「~ぎゅーまおー と らせつじょ~(2)」とは、アマラ(c01414)作のブレイク西遊記 外伝である。
目次
~ぎゅーまおー と らせつじょ~(2)
「アマラ、ぼくと付き合ってください!」
クロコが顔を真っ赤にしてそう切り出したのは、牛魔王とクロコが出会って暫くしてからのことでした。
クロコを気に入ったらしい牛魔王は、時々水汲みをするクロコを手伝ってくれていました。
最初はおっかなびっくりだったクロコも、若干セクハラじみた牛魔王のスキンシップと、いつもニコニコとした元気のよい様子に、すっかり気を許していたのです。
二人で一緒に歩きながら、あれやこれやお話もしました。
牛魔王が取ってきた獲物を、一緒に食べたりもしました。
そうしているうちに、クロコは牛魔王に惹かれている自分に気が付いたのです。
男として一世一代の告白をしたクロコの胸は、早鐘のように高鳴りました。
早鐘が何かわからない人のために具体的に説明するとするなら、ピンポンダッシュの六十三倍ぐらいの心拍上昇率です。
あまりの緊張に瞳は潤み、肩は微かに震えていました。
普段は透けるように白く瑞々しい肌は真っ赤に染まり、和服の裾からわずかに見える胸元まで朱に染まっています。
その手の趣味の人が見たら迷わず写メリまくりそうなクロコを前に、牛魔王は暫くの沈黙の後、にっこりとしていいました。
「おー! 今日はどこいくんだぁー! もりかぁー? かわかぁー?」
「その付き合うとちがうー?!」
その後、クロコは必死でどの「付き合う」なのかを説明しました。
20分にも及ぶ解説で、なんとか意味を理解した牛魔王は少し困った顔をして言
いました。
「あたいの世話はたいへんだぜぇー?」
こうして、二人は恋人同士になったのです。
クロコが顔を真っ赤にしてそう切り出したのは、牛魔王とクロコが出会って暫くしてからのことでした。
クロコを気に入ったらしい牛魔王は、時々水汲みをするクロコを手伝ってくれていました。
最初はおっかなびっくりだったクロコも、若干セクハラじみた牛魔王のスキンシップと、いつもニコニコとした元気のよい様子に、すっかり気を許していたのです。
二人で一緒に歩きながら、あれやこれやお話もしました。
牛魔王が取ってきた獲物を、一緒に食べたりもしました。
そうしているうちに、クロコは牛魔王に惹かれている自分に気が付いたのです。
男として一世一代の告白をしたクロコの胸は、早鐘のように高鳴りました。
早鐘が何かわからない人のために具体的に説明するとするなら、ピンポンダッシュの六十三倍ぐらいの心拍上昇率です。
あまりの緊張に瞳は潤み、肩は微かに震えていました。
普段は透けるように白く瑞々しい肌は真っ赤に染まり、和服の裾からわずかに見える胸元まで朱に染まっています。
その手の趣味の人が見たら迷わず写メリまくりそうなクロコを前に、牛魔王は暫くの沈黙の後、にっこりとしていいました。
「おー! 今日はどこいくんだぁー! もりかぁー? かわかぁー?」
「その付き合うとちがうー?!」
その後、クロコは必死でどの「付き合う」なのかを説明しました。
20分にも及ぶ解説で、なんとか意味を理解した牛魔王は少し困った顔をして言
いました。
「あたいの世話はたいへんだぜぇー?」
こうして、二人は恋人同士になったのです。
「っつーわけでクロコを嫁にもらっていくぜぇー!!」
「どういうわけじゃぁぁぁあああ!!」
元気良く説明をはしょってクロコをツレさらおうとする牛魔王につっこみをいれたのは、村の村長兼長老のじーさんでした。
「どういうわけじゃぁぁぁあああ!!」
元気良く説明をはしょってクロコをツレさらおうとする牛魔王につっこみをいれたのは、村の村長兼長老のじーさんでした。
「アレしてコレしてあたいがクロコを嫁にもらうことになったんだぜぇー! 夫婦が一緒に住むのはとーぜんだろぉー!」
「ざっけんなばーろーい! クロコはわが村のあいどるなんじゃぁあ! 渇水で名物も名産も無いわが村の唯一の自慢なんじゃぁあ! いつか美少女美少年を集めた踊り子集団KRK(KUROKO)48を作ってこの村を守り立てていくのがわしの長年の夢だったんじゃぁあ!!」
「その夢にはすげぇーきょーみあるけどクロコはあたいのだからぜってぇーつれてくぜぇー!」
「突っ込みどころ満載やけどとりあえずぼくはおんなのこやないー?!」
全力で叫ぶクロコの声もむなしく響きます。
野望に燃えたじじぃと、万年酔っ払いの戦いはまるで竜虎の戦いのように激しく火花を散らす接戦だったからです。
じじぃがすさまじい釘さばき(陣取り:指定された範囲内に釘を投げ刺し、どちらがより大きな三角形を作るかを競う)を見せれば、牛魔王は凄まじいまでの役(ポーカー:配られた五枚のカードの組み合わせで優劣を競うトランプゲーム)のコンボで返します。
あきれたクロコがひとしきりダイルくんを繕い終えるころには、じじぃと牛魔王はぼろぼろになっていました。
勿論、実際にぼろぼろになっているわけがありません。
ですが肩で息をしながら額の汗をぬぐうその姿は、まるで少年漫画の激戦中のようです。
「ふふ…! やりおるのう牛魔王…! 若いころは“メンコ返しのゼンちゃん”と呼ばれたわしにここまで食いついてくるとは…!」
「気合入れすぎるとぎっくり腰になんぜぇー? あっはっはっは!!」
激しい戦いの中で、二人は相手の力量を認め合っていました。
お互いの力を称えあい、握手を交わしたいキモチに駆られます。
ですが、二人はけっしてそうしようとはしませんでした。
譲れないものがあったからです。
たとえ自分の命を賭けようと、守らなければならない想いがあったからです。
「どんだけ重々しいナレーションなんー?!」
無粋にもつっこみをいれるクロコをガン無視して、じじぃと牛魔王は眼光鋭くにらみあっています。
「このままでは決着がつかんのう…! 仕方がない…!」
じじぃは大仰に振りかぶると、ずびしぃぃぃ! と北斗風の効果音つきで叫びます。
「花嫁を娶る漢はその器量を示すもの!! 牛魔王! おぬしがもしこの村に井戸を作り村人たちに貢献することが出来たなら!! その功績を称える意味もこめてクロコを嫁がせてやろう!!」
劇画調の決め顔でポーズを取るじじぃのバックに稲妻が走ります。
「な…! 無理難題やないかー!」
「ざっけんなばーろーい! クロコはわが村のあいどるなんじゃぁあ! 渇水で名物も名産も無いわが村の唯一の自慢なんじゃぁあ! いつか美少女美少年を集めた踊り子集団KRK(KUROKO)48を作ってこの村を守り立てていくのがわしの長年の夢だったんじゃぁあ!!」
「その夢にはすげぇーきょーみあるけどクロコはあたいのだからぜってぇーつれてくぜぇー!」
「突っ込みどころ満載やけどとりあえずぼくはおんなのこやないー?!」
全力で叫ぶクロコの声もむなしく響きます。
野望に燃えたじじぃと、万年酔っ払いの戦いはまるで竜虎の戦いのように激しく火花を散らす接戦だったからです。
じじぃがすさまじい釘さばき(陣取り:指定された範囲内に釘を投げ刺し、どちらがより大きな三角形を作るかを競う)を見せれば、牛魔王は凄まじいまでの役(ポーカー:配られた五枚のカードの組み合わせで優劣を競うトランプゲーム)のコンボで返します。
あきれたクロコがひとしきりダイルくんを繕い終えるころには、じじぃと牛魔王はぼろぼろになっていました。
勿論、実際にぼろぼろになっているわけがありません。
ですが肩で息をしながら額の汗をぬぐうその姿は、まるで少年漫画の激戦中のようです。
「ふふ…! やりおるのう牛魔王…! 若いころは“メンコ返しのゼンちゃん”と呼ばれたわしにここまで食いついてくるとは…!」
「気合入れすぎるとぎっくり腰になんぜぇー? あっはっはっは!!」
激しい戦いの中で、二人は相手の力量を認め合っていました。
お互いの力を称えあい、握手を交わしたいキモチに駆られます。
ですが、二人はけっしてそうしようとはしませんでした。
譲れないものがあったからです。
たとえ自分の命を賭けようと、守らなければならない想いがあったからです。
「どんだけ重々しいナレーションなんー?!」
無粋にもつっこみをいれるクロコをガン無視して、じじぃと牛魔王は眼光鋭くにらみあっています。
「このままでは決着がつかんのう…! 仕方がない…!」
じじぃは大仰に振りかぶると、ずびしぃぃぃ! と北斗風の効果音つきで叫びます。
「花嫁を娶る漢はその器量を示すもの!! 牛魔王! おぬしがもしこの村に井戸を作り村人たちに貢献することが出来たなら!! その功績を称える意味もこめてクロコを嫁がせてやろう!!」
劇画調の決め顔でポーズを取るじじぃのバックに稲妻が走ります。
「な…! 無理難題やないかー!」
クロコの言うとおりでした。
この村は数年前から渇水に見舞われていたのです。
井戸を掘ろうとすればなぜかどろどろに溶けた高温のグミが噴出し。
川から水を引こうとすれば工事に参加していた男集が気が触れた様にマツ○ンサンバを踊り始めるのでした。
もう何かの呪いとしか思えない有様に、村人たちは九割九部あきらめモードだったのです。
クロコもこの村の住人ですから、そのことは勿論知っています。
だからこそ、毎日水汲みをしていたのですから。
牛魔王もクロコから渇水の話は聞いていましたから、じじぃがとてつもない無茶振りをしていることはわかっていました。
「おー! やってやるぜぇー! 井戸だなぁー!」
それでも、牛魔王は事も無げにそう言うといつものように高らかに笑って見せます。
「むちゃやってアマラー! この村に井戸なんてー!」
クロコは牛魔王の腰布を掴んでいいます。
ちなみにアマラというのは、牛魔王の本名です。
「そのとーりじゃぁあ! おとなしく尻尾を巻いてにげかえるがよいわぁー!」
悪役のように高笑いをあげるじじぃに若干の殺意を覚えるクロコでしたが、今はそんなことを気にしている場合ではありません。
下手をしたら、牛魔王が溶けた高熱のグミまみれなのです。
「だいじょーぶだぜぇー!」
心配そうなクロコの頭を撫でながら、牛魔王は言います。
「惚れた相手の為ならどんなことでも出来るもんだぜぇー? そーゆーのは想いの分だけすげぇーことが出来るもんだからなぁー! んなら、井戸ぐらいらくしょーだぜぇー!」
「あ、あまらー!」
クロコは思わず牛魔王に抱きつきます。
牛魔王からほとばしる「イイオトコオーラ」に、じじぃはごくりと息を飲みました。
「なんという漢じゃ…! こやつならばあるいはやってのけるかも知れん…! この村に井戸を掘るという無謀を…無茶を…! 愛する女の為に…!」
「せやからぼくはおとこのこやてー!?」
クロコの叫びも、牛魔王とじじぃの作り出した妙な空間の中では空しく響くだけだったのです。
この村は数年前から渇水に見舞われていたのです。
井戸を掘ろうとすればなぜかどろどろに溶けた高温のグミが噴出し。
川から水を引こうとすれば工事に参加していた男集が気が触れた様にマツ○ンサンバを踊り始めるのでした。
もう何かの呪いとしか思えない有様に、村人たちは九割九部あきらめモードだったのです。
クロコもこの村の住人ですから、そのことは勿論知っています。
だからこそ、毎日水汲みをしていたのですから。
牛魔王もクロコから渇水の話は聞いていましたから、じじぃがとてつもない無茶振りをしていることはわかっていました。
「おー! やってやるぜぇー! 井戸だなぁー!」
それでも、牛魔王は事も無げにそう言うといつものように高らかに笑って見せます。
「むちゃやってアマラー! この村に井戸なんてー!」
クロコは牛魔王の腰布を掴んでいいます。
ちなみにアマラというのは、牛魔王の本名です。
「そのとーりじゃぁあ! おとなしく尻尾を巻いてにげかえるがよいわぁー!」
悪役のように高笑いをあげるじじぃに若干の殺意を覚えるクロコでしたが、今はそんなことを気にしている場合ではありません。
下手をしたら、牛魔王が溶けた高熱のグミまみれなのです。
「だいじょーぶだぜぇー!」
心配そうなクロコの頭を撫でながら、牛魔王は言います。
「惚れた相手の為ならどんなことでも出来るもんだぜぇー? そーゆーのは想いの分だけすげぇーことが出来るもんだからなぁー! んなら、井戸ぐらいらくしょーだぜぇー!」
「あ、あまらー!」
クロコは思わず牛魔王に抱きつきます。
牛魔王からほとばしる「イイオトコオーラ」に、じじぃはごくりと息を飲みました。
「なんという漢じゃ…! こやつならばあるいはやってのけるかも知れん…! この村に井戸を掘るという無謀を…無茶を…! 愛する女の為に…!」
「せやからぼくはおとこのこやてー!?」
クロコの叫びも、牛魔王とじじぃの作り出した妙な空間の中では空しく響くだけだったのです。
初回登録:イシュタル(c05076)
最終更新:イシュタル(c05076)
最終更新:イシュタル(c05076)
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