凄惨な籠城戦が繰り広げられているのを覚悟して
アコライト外郭に足を踏み入れる一行。
が、アイドルオタクと化した兵士達に取り囲まれ、ライブ会場に連行された。
アコライト外郭を守っている先輩ブレイブとは、有名プレイヤーにしてアイドルVtuberの
ユメミマホロだったのだ。
ライブが終わるとマホロは一行をオタク(兵士)達に紹介した後、屋上へと連れて行く。
城壁前には、無数のバジリスクや
ヒュドラ、コカトリス、巨大なワニやトカゲなどの爬虫類型魔物たちの姿があった。
敵将は、
ニヴルヘイムの召喚した『
異邦の魔物使い(ブレイブ)』であり、世界大会の中国代表の
煌 帝龍(ファン デイロン)だという。
GPT生成版
キングヒルのクーデターを鎮めたナユタたちは、休む間もなく次の戦場へ向かう。目的地は、ニヴルヘイム軍の大部隊に包囲されたアコライト外郭城塞。守備兵はわずか三百、対する敵はおよそ六千。食糧も通信も尽きかけ、いつ陥落してもおかしくない――そう聞かされていた一行は、凄惨な籠城戦を覚悟して城内へ飛び込んだ。
ところが、そこで彼らを待っていたのは血と泥ではなく、綺麗に飾りつけられた広場と熱狂する兵士たち、そしてステージ上で歌い踊る一人の少女だった。
彼女の名はユメミマホロ。『ブレイブ&モンスターズ!』の人気配信者であり、その姿は彼女のパートナーモンスター、グッドスマイル・ヴァルキュリアのもの。圧倒的な兵力差と長期包囲のなか、マホロは連日の歌と配信で兵士たちを励まし続け、城塞の士気をつなぎ止めていたのだ。疲弊しきっているはずの三百人が、なお笑い、戦う意志を失っていないのは、彼女がここにいるからだった。
しかし、状況そのものが好転したわけではない。ニヴルヘイム軍を率いるのは、中国代表のトッププレイヤーにして巨大企業の総帥、煌帝龍。莫大な財力を注ぎ込み、希少装備も兵力も力任せに揃えてきた男である。正面から六千の軍勢とぶつかれば、いくらナユタたちでも城塞ごと押し潰される。
そこで一行は、三百人のマホロによる「押しかけゲリラライヴ」という、とんでもない作戦に出た。
《ラビリンスミスト》で戦場一帯を霧に包み、その中へマホロの姿を与えられた守備兵たちを放つ。本物と偽物のマホロが歌い、踊り、四方八方から敵を挑発することでリザード兵を混乱させ、その隙にナユタ、エンバース、カザハら主力が煌帝龍の本陣へ突入する。明神とジョンは霧の維持と敵兵の引きつけを担当し、マホロは兵士たちとともに戦場そのものを巨大なライヴ会場へ変えていく。
敵陣を突破する切り札は魔導列車だった。バロールが虹色の軌道を作り、重量を制御された列車が、霧の中から猛烈な勢いでリザード軍へ突っ込む。列車は最後には大破するものの、一行は敵陣深くへ到達。混乱の隙を突き、ついに煌帝龍との直接対決へ持ち込んだ。
煌帝龍が最初に繰り出したのはロイヤルガード。だが、それは彼の本当の切り札ではなかった。追い詰められた煌帝龍は、莫大な金をつぎ込んで世界でただ一体だけ完成させた超級レイドモンスター――アジ・ダハーカを召喚する。
三つの首を持つ邪竜の力は、それまでの敵とはまるで次元が違った。灼熱のブレスひとつで戦場が焼かれ、まともに受ければ全滅は免れない。エンバースはフラウと連携して足場や退避場所を作り、ナユタを守りながら必死に攻略法を組み立てる。それでも攻撃をしのぐだけで精一杯だった。
邪竜の一撃を食い止めるため、カザハは限界を超えて風の障壁を展開する。だが、その身体にはすでに別の存在が巣食っていた。黒い鎧がカザハを侵食し、内側からガザーヴァが姿を現そうとしていたのだ。
ガザーヴァは、バロールがカザハを原型として作り上げた存在だった。姿や戦闘能力だけではない。その心までカザハを写して設計された、いわばカザハのコピー。バロールを「パパ」と呼ぶ彼女は、戦うための兵器として生み出されながら、原型となったカザハと同じように迷い、怒り、誰かとのつながりを求めていた。
しかし今、ガザーヴァが表へ出れば、カザハの人格は押し潰されかねない。カザハ自身もそれを理解しており、完全に支配されたときには騙されずに倒してくれと仲間たちへ告げる。
そこへ真っ向から反発したのが明神だった。
カザハもガザーヴァも、どちらか一方を犠牲にして終わらせるつもりはない。仲間が仲間を殺す結末も、自分がまた誰かに裏切られる結末も認めない。ジョンがガザーヴァを斬ろうとする可能性さえ警戒しながら、明神は二人とも生かすと言い張った。その無茶な言葉は、兵器としてしか扱われてこなかったガザーヴァの心にも確かに届いていた。
一方、霧の中で敵兵を引きつけていたジョンにも異変が起きる。自ら流した血の匂いに誘われるようにリザード兵を集めたジョンは、《ブラッドラスト》によって凄まじい力を発揮する。だが、敵を斬るほどその戦い方は荒々しくなり、殺意と興奮が理性を侵食していく。隣で戦う部長さえ怯えるほど、ジョンは普段の穏やかさを失っていた。
それでもジョンは最後の一線を越えなかった。カザハたちへ刃を向けず、自分の意思で血の衝動を押しとどめる。戦いの後、カザハは自分を殺さなかったジョンへ礼を告げ、死ぬなと伝える。二人とも自分の内側に危険なものを抱えながら、それでも仲間として踏みとどまったのだった。
アジ・ダハーカを止めるため、マホロもまた最後の切り札を使う。彼女は一度しか使えない《戦乙女の接吻》を邪竜へ施し、その弱点を突くため自爆スペルを発動。自らのグッドスマイル・ヴァルキュリアの身体と引き換えに、圧倒的だったアジ・ダハーカを打ち破る突破口を開いた。
邪竜が崩れ、煌帝龍の本陣も陥落する。指揮を失ったニヴルヘイム軍は総崩れとなり、三百人の守備兵はついに六千の包囲軍を退けた。
戦いの中で一度は失われかけたカザハも無事に戻り、ガザーヴァはその身体から分離する。鎧を脱いだ彼女の正体は、一人の少女だった。バロールは娘として彼女を従わせようとするが、ガザーヴァは「パパ」の命令を拒否し、自分の意思で明神のもとへ残ることを選ぶ。
「責任を取ってくれるんだろ」
そう問いかけるガザーヴァを、明神は拒まなかった。カザハを模して作られた存在ではなく、ガザーヴァ自身として生きるための、新しい関係がここから始まる。
戦勝の宴には、死んだはずのマホロも姿を現した。だが、それは奇跡の生還ではない。彼女は万一に備えて用意していた二体目のグッドスマイル・ヴァルキュリアへ移っていたのだ。新しい身体はレベルも低く、以前と同じ力は持っていない。それでも兵士たちに「マホロは死んだ」と知られれば、ようやく守り抜いた彼らの心が折れてしまう。明神はその事実を察しながら口外せず、彼女もまた城塞に残って兵士たちを支え続ける道を選んだ。
しかし勝利の裏で、カザハの心には新たな傷が生まれていた。
ガザーヴァは自分を原型として作られながら、戦闘能力では自分を上回っている。ならば仲間にとって、自分はもう必要ないのではないか。そう思い詰めたカザハは、「異邦の魔物使いは飽きたので、普通のモンスターに戻ります」と書き置きを残し、風草原へ帰ろうとする。
だが、明神はカザハを訓練場で見つけ出す。ガザーヴァがいるからといって、カザハの代わりになるわけではない。黙って置き手紙ひとつで消えるな。そう叱ったうえで、彼はカザハへ告げる。
「おかえり、カザハ君」
ガザーヴァが仲間に加わっても、カザハとの関係が消えるわけではない。その言葉に引き留められ、カザハはひとまず一行のもとへ戻る。だが、自分が誰かの模造元であり、その模造品の方が強いという苦しみは、まだ完全には消えていなかった。
そして、もうひとつ放置できない問題が残る。バロールによれば、ジョンを蝕む《ブラッドラスト》は単なる状態異常ではなく呪いだった。このまま戦い続ければ、いずれジョンは殺戮衝動に呑まれ、血まみれになって死ぬ。
ジョンを救う手段を求め、一行は治療の手がかりがあるエーデルグーテを次の目的地に定める。ジョンは戦闘を禁じられ、ナユタとエンバースが前衛、カザハと明神が後衛を担い、ガザーヴァも正式に旅へ加わる。
歌によって三百人の心を守り抜いたマホロをアコライトに残し、ナユタたちは再び出発する。城塞は救われた。けれど、カザハとガザーヴァの間に生まれた複雑な絆、明神が背負った二人への責任、そしてジョンを蝕む血の呪い――勝利とともに抱え込んだ新たな火種は、そのまま次の旅へ持ち越されるのだった。
最終更新:2026年08月13日 20:53