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  • ツンデレ盗賊がいかに萌えるかの検証

ブレイクアウトwiki

ツンデレ盗賊がいかに萌えるかの検証

最終更新:2010年06月02日 11:34

匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
つんでれとうぞくがいかにもえるかのけんしょう【登録タグ:つ】

「ツンデレ盗賊がいかに萌えるかの検証」とはアマラ(c01414)作の萌えるシチュエーションである。

目次

  • ツンデレ盗賊がいかに萌えるかの検証
  • 声当ててみた
  • コメントログ

ツンデレ盗賊がいかに萌えるかの検証

薄暗い石積みの部屋に、一人の少女がいた。
明かりのない、窓もない部屋。
出入り口らしいドアが一つあるが、重々しい鉄製のものだった。
牢獄。
と言うよりも、道具を押し込めておく為の部屋に近いかもしれない。
少女以外には誰も居らず、おいてあるものと言えば薄い毛布が一枚だけ。
その中で少女は、何をするでもなく虚空を見つめて座り込んでいた。
何が見えるわけでもない。
何も見えないくらい部屋。
その中で少女はただ、座り込んでいた。
ただ、部屋の扉が開くのを待って。

ある富豪の家を割り振られたのは、一週間ほど前だった。
盗賊の世界にもルールがあり、仕切り屋がいる。
どこにでも盗みに入ることが出来るわけではない。
地域を決め、家を決め、何時何時までに盗めと言われるわけだ。
それを守り、仕切り屋に幾分かの上がりを収めている分には、
些細な出来事は見逃してもらえる。
たとえば、その周囲の警備兵を買収して押し入る時間には
少し離れた場所を回ってもらえる。
ちょっとした証拠なら、もみ消してもらえる。
いざと言うときの隠れ家を用意してもらえる、などだ。
仕切り屋にその富豪の家を狙えと言われてから、カレはずっと富豪を調べていた。
色に並々ならぬ関心があるらしい富豪の生業は、奴隷売買だった。
かなり価値のある奴隷をやりとりして財を成しているようだ。
かといって、奴隷を盗み出すわけには行かない。
狙うのは現金の方だ。
今日の昼間、かなり大きな取引があった。
今富豪の家の金蔵には、普段は銀行に預けられているはずの
資産ほとんどが眠っている。
狙うなら、今日以上の好機はないだろう。
警備は厳重だろうが、百戦錬磨の盗賊にとってはなんということもない。
いつものようにナイフを腰に、ヘアピンを髪に刺し、盗賊は夜の闇に紛れ込んだ。

予め手に入れていた図面どおりの位置に、金蔵はあった。
屋敷に忍び込むと、警備が薄い廊下を選び金蔵に近づく。
蔵の前で警備をしていた、富豪が雇ったチンピラを気絶させ、ヘアピンで金蔵を開けた。
高価で違法なものの取引は、現金ではなく宝石類で行われることが多かった。
金貨は重く、かさばる。
宝石ならば少ない量で膨大な金額の取引が可能だ。
勿論、持ち運びもしやすい。
と言うことは当然、盗む側としてもポケットに入る分だけで十二分な
利益に成ると言うことだ。
盗賊は宝石をいくつか見繕うと、ポケットの中に詰め込んだ。
いつも一人働きが多い盗賊にとって、こういう仕事はありがたかった。
何よりも、非合法と言うところがいい。
相手も「違法な方法で手に入れた宝石を盗まれました」とは衛兵に訴えられないからだ。
当然自分が盗んだことがばれてしまえば富豪に命を狙われるだろうが、
盗賊にはそうならない自信があった。
今まで一度として、仕事中に人に顔を見られたことがないのだ。
門番を気絶させるときも、屋敷に忍び込むときも。
顔はおろか、姿すら見られたことがない。
だからこそ、仕切り屋も盗賊にここの仕事を回したのだろう。
なるべく値の張る宝石だけをより分けてポケットにつめ終えると、ついでに金貨もいくらか上着のポケットにつめる。
行きがけの駄賃…と言うわけではないが、当面の食費だ。
宝石を現金に換えるのは時間がかかるものなのだ。
頂く物をすべて頂いたら、後は早く逃げるだけ。
チンピラがまだ気絶しているのを確認すると、盗賊は再び音も無く廊下を走り始めた。

脱出する予定の場所を目指し、廊下を進む。
途中見回りが通るが、身を潜めてやりすごした。
見つからないように細心の注意を払いながら進み、ようやく目的の場所にたどり着いた。
下層階の、屋敷の中から直接川に出ることが出来る船着場だ。
周りにはいくつかの鉄の扉があった。
そこは商品である奴隷を閉じ込めておく為の牢屋のようなもので、取引が終わった
今日は誰もいないはずの場所だった。
実際、ドアは一つをのぞいてすべて開け放たれていた。
そう。一つだけ、しまっている扉があったのだ。
警備こそいなかったが、厳重に鍵がかけられている。
それを見た盗賊の足は、自然とどのドアに向かっていた。
盗賊は仕事中に予定が狂うのを何よりも嫌っていた。
入念に立てた計画を性格に実行することが、カレが今まで誰にも見つかることなく
仕事をしてきた秘訣だったからだ。
もしその部屋が警備がいたら。
もしその部屋に奴隷が残っていて、顔を見られていたら。
もしその部屋に商人が残っていたら。
予定にない出来事とは、大抵信じられないようなことが多い。
そういうものは、確認しておかなければ後々足元をすくわれかねない。
盗賊は髪にさしていたヘアピンを引き抜くと、ドアの鍵穴に差し込んだ。
複雑な構造の鍵ではあったが、ものの数秒ではずしてしまえた。
盗賊は一つ深呼吸をすると、腰にさしていたナイフを引き抜き、ゆっくりとドアを開けた

少女の耳に、石畳の上を歩く音が聞こえてきた。
奴隷の売買はもう終わったはずなのに聞こえてきたそれに、
少女はもう感じないと思っていた落胆を感じていた。
奴隷商人である富豪は、どうやら自分のことを気に入ったらしい。
売るのはやめて、自分のものにすると言っていたからだ。
この足音は、恐らく自分を連れにきたものの足音だろうと少女は思った。
また、自分の意思とは関係なく連れて行かれる。
そんな想いが少女の心をよぎる。
ここにつれてこられたときも。
その前も。
少女の思い通りになることはほとんど無かった。
言うことさえ聞いていれば、食べるものには困らない。
そういわれて富豪に売られてきたときのことをなんとなく思い出す。
奴隷となる前は、たべることもままならなかった。
昔のことを考えれば、飢えないだけ今はいい。
食べ物があるだけ、幸せなのだ。
諦めればいい。
少女は心の中で小さくつぶやいた。
仕方がない。
そう思えばいい。
どんな目に合わされるかは、良くわかっている。
それでも、自分にはどうしようもないことも、良くわかっている。
ソンナ目に合わされるから、食べ物がもらえる。
十分だ。
今までも、何度も自分に言い聞かせてきた言葉を再び繰り返す。
そうするうち、どんどん自分の中で何かがさめていくのを感じていた。
そしてそのうち、何も考えられなくなる。
早くそうなればいい。
何も考えなければ辛くない。
何も感じなければ、辛くない。
鍵が開く音がして、ゆっくりと扉が開いた。
抵抗すると言う考え自体起こらなかった。
手かせも足かせもされている訳ではない。
それでも、何をする気力も起きなかった。
細く細く入ってくる外からの明かりをまぶしがることも無く、
ただぼうっと少女はドアの方に顔を向けた。

まっくらな部屋に光が差し、白い人影が浮かび上がった。
髪は乱れ、きるものはぼろぼろで、体は土に汚れていたが、
それでもそうと分かる透けるような真っ白な少女がいた。

まぶしい光の中に、黒い人影が浮かび上がった。
黒髪に、口元は黒いマスクで覆い、指先まで黒尽くめの青年がいた。

ぼんやりと自分を見上げる目は、なんの感情もこめられていないように見えた。
うつろで、いましたがまでいたであろう闇の中に溶け込んだ物の様だった。
ただ、光の中に浮かび上がった少女を見た盗賊は、我知らずナイフを構えていた
手を下ろしていた。

光の中に浮かび上がった黒い人影は、まるでぽっかりと空いた穴のように見えていた。
マスクで隠された顔からは表情は読み取れなかったが、
その目元は少し震えているようだった。
ついさっきまで闇の中にいたせいか、少女はその青年に僅かな親しみを覚えた。

こんな目をどこかで見たことがある。
そう、盗賊は気が付いた。
どこでだっただろう。
思い出そうかと思ったが、すぐにどうでもよくなってしまった。
少女の目が、諦めた者の目であることを思い出したからだ。
希望を失ったとか、そういうことではない。
元々そんなものを期待していない、そういう類の目だ。
生きることも、死ぬことも。
苦しいことも楽しいことも。
何もかも諦めているような、そんな目だ。
盗賊はそんな目が嫌いだった。
何度も何度も見てきた、そういう目が。

青年の目が少しずつ険しくなっていくのを、少女はぼんやりと眺めていた。
こういう目を、少女は良く知っていた。
嫌いなものを見る目。
嫌なものを見る目だ。
こういう目をする相手の反応は、いつも大抵決まっていた。
蔑みの言葉を吐きかけて去っていくか、自分を打つか。
それがイヤだと言う感情はわいてこなかった。
いつものことだ。
当たり前のことだからだ。
慣れてしまった。
それがいやだと思ってもどうにもならない。
助けてほしいと思うことも諦めてしまっていた。
諦めてしまえば、失望することも落ち込むこともない。
苦しいと思うこともない。
それが当たり前なのだから。

一瞬、少女に見入っていた盗賊は、離れた場所から聞こえる足音で我に返った。
まだ距離はあるものの、自分のところに来る恐れがある歩調だ。
少しの間乱れていた頭の中が、瞬く間にいつものものに切り替わっていく。
早い足音ではない。
警戒している様子も無いところから考えて、まだ進入はばれていない。
あわてず、すぐに逃げ出せばまったく問題なく仕事が終えられる。
問題は目の前の少女だ。
声を出されたらそれで終わり。
外の様子に目を走らせて、改めて少女に目を向ける。
叫ぶ様子はおろか、逃げる様子もない。
ただ、ぼんやりと自分を見つめているだけだ。
盗賊の中に少しの苛立ちが走る。
まるで人形のように、何もかもされるがままのように佇む少女。
盗賊は少女に近づくと、その腕を掴んで引き上げた。
抵抗も無くされるがままに立ち上がる。
見た目以上に、少女の体は軽かった。
掴んだ腕は、そのままぽっきりと折れてしまいそうにか細い。
見つかったカラには口を塞がなければならない。
盗賊の頭にそんな言葉が浮かぶ。
少女の口を手で塞ぎ、後ろに回ってナイフを首筋に押し付ける。
見つかったことのない盗賊ではあったが、殺しに慣れていないわけではなかった。
むしろ暗殺はお手の物。
ふと、いつもの違う感覚に襲われた盗賊は、ナイフを持った手を止めた。
違和感。
簡単なことだった。
少女はまったく抵抗しないのだ。
そっと、少女の顔に目をやる。
ぼんやりと虚空を見つめる目に、ナイフを持つ手が震えた。

ああ、殺されるのかな。
それでも、まあ、いいか。
そんな感想しかもてない自分に改めて驚きながらも、少女は抵抗する
気にならなかった。
生きていても死んでも、あまり変わらないと思っていたからだ。
死ぬのは別にこわくなかったし、嫌でもなかった。
どうせ生きていても今までとあまり変わらない人生だろうから。
ただひとつ、なるべく痛くなければいいな。
そう、ぼんやりと思った。
願い事を普段しないせいか、少女にはそれがひどく贅沢な願望に思えた。

自分の手が震える理由が、盗賊には分からなかった。
頭では一刻も早くこの少女の首を切らなくては考えているのに、手が動かない。
早く、早くしなくてはと思うが、ナイフを引くことが出来なかった。
焦りが募る。
せめて抵抗されれば、止むを得ずのどを掻き切ることも出来ただろう。
だが、少女は何の抵抗もしない。
口を塞ぐ手にかかる息は、穏やかでか細い。
後ろから見える表情は、まるで何も無いようなぼうっとしたもので。
虚ろでどこを見ているのかわからない目は、くすんだガラス玉のようだ。
盗賊はマスクの下で歯を食いしばった。
訳が分からなかった。
こんな事は初めてだった。
感じたことのない感覚が頭の中を支配して、考えが一向にまとまらない。
ただ、手が動かない。少女の顔から、目が放せない。
不意に、上のほうから聞こえる足音が駆け足のものに変わるのを感じた。
どうやら盗みに入ったことが発覚したらしい。
急いで抜け出さなくては。
そう思いながらも、やはりナイフが動かせない。

「ちっ…!」
http://db7.voiceblog.jp/data/ashray-c/1274789565.mp3

盗賊は小さく舌打ちすると、少女の首に押し付けたナイフを離した。
口に当てた手も離すが、少女が声を出す様子は無かった。
どうしようか一瞬考え、盗賊はそのまま逃げることにした。
扉を出る瞬間、ちらりと少女の方に目を向ける。
少女は不思議そうに、盗賊を見上げていた。
先ほどまでの、くすんだガラス玉のような。生命感のあまり感じられない目。

黒い青年を、少女はぼんやりと見上げていた。
何で突然ナイフを離したんだろう。
気にせず、きってくれれば良かったのに。
そんな言葉が頭の中をよぎる。
部屋を出て行こうとする青年が、少女を振り返った。
入ってくるときと変わらず、目元しか見えない。
けれどなぜか、少女にはその目が今にも泣き出しそうな、
寂しくて仕方がなさそうな目に見えた。

気が付くと、盗賊は少女の手を取っていた。
扉のすぐ近くのある桟橋から水に飛び込み、建物の外に続く石造りのトンネルを
水の中にもぐって進む。
なるべく音を立てないために、水の上に出るわけには行かなかった。
ふと、少女の息が続くか気にかかったが、今はそれどころではない。
少女の手を掴み、屋敷の外へ。
必死に手と足をかきながら、消して少女の手を離さないように強く掴んで。
只管に、外を目指して泳ぎ続けた。

突然目の前に広がった世界に、少女は戸惑っていた。
平地の農村部に暮らしていた少女にとって、水の中を泳ぐと言うのは初めての
体験だったからだ。
体を洗うときさえ、たらいに汲んだ水を体にかける程度だった。
川のような大きな水の流れに入ったことなど、一度も無かった。
きらきらと輝きながら上り立つ水泡。
重力の鎖から解き放たれたように揺らめく布。
ふわふわと、空を飛んでいるかのような感覚。
すべてが新鮮で、綺麗で。
ずっと忘れていた気持ちを思い出すには十分すぎるものだった。
楽しい。
全身をさすような水の冷たさも、青年に握られた手の熱さでまったく気にならなかった。
少女は無抵抗に青年に手を引かれながら、水の中の景色と不思議な浮遊感を
楽しんでいた。
夢でも見ているかのような感覚を味わいながら、少女の意識は徐々に薄れていった。
元々、体も心も衰弱していたのだ。
それでも薄らぐ意識の中で、少女は始めて感じる気持ちを楽しんでいた。
楽しい今が、もう少しだけ続くかもしれない。
それでも、そんなささやかな、楽しい未来を願うものではなかった。
もう少し。ほんの少し。
楽しい今が続けば。
それでも少女のそんな願いは、すぐに消え去ってしまう。
弱っていた少女の意識は、水に溶け込むようにあっけなく途切れてしまった。

屋敷から離れた川岸に上がり、盗賊はすぐに自分の失敗に気が付いた。
少女がぐったりとして動かない。
訓練している自分と、少女の潜水時間の違いをまったく考えていなかったのだ。
ときどき水面に顔を出して息をさせているつもりだったが、甘かった。
心音を確かめる為に、胸に耳を追いつける。
冷たい水につかりすぎたせいで、身体が冷え切っている。
心音は聞こえない。
一瞬頭が真っ白になりかけるが、すぐに気を取り直す。
濡れた服の上からでは、心音は聞き取りにくい。
口元に顔を近づけ、呼吸をしているかどうかを確かめる。
か細くではあるが、頬に僅かに吐息が触れるのを感じた。
すぐに身体を起こさせ、何とか息をしやすいように頭を下げさせる。
昔一度人工蘇生の仕方を聞いたことがあった気がしたが、思い出せなかった。
思い出そうとする間も惜しかった。
兎に角、濡れた服のままこんな場所においておいたら、なんにしても命にかかわる。
この位置から一番近い隠れ家を頭の中で探しながら、盗賊はふと肝心なことに
気がついた。
なんで自分は、この少女を助けようとしているのか。
屋敷で自分の顔を見た唯一の目撃者だ。
殺す理由こそあるが、助ける理由は無い。
それなのにどうして、自分はこんなに焦っているのか。
自分でも分からない焦りの中、盗賊は少女の顔を改めて見た。
あの屋敷で見たときとは、見違えるようだった。
頬にこびりついていた汚れが落ちがから…だけではないだろう。
虚ろで無表情だった少女の顔が、ほんの少し。微笑んでいるように見えた。
今自分の手の中にいるのは、間違いなくあのときの少女だ。
それでも、印象はまるで別人のようだ。
少女を見入っていた盗賊を我に返らせたのは、刺すような冷たさだった。
早く隠れ家で身体を温めなくては。
立ち上がろうとした盗賊は、改めて腕の中の少女を見下ろした。
苦虫を噛み潰しように表情をゆがめ、舌打ちを一つ。
盗賊は少女を抱きかかえると、自分の隠れ家へと足を向けた。

きこりも入らないうっそうとした森の中に、小屋があった。
盗賊のいくつもある隠れ家の一つだ。
人里まで降りるのも苦労するここは、人目を避けたいときに良く使う場所だった。
今回の仕事が終わった後暫く隠れている予定だったので、大体の生活必需品は
用意してある。
ここまで歩いてくる間にすっかり服や髪が乾いてしまった少女をベットに乗せ、
盗賊はどっかりのソファーに座り込んだ。
狙っていた獲物は手に入った。
予想外の収入も得られたし、金額面的には大成功と言っていいだろう。
ただ、予期せぬおまけま気が付いただけで。
もっとも、人一人がおまけと言えればなのだが。
宝石を盗って来るついでに。人も拾ってきました。

「・・・ありえない・・・!」
http://db7.voiceblog.jp/data/ashray-c/1274789662.mp3

あまりの出来事に頭痛を覚える。
今まで、仕事はほとんど完璧にこなしてきた。
誰にも見つからず、標的も手に入れる。
必要とあらば、うめき声も上げさせずに人を殺すこともしてきた。
始めて人を殺したときすら、あんなにためらわなかった。
口を塞ぎ、首を切る。
こんなに簡単なものかと拍子抜けしたのを覚えていた。
それが、たった一人の少女が殺せなかった。
いや、それ以前に。
なぜあんなに簡単に見つかってしまったのか。
扉の向こうに人が居る恐れなんて、考えて当然だろう。
上手く宝石を手に入れて舞い上がっていたのか?
うぬぼれていたのか?
兎に角、これでは仕事が上手く言ったとはいえない。
いっそ、今殺してしまえばいいのではないか。
そんな考えが頭をよぎる。
重い腰を上げて、ベットに寝た少女の顔を覗き込む。
窓から入ってくる月明かりが、少女の顔を照らしていた。
屋敷で見たときも思ったが、やはし相当に色が白い。
いままで、日のあたるところに出たことが無いのかもしれない。
そんな気さえしてくる。
少女の顔に見入っている自分に、盗賊は気が付いていない。
そんな感情を覚えるのも、そんな体験も初めてだったからだ。
ふと、盗賊は少女の額にかかる髪に手を伸ばした。
そっと、指で耳の後ろに流す。
月明かりの加減だろうか。
盗賊にはその瞬間、少女が微笑んだように見えた。
今まで感じたことの無い違和感を顔に感じた。
急に体中の血液が顔に集まったような、そんな感じだ。
いらだったような感覚に襲われ、急いでソファーに戻った。

「くっそ・・・」
http://db7.voiceblog.jp/data/ashray-c/1274789485.mp3

ごまかすようにそう呟くと、盗賊はごろりとソファーに転がった。
少女のことは、本人がおきてから考えよう。
どうせココは森の中。
それに、物音がすれば自分がすぐに気が付く。
周りには、人が通ればすぐに分かるトラップも仕掛けてあるのだ。
今は兎に角、疲れを取ろう。
盗賊はそう考えると、近くにあった毛布を引っ張りくるりと包まった。
結局空が明るみ始めるまで眠れなかったが、盗賊には最後までその理由は
わからなかった。

少女が目覚めたのは、日が高くなってからだった。
いつもはごつごつとした石床の痛さで目が覚めるのだが、今日はまったく身体が
痛くない。
目をごしごしとこすり起き上がると、かけられていた毛布に気が付いた。
暖かく、やわらかい。清潔な毛布だ。
今まで自分では使ったことが無いようなそれに驚きながら、少女は地べたが
やわらかいことに気が付いた。
白いシーツに、やわらかい感触。
どうやら自分がベッドに寝ているらしいことに気が付き、少女はまあるく目を見開いた。
毛布を膝にかけたまま、ベットをぽふぽふと叩く。
やわらかい。
今度は、顔から倒れこんでみる。
ぽふりとおとがして、ベットのクッションが身体を包み込んでくれる。
やわらかい。
毛布の肌触りのよさも、初めて感じるものだ。
顔をうずめてその感触を堪能する。

「・・・おきたか?」
http://db7.voiceblog.jp/data/ashray-c/1274789706.mp3

聞きなれない声に顔を上げると、見覚えの無い人物がソファーに座っていた。
いや、見たことがある。
あの奴隷商の屋敷から、少女を連れ出した男だ。
そういえば、ココは今まで居た場所とはぜんぜん違う場所だ、と、少女はこのとき
始めて気がついた。
と言うより、一つの場所に長く居ることがなかった少女にとって、
起きて最初に目に入る場所が練るときと違うのは良くあることだった。
そのせいか、そういったことにはまったく無頓着になっていたのだ。
男、盗賊の問いに少女はコクリと頭を下げる。
そして、じっと彼を見つめた。
昨日は確か、首にナイフを突きつけられた。
でも、刺されはしなかった。
少女は、ずっと色々な人間を見てきた。
自分のことを平気でぶつ人間もいた。
ひどいことをする人間も居た。
でも、彼はそういう人間とは違う気がした。
特に理由があるわけではない。
感、とでも言えばいいのだろうか。
暫く見つめていると、彼は視線をはずし、顔に手を当てて立ち上がった。
少し頬が赤くなっているようだ。

「・・・俺は少し出かける。 昨日のことでまだ身体が疲れているだろう。 寝ているといい。 ここから出るならでるでいいが、周りの森は深い。やめておけ」
http://db7.voiceblog.jp/data/ashray-c/1274789727.mp3

そう言うと彼は、ベットの脇のテープルを指差した。
その上には、ガラス製の水差しに入った綺麗な水と、おいしそうなパンが乗っている。
いつもにごった水にカビた物しか口にしていない少女にとっては、ご馳走だ。

「好きに食べるといい」
http://db7.voiceblog.jp/data/ashray-c/1274789868.mp3

少女は改めて彼のほうを向き、コクリと頷いた。
かれは近くの壁にかけてあったコートのを羽織ると、外に続いているらしいドアをあけた。
出かけるのかな。
そう想い、少女は声をかけた。

「いってらっしゃい」

小さな声だ。
使い慣れない言葉だった。
牢屋に入れられ、売り買いされる少女にとっては、使う機会もほとんど無い。
しかし、こういうときに使う言葉だと言うことは知っていた。
聞こえたのか聞こえないのか、彼は足早にドアから出て行った。
少女はどうして後ろから見えた彼の耳がまっかだったのか考えながら、
ふたたびベットの上にごろりと寝転んだ。

森の中を早足で歩きながら、盗賊は今まで感じたことの無い感覚に身悶えしていた。
どういうわけか、少女を直視できなかった。
居た堪れなくなって思わず飛び出してしまったほどだ。
少女を一人山小屋においてくること自体、どうかしている。
顔を見られたから、自分のことが他に広まらないようにしなければいけないというのに。
なにがやめておけだ。
見張ってい無ければならないだろう。
いや、それ以前に。
なぜ生かしているのか。
なぜ殺せないのか。
ふと、少女の顔が頭をよぎった。

「いってらっしゃい」

その瞬間、いつの間にか殺さなければいけないという考えを強く否定する
自分が現れる。
理由ははっきりしない。
だが、殺してはいけない。
殺したく、ない。
そんな感情に支配される。

「なんなんだ・・・!」
http://db7.voiceblog.jp/data/ashray-c/1275444925.mp3

苦虫を噛み潰したような顔で吐き捨て、盗賊はさらに足を速めた。
ごちゃごちゃといろいろなことが頭の中を駆け巡る。
少女はいってらっしゃいと言っていた。
まともに返事もしなかったが、少女はどう思ったのだろう。
自分が戻って、もし。
もし、少女が逃げていなかったら。
念を押したとは言え、自分は彼女にナイフを押し付けた人間だ。
十中八九、逃げているだろう。
それでも、もし少女があの小屋に居たら。
おかえり。
そう、言うのだろうか。
そうしたら自分は、なんといえばいいんだろう。
やはり、答えるべきなんだろうか。

「・・・ただいま・・・」
http://db7.voiceblog.jp/data/ashray-c/1275444972.mp3

なんとなく呟いてみて、盗賊は激しく後悔した。
なにかが全身を這い回るようなむずむず感に襲われたからだ。
近くの木を蹴りまくり気を沈め、盗賊は再び道も無い森の中を歩き始めた。

仕切り屋が居るのは、昼は大衆食堂、夜は飲み屋として営業する店の
屋根裏部屋だった。
常ににぎやかで、人が多い場所の方が、かえって何をしていても
目立たないものなのだ。
居候と言うことになってはいるが、実際はその仕切り屋がその店の主であり、
店そのものが彼の情報収集地点の一つでもあった。

「おーつかーれちゃーん! いんやー、相変わらず仕事はやいねー。
 後ろ暗い商売の連中だから警備兵への通報も無し! あそこのチンピラどもから
 仕入れさせた情報じゃあ、人死にも無し! 証拠無し遺恨無し、利益ばっちり!
 完璧な仕事内容!」

仕切り屋。ケリー・ブラムスは金髪ロンゲの青眼が特徴の優男だった。
目鼻立ちの通った良い男ではあったが、軽そうな感が丸出しな雰囲気のせいか
どこにでも居るあんちゃんゼンとした男である。
無駄に明るいケリーを前に、盗賊はいつもの無表情で勧められた椅子に座った。

「で? 獲得賞品は?」

盗賊は促されるままに、目の前に机に掌台の袋を乗せた。
ケリーは舌なめずりしながら、中身を机の上で逆さに振る。
転がり出てきたのは、大粒の宝石だ。

「おっほー! いーねぇー! やっぱコイツを見るとテンションあがるわぁー!」

宝石を手に取りはしゃぐケリーに対して、盗賊はこわばったような無表情を崩さない。

「なんだよー。 仕事上手くいったんだぜー? いっつも言うけど、もうチョイ喜べよー」

ケリーの言葉に、盗賊は頭を振る。

「実は・・・成功ともいえないんだ」
http://db7.voiceblog.jp/data/ashray-c/1275444996.mp3
「ああ? お前にしちゃ珍しいな。 っつか、その手の台詞始めて聞いたな?
 まあ、言ってみろ。 問題があったらどうにかするのが俺の仕事だぜ?」

盗賊はこの家業をはじめてから、一度も大きな問題を起こしたことが無かった。
何かあっても、盗賊本人でどうにかできる程度のものばかりだったのだ。
ケリーにとっては、長年手数料だけ取っていたようなものである。
凄腕の仕切り屋を自称する彼にとっては、ようやく来た腕の見せ所と言うわけだ。

「奴隷の一人に顔を見られてな」
http://db7.voiceblog.jp/data/ashray-c/1275445022.mp3

「ん? 殺したのか?」

顔も見られず仕事を終わらせるこの盗賊にとっては、顔を見られたと言うのは
問題だろう。
しかし、すべての人間がそんな小器用なことが出来るわけではない。
まして、盗賊はこの道で何年も過ごしてきた、ケリーが仕切る盗賊たちの中でも
スバ抜けた凄腕だ。
顔を見られた程度のことが問題になるとは思えなかった。

「いやその、だな。 つ つれてでたんだ」
http://db7.voiceblog.jp/data/ashray-c/1275445046.mp3

「・・・は?」

ぽかんとしたな顔と言うのはいまのケリーのような顔を言うのだろう。

「だ からだな・・・つれて出たんだ」
http://db7.voiceblog.jp/data/ashray-c/1275445069.mp3


「ほー。 なーるほーどねぇー? ふぅーん」

改めて細かく話を聞き、ケリーは深く頷いた。
仕事中に起きた問題を解決するのが仕切り屋の仕事だ。
解決するには、勿論問題を良く知らなければならない。
そのときの状況。
周りに居た人間。
そういったものを鑑みて、問題をもみ消すのだ。
仕切り屋としてのケリーは、実に優秀だ。
盗賊もその点では信頼していた。
だからこそ、身を捻りながらもことの詳細をケリーに説明したのだ。
無論、始めて感じた奇妙な感覚や心理状態については一切触れていないわけだが。

「まあ、あれだ。 最初に真面目な話しちまうとだよ?」

ぽりぽりと頭をかくと、ケリーはいつものへらへらとした笑い顔を引っ込める。
真剣な表情で腕を組み、盗賊を見据えた。

「まず、心配ないだろ。
 さっきも言ったように俺の耳には特にどうのこう乗って話は入ってない。
 それよりも盗まれたものの方が大事だろ。 宝石とかそういう金目のものの方。
 奴隷の少女一人どうでもいいと思ってんだろ。
 一応探りは入れてみるけど、まずもって問題ないよ。
 その子がいるあの山小屋もさ。素人が初見で抜けられるようなところじゃない。
 お前がここに直行で来てるってのが俺には信じられんぐらいなんだし。
 女の子が抜けることは無いさ。つまるところお前が心配するような、
 お前の面が割れるとかってことは全然無いってことね」

軽く肩をすくめるケリーに、盗賊は浮かない顔で「そうか」と返した。
他人に言われると安心すると言うことがある。
今の盗賊はまさにその状態なのだろう。
すこしほっとしたように息を吐き出すと、盗賊は昨日の一件以来ほとんど失っていた
平静を、ようやく取り戻した。

「まあ、でもアレだ。 暫くはその子の面倒、みることにしてやれ」
「・・・面倒?」
http://db7.voiceblog.jp/data/ashray-c/1275445120.mp3

眉間に眉を寄せる盗賊。

「ドロボーが入ったところでの殺しってなら、問題ない。あるけど。
 比較的どうにかしやすい。 でもだ。
 なんでもない所でただ殺しただけの死体を処理するってのは、
 コレが意外と骨が折れるんだよ。正直俺でもきつい。だから、だ。
 暫くその女の子、お前が見張ってるっつーことでよろしく」

硬直している盗賊に、ケリーは懐から取り出したクッキーを齧りながら言う。

「ま、なんにしても現場外での出来事だ。 俺もそういうのは専門外だしな」

自分でまいた種である以上、盗賊も無理押しは出来ない。
しぶしぶと言った様子で頷くと、「わかった」と返した。

「ま、この仕事のおかげで暫くは暇だろ。 退屈しのぎ退屈しのぎ!
 監視しっかり、よろしくたのむよ?」

口先ではそういいながら、ケリーの本心が「オモシロイオモチャゲッツ」だったのは、
言うまでも無い。

所謂、無表情と言う奴である盗賊がその顔色を変化させるのは、
実にまれなことだった。
人を殺すときですら、眉一つ動かさない。
そんな盗賊が今、その顔を目に見えてゆがませていた。
苦渋、苦痛、怒り、焦り。
兎に角そういった類の、消して喜ばしくない類の表情。
そんな盗賊の目の前にあるのは、なにやら可愛らしい女性服店だった。
わなわなと震えている盗賊の隣に居るのは、それとは対照的にとてつもなく
満足げな表情のケリーだ。

「・・・これは・・・必要なのか」
http://db7.voiceblog.jp/data/ashray-c/1275445203.mp3

搾り出すように声を吐く盗賊に、ケリーは真剣そうな顔で頷く。

「当たり前だろう。 お前街中で女の子が裸で居るの見たことあるかぁ?
 女の子はかわいい服を着てる状態がデフォルトなんだよ。イコール!
 目立たない為にはかわいい服を着せなければならない!
 お前が連れてきたっつー子、ろくなもんきてないんだろ?」

盗賊はコクリと頷いた。
奴隷に良い服を着せる意味はあまり無い。
少女が粗末な衣服だけをまとっていると言うのは、言わなくても
ケリーには読めていたらしい。

「ってことは、問題ありじゃないのよ。 目立たせちゃだめなわけだろ?」
「し かし・・・森の中だぞ。 アレがいるのは」
http://db7.voiceblog.jp/data/ashray-c/1275445240.mp3
「ばっかおまえ、ばっか! 女の子が裸で森んなかうろついてたら
 ソッコー衛兵のとこつれてかれんぞ! 保険だ保険!」

苦虫を噛み潰すように顔をゆがめる盗賊だが、真剣な様子のケリーの台詞に
一切口答えが出来なかった。
無論、ケリーが面白がって言っているのは言うまでも無い。
そもそも人気が無いから隠れ家にしているような場所で、
衣服なんてどうだっていいのだ。

「ほらほらぁー! はやくいくよー! いっちゃうよー! えらんじゃうよひゃっほー!」
「ま、おすな・・・! 俺は行かんっ! 貴様が買って来い・・・!」
http://db7.voiceblog.jp/data/ashray-c/1275445284.mp3
「自己責任だって自己責任! 選んじゃいなって!!」

ピンク色のまぶしい外壁に、デフォルメされたウサギや熊のイラスト。
今まで気にも留めなかった少女趣味な建物は、今の盗賊にとっては
王族の城よりも潜入しがたい難攻不落の要塞に見えていた。
盗賊本人にとっては始めて味わう未知の抵抗感であろうそれは、
世に言う羞恥心というものである。

その後、半ば引きずられる形で店内に入った二人は。
店員のおねえさんにその手のカップルに間違われたり。
盗賊が顔を真っ赤にしてがたがた震えながら少女の体系を説明するのを拒んだり。
大胆な服しか選ばないケリーについに切れた盗賊がナイフでケリーの
額を突き刺したりなどの困難を乗り越え。
一時間以上かけてようやく、一着の服を選ぶことに成功したのだった。

ひとしきりベットのふかふか感を堪能した少女は、むっくりと起き上がった。
周りを見回すが、誰も居ない。
少女はベットから降りると、小屋の壁に近づきぺしぺしと叩いてみた。
今まで少女が居たのは、石造りの牢屋ばかりだった。
奴隷が逃げ出さないようにするためだ。
だが、この小屋は木で作られている。
どうやら少女には、それが珍しいらしい。
足元の床にも興味が出たのか、ぺたりと座り込んでぺしぺしと叩く。
石とは違う感触が楽しいらしく、今度は頬を当ててみた。
ぬくもりと、木の香りが鼻をくすぐる。
そのまま眠ってしまいたくなる衝動を抑え、少女は窓の近くによって見た。
窓も、少女にとっては珍しいものの一つだ。
外をのぞくと、生い茂った木々や草花が見える。
小屋の周りは開けており、背の高い草も生えていなかった。
歩きやすいようにしているのが、手入れが行き届いているように見える。
ふと、少女の視界にしろい塊が動いているのが見えた。
開け放たれている窓から顔を出して目を凝らす。
白い塊には、二つの大きなもふもふした角が生えていた。
物心ついてからのほとんどを牢の中ですごしてきた少女には、見知らない動物だ。
少女には角に見えたそれは、実際には角ではなく耳。
もふもふした白い物体の正体は、うさぎなのだ。
少女の中では、ツノのついたもふもふ生物として分類されたうさぎには
首輪が付けられており、近くのくいに結ばれていた。
飼い犬か何かと同じような状況だ。
どうやらこの小屋の周りの草を手入れしているのは、そのうさぎらしい。
少女にはそんなことは分からなかったが、もふもふ生物を見ていると
面白いと言うことだけは分かった。
両手を上半身を窓から出し、ふちのところに身体を預ける。
外に出て行ってもふもふを近くで見てみたくもあったが、盗賊の言葉が頭に残っていた。
少女的には、今の状態は外に出ていることにはならないらしい。
うさぎは少女に気が付いたのか耳をピクリと動かすと、二本足立ちになって
少女の方を振り返った。
じっと見つめあう一人と一匹。
少女は好奇心を煽られ、ますますうさぎに見入る。
うさぎのほうは警戒して、ぴくりと身体を動かす。
その動きに、少女は驚いたようにぽかんと口を開けた。
うさぎが少女を危険なものではないと認識するまで、
しばしこの一人と一匹の攻防は続いた。

声当ててみた

盗賊のセリフに声を当ててみました。
また、分かりやすいように台詞の下にURLを貼り付けましたので。

声の出演:アシュレイ(c00061)



初回登録:イシュタル(c05076)
最終更新:シェリカ(c00014)


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