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071

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匿名ユーザー

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071.僕と逆毛とBDS


♂アルケミストは、せっせと摩り下ろしたハーブを塗った患部に、包帯を巻いていた。
主に、黒く厚手の布で出来たそれは、女性の着ていた衣服の端や、外套を破って拝借したものである。
それから、傷口に張り付いてる部分の布も、治療上折れた剣の破片で切除した。
おかげで随分と服の裾やら袖やらを詰めたり切ったりすることになってしまったが。
腹の部分などは、丁度♀ハンターの衣装のように全面を切り抜いてしまっているし、袖にしても肩の辺りまで切り落としており……丁度、半袖に半ズボン、と言った趣であった。
しかし、必要な作業である。少なくとも、治療している本人は、そう考えている。
それに、包帯で患部をぐるぐる巻きにしている以上、肌の露出はそれほど増えてはいない。

「良し」
最後に、手の甲の傷に包帯を巻きつけて、処置を終える。

「オツカレwww」
処置の間中後ろを向かせていた♂アコライトが、労いの言葉を掛けてきた。

「ああ、ありがとう。これで大丈夫……の筈」
やれる事は全部やった。後はこの人の生命力次第、だった
そう考えながら、改めて女性を見つめた。

長く癖の無い、赤い髪のその人は荒い寝息を立て、眠っている。
傷のせいで発熱しているのだろう、上気した肌には薄く汗。そこはかとなく、色っぽい。
ぬふぅ。何となく、♂アルケミストは邪な感情がじわじわと浮かんでくるのを覚える。
しかし……ここで襲っては完全に人間失格。おまけに逆毛にそこらの石くれで撲殺される事は間違いなかった。

「うはwww或閲(アルケミ)wwww Sugeeeee」
で、一方のアコライトはアルケミストの思惑を知らぬのかそんな感嘆の声でミイラ状態の麗人を見ている。
うむ。短い付き合いながら、この少年は間違いなくいい奴だ、とアルケミは確信していた。
只、少々潔癖が過ぎるのと、説教癖があるのと、不幸であることが欠点だが。後、逆毛だ。
最後については、後天的な物……というよりも、支給品なのだそうだが。
やはりこのアコライトは不幸であり、そして今、天に翻弄されているという点で、この二人は共通していた。

「仲間だよな俺等」
「うはwwww OKwwwwっぅぇ」

アルケミは、体操座りをしつつ、がっしとアコの手を握り締めて言い、アコライトもそれに答える。
考えるところが本当に一致しているかどうかは定かではないが。

◇◇◇

何だ、この妙な夢は?
騎士子は、思う。

彼女の目の前では、とあるレイドリック兄弟と、逆毛の深淵の騎士が熱い友情の握手を交わしていた。
そして、なにやら聞き取れない話をしては、彼等は大いに盛り上がっている。
……というか、三人の性格が違うような気がしてならないが、尚も騎士子を置いてけぼりに話は続く。
だが、それは段々議論となっていき、終には激論となる。
あっ、内藤がレイドリックを殴った。吹き飛んだ後でレイドリック兄弟が何か反論している。
その後、二度目の拳骨に反撃のクロスカウンター。両者ノックダウン。しかし、ふらふらと起き上がる。
……一体どういう夢だ、これは? というか、何故夢を見ている?
確か私は、GMに敗れた筈で……

考え始めると、ゆっくりと体が浮かび上がる様な感覚を覚える。
目覚めが、やってきたようだった。

◇◇◇

「っぅぅ……アコ、効いたぜお前のパンチ」
ふらふらと、よろめきながらアルケミストが立ち上がる。
赤く腫れ上がっているその頬は、数瞬前のクロスカウンターの結果だ。
殴りアコ相手に、かくも互角に渡り合うのはひとえに信念の賜物。

「アルケミ破廉恥杉www修正してやるwwぅぇ」
一方の逆毛もまた、口に溜まった血反吐を吐き出しながら言う。
棄てられぬ主張がある。その為ならば、命も惜しまぬ。
彼も又、今は一人の戦士であった。

嗚呼、それは互いに相容れぬ想い故の決闘であった。
具体的に言うと『綺麗なお姉さんは好きですか』という♂アルケミストの話題に対しての見解の相違から来る戦い。
や『萌えだな逆毛の』。や『うはwww破廉恥wwwイクナイ』。
イム蘭西入権宣言は異なる信念の共存を提唱せしども、真の漢は互いの拳で語り合う事を止めはしないのであった。

「次の一撃で終いにしてやる……っ。覚悟しろ!」
そんな事を嘯き→参考URLとあるので、呟きに変換、♂アルケミストが一歩を踏み出した。
正に、その時であった。

「ん……っ。痛ぅ……」
ぴたり、と両者の動きが止まり、申し合わせたかの様に女性の方に向いた。

「……」「wwww」「……」
三人の視線がぴったりと合っていた。

「えーと、おはよう美しい人」
しゅたっ、と片手を挙げ、赤く頬を腫らした顔で、爽やかに♂アルケミストが言う。
真の男は、諍いを何時までも根に持ったりはしないのである。

「あ……ああ」
女性は、気圧された風に答える。
と……不意に、彼女は不思議そうな顔をすると、包帯に包まれた自身の腹部を見た。

「うはwww大ジョブwwww或閲がwww治療したwwwwっぅぇ」

「そうか……有難う。礼を言う。……ん?」
不意に、胡乱げな顔をすると……ぺたぺたと掌で服の胸の辺りを触れ始める。
そして……何事があったのか、顔が徐々に真っ赤に染まっていく。
やがてリンゴの様になって、そのまま俯いてしまった。何となく、肩がぷるぷると震えている。

「心配しなくていい、美しい人。医療上必な処置であったのだ。
『上』だけであるし、野良犬にでも噛まれたと思って……」
あまつさえ、事態を察したアルケミはそんな事を言っていたりする。
フォローどころか傷口に塩、である。

「……」
ゆらり、そんな擬音が似合う様子で、騎士子が立ち上がった。
そして、手近な所にいた♂アコライトの襟首を掴む。

「www?」
アコライトには構わず、彼女は気合を練り上げる。

「遺言……遺言はあるか? あるなら聞いてもいい」
「な、何を言ってるんですかサー!! 当方は、最善を尽くしたのであります!! 情状酌量を請求するであります!!」
「問答……無用」
「っていうか無視ですか裁判長ーっ!! 逆毛、弁護薄いよ何やってるの!!」
「うはwww無理wwwwサポシwww」

状況は、極めて絶望的だった。♂アコライトの襟首を掴んでいる手に、力がこもる。

「ブランディッシュスピアーッ!!」
「ボ、ボスケ……っぅぇwwwww!!?」

違う。それを言うならブランディッシュサカゲだ。
そんな反論を口にする暇も無く、常識外れの力でブン投げられた逆毛の直撃を受け、♂アルケミストは、飛んできた弾丸と縺れ合いながら、ごろごろと地面を転がっていった。

<深淵の騎士子 昏倒から復帰>
<♂アルケミ 状況変化なし><♂アコライト 状況変化なし>

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