「これは……」
目の前に広がる黄金の海。
日の光を浴びて輝くその美しさに毛利はうまく言葉を紡ぎ出せなかった。
日の光を浴びて輝くその美しさに毛利はうまく言葉を紡ぎ出せなかった。
「おらの田んぼだ…。なぁ、どうだ?」
「どう、とは…」
「どう、とは…」
まだ身体は重く感じる。目もかすみ、立っているのがやっとだ。
「この稲穂の海を、おめえさんはどう思うだ?」
「それは…」
「綺麗だべ?」
「それは…」
「綺麗だべ?」
毛利は膝をつき、倒れた。
駆け寄って自分を抱き起こす少女は必死な顔で問いかけてくる。
「大丈夫だか!?」
「………貴様は、何故我に人の心を求める?」
「だって……本当は…おめえさんにはまだちゃんと人の心があるんだべ?」
「心……」
「………貴様は、何故我に人の心を求める?」
「だって……本当は…おめえさんにはまだちゃんと人の心があるんだべ?」
「心……」
そう言って少女は大きな瞳から涙を一滴溢した。
それが頬を伝い、大地き落ちるまでの間、毛利はそれをぼんやりと眺めていた。
「ああ…綺麗、だ」
「え?」
「え?」
この娘の涙は綺麗だ。
この娘が自分のために流す涙は綺麗だ。
この娘が自分のために流す涙は綺麗だ。
毛利は少女に問いかけた。
「そなたはなんという名だ」
「え…おら?おらはいつき」
「そうか」
「え…おら?おらはいつき」
「そうか」
毛利はいつきの涙をそっと指で拭った。