西方大陸広域戦闘企業団/ザフトアルマ
せいほうたいりくこういきせんとうきぎょうだん
なお、『西方大陸広域戦闘企業団』という呼称は国際的な記録上で用いる名前。
現地では一般的に西方言語で"戦う者たち"を意味する『ザフトアルマ』という名称で呼ばれる。
(日本が国際的には『NIPPON』ではなく『JAPAN』と呼ばれているのと同じようなもの)
本項でも現地の習慣に倣いザフトアルマと呼称する。決して長ったらしいからではない。
企業団というのは、複数の都市や村が共同出資で設立する、
地域全体の仕事をまとめて引き受ける組合や組織のこと。
地球においても例えば過疎地域のゴミ処理や上下水道なんかは、
小さい自治体が個別に処理場と管理要員を持つよりも一カ所に集約したほうが効率が良いため、
周辺の市町村の業務を一括して請け負うゴミ処理組合や水道企業団が存在している。
お役所言葉でこれを『行政の広域化』と言い、ようは田舎の少ない人手でも仕事を回すための工夫である。
話を戻すが、戦闘企業団の場合、引き受ける仕事はそのものズバリ『戦闘』。
治安維持や魔物の撃退をはじめ、傭兵のように都市間紛争を代行することもある。
西方大陸は『
銀平原(シルバープレーンズ)』と呼ばれる大草原地帯が大部分を占めており、
気温が低く降雨の少ない典型的なステップ気候となっている。
大きな木が育たず、水と木材が貴重で、農業にはあまり適していない。
背の低い草だけは大陸を覆い尽くすほど繁茂しているため、
必然的に銀平原に住む人々の殆どは家畜に草を食ませながら旅をする遊牧民となった。
決まった住処を持たないため『街』や『国』という意識が希薄で、
人のコミュニティも『大家族』に毛が生えた程度にとどまる。
そのため銀平原を統治するような国家は存在せず、無数の『家族』の集まりで人口を構成している。
さて、人類がある程度まとまって生活を営む上で不可欠なものはさまざまである。
大人数を養う水と食料、煮炊きをする火、衣服に住居、それらを運ぶ整備された道。
いわゆるインフラと呼ばれる要素である。
そして、外敵や野盗などから人々を守るための武器とそれを振るう戦士。
凶悪な魔物の跋扈する
アルフヘイムでは特に、生きるために戦う力は必須となる。
つまり、治安を守る
『戦力』も生活インフラの一種と捉えることができる。
しかしながらインフラの維持にはお金がかかるというのが世の常であり、
アルフヘイムも例外ではない。
武器の調達やメンテナンス、乗騎の維持費、戦士を雇用する場合の費用などは、
銀平原に暮らす多くの『家族』達にとって極めて重い家計の負担となった。
西方大陸は言ってしまえば遊牧民が草原をウロウロしてるだけのド田舎であり、
人口密度が低く、大陸外との交流も沿岸の一部の街だけで行われており、
平原の中では未だに家畜を通貨代わりに使用しているようなほとんど未開の地のため、
家族それぞれが戦士を養うような資金も物資もなかったのである。
こうした厳しい財政状況を打開すべく、異なる家族同士で資金を出し合って設立したのが、
周辺地域の戦闘行為の一切を請け負う企業団方式の軍隊、ザフトアルマである。
前置きが非常に長くなったが、ザフトアルマの特徴について述べる。
構成人員は軍隊としては非常に少なく、大陸全体でも1万人に届かない程度。
大国とはいえ1国の将
『覇道の』グランダイトが20万余りの兵を率いていることを考えると、
活動範囲の広さに対してあまりにも少数である。
少人数で大陸全域の荒事をカバーするために、ザフトアルマは極めて高い機動力を備える。
銀平原は
アルフヘイム全土でも有数の
グラススプリンターの産出地として知られ、
ザフトアルマでも亜種を含めた様々なスプリンターによる騎兵を配備している。
構成員は兵科に関係なく卓越した騎乗術を有し、平原を迅速に行き来することが出来る。
ザフトアルマの本部は湾岸にあるが、例え戦場が大陸中央であっても一両日中に駆け付けることが可能である。
乗騎となっている
グラススプリンターも特別製。
数百年にわたって交配と厳選を繰り返されたスプリンターはもはや生き物としての進化系と言え、
数千キロの長距離だろうが泥沼の不整地だろうがサラブレッド並みの速度で駆け抜ける。
モンスターとしての戦闘力も健在で、鋭い爪は岩肌に難なく足跡を刻む。
騎兵の恐ろしさは言うまでもなく歴史が証明しているところであるが、
ザフトアルマもその例に漏れず、熟練のスプリンター騎兵達は実戦においても一騎当千の働きを見せる。
機動力に裏打ちされた一撃離脱の戦術で、貴重な人員を損耗することなく勝利を収める。
基本的な武装は騎上から攻撃するための長槍と長弓。
また『
騎射魔法』と呼ばれる独自の魔法体系を持ち、騎乗しながら魔法を放つ兵科が存在する。
騎射魔法は簡単に言えば騎乗時の激しい上下運動でも舌を噛まない特殊な呪文の唱え方であり、
特別強力な術式があるというわけでもない。
しかしながら、魔術師の弱点である機動力を乗騎が補うと考えると恐るべき戦術に変貌する。
縦横無尽に走り回りながら回避を気にせず攻撃魔法を撃ちまくれるだけでも強いし、
近接戦闘をスプリンターに任せて騎兵は回復と強化の呪文を唱え続けることすら可能。
対峙した敵は異常にタフな鳥の強化された爪でズタボロにされることになる。
そして反撃しようにも次の瞬間にはこちらの射程外に逃げられているわけである。
ストーリーモードでは、
船を手に入れて海に出られるようになり、
冒険の舞台が大陸の外へと移った段階で関わることになる。
そして
例によって敵対するとやっぱりタフな鳥にタコ殴りにされる。
グラススプリンターはシナリオ序盤から利用できる乗り物のひとつだが、
銀平原でのストーリーを進めるなかで
スキル『西方戦闘術』を習得すると、
ただ乗り回すだけでなく共に闘う戦力として数えられるようになる。
百戦錬磨の
パートナーモンスターに比べるといくぶん頼りない印象はあるが、
単純にパーティメンバーが一枠増えるようなものなので総合的な戦力上昇は有難い。
スプリンターの交配や鍛錬も可能となり、育成次第では下手なモンスターよりも頼りになる。
言うまでもなく廃人達によってスプリンターの育成論は確立されているので、
自分だけの最強の鳥を育てて思う存分大平原を駆け回ろう。
最終更新:2021年05月13日 20:40