こだいいぶつ
アーティ・ファクト
特定の出自をもったマジックアイテムをひとまとめにして呼ぶための言葉であり、
該当するアイテムは装備品や大型構造物をはじめ多岐にわたる。
作中で語られる定義としては以下の通り。
▽製法が失伝しており、現用技術では再現不可能なこと
▽本来の道具としての機能を逸脱した特殊な能力を有すること
▽独自に魔力を宿し、使用者による供給なしで効果を発揮すること
要するに、ファンタジーには定番の、特殊効果のあるアイテムのことである。
幻影を祓い真実のみを映す鏡や、伸縮自在の杖、空を飛ぶ絨毯、
未知の情報を表示する石版
意思を持ちひとりでに動く人形や、無限に水の湧き出るツボ、雷雲を呼ぶ剣などといった、
作中世界ではそれなりにありふれた
魔法のアイテムが該当する。
『伝説の~』とか『いわくつきの~』という枕詞がつく場合も多い。
魔法を宿した器物ということで、似た立ち位置のアイテムに
付与武装(エンチャンテッド)があるが、
付与武装は
霊銀結社や在野の工房が製造を手掛けるれっきとした工業生産品。
量産可能であり、大半の武装は発動に魔力供給が必要といった、異なる部分も多い存在である。
上位の概念に神によって造られた
神代遺物があり、こちらもまたアイテムとしての『格』が違う。
希少であることは確かだが、古代遺物はあくまでヒトの範疇で作り出された器物である。
以下、全て余談。
魔法アイテムが古代遺物と呼ばれる第一条件は『製法が失伝していること』であるが、
『いつ失伝したか』とか『古さ』については特に定義されていない。
そのアイテムの製法を知る者が居なくなった瞬間から古代遺物の指定を受けるということであり、
極論、跡継ぎの居ない魔術師が死んだらその者の作品は全部古代遺物と呼ぶこともできる。
かなり乱暴な定義ではあるが、複製できない一品ものということには変わりなく、
事実古代遺物として出回っているアイテムのうち一定数は製造後数年程度の
古代でも何でもない品物である。
とはいえ原則的には、過去の大戦期に滅亡した国家や都市で造られたアイテムのことを指すのが一般的。
ニヴルヘイムと戦争を続けている
アルフヘイムにおいて、滅亡した文明というのは珍しくない。
逆に、技術開発や研究分析が進んで製法が判明したために古代遺物でなくなったアイテムも存在する。
霊銀結社はこの古代遺物の分析再生産を事業目標のひとつに据えており、
彼らの活動の進捗次第では古代遺物がこの世から消えてなくなる日が来るかもしれない。
また、
神代遺物が例外なく強力無比の効果を持った遺物であるのに対し、
古代遺物は必ずしも戦闘に使える強力な効果を宿すとは限らない。
優秀な武器や防具となり得るものも多いが、同じくらいの割合で有用性の見いだせないものもある。
付与武装は明確な目的をもって設計図を書き、出力や耐久性を計算して生産されるアイテムだが、
古代遺物はざっくりと『昔から存在する魔法のアイテム』全般を指し、
日用品や装飾品、儀礼用の品なども多く含まれるためである。
さらに言えば、古代遺物の中にはただの道具が意図せず魔法アイテムとなってしまったケースもある。
所有者の強い思い入れが残留思念となって器物に残り、半ば呪いのように変質した場合や、
長期間魔力の濃い環境に晒され続けたことで鉄が磁化するように魔法が宿った場合などである。
こうした遺物は不合理で不条理な効果を持ち、有用性の面ではただの道具にも劣るだろう。
例えば、
ガンダラの鉱山を守護する
アイアンゴーレムは古のドワーフが作った古代遺物であり、
過去の大戦から百年単位で時間が経過しても自律稼働し戦闘が可能と驚異的な性能を誇っている。
飛空船の一つグランドセイバーの動力部にも古代遺物が使用されており、
巨大な船体を高速で飛行させる推進能力は現用技術で再現することができず、
例外を除けば飛空船自体が
アルフヘイムでも非常に希少な存在となっている。
ちなみに
魔剣ロンダルキアは結社製の
付与武装の一種だったが、
戦災復興のドサクサで関係資料が紛失し、現在の職員では運用はおろか機能停止すらできないだめ、
広義での古代遺物として扱われている。
これは単純に技術の属人化と暗黙知の是正を怠った
結社の人災である。
このように、古代遺物はモノによってその効果や希少性に大きな差があり、
高価ではあるものの一般の市場でも流通していることが多い。
市井の民が簡単に手を出せる価格帯ではないが、武器になり得るものであれば買い手は数多であるし、
そうでなくとも美術工芸品として資産運用の対象になったりする。
購入以外の入手先としては、主に海底に沈んでいるものを引き揚げるかダンジョンの奥底で発見するか。
大体7割がたが海洋サルベージによって市場に供給されている。
これは過去の大戦で海洋に沈んだ古代都市が多く存在していることに加え、
どこかの遺跡で出土した古代遺物を船で運んでいる最中に難破してしまうケースがあるため。
放浪船ノートメア号は古代遺物のサルベージを主力産業としており、
いわゆる『古代遺物市場』ではダントツのシェアを誇っている。
古代遺物は重要な財源となるだけでなく、効果次第では当然戦略物資にもなり得るため、
特定国家に帰属しない同船は臨海諸国にとってぜひとも傘下に入れたい存在である。
ダンジョンから出土する古代遺物は、奥底に封印されているだけあって有用性が高い傾向にある。
高値がつきやすく、また強力な武器や便利な道具にもなるため、冒険者がダンジョンを攻略する理由の大半を占める。
海千山千の冒険者達にとって、生涯を賭して追い求める『お宝』のひとつといえるだろう。
ゲーム上においては、アイテムやオブジェクトのカテゴリの一種となっている。
レアリティの高い武器や装備品には古代遺物が多く、ダンジョンやクエストの報酬で入手できる。
前述の通りアイアンゴーレムなどの敵モンスターの中にも古代遺物があったり、
レアなのかそうでないのかよく分からない状態なのは設定上の扱いとあまり変わらない。
装備品ガチャのレア枠に入っていたり、
業魔錬成の素材に要求されたり、
リバティウムのカジノの景品となっていたり、低確率でNPCショップに陳列されていたり、
あるいは
導きの指鎖のようにメインシナリオで確定入手したりと、様々な形で関わることになる。
ざっくり言ってしまえば、
神代遺物の超廉価版のような扱いだと考えて間違いないだろう。
モノによっては
神代遺物に迫る強力な効果を持った古代遺物もあったりするので、
今日も今日とて廃人たちはサルベージ目当てにノートメア号の周りをうろつくのである。
最終更新:2021年05月07日 01:49