少年、ヒューはいまだ血の止まらない腕を抱えて、木の根元にうずくまっていた。
優先すべきは一つ、自分の命。
あの青年の姿は、逃げるときに何度も振り返って確認した。
大丈夫、追われていない。
一番の気がかりが解消されたとき、一番は痛みにすりかわる。
――とりあえず止血しないと。
が、彼に支給されたものに役立ちそうなものはない。
しかしだからといってこのままではとてもいられそうにもない。
治癒などの技を使える善人でもいればいいのだが……それはなさそうだ。
傷の痛みに耐えるのが精一杯の彼に、周りを気にする余裕などなかった。
なかった、から。
地面の不自然さなど、気づくわけもない。
晴れている。空から降る雨。
いつかの空で見た、爆弾(手榴弾)の雨。
爆発音、のち、にやり。
「あぁいうタイプが意外と危険なの。わかるかしら?」
「本当にあいつこっち見てたかぁ?オレにゃ全然そうは見えなかったけどな。リシェルさんが言うんじゃ間違いねーか」
木の上のトラップにも気づかないなんて、よほどのマヌケね、とリシェルが微笑む。
「あら、臆病ってやつほど何をしでかすかわからないのよ?自分の身を守る為ならなんでもしちゃうんだから」
「そういうもんなんスかねぇ」
「ええ、そういうものなの」
彼女もまた、ゲームに乗っている。
【ヒュー@新月 死亡】
残り44人
【G1 城、裏側・昼前】
【名前・出展者】
リシェル・メルゲンハイム@PQR
【状態】 健康
【装備】手榴弾
【所持品】支給品一式
【思考】
基本・邪魔な者は殺す
1、殺ってみないとわからない
2、ゼロスをどう利用してやろうかしら
【G1 城、裏側・昼前】
【名前・出展者】ゼロス・ワイルダー@テイルズオブシンフォニア
【状態】 健康
【装備】不明
【所持品】支給品一式
【思考】
基本・適当に生き残る
1、リシェルは何を考えているのか
2、いつ、どう欺こうか
二人は表面上は組んでいますが、互いに、お互いを騙そうとしてます
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最終更新:2008年11月15日 18:18