ビルは朽ち、地面は割れ、草木の一本すら見えない町、東京。
殺し合いの会場と化した荒廃の地、夜空の下でため息をつく少女。
「荒廃した東京、って言ってたけど……東京、にしては変だよねぇ」
ぱっつんのショートカットが特徴的な彼女、菊音は放り込まれた殺し合いの地に疑問を抱いていた。
東京という地は彼女自身も知っている場所だ。
だが彼女の知っている東京と、連れてこられたこの東京は、少し様子が違う。
何しろ見たことのない建物が朽ちかけているし、遠くには大仏よりも高い塔らしき物が見える。
日本にかつて存在したとされる、文明の一部なのだろうか。
だとすれば、ここは東京であって東京でないと言う事なのだろうか。
「……難しく考えてても、始まらないか」
頭に広がっていた考えをかき消し、菊音は支給された袋をのぞき込む。
袋はとても小さい物だったが、どういう理屈か袋以上のサイズの道具がポンポンと出てくる。
カラクリでも、あやかしでもない、見たこともない技術に菊音は舌を巻いてしまう。
「更紗ちゃん大丈夫かなー、こう言うのに真っ先に反抗するタイプだから、ちょっと心配なんだけど」
道具を確認しながら彼女が考えるのは、初めの場所で姿を見た友のこと。
"革命者"の名を背負い、戦乱の地日本を根底から覆した張本人とも呼べる人間。
彼女は、こう言った催しには絶対に従わないと知っている。
何せ彼女は、既に一度殺し合わされているのだから。
「……更紗ちゃんが居るって事は、他の人も居るのかな」
次に頭に浮かんだのは更紗以外の知り合いが居る可能性。
確認はとれないにしても、更紗と自分が巻き込まれている以上、知りうる人間が他に巻き込まれている可能性も高い。
ふと、頭にいやな考えがよぎるが、菊音はそれを振り払う。
「ともかくまぁ、アタシもはいそうですかと人を殺しにいくのは、ちょっとヤダな」
今後の身の振る舞い、真っ先に決めなくてはいけないのはそれだ。
愛用のカラクリ達は全て没収されているし、袋の中に武器と呼べるものは妙な形のラッパぐらいだ。
しかも、このラッパも「武器として使え」としか書かれておらず、実際にどう使えばいいのかは記載されていない。
吹くのか、殴りかかるのか、投げるのか、武器としての用途は不明だ。
とりあえず懐にラッパをしまい、菊音は一息つく。
「んで、問題はこれよね……」
そういいながら、菊音は袋から大きな物を取り出していく。
現れたのは、取っての二つついた奇妙な鉄の塊。
見かけからは馬のようにも見えるが、馬にしては小振りすぎる。
押して使う物か? にしてはあまりにも重すぎる。
ひょっとして乗るだけの椅子か? だとすれば仰々しすぎる。
いったいどうやって使うものなのか――――
「あのォー」
考え込んでいる菊音の背後から、なんとも間の抜けた声が聞こえる。
ラッパを片手に持ち、急いで振り返って戦闘の構えに入る。
だが、振り向いた彼女の目に映ったのは。
「え、あー、その……」
突然の構えに萎縮しているのか、大人しく両手を挙げ。
ひきつった笑いと共に菊音の姿をじっと見つめ続けている。
「そのバイク、見せてくんない?」
赤が特徴的な服の、少年だった。
どう見ても戦意のせの字もなくヘラヘラと笑う少年に、菊音は早々に戦闘態勢を解き、少年に打ち解けていった。
万が一、ということもあったがこんな状況なので本名を名乗り、語弊のない程度に身分を明かした。
同時に少年、金田からも名前とだいたいの身分を聞き出すことに成功した。
だが、菊音が聞きたかったのはそれではない。
小さな鉄の馬を見た金田が、それを見て"ばいく"と言ったからだ。
金田は、これを知っている。
そう確信した菊音は、早々に"ばいく"について聞き出していった。
金田は金田で、バイク自体を知らないと言う菊音に驚きはしたものの、慣れた手つきでバイクの構造、そして動きを解説していく。
金田達の暮らしているネオ東京でも滅多にみない旧式のバイクだったが、作りはおおよそ一緒だ。
各部品の解説を交えながら、お互いの世界の話なんてしながら、交流を深めていた。
「ふぅ~ん……じゃあ、この"えんじんきい"を捻って"すたあたあ"を蹴ると、"えんじん"が動いて走る、ってことでいいの?」
物珍しそうな眼差しで、菊音は"ばいく"を見つめ続ける。
「そうそう、んでこのアクセルを捻ると……」
バイクに乗っていた金田が、クイっとアクセルを捻る。
同時にぺけけけけけっ、という音を立てながら、バイクが前進していった。
「……あんまり早くないね」
「排気がショボいんだよ、第一こんなオンボロ、ネオ東京でも乗ってる奴いるかどうか……」
菊音に支給されていたバイクは、排気の少ないいわゆる「原付」と呼ばれる類のバイクだった。
暴走族である金田はもちろん、初めて見る菊音ですら馬と比べて少し遅いと感じてしまうスピードだった。
「金田のバイクは速いの?」
「ああ、ピーキーすぎて手を焼くぜ」
先ほど同様、金田は目を輝かせて菊音に言う。
ああ、本当にバイクが好きなんだな、と金田の表情から察する。
「ネオ東京、かあ」
バイクやビルが建ち並ぶという町、ネオ東京。
自分の知っている東京ではない、もう一つの東京。
そこではどんなカラクリが待っているのだろうか。
興味は沸けども、今は確かめる術がない。
「……ところで、肝心な事聞き忘れてたって言うか、今更聞くのも何なんだけど。
殺し合い、どうすんの?」
話に夢中になりすぎていて、すっかり聞くのを忘れていた事を問う。
その質問と同時に、金田の目つきがスッと変わる。
「生憎誰かをぶっ殺して悦には入る趣味は持ってねえ。
かといってビクビク殻にこもる訳でもねえ。
ルイだかライだか知らねえけど、妙なオッサンにビクついてちゃ不良なんざやってらんねーぜ」
自信満々に拳を握り、腕を振り挙げて語る金田。
「そっかぁ」
その姿を見て、菊音は笑う。
「ふふっ、よかった」
その時、金田がゾクっとした何かを感じたのは、気のせいなのだろうか。
武者震いか何か、そう片づけておくことにした。
「よろしくね、金田」
「おゥ」
そして、金田は差し出された手を取る。
生憎、ネオ東京では筋金入りの跳ねっ返りで有名な金田だ。
こんなふざけた殺し合いには、乗らない。
だって彼は――――
「俺は健康優良不良少年、金田正太郎だ! よろしくな! 菊音!」
数秒後、改まった挨拶を聞いた菊音に大笑いされたのは、言うまでもない。
【港区/一日目・深夜】
【金田正太郎@AKIRA】
[状態]:健康優良不良少年
[装備]:工具セット
[道具]:基本支給品、不明支給品0~2
[思考・状況]
基本行動方針:ルイだかなんだかしらねえが、いいなりにはならない。
1:菊音とともに行動する。
2:……ん?
【菊音@BASARA】
[状態]:デデーン 菊音、アウトー
[装備]:天使のラッパ@真・女神転生、ホンダ スーパーカブ110@現実
[道具]:基本支給品、不明支給品0~1(武器では無い)
[思考・状況]
基本行動方針:ひとまず殺しには乗らない
1:金田とともに行動する。
2:更紗がちょっとだけ心配
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| ゲームスタート |
金田正太郎 |
[[]] |
| 菊音 |
[[]] |
最終更新:2013年06月05日 01:29