…なにやら妙な天の声を付けられた気がするが。 勘違いを招かないうちに、一応言っておくか。
 俺は他人の恋路は応援する性質なんだ、いちいち涙目になってたんじゃ男の格が落ちるってモンさ。
 涙は流したかもしれないが、ソイツは俺の戦闘に女性を巻き込んで傷つけちまった事で、さ。
 まさか吹っ飛ばした奴の下敷きにしちまうとは…… やれやれ、因果だな。
 勿論今湖に向かってるのも、あの女性にこれ以上手をあげたくないからだが… はは、わかってもらえずとも仕方ないかもな…。


 と、そんな事を本当に一人で呟いたのかどうなのかわからないが…レイヴンはD4、湖の方へと向かって飛んでいた。
 先程の戦闘と変わらず、表情一つ崩さずに。
 湖を目指した理由は、単純にそこがフィールドの中心に当たるからだった。 この場からなら、次に向かう目標も様々選択できる。


「……ん、向こうに誰か居るか?」
 湖の西側…C4エリアに、人影が見える。レイヴンが先程後にした町に向かっている様子だ。
 高度差がある。 こちらの事は気付いているとは思えないが… 一人は誰かをおぶっている様子だった。
 どうするか… と考えているうちに、その湖の反対側の岸…E4にはさらに別の一団がいる様子だ。
 人数は四人。 見た感じ全員女性……いや、一人少々不自然だな(※レイヴンはこと女性の見分け等には超常的な能力を発揮する)。
「出来る事なら、御関わりになって置きたい所だが…   やれやれ、どうしたものか――」


『えーっと、……あー、あー、マイクのテスト中ー。いやマイクじゃないよ拡声器だよコレ。そんなことはどうでもいいっていうかゼルさん可愛いよゼルさん』

「! コイツは……」
 拡声器らしき、すこし割れ気味の音声。 即座にその声の主が女である事には気付くレイヴン(※レイヴンはこと女性の(略))。
 湖の北の畔でホバリングしつつ、その拡声器の人物の言葉を聞く。

 … … …誰かに対するメッセージ、いや… 謝罪?
 残念ながらレイヴンは”ゼルさん”に関しては知らない。 ましてや、この拡声器の女声にも覚えは無い。
 だが彼自身、そう聞いて黙っていられる性質でない事は本人が一番よくわかっていた。
「…良いじゃないか。 こんな場でそういうことを言って貰える… やれやれ、”ゼルさん”とやらは幸せ者じゃないか」
 そう一人呟き、クスリと笑う。 ――そういう女性は、護ってやりたくなるモンでな。
 声しかわからないが…なに、聞けばすぐにわかる。 見つけたら、護って戦うのも悪くない。

 レイヴンは声の聞こえた方角…F3の町を目指し、真っ直ぐに飛んで行く。


【D4 湖のほとり 昼過ぎ】

【名前・出展者】レイヴン@反乱
【状態】健康 
【装備】リボルバー銃(残り5発)
【所持品】基本支給品一式 命の玉@ポケットモンスターDPt
ジューダスの仮面@テイルズオブデスティニー2、カエルグミ(緑)@マジカルバケーション、アヒルの玩具@テイルズオブエターニア
【思考】基本:降りかかる火の粉を払うため、ゲームを早々に終わらせる(自分が勝者になるにしても、主催を打ち倒すにしても、終わらせる)
1:拡声器の主(長月コトナ)を探し出し、”ゼルさん”に会えるよう味方をする
2:拡声器の主(長月コトナ)はどんな女性なのやら…ちょいと気になるな


 *   *   *

「…コトナ!?」
 一方、同じくその声を聞いていたゼルガディスやレベッカ達一行。
 当然のごとく、ゼルガディスはその声の主――長月コトナに名指しで謝られた事に驚きと…少しばかりの気恥ずかしさも覚える。
「ゼルさんってのは…その様子だとゼルガディス、貴方の事みたいね」
 リシェルが確認を取るように聞く。 当のゼルガディスも、それに「ああ」と小さく頷く。
「突き落とされたって……ゼルガディスさん、どういう事なんですか?」
「それは……」
 レベッカの言葉に再び口を開こうとするゼルガディス――だが、まるでそれを遮るように霊夢がスタスタと歩き出す。

「面倒くさくて湿っぽい理屈はいいわ、さっき聞いたし。 今のアンタがどうしたいかが一番大事、忘れてないわよね?」
 急に半分振り返ったかと思うと、霊夢はビシと指を突きつけてゼルガディスを指す。
「行って謝りたいんでしょ? どうやらそのコトノ(※間違い)って子も謝りたいみたいだし、互い行って謝ればそれでお終いでしょ」
「…ああ。 わかってる、当然行くつもりだ」


 …完全にその町に行くムードの中で、リシェルだけはかなり狼狽していた。
 F3の町といえば、リシェルが小説家の攻撃を受けた場所。…当のコトナがいるのもその町だと知っている。
 リシェルはコトナに攻撃を仕掛けているのだから。 恐らく、顔もバッチリ覚えられていることだろう…
「…………」
「…どうしたんだ、リシェル?」
 その様子に気が付いたのか、ゼルガディスがリシェルに声をかける。
「……あ、いえ。 その町…私が逃げてきたところだから。ちょっと……」
 無駄かもしれない、とは思いつつ意思表示はしてみる。 すると、霊夢が駄目押しの一言をくれた。
「大丈夫よ、今度はオバさん一人じゃないんだし。 これだけ居れば何とかなるわよ、多分」

 かくして、彼ら一行もF3目指して移動を始めるのだった。





「だがちょっと待ってくれ、服を着替え――」
「急がないとそのコトネ(※間違い)って子、ゲームに乗ってる他の奴にどうにかされちゃうかも知れないわよ」
『お気の毒ですねぇ』
 どうやら、しばらくはルルさんのままらしい…



【E4 湖のほとり 昼過ぎ】

【名前・出展者】ゼルガディス=グレイワーズ@スレイヤーズ
【状態】やや疲労、右足に火傷(ある程度治療済み)、ルルさんセット着用中
【装備】万能包丁@テイルズオブデスティニー2
【所持品】支給品一式、お料理セット@テイルズオブデスティニー2、ロリポップ@テイルズオブジアビス
マジカルポット@テイルズオブデスティニー2、ルルさんセット@スレイヤーズ
【思考】基本:不明(少なくともマーダーではない)
1:コトナのところへ急ぐ
2:コトナに会って謝りたい
3:あの子供(フレイア)の使っていた術も、まさか……
4:着替えたい……
※リシェルがコトナと会っていて、攻撃を仕掛けた事は知りません
※付近の木に干してあった洋服は乾ききってないけど回収


【名前・出展者】レベッカ@テイルズオブジアビス更なる悲劇
【状態】疲労(戦闘に支障はない)、僅かな迷い
【装備】ソーディアン・シャルティエ@テイルズオブディスティニー
【所持品】魔理沙の箒@東方 アクアマリンの指輪@テイルズオブファンタジア 基本支給品一式
【思考】
基本:あの子(ララ)の遺志を継ぎ、この状況を打破する
1:そのコトナさんを助けてあげないと
2:シャルティエをリオン・マグナスの元へ届ける。また、レニーファを探す
3:出来ればクロにはもう会いたくない
※クロのことは話していません。また、話すつもりはありません
※譜術の効果が減少するのではないかと推測しています


【名前・出展者】博麗 霊夢@東方Project
【状態】健康
【装備】鉈@ひぐらしのなくころに
【所持品】支給品一式
【思考】基本:主催者打倒の為の仲間を探す
1:コトナのところに行く
2:ゲームに乗っている奴はぶっ飛ばす
※:リシェルがゲームに乗っている事には気付いていません


【名前・出展者】リシェル・メルゲンハイム@PQR
【状態】逃走と移動でのちょっとの疲労
【装備】手榴弾×75個ぐらい エメラルドリング@テイルズオブシリーズ
【所持品】基本支給品一式 
【思考】基本:ゲームに乗って生き残る
1:どうしましょうか……まずいわね
2:霊夢とゼルガディス、レベッカを利用して生き残る
3:場合によっては隙を見て逃げるか… それとも、単独で真っ先にコトナを見つけて始末しようかしら
4:主催者を倒すのも選択肢の一つかしら
※:コトナに遭遇して攻撃を仕掛けた事は伝えていません


【名前・出展者】ソーディアン・シャルティエ@テイルズオブデスティニー
【思考】
1:坊ちゃん無事だといいなぁ…
2:ゼルガディスさんとは仲良くやれるかもしれないなぁ、あの弄られっぷりとか


 *   *   *

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最終更新:2008年12月16日 15:45