ほうろうせんノートメア号
アルフヘイムの海を漂う船籍不明の巨大帆船。
船であると同時に、千を超える住民が船上で生活する、船体そのものがひとつの街でもある。
流浪の者達を積載した移民船は、どこかの国に根を張るでもなく、今日も海原をさまよっている。
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船としては極めて巨大であり、全長300m・幅40mと軍用空母並みの圧倒的な威容を誇る。
東京タワーをそのまま横倒しに海へ浮かべているようなものであり、帆船でこのサイズは完全に異常。
船の中は居住空間をいくつも重ねた多層構造になっていて、乗員はそれぞれ自分の住居を船内に持っている。
甲板にはどこからか搬入した土を敷き込んで農地を形成しており、マスト近くには植林すらされている。
船の上だけで自給自足が成り立つため、数十年にわたる超長期航海が可能なのである。
船籍を示す旗は存在せず、船体の塗装も特定の国のものは使われていない。
30年ほど前から大陸南方の沖合を航行しているのが目撃されており、
船体の大きさも相まってよく晴れた日などには風任せに漂う姿を陸地からも目視できる。
臨海諸国とは相互不干渉というわけでもなく、ときおり
紺碧湾都アズレシアや
海都リバティウムに寄港し、
物資の買い出しを行うほか、海産物や海底から引き揚げたサルベージ品を港にもたらしている。
通常の交易商船とは異なる、独立した経済圏として諸外国に接しているのが特徴と言えよう。
当船が単なる船ではなく、「船の形をした街」と呼ばれるのはこうした性質が所以である。
乗員たちは船外の者にも友好的であり、言語も大陸共通語を話す。
大陸のどこかの亡国の民ではないかと目されているが、真相は明らかになっていない。
数十年もの長期航海で既に船内で代替わりが起こっており、船内で生まれ育った乗員も多く、
陸を出奔した経緯を知る者が少なくなっているためである。
主な産業は遠洋漁業と海底からの沈没品の引き揚げ。
一部の操船や船内行政に関わる者を除き、乗員の殆どが漁師であり引揚業者である。
特に南方の海底には魔物や海賊に襲われて沈没した船が手つかずのまま未だ数多く残っているほか、
過去の大戦で遺失した
古代遺物(アーティファクト)が眠っているため、
彼らが港に持ち込む品の美術的・戦術的な価値は非常に高い。
このため特に
アルメリア王国はノートメア号を自国に迎え入れんと再三にわたって招聘しているが、
船員たちは「まつろわぬ民」であることに並みならぬ誇りを持ち、かの国の希望は現在まで叶えられていない。
彼らにとって、船は故郷であり、街であり、独立した国家なのである。
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ゲーム上では、海洋エリアを一定ルートで周回する街オブジェクトとして登場する。
一日ごとに所在を変え、
飛空船によるファストトラベルの対象にも含まれないため、
用があるときに意図して接触するにはだだっ広い海を探さなくてはならない。
一応周回ルートには法則性があるため現在位置を推測することが可能であり、
アズレシアには「あそこの海で見た」と大まかな船の位置を教えてくれるNPCもいる。
攻略WikiやSNSによる情報提供を活用すれば、出会うことはそう難しくないだろう。
沖を漂う船にアクセスするにはこちらも船を使うか、飛空船で着陸するほかないが、
運よくどこかの港に停泊しているところに巡り合えば陸から直接乗り込むことも出来る。
ただし、船を使わずにノートメア号に乗って、そのままログアウトして日を跨いでしまうと、
翌朝ログインした時には遠い海のどこかにロケーションが移ってしまい、船から出られなくなってしまう危険性がある。
あきらめてデスルーラするか、船で接触してきた他プレイヤーに頼んで陸まで便乗させてもらおう。
場合によってはハマり状態になりかねないこの状況を流石に
運営も重く見たのか、
その後のパッチで船から陸へ送り届けてくれるNPCが船内に実装された。
ノートメア号に関するクエストでは、貴重なサルベージ品を狙って襲い来る海賊を撃退するというものがある。
ダンジョン
重巡鋼艦ブリガンダインはこのクエストで解放されるコンテンツ。
見事攻略に成功すればブリガンダインを自分の船として入手できるほか、
ノートメア号からは名誉船員として迎えられ、サルベージに参加できるようになる。
サルベージは海洋エリアの特定のポイントを選び、沈没品の引き揚げを行うというもの。
大抵の報酬はガラクタばかりだが、たまに金銀財宝やアーティファクトといった「アタリ」も出る。
言ってみればゲーム内でできるガチャであり、強力な装備を入手できる可能性もある。
サルベージの際には引揚地点を事前掃討するバトルに勝たなければならず、
アタリの出やすいポイントには強い敵が大量に湧いてくるので当然こちらも戦力が必要になり、
「ガチャを引くためにガチャを引く」という地獄のようなスパイラルを楽しめる。
ノートメア号の周りにはサルベージ目的の
ガチ勢たちの船が完全武装で常にまとわりついており、
海賊に狙われていた頃と状況が大して変わらないという皮肉な事態が発生した。
最終更新:2021年05月07日 03:25