはぐれてしまった。
指揮もうまく回らず右往左往としている教団兵をかき分けて走る。
しかし、団長の声が聞こえない。それどころか、他の傭兵たちともはぐれてしまった。
指揮もうまく回らず右往左往としている教団兵をかき分けて走る。
そして、KIRINはようやく団長の姿を目にする。
……しかし、それは首と胴体が離れた、見るに堪えないものであった。
……しかし、それは首と胴体が離れた、見るに堪えないものであった。
筆頭枢機卿・御坂は、この様子を見て唇を噛みしめていた。
(やはり、実戦を知らぬ我々ではここまでか……
しかし、なぜ指揮官は兵を退かせないのか?この状況だぞ!)
(やはり、実戦を知らぬ我々ではここまでか……
しかし、なぜ指揮官は兵を退かせないのか?この状況だぞ!)
しびれを切らしたのか、指揮官に問いただす。
「将軍、すでに大勢は決している!すぐに兵を退くのだ!」
「将軍、すでに大勢は決している!すぐに兵を退くのだ!」
しかし、指揮官から出た言葉は、御坂を唖然とさせた。
「え…なぜです?まだ戦いは終わっておりません!聖女の加護があれば我々は必ず勝利できます。」
「な、何を言っている!このままでは被害が拡大する一方ではないか。お前は人命を無為にする気か!」
「死した戦士の魂は聖女の下へ送られ永遠の安寧を得られるのです。彼らにとってもそれが……」
「な、何を言っている!このままでは被害が拡大する一方ではないか。お前は人命を無為にする気か!」
「死した戦士の魂は聖女の下へ送られ永遠の安寧を得られるのです。彼らにとってもそれが……」
この言葉で、御坂の怒りは天を衝いた。
「馬鹿者…人命より尊いものがある訳がなかろうが!!
永遠の安寧だと?お前は正統教義の何を学んできた!
聖女が戦士の魂を欲するなどと書かれた聖書がどこにあった!?」
永遠の安寧だと?お前は正統教義の何を学んできた!
聖女が戦士の魂を欲するなどと書かれた聖書がどこにあった!?」
御坂はこれ以上の言葉を飲み込み、指揮権を剥奪するなり声を張り上げた。
「近衛隊、我々が殿を務めるぞ!私に続け!」
「総員、すぐに撤退せよ!この戦いは我々の負けだ!
命を無駄にするな、私より前線に立つことは許さぬ!!
他の兵にも撤退を促せ、もう一度言う、総員撤退だ!」
命を無駄にするな、私より前線に立つことは許さぬ!!
他の兵にも撤退を促せ、もう一度言う、総員撤退だ!」
(びってん卿…貴公の望んだ正統教義の盾は、こんなものではなかったはずだ……
貴公は今、何処にいる……)
貴公は今、何処にいる……)
麒麟立志伝⑰ (8/22 22:37)
文章:KIRIN
文章:KIRIN