「~ぎゅーまおー と らせつじょ~(3)」とは、アマラ(c01414)作のブレイク西遊記 外伝である。
目次
~ぎゅーまおー と らせつじょ~(3)
西部に広がる砂漠近くに、西の村と呼ばれる小さな集落がありました。
名産も名物も水も無い、どっかで見たような村です。
そんな村に、妖怪の兄妹がいました。
きんかくとぎんがくです。
人食い鬼と恐れられているビッグネームでしたが、人道無視の残虐ファイターだったのは先代の話です。
当代のきんかくぎんがくは、ぷにっとした男の子ともにゅっとした女の子だったのです。
女の子の方ことぎんかくは占いの名手として有名でした。
恋に恋焦がれて恋になる年頃の恋占いから、人生の一大転機を迎えたプロボクサー、はては超多国籍企業のCEOまで相談に来るほどです。
名産も名物も水も無い、どっかで見たような村です。
そんな村に、妖怪の兄妹がいました。
きんかくとぎんがくです。
人食い鬼と恐れられているビッグネームでしたが、人道無視の残虐ファイターだったのは先代の話です。
当代のきんかくぎんがくは、ぷにっとした男の子ともにゅっとした女の子だったのです。
女の子の方ことぎんかくは占いの名手として有名でした。
恋に恋焦がれて恋になる年頃の恋占いから、人生の一大転機を迎えたプロボクサー、はては超多国籍企業のCEOまで相談に来るほどです。
そんな話を酒場の噂話でキャッチした牛魔王は、さっそく相談を持ちかけることにしたのでした。
「っつーわけでどこ掘ったら水でんのかおしえてくれぇー!」
占いの館と書かれた門をくぐり口一番、牛魔王はいつものように全開の笑顔で叫びました。
もちろん主語はありません。
相手に用件が伝わるか伝わらないかなんて、五ミクロンほども気にかけません。
肝心なのは勢いと元気でした。
「…占いは…簡単にするものではありません…」
「すいでんー?」
突然現れた牛魔王も臆することもなくそう切り替えしたのが、ぎんかくです。
兄のぎんかくは良くわからない聞き間違いで首をひねっています。
「そーいわねぇーでよぉー! あたいがクロコを嫁にもらう為にひつよーなんだぜぇー!」
「…運命は…自分で切り開くものです…」
「くろっくー?」
はたから聞いていると意味がわからない会話とも取れる問答ですが、当人たちの間では思いのほか意思の疎通が取れているようでした。
ですが、ぎんかくはなかなか占いをしてくれそうにありません。
「おー、そーだったぁー! お土産もってきてたんだぜぇー!」
牛魔王が取り出したのは、大量のお菓子でした。
「…さぁ…そのむらのちずをみせてください…」
「あまあまなのですー!」
きんかくとぎんがくは比較的買収に弱いようでした。
「はじめてあいにいくんやったら、お土産もっていかんとー」
と言うクロコの言葉に従った牛魔王の勝利です。
コレが所謂内助の功というものでしょうか。
「おー! ありがとなぁー! たすかるぜぇー!」
牛魔王は乳布に挟めていた件の村の地図をぎんかくの前に広げました。
「…もふぇふあ…ふぁふぃふぇぶっぶっふぉうー…」
「あまあまなのですー」
何か言っているようでしたが、お菓子を口いっぱいに頬張ったぎんかくの言葉は一般の方には理解不能な言語になっていました。
「あんだってぇー! じゃー、どーすりゃーいーんだぁー?」
一般の方ではない牛魔王には問題無いようでした。
きんかくぎんがくはお菓子を頬張りながら、牛魔王は酒をかっくらいながら占いは続けられました。
二時間以上にわたる会談の末、牛魔王はついにクロコの村に井戸を作る方法を入手したのです。
「っつーわけでどこ掘ったら水でんのかおしえてくれぇー!」
占いの館と書かれた門をくぐり口一番、牛魔王はいつものように全開の笑顔で叫びました。
もちろん主語はありません。
相手に用件が伝わるか伝わらないかなんて、五ミクロンほども気にかけません。
肝心なのは勢いと元気でした。
「…占いは…簡単にするものではありません…」
「すいでんー?」
突然現れた牛魔王も臆することもなくそう切り替えしたのが、ぎんかくです。
兄のぎんかくは良くわからない聞き間違いで首をひねっています。
「そーいわねぇーでよぉー! あたいがクロコを嫁にもらう為にひつよーなんだぜぇー!」
「…運命は…自分で切り開くものです…」
「くろっくー?」
はたから聞いていると意味がわからない会話とも取れる問答ですが、当人たちの間では思いのほか意思の疎通が取れているようでした。
ですが、ぎんかくはなかなか占いをしてくれそうにありません。
「おー、そーだったぁー! お土産もってきてたんだぜぇー!」
牛魔王が取り出したのは、大量のお菓子でした。
「…さぁ…そのむらのちずをみせてください…」
「あまあまなのですー!」
きんかくとぎんがくは比較的買収に弱いようでした。
「はじめてあいにいくんやったら、お土産もっていかんとー」
と言うクロコの言葉に従った牛魔王の勝利です。
コレが所謂内助の功というものでしょうか。
「おー! ありがとなぁー! たすかるぜぇー!」
牛魔王は乳布に挟めていた件の村の地図をぎんかくの前に広げました。
「…もふぇふあ…ふぁふぃふぇぶっぶっふぉうー…」
「あまあまなのですー」
何か言っているようでしたが、お菓子を口いっぱいに頬張ったぎんかくの言葉は一般の方には理解不能な言語になっていました。
「あんだってぇー! じゃー、どーすりゃーいーんだぁー?」
一般の方ではない牛魔王には問題無いようでした。
きんかくぎんがくはお菓子を頬張りながら、牛魔王は酒をかっくらいながら占いは続けられました。
二時間以上にわたる会談の末、牛魔王はついにクロコの村に井戸を作る方法を入手したのです。
「つまり、あのあたりには水虎と言う水の妖怪がいて、それが村に行くはずの水脈を独り占めしているということなんですね?」
牛魔王が住んでいる城に集まったのは、彼女の知人である二人の妖怪でした。
説明風な台詞を言っていたのは、牛魔王の弟子のこうがいじ(ルキ)です。
悪魔の炎を操り、敵対する相手を丸焦げにする実力者です。
「当てになるのか? あくまで占いなんだろ?」
桃のジュースを煽っているのは、鎌イタチのカルラです。
大鎌を振り回し、なぜか桃のジュースで酔っ払えるという特異体質を持った妖怪です。
女性が三人も寄れば華やかなガールズトークに花が咲きそうなものですが、今はきゃぴきゃぴした話題で盛り上がっている場合ではありませんでした。
なにせ牛魔王が恋人と同棲できるか出来ないかの瀬戸際なのです。
十分きゃぴきゃぴした話題なきがしますが、恋する乙女でお年頃の彼女たちには死活問題なのです。
「うらないっつってもぎんかくのうらないだからなぁー! しんぴょーせーはあんだろぉー!」
牛魔王は豪快に酒を煽ると、村周辺の地図を覗き込んだ。
「確かにこの立地で水がでねぇーってのは妙だろぉー! 近くに川も山もあんのによぉー!」
「そういうものなんですか?」
「水ってのはたけぇーとこからひきぃーとこにながれっからなぁー! 地べたんなかでもいっしょだぜぇー!」
時々ものに詳しい牛魔王の知識がさえます。
「そもそも溶けたグミが噴出すこと自体おかしいからな。 妖怪の仕業と言うならまだ納得もいくんじゃないか?」
首をひねりながらそう言うのは鎌イタチです。
確かに天然自然にグミが沸くと言うのは考えにくいかもしれません。
自宅で作ろうとしても、結構難しかったりします。
「確かにそれはそうですね…でも、水虎っていうのは確かなんですか? かなり強力な妖怪のはずですけど」
水の妖怪を複数従えるとも言われる水虎です。
一匹でいたとしても脅威になるのは間違いないでしょう。
「もし話し合いですまないで。 と言うより、十中八九戦いになるんじゃありませんか?」
妖怪が自然をコントロールしていると言うことは、住処の維持や自分の生命活動の一環であることが多いとされています。
もし本当に水虎が水を止めているのだとしたら、井戸を引くにはまずはそれをどうにかする必要がありました。
同じ妖怪である牛魔王も、勿論それはわかっていました。
「だなぁー! まー、直接あってどーなるかじゃねぇーかぁー? なるよーになるさぁー! あっはっはっは!」
「まあ、ししょーがそういうなら、そうなのかもしれませんけど」
こうがいじは不安を拭い去れませんでしたが、牛魔王の言うことを信じることにしました。
いつも無茶をしますが、どうにかしてしまうのが牛魔王だったからです。
牛魔王が住んでいる城に集まったのは、彼女の知人である二人の妖怪でした。
説明風な台詞を言っていたのは、牛魔王の弟子のこうがいじ(ルキ)です。
悪魔の炎を操り、敵対する相手を丸焦げにする実力者です。
「当てになるのか? あくまで占いなんだろ?」
桃のジュースを煽っているのは、鎌イタチのカルラです。
大鎌を振り回し、なぜか桃のジュースで酔っ払えるという特異体質を持った妖怪です。
女性が三人も寄れば華やかなガールズトークに花が咲きそうなものですが、今はきゃぴきゃぴした話題で盛り上がっている場合ではありませんでした。
なにせ牛魔王が恋人と同棲できるか出来ないかの瀬戸際なのです。
十分きゃぴきゃぴした話題なきがしますが、恋する乙女でお年頃の彼女たちには死活問題なのです。
「うらないっつってもぎんかくのうらないだからなぁー! しんぴょーせーはあんだろぉー!」
牛魔王は豪快に酒を煽ると、村周辺の地図を覗き込んだ。
「確かにこの立地で水がでねぇーってのは妙だろぉー! 近くに川も山もあんのによぉー!」
「そういうものなんですか?」
「水ってのはたけぇーとこからひきぃーとこにながれっからなぁー! 地べたんなかでもいっしょだぜぇー!」
時々ものに詳しい牛魔王の知識がさえます。
「そもそも溶けたグミが噴出すこと自体おかしいからな。 妖怪の仕業と言うならまだ納得もいくんじゃないか?」
首をひねりながらそう言うのは鎌イタチです。
確かに天然自然にグミが沸くと言うのは考えにくいかもしれません。
自宅で作ろうとしても、結構難しかったりします。
「確かにそれはそうですね…でも、水虎っていうのは確かなんですか? かなり強力な妖怪のはずですけど」
水の妖怪を複数従えるとも言われる水虎です。
一匹でいたとしても脅威になるのは間違いないでしょう。
「もし話し合いですまないで。 と言うより、十中八九戦いになるんじゃありませんか?」
妖怪が自然をコントロールしていると言うことは、住処の維持や自分の生命活動の一環であることが多いとされています。
もし本当に水虎が水を止めているのだとしたら、井戸を引くにはまずはそれをどうにかする必要がありました。
同じ妖怪である牛魔王も、勿論それはわかっていました。
「だなぁー! まー、直接あってどーなるかじゃねぇーかぁー? なるよーになるさぁー! あっはっはっは!」
「まあ、ししょーがそういうなら、そうなのかもしれませんけど」
こうがいじは不安を拭い去れませんでしたが、牛魔王の言うことを信じることにしました。
いつも無茶をしますが、どうにかしてしまうのが牛魔王だったからです。
「ところで、あの小さな包み紙何なんだ?」
鎌イタチが指差したのは、水玉模様の小さな紙袋でした。
プレゼント用なのか、ちいさなリボンもつけてあります。
「おー! クロコにプレゼントやろーとおもってなぁー!」
プレゼントと言う響きに、こうがいじの目が輝きます。
そう言う話が大好物なのが女の子なのです。
「どんなプレゼントなんです? 小物ですか?」
身を乗り出すこうがいじを制して、牛魔王は紙袋に手をかけました。
「じゃー、特別にみせてやるぜぇー!」
取り出されたのは、二本の細い紐でした。
正確には、紐に見える衣服です。
「…これは…」
青ざめた顔でつぶやくごうがいじに、牛魔王は元気良く言い放ちます。
「マイクロビキニだぜぇー!」
それは大事なところだけを隠すことにより、裸よりもエロくなると言う都で大人気の魔法の一品でした。
牛魔王がつけるにしてはやけにサイズが小さいようです。
「…まさか…クロコさんに…」
こうがいじの手は、まるで生まれたてのヤギのようにふるふると震えています。
「おー! クロコがきるんだぜぇー! きっとにあうだろーなぁー!」
信じたくなかった事実を突きつけられ、こうがいじは現実に打ちひしがれました。
知らなくていい大人の世界の一端を突然知ってしまった想いです。
さらに追い討ちをかけるように、鎌イタチが続けます。
「たしかにクロコなら似合うだろうな! 女物ってところがナイスチョイスだ!」
完全にへべれけになっています。
しょうていを失った鎌イタチは、桃くさい息を吐き出しながら親指を立てた手を突き出します。
「おー! クロコの魅力が二十パーセントはあっぷするぜぇー! あっはっはっは!!」
絶好調で有頂天なら牛魔王と鎌イタチは、肩を抱き合って楽しそうに笑い声を上げます。
「だめ…! そんな破廉恥な…!でもクロコさんなら似合うかm だめだめだめ!」
そんなだめな大人二人をよそに、こうがいじは頭を抱えて悩んでいました。
大人の女の世界と言うのは、子供にはとても刺激が強すぎるものなのです。
鎌イタチが指差したのは、水玉模様の小さな紙袋でした。
プレゼント用なのか、ちいさなリボンもつけてあります。
「おー! クロコにプレゼントやろーとおもってなぁー!」
プレゼントと言う響きに、こうがいじの目が輝きます。
そう言う話が大好物なのが女の子なのです。
「どんなプレゼントなんです? 小物ですか?」
身を乗り出すこうがいじを制して、牛魔王は紙袋に手をかけました。
「じゃー、特別にみせてやるぜぇー!」
取り出されたのは、二本の細い紐でした。
正確には、紐に見える衣服です。
「…これは…」
青ざめた顔でつぶやくごうがいじに、牛魔王は元気良く言い放ちます。
「マイクロビキニだぜぇー!」
それは大事なところだけを隠すことにより、裸よりもエロくなると言う都で大人気の魔法の一品でした。
牛魔王がつけるにしてはやけにサイズが小さいようです。
「…まさか…クロコさんに…」
こうがいじの手は、まるで生まれたてのヤギのようにふるふると震えています。
「おー! クロコがきるんだぜぇー! きっとにあうだろーなぁー!」
信じたくなかった事実を突きつけられ、こうがいじは現実に打ちひしがれました。
知らなくていい大人の世界の一端を突然知ってしまった想いです。
さらに追い討ちをかけるように、鎌イタチが続けます。
「たしかにクロコなら似合うだろうな! 女物ってところがナイスチョイスだ!」
完全にへべれけになっています。
しょうていを失った鎌イタチは、桃くさい息を吐き出しながら親指を立てた手を突き出します。
「おー! クロコの魅力が二十パーセントはあっぷするぜぇー! あっはっはっは!!」
絶好調で有頂天なら牛魔王と鎌イタチは、肩を抱き合って楽しそうに笑い声を上げます。
「だめ…! そんな破廉恥な…!でもクロコさんなら似合うかm だめだめだめ!」
そんなだめな大人二人をよそに、こうがいじは頭を抱えて悩んでいました。
大人の女の世界と言うのは、子供にはとても刺激が強すぎるものなのです。
クロコがいつも水汲みにきている川を少し上り、滝つぼをもぐった辺りにある水中洞窟を進んだ先。
それがぎんかくが占った水虎(スピネット)の居場所でした。
疑うとか疑わないとか以前にものをあまりよく考えない牛魔王は、ぎんかくが言ったとおりの道を進みました。
人生で食べてきたお米の数も言い当てると言うぎんかくの伝説的な占い能力は本物でした。
占いの通りの場所に水虎はいたのです。
水虎は牛魔王を待っていたように、洞窟の開けた場所にいました。
外見は人間と変わらない水虎でしたが、なんかビジュアルが猫系っぽかったから牛魔王は彼がそうだと決定しました。
「僕にナンのy」
「お前が水虎かぁー! とらっつーか猫だなぁー! あっはっはっは!!」
「分かってナカった上にムチャクチャ失礼なコトいっテルー?!」
初対面の相手にも容赦しないのが牛魔王の特徴なのです。
いつも当たり外れは半々ですが、どうやら今回はリアクション的に的中なようです。
牛魔王のナカでは既に決定事項だったので、特に納得も確認もせずに話を進めることにしたようです。
「っつーわけで村に井戸掘りてぇーからみずもどしてほしーんだぜぇー!」
「エェェェ?!」
当たり前のように説明はありません。
「チョット待っテよ! イクラなんでも意味わカラナすぎるヨ?! 話し合オウよ! 分カリ合おウとしよウヨ!」
どうやら水虎は比較的突っ込みヨリの常識人なようでした。
話が進みやすいのでとても助かります。
とてもメンドかったのですが、牛魔王は仕方が無いので説明をすることにしました。
話が長くなるので、牛魔王が持ってきた酒を酌み交わしながらです。
それがぎんかくが占った水虎(スピネット)の居場所でした。
疑うとか疑わないとか以前にものをあまりよく考えない牛魔王は、ぎんかくが言ったとおりの道を進みました。
人生で食べてきたお米の数も言い当てると言うぎんかくの伝説的な占い能力は本物でした。
占いの通りの場所に水虎はいたのです。
水虎は牛魔王を待っていたように、洞窟の開けた場所にいました。
外見は人間と変わらない水虎でしたが、なんかビジュアルが猫系っぽかったから牛魔王は彼がそうだと決定しました。
「僕にナンのy」
「お前が水虎かぁー! とらっつーか猫だなぁー! あっはっはっは!!」
「分かってナカった上にムチャクチャ失礼なコトいっテルー?!」
初対面の相手にも容赦しないのが牛魔王の特徴なのです。
いつも当たり外れは半々ですが、どうやら今回はリアクション的に的中なようです。
牛魔王のナカでは既に決定事項だったので、特に納得も確認もせずに話を進めることにしたようです。
「っつーわけで村に井戸掘りてぇーからみずもどしてほしーんだぜぇー!」
「エェェェ?!」
当たり前のように説明はありません。
「チョット待っテよ! イクラなんでも意味わカラナすぎるヨ?! 話し合オウよ! 分カリ合おウとしよウヨ!」
どうやら水虎は比較的突っ込みヨリの常識人なようでした。
話が進みやすいのでとても助かります。
とてもメンドかったのですが、牛魔王は仕方が無いので説明をすることにしました。
話が長くなるので、牛魔王が持ってきた酒を酌み交わしながらです。
クロコとの出会い。
告白。
じじぃとの熱いバトル。
そして無茶振り。
きんかくぎんかくが可愛かった事。
あと、鎌イタチの服装は青少年に有害なんじゃないか。
そんなことを三時間ぐらいかけてじっくり話したのです。
告白。
じじぃとの熱いバトル。
そして無茶振り。
きんかくぎんかくが可愛かった事。
あと、鎌イタチの服装は青少年に有害なんじゃないか。
そんなことを三時間ぐらいかけてじっくり話したのです。
「って長いヨー!! ガッツリ聞いちゃっタけドネー!」
どうやら水虎は基本的に良い人な様です。
最終的に、それよりも牛魔王の服装をどうにかした方がいいんじゃないかと言う話になったあたりで、はじめて突っ込みをいれました。
とても長い乗り突っ込みです。
「ツマリ、井戸ヲヒキタイから僕に水をダセって言いにキタのね」
「まーそーゆーことだなぁー!」
水虎は片眉を上げ首をひねります。
「ソンナ約束、気にしなイデさらっちゃっテモ良いんジャナイ? ジーさんのタワゴトみたいだし」
「あたいはそれでもいーんだけどなぁー! クロコは人間だからなぁー! あんまし力ずくってのはすきじゃねぇーだろぉーしなぁー?」
妖怪は基本的に実力本位の縦割り社会です。
実力のある牛魔王が、人間の言うことを聞く必要なんて欠片もないのでした。
それでも牛魔王がじじぃの言う事条件を飲むのは、つまるところクロコが心を痛めないようにするためだけだったのです。
「愛さレテルんだねー、クロコちゃん」
「まー、あたいみたいなのでいーっつーかーいー奴だからなぁー! 成るだけ心労はすくねぇーにこしたこたぁーねーからなぁー?」
豪快に笑う牛魔王に、水虎も頷きます。
「デモさ。僕はドク気なイヨ? この辺の水脈はイゴコチも良いし僕の体質にアッテルから、力を蓄エルのにモッテコイなんだ」
妖怪の中には、特定の土地で力を蓄えてパワーアップするものがいました。
どうやら水虎にとっては、ここがそのうってつけの場所な様です。
前にも書いたように、妖怪は基本的に実力本位の縦割り社会です。
力を蓄えることは、生きていく為に必要な生命活動の一つと言っても過言ではありません。
「そーかぁー! あたいも引くきはねぇーなぁー! 大事な嫁のためだからよぉー!」
ぼくは女の子やないー!と言うつっこみが聞こえそうですが、今は誰も何もつっこみませんでした。
牛魔王は自分のやり方を通す為に。
水虎は自分の財産ともいえる居場所を守る為に。
両者とも顔は笑っていますが、どちらも引く気はないようです。
どうやら水虎は基本的に良い人な様です。
最終的に、それよりも牛魔王の服装をどうにかした方がいいんじゃないかと言う話になったあたりで、はじめて突っ込みをいれました。
とても長い乗り突っ込みです。
「ツマリ、井戸ヲヒキタイから僕に水をダセって言いにキタのね」
「まーそーゆーことだなぁー!」
水虎は片眉を上げ首をひねります。
「ソンナ約束、気にしなイデさらっちゃっテモ良いんジャナイ? ジーさんのタワゴトみたいだし」
「あたいはそれでもいーんだけどなぁー! クロコは人間だからなぁー! あんまし力ずくってのはすきじゃねぇーだろぉーしなぁー?」
妖怪は基本的に実力本位の縦割り社会です。
実力のある牛魔王が、人間の言うことを聞く必要なんて欠片もないのでした。
それでも牛魔王がじじぃの言う事条件を飲むのは、つまるところクロコが心を痛めないようにするためだけだったのです。
「愛さレテルんだねー、クロコちゃん」
「まー、あたいみたいなのでいーっつーかーいー奴だからなぁー! 成るだけ心労はすくねぇーにこしたこたぁーねーからなぁー?」
豪快に笑う牛魔王に、水虎も頷きます。
「デモさ。僕はドク気なイヨ? この辺の水脈はイゴコチも良いし僕の体質にアッテルから、力を蓄エルのにモッテコイなんだ」
妖怪の中には、特定の土地で力を蓄えてパワーアップするものがいました。
どうやら水虎にとっては、ここがそのうってつけの場所な様です。
前にも書いたように、妖怪は基本的に実力本位の縦割り社会です。
力を蓄えることは、生きていく為に必要な生命活動の一つと言っても過言ではありません。
「そーかぁー! あたいも引くきはねぇーなぁー! 大事な嫁のためだからよぉー!」
ぼくは女の子やないー!と言うつっこみが聞こえそうですが、今は誰も何もつっこみませんでした。
牛魔王は自分のやり方を通す為に。
水虎は自分の財産ともいえる居場所を守る為に。
両者とも顔は笑っていますが、どちらも引く気はないようです。
水虎は両腰に刺した剣の柄尻に掌を置くと、ため息を吐き出します。
「まいっタネー。 僕も牛魔王もヒク気ゼロかー」
リラックスした態度のまま言う水虎の足が、突然跳ね上がりました。
手をかけていた剣に注意を寄せていた牛魔王の意表を付く格好です。
警戒し合い、五歩以上距離を開けていたのに突然の空振りのような蹴りでした。
牛魔王は一瞬不審に思いましたが、すぐに水虎の行動の意味が分かりました。
牛魔王の肩を、衝撃が襲いました。
水虎は蹴りで、衝撃波を飛ばしたのです。
「小器用なやつだぜぇー!」
突然の先制攻撃を卑怯だと言うつもりは牛魔王にはありません。
むしろ、剣に意識を向けさせた水虎の上手さに感心していました。
最初の一撃が軽いジャブのような一撃だったから良かったようなものの、もしも連続した攻撃だったら危険だったでしょう。
そのまま避けることもできず、大ダメージを受けていたかもしれません。
「あたいもまけてらんねぇーなぁー! あっはっはっは!」
いつもの調子で笑いながら、牛魔王は置いてあった巨大ひょうたんを掴み走り出しました。
驚異的な脚力で、水虎との間合いは一気に詰まります。
近づけるつもりの無かった水虎ですが、牛魔王は予想以上に強健だったのです。
「おおりゃぁあ!」
裂ぱくの気合と共に、牛魔王は背中に担いだひょうたんを振り回しました。
一本背負いのような動きで繰り出されたひょうたんは、もはや酒を入れる道具ではありません。
常識外れた大きさと質量で敵を押しつぶす、強力なハンマーだったのです。
避けようと後ろに飛んだ水虎でしたが、ひょうたんを避けきることはできませんでした。
「足っ?!」
ひょうたんは逃げ損ねた水虎の足を捕らえたのです。
とてつもない破壊力のこめられた一撃は、体の一部でも捉えれば十分でした。
水虎は地面に叩きつけられます。
もちろん、それを見逃す牛魔王ではありません。
這い蹲る水虎の腹部めがけて、必殺の一撃を振り下ろします。
ですが、水虎もそう簡単にはやられません。
避けるのは不可能だと判断すると、すばやくその場で体を丸めました。
水虎と言う妖怪は、矢をはじくと言われるほどに強固な体表を持っています。
まるめた背中に叩きつけられたひょうたんは、岩でも殴りつけたようにはじき返されました。
と言っても、水虎にダメージがないわけではありません。
つぶされなかったとは言え、痛いものは痛いのです。
「ごっふっ…!」
全身に走る強烈な痛みに、水虎は呼気を吐き出しました。
一緒に血が吹き出たのは、内臓にダメージが行った証拠でしょう。
「マズイ…イキナリ良いの貰っタ…!」
先手を取って油断したわけではありませんが、パワーファイターの牛魔王の一撃を甘く見ていたようです。
変によけようとして体の一部にハンマーを受けると、その場所に力が集中してしまうことがあります。
牛魔王の得物の巨大すぎる質量が片足などにかかったのでは、一気にもがれてしまう恐れもありました。
「コレはダメダネ」
体を丸めていた水虎は、牛魔王に背中を向けたままゆっくりと立ち上がりました。
両手を軽く上に上げているその様子は、どうやら降参のポーズのようです。
「降参してイイカナ? 分がワルいみたいダシネ」
水虎の言葉に、アマラは不思議そうに眉を寄せます。
「おー? いーのかぁー? んな簡単にあきらめてよぉー! いーばしょなんだろぉー?」
「命を賭ケテって程デモ無いからネ。 僕は元々ふらふら放浪シテタンダヨ。 ココは立ち寄ッタだけダカラサ」
だからそう惜しくも無い。
そう、水虎は続けました。
「まー、面白いハナシも聞かセテもらったシネー。 ソレデ良しとスルヨー」
にへらっと笑う水虎に、アマラも笑い声を返します。
「そっかぁー! わりーなぁー! れいっつったらアレだけどよぉー! あたいんち来いよぉー! うめぇー酒のませるぜぇー!」
「ヤッター。お言葉ニ甘えヨウかナー」
一度こぶしを交えたらもうマブダチ。
牛魔王は一昔前のヤンキーのような性質だったのです。
「まいっタネー。 僕も牛魔王もヒク気ゼロかー」
リラックスした態度のまま言う水虎の足が、突然跳ね上がりました。
手をかけていた剣に注意を寄せていた牛魔王の意表を付く格好です。
警戒し合い、五歩以上距離を開けていたのに突然の空振りのような蹴りでした。
牛魔王は一瞬不審に思いましたが、すぐに水虎の行動の意味が分かりました。
牛魔王の肩を、衝撃が襲いました。
水虎は蹴りで、衝撃波を飛ばしたのです。
「小器用なやつだぜぇー!」
突然の先制攻撃を卑怯だと言うつもりは牛魔王にはありません。
むしろ、剣に意識を向けさせた水虎の上手さに感心していました。
最初の一撃が軽いジャブのような一撃だったから良かったようなものの、もしも連続した攻撃だったら危険だったでしょう。
そのまま避けることもできず、大ダメージを受けていたかもしれません。
「あたいもまけてらんねぇーなぁー! あっはっはっは!」
いつもの調子で笑いながら、牛魔王は置いてあった巨大ひょうたんを掴み走り出しました。
驚異的な脚力で、水虎との間合いは一気に詰まります。
近づけるつもりの無かった水虎ですが、牛魔王は予想以上に強健だったのです。
「おおりゃぁあ!」
裂ぱくの気合と共に、牛魔王は背中に担いだひょうたんを振り回しました。
一本背負いのような動きで繰り出されたひょうたんは、もはや酒を入れる道具ではありません。
常識外れた大きさと質量で敵を押しつぶす、強力なハンマーだったのです。
避けようと後ろに飛んだ水虎でしたが、ひょうたんを避けきることはできませんでした。
「足っ?!」
ひょうたんは逃げ損ねた水虎の足を捕らえたのです。
とてつもない破壊力のこめられた一撃は、体の一部でも捉えれば十分でした。
水虎は地面に叩きつけられます。
もちろん、それを見逃す牛魔王ではありません。
這い蹲る水虎の腹部めがけて、必殺の一撃を振り下ろします。
ですが、水虎もそう簡単にはやられません。
避けるのは不可能だと判断すると、すばやくその場で体を丸めました。
水虎と言う妖怪は、矢をはじくと言われるほどに強固な体表を持っています。
まるめた背中に叩きつけられたひょうたんは、岩でも殴りつけたようにはじき返されました。
と言っても、水虎にダメージがないわけではありません。
つぶされなかったとは言え、痛いものは痛いのです。
「ごっふっ…!」
全身に走る強烈な痛みに、水虎は呼気を吐き出しました。
一緒に血が吹き出たのは、内臓にダメージが行った証拠でしょう。
「マズイ…イキナリ良いの貰っタ…!」
先手を取って油断したわけではありませんが、パワーファイターの牛魔王の一撃を甘く見ていたようです。
変によけようとして体の一部にハンマーを受けると、その場所に力が集中してしまうことがあります。
牛魔王の得物の巨大すぎる質量が片足などにかかったのでは、一気にもがれてしまう恐れもありました。
「コレはダメダネ」
体を丸めていた水虎は、牛魔王に背中を向けたままゆっくりと立ち上がりました。
両手を軽く上に上げているその様子は、どうやら降参のポーズのようです。
「降参してイイカナ? 分がワルいみたいダシネ」
水虎の言葉に、アマラは不思議そうに眉を寄せます。
「おー? いーのかぁー? んな簡単にあきらめてよぉー! いーばしょなんだろぉー?」
「命を賭ケテって程デモ無いからネ。 僕は元々ふらふら放浪シテタンダヨ。 ココは立ち寄ッタだけダカラサ」
だからそう惜しくも無い。
そう、水虎は続けました。
「まー、面白いハナシも聞かセテもらったシネー。 ソレデ良しとスルヨー」
にへらっと笑う水虎に、アマラも笑い声を返します。
「そっかぁー! わりーなぁー! れいっつったらアレだけどよぉー! あたいんち来いよぉー! うめぇー酒のませるぜぇー!」
「ヤッター。お言葉ニ甘えヨウかナー」
一度こぶしを交えたらもうマブダチ。
牛魔王は一昔前のヤンキーのような性質だったのです。
結局、水虎はこのあと牛魔王の城に行き、たくさんのお酒を飲みました。
飲みました、と言うか、強制的に飲まされました。
気を失ったり記憶が飛んだり、大変な目にあいました。
最終的に牛魔王の地獄の酒盛りから開放されたのは丸一日経ってからでしたが、水虎はその間の記憶がほとんど無かったのでした。
飲みました、と言うか、強制的に飲まされました。
気を失ったり記憶が飛んだり、大変な目にあいました。
最終的に牛魔王の地獄の酒盛りから開放されたのは丸一日経ってからでしたが、水虎はその間の記憶がほとんど無かったのでした。
「村の真ん中にでっかいいけができてるぅぅぅぅぅぅ!!!」
じじぃがすごく説明的な台詞を叫んだのは、牛魔王が水虎とあった三日後の朝でした。
言葉の通り、村の真ん中には昨日の夜には無かったとてもきれいな水を湛えた池が出来ていたのです。
すり鉢状の池の水はコバルトブルーに澄み渡り、水底からは絶え間なく湧き水が吹き上がっています。
「あんれまこんれはおったまげたなもす!」
「きんのまでこっただいけねがったもんな!」
村人たちは目を丸くして驚いています。
池のほとりには小声で「もうむり、ぜったいむり、はく、またはく、のどまであがってきてる」と呟いている水虎と、いつものように
じじぃがすごく説明的な台詞を叫んだのは、牛魔王が水虎とあった三日後の朝でした。
言葉の通り、村の真ん中には昨日の夜には無かったとてもきれいな水を湛えた池が出来ていたのです。
すり鉢状の池の水はコバルトブルーに澄み渡り、水底からは絶え間なく湧き水が吹き上がっています。
「あんれまこんれはおったまげたなもす!」
「きんのまでこっただいけねがったもんな!」
村人たちは目を丸くして驚いています。
池のほとりには小声で「もうむり、ぜったいむり、はく、またはく、のどまであがってきてる」と呟いている水虎と、いつものように
理由も無く笑っている牛魔王がいました。
「きさまらのしわざかぁぁぁあああ!!!」
二人を発見したじじぃは、とてつもない勢いで二人に接近してきました。
何も知らない人が見たら新しい妖怪のようなビジュアルです。
「おー! じーさんー! やくそくどーり井戸ほったぜぇー!」
「井戸じゃねぇーよ!! 井戸ってもっとおとなしーもんじゃろがいぃぃぃ!!」
じじぃの言うとおりでした。
「ってコトはあれかぁー! これは貴様が作ったのじゃなぁー! わしのむらになんてことしてくれるんじゃぁあ!!」
村の真ん中にいきなり池が作られたら、それは怒るでしょう。
「池じゃなくて井戸だぜぇー!」
「どこが井戸じゃぁあ!!」
「ちがうのかぁー?」
じじぃの言葉に、牛魔王は水虎に聞きます。
「イヤ、キモチ悪くて加減がデキナくってさ」
「しかも貴様がほったんじゃなかったんかいぃぃぃ!!」
「おー! なんか水虎がやってくれるっつーからよぉー! たのんだんだぜぇー!」
「コウいうの得意だかラネー」
びしっと親指を立てる水虎は、それはそれはいい笑顔です。
「っつーわけで約束どーりクロコもらってくぜぇー!」
「約束とちがうわぁあ!! こんなもんつくってどーするんじゃぁあ!!」
全力で絶叫するじじぃの額には血管が浮かび上がり、今にも切れんばかりです。
「水汲みゃーいーんじゃねぇーかぁー?」
「井戸ダシネ」
「井戸じゃないわぁあ!!」
わめき散らすじじぃと妖怪二人をよそに、村人たちは池のほとりでお祭り騒ぎでした。
水がまったく出てこなかったこの村に、ふってわいた水源です。
喜ぶなと言う方が無理な話です。
「すっかすこんれでもー水汲みさいかねぐでいぐなったなも!」
「んだんだ! 畑も田んぼもうるおうっべな!」
「あんりがたやあんりがたやぁ!」
その声は、じじぃ達のところにも聞こえてきました。
「喜んデルみたいだし。 イインジャナイ?」
「だなぁー! けっかおーらいだぜぇー!」
「させるかぁー!」
きれいにまとめようとする二人を、じじぃが阻みます。
「まー、たしかにさっぷーけぇーだよなぁー! あとで鯉でも放すかぁー! 井戸によぉー!」
「井戸じゃねぇーよ! 井戸じゃねぇーよぜんぜんよぉー!」
地団太を踏むじじぃを、水虎がまぁまぁとなだめます。
「相手ハ魔王だヨ? 妖怪のアイダで王様ってヨバレテルような奴なんダシ。村ごとミナゴロシとかジャナクテよかったジャナイ」
「ぐぬぬぅ?!」
どさくさでその事実を忘れていたじじぃは戦慄しました。
相手は「うしちちだから」とか、「うしおいてくから」、牛とか若干アレな冠こそ被っているものの、人外の魔力を行使する王なのです。
実際問題、コレだけ遣り合って命があるのは奇跡的とも言えるかもしれません。
「だからといって、わしの夢が…! KRK48が…!」
それでもじじぃはあきらめませんでした。
自分の夢にまっすぐな人間だったからです。
じじぃの夢が、命の危険を前に震える足を前に押し出したのです。
ですが、じじぃの歩みは歓喜に沸く村人たちに止められました。
「村長! こんれでむらさすぐわれたっぺし!」
「どうあげだぁ! 村長どうあげすんべ!」
「ちょ、おま! やめっ!」
問答無用で連れ去られるじじぃをよそに、牛魔王と水虎は歩き始めました。
「で、どーすんだぁー?」
「んー? マタ放浪すルヨー。 大分力もたくワエタしね」
「落ち着いたら連絡よこせよぉー?」
「ソッチモね。 楽しみニシテルよ。 妖怪と人間の恋愛結婚」
「お前はもーちょいさきっぽいもんなぁー!!」
「うん、ソウダネってひどくナイ?!」
「あっはっはっは!!」
牛魔王の無駄に明るい笑い声が響きます。
「きさまらのしわざかぁぁぁあああ!!!」
二人を発見したじじぃは、とてつもない勢いで二人に接近してきました。
何も知らない人が見たら新しい妖怪のようなビジュアルです。
「おー! じーさんー! やくそくどーり井戸ほったぜぇー!」
「井戸じゃねぇーよ!! 井戸ってもっとおとなしーもんじゃろがいぃぃぃ!!」
じじぃの言うとおりでした。
「ってコトはあれかぁー! これは貴様が作ったのじゃなぁー! わしのむらになんてことしてくれるんじゃぁあ!!」
村の真ん中にいきなり池が作られたら、それは怒るでしょう。
「池じゃなくて井戸だぜぇー!」
「どこが井戸じゃぁあ!!」
「ちがうのかぁー?」
じじぃの言葉に、牛魔王は水虎に聞きます。
「イヤ、キモチ悪くて加減がデキナくってさ」
「しかも貴様がほったんじゃなかったんかいぃぃぃ!!」
「おー! なんか水虎がやってくれるっつーからよぉー! たのんだんだぜぇー!」
「コウいうの得意だかラネー」
びしっと親指を立てる水虎は、それはそれはいい笑顔です。
「っつーわけで約束どーりクロコもらってくぜぇー!」
「約束とちがうわぁあ!! こんなもんつくってどーするんじゃぁあ!!」
全力で絶叫するじじぃの額には血管が浮かび上がり、今にも切れんばかりです。
「水汲みゃーいーんじゃねぇーかぁー?」
「井戸ダシネ」
「井戸じゃないわぁあ!!」
わめき散らすじじぃと妖怪二人をよそに、村人たちは池のほとりでお祭り騒ぎでした。
水がまったく出てこなかったこの村に、ふってわいた水源です。
喜ぶなと言う方が無理な話です。
「すっかすこんれでもー水汲みさいかねぐでいぐなったなも!」
「んだんだ! 畑も田んぼもうるおうっべな!」
「あんりがたやあんりがたやぁ!」
その声は、じじぃ達のところにも聞こえてきました。
「喜んデルみたいだし。 イインジャナイ?」
「だなぁー! けっかおーらいだぜぇー!」
「させるかぁー!」
きれいにまとめようとする二人を、じじぃが阻みます。
「まー、たしかにさっぷーけぇーだよなぁー! あとで鯉でも放すかぁー! 井戸によぉー!」
「井戸じゃねぇーよ! 井戸じゃねぇーよぜんぜんよぉー!」
地団太を踏むじじぃを、水虎がまぁまぁとなだめます。
「相手ハ魔王だヨ? 妖怪のアイダで王様ってヨバレテルような奴なんダシ。村ごとミナゴロシとかジャナクテよかったジャナイ」
「ぐぬぬぅ?!」
どさくさでその事実を忘れていたじじぃは戦慄しました。
相手は「うしちちだから」とか、「うしおいてくから」、牛とか若干アレな冠こそ被っているものの、人外の魔力を行使する王なのです。
実際問題、コレだけ遣り合って命があるのは奇跡的とも言えるかもしれません。
「だからといって、わしの夢が…! KRK48が…!」
それでもじじぃはあきらめませんでした。
自分の夢にまっすぐな人間だったからです。
じじぃの夢が、命の危険を前に震える足を前に押し出したのです。
ですが、じじぃの歩みは歓喜に沸く村人たちに止められました。
「村長! こんれでむらさすぐわれたっぺし!」
「どうあげだぁ! 村長どうあげすんべ!」
「ちょ、おま! やめっ!」
問答無用で連れ去られるじじぃをよそに、牛魔王と水虎は歩き始めました。
「で、どーすんだぁー?」
「んー? マタ放浪すルヨー。 大分力もたくワエタしね」
「落ち着いたら連絡よこせよぉー?」
「ソッチモね。 楽しみニシテルよ。 妖怪と人間の恋愛結婚」
「お前はもーちょいさきっぽいもんなぁー!!」
「うん、ソウダネってひどくナイ?!」
「あっはっはっは!!」
牛魔王の無駄に明るい笑い声が響きます。
こうして、村で一番の美少年クロコは牛魔王にさらわれました。
後にクロコが「羅刹のような勢いで連れ去られた幼女」略して羅刹女と呼ばれるようになったのは、皆さんご存知の通りです。
後にクロコが「羅刹のような勢いで連れ去られた幼女」略して羅刹女と呼ばれるようになったのは、皆さんご存知の通りです。
初回登録:イシュタル(c05076)
最終更新:イシュタル(c05076)
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